いい区切りが作れなかったんや…
アホだろ。このガキ。
いま俺たち
死柄木も爆破の衝撃か、はたまた不意を付かれた衝撃でそのままの体勢だ。トゥワイスに拘束外させて正解だったな。
「言っとくが俺ァまだ戦闘許可解けてねえぞ!!」
ヤケなのか、本気なのか、どちらとも取れそうな表情で爆豪は俺たちを威嚇する。
「自分の立場…よくわかってるわね、小賢しい子!!」
「刺しましょう!」
「いや…馬鹿だろ」
性格や態度からみてコイツは悪に染まりそうな上に、雄英体育祭にて優秀な成績を収め、頭も切れることも誘拐する理由だった。
問題は前者が間違ってて、後者が正解だったってことだ。
しかたねぇか。1回痛い目見てもらうしかねぇな。
「その気がねぇなら懐柔されたフリでもしときゃいいものを…やっちまったな。」
「したくねーモンは嘘でもしねんだよ俺ァ。こんな辛気くせーとこ長居する気もねえ。」
そうかよ。
それに答えるように俺たちは戦闘態勢を取ろうとする。
────が、
「…手を出すなよ、お前ら。こいつは大切なコマだ。」
死柄木に制された。
…最初にあった時はまんまガキだったが、成長している。こうやって感情を抑えることもできるようになってる。
…俺たちには即攻撃しやがったくせにな。
「出来れば…耳を傾けて欲しかったな。
君とは分かり合えると思ってた…」
「ねぇわ」
「…仕方ない。ヒーローたちも調査を進めていると言っていた。悠長に説得してられない
先生。力を貸せ。」
「先生ぇ?…てめェがボスじゃねえのかよ、白けんなぁ!!」
「黒霧、コンプレス。またねむらせてしまっておけ。」
ここは狭いバーだ。こいつの全力の爆破がここを吹っ飛ばせるのは、体育祭みて理解している。
この時点で普通ならマズいんだが、こっちには黒霧がいる。爆風を反転してやれるし、正直こいつは積みだ。
「聞いて欲しけりゃ土下座して死ね!」
今こいつは全力で頭を回してどうにか逃れようとしてるはずだ。
だが、黒霧がゲートを開いて、コンプレスが手を伸ばす。たったこれだけ。これだけで爆豪はまた圧縮される。
チェックメイト。
「────────どーもォ!ピザ〇ラ神野店ですぅー」
SMAAAAAASH!!!
突如、スピナーの真後ろの壁が破れる。
「だれだぁ?!」
っ!?
スピナーは叫ぶ。俺も周りも状況がわかんねぇ。ただ死柄木だけは反応していた。
「黒霧!ゲート!」
だが、その肝心の黒霧さえ、硬直している。そして、そのスキを逃す相手じゃなかった。
「先制必縛!ウルシ鎖牢ォ!」
別のヒーローが腕の木を伸ばして俺たちを拘束する。
が、木なら俺の個性で…!
「ンなもん」
燃やしてやる。
と、続けられなかった。
「逸んなよ。大人しくしといた方が、身のためだぜ」
黄色と白の小さいヒーローの蹴りで俺の意識は遠のいていった。
最後に見たのは、突撃してきた本人、No.1ヒーロー、オールマイトだった。
────────
「オールフォーワン様。」
「わかってるよ。奴ら来てるね神野にも。」
わたしは現状を伝えるべく、不本意だがオールフォーワンの元に戻っていた。
現在神野には死柄木達のところとはこれまた別のヒーローグループが強襲し、脳無たちを捕縛されている最中だ。
「あっ、あの、死柄木様を助けなくても?」
「いや、あそこには脳無を送り込む。て訳で神野を取り返さなきゃ…一人でやれるよね?」
口元から伸びているパイプ、生命維持装置の様なものを手でいじくりながら問いかけてくる。
「ベストジーニストが邪魔すぎます。」
「正面からやったら…だろ?不意をつけ。」
「…わかりました。すぐ向かいます」
「その必要は無いよ。
僕が送ってあげるから」
ザバァァァ
「…ひどい匂い。」
あの後すぐに視界が黒い水のようなもので覆われて、気がつくと神野の脳無工場に転送されていた。
…さて。
「こんな楽な仕事でいんですかね?ジーニストさん」
「難易度と重要性は切り離して考えろ、新人」
標的発見。
────────
「機動隊!すぐに移動式牢を。まだいるかもしれない、ありったけ頼みます。」
脳無共を拘束し、この場を制圧した。
Mt.レディが言うように簡単な仕事ではあったが、手は抜かない。
