中学生提督日記   作:SAMICO

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長編「ジレーネ」編
着任初日


2011年3月11日、人々から『悪夢の日(ナイトメア・デイ)』と呼ばれるその日がやって来た。

 

突如世界中の海に、『深海棲艦』と呼ばれる化物(バケモノ)が現れたのだ。

その化物は、何故か日本を集中的に襲い、素手や武器による近接攻撃以外の通常兵器は一切通用せず、次々と護衛艦が沈んで行った。

 

日本はもう終わりか?誰もがそう思ったその時、

艦娘と呼ばれる存在が次々と現れて、深海棲艦と戦い始めた。

海上自衛隊は、その艦娘(かんむす)達に協力を約束し、全国に鎮守府(ちんじゅふ)と呼ばれる拠点を作り、

陸海空三自衛隊自衛官の中から、艦娘と親和性のある人材。

つまりは、艦娘と共に顕れた妖精さん達が見える存在を選抜し、「提督(ていとく)」として送り込んだ。

 

その戦争が始まって、もう七年が経過していた。

提督と艦娘には『自由裁量』権を与えて、法整備が追い付くまで自由を与えていた。

その間に、グレーゾーンが拡大して立法が追いつかなくなって行った……

腐敗や不正の温床となっている、『自由裁量』という超法規的措置に対抗する為、艦娘と提督達を統括する統合幕僚監部直属の組織、大本営に警務隊を置いて腐敗や不正を順次一掃して行った。裏では法の裁きを逃れる、腐敗した提督を闇へと葬りながら……

結果、提督の数が足りなくなり、自衛隊ではエースパイロットから医務官、そして会計部署の自衛官まで掻き集めて、妖精さん達が見える人材を無理やり鎮守府に送り込んでいた。

そしてここに、『自由裁量』の超法規的措置の最たる人事が発令された……

そう。四月に中学一年生になる少女を、提督として送り込むと言うのだった。

 

2019年三月末。

小学校を卒業したばかりの笹野 愛は、特任一等海尉・室戸鎮守府司令官として、四国の最前線室戸鎮守府に向かっていた。

艦娘を指揮統率する人間は、妖精が見えていないと務まらない。彼女は、妖精が見える人材として、艦娘と提督を統括する大本営幕僚総監大貫 悟空将直々の依頼を受諾して提督となった。

袖口に、二本ラインと桜の刺繍の付いた一等海尉のダブルの黒いスーツ型である曹・幹部用冬服を身に着けており、特任を表す徽章と提督の徽章がキラキラと輝いている。

後部座席に、愛と一緒に座っている室戸鎮守府司令官付の大石健太も、セーラータイプの黒い制服で、腕には士長の階級章を着けている。

健太と愛は恋人同士で、愛は彼の同行を条件に、提督への着任に同意したのだ。

車を運転している、室戸鎮守府司令官副官である羽佐間花梨(はざまかりん)は、三尉の階級章を着けた陸上自衛隊の緑の制服を身に着けている。

父親も自衛官で提督をしており、ついこの間まで父の下で副官をしていたが、この度の愛の着任により、同じく異動となった。

途中東京で一泊し、大本営に立ち寄って正式な辞令を受け、制服一式を受け取り、大阪で一泊、朝から室戸に向かっている。

室戸鎮守府に近づいた時、花梨が口を開く。

 

「提督、健太君、そろそろ室戸鎮守府に到着します。一昨日、大貫空将から聞いた話をおさらいしておきましょう。前任司令官は深海棲艦との戦いにより戦死……となっておりますが、実際は余りにも非道な鎮守府運営の為粛清されました。もちろんこれはトップシークレットです」

「はい、大貫空将から聞いています」

 

この三人は、「裏の警務隊」の存在を知っている。宮戸島騒動で出会った、村上一尉がそれだと知った時に驚きはしたが、ショックはあまり受けなかった。

 

