ヴィラン名『キラークイーン』   作:尺骨茎状突起

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意地

 

助けなきゃ という気持ちより 勝たなきゃ という気持ちが強くなると僕は恥ずかしながら、少し口調が乱暴になる。

 

これは僕の中で「勝利」というイメージがオールマイトじゃなくて、かっちゃんだからだと思う。

 

マスキュラーという敵と戦った時もそうだった。

 

 

────間違ってるの!お前だろ!

 

────るっせぇぇえええええッ!

 

 

守るべき人がすぐ後ろにいたのに、あの時は自分でも不思議なぐらい自然とああいう言葉が出ていた。

 

だからこそだと思う。

 

「デクは『助けたい』と願った!兄は『勝ちたい』と努力した!

 

そしてわたしは『殺したい』から実行したッ!」

 

目の前の不条理に対して勝たなきゃという気持ちが強くなった。

 

そして、それは僕だけじゃない。

僕よりもずっと『勝つ』ことに執着しているすごい人が隣にいる。

 

「なぁんにも変わらないよッ!わたしたち!」

 

当然のことを言っているかのようにきらちゃんは笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「一緒にするな/すンなッ!」」

 

だから僕達は目の前の敵が言ったことをどうしても許せなかった。

 

僕は跳び、かっちゃんは飛んだ。

 

空中で軌道を変えられるかっちゃんが上から、僕が地面からきらちゃんにとびかかる。

 

きらちゃんが僕の方に走る。

そして腕を上げる。あれはフェイントか?いや、さっきフェイントを読めたから今度は『個性』が本命か?

 

迷っている間にも僕達の距離は縮まる。本命ということにして僕は突貫した。

 

が、頬に彼女の膝が突き刺さる。

 

意識を持っていかれそうになる。それを察知したのかは分からないけどきらちゃんは今度こそ僕に触れようとする。

 

「デクてめぇッ!深読みしすぎなンだよッ!!」

 

BOOOOM!!

 

間一髪。かっちゃんがきらちゃんと僕の間に小爆破を入れてきらちゃんの追撃を防ぐ。

 

その隙を使って離脱する。

爆破の煙が晴れるときらちゃんはそこにはいなかった。

 

「どこにッ…?」

 

かっちゃんと戦ってるのか?

と思ってかっちゃんの方を見るがあちらもきらちゃんを見失ったみたいだった。

 

にしても最近こうやって隠れる人多すぎない?

 

 

 

 

────もっと教えてほしいな。君のこと。

 

 

 

 

なぜか、今日試験中にあった。あの士傑高校のひとを思い出した。

 

そうだ。彼女もああやって消え……っ!

 

「かっちゃん後ろだっ!」

 

嫌な予感がしてかっちゃんの方を見るとかっちゃんの背後からきらちゃんが迫っているところだった。

 

「くっ!」

 

かっちゃんは後ろを確認して素早く空中へ逃げる。

こうして見るとかっちゃんの『個性』は戦闘において、きらちゃんの『個性』よりも強力なものに見える。

それに加えてかっちゃん本人の反応速度も、当たり前だけど前よりずっと早くなってる。

 

ただ、間違えてはいけないのは『抹殺』におけるきらちゃんの『個性』の比類無き強さ。いくら戦闘面で『個性』が弱くても一撃必殺なのは間違いない。

 

油断が死に繋がる。そんな戦闘を強いられる。

 

しかしその緊張感がプラスに働くこともある。気が抜けないからこそ集中していられる。

全神経をきらちゃんの動きへ集中させる。

 

空中にいるかっちゃんを諦めたのか、きらちゃんは真っ直ぐに最短距離で僕に距離を詰める。

 

深読みしすぎ。かっちゃんはそういうが僕には見てから動くなんて出来ない。

だから純粋に戦う。もっと速く!もっと速く!!

 

 

 

 

 

 

 

 

────フルカウル8%

 

 

 

 

 

 

 

よっぽど集中していたんだと思う。

その時の体感じゃ自分がさっきより早くなってるだなんて僕は気づいちゃいなかった。

 

けど事実きらちゃんは反応出来なかった。

 

シュートスタイルは足メインの戦い方。

 

「使えないとは言ってないッ!!」

「あぐっ?!」

 

僕の拳を彼女に叩き込む。

 

彼女を吹き飛ばしたあと油断は決してしない。再び彼女を見据えるとかっちゃんが追撃に出ていた。

 

「死ねぇええ!」

 

容赦のない追い打ちの爆破。

流石にきらちゃんでもこれなら…!

 

が、予想を裏切る形できらちゃんは震えながらも立ち上がり、そばの電柱に触れた。

 

「あんまし…大事(おおごと)にしたくなかったけど…っ…仕方ないか」

 

僕とかっちゃんが詰めるより早く、電柱は大きな音を鳴らして爆発した。

 

砂煙を巻き上げた爆風と轟音により一瞬だが僕もかっちゃんもきらちゃんから目を離してしまった。

 

視界が晴れるときらちゃんが背中を向けて走る姿が横道に入っていくのが辛うじて見えた。

 

「追うぞッ!!!」

「あっ、うん!」

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

全身が痛いが、特に横腹が痛い。

デクが腕を使えるという可能性を完全に考えていなかった。

 

「…ったいな。」

 

痛いが、先生の「実験」に比べたらなんてことない。

 

改めて走りながら腹に手を添える。

当たり前だがアザどころか骨までダメージが行っててもおかしくない。

 

いままで怪我を負わなかったわけじゃない。ただ先生がいた頃は『超再生』と『個性強制発動』のコンボで一瞬にして治してもらっていた。

痛みでふらつくが、倒れるほどじゃない。

このまま『あの場所』まで走る。

 

あと少しという距離でアイツの声が響く。

 

「待ちやがれェッ!!!」

「はやいなクソが!」

 

道をジグザグに走っていたのが悪かった。

デクはその道のとおり走っているはずだからまだ追いつかないだろう。

 

だがコイツは道とか関係なく飛べる。

最短距離を進んで来たのだろう。

 

あと少しだが、この辺にもないかッ?!

