「・・・死ね。」
周りには大量の血が飛び散っていた。
「--なんで俺を家事労働として雇うんだ?」
現在カミトはずっと切っていない髪の毛の内前髪を切りそろえ後ろのほうの髪は櫛で整えられていた。
「坊やが私より強かったらな。だがお前には必然的に欠けている・・・いや忘れてしまったものがある。それを思い出すためにな。」
「だからって・・・これはないだろ?」
目の前にある大きな立て鑑を見るとそこにいたのはカミトではなくヒラヒラのロングスカートを身に着けた女の子のメイドだった。
「全く空恐ろしい程に似合っているなお前、その恰好で帝都を歩けば間違いなく男に声をかけられるだろうな。」
「(序にそういう趣味の奴に攫われそうだな。)」
グレイワースはカミトの見た目を見て感想を述べたところシラヌイはその格好だと幼女趣味な奴に攫われるんじゃねと冗談交じりで言った。
「僕は男だ、そんな趣味ないし。それにシラヌイそんな奴いても僕がやられるとでも思うか?」
「(確かにな。そんな命知らずいるまい。)」
カミトの強さはシラヌイが見続けているからわかっている。
そうするとグレイワースがこう言った。
「おいなんの話だ。私には聞こえないぞ?」
「ああーそうか忘れてた。シラヌイは僕と特殊な方法で会話してるんだ。しかも今のところ出来るのは僕だけだ。」
「ほーそれは更に興味がわくな。精霊だはないのに上位の精霊と同じく言葉を交わせるとは。」
カミトはシラヌイとコミュニケーションをとっていると聞くとグレイワースは更に興味がわいた。
「それとその格好だが確かに悪戯心は多少あるがそれだけではない。」
「どういうことだ?」
グレイワースはカミトにその服装の意味を言った。
「私の客人の中には感応力の高い姫巫女がたまに来ることがあってな。もしばれれば帝国の精霊騎士団。下手すれば〈十二騎将〉がこぞってやってくる。それに片や坊やは未登録の精霊使い、もう片方は精霊と呼べるかどうかわからない未知の存在。さらに厄介ごととして世界中が敵になる。さて反論あるか?」
流石にシラヌイだけでは間違いなくばれるだろう。
それに世界中を敵にすればいくらカミトでも太刀打ちできない。
「何、永遠にこの屋敷に閉じ込めるという訳ではない。少し良い考えがあってな、それまではこの屋敷でおとなしくしてもらう。さてとそろそろ案内しよう。」
「・・わかった。」
カミトはグレイワースに導かれるまま部屋を案内された。
そして屋敷の屋内から屋外に行こうとしたときカミトはこう聞いた。
「なあ聞いていいかグレイワース?」
「何だ?」
「昨日屋敷に忍び込んだ時思ったんだが何で使用人がいないんだ?」
「ああそれはーーーすぐにわかる。」
グレイワースがそういった瞬間廊下の窓が砕け散った。
「・・・っ。」
カミトは腰に差しているシラヌイの刀を抜くとそこには湾曲した短剣を持った黒ずくめの2人組がいたが1人が気づく前に相手の首の頸動脈を切り裂いた後もう1人がそれに気づくもその姿に膠着した。
何せメイドの格好をした少女が相方を殺したのだから。
そしてもう1人は刀の柄で鳩尾に一撃を与え失神させたのだ。
グレイワースはその光景を冷静に観察していた。
「1人殺したのになぜもう1人は殺さなかった?」
「こいつらの雇い主を見つけるためだ。・・・それにしてもこういう連中が来るから誰もいないのか?」
「私はいろんな連中に恨まれていてね。帝国の内外を問わず敵だらけだ。こいつらの掃除もお前の仕事だがお前今の剣技は例の暗殺者養成機関で学んだ奴か?」
グレイワースが聞くとカミトはこういった。
「僕はこれしか知らない。」
グレイワースは軍部とも繋がりがあるためそういう事情も知っている。
「ま、私はお前の素性に興味はないがその剣技では剣舞に向いてない。」
「剣舞?」
剣舞とは精霊使いが精霊に奉納する儀式の中で最も格式が高いのである。
「坊や強くなりたいと思ったことはないか?」
「グレイワースはカミトに尋ねるとカミトはこういった。
「僕はそう思ったことがない。」
カミトはそういうとグレイワースは憐れむような眼でこう言った。
「お前の強さはこの大陸にいる暗殺者の誰よりも強いが・・・誰よりも弱い。」
「なんだそれ?」
「(頓智か?)」
カミトとシラヌイはお互いにグレイワースが何を言っているのかわからなかった。
「その前にそいつの本体の所に連れてってやろう。」
「!!シラヌイの所に連れてってくれるのか?」
「こっちだ。」
グレイワースはカミトと一緒に外に出ると少し歩いたところにシラヌイの本体が木の葉っぱの中に隠れさせていた。
「何せお前を出すので精一杯だからな。ここに置いていたのだ。そこの大きな小屋が私の研究室だ。そこまでそいつを持ってこさせろ。」
グレイワースはカミトにそう命令するとカミトはシラヌイの本体を起動させた。
そしてグレイワースを持ち上げた後その小屋に向かった。
「(坊やに言ったあの言葉の意味は近々その身をもってわからせよう。)」
彼女は何かを思いついたように微笑んだ。
強くそして弱い。
それは外見ではわからない。