fate/zero x^2   作:ビナー語検定五級

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 ……事が未だ晩秋のように小さな翳りと静けさで満ちる
事がそれ程に不満かな?

 なに、幾つもの饗宴と狂宴の為には 言い訳がましいが
繊細な調律が必要な事を痛み入って欲しい

 偉大なる芸術家が手掛けた、あの文化の転換期と言える
絵画を振り上げた足でへし折り 木片が飛び散り幾年もの
年月の結晶が割れる音を聞く為にも


玉響

 レム睡眠の中で、彼女は闇の中と異なる場所の中を佇んでいる。

 

「よく来たのぉ 桜よ。慣れぬ所ではあると思うが

暫く寛ぐと良い。今日から、お前は儂らの家族なのじゃからな」

 

 ある日の記憶。最初だけ、御爺様は好々爺とした振る舞いを見せていた。

本当に、見せていただけ。

 

空は雲ひとつない程に青く澄み渡っていて。天気だけは私が新しい日常を

迎える事を皮肉交じりに祝っているようだった。

 

 少し、こちらに来て欲しいと言われ。お父様 お母様から聞かされたけど

未だ、その意味を完全に解ってない私は。ただ良い子にしていれば、また元の

幸せな生活に戻れる夢を抱えていた。その僅かな幻想の為に、御爺様の背に

従って、暗い底に繋がる階段を恐怖を殺しつつ下る。

 

 「こっちじゃ」

 

土蔵の深く、深く。きっと、そこまで深い場所じゃないけど地獄の口に

繋がっているように感じられた。冷たい石畳を裸足で歩き、視線は何かが

潜んでいる明かりが殆どない天井や、壁と思える場所へ何度も向かう。

 

 これから何をするの? 

 

そう言った疑問を投げかけようとする前に、私の前にアレが現れていた。

 

御爺様がついた木杖が軽く叩かれると同時に、ガサガサガサガサ這いずる音が

耳朶へと大きく鳴っていた。

 

私の耳の穴、鼻、口、おしっこする所や、お尻の穴。何処もかしこも

知りぬいているアレが影を濃くして集まっていく。

 

 御爺様は微笑んで……哂っている。

 

 「今 どんな気分じゃ?」

 

お父さまと連れ添い、最初に顔を合わせた時にあった柔らかい目元は既になく

不気味な眼光だけが桜を捉える。

 

 桜は、無力だ。桜は、何も出来ない。

 

 桜は、お父さまにも、お母さまにも、お姉ちゃんにも見捨てられた要らない子。

 

だから   私は   私は   私は

 

          

       「――最悪以外 何もねぇよ 変態蟲野郎」

 

「ぇ……」

 

 私の口から飛び出たのは、自分とは異なる力強く荒々しさを秘めた罵倒。

 

桜の視点が移り変わる、黒から赤に 薄暗い土蔵から広々とした通路のような場所に。

 

視界の中に、既に御爺様は居なくなっている。

代わりに、不思議な生き物たちが満ち溢れていた。

 御爺様のアレとは違う、大きな大きな赤い瞳の蜘蛛に、指揮者見たいなマネキン。

黄色い目玉が一杯生えた樹木、黒い球見たいな大きな口を生やして笑っている

仮面が付いた怪物。大きな黄金色の卵形の中に入った綺麗な女の人。

 沢山の人の手足や内臓で出来合わさった大きなワンちゃん見たいな生き物。

天秤を持った背の高い人見たいに歩く鳥、その背後にもっと大きな何かが居る。

 

どれ一つ相手にしても、決して敵いはしない絶望的な存在。

 

    「――化け物(アブノーマリティ)共は、全て消し去ってやる」

 

      「何度目の前に立ち阻もうと、同じ事だ」

 

 あの人が、立っている。十字架見たいな模様の棍棒を構え、ソレ等に対峙している。

体には幾つもの疵が出来ている。足元に赤い泉が出来上がり片腕だって失くしてボロボロだ。

 一つ相手にするだけでも大変だろうに関わらず、その全てに本気で彼女は倒すつもりで

対峙している。その瞳には、決して私には無い光が爛々と燃え上がっている。

何で? どうして?? 

 絶対に、勝てる筈がない。それなのに、何でそんな無駄な事を……。

 

        「決して忘れられないこともある...」

 

        「どれだけ時間が経とうと冷めないものもある」

 

        「私は――――」

 

何かの言葉を紡ぎ終えると、彼女は屍が転がる地面を蹴り怪物達へ立ち向かう。

 

指揮者の形をしたマネキンがオーケストラを奏で始める。死体で寄せ集められた

怪物の咆哮が空気を震わす、黄金卵が光を放ち怪魚のような大きな生き物が産まれる。

 赤い瞳の巨大蜘蛛を守るように、夥しい蜘蛛達が洪水のように迫る。

 

多くの圧倒的な絶望を、たった一人で……。

 

 

 

