fate/zero x^2   作:ビナー語検定五級

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 さて 君らはコレが見たかったのだろ?
あらゆる虹のような異なる煌きの激突を

しかしながら、忘れてはいないか?
様々な色は 凝縮すれば一点のセピア色よりも
大衆には不愉快に思われる濁りで満ちる事を

染みや穢れと呼称するソレを愛でる者もいるがな

私は そのキャンパスで目に映る全てを塗っていく


最初に天を 次に地を そして最後は―――



交響

 

肉体的な痛みは無い。だが、度重なる脳の酷使によって心地よさが多少ある多大な

疲労感と共に、リラクゼーションに富んだ寝台に横になる。それを凡そ手足の指以上の

回数越したものの。それでも未だ外の、サーヴァント達やマスターが織りなす冬木では

一日経ったかどうかの時間と言うのだから可笑しな話し。

 自分が浦島太郎染みた錯覚を覚える。もっとも、亀を助けるような出来事もないし

玉手箱を開くような、開けてはいけないものを貰った覚えもない。

 

 繰り返す眠りの中で、度々 海の色とも晴れた空の色とも異なる造られた青の髪の毛

そして褪せた金の光を瞳に帯びる女性が自分を見つめる。

 

 「貴方は変わりませんね」

 

 ……何の事だ。

 

 「私は忠告した筈です。その試みは予期せぬ結果を引き起こすと」

 

 ……何の話だ。

 

 「試行演算での成功確率が100でない限り、実行は中止するべきでした。

例え99,9パーセンテージが成功であったとしても残る0,1で何か起きるか分からない。

何百もの結果が正しい事が証明されても、一つのバグが致命的な欠陥となってしまう。

 私がそうであったように、絶対など無いのですよ? ……どうして」

 

 何故 君はそんな悲しそうな……。

 

 「こんな形になっても、まだ貴方は私の事を見ないのですね」

 

 意識が遠ざかっていく、もっと深い場所に。

 

幾つもの、人の顔 顔 顔 顔 顔 顔。

 泣いたり、怒ったり、達観していたり、冗談を吹かす変顔だったり、勇ましかったり

涙を流しながら笑っていたり、そんな 多くの老若男女の顔。

 

 『約束だ』 『約束よ』 『誓うよ』 『誓う』 『信じてるよ』 『絶対だ』

 

切り替わっていく映像の中、背丈や人種 年齢 性別も異なる人々に共通するのは

信頼しあっている事だろう。状況も、今にも死にかけていたり 医務室だったり

研究室らしき場所での仕事中だったりと異なるものの、彼らは何かを互いに

願っているようだった。眩しさを伴う 美しい情景。

 

 切り取られた輝き。それが見続ける中で黒い火が突如浮かび上がり呑み込んでいく。

 

燃えていく映像、焦げ付き炎上してゆき輝く燐が闇の中に舞っていく。

 

 彼女の声が木霊する。

 

「約束するよ (規制済み)」

 

「(規制済み)は お前の為に……」

 

 

 (規制済み) (規制済み) (規制済み) (規制済み)

 

(規制済み)(規制済み)(規制済み)(規制済み)(規制済み)(規制済み)(規制済み)

 

             

                (規制済み)

 

 

 

 

思いがけない事態とは、常に日常の中で起こり得る。

 

探索に探索を己の足のみで行い。脱走者の痕跡や、平和を愛する一家を

恐怖と絶望で塗りつぶした凶徒を自分の足だけで手掛かりを探したが

特に成果が得られず丸一日が経過した。市内で起きた異変で他に挙げれば

図書館の入口に被害が生まれ一時休業に至った事だ。

 

 アブノーマリティの収容数は増加していく。雁夜のトレーニングも地道に

根本の疾患は改善見られぬものの判断力や知覚の鋭さが見え隠れし始めた。

 仮称として、雇用アブノーマリティとなる百貌のハサンの成長性も特に

問題は見られない。反抗心はあるが、表立って他の職員達に手を出す気は無い

様子だが、外での同伴は未だ様子を見るべきだろう。

 

 往来を何時も通り歩行しつつ、周囲の特異なものを見る視線が傍らに集中

しているのが感じ取れる。

 

 「やはり、君の外見は目立つな」

 

「はんっ、ファンデーションか何かで傷を隠せってか?

それか、髪の毛でも黒く染めろって言うのかよ」

 

 「そう助言しようとも思ったが。雰囲気からして君は否応に常人と違うし

化粧や お洒落と言うものは苦手だろう?」

 

「例え、管理者命令でも御免だな」

 

 横を歩くのはセフィラのゲブラー。グレーのトレンチコートを身に着け、下に

動きやすい黒い軍服のような着衣をして前進する彼女の眼光は鋭い。

 腰まである血のような赤い髪も目立つが、顔に走る細かい傷や肉食獣めいた気配は

自然と人に距離を置かせる。彼女と隣接して歩こうとする度胸あるものは

彼女の上司である管理者Xを除けば、手を繋ぎ死んだ表情で歩く桜のみだ。

 

 「それで、町並みを見て どうだろうか」

 

「ある程度探ってはいるが……蟲らしい気配はない。ただ、センタービルって建物が

並んでる方角。あっちに一体 アブノーマリティが居るな」

 

