ヴィラン名『キラークイーン』   作:尺骨茎状突起

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原作読んでテンション上がってます。


逃走

 

 

 

前にも言ったと思うけど、きらちゃんは僕がヒーローを目指すのに背中を押してくれた人だ。

 

そんな先入観からなのかはわからないけど、やっぱり心の中できらちゃんが(ヴィラン)だという事実を否定している僕がいた。

 

「…きらちゃんはどうして敵に?」

 

気がつけば疑問を口に出していた。

 

かっちゃんのプライドが僕を今ここからたたき出したいというのは理解出来たけど、かっちゃん自身、僕の問に興味があったのか、静かにきらちゃんの言葉を待っていた。

 

「そんな悠長でいいの?その女死んじゃうよ?」

 

体はきらちゃんの方に向けたまま、目だけをかっちゃんが抱えている人物に向ける。

確かに足からの出血量がとんでもない事になっている。正直意識があるのが奇跡ってくらい。

 

「…かっちゃん。その人を連れて逃げて。」

「あぁ?!テメ指図すんのか?!」

「仮免を持っている僕が交戦するしかないのは君も分かってるだろ!!」

「…っ!!!」

 

かっちゃんは確かに誰彼構わず突っ込む人だというのは分かってるけど、同時に頭がいいこともわかってる。

だからここで、かっちゃんは正しい選択をするのもわかっていた。

 

踵を返してかっちゃんは今いる公園から逃げ出す。

 

「バカじゃないの?…目的はソイツなんだから逃がすわけないじゃん。」

 

今の立ち位置は僕を挟むようにかっちゃんときらちゃんがいる構図。ようは僕がきらちゃんを止めていればかっちゃんは必ず逃げ出せる状況。

 

思えば、期末試験の時と逆だ。

 

フルカウル5%

 

『ワンフォーオール』の5%を体中巡らせる。

正直僕はきらちゃんと直接的な戦闘を行ったことは無い。

だからこそ注意する。

あの『個性』の凶悪さをしっているから。

 

「相変わらず速いね」

 

まずは触れられないこと。

転がっている鉄球の数から察するに、かっちゃんとの戦闘でかなりの鉄球を消費していると予想できる。

きらちゃんの『個性』で1番警戒しなくちゃなのは飛び道具。触れたものを爆弾に変えるという『個性』はシンプルが故に強い。

 

周りの木を蹴りながら移動する。一点に止まらずに動き続ける。

 

「…飛び回っちゃって…時間稼ぎ?」

「さっきも言ったけど、プロヒーローがもうすぐ到着するよ!」

「あっそ、あとそうだデク。

 

 

 

 

その木はアウトね。」

 

しまった。

と思った時は遅かった。僕の足がその木を蹴るよりもはやく木が爆発した。

爆風によるダメージこそはあるが、まだ体は動かせる。

 

それよりもひどいのは煙のスクリーン。周りが見えない状況だ。

 

どこからきらちゃんが飛び出してきてもいいように構える…が一向に迫ってくる気配がない。

 

「……かっちゃんの方か!!」

 

すぐに点と点を繋いで答えを導き出しておそらくかっちゃんが向かったであろう方向へ走る。

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

「…っ…くぅ…」

「病院までちょっとだ!!まだくたばるんじゃねえぞ!」

 

キラのことで頭が一杯で正直どこに向かって走っているのか、ハッキリはわかっていない状況だった。

 

雄英にかよっていたからこそ多少なりとも土地勘が付いたのだろう。それを頼りにひたすら走っていた。

 

「はいストーップ。」

 

声と、それに少し遅れた銃声。

それが聞こえたと思ったら次に踏み出そうとしていたところから火花が散った。

 

「一応、その子は監禁しなきゃだからね。まぁ、その子が出ていった方向が病院とは真逆だったから、店で待ってれば誰かが抱えて走ってくるだろうとは思ってたけどね。うちの前を通るのが1番速いしね。」

 

女医のような格好をした、20代前半のように見えるタバコをくわえた女性。そんな女性が似合わない大口径の拳銃をこちらに向けていた。

 

「追加料金貰うことにしよ。てわけで貴方はこれでおしまい。」

「…ッ、くる…よ!」

 

抱えている女の声で我に返ってすぐに跳躍。今足を置いていた所に銃弾が通過する。

続けた発砲も女の合図のお陰でよけられた。

 

あの拳銃は誰しもが知っている形状、いわゆるリボルバー式の拳銃だ。さっきのを加えて3発は確実に撃っている。あと3発避けること後できればリロードに合わせて一気に駆け抜ける…!

 

パァンッパァンッ

 

続けて2発撃たれる。俺の反射神経もあるがこの女の助言が命綱になっている。先を見る『個性』はやはり強い。

 

あと1発よけれれば…

 

「ッ!…うしろっ!」

 

言われた途端、爆破も使って横に大きく飛ぶ。すると、鉄球がさっきまでいた地点を通過する。

 

キラークイーンが来たのか!デクがやられたのか?!