 「ぃ……おいっ、起きろ。ガキ」

 

瞼が開かれる。

 目の中に、息が掛かる程の距離で睨みつけるように見下ろすゲブラーが映る。

普段通りの保護スーツに赤いジャケット。腕も切断はされていない。

 

 「飯だ。さっさと顔を洗え」

 

灰色と褐色のオッドアイの目は、機嫌悪そうな鋭さを今日も衰えさせない。

 それに、少女はちょっとの間を開けた後に了承の声を短く唱えて

言う通り寝台を降りると、洗面台に無言で移動し紅葉のような手で洗顔を始める。

 

 その様子を眺める彼女の顔つきは、気に入らないと言わんばかりだった。

 

 Lobotomy coop内で、ゲブラーが間桐 桜の護衛もとい世話係に任命された。

現実時間と比べ、時間の流れが緩やかな空間の施設内では幾らか日数が経つ。

 劇的な変化と言ったものはない。何の力もない子供を、アブノーマリティの

収納してる施設の中心部に案内するような自殺行為など管理人が許す筈ないし

セフィラのゲブラーもする気はない。副次的に供えられたトレーニングルームで

職員達の戦闘訓練の教官を務めるのを、桜は眺めたり。たまに時間が出来て

話しかけてくるセフィラ達とゲブラーが話す横で置物のように座るのが日課だった。

 

 誰かが作ったスクランブルエッグや、トーストなどを静寂が満ちる部屋で咀嚼する

音が一つだけ響く。桜は、光ない瞳で機械的にパンを食べ牛乳を嚥下する。

 ブスッとした様子で、行儀悪く机に肘立てて顎に手をかけゲブラーはそれを見つめる。

セフィラ全体は、その正体は会社の支柱たるロボットに近い存在にあたり食事をする

必要は殆どない。ケセドのように常時コーヒーを摂取するのは嗜好や生前のトレースだ。

 

ゲブラーには、生前に愛好していた品と言うものは聞かれても特にないとした言いようがない。

強いて挙げるなら、煙草の一本ぐらい一人っきりで黄昏たい時にでも吸いたくなるかも

知れないが。桜と居る限り、そんな下らない自己主張を繰り出す気も無い。

 

 桜は桜で、なんでこの人は何時も怒っている顔をしてるのだろうと。時々明後日の方向を

鋭い目線で見る横顔を盗み見しつつ思う。四六時中、ずっと彼女は大小なりの怒りを備えてる。

 

 「もう良いのか? なら、行くぞ」

 

食べ終わるのを見届けると、食器を片付ける事もなく通路へと大股で出る。それに小走り気味で

付いて行く小さな紫色の頭を一瞬一瞥して見下ろしつつ目線を戻し前進する。

 

 関係は、凄く良好とは言い難いものの。多少は収まりついたものと至っていた。

 

 ギンッ゛ ガギンッ

 

金属が打つ音が一室に響く、激しくも一定に鳴らされるメトロノーム染みた奏では暫し桜が

眺めてる空間を流れてから、黒装束が地面に濡れ雑巾が叩きつけられるような音と共に

唐突に終了した。涼しい顔のゲブラーと、息の荒い10人程のアサシン達が対峙している。

 

 「どうした? まだまだ動けるだろうがっ」

 

長い棒状の武器を肩に提げつつ血のような真っ赤な髪を振りつつ、彼女は一気に突進する。

 アサシン達は、一瞬虚を突かれ硬直したものの。迫るゲブラーに一人は防御をとり

残るは空間の幾つかの場所へと飛び退いて反撃の機会を狙う。

 

 「馬鹿共がっ! その動きは見切っているって言っただろうっ」

 

捨て身で動きを膠着状態に陥らせようとしたハサンを、小石でも蹴るかのように簡単に壁へ

叩きつける彼女は、天井と東西南北の5方向から迫る黒い巨大な飛来物を旋回するように

武器を振り回して撃墜する。残る四体は同時に されどタイミングを僅かにずらしての

連撃を突進しつつ転じるものの、ゲブラーはその先端を僅かに自分の持っている武器で

弾いたかと思うと、蹴りを先頭のアサシンに叩きつけた後に残る三人に長物を投げつけ

一人を昏倒させた後に、残る二人の腹を殴りつけ吐瀉物を撒き散らせつつ伸ばした。

 

 「ちっ……速いだけが取り柄かっ。おらっ、立て 休んでる暇はないぞ」

 

 無茶苦茶だと、最初に戦闘不能になって覚醒が早かったアサシン達から文句を

心の中で垂らす。この女 百戦錬磨の生粋の武闘家だ。最初はアノ管理者と言う女から

この保護スーツの女と多人数で組んで戦えと言われて何を馬鹿な事をと失笑を仮面裏で

浮かべていたが、甘かった。

 

