カミトは凍り付いた顔でレスティアを見て立ち尽くしていた。
「まさか・・・そん、な事って・・・レス・・・ティア?」
カミトは掠れた声でそう聞くとレスティアは微笑んでこう答えた。
「三年ぶりね、カミト。見ない間に背が伸びたわね。」
「!!!」
カミトはその声に間違いないと悟り泣きそうになると『シラヌイ』がレスティアに
こう聞いた。
「(久しぶりだな。レスティア・・・といいたいところだがカミト、分かるか?
あいつのあの表情?)」
『シラヌイ』がそう聞くとカミトは涙を拭ってこう答えた。
「ああ分かってる。あいつはレスティアだけど・・・何か違う。」すると
レスティアは持っていた黒い塊を祭壇の柱に向かって放った。
「カミト、逢いたかったけど次の機会にまた会いましょう。・・・
あの子が起きるから。」
レスティアがそう言うと突如闘技場が烈しく揺れた。
「な、何です!これは!?」
レオノーラがそれに驚くと・・・石柱に大きな罅が入ると裂け目から巨大な人型の
手が見えた。
「まさかあいつもか!!」
「(おい、カミト!!レスティアが!!)」
『シラヌイ』がそう言うとレスティアは黒い霧となって消えた。
「レスティア・・・レスティアーー!!」
カミトはレスティアに手を伸ばすも叶わなかった。
「レスティア・・・どうして・・・?」
「(おいカミト!!)」
カミトが茫然として意気消沈している中頭上に巨人精霊〈グシャラボラス〉が壊した石柱が堕ちてくるのに『シラヌイ』が警告した。
然しそれすらもカミトは聞いていなかった。
そしてそのまま瓦礫が堕ちてくる・・・寸前に何者かがカミトを助けた。
「大丈夫ですか!カミト!!」
「・・・レオノーラ。」
『メイルストローム』を身に纏ったレオノーラがカミトを救ったのだ。
そして二人は闘技場の対戦場から離れた。
そこには気絶したクレア・ルージュとエリスがいた。
するとレオノーラがカミトにこう聞いた。
「カミト、・・・彼女は一体?」
するとカミトは消え入りそうな声でこう答えた。
「俺の・・・契約精霊・・・だった。」
「精霊・・・まさか彼女も?」
レオノーラはそれはエストやグリムゲルデと同じ上位精霊だと分かると同時に
カミトの資質の高さに驚いていた。
それはエリスも同じだ。
これ迄二体なら未だしも三体も契約する人間など「魔王スライマン」以外
いなかったのだ。
「・・・俺のせいなんだ・・・俺のせいで・・・おれの・・・。」
「(今そんなことで落ち込んでいる場合か!!)」
『シラヌイ』がカミトを叱りつける様に言うと対戦場にいた「グシャラボラス」が
解き放たれた。
全長は十数メートルあり解き放たれたことによる咆哮一発で観客席の半分
(観客は全員避難済み)が壁ごと吹き飛んだ。
そして「グシャラボラス」が闘技場の壁に手をかけて出ようとした。
それですらも地鳴りが起きる程であった。
あのまま行けば町がどうなるか分かったものではなかった。
「(あいつが街に行けば大勢の人間が死ぬ!学院や騎士どもでも対処できるか
わからねえ!!俺達が戦わなきゃ間接的とはいえレスティアが殺したことになっても
良いのかよ!?)」
「!!」
カミトは『シラヌイ』の言葉を聞いて目を開くとカミトは『シラヌイ』にこう
聞いた。
「じゃ・・・どうすりゃいいんだ?『シラヌイ』?」
カミトがそう聞くと『シラヌイ』はこう答えた。
「(俺達がやることは一つだろ?カミト。)」
「・・・ああ。」
するとカミトはレオノーラにこう聞いた。
「レオノーラ、サポートを頼む。」
「はい!」
レオノーラが『メイルストローム』を起動させるとエリスがこう言った。
「わ、私も!?」
「エリスは外の人達を頼む。今必要なのはお前個人の力じゃなくて騎士団としての・・・皆を守るための力を使ってくれ。」
「カミト・・・レオノーラ。」
エリスは少し考えた後〈シムルグ〉を出して空にへと昇った。
「必ず援軍を送る!!それまで持ちこたえてくれ!!」
それを見届けた後カミトはエストを鞘に納めると『シラヌイ』のソード・デバイスを抜いた。
「俺がやるべきこと・・・。」
「(お前がやるべきこと・・・」
「それは!!(それは!!)」
そしてカミトはこう詠唱した。
「運命よ。我は呪い、その座を引きずり降ろし、わが手で未来を作る。
(シラヌイ)」
カミトは『シラヌイ』を纏うと二人は自身が持つ願いを天高らかに誓った。
「あいつを・・・レスティアを・・・正気に戻(す!!)して見せる!!」
そしてカミトとレオノーラは「グシャラボラス」に立ち向かうため・・・
走り出した。
あと少しで1巻が終わる。