あぁ、イライラする。
思い起こすのは、マグ姉の死の瞬間。
────バツンッ!
オーバーホールが触れた瞬間。
その「瞬間」で、その「瞬間」に一人の命が潰えた。
マグ姉は優しくしてくれた。
それに関してはわたしなりに感謝してる。今になってマグ姉がいなくなったことによる悲しさ、寂しさもある。
オーバーホールの『個性』はわたしの『個性』より、ぶっちゃけた話強力だ。戦闘面ではわたしの『個性』を遥かに上回り、ただただ敵を殺す上ではほぼ互角。状況や、精神状態も関係はすれど、正面切って勝てるとは思えない。
が、それ以上にあの殺し方だ。頭にくるのは。
あれは「死」なんかじゃない。相手をこの世から抹消するだけの行為。つまらない殺し方だ。
絶望に染まる表情
悲鳴
命乞い
恐怖
全部はなくとも、少なくとも2つは必要だ。じゃなきゃ「たのしくない」。
…わかっている。
これはただのワガママ。こだわり。なぜそうしないのか分からないからだ。
例えば友人に何かを教える立場だとする。スポーツでもなんでもいい。バットの握り方が違うよと、こちらは善意で教えているのに何度も言っても頑なに握り方を変えない友人に対するイラつき。
まぁ、わたしの場合はアイツを「友人」だなんて形容しないが。
「にゃ」
「あぁ、ごめん。ほらカリカリ。」
思いを馳せていたせいか、「相棒」の世話が疎かになってしまった。
この猫ともかなり仲が良好になった。少なくともわたしの命令には従うようになった。
この猫の『個性』も、アクシデントだったが判明した。
餌を食べ終えた猫の喉を軽く撫でていると端末に連絡が入る。
「…どうしました、死柄木弔?」
「戻れキラークイーン。『死穢八斎會』と話す。」
「どうするか決まったんですね。分かりました。…猫アレルギーの人っていないですよね?」
「知らん」
ガチャ…とそこで電話を切られてしまった。どうしよう?猫アレルギーの人いたらちょっと可哀想だけど…。
まぁいいか。
「いくよ。キャシー。」
「にゃ」
キャシーに背を向け歩き出すとわたしの後ろをトテトテとついくるだけ、かと思いきや器用にもわたしの肩まで駆け上がってきた。
どこの電気ネズミだよ。
肩にかかる暖かい重圧を気にすることなく、わたしは死柄木の元へと向かう。
────────
「…なんで付き添いにわたしを?」
死柄木とアジト付近で合流してからかなり移動して、いま目の前にあるのは『死穢八斎會』の本拠地。総本山。
正直な話わたしはカチコミに行くつもりでキャシーを連れてきたのだが、どうやら死柄木弔は交渉を持ちかけることにしたみたいだ。
「あの若頭はお前を気にかけていた。忘れたか?」
「寒気がするので思い出したくないだけです。」
自意識過剰なのかもしれないと思っていたが、どうやら他人の目からも「そう」映るようだ。
────いいなお前。お前だけでも来ないか?
明らかなスカウト目的の言葉。状況も状況で「俺たちの方が上だよ」というタイミングでの勧誘。
行く気は一切ないが、そちら側に着くメリットが魅力的なのは理解している。
「望み薄だとは思うが、多少なりとも交渉に使えるからだ。」
「…わたしに価値を見いだしてくれるのはいいんですけど、先に言っておきますね。
わたしアイツきらいです。」
先に言っておかないとなんて指示されるか考えられたものじゃない。
どうせ交渉に使えるって言ってもわたしがヤクザになることが条件になる。
あーやだやだモテるとつらいわー。
「向こうはお前を気に入ってるっぽいけどな。…こんなちんちくりんどこがいいんだ?」
「だまれセルフアイアンクローマスク。」
「アイアンクローは横だけどな。手。」
…そういえば、こう死柄木と2人で行動するのは久しぶりな気がする。
今じゃこうやって冗談言える中だけど、出会いは最悪だったな…
たしか…
────────
「おい先生、今日雄英に乗り込むんだろ?アイツはまだ調整終わんねぇのか。」
『ごめんよ弔、彼女が思ったより頑丈でね。ふふふ。』
モニター腰に聞こえる先生の声。
これはまだ先生が牢屋の外にいて、俺、死柄木弔には「信念」と呼べるものがなかった頃の話。
キラークイーンとはまだ、面識がない頃の話。
というのも、面識がないのは事実だが、1度先生に「アイツ」がどういった背格好をしているのか、マジックミラー越しに見せて貰ったことがある。
足枷で拘束されて、それがワイヤーで部屋の中心の柱に繋がっている。右足のみに足枷をしているので、部屋を動き回ることが出来るが、もう諦めたのか柱を背に、体育座りして顔を伏せていた。
やせ細ってる。
これが第一印象。その頃の俺はもう既に自分が敵だと気づいていたから「先生ならそういうことをしてても可笑しくない」と踏んでいたから、驚くことは無かった。
いったい何日ものを食わなければこんなにも醜くなれるのか、想像したくない。俺が先生に拾われた時よりもずっと、ひどい状態だった。だから当時の俺はアイツから目を逸らした。
ガキの頃のアイツにあったのは、それっきりだ。
次会ったのは、見間違えるほどに健康的な状態になったキラークイーンとしてのアイツだ。
時期はヒーロー殺しに会う前だ。
「キラークイーンです。よろしくお願いします。」
「しらねぇよ。本名は?」
「…姫砢です。苗字は爆豪。」
「爆豪ぅ?」
「死柄木弔、どうやら彼女はあの雄英体育祭優勝者の爆豪勝己の血族だそうです。」
爆豪勝己。あの凶暴そうなガキの親戚だァ?