 剣術、槍術、杖術……斧や鎖鎌といった変則的な武器であろうと一流に精通している。

我等とてサーヴァント、刃引きがしてる武器とは言え生前と同じ物を使用してるし

動きも殆ど最初のマスターの配下の時と変わらずの動きだった。なのに関わらず

どんな攻撃も、いなされるか力押しで弾かれ。その直後に鋭く重い一撃が意識を絶つ。

 体術においても、徒手空拳で的確にハサン達の顎や水月といった急所を打ち抜く。

男性のハサンであれば躊躇なく金的を行おうとするし、遠慮といったものは一切ない。

 

一番異常なのは、そのタフネスだ。ハサン達とて今はこのcoopの職員と言う冠位に

収まっているが、サーヴァントであり英霊にまで登り詰めた存在。並みの人間や

キャスタークラスであれ、直接戦闘なら分がある筈なのに関わらず。この女は

体感時間で既に数時間は猛攻を繰り広げながら、殆ど汗すら掻いてない。

 いや、気の所為でなければ。戦う毎に、その闘気が高まっていないか……?

 

 戦慄を隠せないままに、何とか気丈を保ち武器を構えるハサン達を。称賛や感心と言う

好意を一切なく、殺気すら込めかねない様子で長物を振り下ろす体勢に移るゲブラー。

 

 一触即発の彼女達を止めたのは、一つのアラーム音だ。それを聞くと、舌打ちをして

ゲブラーは時間終了の旨を告げる。心底の安堵を吐く彼らに対して、彼女は無慈悲に告げる。

 

 「てめぇら軟弱過ぎだ。これからも定期的に時間あれば扱いてやるからな」

 

そう言うやいなや、さっさと彼女は小さな子供を引き連れてトレーニングルームへ出る。

 

噎せ返るような、濃い汗と鼻につく嘔吐物の匂いに囲まれたハサン達は扉が閉まる音と

同時に糸が切れるように倒れるのだった。

 

 「たくっ、弱すぎる。あれならlevel5の職員達のほうが余程歯応えある」

 

苛立ちを全く解消せぬまま前進するゲブラーの背中を、黙々と桜は追う。

 その時、少しだけ馴染み深い呻き声のようなものを聞き取り立ち止まった。

一つの扉に無言で顔を向ける桜をに対して女性も、その扉の前に近づいて気づいた顔を

すると口を開いた。

 

 「あぁ、此処も謂わばトレーニングルームか。確か、お前の以前の保護者的な立場

だった、カリヤ、だったか? そいつが、いま使ってるよ」

 

 入って様子でも見てやるか? と聞くゲブラーに。ゆっくりと桜は顔を横に振る。

 

どうせ、見た所で何も変わりはしない。あの、おじさんは場所が変わっても

痛い事をきっと自分から進んでやっている。桜がどうなろうと、勝手に。

 

 そんな彼女に、ゲブラーは僅かに眉を顰めつつも そうかよとぶっきらぼうに言い捨てて

通路へと進むのを戻る。

 

 「心配するな、怪我させるような真似はしてねぇよ」

 

少しの間の後に、僅かながら何時もより怒りが和らいでいる口調の声が掛けられる。

 顔を俯いて歩いていた桜は、少し顔を上げたものの。そのゲブラーが、どのような顔で

その言葉を投げかけたのが、終ぞ分からなかった。

 

 

 

 

 雁夜の要望は管理人に通った。彼女は、その翌日には彼にトレーニングを課した。

刻印蟲の拷問にも一年血反吐を文字通り吐いて、死と隣り合わせた自分だ。似たような

修練を科せられても耐える意気込みを持っている。葵さんを幸せにすると言う目的の為なら

どんな地獄にでも付き合う気だった。あのアブノーマリティと呼ばれる存在と闘う事に

なったとしても構いはしない。

 

「こんにちは、私の名前はイェソドです。情報チームのセフィラです」

 

「こうして、お話するのは初めてですね」

 

広々とした一室に案内された彼を出迎えたのは、自分が救おうとしていた少女より濃い

紫の髪をした男性だった。出会いがしらに厳しい洗礼を受ける覚悟もしていた雁夜は

穏やかな交流に少し困惑しつつも自己紹介を終え、その彼を管理人と似た無機質な目で

観察するイェソドは。一通りのプロフィールを交換した後に説明する。

 

「さて、今から貴方にして頂く事ですが『シモニデスの記憶術』です」

 

「かつて存在していたと言われる詩人、ギリシアの詩人シモニデスから発祥した

超記憶力を身に着けるトレーニングを貴方にはして頂きます」

 

 記憶力の向上? そんな代物が、魔術の力を上げる利益に繋がるのかと反論する。

イェソドは、その質問に管理人を連想させる口調で言い聞かせた。

 

「貴方のここ最近の診察結果や、魔術回路と言う循環器官を拝見させて頂きましたが

これ以上、心身に極度の負荷をかける事や異常存在に関与して無理な力の上昇を試みる

のは文字通りに自殺行為です。何より、我々Lobotomy coopは貴方の想像しうる範囲の

魔術、と言う代物は専門外です」

 

