緑で編まれた大地の上を見る事は出来ない
狩人達は様々な道具と武器を駆使して茶色の皮に
楔を打っては昇ろうとするものの奈落へと落ちて
大地を屍で埋め尽くしては時と共に養分へ死に変わる
私達は上に到達しようと天ばかりを見て、下のほうに
実は到達点がある事に気付いていなかったのかも知れぬ
今まさに 我々は真実を掘り返し 頂きを見ようとしてる
「準備は整ったな?」
『承知』
「ならば良し、これよりキャスター陣営の捜索に入る。
草淋のチームは西 説諭は南へ 計測は北を任す。
無理はするな。危険と感じれば直ぐに帰還しろ。では ――散開!」
統率の称号を持つ自身の号令の元、10体程で幾らかのスキルを平均良く
纏めた者達で冬木の町へ広がり情報を収集する。
魔術としては初歩的な変装で、あの会社内にいる職員等の恰好に化ける
用意も出来ている。例えサーヴァントの接近があっても衆人環視の場で
あれば瞬時にスーツ姿で営業中の一般人として溶け込める。人気ない
場所で襲われたとしても、十人のアサシンの徒党であれば幾ら最優の
英霊であろうと完全な敗北を喫する事は無いだろう。
管理者と言う輩からは、決してビナーと言われるモノと遭遇しても
交戦を選ぶより最良な撤退を前提に行動しろと言われてるが……あの宝具に
収監されてる存在より危険視するとは、どれ程の怪物なのか。
今回我々に、あの悪感情はあるものの時間が経つにつれ酷使はすれども
あらゆる性能の面からすれば、第二のマスターとしては器量は認めなくもない
バーサーカーの指令を受けて諜報を行う事になる。
以前は遠坂と同盟していた本当のマスターである綺礼氏の時も同様に
やっていた事で、今更反抗する事でもないが今回はソレに少し注文が加えられてる。
1にライダー陣営の拠点及び対象の発見。ただし個人の判断での危害を禁止する。
最初のマスターにも支持されていた事で、あのライダーの宝具により追尾は
困難であるが、これに関しては重要度も低くキャスターの居所に力を注ぐなら
片手間で構わないと言われてる為、運が傾く事を祈ろう。
もう一つの懸念と言えば、彼の黄金色の弓兵。あ奴も運悪ければ街中を散策
しているかも知れん。我等の半数は未だ元のマスターに仕えてるが、あの弓兵に
とって敵か同盟者に仕えてるの違いなしに下等な雑種と我等を見定めている。
極力、気配を察知したら直ぐに身を引いて人影の中で息を殺すとしよう。
2に一定の児童の住居周辺の警戒。コトネと言う、どうやらバーサーカー自体の
個人的な友好関係らしい相手の住まい周辺に対しては、そのレベルを高めるように
解るものには解る程の語気強めた言い方だった。
あの人形めいた雰囲気が強い女にも、人としての情が厚い部分があるのだなと
少々珍しいものを見た気分になるが、そう易々と絆されはしない。元より自分達に
狂戦士を差し向け半数を虐殺させた張本人だ。どれ程に聖人君子な部分を見せ付け
られようとも、奴の根本は我等に血の涙もない存在だと知ってる。
「はてさて久々の外か。また三流の仕事をするとはな……」
この前の、あの魔窟内での怪物退治は血沸き踊ったものだが。そうぼやく一人の我等
に対し忍ばせた短剣をピッと抜き振り、愚かな発言に対し制裁する。
「貴様、この日中から酩酊しているのか? 我等の志を忘れたか」
我等が百貌、目指すは分裂されし100を1へと戻す事。それなのに、今この
何とほざいた? 真の主から引き裂かれ、その謝意の気持ちすら失くし魔女と遜色ない
狂いし幻想の館で度々起こる崩壊呼びし化け物が首をもたげるのを抑える。それを英雄譚と
称し再度起これば良いなどと寝言を唱える。それでもアサシンかっ!
