ありがてぇ!ありがてぇよぉ!
なにをするのかは大方予想がつきます。
「なぁ!頼むよ八百万!」
「八百万。頼む。」
私に頭を下げる2人のクラスメイト。
しかし、あまりにも危険すぎます。たった2人でヴィラン連合に捕まっている爆豪さんを奪還するだなんて。
「き、危険すぎますわ」
「ンなことは分かってる!でもなりふり構ってられないんだよ!」
「し、しかし」
「八百万。俺たちだって正面切ってカチ込むつもりはねぇよ。」
「じゃあ、どうやって」
「隠密行動だ!戦闘を避けて、爆豪を救出して終わりだ!」
あまりにも無謀な作戦。いや、これでは作戦とすら言えないだろう。
しかし、学友のピンチを放っておいて私の目指すヒーローになどなれるのだろうか?
「…少し考えさせてください」
「すまん。」
「八百万。決行は今夜だそれまでに頼むっ!」
もう一度私に頭を下げる2人。
はっきり言うならば、不可能だと思います。たった数人で私達の合宿を無茶苦茶にした
確かに私は轟さんを信用しています。あの期末試験の時に、沢山助けられました。今こそその恩を返すべきなのでは?
しかし、これは命の保証ができない案件。プロヒーローに任せるべきことなのでは?
色んな考えが私の頭の中でぐちゃぐちゃになる。
「…私はどうすれば。」
────────
私の友人である塚内くんが、我々プロヒーローを招集した。招集されたヒーローは2グループに分けられた。
私のグループは直接連合を叩く仕事が任せられ、
そこには私、オールマイトのほかに、
No.2ヒーローのエンデヴァー、
No.5ヒーローのエッジショット、
若手実力派ヒーローのシンリンカムイ、
そして、私の先生、グラントリノがいた。
もう一方のグループは神野にある脳無生産工場を制圧することが目的だ。
USJの時のような脳無がいないことを祈るばかりだが、制圧さえしてもらえればかなりこちらが楽に動ける。
そちらには、
No.4ヒーローのベストジーニスト、
No.10ヒーローのギャングオルカ、
『個性』巨大化で現在注目を集めているMt.レディ、
ワイルドワイルドプッシーキャッツが1人、虎。
「なんで俺が雄英の尻拭いを…こちらも忙しいのだが」
『まァそう言わずに…、OBでしょう?』
モニター越しに、エンデヴァーのため息に答えるジーニスト。たしかに彼は私と同じ雄英出身だ。かなり優秀な成績を収めていたように覚えている。
「雄英からは今ヒーローを呼べない。大局をみてくれエンデヴァー」
やはり塚内くんは肝が座っている。ヒーローでないのにエンデヴァーにその物言い。確かに仕事かもしれないがたまに私でもエンデヴァーに下手に出てしまうこともあるからね。
「今回の事件はヒーロー社会崩壊のきっかけにもなり得る。総力をもって解決にあたらねば。」
「俊典」
塚内くんが作戦について話を進めていく中、先生が話しかけてきた。
「俺なんぞを駆り出すのはやはり…」
「『なんぞ』なんぞではありませんよグラントリノ!
ここまで大きく展開する事態。
奴も必ず動きます。」
「オールフォーワン…」
私の師を殺し、この体に風穴を開け、あろう事か逃げ延びた男。
今度こそ私が刑務所にぶち込まなければっ!!
「それとヒーローには敵の親玉以外にもう1人気をつけなければならない存在がいることを伝えたい。」
「?」
塚内くんが突然付け加える。
「襲われた雄英の生徒からの証言から考えて、恐ろしい『個性』を持つ敵がいるかもしれない。
恐らくだが捕虜となっている爆豪くんの身内だ。ずっと前に行方不明になっている。」
爆豪少年の身内!?
