「ダールス伯爵・・・其れは違うかと思われますが?」
そう言ったのはエリスとヴェルサリアの祖父であるシグナスであった、どちらにも
付かない中立派で武闘派の彼からしたら皇位継承問題に対しては口出ししないような
感じだったのに何故遮ったのかと思うと・・・答えはこうだった。
「ダールス殿、ココはあくまでも教国への対応を話し合う場であったはず
じゃないでしょうか?」
するとダールス伯爵はこう返した。
「いいえ公爵殿、此度の教国への対応あくまでも表層的な問題でございます。事の本質は次期皇位継承問題である事には」
「ですがその教国は竜匪賊と呼ばれる組織を擁しており更にはドラグナイトも
保有してある、既にあちら・・・マギアルカ殿が所属しているマルカファル王国では
対抗策を講じていると共に我が国に対しても国交を開こうとしています。今教国の
対応を疎かにしてしまえば後々禍根を残しかねん、どうでしょう皇帝陛下。先ずは
教国に対して使節団を派遣して国内の情勢を確認するのは如何でございましょう?」
「公爵殿!使節団を派遣して国内の情勢を見極めるなどそんなことせずとも教国は
平穏其の物であり民も大丈夫でございましょう、其れに竜匪賊なる者が教国にいたとしても我々には何の害も」
「カノ者達は嘗てブレイドダンスの晩さん会に大会中に於いても介入しておられるぞ!
今わが国にはドラグナイトが無くかの国には一体どれだけの戦力が保有されているのか全く分かりませんぞ!!然もあの国にはアビスと呼ばれる強力な邪精霊もおり手遅れになった際には我が国は罪の無き兵士や精霊使いが犠牲になりますぞ!?嘗てドラグニア竜皇国ですら手も足も出なかったそのアビスが出た時にどう対処する気か!」
「そ・・・それは・・・・」
シグナスの言葉に対してダールスはしどろもどろになっている中皇帝陛下は
先ほどから沈黙・・・いや、まるで自分とは無関係なだと言う感じで虚空に視線を
彷徨っているのに対してアルネウスは何やら額に汗を搔いて青ざめた表情をしながら
議論の行方を見守っている中・・・やれやれとグレイワースは呆れながらこう言った。
「王の資質に対して疑問視しかせんな、この場面で最低限の虚勢すら張れないとは
あれでは皇帝陛下になどなれんぞ。」
「あはは・・・其れでも父上は兄の事を信頼しております、そりゃあ血脈と言うか
血の分けた我が子ですから大切なんです。」
「だがこの状況の中貴様は堂々としているぞ?貴様が皇帝陛下になればこの国は
安泰だと私はそう見ているが?」
「とんでもないです!私は皇帝になろうなどとは微塵も思ってないですから!!
私は卒業したらマギアルカ様の元に弟子入りして行く行くは独立して自分の商会を
立てようと考えているんです!?」
「・・・そうか・・・まあ貴様が何かしたいと言うなら其れは自由だが覚えておけ、
血の宿縁と言うのはいつ何時貴様に襲いかかるかどうか分からぬぞ?」
グレイワースの言葉を聞いてもフィオナはああそうなんでしょうかと思いながら
聞いていると・・・シャオが姿を見せた。
「ようお姫様。」
「あらシャオさん、何か御用かしら?」
「ああ、グレイワース様からの指示で命令を送って今エリスとヴェルサリアの両名がこっちに来るようにしておいたぜ。」
「ああそうか、ご苦労だったなシャオ。別名ある迄は外で待機しておけ。」
「あいよ、そんじゃああたしは下がっとくよ。」
そう言ってシャオは部屋の外に向かって行った。
そんな中一人の貴族が立ち上がったのだ。
「あの人は確か・・・うげあれに書かれた奴の一人だ。」
フィオナが小さな声でそう言うのをグレイワースはあれとは何だとは思っていると
その貴族・・・連判状に記載されていた『フィネガス・ボード』公爵がこう言った。
「ダールス伯爵、其れをおっしゃるのでしたらアルネウス殿下が皇帝として相応しいと言っているようですが・・・カノ者は暴力でしか己を見せる事しか出来ません。
そして私はシグナス殿の提言にも一理あります、もし竜匪賊が教国と
関わっているとするならば我々はアビスと呼ばれる邪精霊に近い存在もいるともなれば
我が国はドラグニア竜皇国の二の舞になりかねません。だが違う事は一つ・・・
我が国の近隣にドラグナイトを保有する国家が何処にもいらっしゃいません、
其れを阻止するためには我が国には今新たな皇帝が必要となります。
ドラグナイトを保有し他国とも交流を持ち何よりも・・・カノ魔王と呼ばれる
少年とも面識を持つお方が必要となります。」
それを聞いてフィオナはあれ・・・これ完全に風が変な方向に向いてないよねと
思っている中グレイワースは隣にいるフィオナを見てこれは完全に駄目だなあと
思っている中『フィネガス・ボード』は更にこう続けた。
「アルネウス様は他国とも交流をしたことが無く思慮に欠けております、
そして今言った中で最も皇帝に相応しいお方が今ここにいる!」
そう言うと『フィネガス・ボード』はこう答えた。
「私たちはフィオナ第二王女殿下を皇帝として擁立したいと思っております!」
次回は・・・暗雲が帝国に漂い始める。