 瞳孔のない、灰色と褐色のオッドアイに無機質な目を向ける。大きな長い傷がある

右目に掛かった髪の毛を払いつつ声が続く。

 

「隠す気のない、馬鹿正直な闘気って言えば良いのか? 全身から俺は此処だ 

何時でも挑戦を受けるぞって挑戦的に威圧を発してやがる。

 私が、少しでも殺気を此処からぶつけたとしても。そいつは気づいて向かってくるな」

 

 「大型ツール その中の未確認四体の内の一人……か」

 

雁夜からの情報だけでは不足部分が大きかった、この聖杯戦争と言うものの全貌は

ハサン達をハントした事により大幅にザイードの口から有益な内容が放出された。

 

 教会への届け出、御三家の成り立ち、魔術師と言う在り方など。聖杯からの情報を

遮断している管理者Xにとって、初耳な事が幾つも得られた。

 

(重要な情報の一つ。ハサンのマスター、教会と遠坂家の同盟関係……本来の聖杯戦争では

脱落したマスターの保護を担う場所は、今回に限っては無いと言う事)

 

まだ多勢のハサンを保有する言峰 綺礼と言われる参戦者。そして、横で寡黙に周囲の

風景を光なき瞳で映す少女の実父である遠坂時臣。

 

(最初に、ハサンを発見時。アブノーマリティをけしかけた事が大きな失策だった。

 無謀な試みであり、その時点では情報不足で抗戦以外選択肢なかったものの。

その事によって、私がバーサーカーと言う存在で彼らの敵対者である事が決めつけられた。

 間桐桜を、遠坂邸に連れて行って返還を試みても。何かしらの裏を勘くくられて

正常な交渉や談合も出来ないだろう……駄目元で、手紙でも送ってみるか)

 

「どうする? 呼び寄せてみるか」

 

勝気な台詞に対して、返す声色に変化はない。

 

 「勝てる確率は幾らだ」

 

「さぁな。闘れば解る事さ……わかってるよ、言ってみただけだ」

 

無茶はしないさ。と、皮肉気な笑みを向けるゲブラーを静かに見つめ、その目を

斜め下に向けて静かに語り掛ける。

 

 「久しぶりの町は、どうだい?」

 

「……あの人達のいる場所へ 行くの?」

 

 桜の言う、『あの人達』と言うワードに管理者は、ほんの一瞬だけ誰を指すのか

理解が滞った。だが、雁夜の記憶の一端が解答に行きつかせる。

 

 「会いに行きたいかい?」

 

その言葉に、桜は管理者の透明な瞳へと顔を上げた。

 多分、この人はYESと告げれば連れて行ってくれる。自分は 桜は『あの人達』の

所へ戻りたいのだろうか?

 

 …………わからない。

 

 心を自ら投げ捨てた少女には答えが見つからなかった。その胸の内を正直に一言帰す。

 

桜にとって、管理者は怖い人ではない。だからと言って優しい人かと聞かれれば首傾げる。

御爺様の居ない場所へ連れて行ってくれた人。桜の中にいる蟲を取り払ってくれた

 美味しいんだろうなと言う料理を毎日出してくれるし、綺麗な服も取り揃えている。

遊び相手として、ティファレトと言う名前の少女を引き合わせたり、色んな大人の

女の人や男の人を紹介して世話を焼いてくれる。不自由する事はない。

 

だが、どんな種類の優しさや暖かい言葉に振る舞いも桜の心を元通りにするに至らない。

黒昼のように、光を寄せ付けぬ暗闇が桜の取り巻く世界だ。

 

間桐臓硯や鶴野は『虐める人』 間桐雁夜は『虐められる人』

セフィラ達 職員は『虐める人や虐められる人の輪の外で歩いてる人』

 

なら、この私を見下ろす人は何だろう? 

虐める人や、虐められる人では無い。だからと言って、その輪の外側かと言われると

答えに窮する。何を、どう言葉にしても間違ってるようで 正解なようで。

 

管理者は、桜の分らないと言う言葉に。同じように一言、そうかと答える。

 

 「じゃあ、今日は。一日中、君の遊びたい場所で遊んで、行きたい場所に行こう」

 

「……遊ぶのは、あそこでも出来るから」

 

Lobotomy coopには、桜の為に用意されたかのように。児童書を始めとした書物は

多く並べられていたし、彼女にとって未知のゲーム機やら映像機器も沢山置いていた。

 マルクトを初めとした、お節介な者達は色々と実演まじえて桜の相手となったが。

どれ一つとっても、桜は疲労を感じるものの浮き立つような感覚が返り咲く事はなかった。

 

「でも、出来るなら……海に行きたいかな」

 

だが、少なからず収穫はあった。様々な立体映像機器の中で、一つだけ心に残ったのは

大海原の情景。鳥籠の鳥として、一年と言う月日で開放的な外を知らないで過ごしていた

彼女にとって、海と言うものは懐かしくもあり生物の原点として惹き付けるものがあった。

 

