別にアニメが来週アニメオリジナルぶっ込んでストレス溜まったからじゃないんだからね!!!
「おい!!いい加減起きやがれキラ!!」
朝から耳をつんざく兄の声。
わたしが朝弱いのを知っているからこその猛攻。起きるという観点からすればとてもありがたい。出来れば遅刻は避けたいから。
でも、眠いわたしからすると話は変わってくる。
「うっせぇ…バ勝己」
「てめぇ叩き起すぞ…!」
さて起きよう。
兄の「叩き起す」はまるで叩かれるように激しく起こす行為ではなく、物理的に叩くどころかシバいて起こす、だからね。
倒すためにシバくのにシバいて起こすとはこれいかに。
身の安全のためにも起きよう。
ベッドから起き上がり伸びをする。
兄がカーテンを勢いよく開けた。このカーテンが開いたことによって日光が寝起きの私に直撃する。心地よいものでもあるような、不快なものでもあるようなその光は容赦なく私の目を覚ます。
「メシだ。先降りてるぞ」
「…あい」
眠い目をこする。
わたしはそのままパジャマ姿でリビングに向かう。台所で母の後ろ姿が見えた。
「かあちゃん。おはよ。」
「姫砢、おはよう。はやくご飯たべちまいな」
「ん」
リビングにあるテーブルの自分の特等席に座る。兄の真正面の席。
すでに兄はごはんを食べていて、そんな兄の横に座って新聞を読むのが父だ。
「姫砢。起きたかい」
「見ればわかるでしょ…」
「ま、まぁ、そうだね。」
父は、母と兄とちがってすこし、いや、かなり落ち着いた方だ。というより小心者と言っても過言ではないんじゃないか?
まぁ、もちろんいざと言う時は頼りになる父だ。
「いただきまふ」
いただきます。といっている最中に自らご飯を口の中に入れる。おかげですこしかわいい「いただきます」が出てしまった。
朝食を食べている兄を見る。
兄は既に制服姿だ。こういう所から兄妹とはいえ、生活のサイクルの違いを確認できる。
わたしは朝食をとってから、歯磨き、着替え。兄は早く起きてランニング後にシャワー、着替え、朝食、歯磨きだ。言っておくが、わたしもランニングはしている。夜にだが。
そして、兄のサイクルの着替えと朝食の合間に「妹を起こす」がある。
「…何見てンだよ。」
「え?」
どうやらじっと見すぎていて、視線に気づかれてしまったようだ。どうにか誤魔化すため、
「制服似合うね」
と適当に答える。
普段であればこのような会話、「はぁ?」で終わることだろうが、今日は違う。
「そうかよ。てめぇもはよ着替えろ」
「…あい」
今日は高校への登校初日。
かの有名な雄英高校への入学日だ。
────────
「あくいくぞキラ!遅刻したら許さねぇぞ!!」
「…なにこのヤンキー優等生」
玄関先で慣れない革靴を履きながら。わたしは先を移行とする兄をジト目でみる。
中学の時から兄はそうだったのだろうか?
わたしは別の中学に通っていたからわからない。その理由も兄なのだが。
曰く、「平凡な中学から雄英にただ1人入学する」という伝説を作りたかったそうな。
そういうことで、「だからてめぇは違うとこ入れ!!」と言われた。
まぁ、その思惑は失敗に終わったみたいだが。
靴を履き、違和感がないように、つま先を地面にトントンとぶつける。
そばに置いてあったカバンをもっていざ玄関から出ようとした時、
「姫砢。勝己をよろしくね。」
「あい。」
「逆だろうがクソババア!!!」
後ろから声をかけてきた母親に軽く返事をする。「てめぇも了承してんじゃねぇぞアホキラ!!」といううるせぇ兄は無視しつつ、面へ出る。
兄の横について駅まで歩く。
もちろん、そのあとは電車で最寄り駅まで移動してからまた徒歩で雄英まで向かう。
わたしたち兄妹は仲がいい、とは思われないだろう。けど、わたしは仲はいい方だと思う。
確かに、登校中、会話なんてしないけど、しなくても気まずくならないのは仲がいい兄妹の証拠じゃなかろうか?