 「けど、トレーニングをしてくれるって……少しでも戦える力を身につけないと」

 

「ならば、E.G.Oにでも手を出して見ますか? 私は勿論、他のセフィラや管理人の

許可が下りる事はないでしょう。アレ等の代物は多かれ少なかれ人の心に影響を及ぼす。

推定でもALEPHクラスが残り5体を一人で倒せると己惚れているのなら、病室での

再度の療養をお勧めしますよ。貴方は一般人でありゲブラーではない。

 それに、管理人が出動して解析中の現在のツールアブノーマリティは聖杯戦争と呼称

されるのですよね? 戦争には、各々の役割があります。戦略・調略・進駐・外交……

貴方は我々の管理者のマスターである事は理解してます。その立場が重要である事を

自覚なさっているのなら、無為に自傷行為に繋がる鍛錬は止めて頂きたい」

 

 この彼も、歯に衣着せぬ正論ばかりかと頭痛が起きそうになる。だけれども、彼が科す

鍛錬が何の利益に繋がるのかと敗北が予め決められた反論はする。

 

「この戦争にあたって、サーヴァントと呼称されるアブノーマリティ同士の衝突は不可避です。

我々の収容するアブノーマリティの解放も止む無く生じてしまいました。大型ツールの干渉で

アブノーマリティも我々の保有するデータと異なる行動も見られている。正常な作業が出来ず

パニックやlevel3の非常事態が起こり得る可能性が高い。管理人が鎮圧出来ない可能性さえも。

 そのような時、管理者を招来させた貴方しか代わって作業する事は出来ません。然しながら

貴方は私の目から見てもlevel1の職員か、それ以前の管理者としての適性しか所有してないと

見受けられる。ですので、我々セフィラが短い時間ながらも精一杯、貴方には付け焼刃でも

管理者としての行動を振舞えるように教育するつもりです」

 

 自分の展望とは、かなり予想の外れた展開だ。本当なら、未だ体からほぼ取り外されたものの

操作可能な蟲の操作や使役、または魔術師としての魔道の修練を行うとばかり思っていたが

これは……これは全く違う。危険性は皆無だが、どうにも自分が望んでいたものと違う。

 

その思考や感情を、目前の紫の男にぶつけてみるも反応は冷淡だ。

 

「未だ理解してないのですか? 最初に収容違反を起こしたF-01-02が無差別に瀕死の

貴方にも致死量の火傷を与えた事をまさか忘れた訳ではありませんよね。

 アレ等アブノーマリティを貴方の言う魔術と言うものでコントロールしよう等と間違っても

思わない事です。仮に可能だとして、どれ程のメリットがありデメリットを引き起こすか。

 管理人は、あくまで生前の経験からアレ等を効率良く衝突し合い人為的に収容可能な状態まで

移行させる事は慣れてますが、ゆめゆめ貴方も出来る等と楽観視しない事だ。

 貴方にいま必要な事は、管理者としての如何なる状況でも冷静に判断しうる力を培う事。

その為には、瞬間的に今まで見て来た視覚情報の材料を補填する事ですよ」

 

 またしても、論戦には完全敗北を喫した。軽く歯ぎしりしつつ、彼から配られたトランプやら

何かしら幼児教育にでも使用しそうな絵札を見て、それ等の数字と絵札を総合しての記憶力テスト

と言うものを何度も実施する。こんな修行が、本当にいずれ実を結ぶのか?

 

無力な自分が恨めしい、だけど、度外視した実力を身に着けようとすれば自壊する。

忌み嫌っていた魔道を身に着ける事は顰蹙だ。だからと言って、この一般人でも可能な

修練が、自分の為になるかと言われて、はいそうですと素直に心から賛同出来ない。

 

適切な処置である事は理解している。けれど、流されるままである事に納得が出来ない。

 

雁夜の、ジレンマを知ってか知らずが。彼は不気味な紫の光を宿して告げる。

 

「先の見えない暗闇は、 言葉では言い表せないほど寂しいです」

 

「私の言葉ではありませんが。何が起きるなんて予想できませんよね?