 桜が自分の願いを口にした。今の光景を知れば健常の体に戻る前後であれ雁夜なら

狂喜乱舞しそうな変わりようだ。管理者は、その言葉に少しだけ目を細めるものの、直ぐ

表情を普段通り打ち消して言葉を口にする。

 

 「なら、海浜公園か……ゲブラー」

 

「わかってる。ガキ 行くぞ」

 

ぶっきらぼうな言葉と共に、赤い髪が翻り体の向きを変える。彼女と手を絡み合い繋がる

少女は引き寄せられるままに体の向きを変えるが、ハサンを吹き飛ばす臂力を持つのに

関わらず地面に引き摺られるような事はない。握る手は力強いが、桜の手に痛みを

与えないように極力注意が払われている。

 

 冷たい外気から守るように前進して揺れる赤い髪を暫し見惚れてから、少女は歩行音が

一つ減ってる事に気付き首を回す。管理者が静かに見送るのを見て呟く。

 

 「……あの人は一緒に来ないの?」

 

「お前を守るのに、自分がいると少々邪魔になるんだとさ。別に、私は管理者が付属

していようが、いまいが気にしないんだがな。命令だから仕方がない」

 

 少女の視線を受けて、管理者は軽く手を掲げる。同じように手を掲げて、口を開き

バイバイと告げようかと思った。けど、それを口にすると二度と会えない気もした。

 

それを感じとってか、人混みに彼女が見えなくなる間際に前を進む戦士は淡々と告げた。

 

 「心配する事ねぇよ。柔い体してるが、存外 あいつは思う以上にしぶとい」

 

 

 

 間桐 桜を守護するにあたり、危険視されるのは亜種アブノーマリティこと間桐臓硯

第二は、彼女を連行する事により激情にかられて強引に奪取する方法を選ぶ可能性ある

実父の遠坂時臣。第三は、雁夜と桜 自分が守護しなくてはいけないダーニングポイント

に気付いて標的にしかねないセフィラの彼女だ。

 

ハサンや雁夜の情報を纏めあげ、聖杯戦争のみならず魔術師と言う存在は外界に自分の

存在を頑なに守秘する傾向である事から人の多い通りに、あえて自分は溶け込んでいる。

 繁華街にいる限り、魔術師の類やサーヴァントと言われるアブノーマリティ達の

襲撃が低いが、セフィラの彼女に限ってはそうではない。平然と人混みで大量殺戮

しかねない危うさも含まれている。

 

(ゲブラーの実力は確かだ。もし、急襲が桜とゲブラー側にあっても直ぐに連絡さえ入れれば

職員達の援護及び迎撃に移れる。複数に敵対する人物がいる現状では、共に桜を居させる事は

身の危険を高めるリスクが大きい。それなら、自身が信頼する相手と出来る限り自由行動を

とらせリスクを分散させるほうが良い。戦闘に長けているのは、彼女以外他ならない)

 

二人の後ろ姿が無くなってから、今後の方針を反復してトレースを行う。

 

深山町一家の殺人犯の索敵。

マスター及びアブノーマリティ(サーヴァント)の確認。

 

ビル方面のアブノーマリティの偵察も行いたいが、言峰 綺礼と言うマスターと間桐 桜の

実父に訪問する準備も執り行いたい。

 

(いっその事、鶴野を外出させ他のマスターと言われる魔術師達と面識を持たせたほうが

良いかも知れない。知識だけで、魔術師の常識が今一つ欠ける自身より。当主としての

立場を据えている彼のほうが建前上、交渉に長け……)

 

 ……ピタ。

 

状況を統合させ、最良の行動を整えようとした時。その異常は人混みの中で発見された。

 

 一瞬、自身の目にバグが発生したかと思えたが、ソレは自然と周囲の人間に何の

違和感も持たせず歩いていた。

 

 黒い髪、毛先は金色に染まる短髪。六角形の大きな記号が描かれた外套

左の耳元に、骸骨か鍵のようなイアリング。

 

                   ――ビナー

 

凡そ、十数メートルの距離を人の波に流されて彼女が進んでいる。

 誰も傷つけてないのに関わらず、冬の時節の外気が一層と、自分の空間が彼女を視認した

瞬間に更に冷え込むように感じられた。

 

(ゲブラーへの 報告……いや、通信をジャミングされない保障が、ない。

一般人が多すぎる。下手な動きは被害を)

 

 一瞬の迷いの後、彼女は追跡する事を選んだ。単身で勝てるとは思っていないが

彼女と対峙して敗北しない程度の戦力は数日間で何とか集まるに至った。

 今この瞬間に目の前に現れた事が、何かしらの罠であれ。慢心している訳ではないが

直接戦闘を仕掛けてこようと回避する手段は備えていた。

 

段々と、彼女は人のいる通りから裏通り 路地裏 そして人気が完全に消え失せる。

空から降る雪よりも音が生じず歩く後ろ姿に少しでも起きるかも知れない違和感を

注意深く観察して、その歩行が止まったのは奇しくも遂さっき別れた少女が見たいと

言ってた海が隣接する港の倉庫街だった。

 

 立ち止まった黒い外套は、海から漂う潮風を受け軽くはためくものの人影は

そのまま身じろぎ一つする事はない。

 

