ヴィラン名『キラークイーン』   作:尺骨茎状突起

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極道

 

「死柄木弔。今日トゥワイスが連れてくるのってだれか聞いてます?」

「…いや」

 

トゥワイスが連合を集合させた。

 

わたしがアイツらに敗北してから数日が経つ。その間、連合はバラけて仲間を増やそうと画策した。

トゥワイスが「合わせたいやつがいる」と、この廃ビルの様なところに集合させた。

 

誰が来るのか知らないわたしは、死柄木弔に聞いたのだがそちらもわからない様子。

 

するとこちらへ向かう足音がひとつ。

トゥワイスじゃない。トゥワイスなら「あわせたいやつ」と一緒に来るはずだ。

 

ドアのおくからやって来たのはトガちゃん。

 

「あっ、きらちゃん!今日は泣いてないね!」

「は?」

 

開口一番が煽りかよ。

ちょっとイライラしていると…

 

えへへージョーダン!

 

と、やけにテンション高いトガちゃんはスキップしながらわたしの隣へ。

 

「今日誰が来るのかな?」

「もう聞いたけど誰も知らないみたい。」

 

やはりこの子もこの子なりに気になるみたいだ。

正直な話、この面会というか、面接というかは参加自由で、必ずこいというわけではなかった。

 

が、あまりの収穫のなさにみな、少し疲れたのかやけに多く集まった。

いないのは、スピナーと荼毘。

 

「…テンション高いね」

「何だかんだきらちゃんとちゃんと話すの久しぶりだから!」

「…そう?」

「メソメソ泣いてばっかだったしー」

 

トガちゃんの後頭部めがけて回し蹴りを放つが屈むだけで回避される。

 

「わー、きらちゃんキレたー。これじゃきらちゃんじゃなくてきれちゃんですー。」

「泣かすッ!」

「まぁ、落ち着けよ。お2人さん」

「黙れクソ仮面」

 

コンプレスに仲裁される。

あーもうどうして何もしてないのにイライラさせられるんだ。

トガちゃんのせいだ。いつか絶対泣かす。

 

心の中でひとつ決心をした頃、コツコツと足音が響いた。

今度は…2人分。

つまりトゥワイスとその目的の人だろう。

 

まぁ、どんなチンピラでも我々の傘下に入るのは認めてやってもいいか。

と、考えていると。

 

「…へ?」

 

トゥワイスが思わぬ人物と共に部屋の中へ入ってきたので、変な声が出てしまった。

 

いや、したかないだろう。

写真で見たことあるが、まさか『死穢八斎會』とは…。

 

視線を横へずらし死柄木弔の表情を伺う。

あちらも少し驚いているみたいだが、冷静だ。

考えれば当然か。心強い仲間ができる。

 

「極道!?やだ初めてみたわ!危険な香り!」

 

マグ姉がここで声を上げる。

 

顔は…美形だろうか?

確信が持てないのはあの特徴的なマスクが原因だ。まるで鳥の嘴のように尖っているそのマスク。

聞けば、「死穢八斎會」のシンボルの様なものだった。

 

極道。

かつての裏の支配者。

その「かつて」というのは超人社会が世間に馴染む前、ヒーローが現れる前の話だ。

オールマイトを初めとしたヒーローの出現により極道の摘発と解体が繰り返された。

「死穢八斎會」はその生き残り。

いまでは監視されつつ慎ましやかに暮らしている敵予備軍、が妥当なところだろうか。

 

続けてマグ姉が問う。

 

「それでその細々ライフの極道くんがなぜ敵連合に?あなたもオールマイトが引退してハイになっちゃったタイプ?」

 

オールマイトの引退は、当たり前だが、裏の世界にも影響があった。

オールマイトという平和の象徴は存在自体が犯罪の抑止力になっていた。

 

そんな人が引退すればどうなる?

そりゃもちろん、抑止力がなくなったら犯罪は増える。そしてさらに表立ってしまったわたしたち敵連合もそこへ絡んでくる。

 

敵の組織化。

 

日陰者はいま、団結し、グループで動くことが多くなっている。要は「犯罪を起こしやすい」のだ。

動機付けもなにも必要ない。「オールマイトがいない」ということ自体が理由になる。

 

マグ姉の「オールマイトが引退してハイになっちゃったタイプ」とはここで犯罪を犯し、敵を名乗る不良のことを指す。

 

もちろん、目の前の極道を不良、と呼ぶのは少し違う気もするが。

 

「いや、オールマイト(ヒーロー)よりも、オールフォーワンの消失が大きい」

 

オールフォーワン。

先生の名前が出た時、僅かだが、死柄木弔はピクリと反応した。

 

極道に取って代わって超人社会の裏世界を支配したのは誰か?

オールフォーワンだ。

名前を知っているのは、「死穢八斎會」が古くからある故だろう。

 

彼よりずっと年上の老人たちは、先生の死亡説が流れてもなお、確信を持って恐れていたという。

 

気持ちはわかる。殺しても殺せないのが先生だ。

 

「それが今回実体を現し…タルタロス(牢獄)へとブチ込まれた

 

つまり今は、日向も日陰も、支配者がいない。

 

 

 

じゃあ次は、誰が支配者になるか」

 

 

 

死柄木弔の先生が誰なのか分かってるならばこれは挑発とも取れる行為。

 

それに対し死柄木弔は

 

「……ウチの先生が誰か知ってて言ってんなら そりゃ…挑発でもしてんのか?

