学院都市はアレイシア精霊学院の麓にある小規模な街であるが学院の生徒のために色々な店が立ち並んでいた。
更に言えば今日はセレモニーがある為多くの人間がいた。
その中にカミト、エリス、レオノーラ、エスト、グリムゲルデがいた。
彼女達はクレア・ルージュが精霊無しでセレモニーに参加しているのではないかと
思い気になっていたため闘技場に行っていたのだ。
闘技場は街の中心部に建てられていた。
だが本来ブレイドダンスは神楽の一種であり精霊を愉しませるものであるのだが
精霊は人間が多いところを好み、そして人間はブレイドダンスを最高の歓楽と
していることからお互い持ちつ持たれつなのである。
耳を劈くような歓声と甲高い剣劇の音。
既に二十人ほどの参加者が鎬を削っていた。
彼女達はクレア・ルージュを探している時にレオノーラが祭壇に祀られている石柱を見つけた。
「あれが今回の優勝賞品ですか・・・。」
「【大きいですね。】」
『メイルストローム』もそれを見て感想を言うとカミトがクレア・ルージュを
見つけた。
「いたぞ!やっぱり出場してた!!」
それを見て全員目を疑った。
クレア・ルージュが傷だらけだったのだ。
全身を殴打され、壁に叩きつけられながらも何度も立ち向かっていたが正直見るに
堪えない光景であった。
するとエリスがクレア・ルージュと対峙している人達を見た。
「彼女達は!」
「知っているのか!?」
カミトはエリスが見覚えがある人間だったので聞いてみた。
「ああ、彼女達は学院の上級生だったが一か月前にクレア・ルージュに叩き潰されていたんだ。そのことでよく文句を言っているのを聞いた生徒が何人もいるんだ。」
「・・・それって単なる負け惜しみでは?」
エリスの説明にレオノーラは呆れながら答えると彼女達二人が使役している
〈金剛精霊〉と〈魔境精霊〉がいたがクレア・ルージュが小さな炎で〈金剛精霊〉に
攻撃した。
「あんなもので何とか出来るわけねえぞ!!」
「恐らく精霊がいなくて十分な神威が供給されていないんです!!」
カミトとレオノーラがクレア・ルージュの攻撃に意見していると〈金剛精霊〉が青く輝きながら突進して来てクレア・ルージュの腹部を殴った。
「「「クレア!!」」」
カミト、レオノーラ、エリスが大声でクレア・ルージュを呼んだ。
「がああ・・・。」
クレア・ルージュの口からくぐもった悲鳴が聞こえた。
急所を狙っていなかったのだ。
「生意気なのよあんた。カラミティ・クイーンの妹の癖に粋がっちゃって。」
「本当よねぇ。契約精霊もいないくせにwwww.」
二人がそう言うとクレア・ルージュがまた立ち上がるのを見てこう言った。
「さっさと降参しなさいよ!!反逆者の妹が!!」
「今なら土下座をして靴を舐めて『私は愚かなカラミティ・クイーンの妹で
ゴメンナサイ。」って言えば許してあげるわよwwww.」
その言葉を聞いた瞬間クレア・ルージュのナニカがキレる音がした。
クレア・ルージュは左手に神威を集中させると少女から与えられた精霊刻印が黒く
光るとクレア・ルージュの手から黒い炎が現われた。
そして黒い炎が〈金剛精霊〉を飲み込んだ瞬間その〈金剛精霊〉の体にナニカがいることに気づいた。
「何よ・・・あの精霊は?」
上級生の一人がそう言うとそれは姿を現した。
揺らめく漆黒の炎を纏った魔獣。
今のクレア・ルージュと同じく狂気に溢れた炎であった。
「お望みの物を見せてあげるわ!!これが私の本当の力・・・
〈ゲシュペンスト〉よ!!」
するとクレア・ルージュは鞭を地面に叩いてそれにこう命令した。
「さあ〈ゲシュペンスト〉!!狩りの時間よ!!」
グオルオオオオオオオン!!
身の毛もよだつような咆哮が闘技場の空気を狂気で支配した。
狂気は伝染する。
心を蝕んで奥へ奥へと・・・。