 

あったッ!

 

「なっ、クソ!」

 

声からしてアイツは恐らくわたしの目的を読み取ったのだろう。

 

そう、ここは先程わたしがアイツと先読見得を襲った場所。

 

 

 

────あれは爆発しないよッ!

 

 

────3つの鉄球のうち右のが爆発するッ!

 

 

 

 

わたしの武器がある(鉄球がゴロゴロしている)ところッ!

 

ここまで離脱する理由は2つあった。

 

ひとつ、純粋な戦力差。

いくらトガちゃんに鍛えてもらっているとはいえ複数人の同時戦闘、特にアイツやデクレベルの相手をしなきゃとなるとジリ貧だ。

移動にも活用できる『爆破』と純粋な増強型の『個性』を相手にするのは戦闘向きの『個性』を持たないわたしには荷が重いこと。

もちろん武器、投擲物があれば別だが。

 

ふたつ、アイツの力を利用してコンクリを割り、武器を蓄えようとしたが、その策はまるで通じなかった。

空中にいるヤツの爆破を地面に向けようと立ち回ったがまるでわたしの考えがわかったかのように通じなかった。

 

ともかく、わたしは地面に転がっていた鉄球を手に取りアイツに投げつけ、すぐに起爆。

 

「ぐっ!」

 

ダメージはあっても大したものじゃないだろう、あくまでこれは牽制。

鉄球がたくさん転がっている場所はもう少し先だ。

 

「待て!!」

 

デクがわたしに追いつかんと壁を蹴り、また蹴ってものすごいスピードで向かってくる。

 

が、少し遅かったね。

 

「残念ッ!!」

「鉄球?!」

 

 

足元の鉄球を特に狙いも定めずにデクの方へほうり投げる。

なぜ狙わなかったか。狙わなくてもいい近さにいたからだ。

 

────ドガァァアアアンッ

 

デクは地面を転がる。

大きいダメージは入れたが、決定打にはならなかったようだ。

あの超人的なスピードでどうにか爆発の寸前に後方へ飛ぶことが出来たようだ。

 

「無視すんなァ!」

「する訳ないじゃんッ」

 

吹き飛んだデクと入れ替わるようにアイツが詰め寄る。

コイツの『個性』は掌に注意すれば問題ない。

 

コイツの振り上げた腕に合わせて、足を使って爆破するまでに弾く。

わたしももちろん攻めるが向こうもわたしの手を警戒してそれは避ける。

が、蹴りなどはノーガードで受け、わたしを追い詰めんとしていた。

 

「「死ねぇ!」」

 

お互いに死ね死ねいいつつ己の攻撃を叩き込んでいく。

わたしの腰の入ったしなりをきかせた蹴り。対するは躊躇なくぶっぱなされる至近距離の爆破。

 

先に揺らいだのは、当たり前だがわたしだ。

 

「ぐっ…!」

「くたばれェ!」

 

少し距離を開けて両掌をこちらに向けてくる。

ただではやられない。

足元の鉄球を全力で蹴りあげる。

鉄球はアイツの横腹に叩き込まれる。

 

そして、アイツの爆破が起きるが、鉄球の当たりどころが良かった。先程ガラス玉をぶち込んだところと同じ位置だったためか、威力が弱まった。

 

ダメージは受けたが、これは好機だ。

 

わたしは再び気配を消す────。

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

振り出しに戻ったかのように、キラークイーンは気配を消したままひたすら鉄球を投げ続け、起爆を繰り返していた。

 

さっきまで抱えていたクソ女もいねぇ。

このままじゃラチがあかねぇからデクと撤退を選んだ。

 

「はぁっ…はぁっ…こ、ここまで来れば暫くは大丈夫だよね?」

「知らねぇよカス」

 

痛む脇腹を押さえる。

アイツ、靴底に鉄板か何か仕込んでやがる。女の蹴りの威力じゃねぇ。

 

それに、

 

 

 

 

 

それにデクだ。

 

さっきの爆破をモロに受けたのか、顔から痛みをこらえてんのがわかる。

 

いますべき話じゃねぇのはわかってる。

 

けど、デクがキラークイーンとやりあう度に思っちまう。

無個性だったはずのデクが『個性』を使う度に思っちまう。

 

考えないようにしたが、ふとした瞬間に思っちまう。

 

特に、今回は思わずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

────もしかしてさ、その憧れ方が間違って

 

 

 

 

俺が間違ってた?

 

 

 

 

────お兄ちゃんもデクもオールマイトに憧れたのにね?

 

 

 

 

じゃあ何で俺がオールマイトを終わらせちまってんだ?

 

 

 

 

────それは違うッ!!!

 

 

 

 

それに、あの『個性(ちから)』は多分…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デク」

 

気がつけば、俺は周りをキョロキョロ見ながら警戒しているデクに話しかけていた。

 

「…?なにかっちゃん。」

 

 

 

 

「てめェの『個性』の話だ」

 

 

 

 

 





戦闘の描写めちゃむずい…

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