鋭くガラスのような瞳で、片手を指鉄砲の形に掲げ死角から観察続けていた管理者は

意を決して彼の最凶のセフィラの前に全身を露わにした。

 

 「ビナー。どのような真意があって姿を生じさせたのか不明だが……目の前に現れたのだ。

大人しく、下層の管理下に戻って頂きたい」

 

 管理者Xは、出来る限り柔らかい言い方で後ろ姿に語り掛ける。

ソレが、大人しく自身の運営する建物の中に戻るとは露とも思っていないが。管理者として

例え、相手が現状一番の敵対者であっても一定の礼儀を怠るわけにはいかない。

 

相手は不気味な程に反応がない。短いようで永遠に等しい間の後に、もう一度声を掛ける。

 

 「この大型ツールアブノーマリティに、君も願いがあるかも知れない。だが、coopで

多くの理不尽な状況に相対した貴方なら解る筈だ。アブノーマリティに願う事の無意味さを」

 

「――航海の時」

 

 風に乗って漂う調べ。決して大きくもなく強い感情が乗せられた訳でもないのに

人を沈黙させる力が込められた唱えが発せられる。

 

「ポッペアの戴冠曰く、私は『かつては女王であったのに、今や食い扶持と衣を乞う卑しき身』

だが、こうも告げよう。

其方は『寺院を持たぬ宇宙の創造主、帰依する者も、祭司もない女神なのだ。』とな……」

 

振り返る目には、光なき……いや。

 光すら吸い込みそうな黒を両眼に宿し彼女は何かを抱えている。

細い手に抱かれたソレを、管理者は鋭い目線を注ぎこむ。

 泥で形成された胎児 地獄と言うものを赤子の形に模った呪印 煮詰まった陰の集約物。

 

xは、ガラス玉のような目を俄かに険しくさせ声の調子も同等に鋭くさせる。

 

 「何を抱いている お前は 釣瓶から何を引き揚げた」

 

「何を? アーネンエルベで見かけたティーポットだよ」

 

確かに、ソレは人から見て正しく年代物の陶器だ。だが、管理者には別の存在に見えた。

 

 「根源か」

 

「オリュンポスへの舵取りを成す時が来たのだよ。

そして、こう告げておこう 殉教者よ。

『徳を追う者は、富も名誉も得る望みはない、そう、この運命に恵まれないならば。』」

 

 管理者は、そのティーポットに狙いを定めて指を掲げる。対し、ビナーと呼ばれる女性は

何一つ表情変えず、春の陽だまりのような気配を発し静の状態のまま。

 シールド・回復・遅延・処刑。様々効能のガンドと言える弾丸で。

母親が大事に抱きかかえるような物体を破壊する事が出来るか模索する。然し、頭の中で

繰り広げる試行演算は何百、何千の方法を検討するも。いま収容するアブノーマリティ

職員やハサンの投入を成しても、その試みが成功する可能性を見いだせない。

 

 「なんの思惑で、ハサンと言われる者達を贈った。いや、それはもう良い」

 

 「この都市に この世界に手を出さないで貰いたい」

 

「アリオダンテに載せて、告げよう。

『地上の万物が自らの言葉で愛を語る。流れる瀬音、草原、そしてブナの林まで、

愛に心を奪われたこの私に。』

この『ガリオン』が、宣言しようとも。

『喜ばしき天国に運命の歌声は響く、このうえなき幸せの日が来たと。』……な」

 

 その言葉に、一瞬だけ向けた人差し指を管理者は照準をブレた。

そして、心なし乾いた声で呟く。

 

 「何を取り戻した……殻の中に育くみ実らしたものは。まさか」

 

「最後に アティスで我が幕を締めくくろう  そして 助言を。

 

『偽ってはならない。私はお前の秘密を知っている。だが恐れるな、口外はしたりはせぬ。

寂しく、暗い森で、ある日、凡人のアティスは一人ぼっちであることに気づいたのだ。

繁った葉かげでまどろむ私は、愛についての呟きを聴いたのだから。』

 

             『――急ぎ来たれ、シベルが降臨する。』 」

 

 瞬間、視界を遮ったのは黒い塵雲だった。手を翳し、シールドを反射的に張ろうとするが

その前に、その塵は只の毒性も何もない塵である事を知る。

 

 ほんの少しの視界の閉ざしは、目前に居た彷徨い人の行方を途絶えさせるのに十分過ぎる

程だった。既に彼女は消えて、空は太陽を隠し闇に……闇に?

 

 「しまった……」

 

腕に嵌めた時計を見る。時刻が……既に悠に半日を過ぎている。

 

 (ビナーと私の空間だけ……時間を明らかに遅められたっ)

 

 だが、何を狙って自分達を世界の時から取り残させた? 