「塚内くん、それは本当かい?」
「俺もこの目で見た訳じゃないが、生徒の証言と、彼女が幼少期のころ提出されていた個性届けに書かれた『個性』とが合致している」
「勿体ぶるな。どんな個性だ?」
エンデヴァーがしびれを切らしたのか、塚内に詰め寄り、続ける。
「爆豪勝己の力は俺も雄英体育祭の中継でみた。あれと同じなら確かに危険だが、そこまで気をつけるものでもなかろう。」
爆豪少年の『個性』は爆破。手のひらの汗腺からニトログリセリンのようなものを分泌して爆破させている。
汗腺から出るものなので、動けば動くほど強力になる。期末試験の時、私も彼の全力を貰っている。確かに脅威だが、今回の作戦通りスピード勝負の短期決戦なら大丈夫なはずだ。
「そうじゃないんだよ。エンデヴァー。ほかのヒーローもいいかい、よく聞いて
彼女に触れられたら死ぬと思っておいて。」
────────
「や、やめてくれぇ!!頼むよぉ!ただナンパしただけじゃないか!なぁ殺さないでくれよぉ!」
わたしが作った傷跡から血が垂れ流しになっている男が身の前にいる。
イライラする。
こういう時は発散しなきゃ。
「…大丈夫ですよ?ほら手を貸して?」
「ゆ、ゆるしてくれるのかァ?!」
「はい」
「ありがとなぁ!ありが……」
目の前の男が私の手に触れた刹那、爆破してやった。
あぁ!この匂い!この人を殺めたときの快感!!!
落ち着く、落ち着く。
さっきのオールフォーワンとの会話。ただの脅迫だ。本当は強がりかもしれない。刑務所に、ましてやタルタロスになんて入れられればもしかしたら。
そうだ!タルタロスならあいつは出てこられない!そうだ!そうd
────『僕がいる』
…。
「ぁあああああッ!!!クソッ!!あんのクソカスッ!!」
ダメだ!ダメだ!
従おう。怖い。言うこと聞こう。怖い。怖い。
動悸がっ!動悸が収まらない…っ!!!
「もっ、もういっかい!!もういっかいだれかをっ!!!」
ころさなきゃ…
「おい、ねぇちゃん!!こっちきてくれよーぅ!ヒック!!」
「酔いすぎだお前はぁ~!!」
「…いまいきますね!」
二人同時なんていつ以来だろう。楽しみだ。
あぁ、ダメだ。ニヤケ顔が隠せない。
「2人ともわたしの手を取ってくれますか?」
「えへへぇ!ねぇちゃん綺麗な顔してるねぇ!」
「こんなおじさん達でいいのかい?ははは!!」
「うん!
死は平等だからね。」
ザクッ ザクッ
「「え?」」
伸ばしてきた手のひらを、私のナイフが貫通した
「あああああっ?!」
「うるさい。」
「うがっ…ぉっ?!」
身長が低い方のおじさんが先に叫んだから口の中に鉄球をぶち込む。
「ひっ、ひぃいいいい!」
逃がすまい。次の鉄球をリロードして、逃げようとしたもう1人の背中にプレゼント。
「…っかはっ!?」
背中の中心部に当たった。
そして、爆破対象を鉄球からそいつに移し…
────ドカァアアン!!
木っ端微塵にした。爆破しなかった鉄球は地面に落ちる。
「…おまたせ。って気絶してるや」
そのまま目の前の死に損ないのみを爆破。彼の口の中にあった鉄球は地面に落ちる。
そして、2つの鉄球を回収する。
……。
ようやく落ち着いてきた。
いくら極限状態だったとはいえ、流石に1晩に3人はやりすぎた。
「いくら
理解していた。ずっと前から理解していた。
自分はそもそも他人と価値観が違いすぎた。
死は怖いという小学校のクラスメイトには疑問を持ち、死んだ猫をみて「可哀想」だなんて1度も思ったことは無い。
わたしはあれを、「死」を、「尊い」と感じた。
自分の『個性』が発現して、どんな力なのか理解した時震えた!!
恐怖などではなく感動で震えていた!!
わたし自身が死を与える、「尊い」ものを操るものだと理解した時!
わたしは己の性というものを自覚した!
行方不明扱いになってからは抑えられなかった。
証拠一切残さず苦しむ人を抹殺することが出来るのだ!
わたしは何人も、何十人も、この手で殺した!
しかし、わたしは見つかってしまったのだ。
あろう事か殺す瞬間を目撃されてしまった。
「…っ!」
あの方、オールフォーワンにだ。
────ドカン
「があぁっ!」
気がつけばもう1人始末していた。
…これも全部あの方が悪い。
考えたらまたイライラしてきた。
…もう1人だけ。いいよね?
主人公の性。そして過去のチラ見せ。
主人公の過去と個性の詳しい説明についてはまた後ほど!