ヴィラン名『キラークイーン』   作:尺骨茎状突起

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更新スピード落ちちゃってて申し訳ないです。
がんばって今ぐらいを維持したいですね


疑問

 

 

先輩がいなくなった後は、比較的楽な状況になっていった。

 

雄英潰しから逃げようとしていた私たちだったが、恐らく先輩の学校による霧が晴れた時、私たちを囲うようにしていた生徒の多くは、脱落させられていた。

 

それに伴い、私たちB組を狙う人は少なくなっていって、最終的には私たちが実力とチームワーク、物間の意外性などの要因で敵を無力化していった。

 

霧の中での立ち回りも、霧を吹き飛ばすのもあるけど、宍田そしてその『個性』をコピーした物間の嗅覚で補助してもらい、脱出するという形に落ち着いている。

 

「残り…まだ280ちょいかよ」

 

鉄哲の声。

 

現在の残り受験者が80人脱落した時点で一次試験は終わる。

ただ、問題がここに来て発生する。

 

「なぁ物間、誰も攻めないから時間ばっかりすぎるぞ!」

「当たり前だよ鉄哲。僕たちだってそうだけど、多分全体的な受験者の『時間』が少ないんだよ。だから、攻めにくいんだろうね。」

 

掲示板の283という数字に、先程から全く変動がないこと。

それが問題だった。

 

「しかも、この試験、時間制限がないから、いくらでも待てる。動かなくていいってことはそれなりに人を倒してるってことだし、みんな生き残ることに必死だろうね。」

「ですが、活力さんという方はメリハリつけろと仰っていましたよね?」

 

塩崎が物間へ疑問を投げかける。

 

「これがメリハリなんだろうね。」

 

観察と行動のサイクル。

確かに、敵の『時間』は少ない、そのため一見片付け安そうにも見えるけど、条件は一緒だ。

 

カウンターが怖いからみんな動かないんだろう。

 

「…みんな聞いてくれないかい?」

「物間?」

 

この動けない状況で無理矢理にでも動くことは愚策。

昔の物間だったらそう割り切っていたはずだ。

 

「こういう時だからこそ、安全策じゃダメだ」

「らしくねぇな物間」

 

この「らしくなさ」を感じ取ったのは私だけじゃなかった。みんな不思議な顔をして物間の次の言葉を待っていた。

 

「ふふ、バカども影響されちゃったんだろうね。ねぇ、みんなこういう時だからこそ

 

 

 

 

トップを取りに行かないかい?」

 

誰に影響されたのかは言うまでもなかった。

 

でも、私たちB組全員の心に火がついた。

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

「先読。戦況が変わったぞ。」

「え?」

「雄英が動いた」

 

阿久須が指で掲示板を指しながらいう。

268。

随分な賭けに出たね。

 

「雄英に脱落者はでただろうね☆」

「それが、出ていないんだ。先読」

 

へぇ。

B組もやはり雄英のヒーロー科だ。

 

「雄英を潰すですか?」

「んー、やめた方がいいかなぁ☆流れが向こうのものっぽい☆」

 

流れ。

調子がいい。

 

物事において何かしらの力を感じる時がある。それが それ だ。

その流れを断ち切ってこちらの流れにするのは容易な事じゃない。士気や思い切りなどといったものにも上手を取られる。

スポーツなどにも「いまのは勝ち試合だったな」と言い、負けた選手だっている。

実力さえ時には覆すのが流れだ。

 

これは経験を積めば積むほど思い知らされることだ。

 

故に理解できない輩もいる。

 

「み、みえるちゃん!他校が疲弊したであろう雄英に総攻撃をしようと動き出したよぉ!」

「ふふ☆流れが変わったね☆」

 

こちらの流れにね。

 

「その学校とかの裏をとるんだな、先読。」

「大正解~☆霞ちゃん!分かってるだろうけど」

「わかってますです。『個性』は使いません。」

 

わたしたちは今まで霧と共に出現している。

故にいまのこと混戦状況だと一番警戒するのは霧だ。

そこの意表をつく。

対策もされているだろうしね。

 

「では参る!」

「いくです」

「さぁ!みえるとあそぼ☆」

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

表には出してないがおそらくクラス全体が疑問を持っている。

「あれは本当に先読見得なのだろうか」

という疑問です。

 

「霞ちゃん☆」

「はいですッ!」

 

────ブラインドミスト

 

相手の顔に触れ、眼前に霧のスクリーンを張り視界を奪う技。

 

視界が塞がったのを見届けた先読さんは足払いをかけ、阿久須さんの斧で後頭部を攻撃して無力化する。

 

元々先読さんは近接ファイターだった。

(まばた)きで相手の先を読み、避けて殴るというシンプルかつ強力なスタンス。

でも、今は少し違った相手の視界から消えて確実に仕留める動きをしている。

 

こんなにも人を欺く立ち回りができていただろうか?