狙いは? その真意と目的は一体何処にあると言うのだ。

 

 ザッ……。

 

クルッと物音のほうに振り向く。そして、僅かに瞠目して 夕焼けのように短い間ながらに

姿を消したアレが何を引き起こしたかったか、その一端を理解した。

 

 雪のような、妖精のような顔つきをした女性。

スーツを纏う金髪碧眼の少女……。

 

   ――暴走アラート 発生

 

 

 

 

 

 

時は数刻ほど前に戻り、場面は冬木市の街中へと遡る。

管理者やゲブラーに桜が進む場所と異なる通りを歩む白と金の異なる美貌を兼ね備えた

異国の麗人に、通り過ぎる人々は自然と足を止めて暫し見惚れてしまう。

 

特に白銀の髪を靡かせる美女に関しては浮世離れが特に見られ、その彼女の周りを自然と

人々が気づかぬ程度に何時でも不意の悪意の手から防ぐ事が出来る足取りを成す金色の

童顔の少女は、見るもの全てに新鮮さと関心と歓心を両目の光に宿している姫君を

微笑ましく思いつつ、戦争の渦中となる場所を油断なく意識を配っている。

 

 警戒を全方角に向ける彼女を、癇癪おこした子供を困ったように笑う母のような顔で

ステップを踏むように回りつつ、透き通る声が小さく響く。

 

「セイバー、そんなに怖い顔で歩かないで。折角の可愛い顔が台無しだわ」

  

 「アイリスフィール……私は騎士です。可愛い顔と言われても嬉しくありません」

 

「もう、またそんな風に固い調子でっ。貴方も、もう少し初めての外を楽しみましょう」

 

 そんな調子のやりとりを幾つ二人の間で交わしただろうか?

 

決して雪が解けぬアインツベルンの城で、衛宮 切嗣とセイバーの間で召喚と共に

起きてしまった回避出来ぬ関係の罅の後に、セイバーとアイリスフィールが仮初の表舞台に

おける偽りのマスターにサーヴァントの関係を繕ってから丸一日は経過していた。

 

今まで雪降る森と、降り積もった雪の城。美術品の絵画などの情景以外なに一つ目に

しなかった彼女にとって。冬木の、それこと生まれ育った人々にとっては平凡な町並みも

初めて子供が遊園地に来たのと同じはしゃぎようだった。いや、それこそ特殊な出生を

宿す彼女にとっては、子供当然であったのだけれど。

 

 短い観光の中で、存分に刺激を貰い機嫌良く鼻歌を鳴らしそうな顔も。創造主の手で

芸術品と言って良い造形の彼女は緩んだ顔でさえ絵になる。

 

 それに僅かながら口元を綻ばせ見守っていたセイバーであったが。不意に感じた

サーヴァントとしての直感がなす警報、その方角から感じる厭な予感に顔を引き締める。

人外の存在たる彼女の急激な空気の変化を感じ取り、遠くを眺めてたアイリスフィールも

真顔になって振り向く。既に日は落ちて、闇が街を包み込み始めている。

 

聖杯戦争の時間だ。

 

「どうしたの? セイバー」

 

 「サーヴァントです。アイリスフィール」

 

「! っそう、現れたのね」

 

澄んだ声に反して険しくなる目と口元。覚悟して訪れたとは言え、これから死と隣り合わせ

の戦いが訪れるとなれば自然と気は張り詰める。

 

 えぇ、と返事をしながら。セイバーは強い木枯らしと共に運ばれる闘気、それとは異なる

何か を感じ取っていた。前者はとても強い戦士の宣戦布告。

 

(もう一つ……これは、何だ? 今まで幾多もの人から外れた存在と対峙したが……)

 

後者に関して紐解けなかった。ただ、その懸念を告げてもどうにもならない事は知ってる為

セイバーは、それ以上語る事ない。騎士として、更にほんの砂粒ほどの悪意にも敏感に気を

引き締め直し港のほう冬の姫君を引き連れて進む。

 

「結界が、あるわ」

 

 幾らか進んだ時に、魔術の才高き子女の声に倣って肯定の頷きを無言で示す。

隠蔽・人払いの属性を含めた高度な結界、他にも幾つか副次を備えている。然し魔術師に

作用する程に強烈なものでもない。対魔術に特化した自身ならば先頭に立って破れる。

 

人気のない倉庫街に足を踏み入れた途端、強い突風が吹きすさんだ。思わずアイリが小さくも

声を上げて帽子を押さえ、セイバーが眼前に手を翳すほどの黒い風。

 

それは一瞬にして止んだが二人の不安を高めども低くなる事はない。結界を破った故に齎された

迎撃の魔術とも違うらしいが、こちらに対して決して良い方向に作用するものではないだろう。

 

多くの倉庫が立ち並ぶ通りの真ん中に、一つだけ人影が見える。

 自然とアイリスフィールを後方に移動させ、何時でも宝具であり自身の存在を示したる剣を

産み出す準備をしつつ前に進み出る。

 

 人影が振り向く、曇りかかっていた月光が空の隙間から人影の全貌を明るみにする。

 

黒い髪の、東洋人だ。パーカーらしきものを羽織っているが。その上着を脱いで腕で

巻くと同時に簡易的な魔術の一種か消失する。

 

(……女性。マスター? いや……全てのステータスが軒並み常人に近いが、これは間違いなく)

 

 「キャスターと御見受けする。我々を呼び寄せたのは、貴公だな?」

 