 

「…行動するならちゃんと捕まえといてくださいよ」

「あら、ごめんね。病院は反対側だし、誰かに見つかったならココを通るし、見つかんなかったらそのまま野垂れ死ぬからいいかなって」

 

この女とキラークイーンは面識があるようだ。

しかし、会話からして連合同士ではないことが推測できる。

 

素早く周囲を見る。

抱えている女の出血がやべぇ。

まずはこの問題を解決しなきゃならねぇ。

 

敵2人はそこまで面識が深くない。

連携は取れないだろう。

 

女医の格好をした敵が出てきた建物は「クリニック」。

そこなら包帯とか、応急処置ができるモンがあるかもしれねぇ。

 

敵の狙いはあくまでこの女。

だから容易にクリニック中に入れるとは思えない。

 

デクは?

やられたのか、気絶したのか。どちらにせよ今は期待しない方がいい。

 

病院へ逃げるか?

いや、鉄球と拳銃の遠距離が厄介だ。

…いや、俺なら空中で軌道を変えながら離脱できる。指示はこの女に出してもらえれば逃げれるかもしれねぇ!

 

「おい。まだ死ぬんじゃねぇぞ」

「…み、みえるは大丈夫だよ☆」

 

コイツの状態的に難しい選択だが、実質、この選択肢が仮免を持ってない俺の唯一の選択だ。

 

「捕まってろ。飛ばすぞ。」

「おっ…け!」

 

爆速ターボ。

敵に背中を向けながら離脱する。

 

パァンッ!

 

背中越しに銃声が聞こえるが、女の指示に従って高度を変える。鉄球に対しても同じ処置をする。

離れてしまえば当たり前だが鉄球よりも銃弾の方が俺に到達するまでの時間が短い。

 

病院はここを曲がった先!

勝った!

 

 

 

 

 

 

と思ったとき、何かが横腹にめり込んだ。

そして爆発した。

 

「がぁっ?!」

 

撃墜される。女を庇いながら地面を転がる。

コイツからの指示はなかった。つまりコイツにはこの攻撃が見えてなかったことになる。

新手か?

いや、爆発したからキラークイーンの仕業だ!

そもそも何が俺を撃墜した?

 

目線を落とすとそこにはガラスが粉々に砕け散っている。

ガラス?

 

「ガラス玉だよ。」

 

キラークイーンが1歩ずつ近づきながら手の内を明かす。

 

「その女の『個性』はどこまでいっても『見える個性』だよ。目を閉じているとはいえ、視力での判断がどうしても必要となる。

 

さて、ヒーローに質問。

 

死にそうなひとの霞んだ目に、高速で飛ぶほぼ無色透明なガラス玉は鮮明に映るかな?」

 

「ご、ごめ…ん!」

 

女が謝ってくるがコイツのせいじゃねぇのは分かってる。

 

距離を詰められた。

どうすればいい?

 

「ね、ねぇ君!」

「あぁ?!」

「病院…ここ曲がっ…たとこだ…よね☆

なら、わ、私…這って向かうから…!時間稼いで!」

「状況考えろアホ!」

「大丈夫!…っ…『見える』からっ────」

 

先が見える『個性』。

その持ち主が大丈夫と言った。

強がりだったら?

本当だったら?

様々な考えが頭な中を過ぎる。

 

それにコイツも限界見てぇだ。

敵が目の前にいるのに作戦を………なるほど。

 

「緑色の子が…来て…んの見えるからッ!」

 

その声に反応してキラークイーンが背後を警戒する。

恐らくあっちからキラークイーンが来た。つまりデクもそっちからくる。

 

 

 

 

 

 

 

訳じゃねぇ。

 

「?────しまっ」

 

遅せぇよ。

既に俺はコイツを抱えてターボで病院へ駆け出している。

 

これは、単純なハッタリ。

 

この女の『個性』が分かっているからこそ、このハッタリという選択肢は強くなる。

それに引っかかるか引っかからないかが見える。

 

本来ならこの土壇場でやるのは賭けだが、彼女にとって戦闘内での『賭け』が存在しない。

 

シンプルかつ強力な『個性』。

 

「てめぇ、つまりは意外と余裕だろ。」

「大正解☆みえるの演技どおだった?」

 

さっきと違って口調の中に途切れや息切れがない。

ハナっからすべてコイツの演技だ。

 

ガラスのドアを突き破って病院内へ。

 

俺の勝ちだ。

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

すぐにアイツを追撃しなかったのは、デクが本当に現れたから。

 

「くっ!」

「もう1人は既に無力化したよ!」

 

素早い蹴りを腕でガードしつつ、反撃でその足を触れようとするがそれより速く離脱される。

純粋なスピード特化をされるとわたしは対処ができない。

 

もう既にガラス玉と鉄球は底をついている。まだ、ナイフはあるが、投げることを想定してないナイフであるため、正確に投げることが出来るかが分からない。

 

ガラス玉が割れて飛び散ったガラス片を爆弾変えて投擲。

爆発させて煙のスクリーンをはろうとするが、同じ芸当は2度通じない。

すぐに煙幕からデクが出てきてしまう。

 

デクが先程言った通りシンデレラは既にのびていた。戦闘なれしていない敵だったのだろう。

それゆえの拳銃だ。

 

思えばマスタードもそうだった。

生徒だからと、自分の『個性』が圧倒的に有利だからと甘く見るからこんなことになる。

 

 

 

 

 

そして────

 

 

 

 

 

 

「デク!!」

「かっちゃん!?」

「あーあ、これじゃ同窓会だね」

 

先読見得を病院に預けたであろうヒーローは再び舞台に舞い戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 





今B組の個性がガンガン明かされる流れですよね原作。
なので、少しばかり仮免許のところを手直ししながら執筆しようと思います
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