「あ、カミトさん。その内容間違ってますよ。」
「え?ありがとうな、レオノーラ。」
「どういたしまして。」
カミト達は試合の後勉強をしていた。
マギアルカ曰く「何事も文武両道。機竜以外、精霊についてもカミトは学ばなければいかんとグレイワースから言われておるから最悪単位を落とすような真似は
するなよ。」だそうだ。
そう言う事で体系的な精霊学が苦手なカミトと・・・騎士団と本の全てを覚えようとするエリスの勉強にレオノーラとフィアナが教えていた。
因みに今勉強しているのは機竜側では「三大機竜奥義の特性」、精霊側は
「呪装刻印における危険性」をフレイヤとマギアルカの代わりに(本人は商業で不在)アルマがそれぞれ教えていた。
前半は「三大機竜奥義」の種類とメリット、デメリットを教えていた。
フレイヤもそれについて勉強机で聞いていたがそれを作った人間(噂だが)の年齢と功績に驚いていた。
「一説では三大機竜奥義を作ったのは若干十二歳の皇族だったって言う噂が有ったが本当かどうかは定かじゃねえが唯一分かるのはこれを使った人間は1200機の機竜を一人で倒し皇国を滅ぼした『黒き英雄』ではないかと言う噂もある。」
それを聞いたとき全員が驚愕していた。
たった一人で精霊使い1200人と渡り合うような物だと思っているからだ。
「〈それって下手すりゃグレイワースと同等・・・いやそれ以上って事だろう。とんでもないぞおい。〉」
「『クイック・ドロウ』か、これにシムルグの力を足せば。」
「『リコイル・バースト』。下手すれば自殺行為しかないわね。」
「『エンド・アクション』。これを極めればルビア様の攻撃も。」
それぞれ三大機竜奥義を意見した後入れ替わってフレイヤが授業を行った。
「ーーつまり、場合によっては、契約精霊の消滅に至る。ここの生徒だけではなく
学院生徒はそのようなものに手を出す愚か者がいないと思いたい。」
「ランパール戦争の際には中には無理やりだが呪装刻印を移植された者がいたが・・・エリス、そのほとんどはどうなったかを答えろ。」
「はい、契約精霊が暴走し、死に至ったことさえあると聞いています。」
「そうだ。適合率は僅か一割弱。その危険性は証明されるも未だに非合法の研究が
続けられている。」
「・・・なんだか今日の授業は結構呪装刻推しだな。」
カミトはレオノーラにそう聞くと隣にいたエリスがこう返した。
「実は今朝、騎士団に通達が来て最近学院都市で呪装刻印を違法に売買している輩がいるらしく、ブレイドダンス直前という事もあって注意喚起を呼び掛けている
そうだ。」
特に成績が伸び悩んで連中を標的にしてなと言うと『シラヌイ』がその言葉にカミトに対してこう返した。
「(要は自身がねえってことだろ。そう言う連中をターゲットにして金を
手に入れる。精霊の森で密漁したり封印精霊の横流しするよりか低リスクでハイリターンだもんな。こう言うお嬢様学校は格好の標的だもんな。)」
『シラヌイ』の言葉を聞いた後カミトはエリスの方に向き直すとエリスはペンを強く握りしめてこう言った。
「私は騎士として、なにより一人の精霊使いとして呪装刻印を売買して学院を
蝕むような連中を決して許さない。」
それを見た後カミトはエリスにこう聞いた。
「もう騎士団はそう言う奴は捕まえたのか?」
「いや、先日の襲撃事件以来深刻な人手不足に陥っているのだ。マギアルカ殿の
紹介で来てくれたギルゾレイクファミリーが空いた穴を埋めているもののやはり
他人まかせという訳にはな。」
そう言いながらエリスは窓際で座っているアルマの方を見ていた。
この人間はいつも眼深な帽子を付け、全員から一歩離れた所にいることが殆んどだがその実力は一級品である。
彼には劣るがそれでも腕っぷしの強いドラグナイト(女性だけ)を回してくれる辺り義理堅いという事である。
「そういやチームメイトはどうだ?」
「ああ、二人とも体が動かせるほどぐらいには回復している。何から何まで
ギルゾレイクファミリーには世話にかけっぱなしだよ。そちらは?」
「ああ・・・クレアとリンスレットは未だ退院出来てなくてな。特にクレアはあの後から抜け殻みたいにボーっとしていることが多くってな。見舞いにっても反応が
ないよ。」
カミトはいつもは勝気であったクレアの顔が最早幽体離脱したかのように無反応になっている所を思い出していた。
いつもツーテールにしていた髪は何もつけず、まるで病弱な少女のような印章で
あった。
「だが君たちのおかげで私達は学院に戻ってきたわけだから・・・私は・・・
君個人に・・・礼をしたいのだが・・・今日は昼の祝勝会の後空いているか?」
エリスはもじもじとしながらそう聞くとカミトは予定を思い出していた。
「ああ、何もないけど何だ?」
「いやその・・・五時に中央講堂の前で待ってくれないか?そこで言う。」
「おお・・・分かった。」
カミトがそう言った後エリスはうんうんと頷きながらも教本の下に顔を隠すと・・・。
「痛てててててて!何すんだよレオノーラ!」
「・・・知りません。」
隣で聞いていたレオノーラがカミトの手を抓っていたのであった。
その後剥れっ面でフレイヤ先生の方に目線を戻した。
「〈一体何なんだよ?〉」
「(この唐変木が。)」
カミトの心の言葉に『シラヌイ』は呆れながらそう言った。
・・・お前態とだろ?