赤龍帝の幼なじみ達   作:THIS

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 大変お待たせしました。

 今回はデンライナーで過去に飛ぶところから話がはじまります。


 そこで大事件に彼らは遭遇します。



 そしてロズヴァイセさんの身にとんでもないことがおきます。


時を超えしアギトたちと蒼焔の戦乙女の覚醒。。

 

SIDE 朱乃

 

 ここはどこでしょう?

 

 そこは漆黒の空間。私の目には何も映らない闇だけの空間。

 

―――――やっとあなたと話すことができたわ。この時をずっと…ずっと待っていた。

 

 そこで誰かの声が響き渡ってきます。

 

 あなたは?

 

――――あなたのことをずっと見守ってきたものよ。ずっと昔・・・あなたが生まれた時から。

 

 黄金の光が闇の中に現れます。

 

――――あなたはいよいよ全てを思い出す時がきたの。あの時に何があったのか私が話しましょう。

 

 それは黄金の光を放つ三つ首のドラゴン。

 

――――どこから話しましょうか?

 

 その声はすごく懐かしいです。一体あなたは?

 

 

 

SIDE ???

 

 私は母様と弟と共に逃げています

 

 そう・・・。

 

「見つけたぞ…裏切り者・・・。」

 

 百人もの人達が、私達を殺そうとしている。

 

 怖い…助けて・・・。

 

「大丈夫・・・。私が絶対に助けるから。少なくとも龍神様の祠にいけば・・・。」

 

 母様がそういう。でも・・・。

 

「龍神様…助けてくれるかな?」

 

 二つの側面を持つ龍神様。

 

 それは守護神としてと破壊神としての側面。どうして全く異なる二つを持っているのか私にはわからなかった。

 

 まるで別人が二体いるような・・・。

 

 少なくとも片方はとても優しい声だったのを覚えています。もう片方と話したことは少しだけありますが、優しい声の方が強引に押え付けてしまいます。

 

 私はこの山で生まれ、その時からその龍神様と話をしてきました。

 

 私の優しいお姉様みたいな神様。そんな印象の。

 

 弟もそれを感じ取っているみたいで気にかけてくれています。

 

 そのことを母様と父様に話すと、とても驚いていました。

 

 まさか、封印に綻びが?それとも選ばれたというのかとか、色々と・・・。

 

 私達はそこへと逃げてきました。

 

「・・・これは?」

 

 その祠の傍まで来たところで母様は驚いていた。

 

 何やらいくつもの札や呪文が刻まれた怪しげな機械も置かれていたのです。

 

「よりによって禁域に入り込むとはな・・・。」

 

 百人もの男達が追い付いてくる。

 

「…あなた達。龍神様に何をしようとしているの!?」

 

「お前達が知る必要はない。何故ならここで死ぬのだからな!!」

 

 そして、母様が私達の目の前で・・・。

 

 斬られてしまった。

 

「母さん!!」

 

「うわああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「フン…さて、お前達を・・・。」

 

 私はへたり込む。手を見てみると・・・ひび割れていたのだ。

 

「ほう・・・ゲートだったのか。こちらが手を下すまでもなくお前は終わるな。」

 

 体の内側から何かが飛び出そうとしてくる。

 

「だが、せめてもの情けだ。お前達を・・・。」

 

 男が刀を手に、私達を襲おうとして、私の中で何かが現れた。

 

「なっ・・・なに?!」

 

「やっと時代を超えたわ。さあ・・・って・・・。」

 

 出てきた謎の存在は、目の前に刀が振り下ろされるのを見て受け止めてくれた。

 

「なんだ貴様!?」

 

「それはこっちのセリフよ!!?」

 

 出ていたのは私の大好きなおとぎ話・・・かぐや姫のような恰好をしていた。

 

 でも頭には角みたいなものもある。その手した扇子のようなもので刀を受け止めていた。

 

「・・・私が狙ったあの子の過去ってわけ?はあ・・・破壊活動はするつもりなかったのに。ただ私は私の時間が欲しくて・・・。」

 

 その変な怪物はため息をつき・・・。

 

「変な札使うんじゃなかった。正式な契約していないから体が・・・。」

 

 体から砂みたいなものが零れ落ちる。

 

―――――おね・・・がい・・・。

 

 変な怪物は私の母の方を見る。

 

「私の…子供達を…助けて。」

 

「それって契約?」

 

 刀に斬られて血の海に沈むお母様。息も絶え絶え・・・。

 

「…命がけの願いなら叶えないわけには・・・。」

 

「いや・・・。」

 

 死にそうになっているお母様。それを見て私は叫ぶ。

 

「死んじゃやだよ!!母様!!」

 

 母様を失う恐怖に・・・。体の中から何かが飛び出そうとする恐怖すら吹き飛ぶ、

 

「へっ?何を・・・って・・・あら?」

 

 その強い願いが叶ったのだろう。

 

「ちょっと!!なんで私があの子と契約を!?」

 

 私の言葉が届いたらしい。

 

「まさか・・・言霊を?それが私を契約・・・て・・・ああもう。契約は履行しないといけないか・・・。でも・・・。」

 

 変な怪物は告げる。

 

「私の名前はカグヤ。あなたの願い・・・叶えるわ。」

 

 カグヤと名乗った彼女は・・・。

 

「…こんな方法しかなかったけどね。ふん!!」

 

 カグヤさんは母様の中に入り込む。

 

――――半ば契約しかけていたから、成功したわ。でも、えげつないわね。呪詛付きの傷だわ。とりあえずフリーエネルギーで生命維持くらい・・・。

 

 よかった。

 

 それを知り、私の中ではじけようとした何が止まる。

 

「まさか…絶望を乗り越えたというのか?そんな馬鹿なことが・・・。」

 

 手を見ると・・・体を走っていた亀裂が消えていたのだ。

 

「だっ・・・だったら、あの化け物の子を!!」

 

――――私の契約者を殺すんじゃないわよ。

 

 カグヤさんは母様の中から声を荒げて立ち上がる。

 

「ひっ?!しっ…死者が蘇った!?」

 

――――まだ死んでない。私がいるから何とか生命維持を・・・。

 

「あり…がとう…私の・・・願いを・・・。」

 

 母様が途切れ途切れにお礼を言っている。

 

―――あなた達の願いを・・・か。一対一が契約の基本のはずだったけど。でも、私はあなた達の願いを叶えることを決めてしまった。イマジンとしては願いを叶える手段は問わないはずなのに・・・。

 

 カグヤさんは母様の体の中から告げる。

 

――――私もヤキが回ったってことか。でも…あんたらがやっていることが非常に気に食わないことも事実。あなたはしばらく休んでいなさい。

 

――――頼んだわ。私の代わりに・・・。

 

「ええ、だから今回はこれを使うわよ。」

 

 どこからともなく腰に銀色のベルトが巻かれ、母様の手には黒いパス。

 

―――変身。

 

――――――夜叉フォーム。

 

 黒に銀色のレールみたいなものが入った体。そのボディに陣羽織を模したようなアーマーが装着され・・・。

 

 頭には鬼の仮面のようなものが付いた。

 

「ふふふふふ・・・さあ、お仕置きの時間よ?」

 

 何かを組み立て剣となったものを右手にて構え、母様は歩き出す。

 

 左手には扇子が・・・。

 

「ひえええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?鬼だ・・・鬼が来たぞ!!」

 

「私はカグヤ姫よ!!失礼ね!!」

 

 ごめんなさい。私から見ても、鬼や夜叉の類にしか見えません。

 

「いたいけな親子を集団で殺そうとした罪…払ってあげるわ!!」

 

 こうして変な怪人がお母様の体を借り、大暴れすることになる。

 

「あなたは弟を・・・って!!?」

 

「お前さえ殺せば・・・。」

 

 私の目の前に日本刀を持った奴が・・・。

 

 後ろには私の弟が・・・。

 

 振り下ろされる刀。

 

「ぐう・・・。」

 

 私は己の身を盾にして弟を守り、背中を斬られる。

 

「があああああっ!?」

 

「姉上!?」

 

 背中が焼けるように熱い。

 

 でも・・・まだ倒れるわけにはいかない。

 

「死ねえええぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 振り下ろされる刀。

 

「・・・ふう。何とか追いついたぞ。」

 

「えっ?」

 

 その刀が赤い篭手に受け止められていた。

 

「大丈夫か?」

 

「はっ・・・はい!!」

 

 私達を見るその眼差しは、とても優しかった。

 

「だっ・・・誰だお前!?」

 

「誰と言われましたら…まあ応えないといけないよな?」

 

 赤い小手をしたお兄さんは名乗る。

 

「俺は通りすがりの・・・赤龍帝だ!!覚えておけ!!」

 

 お兄さんはそう名乗って刀を篭手でへし折り、私を斬ろうとした人を殴り飛ばした。

 

 

 

SIDE イッセー

 

 さて・・・どうしてこうなったんだろうな・・・。

 

――仕方ないだろう。本当に奇妙なことになっている。

 

――時を超えるのも二度目か。

 

 俺達は何故か過去に飛んでいる。

 

 その際の経緯は色々とあるが、まあ…ようは朱乃さんにイマジンが入り込んでしまい、その後にとんでもない事実が発覚し、イマジンの後を追ってきたのだ。

 

「…誰よあんた?」

 

 朱乃さんの過去に飛んできたイマジンー――カグヤさんが警戒をするが。

 

 良太郎を見て絶望に身を震わせる。

 

「まさか電王!?ぐっ…今あんたを相手している暇は・・・。」

 

「その点は安心して、君を倒すつもりはないから。」

 

 ため息をつきながら良太郎がやってくる。

 

「これも時間の流れの一部になっているから。そちらのアギトさんのおかげでね。」

 

「…アギト・・だと?それに赤龍帝・・・て・・・あんたまさか!?紅の・・・」

 

 カグヤを名乗るイマジンは俺を見てわなわなと震える。

 

「戦う?」

 

「…だったら、その代わりにあなたが私の契約者を助けてほしい。そうでないと、今は離れられない。この体の命・・・私が繋いでいるから。それさえ出来れば・・・。」

 

『・・・・・・・。』

 

 やっぱり・・・か。

 

 あんたが命の恩人ってわけか。

 

 人質にしないだけ、この時点でも良い奴みたいだ。

 

「安心しろ。未来のお前からその辺の事情は聞いている。」

 

「・・・へっ?未来の私?」

 

 カグヤってイマジンは驚いている様子だ。

 

「・・・そうか。私自分の時間を・・・なんで未来の私が?」

 

「・・・っ。化け物共が‼‼結界を張れ!!

