ヴィラン名『キラークイーン』   作:尺骨茎状突起

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雰囲気明るめ。一部を除き


変化

 

 

 

「うっぐ…」

 

地面に叩きつけられる。

今日はこれで「地面に叩きつけられた」回数が2桁超えただろう。

わたしはいま、トガちゃんに組手をしてもらっている。もちろん『個性』は使用してない。

 

「きらちゃん弱。」

「るせぇ…」

 

どうしてこんなことしてもらっているかというと、弱点の克服だ。

 

 

────敵には何もさせるなッ

 

────てめぇが爆破するタイミングは読める

 

 

わたしの弱点。

それは近接戦闘での壊滅的な実力不足。

実際、いまのところわたしは1度もトガちゃんに触れることが出来ていない。

そう。

触れれば勝ちなのに、『個性』なしでは触れることができない。

 

これが、わたしの1番の弱点と言えるだろう。

 

「…もっかい」

「別にいいけど、きらちゃんは『触れること』を意識しすぎて足元がお留守だよ。」

 

わたしは自分の発言と同時に攻める。しかし、言われた通りだった。

トガちゃんはわたしの腕を容易く払い、腕を振りかぶる。わたしはそれに対応しようとガードするが、これはわたしを怯ませるフェイントで、足払いをかけられる。

わたしが地面につくよりも早く、トガちゃんはわたしに乗っかるようにマウントポジションを取り…

 

地面に叩きつけられた回数が増える。

 

「…うっ」

「きらちゃんはいままで『個性』を使ってそこを補うどころか相手を騙してたワケだし、理解はできるけど

 

さすがに弱すぎ」

「…トガちゃんって、ときどきひどいよね」

 

まぁ、事実なのだが。

兄…いや、アイツと相対したとき、わたしは純粋な戦闘能力の差を知った。

この場合わたしに欠けているのは身体能力ではない。自慢ではないが、わたしはアイツに負けず劣らずの身体能力はある。問題は動かし方。

同じバットでも人が違えばボールを打てないのと一緒。

 

という訳で、連合の中でも体の動かし方が上手、すば抜けて上手いトガちゃんにいま稽古をつけてもらってる。

なにが「コツは訓練を訓練と思わないことだよ」だよ。

しかもトガちゃんはナイフすら使っていない。

 

あれわたしって本気で『個性』なかったらクソザコじゃね?

 

「あれ?なんか落ち込んでる?」

「いや、現実は非情だなって…」

 

多分、体の動かし方となるとわたしはこの連合で最弱。『個性』ありきで戦った場合は上位、トップに立つ自信はある。

心理戦、計算。こういったものにわたしは強い。

わたしが何を爆弾に変えたのか、これは爆弾か、ブラフか、様々な思考を相手にさせ余裕をなくす。そういった攻め方がわたしのスタイル。

 

ギャングオルカと対峙して理解した。彼はあの時、わたしをボコす以外の選択肢がなかったからこそ、わたしを圧倒できた。

 

「そいえば、きらちゃん」

 

と、不意にトガちゃんに話しかけられた。

 

「なに?」

「きらちゃんは爆弾の解除は出来ないんでしょ?だったらあのあとなにも爆弾に変えないで、帰ってからスイッチを入れればギャングオルカを爆破できたんじゃないの?」

「あぁ、それは『わたしの意思で解除できない』だけ。」

 

トガちゃんに説明する。

わたしの『個性』は、指先の細胞を剥がれやすくしている。その細胞が一定量相手もしくは対象の物に付着、その細胞が表面と結合し、体内もしくは物体内で爆発するバクテリアのようなものを体内に注入し、爆弾に変化させてる。

このとき、相手の細胞に見た目の変化はなく、痛みを伴わない。

 

そのため相手もしくは物体内のものをわたし自身が取り除くことは不可能なのだ。

 

そして、人などの生き物に対してこの処置が行われた場合、タイムリミットが生じる。

理由は、この細胞の弱さ。常人であれば2分。それまでに爆破しなければバクテリアは相手の免疫によって排除され、死ぬ。

そのバクテリアは体内にあろうがなんの支障はなく、ただ起爆できなくなる。

生物でないもの、免疫がないものなら永遠と爆弾に変えることが出来る。鉄球とかね。

 

