ちょっとずつですが、余裕が出てきました
殲滅数上位100名を残った200人から抜粋し小休憩を挟んだ。
悲しいかな(全く悲しくないが)先読のクラスメイトから何人かが漏れてしまった。
なお、雄英B組は全員一次通過。
わたしはもちろん通過だ。
「ヒーロー仮免許二次試験始めんぞ!!!」
もう素を隠すつもりのない公安委員会の活力。
今その彼から二次試験についての詳細が説明されるところだ。
再び大きなモニターに映し出される試験内容。しかし、それは先程戦ったステージだ。
今も見返すと山岳、工場地帯、ビル街、エトセトラ。
金使ってるなーといってそのごめんを眺めている時だった。
「んじゃ、これ壊しまーす」
ポチ
と活力がボタンを押すと画面の中の景色が粉々にされるじゃないか?という程の爆発を繰り返していた。
…なぜ?
「つーわけで、崩壊した街や、土砂崩れの起きた山岳。こーいうとこで救助できてこそヒーローだよな?
採点は被害者自身が行うことになってっから。せいぜい落ちねぇよう気張れ!
あくしろもう始まってんぞ」
その一言を聞き逃したものは一人もいなかった。
皆一斉に休憩室から飛び出した。それは雄英も、聖勇敢も大差なかった。
しかし、救助か…ここいらで逃げることとしようか。
先読 見得の『先読み』は救助においてかなり役に立つ『個性』と言える。
ここの瓦礫をどかしたら周りは崩れるのか、次いつまた爆発が起きるのか、救助中における全ての不確定要素を警戒することが出来る。
そしてそれは被害者への安心にも繋がる。
当然クラスメイトはそれを熟知しているだろう。しかしわたしは彼女の『個性』を使えない。
ようはバレるんだ、このタイミングで。
「先読みしてください」と頼まれる前にわたしはクラスメイトから離れる必要がある。もちろん既にその策は練っている。
というか「練る」ほどの作戦でもない。
わたしは救助活動に勤しんでいるクラスメイトに一言告げてからその場を離れる。
「あっちで爆発起きそうだから向こう行ってくる☆」
「了解!みえるちゃんも気をつけて!」
『個性』で予測したーとでも言えば信じてもらえる。それほどの信頼と実績を先読 見得は積んできたのだろう。勿論「一次試験での実績」さえ、それに含まれる。それを利用してやるのだ。
まぁ、中身はわたしなのだが。
ともかく、救助に移るフリをしながら気配を消していく。
────────
「その人は大丈夫?!」
「右足が動かないみたいですが、意識呼吸共に正常です。受けごたえも出来ますです。」
「分かったわ!案内しますよ!絶対助かりますから!」
別の学校の生徒が怪我人を引き取り、私はまた前線にとんぼ返り。
私の『ミスト』とクラスメイトの『サーマルアイ』で怪我人の探索が容易に行えるので見つけるのはスムーズです。
問題は見つけてから。
本来なら『伝達』と『先読み』による連携が私たち聖勇敢の立ち回りであり、強みです。
戦闘は相手の視界を奪ってから速やかに無力化し、救助においては索敵と予測、行動をほぼミスなく繰り返すことができる。
「ったくこの大事な時にあの巨乳はどこいったです!!」
しかし今はその連携の要の先読さんがいない。
もちろん、先読さんに頼りっきりではマズイのでいなくなった場合を想定しての訓練は行っている。そのためスムーズさこそ落ちても皆さんが臨機応変に救助活動に勤しんでいる。
でもあの先読 見得がこんな大事な時に離脱なんてするだろうか?
救助に学校は関係ない。他校と手を組んで救助活動をしているのかもしれない。
しかし私の中で
────あれは本当に先読見得なのだろうか
「霧野!こっちの範囲索敵頼む!」
「はい!です!」
前線に戻るなり、阿久須さんが私に指示を出す。その周りを見ても「先読がいれば!」なんて思っているクラスメイトはいなく、今出来ることを懸命に探しては行動をしていた。
だから私はその疑問を閉まっておくことにした。
周りのクラスメイトを見て、今考えるべきことではないと思ったから。
────────
試験開始からどのくらい経っただろうか。
トガちゃんほど「消える」ことに関しては完璧ではないので、不本意だが救助をしたり手伝ったりということは避けられなかった。
もちろんこの時クラスメイトと接触しないように細心の注意を払っている。
「その子を避難所まで連れてってね☆」
「はい!」
ビル街周りの学生と協力して子供(試験官だが)を避難所まで連れていく。
その道中だった。
突然の轟音。
そして続く活力の声。
「まぁ、トラブルはつきもんだよな。て訳で敵登場だオラ!!」
本当に運が悪かっただけかもしれない。
しかし、目の前に彼女は現れた。
膝裏まで伸びる長い髪の毛。
特徴的な耳。
褐色の肌。
そして、筋肉質な体つき。
「ったく!私は1人で言いっつったんに!おい残りのザコばらけろ!ここは私がやっから!!」
「…はぁ、近接は練習中だってのに」
乱入する敵役として、わたしの目の前に現れたのは
トップヒーローの1人、ミルコだった。
「ほら手加減してやるからちゃんと市民は守れ…よっ!!!」
「っち!」
────絶対に正体はバラさないこと。
剛速とも言えるような蹴りをしゃがむことで回避する。
ラビットヒーローであるミルコはその脚力を活かして跳躍や蹴りをメインとした戦闘をしている。
────そこは大丈夫です。
全然大丈夫じゃない。
わたしの現在の近接スキルは正直生徒だからこそ通用したものだ。
頭を傾け、足を引き、腰を動かし、足を止めない。
やまない蹴りの雨を避け続ける。
すこしの余裕もない。
「おー!生徒にしちゃやんなぁ!」
「え、えへへ☆」
きっっっつい!!