だからこそ必要なんです、その時こそ『分別できる理性』が」

 

それからと言う物の、行うトレーニングは雁夜の感覚からして恒常としたものだった。

 

記憶トレーニング、パッションテスト、マインドマップ、瞑想、数独、絵本の朗読

または小学生か幼稚園児が行う簡単な計算問題を手書きで行う。

 

どれもこれも、魔術師としてのトレーニングとかけ離れたものだ。危険や大きな刺激が

全くない訓練に業を煮やし、たまに腹を据えかねて雁夜は怒鳴った時もあった。

 

だが、その度に。このトレーニングに参加するセフィラ達は告げる。

 

「今感じてるその絶望的な無力感。しっかりと感じてください

いずれ貴方も沢山経験して、こう思う筈です。私は十分に出来るんですよ……って。

けど、挫折した時には全て手遅れなんです。だから、今はその役割に忠実に

大丈夫! きっと出来ますよ!」

 

赤いヘアバンドの女性。マルクトからは、そう激励を貰った。

 

「一番大事なのは仕事を早く終わらせる事さ。その方がより確実で余裕のある仕事が出来る。

その仕事の為の準備として、このトレーニングに無駄はない。

お前はいいよな、簡単に無駄口が叩けるからな。

 俺達は何時も後始末に追われている。今の管理人になってからは多少後処理が減ったんだ

だから、お前もせめて俺たちの後始末が少しでも減る能力を身に着けてくれよな」

 

決別して、今や接する事すら無くなった血縁に多少似た容姿の男からは謂れのない罵倒を。

ケセド、と名乗る男性は。半ば無関心そうに、けれど的確な助言はくれた。

 だが、事ある毎に鼻が麻痺しそうになる程に目の前でコーヒーを飲む事は遠慮して欲しい。

 

「怒ってます? そんな、ダメですよ! 私は良いセフィラなんですから!

私はここで、私が出来る範囲で全力で貴方を助けていきたいんです。

 私の手伝いが助けになるなら幸いです……」

 

何処か、よく見知っているような女性からも助力を申し出た。物憂げな茶色い長髪の女性。

 けれど、何処で自分は。この女性に良く知っている相手と出会った事があっただろう?

葵さんで無い事だけは解る。……駄目だ、わからない。

 

「何でティファレトが、あんた見たいな奴のトレーニングに付き合わなくちゃいけないのか

理解に苦しむわ。いえ、わかってるのよ それもこれも 全部管理人面してる あいつの

所為だって事わね! 私たちだって暇じゃないんだから、あんたが一端の管理人の補佐

だって言うのなら、さっさとマスターしちゃいなさいよ!」

 

桜ちゃんと同い年ぐらいの見た目の子にも、激励なのか罵倒なのか良くわからない言葉を

投げかけられる。前向きに捉えれば応援だと思いたい。

 

彼らセフィラ、と言える。このサーヴァントの宝具なのか、それとももっと別の未知なる

空間で働いている彼、彼女達は好意的に見れば協力してくれる仲間なのかも知れないが

何処となく疎外感も雁夜は感じている。

 

 それを一番顕著に感じられたのはホド、と自己紹介してくれた女性と同じぐらいの

草色の長髪の男性だった。彼は見るからに投げやりである事を隠さない調子で、怠惰な

目つきで俺に対してクロスワードパズルか、瞬間記憶のトレーニングゲームなどを

渡すと、後は素知らぬ様子でビール缶を嚥下する。

 その非協力な対応には、流石に我慢できず指摘するものの。ネツァクと言う名前の

彼は、自分を嫌な目つきで見つつ半笑いで謝辞を述べる事なく返答する。

 

「俺はこんな地位に就く事なんて望んちゃ居なかったのさ」

 

「ただ、一縋りの希望の為に全て投げ捨てたつもりだったが……結局の所、何もかも

全て無意味だったって理解しちまったんだ。あんたは、何となくだけどツルノよりも

俺に近い感じもするな。いや……何もかも投げ捨てる前だったのか、それ以降か」

 

美しい青々とした芝生か、または毒々しいのか判別出来ぬ緑の髪の一房を彼は

僅かに弄った後、鼻で笑い再度握っている缶に口付ける。

 

「まぁ、どうだって良いんだがな。所詮、俺には関係ない事だから」

 

それを最後に、彼は雁夜との会話を途絶えた。雁夜も、彼と会話する意思を自分の兄と

同様に続ける意思をなくした。

 

 彼らと幾らかの親交を深める事に、一体どう言う意味があるのだろうか。

 

「人恋しさを覚える頃だと思っての、私からの配慮であったが」

 

要らぬ世話だったかな。と、久しぶりに見る透き通った瞳と無表情な顔に幾らかの安堵と

フラストレーションを混ぜ合わさった苦々しい半眼で彼は口開く。

 

 「……君の好意を無碍にする訳じゃないけど俺は、自らの成果を得たいんだよ。

こんな閉鎖した空間で、ずっと頭のトレーニングをしてるだけなんて気が可笑しくなる。

 いま、外ではどう言った状況なんだ?」

 

彼女は、何も と一言だけ述べる。その簡素な反応に深く眉間に皺作る自分へと

手を軽く振って言葉が続けられる。

 

「本当に、何も起きてないのだから それしか言えない。あの百貌のハサンと呼称される

アブノーマリティ達の収集を終えてから、現実空間では特に目立った動きはない。

 この大型ツールの起動以前から発生してる、性悪な殺人事件に関しては別だが」

 

 「殺人事件って……」

 