 

「やりやがったな!」

「悪いね!」

 

考え事をしている場合じゃない見たいです。

背後から2名、いやそのさらに後ろにもう1名。

 

「先読さん、3名います」

「はーい☆んじゃそっちはよろしくー」

「ええ」

 

背後から突如腕が伸びるが私はそれを見ることもなく頭を傾けるだけで避ける。

 

「なに?!」

「いま私の半径10m付近に霧をだしていましてね、手に取るように動きがわかるんです」

「霧なんてどこにも?!」

「足元ですよ、もっとももう見えないでしょうけど…です」

 

足首までにも満たない高さの霧を張り巡らせているから、どこから攻めてくるのかは丸わかり。

ブラインドミストを再び使い、無力化する。

 

っと、後方からまた2人。

 

「聞こえなかったですか?

 

 

私の霧は半径10m

おまえらの動きも攻撃もッ

手にとるように探知できるッ!」

 

 

相手が踏み込むと同時に敵の目の前で霧を柱のようにたたせる。

 

「んだこの霧?!」

「ま、まとわりついてくるわ!」

「濃度を上げてますです。あなた達は今、なにも見えないでしょう。」

 

いくらこの霧を振り払おうとしても、この霧は私の意思で動く、すぐにまた顔にまとわりつく。

私は敵に触れながら再び霧を薄く地面にはり、先読さんの方を見る。

 

「こっちだよー☆」

「な、なんなんだよこの女!」

「目が追いつかねぇ!」

 

決して凄まじいスピードで動いている訳では無い。ただ相手の視界から離れて現れてを繰り返しているだけだろう。

本当に先読さんらしくない戦い方だ。

 

視界から外れて相手に触れ、また現れて消える。それを繰り返して精神的優位にたっている。

相手のミスを誘い、そこを見逃さずに突き、あわよくばそのまま倒してしまう。

 

「────あがっ?!」

「おい大丈夫か?!っぐぅ!」

 

スキを見つけてすぐさま組伏せる。腕に触れることなく腕輪を踏みつけてそちらの腕を固定して触れ続ける。

 

「…先読さん」

「あっ…あぁ!霞ちゃん…はぁっ…か☆」

 

肩が上下に動き、息が荒い。

あれぐらいなら先読さんはバテるはずが無い。

認めたくはないが、あの人はクラスで一番の努力家だからだ。

試験ギリギリまでトレーニングをするアホ。体力バカ。

私の知っている先読見得はそうだ。

 

 

 

 

「…先読さん」

「なに☆」

 

雰囲気とか、話し方とかは全く一緒なのに、どうしてか違和感を覚える。

 

「…いえ、頑張りましょうです」

 

私はこの時スルーしたことを後に後悔することになる。

 

 

 

 

そして、一次試験終了のサイレンが鳴り響いた。

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

「…先輩」

「ん?ああ☆一佳ちゃん!」

 

私たちB組は結局誰一人欠けることなく一次試験を突破した。

しかし、それはこの目の前の先輩がいなければ成し遂げられなかった。

 

「なんで私を助けたんですか」

 

実際、私は助けられた。

残り脱落者1名という盤面で気が抜けて敵に囲まれてしまった私。

素手でのガードをしようにも『時間』が減るあの状況だと、どうしても脱落は避けられなかった。

「ああ私が最後のひとりか」

と思った矢先に私を囲っていた人をなぎ倒したのが先輩だ。

 

「あのままならリスクを負わずに先輩合格してましたよね?」

「ふふ☆」

「誤魔化さないで」

 

1次を突破したのは素直に嬉しい、けど。

私にもプライドがある。

正直納得いかない。

 

「私が倒した数が心もとなかったからね☆最後に稼ごうかなって!」

 

嘘だ。

霧の中とはいえ私たちを圧倒した先輩が無力化した人の数に心もとないはずが無い。

敵対した人も「あの先輩にくらべたら」とさえ思ってしまった。

多分、鉄哲も感じただろう。

 

「まぁまぁ☆お互い二次試験頑張ろうね☆」

「…先輩には何が見えているんですか?」

「ちょっとばかり先が見えるかな?☆」

 

うふふと笑って先輩は自分のクラスの元へと帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ退場されちゃ困るからね雄英さん。」

 

 

 

 

 

 

 




アニメの青山のシーン良かったですね。
一度見てるのに感動しちゃいました笑
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