 

 そこで姫島家の刺客たちが動き出し、結界を張る。

 

「っ・・・これは・・・。」

 

 それを受け、カグヤさんの電王としての変身が解けてしまう。

 

 残ったのは朱乃さんのお母さんとしての姿だけ。

 

「…これは人外の力を封じる結界。神器も例外じゃないぞ!!さあ…お前達、その化け物の娘をかばうなら容赦・・・。」

 

「へえ・・・。」

 

――――あっ・・・。

 

――――愚か者どもが・・・。

 

 俺はその言葉を聞き逃さなかった。いや…聞き逃すわけもないし、そのつもりもない。

 

 だってねえ。

 

「俺のダチと朱乃さんを化け物ねえ・・・。」

 

 ――――相棒・・・逆鱗に触れられたのはわかる。だが、少し落ち着け。

 

 なんでだ?ドライグ・・・。

 

―――お前の怒りの波動で結界が崩壊し始めている。

 

 亀裂が走る結界を見て、俺は一度、怒りを引っ込める。

 

「・・・そんな馬鹿なことが。」

 

 なんだ、この程度で揺らぐような結界か。大したことないね。

 

「なんだお前は!!?赤龍帝なのはわかる。だが、どうして神器を封じる結界でこれだけの力を!?」

 

 自慢の結界が崩壊しそうになっていることに驚いている。

 

「この結界は上級悪魔でも簡単には、それこそ神格があれば・・・っ?!」

 

 そこで気づいたようだ。

 

 神格という言葉で。

 

「そっ…そんな馬鹿な・・・。神滅具を持つ、アギト・・・。」

 

 その推測に応えるように、足元に背後にアギトの紋章を出現させる。

 

「ひぃぃぃぃぃぃ!!そんな無茶苦茶な存在がどうしてここに!?」

 

「まあ、まだ目覚めたばかりで調子が悪いんだわ。だから・・・。」

 

 俺はあえて神器を消す。アギトの紋章もだ。

 

「お前達が言う人外の力は使わない。素手で相手してやる。」

 

「っ…舐めた真似を‼!この化け物がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 刺客達は一斉に俺へ向けて切りかかる。

 

「さて…寝ていた分の錆落としをしましょうかね。」

 

 俺はゆっくりと歩きながらそいつらに向かっていった。

 

「だからハルト、師匠も朱乃さんの治療を頼む。」

 

「ああ・・・。」

 

「任せておけ。存分にウォーミングアップをするといい。」

 

 そして、一緒に来ていたハルトと自力で時間を超えてきた天道師匠に託した。

 

 

 SIDE 良太郎。

 

「よし・・・だいぶ勘が戻ってきた。体が鈍っていたからちょうどよかった。」

 

「そうか・・・。」

 

 僕は軽く肩を鳴らすイッセー君に苦笑いを返す。

 

『バっ…馬鹿な・・・。』

 

 その後ろに百人近くの刺客が倒れているせいでね。

 

 一人一人、結構な技量を持っていたけど、どうも相手が悪すぎたみたいだ。

 

 まあ、素の状態で素手による格闘の技量だけで上級悪魔を圧倒するのだから、ある意味当然と言えば当然か。

 

「なんだ…なんだお前は!!?なんでお前みたいな化け物がここに・・・。」

 

 アギトの本能…本当に恐ろしい。

 

「・・・化けものか・・・。なあ…俺は未来から来たんだわ。」

 

 イッセー君はその中のリーダー格の男の前でしゃがんで話す。

 

「その頃にはお前らが言う化け物・・・当たり前になっているぞ?」

 

「なっ?」

 

「本当の化け物って…お前達のような気がするぜ。」

 

 そういって彼は拳を振りかぶる。

 

「だっ、だが、俺達を倒しても周りにはまだ・・・。」

 

「それならもう解決済みだよ?あまりに歯応えなかったから拍子抜けもいいところだ。」

 

 その言葉に、今回の旅のもう一人の規格外の同行者がやってくる。

 

 背中に神器を出した状態で。

 

 白い翼を見た男は戦慄しただろう。

 

「・・・っ?!白龍皇だと?」

 

 それはヴァ―リ君だ。

 

 彼は以前にデンライナーでの時間移動の話をして、非常に興味を持っていた。

 

 アギトという特典もあり、今回の時間の旅に同行。

 

「つまらない。せっかく暴れられると思ったのにな。」

 

「あは・・・はははは・・・。」

 

 その後ろにはアーシアさんもいる。

「おいおい。素手の格闘だけで無双しておいてよくいうぜ。」

 

 そして、ネロ君もだ。

 

 揃って、アギトの紋章を展開させている。

 

「それでも時間を超えるという貴重な体験ができるというのは感謝だ。」

 

 そう・・・。アギトが四人。

 

「なん・・・だと?なんで・・・。」

 

 アギトが四人も来ているという異常事態に混乱しているみたいだ。

 

 まあ、普通はあり得ない。覚醒したアギトなど、百年に一人いたら良い方だ。

 

 それが四人もいる。

 

 ましてや片や二天龍なアギト。

 

 後二人もまさに規格外。

 

 そんな連中が時間を遡ってきたのだ。

 

「ったく、アギトが増えると戦力が増えて助かる。」

 

 もちろん姉さんも一緒だ。

 

「なはは、本当にそうだ。」

 

 そして、何故かポルム君まで!?

 

「いや~以前ただ乗りさせてもらった時に交渉しましてね。時間の危機に手を貸すという契約を・・・。」

 

 ああ・・・そうか。エクスカリバーの事件の時に、ポルム君はただ乗りしたんだ。

 

 デンライナーを。

 

 その事に関しては、驚くことはない。彼の場合、この程度できてもおかしくない。

 

 むしろ・・・。

 

「できればデンライナーのデータは使わないでね。」

 

「・・・それを見抜く君も中々だよ。」

 

 いや、君は抜け目ないから、この程度は保険代わりにやっているはずだと思っただけだ。

 

 むしろそれをやっていない方がおかしいと思えるくらい。

 

 彼の神器にデンライナーのデータがあるのなら、単独で時間を超えることすら簡単だろうね。

 

 でも、彼の場合はそれを不測の事態の時のための切り札として温存しているだろうけど。

 

 おそらく、翼の中に、材料を集めて作った彼のデンライナーが眠っているはず。

 

「…君を敵に回したくない。それだけは断言しておく。だからこの力を使わない方がいい。時間というのは驚くほど繊細だし。」

 

 まあ、時間をいじることはしないだろう。余程のことがない限り。

 

 彼も、時間の管理者と敵対するつもりもないようだ。

 

「まあ、その時間が敵に回るなら、容赦はしないけどね。逆にこっちが乗っ取るってやるから。」

 

・・・彼が味方で良かったと思うよ。

 

 銀河連邦を単独で壊滅寸前に追い込むような相手だと…こっちも勝てる気がしない。

 

 彼の行動原理は単純だ。

 

 友達である僕達を助け、皆で幸せになる。それだけだ。

 

「時間って・・・こんなに簡単に遡れるの?」

 

 カグヤさん、違います。

 

この連中が規格外なだけだから。アギトや大魔王、大魔法使いなどなど・・・。

 

「・・・そうか。それで私の契約者は?あの刀に斬られて・・・。」

 

「その点は安心してほしい。姉さんは無事だよ。」

 

 刀の傷を治しているのはハルト君。

 

「時間旅行に感謝する。戻ってきたら姫島家に殴り込みをかけてやるから。ふふふふふ・・・そうか・・・姉さんや母さんをやろうとしたのは叔父様か・・・ふふふふ・・・ふははははは・・・。さあ…帰ったらお仕置きの時間だ・・・。ベヨネッタさんから教えてもらった拷問が役に立つ時が来たようだしな!!」

 

『・・・・・・・・。』

 

「あーははははははははははははははははははははっ!!」

 

 姫島家に幸あれ・・・。もう一人の大魔王がもうすぐそっちに向かうから。

 

 言っておくけど、僕達一同は止めるつもりはない。

 

「すまないがこの石にみんなの力を集めてくれ。それを姉さんに埋め込む。」

 

 僕達はハルト君の指示で、この時間の朱乃さんを救うべくハルト君が持ってきた賢者の石に力を送ろうとし・・・。

 

「・・・こうなったら最後の手段・・・。この山に眠りし龍神の封印を解いてくれる!!」

 

 辛うじて意識のあった刺客の一人が吠えた。

 

――――なっ、あなた!何をしようとしているのかわかっているの!?