「深山町の、魔術師やアブノーマリティとも全く無関係な一般家庭で発生したものだ。

登校、出勤時間になっても姿を見せない家族達を不審に思って連絡したものの音信不通

である事から警察が出動されて異変に気付いた。

 家宅のリビングには夥しい血痕及び、夜間の犯行によって犯人が行ったと思われる

人の血液による魔法陣が描かれていた」

 

 住居している父母、その子供である長女と長男の遺体は未だ発見されてない為

今のところは失踪と言う事になっているが。と、管理者は区切りを付ける。

 

手渡された新聞でマークされた部分だけ読み上げ、様々な感情を込め雁夜は呟く。

 

 「こんなの、どう考えてもサーヴァントを召喚する為にやった事じゃないか……」

 

「だろうな。何者かが大型ツールの干渉に手を出した……まず、この四人に関して生存は

絶望的と考えて良い。霊体化して観察した限り出血量は成人男性二人分に値する。

 父親、そして妻と長女は間違いなく魔法陣を描く素材として使用されたのだろう。

だが、ここからが肝心だ。リビングから玄関に続く廊下までに足跡らしき反応も見えた」

 

 「……どう言う事だ?」

 

 雲行きが怪しくなってきた。この空間は、天井こそ何かしらの細工で電灯がなくても

辺り全体が発光して明るいのだが。その明るさを曇らすような空気が形成されていく。

 

「この会社は高性能な科学で構成されている。その技術の一端で、私が目にした

犯行現場を、今 目の前に創造してみせよう」

 

 僅かに、キーボードを滑らすような音が聞こえた気がした。それと同時に僅かな振動を

体で感じ取ると共に広い空間の中に立体的だが透過された部屋の一面が出来上がった。

 

 「ホログラムっ」

 

雁夜が息を呑んで呟く通り、それはホログラムだった。だが息を呑みこんだのは高度な

立体映像への感心ばかりでなく、死体こそなくもショッキングな血まみれの部屋を

目にした事もあってだ。彼の挙動を他所に、革靴を鳴らし彼女は説明を始める。

 

「ルミノール反応と言うものについて、一応簡単に説明させて貰えれば。血液に対し

紫青に発光するアルカリ性の物質だ。今から、それを散布させた後の図を展開させる」

 

管理者が指を鳴らす音と共に、部屋の照明が一段弱まる。薄暗い中に、青紫色の発光が

生まれ始め、そして雁夜にもホログラムの中にある違和感が気づけた。

 

 「これは 足跡 か? ……子供の、足跡だ」

 

僅かにだが、青紫色で少々不明瞭ではあるが子供が裸足で踏んだと見受けられる痕が

リビングから廊下まで続いていた。だが、途中でその足跡は切れている。

 廊下を抜けて直ぐに、まるで鳥がそこから飛び立ったように不自然に足跡は途切れてる。

 

「これは、私の推測だが」

 

 言葉は、冷静そのもので何時も通り感情はなかった。だが、まるで地獄の底よりも

冷え冷えとした、背筋を凍らすような気配が見え隠れするように雁夜だけは思えた。

 

「この犯行現場を作り出した存在は召喚されると同時に、恐らく未だ生き延びていた

児童を面白半分に逃がす真似をしたのだろう。それが、どう言う思惑かは分からない。

 だが、どうあっても善意からではない。この拘束されていたであろう児童は

家族の遺体から流れてる血を踏みつけ、それでも尚 生きる希望を捨てず出口へと。

 その軌跡を完膚なきまで消失させた存在は、平然とこの街中に存在してる。

……この子はきっと、怖かった筈だ、恐怖の中に居た筈だ。家族を殺した殺人犯と

そんなものが召喚したアブノーマリティに挟まれて」

 

「だけど、この子は生きようと選択したんだよ雁夜。先が絶望でも、この子は……」

 

ホログラムの青白い足跡を、屈んだ手は悲し気に撫でる。屈んだ背中は小さく

今にも触れただけで壊れそうな儚さを秘めている。

 

「――必ず鎮圧させる。このアブノーマリティに関しては、雁夜

君が何と拒否しようと私は存在を許容はしない」

 

 「俺も、君の意見を否定する気は一切ないよ。……構わない、好きにしてくれ」

 

雁夜は、このような異常な魔術師達の抗争が無い世界であれば平凡な幸福を尊ぶ市井の

一人であった。彼とて、このような邪悪と表現する以外にない所業に対して慈悲をかける

程に聖人ではない。パートナーの彼女の望むままに支援するつもりだ。

 

 薄暗かった部屋の光明が元通りとなり、ホログラムが途絶えた時。彼女の雰囲気はまた

落ち着いたものへと移り変わる。それに安堵しつつ彼は言葉を続ける。

 

 「何か出来る事があったら、何時でも遠慮なく言ってよ」

 

「なら、トレーニングを継続して欲しい。それと、気が向いたらで良いから彼らの

写真を撮影して欲しいんだ。思い出は、胸と頭の中で残すのも良いが形で残る事も望ましい」

 