「その後、室戸鎮守府は改築され、コンクリート造りの鎮守府庁舎と男女官舎によって構成されております。司令部メンバーは司令官である笹野 愛提督を筆頭に、参謀長大塚 武・一等海尉、副参謀長岩崎浩三・二等陸尉、陸戦隊長に小杉賢二・一等陸尉、陸戦隊は一個中隊で、深海棲艦との実戦経験のある精鋭を集めました。建設中の基地航空隊長には、艦載機・戦闘機妖精が見える大垣 翼・二等空尉。投入される航空隊は二個部隊、つまりは八機隊の陸上機を配備予定です。最後に、小官が副官として提督のサポートをします」

 

運転しながらスラスラと説明する花梨に、二人は大貫空将からもらった司令部プロフィールを見ながら、説明を聞いている。

花梨の類稀なる記憶力に、二人は純粋に凄い、と思っていた。

 

「配属される艦隊は一個艦隊六名の艦娘。旗艦にはビスマルク、副旗艦にアイオワと、海外からの出向艦を用意しました。以下伊勢、鳳翔、大井、北上。ビスマルクはdrei改装、伊勢・大井・北上は改二改装、アイオワと鳳翔は改装済みです」

 

花梨の説明は続く。

 

「ビスマルクは、ドイツで『艦隊運用の名人』と呼ばれていたので、実戦での艦隊運用は彼女にお任せしても良いでしょう」

「分かりました」

「はい」

 

一通りの説明をした頃に、漸く鎮守府が見えて来た。

鎮守府前に車を停めると、中から幕僚達が出て来て出迎える。

 

「降車したら、敬礼されると思いますので答礼してください。その際健太君は、彼女の後ろで答礼してください」

 

そう花梨が説明すると、先に健太が降りて、その後に愛が車を降りる。

健太は、愛の一歩後ろに下がる。

大塚一尉の「司令官殿に敬礼!」と言う号令と共に、全員が敬礼すると、愛と健太もビシッと背筋を伸ばして、答礼を行う。

 

「早速、自己紹介をさせていただきます。小官が参謀長を務めます、大塚 武一等海尉であります。前任地は硫黄島要塞でした。どうぞ宜しくお願いします」

 

大塚一尉は、眼鏡にラウンド髭を蓄えた、年齢よりも年上に見える男である。冷静そうで物静かな佇まいは、愛を信頼させるに十分な風格を持っている。硫黄島要塞で作戦参謀をしていた優秀な男である。

 

「ようこそ室戸鎮守府へ。副参謀長の岩崎浩三、二等陸尉であります。いやあ、若いとは聞いていましたが、大本営も思い切った人事をなさったものですな。基本的には、一尉殿のお手伝いをさせていただくことになります」

 

岩崎二尉は、二メートル近い身長と、恰幅のいい巨漢で、明るく陽気な男である。有事の時には守ってくれそうな男だ、と愛は考える。

 

移動中に確認したプロフィールには、大塚一尉と同じく、前任地は硫黄島要塞と書かれている。

「陸戦隊長の小杉賢二、一等陸尉であります。有事には一尉殿の護衛を務めさせていただきます。陸戦隊員は追々紹介して行きますので、よろしくお願いします」

 

小杉一尉は渋い声の青年である。引き締まった肉体と、高菜二佐も持っている格闘や体力・レンジャー徽章の持ち主で、白兵戦技は信頼できそうである。

前任地は横須賀鎮守府の陸戦隊で、深海棲艦の侵攻を水際で守っていた歴戦の勇士である。

 

「宜しく、司令官。基地航空隊隊長の、大垣 翼二等空尉だよ。まあ、航空隊基地が完成するまでは無任所の身だし、暇を持て余す身になるから宜しくお願いね?」

 

大垣 翼は全自衛隊で唯一、深海棲艦の航空機での撃沈スコアを持っているエースパイロットである。プロフィールには、元暴走族(レディース)からパイロットを目指し航空自衛隊に入隊、深海棲艦に主翼をぶつける、と言う頭のおかしな方法で、航空機を近接物理武器として用い、戦艦棲姫等を木っ端微塵にした女、と記載されている。しかも何度も。チャラそうで軽そうな人だな、と愛は感じていた。

そんな大垣二尉に、大塚一尉がオッホンと咳払いをすると、ビシッと敬礼をし直す。

 

