ヴィラン名『キラークイーン』   作:尺骨茎状突起

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主人公のオリジンです


原点 -オリジン-

 

「弔くんは?」

「…まだちょっとショックみてぇだ。」

 

3日はたっただろうか。あれから(ヴィラン)連合はすこしだけ変わった。

 

あのあと、弔くんの先生のおかげであの場から離れることが出来た私たちはすぐにパソコンを立ち上げ、神野の中継を見た。

 

もちろん今私の前にいる荼毘などは、あのとき気絶していたし、実際の経緯を最後まで見たのは私と弔くん、黒霧さんときらちゃんだ。

 

あの先生。オールマイトを平伏せ、エンデヴァーやエッジショットなどといったメンツが援軍に来たとしても軽くあしらっていた。

もしかしたら────という私の考えは甘かったのはすぐにわかった。

最後の最後に油断したのかオールマイトから地を揺るがす威力のカウンターをもらって、伸びている姿を見たからだ。

 

見ただけじゃ『個性』が分からなかった私は弔くんに「先生」は一体どういう人物なのか問い詰めたが答えてはくれなかった。

それどころかあれ以来いつも付けていた「手」を抱き寄せ、情緒が不安定だ。

 

そして、もうひとり、情緒が不安定なひとがいる。

 

「そっちこそ、キラークイーンは?」

「えーっと…きらちゃんね。またいっちゃった」

「…はぁ、アイツももう顔割れてるのにあんま派手なことはしないでもらいたいモンだ。」

 

きらちゃんも、あれ以降どこかおかしい。本人は「大丈夫」の一点張りだけど付き合いの浅い私たちでも、いや、初対面の人でさえあれは「大丈夫」ではないことはわかると思う。

 

ともかく、きらちゃんはことある事に、まるでタバコでも吸いに行くかのようなタイミングで人を殺しにいく。

それを知ったスピナーやトゥワイスは驚いてたけど、私と荼毘は他の人より早く連合に入っていたこともあって、きらちゃんの『(さが)』については多少なりとも黒霧さんから知らされている。

 

と、そこで扉が開く。

 

「────ただいま」

「きらちゃん!!あんまし無理しちゃだめだよ!」

 

フードを上げながら入口の扉を開くきらちゃんに私は詰め寄る。

 

「ごめんね。トガちゃん。あと荼毘も迷惑かけるね」

 

顔色は…うん。少しだけど良くなっている。

 

「…やっぱりなにがあったか教えてくれないの?」

「…もうちょっと待って。もう少しで気持ちの整理がつくから。」

「何でもいいが、捕まるなよ。お前は俺達の中でもトップクラスに強いんだ。いなくなったら困る」

「ん。」

 

そういい、きらちゃんはすぐに退室。

 

前と比べてきらちゃんの顔色は大分良くなってきている。

「もう少し」なのは本当のことだろうね。

 

それと荼毘も素直じゃないなぁ。心配なら心配といえばいいのに。

 

「…もう少しだってね」

「あぁ、死柄木の方もそう言ってた。覚悟はするからもう少し待てだと。」

 

弔くんときらちゃんは私が見る限り、実力はあれど、先生から自立できているかどうかと聞かれるとあの2人は共にまだ先生に頼っている節がある思う。

 

きらちゃんだってそうだ。私には先生が「嫌い」というが、彼女の行動の全てにおけることが、「先生の命令」であること、先生から言われて動くようになってることを恐らく気づいていない。身体が覚えてしまっているやつだ。

 

まぁ、気づいたら発狂しそうで怖いけど。

 

それが「もう少し」で、自立するみたいだ。

きらちゃんのお兄さん。生徒にしてはかなり強かった。アレは自立しているけどまだ、方向性が定まっていないね。

きらちゃんは逆。何をどうしたいかは多分頭の中に入ってるけど「先生」が邪魔してる。いや、してたでいいかな?