 

 

 

次は俺だ。

 

 

 

今も勢力をかき集めてる。すぐに拡大していく。そしてその力で必ずヒーロー社会をドタマからブッ潰す。」

 

死柄木弔から放たれる圧。

しかし、目の前の極道はまったく動じずただ肩を竦めた。

 

「計画はあるのか?」

 

そいつは語る。

決して仲間になりに来たわけじゃないこと。勢力拡大以前に、マスキュラーとムーンフィッシュという1級品のコマを扱い切れてないこと。

無計画の理想じゃだめだと。

 

そして、そいつにはあるそうだ。計画が。

 

ただそれには投資が必要。

そこで名の上がった敵連合。

 

なるほど、要はそういうことか。

 

「俺の傘下に入れ。お前達を使ってみせよう。

そして俺が次の支配者になる。」

 

金が欲しいという問題と同時に勢力も拡大できる。

 

まぁ、わたしたちは確かにうってつけだろう。

けど…

 

「帰れ」

「ごめんね極道くん。私たち誰かの下につくために集まってるんじゃあないの。」

 

死柄木弔の「帰れ」を合図にしたのか、独断の行動なのか。

マグ姉はアイテムから包帯を外しその実態を現す。

大きな磁石。

マグ姉の「個性」は自分に磁力を付与できない。故のアイテム。敵を引き寄せたり、引き剥がしたり。

そしてそれも鈍器なのは変わりなく…

 

 

「何にも縛られずに生きたくてここにいる。

 

 

 

私たちの居場所は私たちが決めるわ!!」

 

 

磁石が極道の頭にぶち込まれた。

そして鮮血とともにはじけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マグ姉の上半身が。

 

 

「…え」

 

「先に手を出したのはお前らだ。」

 

「マグ姉ー!!??」

 

 

「先に手を出したのはお前らだ」だって?

それじゃこれはこいつの仕業なのか?

 

その時のわたしの心は不思議とマグ姉の死を悲しむことはなかった。

その時、沸いた感情は、激しい怒り。

 

マグ姉を殺したから?

 

違う。

 

 

 

マグ姉の殺し方だ。

 

 

 

あれは…何だ?あんなにもあっけない死があるのか?

 

あれは美しくない。

 

あれは殺しじゃない。

 

あれは…

 

 

あれはだめだ。

 

あれは「死」なんかじゃない。

 

 

 

「待て!コンプレス!キラークイーン!」

 

死柄木弔の制止を無視する。

コンプレスが左から詰めるのに対して、わたしは逆方向から。

 

恐らく、コンプレスの動いた理由は相手が危険だから。もともと手品と逃げるのが臆病な男だ。

 

それに対してわたしは完全なるエゴ。

でも、そのエゴはわたしの原点だ。

 

コンプレスが敵に触れる。

 

早い決着だったなとおもわれた。

が、圧縮しない。いや、できない。

 

「触るな!」

 

バツンッ!

 

アイツが腕を振るうのと同時だった。

コンプレスの左腕がはじけた。

 

「ってぇぇええ!!」

 

潔癖症なのか、そのあとコンプレスに触られたところを擦るのに動きが止まる。

チャンスだ。

 

「死ね。」

 

「盾!」

 

わたしの指先が触れたのは、あいつじゃなかった。文字通り、肉盾が出てきてその土手っ腹に触れた。

 

ならせめて爆風でもくらえ。

 

そのままその敵をあいつの方へ押し付ける。

クソ潔癖が十分な距離をとる前に起爆。

 

────ダガァァアアンッ!

 

近くでくらえばひとたまりもない爆撃。

それを食らってなお、あいつは立ち上がった。

 

浅かったか。

 

「なるほど」

 

死柄木弔の言葉を聞き届けて再び前を見ると。

「死穢八斎會」のなかまと思われる集団がご登場。

 

「ッ…おそい」

「オーバーホール。危ないところでしたね、左腕大丈夫ですか?」

 

トゥワイスは尾行されてなかったようだ。どれかの「個性」だろう。

 

わたしの爆撃は決定打にはならなかったが、左腕を負傷させたようだ。

クソ潔癖の名前はオーバーホールね。覚えた。

まだ左腕を負傷させただけ気分がすっきりする。

 

「…ってぇ。穏便に済ましたかったよ敵連合。」

「穏便に済ませる構えじゃないのに何言ってんですか?」

 

「…お前がキラークイーンか。…なるほどいいなお前。お前だけでも来ないか?」

「くたばれ。」

 

直々に指名を受けたが、こいつのそばに居るだけでもストレスフルになりそう。

 

「そうか、残念。ともかく、こうなると冷静な判断を欠く。戦力を削り合うのも不毛だし。

ちょっと死体は互いに1つ…。

 

キリもいい、頭を冷やして後日また話そう。」

 

腕1本はまけてくれ。

という言葉にわたしたちは震え上がった。

もちろん怒りでだ。

 

「テメェ殺してやるッ!」

「弔くん、私刺せるよ、刺すね。」

 

「……だめだ。」

 

「責任取らせろッ!」

「わたしもまだやり足りない!」

 

「駄目だ。キラークイーンもトゥワイスも落ち着け」

 

そんな話をしている間にもクソ潔癖は出口へと歩いていく。

電話番号の書かれた紙をこちらに投げ捨て言う。

 

「冷静になったら電話してくれ。」

 

そのまま極道は姿を消す。

 

 

 

戦力的にはお互いが1人やられただけの差。

敗北では決してないのに、敗北したようにわたしは感じた。

 

 





アニメが…終わってしまう。

はやくミリオのカッコイイとこみたいや。
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