姫少女現る!
「(カミト、起きろ。朝だぞ。)」
「ふぁああ・・・。」
アレイシア精霊学院から少し離れた元療養所改め機竜格納庫兼住居の一部屋で
カミトは目覚めた。
一人で暮らすには広すぎる部屋であるが元々複数人が止まる部屋であるのでこう言う部屋である。
するとカミトはベッドのシーツを見ると何やら膨らんでいるためはぁと溜息交じりでシーツを剥ぐとそこにいたのは・・・。
「あ、おはようございます、カミト」
銀髪の裸ニーソの剣精霊「エスト」が入っていた。
然しカミトはまたかと思うとエストにこう言った。
「あのなあ、いい加減ベッドに入るのはやめてくれよ。隣にあるので寝てくれよ。」
そう言うもエストはこう返した。
「いいえ、カミト、私は貴方の剣です」
だから入りますと不満な口調で言うも・・・。
「(こりゃずっと平行線だな。)」
何故『シラヌイ』がカミトを起こすのかと言うとエストが毎日入る為その前に
監視として起こすように頼まれたのだ。
おれはモーニングコールじゃあねえぞと思っていたが律義にこなしていた。
『シラヌイ』はそう思いながら今日行われるあれを思い出した。
「(今日はチーム対抗戦だなあ。)」
朝靄が晴れて講義開始の鐘の音が鳴っている中一台の馬車が現われた。
それにはスーツ姿の老執事が御者として動かしていた。
そして老執事が馬車から降りると恭しい態度で馬車の扉を開けた。
「到着しましてございます。フィアナ様。」
「ご苦労様です、爺や。」
馬車から降りてきたのはカミトと同い年ぐらいの黒髪の少女であった。
艶やかな髪と意志の強さを感じる瞳、透き通った処女雪と思うような白い肌と
胸の谷間を露出させた黒いドレスのような制服を着ていた。
少女が馬車から降りて学園を見ていると老執事がフィアナにこう忠告した。
「十分に気を付けて下さい、フィアナ様。下手な小細工はダスク・ウイッチの目を
誤魔化せられませんぞ。」
それを聞いたフィアナは制服の袖に仕込んでいる帝国でも高価な精霊鉱石を
そっと握りしめながらこう返した。
「大丈夫よ、爺や。それとあのルビア・・・・。」
「姫様、その名前は口に出さない方がよろしいですぞ。」
フィアナが言いかけると老執事がそれを止めた。
「《全く爺やもあの噂を信じてるのかしら。》」
フィアナが言いかけたのはカラミティ・クイーンこと「ルビア・エルステイン」の
名前であるがその名前は忌み名として疎まれ、その名前を呟くだけで清らかな乙女の
聖性が汚れるという迷信が蔓延っているのだがフィアナの場合は強ちそうでは
なかった。
「《ま、近くでいた私がこのざまだと強ちそうだと思ってしまうわね。》」
そしてコホンと咳払いした後今度はある人間の名前を出した。
「そう言えば、『カゼハヤ・カミト』と言う男の精霊使いについてだけど・・・。」
「は、何でも目撃者によればかの最強の剣舞姫「レン・アッシュベル」を彷彿とされるらしいですがまさか姫さま、その少年に懸想されているのでは?」
老執事がそう聞くとフィアナはあっけカランにこう返した。
「それは無いわよ、爺や。私は純粋に興味があるだけよ。」
笑い乍ら言うので老執事も納得するもフィアナは心の中でこう謝罪した。
「《ごめんね爺や。それにしてもあの時の彼が今どうなっているのか知りたいし
もしかしたら・・・》」
するとフィアナはある事を思い出していた。
自分と同じく助けてもらった女性の事を・・・。
「面白い物が見れるかもね。」
そう小悪魔のような笑みを浮かべながら学院にへと向かっていった。
そして少女は学院にへと入る。