 

 朱乃のお母さんが驚愕の声を上げる。

 

「ちょっ・・・どうしたの?」

 

―――この山には姫島家を始めとした数多の退魔の家の物が封印してきた龍神がいるの!!私達がここに来たのはその封印に綻びが・・・。

 

 ・・・その話を聞いて嫌な予感がした。

 

 そう、盛大なフラグというやつに。

 

「そうだ・・・ここには黄金の龍神が眠っている!!守護と破壊、二つの側面を持つな!!故にここでお前達を襲うなと言われたが、むしろちょうどいいと踏んでいた‼‼いざとなれば龍神を使えば・・・。」

 

 その言葉と共に上空に巨大な魔法陣が展開。

 

「アギトが四人相手なら実験に不足はない・・・すでに龍神の制御方法も研究済!!さあ…蘇れ、黄金の龍神よ!!」

 

 そして、轟音と共にそれは現れた。

 

 それは黄金の巨大なドラゴンだった。

 

 全身を黄金の鱗で覆い、扇子のような巨大な翼。二本のしっぽ。強靭な二本の脚で立ち、腕こそはなかったが、その代わりに三つの首を持っていた。

 

 その大きさ・・・あのゴジラよりも更に巨大だ。

 

 その名は・・・。

 

「フハハハハハハハハハ!!さあキングギドラよ!!我の命に従え!!!」

 

 僕は思う。

 

 どうしてイッセー君達と時間を超えると、いつもこんな滅茶苦茶なことが待っているのだろうかと。

 

 一度目は魔王と黄金騎士、そして、黒のコアの爆発。

 

 二度目はゴジラクラスの大怪獣。

 

彼女のおかげで、とんでもない何かが起きることはわかっていたんだ。覚悟はできていたけど・・・。その覚悟すらも上回る事態だ。

 

 これはやばすぎる。

 

 できればもう…イッセー君達をデンライナーに乗せたくない。

 

 必ず何か起きそうだから。

 

 それもだんだん悪化しているような気がしている。

 

 

 

 

SIDE イッセー

 

 時は俺達が時間を遡る前。

 

 俺達は作戦会議を開いていた。

 

 しかしまあ…眠っている間に色々あったもんだ。

 

「…父さんが異世界のアギトってのがねえ・・・。」

 

 なんで言ってくれなかったの!!?

 

 って叫んだら、自力で気付くことが要件だったからというのが・・・。

 

 そこに驚いたら今度は母さんが元魔法少女で、そこから神様になったというのが・・・。

 

 その隣にいる人はその大親友兼、神としての力を奪ったほむらさん。

 

 現、禍の団の代表。

 

 う~む。広大すぎる世界なのに、世間が狭い。

 

「ようやく俺自身のルーツが分かったぜ。」

 

 俺はぶっちゃけ神の子だったというわけだ。この世界で別にアギトの因子をもらったのもそうだろう。

 

 はあ・・・だが、それでも今まで普通の人間として生きていたのは奇跡だったな。

 

 この春についに人間止めちゃったけど。

 

 人間であった時の経験や気持ちが今の俺のルーツなのは変わらない。

 

 これまでも、そしてこれからも。

 

「いや、イッセー。あなたのスペックに関するルーツはわかったわ。でもね、この無茶苦茶な連中を集めまくる才は全く別物よね?」

 

 部長はもう一つ納得していない部分があったみたいだ。

 

 それは俺の周りのことだろうか?

 

「まあ…それはきっと。なあ。」

 

 それに対する答えはドラゴンだから。

 

 その一言で済む。

 

「すまん・・・俺達が一緒にいるからだろう。」

 

 ドラゴン達が集まる。それに惹かれて強い力が集まる。

 

 おかげで俺の中は愉快なことになっている。

 

「ゴジラまでいるとな・・・。」

 

 二天龍に、ついに龍神すら宿ることとなった俺。

 

 次々と力が合流していく。

 

 それを思い出したのか、皆の間に緊張が走る。

 

「まあ、あいつが意図的に暴れることはない。対話はある程度済ませたし。」

 

 話してみると案外いい奴だった。

 

「また、あいつも外に出せるようになったら紹介する。それまで待ってくれ。そんなに時間はかからないようにする。それまで修行のやり直しだし・・・はあ。」

 

『・・・・・・・。』

 

 その言葉に皆は無言。

 

 なんか呆れを感じるぞ。

 

「いや…流石というべきか?」

 

「どうやら、器そのものは底がないのかもしれん。あれだけの存在とどうやって対話を?」

 

 まあ、おっぱい怖いって精神的に参っていたから別の意味で苦労したわ。

 

「我が息子ながら・・・。」

 

「う~ん。これでもかなり心配していたんだよ?次々と色んなモンを引き寄せてくるし。しまいには私達が総出で戦っても、勝てないようなゴジラまで・・・。」

 

 父さんと母さんがため息をついている。

 

 マジで大暴れしたもんな。ゴジラの奴。

 

「今だからぶっちゃけるけど、生まれてくるあなたの妹もなんかのドラゴンを宿しているわ。それも強大な何かの・・・。」

 

『!!?』

 

 まじか・・・。

 

「もちろんアギト。そして、もう一つ、強力な光の力を宿している。アギトではない全く未知の何かを・・・。」

 

「末恐ろしい兄妹ね。アギトがもう一人追加されるのは確定だし。」

 

 生まれてきた妹。大切にしないといけねえな。

 

「・・・本当にとんでもない子ね。」

 

 確かほむらさん・・・でしたっけ?見た目が年下だからさん付けするのに違和感が・・・。

 

「言いたいことがあるのならいつでも聞いてあげるわよ?」

 

・・・うん。どうやら逆らってはいけない類らしい。

 

「でも話してみると・・・まどかと・・・悔しいけどあなたの息子って感じがする。色んな所が二人そっくりだもん。まあ…エロの点はどっちも似ていないけど。」

 

 母さんの大親友の評価に俺は嬉しくなる。

 

「・・・なに微笑んでいるの?」

 

「・・・いや、本当に母さんの大親友だなって。母さんのことをよく知っている。父さんのこともよく見ている。そう思うと、二人の息子として鼻が高いと。」

 

『・・・・・・。』

 

「てっ…照れるね。」

 

「うん。」

 

「・・・・・・っ!?あなたとんでもない人たらしね。なるほど、それでいてドラゴンとしての力を引き寄せる・・・。ある意味勇者、または英雄と言える、ある種のカリスマ的素質との化学反応の結果が今の状況に繋がると・・・。」

 

 ほむらさんがぶつぶつと何や分析している。

 

「どうやら、そっちもこの魔境の本質に気付いたか。」

 

「ええ・・・。これは時間が経つほどにやばくなるわね。」

 

 ポルムさん、一体何言ってんの?

 

「それで、君がこうしてやってきたのは?」

 

「はい・・・。」

 

 そこにはカグヤさんがいた。

 

 なんでも朱乃さんと契約してしまったイマジンらしい。

 

「朱璃さんを助ける。それが私の契約内容です。助けるという意味では私は無事に契約を完了できました。」

 

「娘がお世話になっています、本当に・・・。」

 

 深々と礼をいうのは朱乃さんそっくりの女性だった。

 

「・・・朱璃なのか?」

 

「はい、私です。」

 

 包帯を巻き、大怪我を押してこの場にやってきたバラキエルさん。

 

「お前・・・生きて・・・。」

 

 そして、何も言わずに彼女を抱きしめたのだ。

 

「カグヤさんのおかげよ。ずっと長い間、憑依した状態で仙術を使って私の体を少しずつ癒してくれていたの。まあ・・・ハルトが見つけてくれたおかげですぐに治ったけど。副作用で仙人になっちゃった。」

 

 カグヤさんはずっと朱璃さんの体の中で仙術を使って気を集めていた。それで呪いを消し、体を治していたのだ。

 

 だが、あまりにずっとやり続けた結果、人外になってしまった。

 

「これであなたとずっと一緒にいられるわ。」

 

「ああ・・・、嬉しいよ。本当に!!」

 

 仙人という形で。

 

「ああ・・・。これでやっと名乗れるよ…父上。もう記憶の封鎖は解けているはず。こちらのことは死んだと思いこませた封鎖はね。」

 

 ハルトの背に現れる十枚の堕天使の翼を出す。

 

「まさか…。お前が俺の同僚になっていたか。」

 

 バラキエルさんはハルトに近づき・・・。

 

「言いたいことはたくさんある。だが・・・よく生きていてくれた。」

 

 微笑みかけていた。

 

「生きててくれた。それだけでどれだけ嬉しいか。まあ、影で色々企んでいたことや、転生のこと、魔法使いのことなど突っ込みたいことは山のようにあるが・・・。」

 

 だんだんジト目になってくるバラキエルさん。

 

 それに苦笑しながら、ハルトは話題を変える。

 

「まあ、それは後にしよう。まずは姉さんを・・・。」

 

「ええ。それでお願いが・・・。良太郎さん。あなたに過去に飛んでもらいたいのです。カグヤの後を追って。」

 

「もちろん、今の私じゃなくて・・・。」

 

「はあ・・・まあ、そのつもりだったけど。なんで?」

 

 良太郎の手には既にパスがあった。

 

「…その日付を忘れることはないな。」

 

「ああ。」

 

 バラキエルさんとハルトがそのパスの日付を見て苦い顔を浮かべる、

 

「ここにいる二天龍と他2人のアギトの皆さんを連れた状態でお願いします。そうでないと、あれは止めれませんから。」

 

『あれ?』

 

 一体何が待っているんだ?それもアギトが四人も必要な事態なんて想像もできない。

 

 

 

 

SIDE 良太郎。

 

 僕は思う。

 

 あの時のカグヤさんの言葉の意味がよく分かったと。

 

 でも、せっかくならキチンを教えてほしかった!!

