「はあ・・はあ・・はあ・・。」
レオノーラ・ランカスターは司令部から猛ダッシュで家に向かって逃げていた。
彼女は司令官にローザ・グランハイトの処罰について抗議しようと部屋に入る前に
誰かがいるのに気付いたので扉を少し開けて聞いていると知ってしまったのだ。
全てはヘイブルグ共和国とドラグニアの司令官が起こした茶番である事。
そしてその為に「ドラゴン・ポート」の市民と仲間を見殺しにしたという真実に
レオノーラは信じたくなかったが耳に残っているあの二人の笑い声に怒りが沸きそうになった。
「とにかく・・・父様達にこの事報告して・・・教官にも伝えて・・・
それから・・・。」
レオノーラは今後の事を考えながら走っていた。
父親に話せば軍の何割かを加えて司令官を倒せるはずだと考えていたからだ。
するとレオノーラはある事に気づいた。
「?・・・赤い光・・・あそこは!!」
レオノーラは腰に差している『メイルストローム』のソード・デバイスを抜いてこう詠唱した。
「-鳴り響け。-風を縦糸に、海を横糸に奏し海龍よ。数多の嵐を洗い清めよ、
≪メイルストローム≫!!」
レオノーラは『メイルストローム』を召喚して纏うと車輪を出してその場所にへと
向かった。
そしてレオノーラが着くとそれは・・・何者かによって蹂躙されている
自分の家であった。
「ヤメローー!!」
レオノーラは傍にいた機竜目掛けて槍で攻撃した。
「お、目標見っけ。」
そう言うとその人間は機竜のブレードで受け止めるとそのまま屋敷向けて
弾き飛ばした。
「ぐああ!!」
レオノーラが屋敷の中迄飛ばされるとそこで見たのは・・・。
「ひい!!」
無残にも惨殺された使用人たちであった。
すると機竜使いの何人かがレオノーラを見てこう言った。
「そういやあお前殺せばボーナス出るって言う話だからよ・・・
死んでくれるかな?」
「その前に犯してやるけどなあ。」
ひひっと笑いながらそう言う人間を見てレオノーラはこう言った。
「下衆が!」
そう言うと肩に搭載されている「グロリアス・テンペスト」を起動して天井向けて
「竜頭弾頭(ドラグヘッド)」を射出した。
「「どわあああ!!」」
天井に向けて発射された弾頭は命中した瞬間天井が崩れ落ちて彼らは埋まった。
そしてレオノーラは起動から降りて階段に上って両親を探した。
そして寝室に入るとそこにいたのは・・・。
「「レオノーラ!!」」
二人は何故か荷造りをしていた。
「二人とも何をして・・・!!」
すると父親はレオノーラにその荷物を渡した。
「これは・・・?」
「これにはランカスター家の財産の書類と我が家で保管されている封印精霊に関する記述が入っている。」
父親がそう言うとレオノーラは驚いてこう言った。
「封印精霊って!!どうしてそれを私に!!」
レオノーラは逃げなきゃというと父親はレオノーラの肩を掴んでこう言った。
「逃げるのはお前だけだ。レオノーラ。」
「何でです!!父様や母様も一緒に!!」
すると母親はレオノーラに向けてこう言った。
「貴方が生きている。それだけでランカスター家は守れるわ。」
「それに我々と一緒よりもお前ひとりの方が生き残る確率が高いんだ。」
分かってくれと言うが尚もレオノーラは食い下がった。
「そんなの嫌です!!二人と一緒じゃなければこれから私はどうやって生きろと!」
すると父親はレオノーラに向けてこう言った。
「何時かお前と一緒に傍にいる仲間や男と出会えるはずだ。」
「良いわね。レオノーラ。生きて私達の事を伝えるのよ。」
母親の言葉にレオノーラは泣きながら出ると父親は母親にワインを出した。
「これは・・・?」
「来週。お前との結婚記念日に飲もうと思っていたんだが今飲まないと
あいつらが飲むだろうな。」と言ってワインの入ったグラスを渡すとドカンと下から
音がした。
外を見るとレオノーラが纏っている『メイルストローム』が外に出て行く
様子が見えた。
そして父親がワインを飲むとある事を口にした。
「あーあ、あいつの花嫁衣裳見たかったなあ。」
すると母親もこう口にした。
「どんな人があの子を守ってくれるでしょうね?」
そしてお互いこう口にした。
「それを言うならバージンロードを歩きたかったなあ。」
「あの子の子供を抱きしめたかったなあ。」
「おいおい何だか未練たらたらなことしか言わないなあ。」
「本当よねぇ。」
そして扉が破壊されるとその張本人たちが機竜息銃を向けると父親は母親に
こう言った。
「ま、人生の半分は達成したんだ。」
「あの子の未来をあっちで見守りましょ。あなた。」
そしてドンという音と共に・・・二人のいた部屋が爆炎に包まれた。
「お父様・・・お母様・・・。」
「【レオノーラ。】」
レオノーラは『メイルストローム』を動かしながら泣いていた。
嗚咽を上げて鞄を抱きしめ乍ら・・・自分の無力さを呪いながら泣いていた。
「うあああああああ・・・あああああああ。」
すると空が曇って雨が降ってきた。
ランカスター家は雨により鎮火し始めたがそこには彼らの血が混ざっていた。
雷が鳴り始める中レオノーラはこう叫んだ。
「ああああああああああ!アアアアアアアアアアアアアアアア!!」
涙なのかそれとも雨粒かわからないがレオノーラの目から溢れ出してくるそれは
彼女の心が震えてしまっている証なのだろう。
そして現在に戻る。