「私は、今日よりこの鎮守府に司令官として着任しました笹野 愛です。皆さんのお力に頼ることになりますが、どうぞよろしくお願いします」

 

愛は、元気に自己紹介をすると、

 

「自分は、司令官付きとして愛ちゃ……提督のお世話をさせていただく大石健太です。よろしくお願いします」

 

同じく、背筋を伸ばして自己紹介する健太に、

 

「ねえねえ、二人は恋人って聞いたけど、もうやったの?しちゃったの?」

 

と、翼が指で抜き差しする仕草をすると、大塚一尉が、

 

「そんな訳無いだろう。貴官の男性遍歴と一緒にするな」

 

と諌めるも、顔を赤くして目を逸らす二人に、

 

「最近の子供は早いのだな……」

 

と、苦笑いを浮かべる。

 

「ヒュウ、やるじゃん!あたしだって、初めてしたのは中二の時だからねぇ。最近の子は早熟だねぇ」

 

と、翼はケラケラ笑っている。

 

「着任早々、陸戦隊の若いのに手を出したそうだから、大石士長も気をつけるんだな?」

 

「そんなことはさせません!絶対に!」

 

小杉一尉が冗談めかして誂うと、愛は健太を守るように両手を広げる。

言われた翼は、ケラケラと笑っている。

 

「司令官殿の許可がない限りは、手を出さないやい」

 

車を停めてやって来た花梨が、

 

「私の父は、人妻でもお構いなく手を出していましたから、大垣二尉は父と同類、と言うことなんですね?紹介が遅れました、司令官の副官を拝命いたしました、羽佐間花梨三等陸尉です」

 

と、毒舌を言いながら自己紹介をする。岩崎二尉が笑いながら、

 

「とまあ、艦娘隊幕僚はこんな軽いノリなんで、提督も大石士長も、リラックスするんですな」

 

と、場を和ませる。

 

「それでは、艦娘の紹介をしますので、軍港にご案内します」

 

鎮守府で、一番真面目な大塚一尉が先導すると、一同は鎮守府庁舎に入り、軍港へと向かう。

 

「当鎮守府では、男性官舎と女性官舎兼艦娘寮と分かれており、寮長はそれぞれ小官とビスマルクが務めます。当然ながら、異性の官舎は立入禁止です。提督は、執務室隣室の提督用官舎にて生活していただきます。お食事は、駐屯地ほど広くありませんので、食堂が作れませんでしたから、近隣の提携レストランや食堂・コンビニで使用できる食事券を支給、と言う形になります。提督の分は執務室に用意してあります。大石士長は、()()()に男性官舎に入ってもらうことになりますが、司令官従卒を兼ねている為、提督官舎への出入りに関しては咎められないでしょう。節度ある生活をお願いします」

 

言外に、余り羽目を外さないように、と釘を刺されると、二人はちょっと顔を赤らめる。

 

「小官と小杉一尉、ビスマルクが同階級ですが、実質的に提督は准佐官だ、とお考えになっていただいて構いません」

「わかりました」

 

裏口から軍港に出ると、新しく打ち直したコンクリートの埠頭に、六人の艦娘達が水上に並んで、敬礼して出迎える。

埠頭の横では、航空隊基地が建設中であり、工事中の幕が張られている。

今日は着任日の為、工事はお休みしているようだ。

愛が健太を伴い埠頭の先まで向かうと、ビスマルクから自己紹介が始まる。

 

Guten Tag(こんにちは)、可愛い提督。私はビスマルク型戦艦のネームシップ、ビスマルク。室戸鎮守府艦隊の旗艦よ。階級は大尉、もとい一尉。艦隊運用は任せなさい」

ビスマルクは、自信満々の笑みを湛えて敬礼している。

 

「ハイ!ミーがアイオワよ。宜しくね、プリティアドミラル。階級はルーネテント・ジュニア・グレード…二尉ってやつね!」

テンションが高い、ジ・アメリカンな感じのアイオワがウィンクする。

 

「鳳翔です、よろしくお願いしますね。先任伍長、艦娘の纏め役を仰せ付かっています」

優しそうな笑みを浮かべて、敬礼している。

 

