その後クレア・ルージュとリンスレットは不機嫌な表情でパンを食べていた。
暫くは観察していたが流石にこのままでは食事が喉に通らないことになりそう
(エストは無心でメロンパンを食べていた。)なのでレオノーラが話題を作る為にある情報を公開した。
「そう言えばレイブン教室に新しく編入生が来るそうですよ。」
それを聞いたカミトがこう言った。
「おいおい、俺が入ったのって数週間前だぞ?どういう身分の人間だよ?」
するとレオノーラは恐らくと考えてこう言った。
「高貴な身分で然もこの時期にも関わらず編入出来るとなると・・・三大貴族の紹介ではないかと思われますね。」
「!!」
レオノーラの言葉にクレア・ルージュはキッと表情を荒らげかけた。
彼女の本来の家、「エルステイン家」は元々帝国建国以来の大貴族で
ファーレンガルト、ローレンフロスト、ケルザノスと同等であったのだが
ルビア・エルステインによって全てを失ったことでエルステイン家の名はなくなった
のだ。
カミトはクレア・ルージュの表情を見てヤバいと思ったのか話の一部を変えることにした。
「そういやどんな精霊使いなんだ?そいつの使う契約精霊は?」
レオノーラは噂ですがと言ってこう返した。
「午前中に行われた実技での編入試験ではどうやら〈聖精霊〉だそうですよ。」
「〈聖精霊〉って・・・またじゃじゃ馬な精霊を使う奴だな。」
〈聖精霊〉は五大精霊の一角であるのだが気位が高くて自分で使い手を選び、それも特に清らかで高潔な乙女にしか心を開かないという事であまり使役する人間がいない
のである意味魔精霊と同じタイプである。
「(そういや・・・カミト、あいつも聖精霊使いじゃなかったか?)」
「《ああ・・・三年前は苦戦したなあ。》」
カミトと『シラヌイ』が遠い目をするように呟いている中レオノーラは何のかと
思いながらクリームパンを食べていた。
暫くしてバケットのパンが空になるとクレア・ルージュがはーと溜息つきながら
こう言った。
「どっかいないかしらね?カミトくらいの精霊使いは・・・?」
「それは流石に・・・都合よくいませんわね。」
クレア・ルージュとリンスレットが溜息つくとチャンスとばかりにカミトと
レオノーラが目を図らせてこう切り出した。
「それなら未だチームが出来上がっていないところというのはどうです!?」
「いちいち集めるより手っ取り早いぞ!?」
レオノーラとカミトがここぞとばかりにアピールするとクレア・ルージュと
リンスレットは暫く考えてお互いこう聞いた。
「ねえ、(クレア)リンスレット、私達のチームに入らない(りません)?」
お互い同時に然も真逆な事を言っているためなにやらビシッと音が鳴ると
クレア・ルージュとリンスレットが大声でこう言いあいした。
「何言ってんの!?あんたが私のチームに入るのよ!」
「何言ってるんですの!?貴方達が私のチームに入るんですのよ!!」
ガルルルルと顔を近づけさせながらにらみ合う二人を見てカミトとレオノーラはお互い顔を合わせてこう言った。
「こりゃ駄目だ。チームに入るなんて絶対無理だ。」
「やはり地道にですねえ。」
「「・・・はーー・・・。」」
お互い諦めの溜息をつきながらコーヒーを啜っていると後ろから声が聞こえた。
「全く、君たちは静かに出来ないのか?ここは公共の場だぞ!」
その声を聴いて全員がその声の主がいる方向を見てクレア・ルージュと
リンスレットは嫌な顔で、カミトとレオノーラはアアといった表情でこう言った。
「「「「エリス!」」」」
軽甲冑を身に纏ったエリスがカフェの入り口にいた。
次はエリスとの会話です。