そして、『スイッチ』だ。

この動作に体内のバクテリアは反応し起爆。手の細胞はこの動作によって高速で再生する。これが、「爆弾は一つずつ」の理由だ。

もちろん、たとえ体内のバクテリアが死んだとしてもこの動作をしなければ細胞は再生しない。

今思えば、超再生と相性がいいのもこれが理由かもしれない。

 

「ふぅん。てかきらちゃん。」

「なに?」

「私たちを信用してくれるんだね。前に聞いた時は、手の内明かしたくないーって言ってたのにー」

「…」

 

無意識だ。

知らず知らずのうちに、どこか連合の人たちを信用し始めている。

わたしはそれがとても怖く感じたが、同時にとても心地よいものだとも、感じた。

 

「でも、『スイッチ』に反応するのにバクテリアを起爆せずに殺すことってできないの?」

「…理論上は可能かもしれない。けど、わたしも色々試したのにまだ出来てない。」

「そうなんだ、じゃあそれも並行して探ってもいいかもね!!戦闘訓練と!!」

「…えっ、ちょっ!」

 

…回数がまた増えた。

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

トガちゃんとの訓練を終え、わたしは外へ向かう。いまわたしたちのアジトからすこし離れた場所に飼っているネコに会うためだ。

 

あの時、先生から預かったネコ。

『個性』をもっていると先生から聞いたが、特にそのような素振りを見せることは無い。

ただ、ご飯をたべてから、「にゃぉー」と鳴く。

 

「…」

 

さて…。今週は『まだ』だ。

己の性のために行動しよう。

 

荼毘には控えろと怒られるが、こればかりは、だれも「爪」がのびるのを止めることができないように…もって生まれた性というのは誰も抑えることができない。

どうしようもない…困ったものだ。

 

今回、わたしが目をつけたのは、カップルだ。

男の方が我慢出来ないのか、彼女の手を掴み、することするために廃工場のなかへ入っていくのが見えたからだ。

呑気なものだ。

 

しかし、わたしにはこの男を責める権利はない。わたしのこれからする行動だって、私欲に溺れたものだ。

 

「なぁ!1回だけ!いいだろ!!」

「え~」

 

トガちゃんとの訓練は実に有意義なものだ。

彼女の思わぬ一言からわたしの『個性』はさらなる成長を遂げた。

爆弾の解除の目処は未だに立たないが、起爆することにおいて、新しい特徴が発見できた。

 

わたしの爆弾は『スイッチ』が入ることによって爆破する。しかし、一つの物体内に過剰にバクテリアが存在した場合、つまり長い時間継続して触れていた物体の場合は僅かな衝撃で爆破が起きるようになる。

 

その時間5秒。5秒間触れ続けた鉄球をもち、カップルに話しかける。

 

「ねぇ」

「ッ?!なんだよ!!」

「え!人いるじゃん!!」

「これあげる。」

 

ポーンと。子供にボールを投げ返すように鉄球をカップルに投げる。鉄球はキレイな放物線を描き、男は反射的にその鉄球をキャッチ

 

 

 

 

した瞬間にカップルは爆風で吹き飛んだ。

 

爆風と轟音がいままでのと比べ物にならないぐらい大きい。バクテリアを過剰に入れている分、威力も高まる。

誤って自分の近くで爆破させないよう、立ち回りも見直さねば。

 

接触爆弾(コンタクトボム)

準備に時間はかかるけど使い勝手は良さそう。

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

ヒーローの仮免許試験が、今度あるそうだ。

そして、なぜかは分からないけど、それを聞いたトガちゃんのテンションが高めだ。

 

あれから、トゥワイスにも訓練してもらっている。

 

…トゥワイスの謎めいた動きと口撃によって、触れることが出来ない事実に落ち込むこともあったが、それは置いとこう。

 