ミルコの様子を見るにこれは「肩慣らし程度」の攻撃。実際に彼女は瞬発力、体力、腕力、脚力、そして何よりも近接戦闘における経験がわたしを遥かに凌駕している。
それに目をつけられたみたいで離脱ができない…またくるっ!
「ほら!まだやれんだろ!!」
喋る余裕すらない。
右からの回し蹴り。距離を取り回避するがミルコは軸足で跳躍。近くのビルを蹴り、再び剛速でわたし目掛けて落下する。
STOMP!!!
衝撃に一瞬ふらつくが、立て直す。と同時に横へ転がり、ミルコのほぼノータイムのかかと落としを避ける。
「ほら!『個性』で何とかしてみろ!!」
やはり本気でやるつもりはないようで、息切れしたわたしを見て腰に手を当てわたしの息が整うのを待っている。
肩でする呼吸により喋る余裕が無い。
彼女なりの優しさなのか、攻撃に転じるスキは残している。明らかに追撃できたところを見逃し無くわたしが体制を立て直すタイミングで攻撃が繰り出される。
正直舐められている。
しかし、舐められてこのざまだ。
「んー、お前さすがに体力なさすぎね?本当にヒーロー校出身かぁ?」
「はぁ…はぁっ…!」
息切れで答えられません、というメッセージを込めた呼吸は伝わったのか「ふーん」とミルコは肩をすくませる。
戦闘センスと暴力性の垣間見える話し方はどこかのだれかを想起させる。
加えてわたしはほぼ無個性といえる状態。
死柄木弔じゃないが、こういうのをゲームで例えると無理ゲーというのだろう。
「お?あっちは雄英か!お前片付けて向こういくわ」
「え」
先ほどの蹴りとは圧倒的に違うスピードの蹴り。
反応できたのは奇跡とも言えるだろう。
右肩を掠めたその蹴りから発生する風切り音が可デタラメだった。
攻撃は当たってすらいないのに、走った痛みで思わず右肩を押さえる。
「おっ!それ避けるか!おし、それに免じて私は違うとこに跳ぶぜ!」
まるで嵐のようなヒーロー。
膝を曲げたかと思うとものすごい勢いで跳躍した。
痛みで押さえた右肩をから手を離す。
肩からポロポロと土塊が落ちていくのが見えた。
これ以上の参加は無理だろう。
わたしはまだ未完成な「気配を消す」を駆使してその場から離れた。
会場から抜け出しある程度離れたところに来ると死柄木弔から連絡が入る。
「もしもし」
『トガと連絡がとれた。お前の状況も聞いた、が流石に軽率だ』
「プロヒーロー参戦とか聞いてなかったんでぶっちゃけ危なかったです」
『…おい』
「あぁ、でもこれから脅威になるであろうヒーローの『個性』、名前、全て覚えました。」
『…ふん、捕まるなよ。一人捕まったらこっちは終わりだ』
電話を切り、シンデレラの元へ到着する。
「ごめんください」
「ん?あぁ、あんたか、ほら解除するから来て」
私のデコに触れるシンデレラ。
指が接触した位置から波紋のように身体が震える。すると私の体から土塊が剥がれていき、最終的に見た目もわたしに戻る。
「ふぅ、彼女は?」
「あの子ね、逃げたわよ」
「え?監禁してもらえるって!」
「いや、追いかけるとは言ってないわよ、
この
────────
身体が悲鳴をあげているが知ったことじゃなかった。
いまはとにかく動かない足にムチを打って走っていた。あのシンデレラとかいう敵に監禁されていたが『個性』でどう動くべきかずっとシミュレートした結果命からがら逃げ出すことが出来た。
「っ…でも代償でかすきー☆」
右足に大口径の銃をぶっぱなされ風穴を開けられた。アドレナリンがドバドバでいまは痛みを感じないけどもうじき意識が飛ぶだろう。
それまでに何とかしてどこかに…!
土地勘はない。ただひたすら走る。
血痕が残っている限り追跡はされる、なら距離を稼ぐしかない。
『個性』を駆使して人が通りそうな方向へ倒れながらも、這いながらも向かう。
もう1度目を閉じ『個性』を使う。
少し先のビジョンが瞼の裏で再生される。
────あぁ?んだてめぇ…って血だらけじゃねぇか!
ここの角を曲がれば人に会えそうだ。
ツンツンした金髪の男。制服からして雄英生。
テレビで見たことがある、体育祭を優勝していた生徒だ。おそらく仮免試験後だろう!となれば戦える!
安心と同時にきた疲労と痛みで今にも倒れそうだった。あと1歩でも踏み出さなければ…!
「っぐぅ!」
しかし力及ばす倒れる。
足が限界だ。
「探しましたよ…つっても血痕辿っただけですけど」
「ッ?!」
振り返ると私を襲ったあの
『個性』をつかう。
わたしが助かる道はあるが、そのためには先ほどの生徒こちらへ誘う必要がある。
問題はその先。
その生徒とこの
いいのか…?
私の命のためとはいえ、1人犠牲にしていいのか?
「助けのために叫ぶ余裕もないの?ほらあの時のガッツはどうしたの?」
片手で鉄球を弄びながら1歩ずつ近づいてくる敵。
…もう知ったことか!
私はこのとき自分の命の惜しさに行動してしまった。
「だれかッ…!だれでもいいからっ!助けて!!!!」
「…叫び声聞いてきたけどよォ…てめぇがいるとはなキラークイーンッ!」
「…運命かね?この再会の早さは。」
私の叫び声のせいでその2人を再会させてしまった。
展開の早さ!サラマンダーより(略
二次試験については捻らず救助にしました。ヒーローのエッセンスみたいなところありますからね。