「ジーニストさん、アレ…なんですか?」
「ん?」
そのMt.レディが何かを見つけたのか俺に聞いてくる。
「その装置の下の…っ?!」
「…こいつは。」
それは人間の手だった。大きさからして男性のもので、先程切られたのか、肌の色は白くなっていない。
…脳無の生産に関係あるかもしれない以上、一応回収はしておくべきか。
俺は『個性』を使って自分の服の繊維を伸ばしてそれを回収する。
この手、確に人間のものだ、玩具では決してない。しかし、
「なんだこの断面は?」
色の割には血が垂れておらず、真っ二つにされたと言うよりは「そこ」から先が消滅したような後、そして幾らか火傷が付いて…
────カチッ
ドカァアアン
断面を覗いたのがいけなかった。それはあろう事か俺の目の前で爆発した。
気を失う寸前、こちらを見てほくそ笑むフードの少女を見た。
────────
「んー。浅いですかね?」
「うっ…くぁっ…」
手がいい位置に来たので眼前で爆破したのに、頭が吹っ飛んでいなかった。
「ジーニストさん!?」
「どうしたジーニスト?!…子ども…か?」
「いや、こいつが爆豪の身内とやらだろう。しかしなぜ、こっちにいる?オールマイト達の方にいるんじゃなかったのか?」
Mt.レディと虎は状況が飲み込めなかったのに流石はNo.10、ギャングオルカだ。
にしても…
「ふぅん。咄嗟に服でガードしたってことですか。流石はNo.4ですね。第6感って奴でしょうかね?」
No.4ヒーロー、ベストジーニストの『個性』はファイバーマスター。繊維を自由に操ることができ、また相手が服を着ている以上は強力な『個性』だ。
もちろん自分の服を操ることも出来るため、爆発の瞬間、自分の顔を繊維で覆ったのだろう。
「まぁ、それでも目の前での爆発はそう防げませんよ。ジーニスト、聞こえてるかは分からないですけど。いまあなたは眼前の爆破の衝撃による脳震盪…いやそれどころか脳みそがシェイクされてるかも知れませんね。
あなたの自慢の服、上下ジーンズの服を盾にしたせいか、わたしの爆発力が強かったせいなのかは知りませんが、ボロボロですね。
滑稽です。ファションヒーローの名が泣きますよ?」
目の前での大規模な爆発をした。普通なら死んでいてもおかしくない…が、ジーニストは生きている。復帰する前に他を始末しなければ。
「貴様、女児だからって容赦せんぞッ!」
「プッシーキャッツの虎ですね。わたしに容赦しないのは正解ですよ。ただ、後ろ見なきゃ」
「?…なっ!」
そう、わたしが先に無力化したのはベストジーニスト。彼が多くの脳無を捕縛していたのだとすると…
「────ォオッ!」
「ぐっ!」
彼が無力化された今、脳無は自由だ。
虎の後ろの脳無はその大きな拳を虎に振り下ろす。しかし虎の『個性』は軟体。しなやかな腕で攻撃が捌かれる。
「えぇっ!?ちょっとッ!!」
状況を把握したMt.レディが、巨大化の個性を活かし、脳無を、その人を10人乗せられそうな大きな手で次々に捉えていく。
────しかしそれは悪手だ。
「────キャッ?!」
Mt.レディの手中で大きな爆発。
そう、脳無を1体爆弾にしていたのだ。
その衝撃で他の脳無の拘束が解ける。
しかし巨大化はやはり脅威だ。わたしの渾身の爆発だろうと彼女には小型も小型。何とか彼女自身を爆弾にしなければ。
「全員下がれ!俺が引き受けるっ!Mt.レディ!ジーニストを前線から下げろォ!」
「ラグドールも頼んだ!」
「はいっ!」
新人とはいえプロヒーロー。その冷静さは評価されるべきものだ。
Mt.レディが負傷したジーニストと意識不明のラグドールを回収する。
…っと。
「余所見か?余裕だなぁっ!!」
「…ち」
Mt.レディに気を取られていたところを虎のラッシュ、キャットコンバットと言うらしい。わたしの勝利条件は彼に触れればいいのだが、
「『軟体』厄介すぎっ!」
「まだまだぁっ!!」
自力もあるが、個性が厄介だ。その柔軟な体は次の攻撃に移るまでのタイムラグがない、常に攻撃をしてくる為、攻めに出れない。
足払いをかける。が、距離を取られる。
「俺の存在も忘れるなよ?」
「っしまっ────」
────キンッ!!