 

 甲高い咆哮と共に、翼を羽ばたかせるキングギドラ。

 

 それだけで竜巻のような突風と雷があちこちに落ちる。

 

 こいつも…ゴジラクラスの怪物なのは疑いようがないようだ。

 

「フハハハハハハハハ!!やれ…焼き払え!!」

 

――――・・・・・・・・断る。

 

「ハハハハハハハハハハ!!さあ…その力を・・・・・・あれ?」

 

 命令を拒否したことに遅れて気づいたあの男は間抜けな声を上げる。

 

―――もう、操られるのは御免だ!!

 

 キングギドラのテレパシーには確かな怒りがこもっていた。

 

――――どいつもこいつもこの誇り高いギドラ族である我を操ろうとしおって!!我のことを馬鹿にしすぎだ!!そんなやから皆・・・・

 

 その怒りがだんだん膨れ上がっていく。

 

―――――万死に値するぞ!!

 

 そういって、三つの口から稲妻のような光線をあちこちに吐き出す。

 

 それを受けた大地が浮き上がり、粉々になっていく。それは強烈な重力の力。

 

 それを的儲けったらこちらの体が一瞬で粉々になる。

 

「なんで・・・操れない?制御方法は完璧・・・。ぎゃあああああぁぁぁぁ」

 

 あの男の体が宙に浮く。そして、あいつは男に怒りの眼差しを向ける。

 

――――中にいる賢き我のおかげだ。術式はすでに解析済。封印もこっそりとだが少しずつ解析し、自らの手でもうすぐ破壊できるところまで来ていたのだ。

 

「なあ・・ああ・・・。」

 

 封印を自力で破りつつあった。その事実に呆然としている男。

 

――――綻びはそれだったのね。まさか内側から封印を破りつつあったなんて・・・。

 

 ずっと封印してきた者達からすればショックだっただろう。

 

「我はもう操られん!!逆に操ってくれるわ!!

 

 その言葉とともに目を光らせる。そして、あの男は倒れた。

 

 あれは催眠術か?

 

―――――ふっ、溜飲が下がったら腹が減ったな。

 

 あいつは告げる。

 

―――この星の人間すべてを喰ってくれる。賢き我は同時に大食いだったらしいからな。まずはそこに倒れている美味そうな少女を・・・。

 

 とんでもないことを!!あいつの視線は朱乃さんに向けられていたのだ。

 

「やらせるかよ。」

 

「そういうことだ。」

 

 それに立ちはだかるのは二人のアギト。

 

 赤龍帝のイッセー君と白龍皇のヴァーリ君。

 

―――邪魔をするなああぁぁぁぁぁぁ!!

 

 飛び上がった二人を三つある首は的確にとらえていた。口から引力光線を吐いてきたのだ。

 

―――――Guard VENT!!

 

 イッセー君が倍化で強化した盾を召還。

 

 そこにヴァーリ君が反射を付加させ光線を防ごうとするが・・・。

 

 その盾は反射しきれずに粉々に砕かれたのだ。

 

「なっ。」

 

 粉々になった盾。その崩落の余波を利用してその場から離脱する二人。

 

「ちぃ…まさか反射が効いていないのか?」

 

――――いや、反射は効いていた。だがやつは・・・。

 

―――――面白い能力があるものだな。力の倍化と半減、譲渡に空間半減、透過に反射。

 

 あのキングギドラってやつは俺たちの能力を見ている。

 

―――――それ以外にもあるようだな。消えぬ焔と減少の毒。

 

――――っ!!?

 

――――そこまで見抜くか。

 

 二人の中にいる二天龍達が警戒を示す。

 

――――お前達を取り込み、その力を得れれば更に力が増しそうだな。

 

 キングギドラの姿が瞬時に消える。

 

 次の瞬間、二人をその顎に捕らえていたのだ。

 

「ぐっ?!」

 

「いつのまに!?」

 

 

 二人はそれぞれ上下の口を、全身でつっかえ棒になるようにして食べられるのを堪えようとしています。

 

 だが…明らかに相手の強さが上。

 

――――無駄な抵抗よ。

 

「おかしい…倍化が弱い。」

 

「こっちの半減もだ。」

 

――――当り前よ。先ほどあの男が使っていた結界。その術式を使わせてもらった。神器の力を抑える力に特化して使ったらこんなところだ。

 

 あいつはつい先ほど使っていた結界の術式を盗み取っていた。

 

 なんてやつだ・・・。

 

「やらせると思いましたか!!アカリちゃん!!」

 

――――はい。母様。

 

 モスラのアカリちゃんを召喚したアーシアちゃん。

 

 そのモスラの光線がキングギドラの頭に当たり、顎を離す。

 

 その隙に二人が離脱。

 

「…派手なことになりそうだな。」

 

 背中から蒼いもう一人の自分を出すネロ君が、キングギドラを殴り飛ばす。

 

―――――ぬうっ?!

 

 だが、すぐに体制を立て直す。

 

――――ほう、驚きだな。小さきものに殴り飛ばされる日が来るとは。

 

「…キングギドラってありかよ。なんでまた・・・。」

 

 ポルム君も同じく唸る。

 

 だが、キングギドラは唸る。モスラを見て・・・。

 

――――・・・お前は!!あのモスラ族の・・・。

 

――――私を知っているの?って・・・先代から引き継いだ記憶に確かにあった。白亜紀の恐竜をたった一人で全て食べ尽くして絶滅させたあなたのことを。

 

 モスラ達は先代の記憶を引き継いでいることが最近わかってきた。

 

 まるで竜の騎士のように。

 

 彼女達もまた代を重ねることに強くなるのだと。

 

「・・・・・・・。」

 

 その知識の中でとんでもない事実が出てきたぞ。

 

 白亜紀の恐竜を全部食って絶滅!?しかも一人で!?

 

――――こいつ・・・マジで規格外だな。

 

 うん、モモタロス。主に生態系的な意味でやばいよ。

 

「ちなみに事実だ。ある世界のキングギドラがそうだった。自らを成長させるために太古の地球で恐竜たちを食べまくった。そのエキスで強大な力を得ている。まさかあいつまで混じっているなんてな。」

 

 ポルム君の説明で、更にやばいことがわかったよ。

 

―――お前に対するリベンジもできそうだな。お前を倒して翼を切り落とされた屈辱を・・・。

 

 それにアカリちゃんの先代って勝ったの?

 

―――今の我は一人じゃない。幾重の我が集まっている。そのおかげで強さはこれまでにないほどに高まっていると思ってくれていいぞ。この世界で我に比類し得る存在などいないと思え!!

 

 怒りと共に無数の山が浮き上がる。

 

 そう・・・山が浮き上がったのだ。

 

「超能力が強くなっている。やばいな・・・。」

 

――――超能力だけではない。見るがいい。

 

 その言葉と共に、無数の雷があちこちに落ちる。

 

――――ただ封印されていたわけではないわ!!遠見の術を会得し、そこからあちこちの魔術などを盗んできた。素晴らしいものだな。この世界の魔術も。次は何を試してくれようか?

 

「どうやら本当にやばい奴らしいな。」

 

 魔術まで使いこなすか。なんて知能の高さ。先ほどの結界の術式を見抜く点もそうだ。

 

 恐竜を食べ尽くし、今度は人間を食べ尽くそうとするあいつを放置できない。

 

「姉上を食べるだと?」

 

 そして、もう一人ブチ切れている奴がいた。

 

「いい度胸だな。」

 

 それは弟であるハルト。

 

「俺はこの日のためにずっと頑張ってきた。ばらばらになった家族を繋ぎ合わせるために。」

 

 ハルトは怒りに燃えていた。

 

 相手の圧倒的な攻撃にひるみもしていない。

 

「ここが俺・・・いや、俺達家族の最後の希望だ。だから、踏ん張らせてもらうぞ!!

 

 その言葉と共にハルトの右手が光を放つ。

 

 その手から現れたのは銀色の指輪。

 

「お前を止める。」

 

「ふっ…やってみるがいい!!」

 

――――――インフィニティー!!

 

 ハルトは変身する。身体から飛び出す三体のドラゴン。

 

 一体は前世からの相棒であるファントムドラゴン。

 

 もう一体は龍神…エデン。

 

 もう一体は龍殺しの天使・・・サマエル。

 

 それらがハルトと一体になる。

 

 銀色のコートを纏った、ウィザードに。

 

 それはウィザード最強の姿。

 

 無限の力、インフィニティスタイルだと。

 

――――なんだその姿は?

 

 キングギドラが驚いて稲妻のような光線を浴びせる。

 

 周囲の大地がぼろぼろに巻き上げられている中で、ハルトは平然と立っていたのだ。

 

「・・・そんなものか?」

 

―――――我が力が効いていない?

 

 ゆっくりと歩いていくハルト。

 

――――ほう、面白い。なら、こちらも本気を・・・。

 

 あいつがいよいよ全力を出そうとする。

 

 だが、そこでもう一つ振動が巻き起こった。

 

――――そんなこと…私がさせません!!

 

 

 

 SIDE イッセー

 

 訳の分からない現象が起きている。

 

 現れたのはもう一体のキングギドラ。

 

―――お前・・・。もう目覚めて・・・。厳重に催眠をかけていたのに!!

 

――――あれだけ叫べば目が覚めるわ!!あなたを止めるのが私――お姉ちゃんの役目!!

 

 はい!?お姉ちゃん!?

 

―――――我が同族ながら、どうしてお前はそんなつまらないことをする!?

 

―――――つまらないこと?お姉ちゃんである私に向かってその言い方はないでしょ!!

 

―――――あっ・・・いや・・・その・・・。

 

 二体のキングギドラが何やら言い争っている。

 

―――大体あなたの悪行は目に余るのよ!!ちょっと説教を!!

 

――ここで説教は勘弁してください!!