少し力を込めれば、喉笛から赤い飛沫を吹かせて粒子となり消え去るのが目に見える。
にも関わらず、僅かな憫笑が仮面の中から聞こえた。
「統率よ、そう言うがな。お前とて知ってるだろう? 我等が主命を向けた者は
遠坂と言う家の臣従されし身。最古の神秘を兼ね備える弓兵と共に勝利を手にする彼等へ
自ずとこの身等は、その栄光の道を敷く為の舗装でしかないと。
令呪に縛られていたあの時と。管理者と皆が称する女将の元で働き怪物共を
眠らす為に日夜動く我等……今も前も何が違うと言うのだ?」
言葉の中に
黒き影、もう一人の異なる鏡像と言うべき存在は独り言ちるように告げる。
「それにな……我等よ。我等は いや……
肉裂きの魔性や悪食食人の芋虫等を成敗した時に、あ奴等の仕えていた者の一人だ。
制服で包んだ怪物討伐の専門家共でない、あの鉄の塔で魑魅魍魎を封ずる為の末端。
力も知恵も低く、俺達よりも儚い者達の一人だ。助けたのはただ偶然に過ぎなかった。
涙を流し、抱き着かれ 感謝されたよ。酷い顔をしてたが、背に回された手は力強い。
――生まれて初めて、このような人でなしを真に恐れず心から礼を言われたのだ。
他のサーヴァント共なら、生前何度とて受けた些事だろうさ。だが、俺は違う。
あの時初めて、自分が英雄なんだと実感出来た。『鉄縄』を扱い、機械仕掛け共を崩し
巨大虫を弾き飛ばし。そして、あの格は他と一線画す指揮者の彫像を皆で鎮めてだ。
……賛辞の嵐の中に佇んだ時、お前だって思ったんじゃないか?
この胸に芽生えたものを咲かせるなら……この煉獄の渦中とて悪くない、と」
「お 前は」
愕然と言う感情とは、いま確かに立っている筈の地面が急速に現実感なくなり
自分がいま何処に立っているのか分からなくなる事を言うのだと統率は今知れた。
こいつは……我等の一人は。
本来は分裂した多重人格の一部。どんなに性格や口調、兼ね備えている力量や優れた
分野は異なれど根本は同じ。在るがままの、以前は一人の人間としての頃に戻る事を
目指す同一人物の筈だ、そうでなければいけないのだ。
なのに、思ってしまった。こいつはまるで唯一人の個人となす存在なのでは? と。
そんな事はあってはいけない。我々は、百貌 異なる一面を備えども100で1
1にして100の存在でなければいけないのだ。
何故、他にも居合わせる我等は何も言わない? 何故、反論しないっ。
統率とて、周囲の雰囲気を読む事は統率の名に恥じぬまま秀でている。だからこそ
無言で鉄縄に同調する気配を知ってるからこそ、胸の中の焦燥は膨れ上がる。
激化しかけた統率と鉄縄の場を諫めたのも、一人の我等ことアサシン。
「御止めな。統率 鉄縄、お前達二人共々あのいけ好かない女王気どりに酷使されて
知らない内に気が立ってるんだ。他の口挟まぬ我等にも、これは言える事だぞ?
今は任を忠実に遂げるのみ。この戦争とて未だ7騎全てが脱落の様子見せず
そんな中で狂戦士が宿す悪鬼共の巣から解き放つ是非を問答するなど片腹痛し。
今は英霊魔術師を見つけ、あわよくば我等で首級を獲るべし。叶わずとも我等の
力なれば居所を知る事など他愛なき事よ」
「……あぁ、そうだな。済まぬ」
下手すれば、同じ身でありながらの醜い骨肉相食が起きるところだった。謝辞を告げ
頭をふって熱を引きつつ刃を引く。
暗に、この話はここで閉じよう。そう無言での圧力を施した筈だが鉄縄は悪びれず
その装具となる束ねた縄の位置を軽く直しつつ呟く。
「俺を切り捨てたくば何時でも切り捨てて構わぬさ。お前達の願いを無碍にしようとは
思ってはいない。俺とて聖杯には基の一人に成りたい想いはある。
それでも、それでも俺は光照らされる中で一人の騎士として。例えお前達には他の
正騎士の真似事と詰られようとも生きたいと思った。この想いは誰にも否定は」
「もう良い、喋るな」
それ以上言えば、我等とは違う。この身の中にある心が暴走しても制御する自信ないと
ばかりに統率は遮り任に向かい前進する。
荒れるな……と、その様子を見つつハサンの誰かは天の様子も眺めながら案じた。
桜は微睡む。浮遊感の中で、一人の女性がクリップボードを抱えつつ
軽く息を切らしながら走ってる。スーツ姿で白衣の恰好は何時も見慣れた管理人と
同じだが、髪型などはどちらかと言えば一年前の自分に酷似している。
その人の名を桜は知っている。今の名前も、昔の名前も。
――私が 成果を上げるんだ。■■■の事は十分勉強したんだもの だから大丈夫。
■に認めて貰わなければ、私の居場所は無くなってしまうから。
規則違反な事は分かってる。けど、大丈夫よ
成功さえすれば、■だって絶対に見直してくれる筈なんだから! 何時も陰で
私が才能ないって言ってる皆だって!