返答に対し、強い頷きを返す。元より、仕事としても趣味としても撮影には慣れている。

 この建物で、出来うる限り自分の趣味が。彼女や、その彼女を支える従業員達の助けに

なるのなら、少しは自分が役立てたと思える。

 

 携行している、愛用のカメラの絞りを調節し始めようとする。だが、その行為を中断

するように彼女の、それと…… と言う続けられた声に顔を上げる。

 

    「――これから先 猫に遭遇した時は直ぐに私に連絡してくれ」

 

 その目は、つい先程のアブノーマリティの鎮圧宣言と同等か それ以上の真剣味を感じた。

 

 

 

 

 

 

 日が高い中、新都のヴェルデと呼称されるショッピングモールに。スーツに暗色のパーカーを

身に着けた女性は人通り多い中で機械的に歩行する。

 すれ違う通行人達からも特に彼女に関心惹く事はない。神話のような絶世の美貌でもないし

いまの彼女の表情は抜け落ちており、喜怒哀楽ない無は人を引き寄せる事はない。

 

(この辺り一帯は多くの人間が行き交う故に、大型ツールから派生したアブノーマリティと

遭遇する可能性が高いと考えていたが、そう都合良くはいかないか)

 

 深山町の一家を殺害したと思われるアブノーマリティの痕跡は現場となった家宅を除いて

周辺には切り取られたように手掛かりとなるものは存在しなかった。

 

それでも、今の段階で判明出来る事も幾つかある。

 

(黄金の鎧及び 多量の武具を発現可能なアブノーマリティ。百貌のハサンと呼称される物

そして、コトネが話題の中で告げてた鶏小屋の窃盗犯。

 遠坂時臣。ハサンのマスター、言峰綺礼。鶏の窃盗犯である、マスターと思われる存在。

これ等に関しては容疑者から除外は出来るだろう)

 

住宅街を恐怖に陥れた存在は、サーヴァント召喚の為に犯行を及んだと仮定するのならば。

召喚以前に存在が視認出来たアブノーマリティ二体と、そのマスターは外れる。

 学び舎に侵入した未知の人物に関しても、愛玩動物を無断に殺生する事は倫理的に幾らか

問題あるものの、未だ人としての常識が通用しえる相手だと管理者は判断する。

 

人の手や人智を超えた生物に病やミームに現象によって数々の死を見せつけられた自身の

経験から、あの現場での出来事は人としての感性から大きく外れた存在の凶行だ。

 

(早期に鎮圧しなくては、甚大な被害の発生は限りなく高い。

……あのアブノーマリティ達を町の監視網として外に出す事は、出来ない。未だ、私達のした

行為に対し納得はしてないし、理解もしていないだろう)

 

 『管理人』

 

 耳元に告げられる力が込められた声に、ゲブラーの名を唱えて何か起きたか尋ねる。

 

 『大した事じゃないが……あのガキが、もう幾つかの部屋は飽きたようだからな。

映像投影した所で、閉所空間な事には変わらないからな』

 

 その言葉を受け、少々瞼を閉じて理論的に思考する。

 

間桐 桜の体調は、蟲の残滓が心臓内部の器官に残る影響の懸念さえ除けば身体的には健康。

 この冬木市には、未だあのT-04-50亜種が潜伏している可能性が高い。そのギフトが未だ

機能している事を考えれば、余り長く外界で過ごさせる事は危険ではある。

 

(……いや、Lobotomy coop内に居る事も。同じ事か)

 

自身が管理している施設内のセーフティルームに長居させる事だって、完全に安全とは

言えない。何かの弾みでWAW ALEPHが放出される事になれば施設は容易に破壊される。

 外から招いた雁夜、鶴野、そして件の少女がその際に無事にこちらの空間に出せる

保障はない。令呪と言う存在の有効性も、自分が管理者である以上 試す訳にいかない。

 

 間桐 桜の外出の許可を出す。ゲブラーは謝罪も感謝の反応もなく、代わりに

何度も交わしたやりとりを管理人に放つ。

 

『言っておくが、外でアレを見かけたら直ぐに私に告げろ。お前の権限が通用するような

甘い奴じゃない。いま一番危険なのは奴だからな』

 

 何度目かの、肯定の返事を行いつつ。懸念事項の上位に昇り詰める彼女の行方を考える。

 

セフィラの一人であり、抽出チームを取り締まる存在としてE.G.Oに深く関与してる立場。

Lobotomy coopの下層にて墓守としての役割を努める彼女は、生前 壊れつつある世界に

最低限の秩序を取り計る機関の総軍、謂わば国の剣であった。

 戦闘と言う意味合いでサーヴァントと優劣を計るにして、どれ程脅威があるか不明だ。

遺された数少ない記録で推定するには、彼女は底知れない部分が多い。

 