ギャングオルカ。『個性』シャチ。シャチに出来ることが個性というものだ。こういった動物系の個性は一見地味だがかなり強力だ。
たとえばこのシャチなんかその筆頭だ。
「…ぐ。」
「ゼロ距離音波だ。しばらく寝てろ」
ここまでなの?
ここまでだね…あーあ残念だっ────
『僕がいる』
「────まだだぁ!!」
「何?!」
「オルカ!後ろだ!」
ギャングオルカの背後には別の脳無。辛うじてギャングオルカの肩に攻撃は当ててくれた。
追撃しようとしたが虎のカバーが入る。ワイルドワイルドプッシーキャッツは4人でひと組のチーム、他のヒーローより団体戦というものに慣れているのだろう、視野が広い。
「すまん。助かった虎」
「気にするな、ただ忘れるなよ!
────ここは
次々と脳無が彼らに攻撃を仕掛ける。わたしはそのうちの1体に触れておく。
「っ虎!そっちの白い脳無は爆弾だ!」
「了解した!」
2度は同じ手に引っかからないか。流石はプロヒーロー。
「オォッ!!」
虎がまとめて3体の脳無をこちらに3体投げてくる。目くらましか?一応スイッチを入れて先程触れた脳無を爆破させておく。
すると目の前に飛んできた3体の脳無が爆風で視界から消える。
が、その影にギャングオルカがいた。
「くっ」
「今度こそゼロ距離だ!」
────キンッ
「────ぅぅ…ぁあああああああっ!」
「くっ、なぜだ?!」
このまま終われるかっ!
刑務所になんて入れられたら…
アイツと同じところに入れられる…!
それはぁ…っ…いやだあっ!
大きな音で、後ろにバランスを崩す。
ここを勝機とみたオルカは詰めてくる。
「────がぁっ?!」
詰めて来たところ、腹に鉄球をお見舞いする。オルカが足を止めたのを確認してそのままサマーソルトの容量で体勢を整える。
そんなわたしをカバーするように脳無が前にでる。
意外と有能かもしれない。
オルカはさらに距離をとる
「音波が聞かないトリックを見破られば…!」
「ギャングオルカ、落ち着け、きいてないワケじゃない」
ビチャ…
「…そうみたいだな動きが止まったから、やっと見えた。」
うっとおしい。じゃまだ。
わたしはフードを上げる。耳が痛い。耳に触れる。
やはり血が出ている。もうほとんどこいつらがない言ってるかわからない。
手を開いて閉じる……動きに支障、なし。
ふぅ…しかし、なかなか調子を崩せない。
やはり搦手で行くしかないか。
鉄球をもう一度、今度は虎に向けて放つ。
「来た!」
「後ろだ虎!」
────キンッ
虎は鉄球を抑えている間に、ギャングオルカは背後へ迫った脳無を音波で吹き飛ばす。
とにかくいまは数を撃たなければ。
鉄球をリロードして、打つ、ギャングオルカのそばで起爆する。
それを繰り返す。
「────くっ、こいつ知ってやがる!」
「オルカ、引け!そのままだと乾燥するぞ!」
ギャングオルカは乾燥に弱かったはず。爆風であいつを干からびさせようとするが、そうはさせまいと虎が再び踏み込んでくる。
「脳無っ!」
「────ォオ!」
「ええい、邪魔だァ!」
数匹の脳無が虎を抑える。
わたしは慌てることなくボーガンに鉄球を装填する。
こいつは爆弾に変えない。
でも別のものを爆弾にしておく。
「死ねぇ!」
「ぁがああ?!」
おっといけない。口が悪くなってしまった。
脳無によって動きが制限された虎の眉間に鉄球をぶち込む。気絶は…まだしていない?タフだ。
「こんなんで…男がくたばるかよォッ!」
「────ッ!くそ!」
いまギャングオルカの攻撃が響いてきた。頭がくらくらする。よけられな────
「ぁああ?!」
虎のフルスイングがわたしの腹にねじ込まれる。相当な威力でわたしは後ろに吹っ飛ぶ。とてつもなく痛いが、意識はある。
それに痛みで朦朧としてた頭が多少スッキリした。
「…まだ立ち上がるのか?!」
「…いっ…たいです…ねぇえぇ!」
「おい、こっちだ」
「っ、脳無!早くっ」
────キンッ
お前は次に「え、これ区切り悪くね?」という!!
…ごめんなさい。