黒霧の教えてくれた情報を元に、面接まがいのことをしていた。
とはいえ先生の「傑作」だ。性格に多少難ありでも受け入れるつもりだった。
ここまではいい。個人的にはかなり評価が高かった。うるさくないし、ゲームのキャラのように反逆せずに言うこと聞いてくれそうだった。
が、この後だ。
「の割には大人しそうだな。このちんちくり────」
ビシャッ!
時が止まった。
状況を一つ一つ説明するのはめんどくせえからサラッと言うわ。
アイツがグラスの水を、俺にぶっかけやがった。
「…あ?」
「あ?じゃねぇんだよ。手男。わたしのことなんつった?」
「し、死柄木弔!?き、キラークイーン謝ってくだ────」
「ちんちくりんつったんだよ。小学生ェ!!」
「死ねやセルフアイアンクロー!!!」
そのあと、俺とキラークイーンは黒霧の店をお互いの「個性」でそれぞれの方法でめちゃくちゃに粉々にした。
「キラークイーン。ヒーロー殺しについて調べろ」
「はい」
生意気だが、事務的に作業をこなし、俺に口答えはしなかった。人間味がないんだ。
体型のことを言われた時を例外として、だ。
だが、どこが先生のいう、「傑作」たらしめるのか全く分からなかった。
裏の顔を見るまでは。
「…黒霧、あれは…なんだ。」
「先生によりますと、あれは一種のルーティーン。彼女なりの精神を安定させるための行為だそうです。」
「酷いモンだ。」
冷血。
残虐。
殺戮。
言葉で表すならこれがベストだろう。
時々急にいなくなるキラークイーンを追いかけて見た結果、アイツはただの殺戮マシーンだということに気がついた。
先生からの重圧を発散する行為だと気づくのも遅くはなかった。
アイツは殺しを楽しんでいる。
「あっははははははははっ!」
「も、もう…や、やめてくれぇ!」
4、5人のゴロツキを拘束して並べたキラークイーンは、右端から1人ずつ、時間をかけて爆破していった。
アイツが楽しむのは最後の左端のやつ。
仲間が次々に爆破されていくのを見て、震え上がっている。
そこからはその1人を爆破して殺す。
そこで理解したんだ。
あぁ、コイツは
殺している間だけ人間に戻っているんだ。
「きらちゃん!きらちゃん!」
「はぁ…なんなんですか…」
アイツは、変わった。
先生がいなくなってからは特に。
「おいキラークイーン。これについてだが…」
「ちょっとまってください荼毘。そっちよりもこっちが…」
仲間が増えた影響か、はたまた自分から変わろうとしているのか、最近、以前よりずっと「人間らしく」なった。
特にトガと荼毘の影響が大きいように見える。
「きらちゃん最近親しみやすいですよねぇ!最初の頃はなんか機械みたいでしたし」
「…確かに、似合わないスーツ着るようになってから変わったな」
当の2人に聞いてみてもこうだ。
あの時、先生に黒霧に無理やり転移させられた時、アイツがなんて言われたかは分からない。
が、それが原点なのは間違いない。
ちょっとずつだが、人形から人間になっていっている。
それに、先生からも言われたことが気になる。
「なんだ先生。キラークイーンには席外してもらったぞ。」
その場にいたのは俺と黒霧。
この事実を知るのは俺たち2人だけだ。
「実はね弔、彼女、キラークイーン自身も気づいてないことを教えよう。君には知っていて欲しいからね
実はもう既に『個性』を1つ、埋め込んであるんだ。」
あけましておめでとうございます。
はい。結局年明けちゃった侍です。
さて、ここからは言い訳になるので見なくても結構です。
シンガポールにいったら野犬におわれて大慌てで塀をとびこえたらロープみたいなのに空中で引っかかって腕から落下。利き腕がポッキリいってさぁ大変。ギプスも外れるの遅いし痛み止めはあんま意味ないしストレスマッハ。ギプスがとれても執筆する気になれませんでした。
何を言ってるか(ry
というわけでリハビリ感覚で投稿しましたので、誤字脱字、あると思いますが、おおめに見ていただければと思います!
更新速度もちょっと遅くなると思います。
いや、本当はダメなんですけどね?
新しい年が皆さんにとっていい年になりますよう、心から願っております。
ではまた!