 

「おい、イカレ野郎」

「なんですか?」

「…あいつ、買い物袋ぶら下げてたよな?」

「…え?」

 

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

「…我々警察も『(ヴィラン)受け取り係』たどと言われている場合じゃない。改革が必要だ。」

 

俺ら警察のトップはいざんの神野の1件の被害そして、影響について話し合っていた。

 

オールマイト1人に『平和の象徴』という国民の拠り所をまかせていたツケがまわってきた。

いまや国民はオールマイトの勝利に歓喜しているが、これがオールマイトの引退を知ったら暴落する可能性もある。

 

それに。彼女、キラークイーンが爆豪姫砢だということがわかったおかげで、せいでとも言いたいが、『失踪事件』として取り扱っていた事件が『殺人事件』だった可能性もいなめなくなる。

 

「…ハァ…」

「会議中にため息を吐かないでくれ。気持ちはわかるが。」

「まぁ、だれでもこうなりますよ。彼女が起こした殺人が

 

 

 

 

 

130人超えているかも知れませんしね。」

 

 

 

 

 

彼女の『()()』を境に失踪事件は増え、彼女自身もまた『失踪』していたから()()()として扱い、なにも警戒していなかった。

 

そこで、今回の騒動。彼女の『個性』を鑑みて、彼女が失踪した()()()、残りを殺害され彼女によって抹消された被害者と考えることになった。

 

彼女を加害者と仮定した場合に、その数々の失踪の謎は解ける。その件数が総数133件。

 

「なにより、爆豪家にどう伝えるかですね。」

「既に兄が親に伝えている可能性もありますが…」

「親に言うなと釘は刺したが…さすがに隠せないし、隠しちゃまずい案件だろう」

 

ハァ…

 

問題は山積みだ。

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

今でも、あの実験の日々の記憶は鮮明に残っている。

わたしが苦しんで、「たすけて!」といくら叫ぼうがあの人はただわたしをモニター越しに見るだけだった。

 

一つだけ感謝していることがある。いや、感謝するべきことではないのは分かっている。そもそもの原因があの人なのだから。

 

────『個性』は返すね。君はこれでもっと強くなれるから。

 

『個性』を返してくれたこと。

 

あの時は喜びと憎しみしかなかった。だからどんな声色で、どんな雰囲気で個性を返されたのか全く気にしていなかった。

 

…この前からわたしは違う観点でオールフォーワンの今までを振り返っていた。

そうすると気づくことがあった。

 

 

────君のその『(さが)』。実に素晴らしいものだね。

 

彼はわたしの『(さが)』に賛成的だったこと。

 

それと『個性』を返されて以来、実験の数は急激に減ったこと。

 

 

────いままでわるかったね。姫砢。

 

 

少しでも油断するとあの人のあの言葉が、あの声色で、頭の中で再生される。

 

あの人の真意がわからない。

あの人はわたしを人と見ずにただ自分の力の発展の鍵というものとして見ていたはずだ。

 

爆豪姫砢くん、キラークイーンといったフルネームや、ヴィラン名で呼ぶことはあれど名前で呼ばれることは無かった。

呼び方からしてわたしは親しい人という枠組みにいないことはわかっていた。

 

「そいえば…キラークイーンって…」

 

そうだ。このキラークイーンという名前は…

 

 

 

────君は今日から「キラークイーン」として生きていくんだよ。

 

 

「…あの人から」

 

よく思い出してみるとそうだ。

実験の最中だったか。いつもの殺しの前だったか。覚えてはいないけど確かにあの人にもらった名前だ。

 

そもそも、わたしの犯行は全て『失踪』として扱われていたからヴィラン名なんて必要なかった。

そのことを伝えたら不便だし、こう名乗りなよといった風にもらった名前だったような気がする。

 

そのあと、わたしは初めてプロヒーローを殺害、キラークイーンという名前は世の中に知れ渡ったけどわたしの姿は見られていなかった。

晴れて、わたしは敵になった。

 

 

 

────これで君も僕たちの仲間だよ。キラークイーン。

 

 

………あれ?