セイバーは推定のクラスを呼びつつ油断なく構える。

 聖杯戦争にて、アイリスフィールの口から告げられた三体。

バーサーカー、アサシン、そして黄金色の武具を多く所持するサーヴァントの人となりは

目前にいる白衣を羽織るスーツの、何処にでもこの世界に居そうな恰好をした女性は情報と

照らし合わさらない。ならば、残るはアーチャー、ライダーと言う正騎士の冠位の戦士だが

女性の力量は、百戦錬磨のセイバーからして一片たりとも猛者の片鱗を感じ取れない。

 

魔術師と最優と呼ばれし剣の騎士。単純な相性ならば自分が優位だが。この倉庫街に

誘いこんだのが、アレであると言うならば既に此処は魔術師の領域。

 どのような奇想天外の魔術、外法が突然に降りかかっても可笑しくない。だからこそ

獅子と猫ほどの圧倒的な差 有利であれどセイバーは警戒を崩さずに居た。

 

 スッ……と、ゆっくり子供でも理解出来る速度で両手を白衣のサーヴァントは上に掲げる。

セイバーは姫君を直ぐにでも守れるように姿勢を低め、攻撃あれば一瞬で肉薄し斬る気概

に移っていたが、次の発言に張り詰めた空気が揺らいだ。

 

 「――非戦の嘆願を願う。また、交渉 及び 同盟の提案をマスターに申請したい」

 

その言葉に見えざる剣を持つ手の握りが一瞬甘くなりかけたが。セイバーは鋭い目で

ホールドアップのポーズを取り続けるサーヴァントに声を荒げる。

 

「戯言を! 彼方から我々に対し向けた威圧。ソレを挑戦でないなどと言い訳がましいっ」

 

 女性は、ホールドアップを崩さぬままに僅かに眉をハの字と逆に向けつつ沈黙を維持する。

その不遜とも言える態度に怒りを覚えないと言えば嘘であるが。見せかけか魔術師特有の

絡め手の一種だとしても、ああも解りやすい降伏のジェスチャーだけとっている敵を

問答無用で斬り捨てる事は、正しき騎士として生きて来たセイバーには出来ない。

 

 未知なるサーヴァントとの邂逅が、行き成りの戦闘でなく和解を提示してきた事に

アイリスフィールは正直、困惑が浮かんだものの。手を上げたままの恰好を崩さぬ女性の

言葉を吟味し理解すると、僅かに笑みを浮かべて告げる。

 

 「それでは、キャスター。貴方には交戦の意思はなく、我々の陣営に協力したいとの事ね?」

 

冬姫の言葉に、ドイツの寒空を思い起こすような温度を感じさせぬガラスの瞳と

スピネルのような瞳が交錯する。

 

 アイリスフィールは、その色を持たない瞳に自分が覗かれた瞬間。衣服を取り払い

一糸まとわぬ自分の体肢を見られたかのような。けど、嫌悪感が殆ど無いと言う

不思議な感覚を得た。魔術による心操とも違う、妙な親近感を感じる。

 

対し、管理者は眉間の皺を一瞬濃くする。そして、軽く吐息を出して一定の調子で告げる。

 

「そちらの目的が、こちらの目的と抵触しないのであれば同盟関係を願いたい」

 

 「それは……聖杯を獲得する手前までは味方でいてくれると思っていいわけ?」

 

相手が、キャスターがどういった事情を抱えてるか不明だしマスターの動きも読めない。

それでも一人でも切嗣を、セイバーを支援してくれる人が増える事は素直に有難い。

 

「我々は聖杯と言う大型ツールに対し干渉するつもりはない。貴方がた、魔術師の総称する

願望機に対して願いはない」

 

 口調は淡々としており、協力しあおうとする友好な声色は皆無だが内容はアイリスフィール

そして遠方から脆弱な管理者のパラメータから、遠距離狙撃も思考していた衛宮 切嗣含む

セイバー陣営に多大な衝撃を及ぼした。

 

(魔術師の奸計か、この場を凌ぐ詭弁……いや、然し今の発言が事実なら思わぬ好機だ。

願いが何であれ、キャスターのサーヴァントが聖杯にかけない願いがあると言うのであれば

盤石な陣地を築けるし、他陣営の牽制となる。サーヴァントの相性からしても、魔術戦を

仕掛ける前にセイバーなら切り伏せる事が出来る……だが、これが完全にペテンなら

アイリの体に内包された聖杯に相手が気づく可能性だって有るだろう)

 

戦場を優位とする駒として利用しない手はない。だが、内に抱え込むのには危険が未知数

であり発言を鵜呑みにするのは危険だ。マスターを出すなり何なりすれば未だその言葉に

信憑性が増すものの、セイバーに念話で指示をする前に信の通った声が響いた。

 

 「空言を申すなキャスター! ならば貴殿は如何なる願いを携え、この戦場に現れたっ」

 

セイバーの両手には傍目なにも見えぬものの、濃い密度の魔素が集まっている。

 このまま行けば、無益な諍いなく貴重な味方が一人増えるかもと。生来から平和を愛す思考

に基づいている仮のマスターを演じる女性は。セイバー? と怪訝な声を出す。

 

