ヴィラン名『キラークイーン』   作:尺骨茎状突起

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私が来た。




はいごめんなさい遅くなりました。


本音

 

 

 

 

「んー、その様子だと先読見得(あの死に損ない)は病院に届けちゃったみたいだね」

「てめぇの負けだキラークイーン。タイマンじゃ負ける気しねぇぞ…!」

 

パチパチと爆発音を鳴らしてアイツは真っ直ぐにわたしを見据える。

 

視線を少し右にずらすとデクもわたしを見据えていた。

 

「じゃあ、わたしはこのまま逃げさせてもらうね」

「逃がすかよ…!」

「仮免許未取得者が戦うの?」

「…ッ」

 

 

「だったら僕が!」

 

アイツが動けないのを見るとデクは真っ直ぐにわたしに距離を詰める。

先ほどの蹴りを見るにそこまで火力はない、が、彼はマスキュラーを倒した実力者でもある。

 

 

 

だから油断なんてしない。

 

 

 

おそらく今の彼が出せるであろう全速力の詰め方。断然トガちゃんより速い。

 

 

 

が、速いだけだ。

 

 

 

だからこそ後ろへの撤退ではなく、わたしは前進することを選択した。

 

お互いに衝突するであろうタイミングでデクは右に体を反転する。その勢いで右脚での蹴りを繰り出すが、わたしはそれよりも速くすでに右脚の下にいた。

 

「くっ?!」

 

空中にいるからこそ、体勢は崩しやすい。機軸にした左足をそのまま空中で足払い。

デクの右回転をさらに速くさせる。

どうにか回転を止めねばと決意したデクが次に見るものは…

 

わたしの靴底。

 

「がっ?!」

 

当然デクは吹き飛ぶ。

デクのスピードはわたしを遥かに凌駕している。わたしは反応こそ出来ても、迎撃できるようなスキルはなかった。

しかし、わたしはわたしの『個性』を使()()()搦手で新たな戦闘スタイルを開拓した。

 

わたしとの戦闘において最も警戒しなくてはいけない部分はどこか?

 

もちろん『指先』だ。

 

わたしの『個性』をもってすれば戦闘などせずとも一方的な虐殺を行える。それこそ無慈悲にだ。

もちろんデクはそれを知っている。

だから無意識のうちに「手を警戒せねば」とアラートを鳴らしてしまう故に、わたしの足への注意は疎かになる。

 

だからこその逆転の発想。

トガちゃんとトゥワイスから、わたしはカウンター型のソバット…とは一概にいえない、脚メインの戦闘スタイルを教えてもらった。

 

このスタイルは初めてトゥワイスに一撃ぶち込んだ時に思いついたものだ。

 

────ちょっ!キラちゃん足はずるくね?! いいセンスだ。

 

────なんでですか?足なんて警戒するでしょうに。

 

────だってやっぱり「手」気にしちゃうじゃんか! 別に手フェチじゃないぞ。

 

『個性』を『使()()()』新たな騙しの手品。

それがわたしの近接スタイル。

 

「あーあ、ほらデク鼻血でちゃったよ?」

「っるせぇッ!」

 

明らかにしておくが、今のはアイツではなく、デクの台詞だ。

まだ、その癖は治ってないんだなと、頭の中では鼻で笑いつつ再び向かってくるデクに手を伸ばす。

 

「っ!」

 

そう、この手を伸ばす動作に意味なはい。

しかし、わたしの『個性』を知っているが故に警戒してしまう、いや、警戒しなくてはならないのが、わたしの『個性』。

 

それにデクも気がついたのか、攻めることはやめて、距離を置く。

 

なぜ、デクは果敢に攻めてきていたのか、

 

それはわたしの足元に転がっているシンデレラを捕縛するためだ。

敵の頭数が増えることを厄介に感じたデクはわたしがシンデレラに近づくのを阻止しようとしたが、結果失敗に終わっている。

 

「…なァ」

 

そこでだまって見ていたアイツが口を開く。

 

「ンでてめェは…(ヴィラン)なんだよ…」

「…かっちゃん」

「…」

 

わたしは口を開かない。

かわりにシンデレラを起こそうと頬を叩く。

 

「俺ン頭の中…『何で』って疑問がよ…」

「おーいおきろー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BOOOOOOM!!!

 

「多すぎンだよッ!!!」

 

 

 

 

────んな?!

 

「かっちゃんだめだ!君は仮免が」

 

そう、いま目の前に迫ってきているコイツはわたしと戦う資格すらないヒーローの卵だ。

なのにコイツ真っ直ぐにわたしに向かって────

 

「るせぇッ!」

 

────ガッ!!

 

爆破の勢いの乗った拳を避けようとしたが、不意を突かれたからか、タイミングが遅れた。

わたしの土手っ腹にその拳がねじ込まれた。

手を恐れてその後『個性』でゼロ距離爆破とともにアイツ離脱する。

 

「ぐぅっ!!」

 

2、3度地面をバウンドした後空中で体勢をなんとか立て直す。

来るべき追撃に備える。

 

「デク!!てめェがいまから見るのは戦闘じゃねぇ…

 

 

 

ただの『兄妹喧嘩』だッ!!」

 

再び爆破の勢いでわたしに詰め寄る。

 

「理論が無茶苦茶じゃないッ?!」

「るせぇ!!」

 

アイツがどういった攻め方をするのか、そこを見極めてカウンターをぶち込む。

そして、アイツの警戒心を誘うために手を僅かに動かす。

が、臆せずわたしにアイツはむかってくる。

 

悪手だ。

わたしがそのまま触れてしまえばッ!