――あの人に追いつくんだ。何時までも助手のままなんて嫌
私は■の隣に並ぶんだ! 世界を変える■と、同じ場所に。
世界は暗転する。
皮膚が溶ける 歯が抜け落ちる 目から流れるのは涙腺から生じるものでなく脳髄が
沸騰し、切れた血管から入り混じった赤い雫だ。
ああ 失敗した。
失敗した 失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
内臓が震える 口から吐き出されるものが二酸化炭素以外の有毒気体へと変わっていく
骨が熱を帯びて溶ける 髪の毛が秒単位で頭皮から剥がれていくのが解る。
私が私と言う存在が 魂が 全てぐちゃぐちゃになって無くなっていく
■ 殺して
私を 殺して
何で 何も言ってくれないの?
何故 まるで石ころ見たいに私を見つめてるの?
私は貴方にとって 所詮 実験体や死んでいく職員達と同じだったと言う事ですか?
そうなんですね。貴方にとって他の者は全て等しく 無価値だったんですよね。
あぁ、ようやく理解しました。死ぬ瞬間になって ようやく貴方の内面が。
信じてた。野の白鳥 大好きな物語のように決して弱音を吐かず いら草を編んだ
御姫様は最後に兄の王子達の呪いを解いて幸せに結婚するように。私も諦めないで
努力をし続ければ、きっと貴方と同じか それ以上の輝かしい未来を掴めると。
「私は必要とされてなかった」
桜に対し、体が服が 全てゲル状と化すように溶けかけた女性が声を紡ぐ。
「あの人は、とても凄い人だった。アブノーマリティの機嫌を直す為の餌や
彼等が壊した壁の修繕なんて言う大工仕事見たいな、誰でも出来るか用済みになる人
がする事以外の天才と言う一握りの方が出来る素晴らしい事を産み出せる力を持っていた」
「少しでも力になりたい気持ちは本当だったけど……でも、役に立てなかった。
私の命を懸けた必死なチャレンジも、あの方にとっては余計なトラブルの一つでした」
桜はその独白にじっと顔色変えぬまま聞き続ける。
壊れたように、彼女も変わらぬ笑みを保ちつつ演説を続ける。
「私には才能が無かった……私には実力が伴っていなかった! 適正も! 資格も!
全部ぜーんぶ中途半端だったんですよ! ふふふ フフフフフ
■が雑用だけ注文し作業へ戻る度に、無力感と焦燥に苛まれていました。
私達の気持ちなんて何一つ理解してくれなかった ■ それでも私は必死に
変わり果てても 今度こそ この形で立派に仕事を遂行出来る存在になりたかった」
その任務も、結局は完全に遣り遂げなかったんですけどね! と、彼女は自傷の
嘲笑を暗闇の中で響かせていく。体を回転させながら謳う調子は止まらない。
「あぁ■! 何故一言で良いから告げてくれなかったんです?
お前はゴミだ! 役立たずだ! 目障りだ! そう切り捨てる一言 罵倒すれば
私だって諦めがついたんです! 惨めな死に方だってする事も無かった!
必要だ! お前の努力を認めている! 例え嘘でもそう言ってくだされば
あの瓶を盗み出そうなんて考えませんでした!
たった一言 慰めの言葉でもっ 侮蔑でもっ 私に対する言葉が欲しかったっ!!
それさえあれば、私は気を急いた自分を殺す勇気を持てたのにっ」
――でも 貴方は 決して一度として
――貴方は 私の事を まともに見ようとはしなかった
――これ程に 貴方を ずっと傍で見てましたのに
「……桜 Miss桜」
「貴方のおじさん Mr.雁夜 ご存知ですよね?
あの人も似てますよね。貴方に対して優しい言葉を投げかけた事はありました?
苦しんでる時に、少しでも共感するか望みのあるものを持たせてくれましたか?」
「嗚呼 貴方も私も 見捨てられた者同士。
違うのはたった一つ。目と手の届く範囲に毒の小瓶があったか無いかの違い」
「滑稽ですね、私達どちらも」
桜は考えた この人と私は同じなのかどうかを。
彼女は自分と年や環境も違うし、流されるままに生きてる自分とは逆に目指してた
場所を獲得する機会はあった。だけど、本当に望む言葉が無い故に魂まで原型を
留める事が出来なくなった事は、確かに自分と似てるのかも知れない。
心と言うガラスを地面に叩きつけられ壊された者同士。ならば、彼女の末路は
私の結末なのだろうか? 私もいずれ彼女のように壊れ切った自我を虚栄の
明るさを纏いながら終わりの時まで虚しく円舞曲に沿って踊るのか?