潜むのであれば、どのような場所なのだろう? 紅茶は嗜んでいたからと言う理由で

この町の小洒落た喫茶店などに居座っている筈もあるまい。

 巣、外郭や遺跡、黒い森に裏路地など幻想種が蔓延り超人が彷徨う世界に対抗出来ていた

人物だ。どの環境にも直ぐに適応する事は可能だろう。

 

会社の歯車であった一つが抜ければ、その全体も正常に回る事はなくなる。

これから先、大型ツールの干渉を受けながら運営はどうなっていくのか。

 

(もう、コトネとこれから先。あの団欒を楽しむ事は出来なくなる)

 

 あの時の、ハサンとの交戦。ユミの変異に関する衝撃的な光景は雁夜と自身が施した

暗示と記憶処理により、影ながら見た限り彼女に変調きたした様子はない。

 それでも、彼女を危険な状況に巻き込んだ事は拭い去れる事はない。だからこそ

気が重いながらも、ベンチに座り彼女が笑顔で小走りに近づくのを待ち受けつつ

何時もと同じ、他愛ない会話を楽しんだ後に告げる。

 

 「え……いま、何て?」

 

「そろそろ、此処での仕事の区切りが付いたのでね。多分、明日には元の場所に

帰る事になると思う。だから」

 

 「そんなっ、もう暫くは居るって言ったのに」

 

目元に浮かぶ悲しみの彩りは、抑えている筈の感情の泉に確かな揺らぎを齎す。

 

「御免ね。でも、上からの指示には逆らえないんだよ私も。お仕事だから……」

 

 数日の、数時間会話するだけの関係であったのに関わらず。随分と彼女には日常の

象徴として、平穏を 暖かなものを沢山貰った。

 

 公園に来る前に立ち寄ったファンシーショップなどで買った、子供が好きそうな

ぬいぐるみに、雁夜からのアドバイスで買った露天のアクセサリー等は彼女の悲哀を

少しでも薄らせるのに効果はない。

 

 暫く、どちらともに何も言えずに居た。このまま、立ち去る事も考えた矢先

コトネの顔には以外にも明るさが見え隠れする色合いが出て来た。

 

 「じゃ、じゃあ! 私っ、スラーが外国に戻っても。手紙を沢山書くよ!

それに、色んな所に。お仕事に行ってるのなら、また日本に 此処へ戻ってくる事

だってありえるでしょっ?」

 

 その言葉に、沈黙を作り出さない事は困難だった。

文通など、出来る筈がない。このまま姿を消した後、彼女の前に再び姿を現す事など。

 

この大型ツールアブノーマリティの現象を解析し、制御及び破壊が完了すれば自身と

ソレに連なるアブノーマリティ達の存続は止まる。

 コトネの望む通り、予め彼女の期待に沿った手紙を作成して雁夜か鶴野へ保存して

架空の返信をさせる事だって、やろうと思えば出来る。

 この大型ツールの願望機とやらの機能を使用すれば、彼女が大人になり自身が人と

異なる存在である事を理解し、別れに納得する時まで存在する事も可能なのだろう。

 

だが、ソレを許す事は出来ない。私は、管理者なのだ Lobotomy coop最後の。

 

 出来ない、と言葉を出そうとする。だが、その前に自分自身の理性の意思に反し

何処からか来る熱と、言い知れぬ力が言葉を封じる。

 その間にも、コトネは。気の所為でなければ泣きそうな笑顔で告げた。

 

「もし、直ぐにまた戻って来る事が出来るなら……。日本では年越しがあってね。

大晦日に冬木では柳洞寺に行って、お参りにも行くんだよ。

 ねぇっ、スラー。もし、お仕事が空いたら 一緒に初詣に行こうっ」

 

 「…………そう だなコトネ」

 

 「――時が許すのなら、一緒に、その時には行こう」

 

差し出された小指に、否定の素振りと発言を成す事は叶わず、小指を絡ませた。

 

 世界は残酷だ。こんなにも、清らかで無垢な子の願いすら、叶う余地を与えない。

いや、叶う芽があると知りながら、目を潰してるのは自分なのか。だが、胸の中に

あるエゴは、目前で微笑む少女に今までの自分と邂逅した点なる奇縁から

今までの線を全て記憶処理と言う無情の空白で埋める事を許しはしなかった。

 

それ所か、心の機微は荒唐無稽だと知りつつも。大型ツールが比較的安全な代物なら

彼女との初詣、もしくは中学に上がるまでは存続する事も良いかも知れないと言う

馬鹿げた願望を抱いている。自身の使命と義務に反する浅はかで賤しい想いを。

 

 

         (――どうか この子の未来に)

 

 

         (沢山の幸福が あらん事を……)

 

 

 

 

 

 

 




アブノーマリティ達:じっと力を溜めている

綺礼:じっと力を溜めている

臓硯:じっと力を溜めている

愉悦先輩:力を溜めつつ 高度に柔軟な対応で裏方に徹している


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