 

 いや、若干だが、先に出てきた方が押され気味である。

 

 その光景を見たゴジラが・・・。

 

――ほう。あっちの方のあいつもいたか。

 

―――あっちの方だと?

 

―――その前にあなた、私達と会話を・・・。

 

 とドライグとクレアの会話に参加してきたのだ。

 

―――ただの気まぐれだ。

 

 あいつが表に出てくるなんてな。

 

―――俺の知っているキングギドラは五体。だが、おそらく話からするとモスラが単独で倒したのを含めて六体いたらしいな。

 

 六体のキングギドラの集合体ってわけかい。

 

――――その中で一体だけ異端がいた。怨霊の我に対する最強の守護神としての奴がいた。あれはおそらくそいつだ。

 

 守護神としてのキングギドラだと!?

 

――――そうですか。あなたはそこにいたのですね。

 

――――っ!!モスラもいるのならまさかと思っていたが・・・てめえまで・・・。

 

 二体のキングギドラの意思が一斉にこちらに向けられる。

 

―――――ふん。久しぶりだな貴様ら。

 

―――――あなた、自分の体にいるのがどういう存在か知っているの?!

 

―――――我が宿敵。なんでそいつの中に?

 

 え~と・・・。なんといえばいい?

 

 俺もよくわかっていねえし、相棒達は?

 

――――わかるわけないだろうが。

 

――――まったくよ。私だってゴジラがいるのは想定外だし。

 

――――そういった存在を引き寄せてしまうとしかいえない。

 

―――――ふん。だが割と居心地はいいぞ。

 

『・・・・・・・・・。』

 

 その言葉に二体は絶句。

 

 後ゴジラさん。俺の中、案外気に入っているのね。

 

――――なら、お前を倒せばゴジラも倒したことになるよな?

 

 そして、凶暴そうな方が笑みを作りましたよ?

 

 俺を倒せばそうなると?

 

―――やらせるわけないでしょう!!

 

 それを抑えにかかるもう一体のキングギドラさん。

 

―――――――ぬおっ!?邪魔するな!!お前だってあいつとは因縁あるだろうが!!

 

―――――――それとこれとは話が別です!!ゴジラと対等に話せるあなたにならお願いできます。このまま我が弟を!!

 

――――――だから、俺はお前の弟じゃねええええええ!!それになんでお前の方が力がある?!俺は四体取り込んでいるのだぞ!!

 

――――――そんなの…根性とお姉ちゃん補正に決まっているじゃないですか!!元々私は未来人が作り出した地球産の私もいるの!!メタリックな私も含めたら私だって三体分です!!時間だって操れますから!!

 

――――なんでお前はそんなに姉キャラなのだ!?ええい…お前の巫女の影響か。あの巫女と交流をもって姉キャラになってしまいおって!!それと時間は卑怯だろう!!なんでお前の方にチートな力が!!

 

―――――ふっ・・・だから言っているじゃない。お姉ちゃんに任せなさいと!!

 

―――――その一言で全て済むと思ったら大違いだぞ。

 

『・・・・・・・。』

 

 こいつら仲が良いな。喧嘩するくらいに。

 

その余波だけであちこちに甚大な被害が・・・。

 

―――この世界に来て、どうやら色々とあったらしいな。だが・・・姉の方はなんか勝てる気がせん。キャラ的に・・・苦手なタイプだ。

 

 始まってしまった迷惑すぎる姉弟喧嘩。

 

「皆!!とにかくこの姉弟喧嘩を止めるぞ!!」

 

 声をかける。

 

――――我は腹が減ったのだ!!ゴジラも倒すし、したいことがあるんだ!!

 

――――あなたが暴れると私が守護するべきご近所が星ごと滅ぶわ!!大切な妹のためにも、弟が悪の道に走らないためにも絶対に頑張る!!

 

 なんだろう。

 

 微妙に緊張感がねえぞ・・・。

 

 だが、行われている姉弟キングギドラの喧嘩ははた迷惑極まりない。

 

 早く止めないと。

 

―――Unit Vent!!

 

―――――Final Vent!!

 

 皆その思いに応えてくれた。

 

――――Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!

 

―――――Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!

 

 ヴァ―リと俺はすで相棒達を合体させ、ファイナルベントを装填。

 

 ネロも・・・。

 

――――Maximumdrive!!

 

 三つのメモリを同時にマキシマムドライブさせ、アクセルクイーンを構える。

 

 俺達バイク持ちはその上で、バイクに乗って加速もつけている。

 

 俺はトルネをボード形態にさせて。

 

 ヴァ―リはライカさんのタイヤの上に乗り、高速でスピンさせて勢いをつけ・・・。

 

 ネロはレイダーをアクセルメモリで極限まで加速させた状態で突撃。

 

 アーシアに至っては、アカリがキングギドラ達の上空を飛翔しながら鱗粉で陣を描く。

 

 その陣が二体のキングギドラを取り囲む。

 

 あれは封印ではない。

 

 こちらの必殺技を増幅させるためのものである。

 

 良太郎はクライマックスフォームになり…すでにチャージ済。

 

 ゼノヴィアはゼロノスの状態でゼロガッシャーにデュランダルを合体させていた。

 

 そのうえで限界までチャージ。

 

 師匠も・・・時間を超えてきた形態―――ハイパーキャストオフした状態でキックを放っていた。

 

 ハルトの手にはドラゴンが現れ、それが斧と剣を組み合わせたような武器に変化。

 

 斧として使い、軽く振り回すと・・・その斧頭が途方もなく巨大になる。

 

「皆さん今です!!」

 

―――――へっ?

 

―――――・・・えっ・・・?

 

 飛び掛かってくる脅威に呆ける二体のキングギドラ。

 

 そのキングギドラを二体纏めて縛るのは・・・。

 

「この場合は一瞬だけでいいよね、動き止めるのは。神性を持つ相手だけにたぶん効果的じゃないかな?」

 

 ポルムが放つ鎖。

 

―――――なんだこの鎖は?!

 

――――動きが・・・封じられて・・・。

 

 とある世界でコピーに成功したという神性を持つ相手に効果絶大という鎖。

 

 ポルム曰く、「アギト対策の一つ」とのこと。

 

 今度ゴジラが暴走しても、時間稼ぎにはなると豪語していました。

 

 動けなくなった二体のキングギドラに皆は一斉に放ちました。

 

『ちょっ・・・まっ・・・・。』

 

 最強必殺技の嵐を。

 

 

 

 その結果・・・。

 

 

―――――ぐうう・・・なんだこいつら・・・。

 

――――――痛た…流石に効いたわ。

 

 まるで隕石の落下のような巨大なクレーターの中で倒れ伏せている二体のキングギドラ。

 

 山が消滅してし、大地には深い谷間が刻まれている。

 

「…なんて破壊力。」

 

 カグヤさんが呆然としている、

 

「イッセー達がいる分助かったぜ。ゴジラの時はこうはいかなかった。」

 

「確かに。」

 

 ネロの言葉に、ヴァ―リが苦笑しながら同意する。

 

 ゴジラの場合は、俺と融合することでアギトの本能とブースデットギアの力を得たためにまじでやばかったらしい。

 

 そして、一撃の威力はどうしてもこちらが上らしい。

 

――――ちぃ…またお前に負けるというのか・・・。オノレ・・・。

 

 悔しそうに俺を睨み付けるキングギドラ。

 

――――いつもお前に負けてばかりだった。いつも・・・いつもだ。何故勝てない?何故・・・。

 

 その瞳に涙すらにじませている。

 

「・・・へえ。お前、あのゴジラのライバルか?ならちょうどいい。」

 

 それを見たヴァ―リが笑みを浮かべる。

 

 そして、近付いて話しかけてきたのだ。

 

「おい!!弟ギドラ!!俺はヴァ―リ・ルシファー。お前のライバルであるゴジラを宿した奴のライバルだ!!」

 

 そして、自ら名乗りをあげたのだ。

 

 その前に弟ギドラって・・・。

 

「お前・・・あいつに勝ちたいのだな?」

 

―――――ああ…。勝ちたい。どうしたら強くなれる?

 

「ふっ・・・なら俺についてこい!!」

 

――――何?

 

『へっ!?』

 

 その爆弾発言にその場の皆が固まってしまった。

 

 あいつについてこいって、お前何言ってんの!?

 

――――お前の中に宿れというのか?

 

「そういうことだ。」

 

 なんでお前、そんなことを・・・。

 

「イッセー。俺はお前がずるいと思った。龍神クラスのゴジラを宿していることがな。ライバルと名乗るなら、俺も同じ条件に立つ必要があると。」

 

 でも…俺はゴジラの力をまだ使えたわけじゃないぞ。それなのに・・・。

 

「それをお前は将来、絶対に使いこなす。俺はそう断言しているがな。」

 

 なんかすげえ高評価。一応そうなるために修行するつもりだが・・・。

 

――――・・・我にお前の操り人形になれというのか?