……桜には答えが出せなかった。
「いいんです いいんですよ それで」
沈黙に彼女は微笑みを保って告げる。
「答えなんて何時でも出せます もっとも、永い時間だからと思考は停止しないで。
無限に見える程でも実際は有限なんです 気づけば終わりが近いなんて珍しくも無い」
「ただし 約束してください。――逃げないで
答えを得た時、それと向き合って下さい。決して拾い上げたものを 知り得たものを
投げ捨てたり忘れたりしないで。貴方は桜なんです ■では無いのだから……」
視界が、意識が遠ざかっていく。また私はあそこへ戻っていくのが解る。
二種類の声が聞こえた。最近になって聞き慣れた人と、知らない人の二つの声。
約束して 桜 約束して ■
忘れないで 私の言葉を 忘れないで 私の意志を
「管理人」
Lobotomy coop内で、管理人Xは本日も業務に就いている。
百貌と言われる、会社内のシステムとしては雇用職員として位置付けられてる者達の
殆どが『諜報』と言う特殊コマンドのマークを画面内に記している。
上層・中層・下層ともに配置してるアブノーマリティに今の所は普段の作業内で
見られる機微の機嫌の良し悪しで現れるエネルギーの増減を除き不自然さは無い。
「もう少しで全体のエネルギーは規定値に達する。
ティファレト 急を要するのか?」
「いえ、終わってからで良いわよ」
そうかと呟き、数分が経過した後に椅子から立ち上がる。
これからは彼等 彼女等の時間だ。そう設けるようにしたのは、全てが終焉となる
頃であった事を昨日の青々と輝く海の記憶のように真新しい。
入口には、白を基調としたシャツに何時もの服装である茶色のケープとスカートを
身に纏った金髪の少女が緑色の目に不安気な色を帯びさせ佇んでいる。
緊急事態なら会社内全体に警報が発せられるからして、内輪なトラブルなのだろう。
何が起きたか尋ねると、無言で背を向けて幾つかの通路へ導かれるまま一つの
一室へ辿り着く。桜の為にと用意した遊戯室だ。
体調に重度の変調が起きた等では、静かな扉の開放からして違うようだが未だに
中央本部のセフィラは自身の口から真相語り得ない。
開いた扉の奥では、紫色の髪の少女がクレヨンで用意された画用紙に絵を描いてる
のが見て取れる。世話人として、今は何時もの赤髪の戦士でなくホドが傍らに居た。
「これを……桜が描いたわ」
金の人工毛髪を揺らし、少女が出した画用紙を受け取る。Xはその内容から
事態が深刻な部類に当てはまり。彼女が自分に報告した懸念も理解した。
紫の髪が目立つ研究者。心臓部分にテントウ虫のように穴が描かれ、そこから
蛇みたいなものが何本も生えてる絵。ほぼ同じ服装をした研究員、異なるのは
茶髪の女性でドロドロに溶けており傍らには黒い鳥のような怪物も居る。
他にも未熟だが特徴を把握すれば、それに関わる者達なら直ぐに全貌を察せられる
絵がクレヨンで紡がれている。
二人らしき人影が、巨大な塔とも呼べる建物の中にいる様子。それを崩壊させる
人影を描いたものもあるし、様々な管理者には見覚えが強いシーンが。
全てを流し読みし終え、数秒だけ間を置き口を開く。
「桜に誰かがこれを教えた可能性は。
……いや、答えなくて良い。この会社内で動いてる存在で教唆した者は居ない事は解る」
この室内、外にいるセフィラ。働いているエージェントでさえ、この過去を描いた
作品を事細やかに教える事は出来ない。
なら誰が 何が桜にコレを描かせた。
夢中でクレヨンを動かす桜は、普段通り生気が薄い以外は見た所は異常ない。
だが突如として作り上げた品は見るものには解る常軌逸した物だ。強硬手段で会社内の
精密器具で、こう言った起因を調べる事もやろうと思えば出来る。
管理者は直ぐ考えを改める。もし、それで何も原因が判明しないようなら第二の
イェソドを産み出す事になる。今は何物かの陰謀を傍観する以外に方法は無い。
心当たりはあると言えば有る。だが、突き止めるのも時期尚早だ。
「あと、会社に戻ってから大分眠たそうな様子も見せてるわ。今もよ」
ティファレトの言葉通り、クレヨンを置いて目を擦る少女の背中を見つめる。
藤村邸から迎える時も、軽く目頭を擦っていた。フランチェスカと呼ばれる魔術師と
長時間ゲブラーが戦闘してる中、身じろぎ一つせず待機してたのは子供には大きな
