はやくぼくに動くイナサをみせてぇん!
まずい…
「めんどくせぇ…!」
左からのナイフを避ける。その先にいたキラに触れられないように空中へ。後ろでワープゲートが開く。距離を取る。
防戦一方だ。攻撃に転じたいが、ワープゲートがいつどこで開くのか掴めない。が、モヤモブの弱点はわかってる。
真っ先に攻撃するならあいつだが、いかんせん、近づけない。
仮面が後ろから接近。そのままそいつを飛び越えるように爆破を起こす。
とりあえずこいつとキラークイーンには触れられちゃいけねえ
「今いくぞぉ!!!」
オールマイトがものすごいスピードでこちらに向かう…が、
「させないさ。」
スーツの敵の指先から黒い筋が伸びてオールマイトをはるか後方のビルへ投げ飛ばす。
あいつが邪魔でオールマイトがこちらに来れない。
いや、
俺がいるからオールマイトが本気をだせねぇ…!
「クソッ」
────BOOOOM
空中で軌道を変えて、ナイフと鉄球をやり過ごす。鉄球が爆発することは読めている、さらに遠くへ…
「ラチがあかねぇ…」
「諦めればいいのに」
右からはキラークイーン。左はイカレ女。
この2人は妙に連携が取れているように感じた。合図を出さずとも爆破のタイミングを分かっていて、なおかつキラークイーンのリロードのタイミングと合わせてイカレ女が距離を詰める。
頬をナイフが掠む。
血が流れ出るのを感じる。
「いい顔になりましたね!お兄さん!」
血が出た途端、イカレ女が喋りやがった。
…マジでイカレてやがる。
間を置かずに鉄球が打ち込まれるが、また空中に逃げる。
いま、俺が逃げきれている理由は3つ。
1つは、キラークイーンの爆発が弱くなってる。
これはクソカス連合が動き回ってて爆発に巻き込まない為だろう。
2つ、キラークイーンの攻撃タイミングとズレて近接、ゲートが開く。
爆風がゲート内にはいることを防ぐ為と、てめぇの安全のためだ。
3つ目、俺がスロースターターな『個性』だということ。さっきのキラークイーンとの戦闘に比べて、だいぶ汗をかいてる。
問題は爆破限度。まだ、その心配はする必要ねぇが、時間が経てば考えなきゃなんねぇ。
「ッ」
ゲートが開く。そこからキラークイーンの手が伸びてきた。右へ…よけられない。ナイフが飛んてきてる。さらに上空へ逃げる。
仮面が真下に移動した。問題ねぇ。そのままさらに上空へ逃げる。
ゲートが開く音が上からした。予測していたゲートの展開範囲がさらに伸びた。
「クソがッ……ッ?!」
上を見る。
ゲートが口を開いている。そこじゃない。
ゲートから出てきたものだ。
いくら、もうアイツを妹とは見てないとはいえ、身体が固まった。
認めたくはないが、心のどこかでまたアイツを妹としてみてる自分がいたんだろう。
危険信号が脳から馬鹿みてぇになってるのに、それを見続けてしまった。
────また泣いてんかよ、キラ
それは、小学校のときにアイツに買ってやったもの。
────これやるから、泣くな!
少ない小遣い貯めて買った。アイツへのたった1つのプレゼント。
────ありがと。お兄ちゃん
なんの変哲もないおもちゃの首飾りがゲートから落ちて、俺の目前に…
────ダガンッ!!!