死柄木弔の『個性』はわたしと似ている。だから相手に触れる戦闘スタイルを盗めないものか組手をお願いしたが、彼の『個性』は五指が触れた瞬間に発動するもののようで、訓練してもいいが死ぬかもなと言われたので遠慮させてもらった。

 

相変わらずテンションが高めなトガちゃんに地面に叩きつけられつつ、いい加減気になったので聞く。

 

「ねぇ。なんでテンション高めなの?トガちゃん。」

「んーー。秘密です。」

 

気づいたことがあるのだが、この連合でまともに会話できるのは黒霧とマグ姉しかいない。

 

死柄木弔には無視される。

トゥワイスとトガちゃんは意味不明。

荼毘は会話が成り立つが会話がすぐ切れる。

コンプレスはすぐマジックを始める。

トカゲはトカゲって呼ぶとブチ切れる。

 

マグ姉には良くしてもらっている。ボーガンの調整やら改良などもしてもらっている。

よく分からないが、お礼をすると「んもう!アタシがんばっちゃうわよ!!」とかいってくれるので、毎回頼んでしまう。

 

それはともかく、いまはトガちゃんだ。

何言ってもダメそうなので目で訴える。

 

「…」

「……きらちゃん?」

「…」

「………えーと」

「…」

「…………仮免試験に忍び込むんです。」

 

わたしの我慢勝ちだ。

しかし、仮免試験に忍び込む?自殺志願だろうか?プロヒーローではないにしろ、その卵である生徒がたくさんいる中に身を投じるのは些か気が進まない。というか嫌だ。

 

まぁ、トガちゃんの実力と『個性』から不可能ではないというのも、理解できる。

そして、理由は恐らく…

 

「…緑谷出久ですか?」

「うん!彼に会って話したいんだぁ!」

 

この恋する乙女のような顔。

実際にあってするのは恋愛ではなく、殺し愛だろうに。

わたしがため息をするのを見て、次にトガちゃんは信じられないことを口にした。

 

 

 

 

 

 

 

「きらちゃんも行こう!!」

「…は?」

 

 

 

 

 

ちょっと何言ってるか分からなかった。

そもそも、わたしはあんな所に行くのは嫌だし、トガちゃんのような『個性』ならともかく、わたしは一切変装だとかは出来ない。

 

もちろん、生徒の1人を気絶させて成り代わることなんて出来やしない。

その趣旨をトガちゃんに伝えると「そっか~」といって残念そうにしていた。

 

…気になるかならないかと言えば当然。気にはなる。だが、行きたいかどうかは別の話だ。

先程も言ったが自殺に近い行為をトガちゃんはしようとしている。

連合の同朋として…いや、友人として止めるべきではないか?

 

「そういうことなら!!」

 

どこからともなく、マグ姉が現れた。

とても。とても嫌な予感がする。

トガちゃんも目をキラキラさせてマグ姉をみてる。解決策があるみたいだが、余計なお世話だ。

と思っていたら気づかぬうちに会話が進んでいた。

 

「いや、ですから。マグ姉。わたしはいきませんよ。」

「えぇ~いこうよ、きらちゃん!!」

 

トガちゃんは腕を上下にブンブン振って抗議している。

ヒーローの卵の巣窟に行くなんて冗談じゃない。

 

「でも、キラちゃんの成長ぶりをここで確かめるのもいいんじゃないかしら?」

 

…マグ姉の言うことは一理ある。自分ではなかなか成長に気づかないものだが、トガちゃんは「強くなってる」と言ってくれる。

戦闘能力の成長と新しく覚えた爆弾を試すという点では、殺さずがルールのヒーローの試験でなら存分にどう成長したのか見る、試す…かなりいい条件だ。

しかし、バレたときのリスクを考えるとどうしても…

 

と迷っていたところにマグ姉が口を差す。

 

「あら、アタシいってなかったっけ?

 

 

 

 

アタシの知り合いに『シンデレラ』って敵がいるんだけど…」

 

 

 

 

 





シンデレラ…一体どんな能力なんだ?!?!

主人公とトガちゃんは友人みたいな関係を築いてほしい。
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