「ーー冥府の門より出でよ、偉大なる伯爵、魔精霊〈ヴォイド〉よ!」
そう言って現れたのは不定形な闇の塊であった。
だがこのヴォイドは嘗て魔王スライマンが使用していた72の精霊の一つである。
そしてそれをグレイワースが手を伸ばすとヴォイドは漆黒の剣と姿を変えた。
『ストーム・ブリンガー』、これこそがヴォイドの精霊魔装である。
そしてカミトはエストをデモンスレイヤーにして構えるとグレイワースは
カミトに向けてこう言った。
「さてと、三年ぶりに稽古するのだ。覚悟は良いな坊や?」
「三年前はそんな事言ってもいないよな?」
そう言って暫くして・・・グレイワースが姿を消した。
「やば」
『カミト上だ‼』
シラヌイがそういってカミトは剣を上に向けるとグレイワースと剣戟が
交じり合った。
「ほう、初撃は受けきったか?勘は戻りそうか?」
「それは・・・勝ってから言え!」
そう言って押し出そうとするが・・・押し負けていた。
「エストが押されてる・・・!!」
「昔からお前は神威の放出に斑があるから直せと言っただろう!」
「くそ!」
カミトは仕方ないと思って下がるがグレイワースは・・・更に速くなって
技を放った。
「絶剣技、初の型〈紫電〉!」
『カミト!エストに神威を集中しろ!』
「分かってる!」
カミトはそう言ってエストの刀身に神威を注いで防御するが
かなり吹き飛ばされたのだ。
「ふむ、今のはシラヌイの助言であろうが手加減したんだ。未だ続けるぞ。」
「そのつもり・・・でいるんだろ!」
カミトはそう言って構えるとグレイワースはカミトの諦めない目つきを見て
ニコリと笑っているとこう言った。
「カミト、一つ言うが奥義は一回しか使わない。それでこの技の神髄を
導き出せ、さもなくばお前はレン・アッシュベルには勝てんぞ。」
そう言いながら底冷えするような神威を放出し始めるのを見てカミトは無言だが了承して構えた。
最初はクレアしかいなかった、今ではフィアナ、レオノーラ、ヴェルサリア、
エリス、エストが加わって・・・大切な物が出来たなとそう思っていると
グレイワースはカミトに向けてこう言った。
「カミト、今放たれる最強の技で私を倒して見せろ。」
「言われなくても・・・やってやる!」
そう言ってカミトは神威をデモンスレイヤーにありったけ流し込むと地を蹴って加速して逆手で構えたその技は・・・これだ。
「絶剣技、破ノ型ーー烈華螺旋剣舞・18連!」
それは一撃一撃が必殺級の威力を誇る連撃技。
普通ならばこれで大概の相手を倒せれるが相手が相手である。
グレイワースはそれらを全て受けきっていた・・・だけではない。
「!?」
カミトはその光景を見て驚いていた、何せグレイワースの髪が・・・淡い燐光を放っていたのだ。
それを見てシラヌイはまさかと思ってこう言った。
『おいおい嘘だろ!あの婆さんカミトの神威を吸収しているのか!?』
あれがヴォイドの能力なのかよとそう言っているがカミトは違うと思っていた。
「(これは吸収じゃない・・・同調だ!こいつは相手の動きや呼吸を完全に
合わせることで俺の神威を自分の物にしているのか!?)」
そう思いながら全ての斬撃が終わったその時に・・・グレイワースの攻撃が
カミトに襲い掛かった。
これまでの攻撃が全て・・・グレイワースの攻撃も+して襲い掛かる正に・・・回避不可能のその奥義が。
そしてグレイワースはこう言った。
「絶剣技終ノ型ーー〈天絶閃衝【ラスト・ストライク)〉!」
その攻撃が瞬く間にカミトに襲い掛かった。
「相手の攻撃の総裁にカウンター・・・奥義という割にはシンプルだったな。」
『だが使いどころを見極めなきゃ無用の長物だ、カウンターの出せる所を
見極めなきゃ意味ねえゼ?』
「成程な。」
カミトは大の字になって寝ているとグレイワースが大量の治癒鉱石を
置いていると汗だくになってカミトのもとに駆け寄った。
「絶剣の奥義、見切ったか?」
「ああ・・・掴めたには掴めたが後は俺自身だな。」
そう言うがグレイワースは・・・少し微笑むと・・・カミトのすぐ隣で倒れた。
「お・・・おいグレイワース!」
『何だ!過労か!?』
カミトとシラヌイが慌てているとグレイワースは・・・こう呟いた。
「カミト・・・レン・アッシュベルを・・・倒せ。」
そう言いながら心臓を押さえて熱に魘される様に・・・其の儘目を閉じた。
「グレイワース!!」
そして何処かの空洞
「黄昏は過ぎ去って闇夜が訪れた。」
レン・アッシュベルらしき人間はそう呟いて目の前にある・・・
ネペンテス・ロアの肉の欠片を頬張っていた。
また休載します。