理想の王として、国を背負い、民を守って生きた英雄たる彼女には願いがあった。誰にも

否定する事なき、夢が 願いが。

 英霊とは、サーヴァントと言う存在はそう言う者なのだ。生前の悔いや禍根を少しでも

晴らす目的のために参戦している。

 聖杯に願いなしと断言するキャスターの妄言を素直に受け入れる訳にはいかない。

願いなく、空虚のまま呼ばれたと言う事が真実だと言うのなら。聖杯は、そのような幽鬼を

招来する事を許したと言うのか。願望を捨てた存在を。

 

 答えよ、と強い詰問を滲ませた眼光に対して返されるのは冷たい闇夜の風の音のみだ。

管理者は彼女の言葉を、眼光を。目の前に彼女が存在しないかのように無視している。

 その態度は召喚さながらに自分へと失望した切嗣を彷彿とさせるものだ。思わず頭に

血が昇り、怒鳴りつけかけるが。それを止めたのは新たな熱もつ突風だった。

 

   「――ほぉ 清澄なる気を感じてみれば 何やら可笑しき構図となっている」

 

 コンテナの一角から降り立った人影、二本の長短の違いがある獲物を提げて現れた男性。

右目の下に泣き黒子が目立つ美丈夫。関心含んだ微笑を繕った口と共に管理者の背となる

方角から現われたのだった。武器は槍……ランサーのサーヴァント。

 

 「ふむ……姿形は異なれど、こうも美しき三輪の内 二輪とも戦場に参じる身とは」

 

此度の戦場はヴァルキュリアの司る下で行われてるのか。と、苦言か腰重い様子で槍の内の

長いほうを肩に提げつつ嘯く。

 

気障な科白に、三者三葉でサーヴァントでない唯一はどう反応していいか分からない曖昧な

笑みで濁し、対し二人は仏頂面と変わらぬ鉄仮面と言う凍えた空気を保ち続けている。

 

 三人をずらりと一瞥する、その視線の違和感に反応したのはアイリスフィールが最初。

 

「魅了(チャーム)の魔術……? 出会いがしらに、随分と不躾ね」

 

 「済まぬな、御令嬢。こればかりは持って生まれた呪いのようなもの。恨むならば全員

女として生まれた自分を恨んで……ん」

 

 「結構な面構えだが、そのようなもので私の腕がにぶ……?」

 

本来ならば有り得ぬ異物(X) それが回る舞台の歯車の滑りを悪くするかのように

二人は口の応酬をしようとした矢先、板挟みに佇んでいたサーヴァントの様子に眉顰める。

 

管理者の顔色は……僅かに蒼褪めている。ランサーに対し一瞥した直後からか

 表情こそ特に変化はないが、解るものには解るほどに吐息も荒くなり始めている。

 そう言えば、とセイバーはここで気づいた。このキャスター 自分と対峙してから

額に僅かに汗のようなものが出来ていたと。

 結界を強引に破壊した乱入者たる自身の力が予想以上であったか、その前に何か

アクシデントがあったかと余りに気にしてなかったのだが。

 

 「何だキャスター? まさか、我が魔貌に毒されたと言うまいな……」

 

そうなれば興冷めだぞ、と続けようとした声を出そうとした時に。その華奢な体躯と情報外から

推測に呼びつけた存在はコンテナの壁に背中が軽めに当たる音するまで後退する。

 そのまま、気分悪そうに頭を押さえる手は痙攣しており。顎からは疲弊か体調の悪さで出る

冷や汗の雫がポタポタと落ち始めていた。

 

 これが平常の日常での出来事なら介抱する選択だが、此処は戦場。実力未知数の敵が変調

きたしたからと言って、情けをかける道理はない。

 

だが、この場に据える二人の騎士は奇しくも正道を愛する者達だ。両者同時に顔を見合わせ

然らばと自滅寸前のサーヴァントに対し軽く意識を払うものの実力高い直線の相手に構える。

 

 キャスターの身に何が起きたか知れぬが。生前から抱えている病か何らかの呪いのスキル

若しくはマスターの細工かも知れぬが、弱り切った婦女子を剣や槍の錆にするのは騎士の恥。

 

 これが油断させる擬態ならば愚の骨頂。正騎士二人に対し詐称働きかけると言うならば

この自身の実力 神話から現代にかけた我等の刃を味合わせるのみ。

 

対し遠くから傍観するマスター達は、両者ともにキャスターの突然の変調に異なる

見解を出していた。

 

 (ふむ、あのサーヴァント 我がランサーの黒子に毒されたか。

何たる無様な姿、あのキャスターを招来したマスターの器量が伺い知れる)

 

(苦しみ始めたのは、セイバーと対峙した頃からか? 何らかの生前から抱えてる病か呪い?)

 

 楽観と深くの考察が交錯する中、セイバーとランサーは倉庫に身を預け呼吸を整え回復

務めようとする管理者を他所に激突し始める。

 

 剣戟が響き、巧みなるランサーの槍術とセイバーの剣技が光る中で。衝突して震える空気は

コンテナを背にした彼女にも伝わっていく。

 

 

          

 

 

                ――暴走アラート 発生

 

 

                ――暴走アラート 発生

 

 

             Qliphoth Meltdown(クリフォト暴走)

 

             Qliphoth Meltdown(クリフォト暴走)

 

             Qliphoth Meltdown(クリフォト暴走)

 

 

             Meltdown Level(クリフォト暴走レベル)1

 

             Meltdown Level(クリフォト暴走レベル)2

 

             Meltdown Level(クリフォト暴走レベル)3

 

 

 

 「……く そ」

 

 

 

            ―AAAAAAALaLaLaLaLaie!!

