ヴィラン名『キラークイーン』   作:尺骨茎状突起

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映画なかなか面白かったです。


霧海

 

 

時間は少し遡る。

 

 

 

深い霧で辺りを包む前、わたしたちは雄英潰しの状況を窺っていた。

 

「…まだ動かなくていいのか?」

「うん☆この試験ね、焦っちゃだめだよ。」

「しかし、人がやられればやられるほど獲物が無くなりますよ?」

 

確かにそうだ。獲物が多いほど最終的な『脱落させた数』が多くなると考えられる。

故に、この試験はスタートダッシュが大事であると言える。

 

 

 

一見ね。

 

 

 

「たしかに、多く倒せば優位に立てる。

けど、その優位は生き残った場合のみ、適応されるものだよね?

結局は生き残らなきゃ最終的な選別に残れないんだよ。

何人の『時間』を0にしてもね☆

 

だからこの試験やることは「弱者を多く潰す」事じゃない。

 

 

逆だよ。『時間』が減った「弱者を狩り尽くした猛者」を潰すこと。

 

 

それと『多く倒した人』ってのは必然的に『時間』が減ってるんだよ?

漁夫の利ってね。」

 

 

────やっぱりみえるちゃんは天才だ!

────さすが僕たちの希望だ!

────うおおおおおっ!!!

 

 

相変わらずの声援。

先読見得が賢人であることは、戦った際によく知らされた。

事実、わたしの『個性』を見抜き、追い詰められるところであった。

しかし、頭ではわたしの方が一枚上手だった。だからこそ勝てたというのもあるが、まぁいいでしょう。

 

ともかく、ここまで喋っても怪しまれないだろうという事だ。

 

「なるほどです、だから私たちが今すべきことは…」

「多く倒したやつの顔を覚えることだろう」

「大正解☆」

 

B組が押されているように見えるが、いい防衛ができている様だ。

カウンターを決めて、脱落者を出している。

 

会場の上についているモニターを見る。

 

[残り1092名]

 

残った生徒数を表したモニターが取り付けられている。

せめて残り500人ぐらいまでは敵情視察に使いたかったが…そう簡単じゃなさそうだね。

 

「み、みんな!後方から一つの学校がくるよ!」

「何ィ?!みえるちゃんは僕が守るよ!」

「なんだとお!みえるちゃんのそばには僕がいるからいらないぞ!」

「「んだとこら!!」」

 

「うるっっさいです!!!先読さん!先に来るのは潰してもいいんじゃないですか?」

「んー、まいっか!やろう☆」

 

一同が頷くと同時に霧野 霞は『個性』で霧を発生させる。しかし、それは思ったよりもずっと濃いもので、一寸先が見えないような霧だった。

どうこの中で動く?

 

「差丸さん!いつものお願いします。」

「う、うん!」

 

先読のファンの1人、差丸 熱人(さまる ねつひと)『個性』はサーマルアイ、サーマルスコープの様な索敵ができる能力だ。

視力の良さに比例して探知できる熱量と範囲が変わる。差丸のサーマルアイはなんと2km先まで検知が可能。

 

「ぼくが随時みんなのどの方向に敵がいるかを伝達くんにつたえるから!」

「そしたらぼくの『伝達』でその情報をみんなに送るね」

 

伝達 伝(でんたつ つたえ) 。個性は『伝達』、あらかじめ触れておいた人に、得た情報をそのまま送りつける。テレパスと違い、他者に自分の耳で拾ったことをすぐ流す個性だ。

電話の役割を果たす。

 

ふむ。面白そうな組み合わせだ。

なら早速だが、試してみようか。

 

「先読。これを」

 

阿久須からそこらの岩で作ったであろうわたしの身長ぐらいの半分ぐらいの大きな両手斧を受け取る。

 

「素手でのガードは悪手であるからな。」

「ありがとう!さぁ!みんな!

 

 

 

みえると遊ぼ☆」

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

『伝達』という個性、思った以上に便利だ。

 

────みえるちゃん!2時の方向に1人!

 

といった具合に、頭の中でながれる。電話の様に第3者を介さず、差丸からの情報が直接わたしに伝わるため、情報が正確だ。

 

「ったくなんだよこの霧!…っが?!」

「…ごめんね☆」

 

トガちゃんに訓練してもらった気配消し。

まだまだ完成とは言えないが、霧があるためわたしでも気配を察知されない。

 

後ろから組み伏せる。

せめてわたしの『時間』を減らそうと、腕輪のついている右手を動かそうとしたが、肩を外す。

 

「っぐぁ?!いってええ?!だれかああああああ!」

「男でしょ☆喚かないの!」

 

チームメイトを呼ぶが、誰も来ない。

そりゃそうだ、他のクラスメイトが潰している。

そして、そのまま…

 

『YOU’RE OUT』

 

電子音がベルトから響く。

わたしは彼の上から退き、肩を戻してやる。

 

「…くそ」

「ざんねんだね☆ばいばーい」

 

────みえるちゃん!正面方向に2人!いける?!