上空へ逃げたことが失敗だった。
ここまで上空にいけばキラークイーンも爆発の威力を抑える必要も無い。
上半身がモロに爆破に巻き込まれた。
それでも、落ちていく中、俺の目は捉えていた。
そのネックレスが完全に灰にされていく
まるで、
まるで本当に兄妹の縁が切れたような
そんな気がした。
────────
────取った
わたしはヒーローの眼前に爆破を起こして、撃墜される姿を見てわたしはおもった。
わたしが今まであのネックレスを身につけていたのはこういう時のためだ。
万が一、億が一に家族にあってしまった場合にアレをぶっこわして「もう関わらないでください」というメッセージを送るためだったけど、
こういう使い方もアリだ。
兄にもうこれは要らないと。精神にも訴えかける使い方だ。
わたしは既にアイツを兄として見ていない。
「────がァッ!」
地面に落ちてきたヒーローから声が漏れる。いくらアレのタフネスでも耐えられるとは思えない。
…動かない。
か、もちろん油断はしない。
「キラークイーン。」
「わかりましたよ、死柄木弔」
地面に落ちてから身動き一つしないヒーローの安否を確かめるよう、死柄木弔が顎でわたしをつかった。
普段ならそのことにすこし腹が立つわたしだがいまはそんなこと知ったことじゃなかった。
一応、鉄球を爆弾に変えて近くの瓦礫の山に埋もれさせておく。
いつでも起爆して、瓦礫の壁を作れる、この場合は爆風で瓦礫を吹き飛ばすが正しいか?の用意をする。
「────」
1歩ずつ、ヒーローに近づく。
と同時に呼吸をしているか、指先は動いているか、1つずつ、確認していく。
僅かだが…指先が動いている
まだ、このヒーローは諦めていない。
「動いてますよ」
「…黒霧、そいつを回収。」
このときすこし我々は油断をしていた。いや、油断といえるか分からないが、立ち位置が変わった。
────
…ッ?!
立ち上がるヒーロー。
黒霧はいそいで、ゲートをヒーローの背後に展開する。
わたしは距離を取って先ほどの鉄球を起爆。
瓦礫が吹き飛び、わたしの盾のように、そこら中に舞う。
先程もいったが、わたし達の立ち位置が悪かった。
わたしと黒霧はヒーローから見て、同一の直線上にいた。
────
あの構えは見たことがない。
自分の掌に、もう片方の手で輪をつくりあてがっている。
…なにする気だ?
どんな爆発であれ範囲攻撃だ。
無数の瓦礫が飛び交っている今、爆風はわたし達に届く頃には軽減されている。
いや、ちがう…アレは…
────
気づくのが遅かった。
APとはArmor Piercingの略になる。
簡単に言ってしまえば、これは
「うぐっ!?」
「キラークイ…くっ!」
貫く爆発。
わたしの瓦礫の壁を貫きわたしにダメージを与えるどころかその後ろにいた黒霧の実体部分にまで爆発を与えやがった。
そして…
その絶好のチャンスを逃すヒーローはいない
後方でコンクリートの壁が割れる音がした。
────────
ずっと機会を伺っていた。
僕達は戦闘が許されない。でも、かっちゃんをどうにかして逃がさなければ、オールマイトも全力で戦えず、ただただ時間が過ぎていくだけ。
そしてそれはオールマイトの弱体化に繋がる。
ましてや報道陣が来てしまったら僕達は本格的に動けなくなってしまう。
「くっ…爆豪くん頑張ってくれっ…」
飯田くん達にはすでに作戦は伝えてあった。
単純な作戦で、手の届かない高さで戦場を横断して、かっちゃん自身にこちらに捕まってもらう作戦。
でも、遠距離攻撃のできる。キラちゃんとワープの存在がそれを不可能にしている。
今にでも飛び出しそうな心臓と自分を抑えてじっと待つ。
この時間が1番、自分の無力さを実感した。
「…っ、緑谷さん!私もう我慢できませんわ…!」
「俺もだ…ヒーローがこんなとこにいていいわけねぇだろ…!」
切島くんと八百万さんは限界が近い。
轟くんと飯田くんはまだ冷静をたもててはいるけど、それも時間の問題。
僕だって、かっちゃんが敵に攻撃される度に、右手に力が無意識に入る。
それでも僕は…
「…大丈夫だよ。」
「…何が大丈夫なんだよ緑谷!ダチがいまボコボコに…」
「大丈夫」
それでも僕は…
────いちばんすげぇヒーローは、最後に必ず勝つんだぜ
かっちゃんを信じた。
瞬間、かっちゃんの新技が炸裂。
問題点だった、キラちゃんとワープを吹き飛ばした。
これは、偶然だ。
だけど、もし、神様がいるとして運命を操作しているなら。
「行くよ!みんな!」
ありがとう。それしかいう言葉が見つからない。
ことあるごとに頭の中で
めいくまいすとーりぃぃいいいいい↑↑
ってながれる現象になってるのは私だけ?