 

 操られるという言葉に警戒を示すキングギドラ。

 

 だが、それを笑い飛ばすのもまたヴァ―リだった。

 

「ふっ…誰がそんなもったいないことをするか。お前はお前のままが一番強い。気高さと強さを誇るお前はそのままがいい!!それに・・・。」

 

 あいつは言いやがった。

 

「お前をこちらが自分の手で御せないでイッセーのライバルを名乗れるか?それに俺達の相棒を見て、お前は俺がお前を操るつもりでいると本気で思っているのか?」

 

 その言葉に呼応するように、ヴァ―リと契約している者達が一斉に現れる。

 

 弟ギドラはそれをじっと見ている。

 

――――――・・・・・・・。

 

 あいつ、そんなことを思っていたのか。

 

 なんか照れる。

 

―――――面白い。共にライバルは共通している。なら・・・。

 

 一通りに見極めた弟ギドラは笑みを深める。

 

 そして、その体が黄金の光の粒となり、ヴァ―リの中に入る。

 

――――お前と共に歩むことにしよう。だが、不甲斐ないなら食い殺す。そのつもりで頼むぞ。

 

「お前こそ、ゴジラの最大ライバル・・・それが間違いじゃないと証明してくれよな?」

 

―――――言ってくれる。ゴジラよ!!再戦の時を楽しみにしているぞ。我はしばらく眠りにつく。力を馴染ませないといけないのでな。

 

―――――頭が痛いな、俺はお前なら、あいつはあっちか。

 

 ゴジラはため息をついている。

 

 まさかヴァ―リの野郎・・・。

 

―――――賑やかになるわね。

 

―――――ああ・・・。

 

―――――すげえ大物。

 

―――――また挨拶しねえと。

 

「赤龍帝がゴジラなら、白龍皇がキングギドラって何だよ。これは凄まじい。アーシアにもモスラだし・・・そうなると。」

 

 ポルムの奴がネロの方を見る。

 

「・・・まさかね。でもありえるかも、そうなるともう一人覚醒した彼女は・・・。」

 

 ポルムがため息をついている。その理由は・・・。

 

―――――流石に効きました。あなた達は凄まじい爆発力を持っているのですね。

 

 もう一体のキングギドラは全身のダメージに立ち上がることもできずに苦笑していた。

 

――――私もあなた達の行く末が気になってきました。我が弟がついていくと決めたあなた達を・・・そうですね。

 

 そいつは朱乃さんを助けようとしていた賢者の石を見て・・・。

 

――――やっぱり、そこがよさそうですね。生まれた時から知っている朱乃ちゃんなら私の巫女になってくれそうですし。

 

 賢者の石の中に吸い込まれるように入っていき・・・そのまま朱乃さんの中へと賢者の石ごと入っていったのだ。

 

――――この子の中であなた達を見ることにしましょう。大切な妹の中にいられるのは本望ですし。

 

『えっ!?妹?!』

 

 消えた二体のキングギドラ。片方はヴァ―リ。もう片方は朱乃さんが・・・。

 

 その前に朱乃さんを妹ってなに!?

 

「あの時の謎は解けたぞ。だから朱乃さんはあの時キングギドラの力を・・・。」

 

―――こちらも納得した。そういうからくりだったか。はあ・・・。腐れ縁が増える。イッセーよ。おそらく、今度は俺の関連の奴らが次々と現れるぞ。覚悟しておけ。

 

 そんな覚悟はまっぴらごめんだよ!!ゴジラさん。あんたらみたいな災害の化身といえる大怪獣が今度は集まってくるというんかい!!

 

「はあ・・・とりあえず帰ろうよ。疲れた。」

 

 なんだろう。今回はすごいお騒がせで済んでしまった。

 

「あっ、そうそう。未来のカグヤさんより。あなたはそのまま契約続行で頼むって伝言があるよ。」

 

 良太郎の奴がカグヤさんに話しかける。

 

「朱璃さんを救うこと。それがあなたにこの世界で時間を与えるための条件になっているって。」

 

「ちなみにオーナーとの話もついている。本来なら死んでもおかしくないはずだが、アギトの介入、そして、時間すらも破壊しかねない二体の龍神を抑える。そのためにね。」

 

 ポルムがその説明に補足をつける。

 

 時間すら破壊しかねないって。あの二体そんなに危険だったのか?

 

「少なくとも、片方は時間を操る能力を持っているのは確定している。あれだけ強大な存在がいろいろな時代に現れ、荒らしまわるだけでも十分ね。寧ろ・・・穏便にすませることができるだけ恩の字だ。性格は結構愉快だったけど。」

 

「そう・・・。電王にそう言われるのなら・・・飲むしかないわね。いいわ。私も契約はきちんと果たす主義なの。終わったら自由にしてもいいのよね?」

 

 カグヤさんはそう告げる。

 

「うん・・・。だからそのパスとベルトは・・・。」

 

「ああ…これは私の力。それでパスとベルトを作り出しちゃってね。」

 

 何気にこのカグヤさんもすごいかもしれない。

 

「だったら・・・この契約が満了した後、やりたいことがあるの。私、この子が気に入っちゃってね。」

 

「・・・ってええ!?まあ、孫の事例もあるから問題はないけど・・・。」

 

 何を驚いているんだ?

 

「ううう~・・・。」

 

『んんん!?』

 

 そこで今更に気付いたことがある。

 

「父上・・・。」

 

 爆心地でボロボロになって倒れているバラキエルさんの姿を。

 

――――おそらく俺達の必殺技の嵐に巻き込まれたのだろう。

 

『・・・・・・・。』

 

 皆は思う。

 

 やっちまったと!!

 

「・・・仕方ない。気を失っている今を利用して父上の記憶も封印しておく。」

 ハルトは苦笑しながらバラキエルさんの方へと歩いていく。

 

「うう・・・朱璃・・・朱乃・・・ハルト・・・。」

 

「でも、必死になってきてくれたのか。うれしいです、父上。また未来で・・・。」

 

 優しい微笑みでハルトは指輪を作動させる。

 

 その時だった。

 

「・・・っさて、帰ろうか。これ以上はまずいのだろ?」

 

 師匠が退き時だと教えてくれる。

 

「ここから先はこの時間にいる者達に任せないとな。」

 

 しかし、どうして師匠まで?

 

「・・・何。デンライナーのオーナーと所長とは故意にしているだけのことだ。あのチャーハンを作っているのも俺だからな。」

 

「・・・世間は狭いと思ったよ。」

 

 良太郎は遠くを見ている。どうやら色々と思うところがあるらしい。

 

「帰ろうぜ。色々と濃かった。」

 

 

 そうして俺達の二度目のデンライナーの旅は終わる。

 

 未来においてとんでもない事実が発覚したことにため息をつきながら。

 

 

 

SIDE 朱乃

 

 というわけでしたか。本当に久しぶりです、ギドラ姉様。

 

 幼い頃、私は精神体だけ飛ばしたギドラ姉様と仲良くなっていました。

 

 生まれた時からずっと見ていてくれたらしく、私に優しく語りかけてくれた。

 

 おしとやかで、聡明で、姿はわからないけど私の手本となった人。

 

 その方を私は姉と呼んで慕っていました。

 

「フフフ…私のことを姉と呼んでくれるのはうれしいわ。本当に何年ぶりなのやら。」

 

 私の中で姉様はずっと見てくれていた。

 

 私の力にもなっていたのだ。

 

「私はあなたと共に歩むことを決めた。だから・・・。」

 

 私のお姉様は笑っていた。

 

「一緒に行こうか。あなたとならどこまでもいけるから。そうね・・・。」

 

 その人は人の姿をとって笑っていた。

 

「お姉ちゃんに任せなさい!!」

 

 私が手本とするべき神々しいまでの姉オーラを纏わせながら。

 

 

 

「・・・んん・・・。」

 

 そして、私は目を覚ましました。

 

「あら?ここは・・・。」

 

 私は誰かに膝枕されていました。

 

 それをしていたのは・・・。

 

「おはよう、朱乃。」

 

 ずっと会いたかった人。

 

「お・・・母・・・様。」

 

 記憶が戻り、生きているとしっても実感がわかなかった。

 

 でも・・・。

 

「大きくなったわね。本当に・・・。」

 

 子供の頃と変わらない微笑み…忘れるはずもない。

 

「お母様!!」

 

 私は抱き着いてしまった。

 

「…辛かったでしょう。本当にごめんなさい。」

 

 そんなことはどうでもいい。

 

 確かに辛いこともいっぱいあった。

 

 苦しいこともたくさんあった。

 

 それでも・・・それでも、母様に会えた。

 

 それだけでどれだけ嬉しいか。

 

「こちらもすまなかった。本当に・・・。」

 

 バラキエル・・・いえ、父様も・・・。

 

 頭を下げる父様に、私は何も言わなくていいと

 

「全て思い出した。むしろ謝るのは私の方です・・・。必死になって来てくれたのに。」

 

「・・・ああ・・・。」

 

 父様の声に嗚咽が混じります。

 

「それとハルト。あなたも無茶しすぎよ。」

 

「はあ。その話し方。やはり姉上だ。いや、長かったよ。こちらは記憶があやふやだったからどうすればいいのか手探りだった。だが上手く行って良かったよ。皆…改めて有難う。」

 

 弟は皆に頭を下げる。

 

 イッセー君が代表で笑みを浮かべながら肩を軽く叩く。

 

「ああ。まあ、本当に苦労したけどな。」

 

――――私も皆さんにお礼を挨拶がしたいかな?

 

 あら?お姉様も挨拶したいの?

 

――――だって、私も姉としてお世話になっている人達に・・・。

 

 そうですわね。

 

「皆さん・・・父様も母様も、ハルトにも紹介したい人がいます。」

 

 私はにっこり笑って紹介することにしました。

 

「皆さん…お初にお目にかかります。」

 

 そして、私はお姉様を外に召還します。

 

 本来の姿で。

 

『・・・・・・・・・・。』

 

「私の名前はキングギドラ。朱乃の姉です。」

 

 皆が外にいる本来の大きさのお姉様に唖然呆然としています。

 

 そのデカさ・・・ガメラよりもはるかにでかいわね。

 

「かつてゴジラと相打ちになったことがありますが・・・皆さんよろしくお願いします。」

 

 そうですわね。ゴジラと相打ちになった方でしたわね。お姉さまって。

 

 そうするとゴジラクラスは間違いなくて・・・。

 

 あれ?リアスが固まって・・・。

 

「ふっ・・・。」

 

 悟った笑みを浮かべた後・・・そのまま倒れました?!