────大丈夫☆

 

この『伝達』は意思の疎通が一方通行ではない。『個性』の持ち主が両者に触れてさえいれば、10分間よびかけ放題だ。

 

さて、2人は…敵同士潰しあってるのか…馬鹿だね。

 

「なにも見えねぇ!」

「くっせめて1人だけでも!」

 

2人がやり合っているのをすぐそばで見守る。

もちろん、気配は殺している。

 

片方の時間が0間近になったので、別の方を貰った斧の持ち手で転ばす。

続いてなにが起きているのか分かっていない、脱落寸前の人の後頭部に触れる。

 

「…っ?!」

 

『YOU'RE OUT』

 

電子音が再び響く。3度にすぐなるがね。

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

霧が晴れる。

 

どうやら付近の生徒は返り討ちに出来たようだ。周りを見渡すと先読のクラスメイトは何人かが脱落してしまっているようだ。

 

「無事ですか?」

「霞ちゃん!よゆーだよ☆」

 

霧野は無事のようだ。わたしと共に、『時間』が減っていない。残ったクラスメイトを見るに、チラホラ『時間』減っていないのは、わたしたち2人だけのようだ。

 

ふと、気になり残りの生徒数をみる。

 

[残り 802名]

 

わたしたちがかなりの数を無力化したとしても、ここまで減るわけじゃない。

どうやら聡明な学校は他にもいるようだ。

 

しかし、わたしたちの霧が強すぎる。

『ミスト』『サーマルアイ』『伝達』。

この世にこれほど相性のいいものが あるだろうかッ!?

 

自分のベルトを見るが、とくに変わったところはない。

『誰が何人倒したのか』というのは分からないようになっているようだ。

 

「かなり減りましたです」

「そだね☆…よぉし!『雄英潰し』潰し行っちゃうか!」

「もうですか?」

 

正直な話、わたしは先読が受かろうが落ちようが関係ない。

ただ、わたしの目的は雄英との戦闘。訓練の成果の確認。

それが出来ればあとは知らない。

 

「生徒数結構減ったから、他の学校も動いてるとみていいかな☆

ここからは本格的に獲物が無くなっちゃうよ!」

「…です。伝達さん、皆さんにも伝えてくださいです。」

 

さぁて、楽しみだよ。

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

「くっ!」

 

目の前に現れた先輩に対し、右手の(腕輪の付いた)掌を向けて大きくし、そのまま直進。

 

「うんうん☆いい動き!」

 

しかし、先輩はそれをものともせず、私の中指の上で倒立していた。

 

互いの『時間』が減るが、私が既に減っているから、イーブンにはならない。先輩を振り落とし、後ろへ下がる。

 

面での攻撃、不意をつけたと思ったが、体育祭のこともあって、警戒はされていたようだ。

 

「でもね一佳ちゃん!その攻撃はマズイよ?」

 

直ぐに拳を小さくする。

理由は視界の確保。その弱点を見切っていたのか、その時既に先輩は目の前にいなかった。

 

まずはこの霧を吹き飛ばす!

 

と意気込み、力を入れると…

 

「うぉおお?!拳藤避けてくれ!!」

 

鉄哲が正面から飛んできた。左手を大きくしてキャッチするが、受け止めた鉄哲は硬化していたため、ジンジンする。

 

「悪い!拳藤!なんか投げられた!」

「気を付けて鉄哲!強い先輩がいる!」

 

背後を警戒して鉄哲と背中合わせになる。

どこからくる…?

 

「おい拳藤!前みたいにこの霧吹き飛ばしてくれよ!」

「やろうとしたらアンタが飛んできたの!やってみてもいいけど絶対なにかされるから気をつけて!」

 

「あのさ」

 

背後から声

 

 

 

 

 

 

 

 

え、背後から?

 

 

「人を背中で挟んで会話しないでね☆」

 

私と鉄哲はすぐさま飛び出す。

まさかずっと鉄哲の背中だと思ったものは先輩だった?!

 

「拳藤やられた!さっきの間かなり『時間』持ってかれた!」

 

慌てて自分のベルトを確認する。

 

[38.1]

 

もうすぐ30秒?!

 

「ほらベルトばっか見てないでさ…」

 

視線を戻す。が、霧もあってか姿を見失う。

だめだ!まずは霧を吹き飛ばす!

 

「鉄哲!霧を吹き飛ばすよ!」

「おう!」

 

すぐさまあの時、合宿訓練の時みたいに霧を両手で吹き飛ばす!

 

()()()()()()☆」

 

腕を振り回していたのにも関わらず、強力な風を起こしていたのにも関わらず、先輩は目と鼻の先に現れた。

 

「さわっちゃうよー☆」

 

私の顔を覆うように先輩の手が触れようとした

 

 

 

 

 

 

 

が、なぜか先輩の手が止まった。

 

いや、これは…

空気に止められた!!

 

「拳藤!」

「ナイスだ物間!」

 

物間の『個性』はコピー。

触れた人の『個性』を5分間使えるというもの。

 

これは円場の『空気凝固』、空気をガラス板みたいに固めることが出来る。

 

先輩の手はそれに阻まれた。

いや、それどころか先輩は霧のせいもあって空気の壁が見えていない。

 

「…いったあい☆…いッ!ここにもぉ!」

 

ガンッ、ゴンッと先輩が空気にぶつかる音がそこら中からする。

空気壁の量からして、円場も近くにいるみたい!

 

「今だ拳藤!この霧吹きとばせ!」

「うん!」

 

 

 

 

文字通り、視界が晴れた。

 

 

「さぁ!反撃を…」

「っていねぇじゃねえか!!」

 

 

 

 

でも、そのとき既に先輩は消えていた。

 

 

 




長くなりそーう
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