 

 

 

 

 空は僅かに曇れども雨は降らず、けれども一本の巨大な稲光は赤い巨漢の男が、その身の丈を

引き連れるのに相応しい装飾の荷車に乗って豪快に叫び登場する。管理者の小さな罵倒も掻き消して。

 

 真名 征服王イスカンダルを唱え。小脇で空飛ぶ車に昏迷しかけ酔ってた青年は、その

破天荒な挙動に我に返って馬鹿チンと絶叫する。

 

そこから先は、ライダーの独壇場とも言える彼の世界制覇にかけての英雄の勧誘が行われる。

 

 そんな混沌の空間が繰り広げる中でも、未だ管理者は何とか抑制していた。限界まで、

何としてでも抑制を、被害を極力出ないように必死に内なる戦いを続けていた。

 

「……ん? おぉっ、そこな壁に凭れ掛かっているのはキャスターか? 

よし! 其方も余の配下になり我が覇道を見届けてみないか? どうだ!?」

 

「ぉ おいおいおいおいおいっ、何で機嫌悪そうな奴をわざわざ煽るんだよぉ~っ。

しかもっ キャスターって事は魔術戦のエキスパートで騙し合いの達人って事だろぉ!?

 そんな腹に一物も二物も抱えてる奴っ 危なっかしくて一緒に行動なヘブッ!!」

 

ウェイバーや征服王イスカンダルの漫才染みたやりとりすら、今の管理者には反応する

余裕はない。額をさすり、涙目で起き上がる青年も このサーヴァントが大集結している混沌の

場で、彼女の容態の異様さには思わず冷徹な魔術師を演じるのを一時忘れる。

 

「あ……あのサーヴァント大丈夫なのか? 顔 土気色だぞ」

 

 

 

頭の中で暴走アラートが発生する。既に、限界値に特定の複数の収容室のカウンターが減少してる。

 

F-05-32   危険値!

 

O-02-40  危険値!

 

F-02-44  減少中!

 

T-04-50  減少中!

 

O-02-56   危険値!

 

T-01-68  危険値!

 

O-01-73  危険値!

 

 

 管理者の目の中に三体のサーヴァントとは異なる光景が繰り広げられている。

 

けたたましく危険信号が鳴り響く通路を、切羽詰まった表情で職員達が走り回っている。

必死に、まだ暴走に至ってない多くのアブノーマリティに冷静を保ち正しい作業手順を行って

会社を一時的に安全状態に移行する為の措置を取り続けている。

 

(そうだ……維持するんだ。安全を)

 

 適切な指示を下し、他にも収容違反しかけるアブノーマリティ達に注意を払う。

大丈夫だ。今まで通りに危機を乗り越える事は、可能な……

 

 

 

      「――我(オレ)を差し置いて王を称する不埒ものが二人も現れるとはな」

 

 

 

         ――Meltdown Level(クリフォト暴走レベル)

 

 

 

                  10

 

 

 

 

 

 「……あぁ  畜生」

 

その嘆きは、小さくも緊迫し睨みあう王たちと戦士の視線の交錯の中で良く響いていた。

 

 一斉に、英雄王ギルガメッシュ 征服王イスカンダル 理想王アルトリア

フィオナ騎士団先鋭ディムルットの視線が。今まで壁に凭れ掛かり崩れ落ちそうだった

置物と化していたサーヴァントに注視する。

 遠方から、術や優れた視力を利用し観察するアサシンやキャスターも同じく。

 

「何だ? あまりに気配が極微すぎて今までいた事を忘れてたぞ 病者

だが羅患であっても我は…」

 

    「――これから起きる事は 予め告げておくが、これはお前達の責務だ」

 

唐突に告げられる、静かな言葉には今までアイリスフィールと会話してた時や雁夜との

会話とも異なる 確かな強い感情が乗せられていた。ギルガメッシュの声を遮る程。

 

怪訝な顔に変わるアーチャーを他所に、彼女は首を回しアイリスフィールを ウェイバーを

交互に視線をやってから、既に汗が引き能面のような顔に移りつつ呟く。

 

           「そちらの人達には告げておく 生き延びてくれ」

 

           「恐怖に直面しながらも 未来へと生きてくれ」

 

 水平に掲げられた片腕と共に、唱えられた発音は。

 

 

 

 

 

         非常事態レベル2(Second Trumpet)

 

 

 

 

 

 その場に居る者達に意図を掴めずも。

 

次に起きる光景にて黙示録のラッパを告げる祝詞である事を理解した。

 

 

         




大体事情を聞いてる愉悦「盛り上がってまいりましたw」

引き起こした元凶の愉悦「こう言うシーンでは紅茶と
ビスケットよりは蜂蜜ポップコーンが合うねww」

虫「……あの中(Lobotomy coop)に入る事出来れば、ワンチャン
此処にいる奴等出し抜けるか」










フランチェスカちゃん「なにこの聖杯戦争 おもしろっ」
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