まぁ、小学校のときは一方的に兄の武勇伝を聞いていた気もするが。
「ねぇ、お兄ちゃん。」
「あ?」
「…小学校以来だね、こうやって2人で登校するの。」
繰り返すがわたしは兄とは違う中学に通っていた。方向も家からほぼ真逆で中学時代、家以外では関わることは無かった。
もちろん、家じゃ普通に話すけど…
兄は変わった。
中3の春。兄は1度敵に襲われている。
ヘドロ事件で知られている、結構有名な事件。
有名なのは、あの平和の象徴が間一髪のところを兄ともう1人の被害者を助けたから。
心配した。当たり前だ、家族だもの。でもそれ以上に奇妙だったのはあの日以来兄は活力を失ったと言うべきか、以前の兄の嫌な態度というものが減った気がする。
理由の検討はついている。
兄とともにオールマイトに救われた存在。
緑谷出久。兄と自分の、無個性の幼馴染み。
兄はそんな彼を見下していたのは小学校の頃から分かっている。それが中学に上がって、それが加速したのか減速したのかは分からないが、おそらくデクは関係しているとみてる。
もちろん兄にも聞いたが、聞く度に機嫌が悪くなるので、やめた。
「…だな。おら、駅着くぞ。定期忘れてねぇだろうな。」
「もち。」
────────
「キラ。お前B組だったか?」
「そだよ。流石に兄弟同じクラスにはしないでしょ。」
「いや、クラス表みろよ。」
はぁ?
と思いながらもクラス表を見るために顔を上げる。
いつも思うのだが、名前が「あ」とか「い」とかで始まる人はこの時楽に自分の名前探せるよなぁというどうでもいいこと。
「ば」なんてド真ん中もいいところだし、探すのに苦労する。
あと見上げ続けることで首も痛くなるという特典付き。
…あったよ
「…なんで、A組なの?」
「知らね」
「兄妹で一緒にする?」
「知らね」
あくいくぞ。と背中で語る兄の後ろについて行く。
もしかして兄の暴力性を入試の時に見抜き、そのストッパー役で…?
ま、まさかね。
「ドアでかいね」
「どんな『個性』でも入れるようにできてんだろ」
暫く兄に付いていくと1Aと札に書かれているドアがあった。
そして今の会話でわかるだろうが、ドアが軽くわたしの身長の3倍はゆうに超える大きさになっている。
がらがらとそんなこと気にもせず兄が教室に入っていく。
まだ教室の中には人が3人ほどしかいなかった。鳥頭…は悪口か。鳥の頭をしている男子、ガタイのいいメガネ男子、そしてカエルみたいな顔をした女子。
…最後も悪口っぽい?
顔を合わせて軽く頭を下げ挨拶をする。
同じくコクリと会釈をしてくれる鳥、メガネ。カエルに関しては手を振りってきたので軽く手を上げ答える。
「教卓の上の紙に席が書いてあるわよ」
「そうですか。ありがとうございます。」
「おい、キラこっちだ、席。」
カエルさんにもう1度会釈をしてから兄のひとつ後ろの席に腰を下ろさずに、荷物だけ置いてから再び教卓に向かい、せめて今いる人の名前と周りの席の名前を覚えようとする。
が、その時固まる。
「…あなた、どうしたの?」
「あ、蛙吹さんですよね、爆豪ですよろしく。」
「梅雨ちゃんと呼んで、というか固まったけど大丈夫なの?」
「あ、気にしないでください。蛙吹さん。」
梅雨ちゃんと呼んで。
という言葉を聞き流しつつ席へ戻り絶望する。
「…キラどうした?」
「あんたのせいだよバ勝己」
あァ?!
というBGMを聞きながら先ほどの紙に書いてあった席順を思い出す。
爆豪勝己
爆豪姫砢
緑谷出久
なんで挟まれるん?
わたしのストレスを倍増させに来てるよね絶対。
てめ聞いてんのかキラぁ!!
兄の怒鳴り声には既に慣れてしまっているのでどうとも思わない。けど兄と幼馴染みでおそらく起こるであろうピリピリした空間の真ん中で授業を受けろと?
…やめーや。
「…はぁ」
あとあのカエル、なかなかの大きさだった。
別の絶望に浸る中、がらがらとまたドアが開くそちらに目を向けずに音でどこに座ったか判断する。
…自分と同じ列で…2つ後ろ?
なら、八百万百とかいう生徒だろう。
女子とはいい関係を築きたいから、顔を上げて振り返る。
「席的に八百万さんでいいですよね、わたしは────」
「…?どうかしましたか?」
振り返った瞬間目に入ったそれはでかかった。
ゆっくりと元の姿勢に戻っていく。
「あ、あの私なにかしましたか?」と心配をする八百万さん。
その際、席から立ち、前かがみになって心配してくれたのだが…それは追い打ちや。
「い、いえ。爆豪です。そしてこっちは兄です。よろしくお願いします。」
「は、はい。よろしくお願いしますわ。」
不思議に思ったのか、わたしのあまりにも大きい絶望を感じ取ったのか、
八百万さんは若干引いてた。
アニメオリジナルはやめてくれ…3期1話みたいな話はやめてくれ…
あ、あとまた、ifやって欲しいみたいな意見があればぜひ聞かせてください。