東方不敗「馬鹿弟子がーー!」
こいつらウザい。
アレイシア精霊学院とは帝国各地から集められた貴族の令嬢達が集まり一人前の
精霊使いとなる為に日々研鑽を磨く訓練養成校であるが城壁の内部の庭は手入れ
されているだけではなく瀟洒な尖塔が立ち並ぶその様子は宮殿のようである。
その内部にて・・・。
「ああ今日は酷い事が立て続けだな。」
赤い絨毯が敷かれている校舎の二階の廊下でカミトが愚痴っていると『シラヌイ』がこう続けた。
「(森に入れば道に迷い、高飛車で実力の差も把握仕切れない娘っ子にボコられて
今度はその娘っ子が解放した〈封印精霊〉に殺されかけた挙句に契約して最後には
その娘っ子が『私の契約精霊になりなさい!』って鞭で雁字搦めにされながら
連行されたんだもんな。)」
殆どあの娘っ子がやらかした後始末を尻ぬぐいする羽目だよなと『シラヌイ』が
ため息交じりでそう言った。
カミトはクレア・ルージュがトイレに入っている隙に鞭を解いて逃げたのだ。
「なんにせよあの世間知らずに見つかる前にグレイワースに会って・・・。」
カミトは懐に入れてあった便箋を取り出すと深い事情があるのか顔を険しくして
こう言った。
「この手紙の本当の意味を問いたださないとな。」
「(ああ、今まであの婆さんの家でメイドしたり執事したりしながら裏街で
情報を探してたんだ。こうなったら魔女の掌で踊りながら手掛かりを掴み取る。)」
『シラヌイ』とカミトは共に同じ意思を持っていることを確認したその時、カミトは学園長の執務室に足を止めた。
「さてと出るのは鬼か蛇か・・・。」
「(はたまた魔精霊か。)」
カミトと『シラヌイ』はそう思いながらもカミトが扉を叩こうとすると・・・何やら声が聞こえた。
「学園長、私は納得できません!」
「ん?女??」
執務室で少女の声がしたので叩かずに耳を当てて聞いてみた。
「何故、神聖なる姫巫女の学舎に、お、男等を迎えなくてはならないんですか!」
「この私が必要だと言ってるんだ。理由はそれで十分だ。」
「グレイワースだな。」
「(ああこのぞわっとするような声は間違いないな。)」
カミトと『シラヌイ』がそう言うともう一度聞き耳を立てた。
「私達では力不足だと、おっしゃるんですか?」
「それについては問題ない。騎士団の実力は承知しているがあいつは特別な才能を持っている。」
「男でありながら精霊と交感出来ることですか?」
「いやそれだけじゃない。あいつともう一人・・・いやもう一体の奴もな。」
「何ですかそれ・・・何者だ!」
「やべえ!!」
カミトが扉から遠ざかると・・・ポニーテールの少女が扉を蹴りつけながら
現われたのだ。
・・・然も下着丸見え。
「あ、黒のレース。」
「(おま、また!!)」
カミトの言葉に『シラヌイ』が呆れると少女は真っ赤にしてこう言った。
「この不埒物が!!」
少女の蹴りがカミトの腹部に当たる瞬間・・・カミトはそれを『シラヌイ』を鞘ごと使って防御した。
「(お前があほなこと言うたびに何で俺が使われるんだ!!??)」
理不尽だろ!!と言いながら『シラヌイ』が文句言っていると少女は腰に差した剣を抜くと同時にカミトも『シラヌイ』のソード・デバイスを抜いた。
すると少女はカミトを凝視すると顔が赤くなって驚いた。
「貴様・・・まさか男!!??」
「ああ男だよ。」
「(偶に女になるがな。)」
カミトはきちんと答えるが『シラヌイ』の余計な一言に大きなお世話だというと
執務室の机にいた女性がカミトにこう言った。
「ふん、随分と遅かったじゃないか。カゼハヤ・カミト。」
そしてカミトもその女性にはんと言ってこう返した。
「こっちは色々あったんだよ。グレイワース・シェルマイス。」
そこにいたのは灰色の髪と瞳を持ち、小さな眼鏡を掛けた女性。
元帝国十二騎将第一位にしてカミトの師匠「グレイワース・シェルマイス」が
そこにいた。
グレイワース「やっと私が出てこれたか。」
やっとだもんね。