 

わたしは気づかなかったけど、あのときのオールフォーワン…。

 

 

 

笑ってた…?

 

 

 

いや、そもそもの話その時点であの人はあの工業地帯マスクをしていたから笑顔かどうか分からなかった。

それにわたしはあの人が憎くてしょうがなかった。顔も見たくなかった。

 

でも、いま思い出してみると以前から…

 

 

以前から何度か、あの人のあの声色を聞いていたような気がした。

 

 

あの、娘に期待する父のような声色。

 

 

もしかして、だ。

 

 

 

実はわたしは────

 

 

 

 

かなり好かれていた?

 

 

 

 

「ぷっ…くくっ…んなワケないか。」

 

わたしはパーカーを脱ぎながら笑う。

何年も着古していた、わたしの記念すべき2殺目の大学生のパーカー。

以前の戦いでボロボロになってしまった。

今回の殺しは実際の所、欲求からくるものじゃなかった。

 

裏のデザイナーに頼んで、わたしは、コスチュームを一新してもらった。

そのコスチュームの受け取りの帰り道についでだから殺した。

 

いままでは、コスチュームとも言えないような格好だった。ラフなダル着とも捉えられるような格好。

 

まぁ、買ってきたこれもコスチュームかと言われれば、違うといえるものだが…。

もちろん特殊な素材で出来ている。防弾防刃防炎でナノファイバー的なヤツで雷を軽減とか言ってたっけ?

まぁ、とにかく防御が硬い。そして伸縮性もバッチリだ。

 

ありったけの金を叩いたんだ。これぐらいはしてもらわないと。

 

「…んしょ」

 

白いシャツをきてボタンは上から二つ開けておく。黒い上着に腕を通す。

 

上着ボタンはしない。開けてた方が、内側に付いているナイフを取りやすい。

 

スカートじゃなくて、ズボン。パンツと呼ぶのか?

ベルト横の位置に付いているホルスターにはあのボーガン。

 

もろもろ除けばこれは特に珍しい格好でも、何でもない。

 

これはわたしの覚悟の形。

 

「似合わないなぁ」

 

すこし背伸びしすぎたか?

わたしも年齢でいえばそれこそ高一だけど…

ダイナマイトは母から受け継がれなかったから胸もないし。

正直いえば着られている、とも言えるだろうか。

顔は…隠さなくていいか。もう報道されてるだろうし。

 

「…よし」

 

そんなことはともかくわたしは覚悟を決めた。

恐らく死柄木弔がいるであろう部屋にそのまま入る。

そこに彼はいた。趣味の悪い「手」を抱き抱えまだ、震えていたけど、目を見るに彼も覚悟が決まったようだ

 

「死柄木弔。」

「あ?…キラークイ…っくく。似合わないな」

 

…本当に似合っていないみたいだ。少しばかり後悔するが、わたしはこれで…これ()いい。

 

あの人の真意はわからない。けど、振り返ってみるとあの人だけだったんだ。

わたしの『性』に賛成的で。

わたしの『個性』をすばらしいものだと考えて。

 

(ヴィラン)になって、わすれてた

人として当たり前の愛をくれた…かもしれない人だ。

 

 

だから…わたしはすこしだけ、すこしだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

「先生のマネか?そのスーツ。」

 

 

 

 

 

 

すこしだけ、彼の意思をついでみようと、思った。

 

 

アイツが『最高のヒーロー』をめざすなら、わたしはその反対になろう。

そして、あの方…()()の意志を継ぐ。

 

わたしの信念はそれだ。

 

 

 

待ってろ『最高のヒーロー』。

『最悪のヴィラン』が、いまいくぞ。

 




オリジン


と同時に姫砢がデレる回


主人公の格好はOLです。スカートではなくズボンタイプの。
ベルトのホルスターにボーガンと、反対側に鉄球ホルダー。
スーツの上着の裏にはナイフとか、投擲物が沢山はいってます。
後は実際のキラークイーンがしている…手ぶくろ?みたいなのを両手にしています。

ちなみにぺったん…スレンダー
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