「その後私は養成学校に入学しました。もうあんな目に合わないようにするために。」
「・・・そうか。」
カミトはレオノーラの過去に同情する以外に何もなかった。
自分と同じ年でありながらも前線で多くの仲間を失い、生き残った事に本来なら褒めるべきだと思うだろうが今のカミトの心情はそれすらも出ないほどぐちゃぐちゃで
あったのだ。
「・・・それで何でアレイシア精霊学院にいるんだお前?そのまま養成学校にいたんだろう?」
カミトはここで何故アレイシア精霊学院にいるのかを聞くとレオノーラは顔を
俯かせてこう言った。
「・・・裏切られたんです。」
「裏切られた?」
「はい。」
話は戻って・・・。
レオノーラはあの後生きのこった仲間と共に養成学校で機竜について学んでいた。
機竜の動かし方や陣形の取り方。
機竜を使っての役割分担や演習。
座学においては機竜関連の整備の仕方や通常座学。
これまで精霊しか扱っていなかった彼女達からすれば勉強してもしたりなかった。
然しレオノーラはそれに齧りついていた。
演習では指示の取り方や機竜の力を最大限に引き出す方法。
三大機竜奥義の一つ「クイック・ドロー」を会得しようと休みの日まで使って
機竜を使ったり。
通常座学においては予習復習をして授業に着いていこうと頑張っていた。
その苦労が実ったのかどうか定かではないが解析が終わった『メイルストローム』を卒業試験の日に返却されることが決まった時には浮足立つように喜んでいた。
そして月日は巡り・・・。
「等々明日だね。レオノーラ。」
ユーリが布団の中でそう言っていた。
養成学校の宿舎は男女別(基本的であるが人数的理由で混合することがある。)で
四人部屋である為レオノーラ、ユーリ、レグリスの三人、この時もう一人いたが
その人間はリタイアして出て行った。
「ええ、我々全員で合格して士官学校に入学しましょう。」
「はい。」
レオノーラの言葉にレグリスが答えた後三人は眠りについた。
・・・それが永遠の別れになるとは知らずに・・・。
「勝者!!『レオノーラ・ランカスター』!!」
試合会場の周りにいた観客が歓声を上げていた。
整備され、調整を解かされた『メイルストローム』を纏ったレオノーラは自身が
勝ったことが嬉しかった。
「やりました!!『メイルストローム』!!」
「【ええ、貴方の弛まない努力が実ったのですね。】」
今回の卒業演習では汎用機竜を持っている生徒5人が教官一人に対してのチーム戦であった。
然しレオノーラは神装機竜を持っていることを考慮して1対1の決闘試合で
挑んだのである。
教官役の人間は機竜から降りてレオノーラにこう言った。
「おめでとう。レオノーラ・ランカスター。これで晴れて士官候補生として
ヘイブルグ共和国に行けるな。」
頑張れよと言ってレオノーラははいと答えた後彼女は『メイルストローム』から
降りて一息入れてから他の皆の応援に行こうと思っていたところ何やら外が
騒がしかったので待機所からドア越しで聞き耳を立てていると声が聞こえた。
「おいそれ本当か!!?」
「ああ本当だ!!卒業演習で死人が出たらしいぞ!!然も5人全員で全員
ドラグニア出身だそうだ!!」
それを聞いたレオノーラは驚愕してそこにいた人間に問い詰めた。
「それは誰か分かりますか!!私の友達も今日演習なんです!?」
そう言うと彼らは・・・死んだ人間は全員医療室に運び込まれたと聞くと
レオノーラは脇目も降らずに走り出した。
そして演習場近くの医療室に着くや否やレオノーラは扉を破壊するような勢いで
開けてそこにいた医者に食いつくような勢いで飛びつきながらこう聞いた。
「今日運び込まれた人間で先程迄演習をしていた女の事たちを知りませんか!?」
「・・・彼女達はこの奥のベッドだ。」
そう聞くや否やレオノーラはそこに向かうとそれは・・・地獄であった。
血だまりがベッドの下に溜池のように広がって、その中心には5人の人間の遺体が
そこにあった。
そしてその中に・・・ユーリ、レグリスがいた。
「・・・ユーリ、・・・レグリス・・・これは何の冗談ですか?」
レオノーラはふらふらと歩きながら彼女達の方に向かった。
「起きて下さいよ・・・演習終わっちゃってますよ・・・私合格したんですよ・・・だからみんなも続いて下さいよ・・・何で目を開けないんですか・・・?」
レオノーラは切れ切れと・・・嗚咽を出しながらもこう続けた。
「起きて下さい・・・起きて下さいよ・・・ねえ・・・私を・・・ヒトリニ・・・。うわああああああああああ・・・。」
レオノーラは彼女達の遺体に蹲って泣いた。
もうあの時のように語ってくれない仲間の骸を抱きしめ乍ら泣いた。
そしてレオノーラは泣き止んだ瞬間医者に大きな声でこう問い詰めた。
「誰です・・・誰がヤッタンデスカ!!」
「ぐうう!!」
レオノーラは医者の襟を掴んで聞くと医者は苦し紛れにこう喋った。
「ろ・・・ローザ・グランハイトだ。」
「え?」
その名は嘗て自分を救っただけではなく目標として・・・憧れた女性の名前で
あった。
「何故彼女が?」
「分からん。だが今彼女は牢屋に閉じ込められているらしいからその後に・・・
って君!!」
医者の言う事を聞かずにレオノーラは走り出した。
理由を聞くために・・・。
それが間違いであると同時にあんなことになるとは誰も思っていなかった。
次回でその真意が明らかとなる。