負担だった事と、海に落とされた体力の消耗が尾を引いているからだと考えてたが
この分だと、ナルコレプシーは単なる今までの精神的苦痛による併発では無い。
ホドが優しく声をかけ仮眠室に誘導していくのを見届けてから描き終える途中だった
地面に野晒しの画用紙を取り上げた……紙には絵でなく文字が見える。
どうやら、物語のようだ。
むかし むかし せかいは このせかいと ことなる おおきなうみとつながりました
たくさんのたべもの たくさんのあたらしいもの たくさんのかみさま つながった
ばしょから たくさんの よいもの わるいものが おくられてきました
せかいはとてもゆたかになりました
かわりに せかいのひとたちのこころは まずしくなりました
まずしくなったひとたちを こらしめ まとめる あたまができました
あたまにいじめられないため そらに たくさんのつばさも つくられました
けれど せかいじゅうのひとびとは かなしくて つらいままです
あるとき それをなおせるほうほうをひらめいた おとこのこがいました
おとこのこは まずしいせかいを かなしいとも おもしろいともおもわないけど
まずしくかなしいせかいに だいすきなおんなのこをみつけました
おんなのこはいいました せかいを なおそう!
だいすきなおんなのこのため おとこのこは せかいをなおすほうほうを
かんがえて かんがえて そしておもいつきました
おおきなおおきなたてものをつくり そこから せかいじゅうにとどく
ひかりをまこうと ふたりでけいかくしました
けれど それをせいこうするのに おおきなとおりみちがひつようです
おおきなとおりみちをつくるのに せかいじゅうのひとびとのだれかを
かぎ にするしか ほうほうがみつかりませんでした
だいすきなおんなのこは かぎになることにしました
おとこのこは かぎになったおんなのこのために けいかくをすすめます
それでも まだまだ ひかりが たりません
かぎになったおんなのこは だれからもすかれてました
だから かぎになったことを すきだったみんなは なげきかなしみ
ひとり またひとり おとこのこのめのまえから いろんなかたちで
とおい とおい とおいところへ つぎつぎといってしまいます
かなしいことはつづき せかいをまとめる あたまは かくれんぼしてた
たてものをみつけました なんとか みえないばしょに
また みをかくせましたけど もう おとこのこのじかんはみじかいです
おんなのこのたっていないばしょにみれんはなく
おとこのこは そらたかいばしょをめざすのでなく もぐらのようになります
おんなのこのにんぎょうをつくり おとこのこは おんなのこと おとこのこの
ともだちだったにんぎょうをつくり ひかりをたくわえていきます
おおきなおおきなたてもの ひきのばしたじかん たくわえられる ひかり
やがて おとこのこは だいすきなおんなのこのめざしたものをつくりました
ひかりが せかいにふりかかります こころが ゆたかになっていきます
でも おおきなたてもののなかで ひかりをふりかける にんぎょうだけは
おとこのこが つくったひかりを おとこのこにもらうことはできません
かがやかしいせかいのなか ひかりのないにんぎょうは
「……アンジェラ」
途切れたクレヨンで書かれた文章を見て、Xは胸に手を当て目を強く握り呟いた後
地面に対し視線を送った。
「――カルメン 何故わたしに この姿を贈った?
それが……貴方なりの祝福だったと 呪いであったとでも言うのですか」
管理者の言葉に、答えを返してくれる者は誰もいない。
「いや 貴方たちが恨む理由は たった一つ この事実だけで十分だ」
ティファレトもホドも、誰も居なくなった無人の部屋で静かな呟きが こだまする。
「……わたしが Aを殺したから」
龍之介「それじゃあ旦那! パーティを始める準備をしようぜっ」
ジル「えぇ えぇ! 龍之介! 神涜の成すがままに
聖処女を歪み堕とし 辱め尚且つソレを恥知らずにも
忘却の彼方に追いやる世界に饗宴を巻き起こしましょうともっ」
?「ちょーっと待ったぁ!」
ジル「むぅ!? 何物でスッ!!??」
蠅魔女「^^」 ニコッ
ジル「……おぉ」 ニコッ
鬼畜セフィラ「さて 楽しいカーニバルの開演だな」