 

「ぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶく・・・・・。」

 

「部長―――!!?」

 

 白目剥いて泡をふいている?!なんか危険な痙攣まで・・・。

 

 リアスには…刺激が強すぎたかしら・・・。

 

「しかたないわね。私が診てあげる。うん・・・抱き心地最高ね。」

 

 そんなリアスを膝枕しているのは・・・いつの間にか人間に変身した姉様。

 

 青い瞳にふわふわロングヘアの金髪の美人さんです。

 

 あまりあまりの早業に皆も驚いています。

 

 それとリアスの抱き心地を堪能しているなんて…。少し羨ましいですわね。

 

「安心しなさい。後で朱乃も抱き締めてあげるから。」

 

 それでしたら…まあ許します。

 

 

 

 

 今だ気絶したリアスの代わりに私が話を進めることにしました。

 

「・・・しかし、こちらの眷属って時間関係が多いわね。」

 

「確かに。」

 

 一回目は祐斗君のために行ったのでしたよね。

 

 二回目は私。

 

「はあ…一度私も体験しておくべきかもしれないわね。時間を超えるってやつを。眷属の中でその関係の仕事をしている子もいるし。」

 

 リアスは真剣に考えている様子。って・・・もう復活したの?

 

 精神的にもかなり打たれ強くなりましたわね。

 

「朱乃・・・あなたとんでもない爆弾を持っていたわね。これでも結構精神的にタフになった自信はあったけど、久しぶりに気を失ったわ。それと…これからよろしくお願いします。」

 

「うんうん・・・あなたも苦労しているわね。」

 

「わかってくれますか!?ああ…救いなのはあなたが凄く良い人ってことだわ。」

 

 それでも回復が早くなっている辺り、流石ですわ。

 

 まあ、お姉様は何も言わずにリアスを抱きしめていますけど。

 

「それに・・・私の最後の眷属のこともあるから、なんでこんな化け物ばかり。」

 

 リアスの視線はいまだ眠り続けているロズヴァイセさんに向けられています。

 

 えっ?最後の眷属って・・・あのロズヴァイセさんなの?

 

「よりによってよ。ああもう・・・。」

 

 頭を抱えるリアス。

 

 確かに私の知る限り、最高すぎる眷属だと思うわ。

 

 ただ、彼女は北欧神話の中心人物。

 

 外交問題にならないかしら・・・。

 

「・・・眷属にしようとしてやったわけじゃないの。瀕死の彼女がアギトとして覚醒して、その転生のために私の駒が使われたのよ。」

 

 アギトに覚醒?

 

「・・・むう。どうしたもんか・・・。お主に責はないのはわかっておる。だが、こいつがいるからこそこちらのバランスがのう・・・。ロズヴァイセの抑止力はそれだけのものがある。」

 

 オーディン様もまさかの事態にかなり狼狽えている。

 

「おそらく、アギトとしての因子はこやつの父親か。じゃが、まさか半神のヴァルキリーがアギトとして覚醒することも前代未聞じゃぞ。」

 

「父親からの因子?」

 

 聞き逃せない単語が聞こえてきました。

 

「皆に隠していたが、ロズヴァイセはとあるアギトとヴァルキリーの間に生まれたのじゃよ。行き倒れていた父親を母親が助け、自分の勇者と見初めたのがきっかけでのう。今でもその時のことを思い出すわい。あいつが初めてワシらの前で変身したとき、わしも傍におったからな。二人の結婚式の時も仲人を務めたのう。」

 

 懐かしんでいる様子のオーディン様。

 

 大変、すごいことを聞いてしまったようです。

 

 つまり、オーディン様はアギトをかくまっていたと。

 

「わしの養子にする形でじゃ。そういった意味ではロズヴァイセもわしの孫同然というわけじゃよ。生きてくれたことには…感謝せんとな。」

 

 オーディン様は頭を下げたのだ。リアスに向かって。

 

「わしのもう一人の孫・・・助けてくれたことを感謝する。」

 

「いっ・・・いえ・・・。」

 

「外交の問題はわしが何とかする。後は本人が目覚め、どうしたいかによる。最悪、父親の方を表に引きずり出すという手があるが・・・。」

 

 いまだ眠り続けているロズヴァイセさん。

 

 オーディン様のスケベ爺とはまた違う、家族を愛する一人の祖父としての顔に私達は正直驚いていた。

 

「オーディン様!!大変です!!」

 

 別のヴァルキリーが慌てた様子でやってきた。

 

「ロズヴァイセが危篤と聞いて・・・あの方が・・・。」

 

「えっ?その怪我もすぐに治ったという報告も送ったはずじゃが?」

 

「そこが伝わっていなかったのです!!ロズヴァイセが瀕死の重傷を負うなんてまさかの事態に向こうが大騒ぎになってしまって。その瀕死の重傷って部分だけをあの方が聞いてしまい飛び出してしまわれて。」

 

「あの馬鹿者共が・・・。あやつが本気で怒ったらまずいぞ!!」

 

 オーディンが本気で慌てている。

 

「はい。愛娘に重症負わせた奴をぶん殴りに行くって・・・。」

 

『・・・・・。』

 

 ロズヴァイセさん重傷で父親アギトが大激怒。

 

 これは・・・まずいですわね。

 

「たぶんあいつのことじゃ、真っ先に娘の容体を確認するために・・・。」

 

 オーディン様がそう告げると共に、凄まじい激突音と共に、地面が揺れた。

 

「ここに来るだろうな。」

 

 オーディン様。フラグを建てないでください!!

 

 すぐに回収されてしまったじゃないですか!!

 

 そして、激突音がしてきた方の壁が粉々に吹っ飛ぶ。

 

 そう、一台のバイクによって。

 

『・・・・・・・。』

 

 まさかバイクに乗って壁突き破ってやってくるなんて誰が思うか。

 

 オーディン様は慣れている様子で落ち着いていますが、私達全員唖然呆然の有様です。

 

 現れたのはバイクに乗った緑色の・・・。

 

「ギルス・・・だと?」

 

 そう、不完全体であるギルス。

 

 ネロ君と同じく。

 

「そうじゃ。こやつはギルスのままアギトを超えた男。そこにいるネロと同じタイプじゃ。」

 

 ギルスが叫びます。

 

「ロズヴァイセ!!どこだ!!」

 

「落ち着けい!!娘が心配なのはわかるが、人の家に土足であがるでないわ!!」

 

 凄まじい圧でギルスを叱りつけるオーディン様。

 

 土足ってレベルじゃないですわ。これって・・・。

 

「安心せい。怪我ならすぐに治った。」

 

「そう・・・か。」

 

 安堵したのか、座り込むギルス。

 

 その変身が解ける。

 

「それでオーディン、ロズヴァイセはどこに?」

 

「向こうの部屋で眠っておる。じゃが・・・少々困ったことになってのう。」

 

 眠ったままのロズヴァイセの気配を感じたのだろう。

 

「!!?アギトとして覚醒してる?」

 

 父親はすぐに気が付いたようです。直接見るわけではなく、気配だけでわかってしまったようです。

 

 アギト同士ならわかるものなのでしょうか?

 

「ロキの奴がやらかしおったのじゃが、悪魔の駒を介してアギトとして転生して助かったのじゃよ。」

 

「ロキのやつがやらかしたのか。・・・・・・あいつは今どこだ?」

 

「・・・まあ、お主もロキを止めるという意味では参加決定じゃのう。なら状況を話す。」

 

「もう、今度はなんなのよ!!」

 

 その時、この家の主であるまどかさんがぷりぷり怒りながらやってきたのだ。

 

「キチンを玄関から入ってきなさいと言われなかったの!!なんでバイクで壁ぶち破って入ってくるのかな!?」

 

「あっ・・・いや・・・。」

 

 まどかさんの剣幕に押されている彼。

 

「涼さん・・・。」

 

 大穴の空いた壁の向こうから降り立つのは一人の女性だった。

 

 纏っているのは黒のインナーの上からのヴァルキリーとしての鎧。

 

 右手には突撃槍。左手には円形の盾。

 

 その二つから蒼の焔が灯っている。

 

 銀色の髪をした女性。赤い瞳が大変印象的である。

 

「いや・・・その・・・セルベリア。話を・・・。」

 

 どうやら彼女の名前はセルベリアというらしい。

 

 彼女は怒り心頭で全身からも蒼い焔が立ち上っている。

 

 手にしている突撃槍を彼に突きつけて告げるのは・・・。

 

「・・・・・・この惨状に何か申し開きは?」

 

「これはお主が悪い。」

 

 オーディン様も肩をすくめて擁護する気はないとアピール。

 

「・・・すまなかった。娘が重体と聞いて気が動転していた。」

 

 そして、頭を下げたのだ。

 

「もう。それで娘って・・・。」

 

「葦原さん・・・?」

 

 そこでこの家の主、翔一さんが呆然としながら彼に声をかけていた。

 

「・・・・・・・翔一?」

 

 一方の彼――葦原さんも目を丸くしている。

 

「えっ?なんで葦原さんも?」

 

 そして、誠君も同じ反応。

 

『・・・・・・・。』

 

 

 

 

 

 SIDE イッセー

 

 今、父さんの知り合いがまた一人増えた。

 

「ホントにすまなかった。まさかお前の家だったとは。」

 

 土下座している方がそうです。

 

 名前を葦原 涼さん。

 

 父さん達の戦友。

 

「主人が大変な迷惑を。あなた…冷静に話を聞いてください。きちんとここから、すぐに治ったという報告は入っていましたよ。この街には死んだ人間すら生き返るような技術がたくさんあるのですから。」

 

 そして、その奥さんであるセルベリアさん。

 

 その戦友が頭を下げているのが、この家に土足どころかバイクで壁ぶち破ってやってきたことについてだ。

 

「まあ、娘がそうなら慌てるって。しかし、彼女が君の娘だったなんて・・・。それに奥さんか・・・」

 

 それを簡単に許す父さんがすごいと思う。

 

「おめでとうと言わせて。幸せになれて本当によかった。」

 

 それどころか涙ぐんでいますよ!?