 

わたしも確実に触れるために前に1歩踏み出す。

 

 

 

 

 

 

 

が、次の瞬間視界が煙で見えなくなった。

 

「んなっ!」

「オラァ!」

「ガッ?!」

 

いつの間にか後ろを取られていた。

背後からの蹴りをわたしはモロに背中に受けてしまう。

地面を転がりながらその辺に落ちていた小石を拾って投擲。

 

すぐに起爆して、同じように煙のスクリーンを貼り、見えない間に体勢を立て直す

 

 

 

 

 

前にアイツが爆破で煙を吹き飛ばした。

 

「ちっ!」

「まだだァ!!」

 

ろくに体勢を直すことも出来ずに追撃が迫る。地面を転がることでなんとか凌ぐが、やはり途中途中で爆破のダメージを受ける。

 

ならばいっそのことアイツに飛びかかって触れるか?という選択が頭をよぎるが、爆破で煙を貼りつつ離脱されるのがオチだろうと却下。

 

思考を回す間にもアイツの連撃は止まらない。

牽制に鉄球を使いたいが、もうそこを尽きている。

そして顔面に蹴りを入れられてしまい、再び地面を転がることになる。

 

「…いっ…たいなぁ…」

 

すぐに立ち上がりアイツを見据える。

が、なぜか追撃は来ない。

 

「てめェはどうして(ヴィラン)になったか聞ィてんだよ!!!」

 

どうやら本当に知りたいみたいだ。

 

 

 

 

 

 

────あぁ、イライラする。

 

 

 

 

 

 

「…」

 

ちらと見るとデクもだまってわたしの言葉を待っている。

手のひらパチパチ言わせてる憎きヒーローを正面に見据えてからハッキリと、そしてキッパリと答える。

 

「『殺せる自由』が与えられるからだよ」

「ハァ!?!」

 

 

 

 

 

 

────あぁ、うるさいなぁ。

 

 

 

 

 

 

「そしてそんなわたしのあり方を『愛してくれた』からだよ」

「てめェのあり方なんざクソ両親が『愛した』に決まってンだろが!!!」

 

 

 

 

 

 

────もうだまれよ。

 

 

 

 

 

 

両親わたしを『愛した』。

それは事実だろう。いくらなんでもわたしでも理解できる。

 

けどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあお兄ちゃんは『人を殺したくてしょうがない妹』を愛せる?」

「…あ?」

 

 

 

 

あの人たちは()()()()()を愛せない。

 

 

 

 

「わたしたちはね、この社会に生まれたときにある契約を無理矢理にさせられるんだよ。」

「何をいって…?」

 

デクの方も何を言ってるのか分からない様子だった。

 

「『この社会に身を置くための契約』だよ。この契約はね、1人1人の『良い自由』を守るかわりに『悪い自由』を奪うんだよ。」

 

例えばだ。

言論の自由。表現の自由。思想の自由。学問の自由。職業選択の自由。

こういったものは決して直接的に人を傷つけることは無いし、誰しもがこれらに対してプラスの思考を持っている。

 

 

が、逆の自由はどうだ?

窃盗の自由。公の場で人を辱める自由。他人のものをぶっ壊す自由。

 

そして、殺害の自由。

 

もともと「法」というものが無ければ、なにが良くて何が悪くないかという線引きはされなかった。

 

 

なのにこの社会は「これら(悪いこと)をやらない限りは残り(良いこと)を尊重しよう」という。

 

 

 

なんだそれ。

 

 

 

 

 

────やばい、そろそろ誰かを…

 

 

 

 

 

「本ッ当に自分勝手じゃない?!」

「そ、そんなの当たり前じゃないか!犯罪はなんであろうと────

 

「それだよッ!!!!」

 

ッ?!」

 

「『犯罪』という枠組みッ!それが納得いかないって話だよ!

 

 

 

わたしはこんなにも

 

 

 

 

 

こんなにも

 

 

 

 

 

 

人を殺したいってのにィッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

────もう無理、お前殺すわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしは足元に転がっていたシンデレラを爆破した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んなッ?!」

「ぅ、うそだッ!」

 

まるで信じられないものを目の当たりにしたかのように、目の前の2人は固まっていた。

 

事実、わたしは意味のわからない行動を起こした。味方だったであろう敵を自ら殺したのだから。

 

「────いまッ!どう思った!わたしのこと!『愛せ』るかぁ?!社会の犬(ヒーロー)どもォ!!?」

 

わたしはひたすら声が許す限りの叫び声で目の前の2人にわたしの本音をぶちまけていた。

 

だから言っただろうに。

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそもわたしは人とは感性が違いすぎた。

 

 

 

 

 

 

 





すまねぇ!

ってことで遅くなったのは自分の執筆に納得がいかなかったことと、忙しさです。


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