「大地に遍く精霊ヨ、我が呼び声に応えた前。」
後方においてヴェルサリアの護衛の下でフィオナは儀式神楽を舞っていた。
「我は汝の加護を願うもの、我は汝の力を讃えるもの。」
流石に元精霊姫候補だけあって艶やかに舞うその姿は正しく舞姫であり
優雅に見えた。
そして彼女が儀式演武を奉納した瞬間の光り輝く地属性の魔術方陣が
浮かび上がった。
その演舞は舞手とその仲間に大地の祝福を与えることが出来る儀式演武
儀式神楽第四式〈栄光の賛歌(オラトリオ)〉と言う術式である。
するとフィオナは更に演武を舞い始めた。
それは先ほどとは全く異なる演舞である。
すると演舞を舞いながらフィオナはこう思っていた。
「さてと・・・少し暴れるわよ!!」
その中でカミトとシャオの・・・血で血を洗う激闘は続いていた。
既に互いに傷だらけであったのだがそれでも構わずに時には退き、
時には攻めてと攻守を入れ替えて戦いあっていたが・・・カミトの足元に
〈栄光の賛歌(オラトリオ)〉の魔法陣が浮かび上がって
カミトの力が増すのを感じるとシャオはそれを勘で退くとカミトがこう言った。
「ここ迄のようだな。」
そう言うとシャオはこう呟いた。
「ああ・・・リンファ様がいなかったら退いてたな。」
「・・・!?」
カミトはそれを聞いて一時何だと思っている次の瞬間に何を言っているのかを
理解したのだ。
地面に描かれていた魔法陣が書き換えられていったのだ。
「何だこれは?」
カミトはそう聞くとシャオはこう答えた。
「儀式魔術の書き換えさ、リンファ様の持つ神獣精霊〈麒麟〉の魔装
〈神仙羽衣(セラフィム・フェザー)〉でリンファ様の力を
底上げしているんだよ。」
そう言うとこう続けた。
「さて・・・命令だ、お前をここで殺す。」
そう言って構えるとカミトはこう続けた。
「そうか・・・なら僕もそうするよ。」
そう言って嘗ての・・・教導院のカミトに完全に戻って戦闘を再開した。
「うげまじってどうやったのかしら興味あるわね。」
「フィオナ貴様ボケーッと言っている場合か!?敵はそこ迄来ているって
何でまだ踊っているんだ!?!」
ヴェルサリアは大声で怒鳴るようにそう言いながら間もなく来るであろう
敵に対して準備しているとフィオナはこう返した。
「あら?私が何で未だ儀式演武を舞っていると思って。」
「?」
理由が分からんと言う眼をしているヴェルサリアに対してフィオナは
こう答えた。
「戦いは商売と同じ、相手の行動に対して二手三手先を考えて対応して
お客さんを掴んで離すなってマギアルカさんが言ってたじゃない。」
「それで?」
「お客様は精霊、そして彼らはサクラで客を奪い取る敵商人。人様の商売道具で成り上がるなら・・・
・・・・・使用料含めて百倍で取り立ててぶんどるのみよ。」
そう言って儀式演武を終えるとフィオナはこう言った。
「儀式神楽第八式 <大地の怒り(スリャウス)>発動!」
「これで終わり。」
「そうなるか。」
シャオとカミトは互いに単調な言葉で攻撃しようとした次の瞬間に・・・
地面が突如揺れ始めた。
それは今戦闘を行っている場所全域で揺れておりカミトは何だと思ったその時に魔法陣が浮かび上がって更に揺れが酷くなった。
そして耳元にいた通信用の精霊からヴェルサリアが全員に向けてこう言った。
『総員一時撤退!この戦域から離脱して体制を整える!』
その声を聴いてカミトは瞳の光を取り戻してシャオ二向けてこう言った。
「それじゃあまた後でな。」
「それはない。」
シャオは尚も平坦な口調で攻撃しようと木々を伝っていこうとすると
カミトは懐から精霊鉱石を使って・・・眩しい程の光を解き放った。
「!!」
「勝負は一端お預けだ!!」
そう言ってカミトは撤退していった。
無論それはエリス達も然り。
「撤退命令です!」
「分かった!!」
レオノーラとエリスが互いにそう言って風の魔法で上空に上がって撤退した。
「お、己己己ー-!!」
リンファは地団駄踏みながら悔しがっていた。
あの時間違いなく勝っていたのにまさかあの様なやり方で撤退するなど
夢にも思わなかったのだ。
思えば〈チーム・スカーレットナイツ〉は常に互いの戦場を把握して
近寄らせない様にしていただけではなく万が一に備えての準備までしていたのだ。
今回の戦闘は引き分けの様に見えるが実際は戦いに勝って勝負に負けると言う
格下と思っていた敵に見事にしてやられたのだ。
因みに戦闘の様子を見ていたマギアルカはそれを見て大笑いしながら
見ていたのは余談だ。
「然しまあ今回はしてやられたな。」
「恐らく勝てれば上等、負けるとしても引き際を見極める辺り
中々の敵のようです。」
「強ちルミナリス倒したのってまぐれじゃなさそうだね。」
「お主等何でそんなに平然としておるのじゃー-!!」
リンファはそう聞くとシャオはこう返した。
「だってなー、結果は結界だしな。」
そう言うとリンファはリオンに近寄ってこう言った。
「そもそもお主ちゃんと敵情視察したのかって・・・聞いておるのはリオン!
妾の言葉を」
聞いているのかと言おうとした瞬間にリオンが懐からとある仮面を見せた。
何も彫られていない真っ黒なお面。
「何じゃそれは!?そんなので妾が気を乱すとでも」
そう言ッている瞬間にリオンはリンファにお面を素早く押し付けた。
すると被ったリンファが突如・・・苦しみ始めた。
「・・・・・・・・!!」
「リオン!?お前何しているんだ!!」
「リンファ!?」
ラオは心配するようにリンファに近寄ろうとしたその時に・・・
リオンが攻撃してきたのでハクアがそれを防ぐとリオンは後ろにバックしていくと茂みから・・・誰かが現れた。
「あら?被れたのはその子供?へえ、リーダーなら丁度良いわね。」
そう言って現れたのは・・・シェーラ・カーンであった。
「「「!!!」」」
シャオ達が魔装を出して構えるとリンファが突如起き出した。
「リンファ!大丈夫なの・・・リンファ?」
リンファはお面を被ったままシェーラ・カーンに近づいてシャオ達に
相対するかのように向くとシェーラ・カーンは笑いながらこう言った。
「さあてと・・・魔石狩りよ♪」
次回は何故シェーラ・カーンが出てきたのかについて。