「要するに、ビスマルクとミーに次ぐナンバースリーね!階級は曹長よ」

アイオワが、先任伍長について補足してくれる。

 

「提督!改装航空母艦、伊勢、よろしくお願いします。曹長です」

こちらは、真っ直ぐ愛の顔を見て敬礼をしている。

 

「大井よ、階級はニ曹。提督が女の子で良かったわ。そっちの士長、北上さんに手を出したら、魚雷叩き込むわよ?」

「こらこら、大井っち。私は北上、大井っちと同じく二曹、よろしくね~」

 

敬礼したままであるが、早速健太を威嚇する大井に、それを宥める北上。二人は親密な仲のようだ。

 

「今日より、皆さんの指揮を執ります、笹野 愛一尉です。よろしくお願いします!」

「司令官付の大石健太士長です。よろしくお願いします!」

 

二人も、ビシッと背筋を伸ばして答礼を行った。

 

こうして、通称『愛ちゃん艦隊』が結成された。

 

『どうだい?艦隊司令官の椅子の座り心地は?』

 

支給された業務用携帯に、早速電話が掛かってきた。電話の主は、もちろん高菜直哉二等陸佐である。

 

「あはは、皆いい人で良かったです」

 

『それは良かった。そうそう、着任祝いで良いものを送ったよ。今日には届いてる筈だから、羽佐間三尉に確認してもらうと良いよ』

 

執務机の、エグゼクティブチェアに座りながら電話を受ける。

執務室には、副官である花梨と、司令官のお付きである健太が脇に控えている。本当にやることのない翼も屯っていて、健太に愛との恋の進展状況を尋問していて、それを花梨がジト目で見ている。艦隊司令部では、花梨は階級が一番下なので大っぴらに注意できないのだ。

外では、艦娘達がビスマルクを中心に、近海で艦隊陣形の演習を行っており、埠頭では小杉一尉等陸戦隊員がトレーニングをしている。

隣の参謀部では、参謀長たる大塚一尉が平時の仕事である、哨戒計画の立案を行っている。

副参謀長の岩崎二尉が、書類整理の仕事をしている。妖精さん達も張り切ってお仕事をしている。

浜松での出来事等、いろいろ引き出されている間も、師弟の会話は弾んでいる。

 

『まあ、いろいろ大変だと思うけど、頑張りなさい』

「はい!」

 

電話を切るのを見計らって、花梨が声を掛ける。

 

「提督、お電話の間に大垣二尉が、大石士長から浜松での『間違い』の一件について聞き出してますが、大丈夫ですか?」

「だいじょばないです!もう、何で話しちゃうの!?」

 

頬を膨らませている愛に、健太が、

 

「ご、ごめん……」

 

と、申し訳無さそうな顔をする。

 

「あはは、ラブラブなのは結構結構。青春は謳歌しないとね!」

 

と、サムズアップする翼。繰り返すが、基地航空隊は準備中の為、本当にやることがないのだ。

航空隊基地建設を間に合わせられなかった施設科と、着任を遅らせなかった大本営人事部、そして陸上戦闘機の製造が著しく遅れている、明石等大本営工廠部のトリプルミスである。工廠部のミスの原因は、51㎝連装砲ちゃん製造と、アイキャンフライ事件が九割を占めている。

 

「大垣二尉は、本当に暇なんですね?」

「羽佐間三尉も暇そうじゃない?」

 

副官と言っても、決裁文章の取り扱い方をレクチャーしたり、解らないことを答えるだけしかやることのない花梨も、実際は今の所暇なのである。

花梨を、副官として宛てがった理由は簡単である。愛の自衛隊内の後見人でもある、高菜二佐と面識のある人物でまともな幕僚が、彼女だけなのだ。

 

「あたしは、もっと戦闘機に乗ってたかったんだけど。あたし、戦闘機良く壊すからさぁ」

「どういうことなんです?」

 

愛が首を傾げると、花梨が説明する。

 

「この人は、プロフィールに記載の通り、深海棲艦を戦闘機という名の打撃武器で撃破している、唯一の人です」

「そう書いてありましたね」

 

愛が頷く。

 

「当然ながら、頭のおかしいほどの海面スレスレの低空飛行です。撃破と同時にこの人は脱出します」

「あっ」

 

愛は察してしまった。健太もあー、と納得した顔をする。

 

「だから、出撃禁止命令が出てるのよ、あたし。戦闘機って一機の値段が億単位だから、壊し過ぎで」

 

にへらっと翼が笑うと、二人共呆れた顔になる。

 

「終いには、輸送任務をほっぽり出して、輸送機で同じことをした為、航空機搭乗禁止命令が出たそうです。でも、何度も特攻して戦死しないくらいは幸運で、優秀なパイロットには違いないから、そのノウハウを基地航空隊で役立てれば、と今回の人事になったそうです」

「あたしには、幸運の相棒が居てね」

 

胸ポケットからひょっこり顔を出す、ドイツ空軍の制服を着た妖精さん。当然ながら、愛にしか見えない。

 

「空の魔王妖精さん。深海棲艦開戦時に出会って、ずっと一緒に空で戦っててねー。他の妖精さんは見えないから提督にはなれないけど、艦載機の指揮はできるのね。それで大貫のオッサンに、所謂隊長妖精さんを連れてることがバレて。その頃あたし、航空機搭乗禁止命令が出てて腐ってたところだったから、引き受けたんだけど……」

「急遽の着任で、航空隊基地も、所属航空機も間に合わず、陸戦隊の男性相手に夜戦で連戦連勝しているそうです」

 

全く不潔です、とボソッと花梨は付け加える。自身の父親の女版な翼を、ジト目で見ている。

 

「だってさー、艦娘の艦載機運用に口出そうとしたら、ビス子に怒られるし。『艦載機は空母艦娘の領分よ!』って」

不満そうな顔をしている、本当に退屈そうなのだ。

「提督も健太君も、こんな大人になっちゃだめですよ?」

「「は、はい……」」

 

二人共、花梨の言葉に歯切れが悪い。

 

「まあ、二人ともケイケン済みだもんね」

「そう言えばそうでしたね。恋愛は大いに結構ですが、種は実らせないでくださいよ?」

「「はぁい」」

 

わざとらしく、大きな溜め息を吐く花梨に、二人は苦笑いするしか無い。

そんな中、ケラケラと笑っている翼だった。

 

「さあ、提督。今夜は、皆で食事会の予定ですので、早速書類を片付けてしまいましょう。それに、高菜提督から届いた戦術書の勉強もあります。さすがお金持ち、大型高性能タブレットにデータがぎっしり入っていました」

「はいっ!」

「空戦指揮なら教えられるから、何でも訊いてね?」

「はいっ!」

「僕、紅茶淹れてくるね」

「うんっ、有難う」

 

新米提督笹野 愛の着任初日は、デスクワークに始まり、デスクワークに終わるのだった。

 

―――――

 

「ところで一尉、今日の書類、始末書ばっかりなんですけど。しかもそれ、翼二尉のばっかりで、殆どが男性官舎侵入とあるんですが。残りは、翼二尉を巡っての喧嘩ですって」

 

書類仕事を始めた愛が、始末書の束を確認し始めると、内容はだいたい男性官舎侵入で、『致した』と言うものばかりなのだ。

 

「まあ、予想は付いていましたが。幕僚着任から今日までの始末書が溜まっているんでしょう。おそらく、幕僚着任から今日まで、司令官代行を置かずに放っておいたツケですね。参謀長が、初日から仕事を用意してくれた、と思いましょう、今後同種の始末書を処理することになりますから、いい勉強と思ってその、反省の欠片もない反省文を読んであげてください」

「は、はぁ…」

 

性的に奔放な、目の前のトラブルメーカーな女二尉を見ながら、自分達は自重しよう、と心中で決意する愛だった。




Tips《大垣翼》

艦娘日和から引き続き登場です。
いわゆるスターシステムで、日和の翼とは別人です。
キャラ設定はだいたい似せておりますが、ちょっと変えています。
どっちにせよかっとび娘なのは変わりません

Tips《航空機特攻》
航空機という武器を使った近接攻撃になるので、深海棲艦には通用します。
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