 

「こちらも、噂の赤龍帝のアギトがお前の息子だったとはな。しかも、お前はその幼馴染として転生か。」

 

「奇妙な縁だ。」

 

 三人がしみじみと話し合っている。

 

「娘を救ってありがとう。この通りだ。」

 

「あ・・ああ・・・いや・・・。」

 

 部長は頭を下げられて面食らっている。どう見ても父さんと同等クラスのとんでもない人物に頭を下げられていることに戸惑っているようだ。

 

「・・・私の眷属・・・イッセー関連ばかりだわ・・・。しかもアギト三人目だし。」

 

 そして、涙目。

 

「それでロズヴァイセは?」

 

「一度瀕死になったが・・・。」

 

 瀕死って言葉にセルベリアさんは表情を曇らせる。

 

「まさかとは思うけど・・・。」

 

 セルベリアさんはどうやら別のことを心配しているようすだ。

 

「何を心配し・・・って・・・まさか・・・。」

 

「私の娘だから・・・。」

 

 葦原さんも彼女が何を心配しているのか察した様子だ。

 

「一体どうして・・・まさか・・・。」

 

 オーディン様もそれに思い至ったらしい。

 

 まさかっていうけど、何がまさかなのか説明がほしい!!

 

「はい…覚醒しないかどうか・・・。」

 

 またフラグは経っていた。

 

 そして、そのフラグは・・・。

 

 家全体を大きく揺るがす爆音と共にすぐに回収された。

 

「なっ・・・ななななな・・・・・!?」

 

「今度は何!?」

 

 まさかの事態に、流石に俺達も大慌てだ。

 

 そこで俺達は見た。

 

 ドアを壁ごと吹っ飛ばして歩いてきた一人の女性に。

 

「のど・・・かわいた・・・。」

 

 ゆらゆらと寝ぼけて歩いているロズヴァイセさんを。

 

「熱い・・・。」

 

 ただ、その全身から蒼い焔が吹き出している状態で。

 

「あ・・・しまったわ。完全に覚醒している。しかも、この凄まじい力は・・・。」

 

「アギトとしてもだな・・・。しかも寝ぼけていやがる。」

 

「みず・・・みずどこ・・・。」

 

「ねえっ・・・姉さん…うう熱くて近づけない・・・。」

 

 新の奴が必死に止めようとするが、近付くことすらできない。

 

「こうなったロズヴァイセは水を飲まないと起きないのよ。でも起きてくれないと水は飲めないわね。・・。」

 

 凄まじい熱量。水なんてすぐに蒸発する。

 

それにオーディン様ですら近づけない。

 

「なんちゅう力じゃ・・・。」

 

「のど・・・のどかわい・・・。」

 

 ええいもう!!

 

 ドライグ!!あれでいく!!

 

―――あれって・・・まさか!!おい無茶だ!!

 

――――そうよ!!

 

 水飲ませるのならあれしかないだろ!!ヴァ―リを待っている暇もねえ!!

 

 あいつは今精神世界で弟ギドラとの対話でずっと眠っているから!!!

 

 俺は近くにあったボトルの水を大量に口に含み・・・。

 

 俺は透過を使い、ロズヴァイセさんの懐に飛び・・・。

 

「えっ?」

 

「なあ!?」

 

「あら・・・。」

 

「ほえっ?」

 

 そして口に含んだ水を・・・ロズヴァイセさんに飲ませる。

 

 もちろん口移しで・・・。

 

「・・・・・・・・。」

 

 透過を使って一気に突っ込んだけど、完全に逃がせたわけじゃない。

 

 滅茶苦茶熱い‼‼全身が燃えるように熱い!!

 

 だが・・・。

 

「・・・・・・?」

 

 口移しで水を飲ませると、虚ろだったロズヴァイセさんの目に光が戻った。

 

 それと共に全身から放たれる蒼い炎が消えていく。

 

―――――あ―いや…大胆だな、相棒。

 

――――うん・・・、

 

――――ある意味流石。

 

――――確か・・・人間共の雄と雌の間で唇同士をくっつける合わせるのは特別な意味があったのだな。宿主からの知識が正しければ。

 

 ゴジラさんは冷静に今、俺がやらかしてしまっていることを分析している。

 

――――そうらしい。キスというものだと。

 

――――そうか・・・。それをいきなりやらかすこいつはすごいものだな。

 

「・・・・・・!??」

 

 ロズヴァイセさんの意識が明確に戻り、今の状況を理解する。

 

 顔が真っ赤だ。

 

「あっ・・・いやね、今回は緊急事態ということで・・・。」

 

「きっ・・・。」

 

 だんだん涙目になっていき…不味いと思った。

 

「きゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 悲鳴とともに蒼い炎をまとった右こぶしによる渾身のストレートを繰り出してきたのだ。

 

「がぼっ!?」

 

 受け・・・流せなかった。

 

 俺はすさまじい破壊力を込めた拳を受けて壁まで吹っ飛ぶ。

 

 壁を粉々にしてそのまま倒れたのだ。

 

――――相棒?!

 

 すげえ…いい右ストレートでした。やっぱ…アギトの本能目覚めているわ。こっちが透過で流すことも想定して蒼の炎を固めて殴ってきやがった。

 

――――・・・末恐ろしい娘だわ。

 

 まだ、立ち上がれる。何とか事情を説明ってええええええええぇぇぇぇ!!?

 

 ――――Shoot Vent!!

 

 立ち上がった先には巨大な大砲を構えた涙目のロズヴァイセさん。

 

 目は赤く輝き、背後にはアギトの紋章が輝いているという大変やばい状況。

 

 涙目でこっちをにらみつけている。ちょっとかわいいと思てしまったけど。

 

「わーロズヴァイセ落ち着け!!」

 

 そんなロズヴァイセさんを皆さん総がかりでなだめることになりました。

 

 

 

SIDE 椿

 

 私達は今休戦することにした。

 

「まずは状況の確認が・・・。」

 

 舞さんは捕らわれの状態でもかなり冷静。

 

「一応・・・この手の経験は何度かありますので。時空を超えたこともあります。」

 

「あなた…色々と苦労しているのね。」

 

 私達がいるのはメガへクスの内部。そこで私達は個別に円筒のガラスケースの中で液体につけられた状態で保管されていたのだ。

 

 会話はどうやっているのか?

 

 単純な話。テレパシーで行っている。

 

「メガへクスに捉えられるのは二度目…ため息しかでません。」

 

「そうか・・・。」

 

 最初はあれだけ激突していたけど、話すとものすごく気が合った。

 

 すでに喧嘩のことは互いに謝っている。

 

「さあて・・・どうしようか?」

 

――――しばらくはそのままでお願いします。

 

 んん?

 

 私達に話しかけてくる誰かがいる。

 

「ども♪」

 

 そこには…チェルシーさんが!?

 

 傍で作業していたメガへクスの一体の顔がチェルシーさんに戻って・・・。

 

「私もいるぞ。」

 

 サムスさんまで・・・。

 

 どこから声がするのかわかりませんけど。

 

 いつの間に侵入を?

 

「ふっ…他にも何人か潜入している、ポルムの策でな。この時点で先手は取れた。後は決戦の時を待つだけだ。」

 

 そうか・・・。

 

「今の内に今後のことについて語り合いましょ。」

 

「うん、じっくり時間もありますし。しゃべるくらいしかやることないからちょうどいいわ。」

 

 こうして私達は団結を深めていく。

 

 

 SIDE イッセー

 

 まあ、誤解は解けたみたいだ。

 

「申し訳ございませんでした!!」

 

 土下座するロズヴァイセさん。

 

「事情は父様と母様から聞きました。本当に・・・ごめんなさい!!」

 

「いやいや・・・。」

 

 殴られた頬と首がいまだに痛いです。いい右でした。

 

 ポルムの解説がそこで入る。

 

「そして、ヴァルキュリアか。驚いたよ。セルベリアさんがねえ。」

 

 ポルムの視線の先にはセルベリアさんが。

 

 って…二人とも知り合い?

 

「まさか…あれのせいか?あなたがこの世界に来たのは?」

 

「おそらくは。私はこの世界で転生という形で復活しました。前世の力を持ったこの世界でヴァルキリーとして。初めは何の皮肉かと思いました。」

 

「どうやら生前の力を保持したままの転生の実験は成功してしまったということか。運命操作も系列もあったからやっぱり似た部分が・・・。」

 

 ってまたお前かい!!お前は一体どれだけのことをやらかして・・・。

 

「彼女の境遇を哀れんでね。実験も兼ねてある術式を施したんだ。」

 

「つまり・・・この世界で俺が彼女と出会えたのは・・・。」

 

「それで私が生まれることができたのは・・・。」

 

「うん!!私のおかげってことになる!!いや~ヴァルキュリアとアギトのハイブリットだなんて流石に読めなかったよ。」

 

『・・・・・・・。』

 

 固まってしまうロズヴァイセさん達。

 

「一度・・・あなたとはじっくり話し合う必要があるわね。一体どれだけのことをやらかしているのか。」

 

 部長はポルムの方をじっくりと見る。

 

「ふっ…数え切れぬわ。」

 

『威張って言うことか!』

 

ドヤ顔のポルムに対して部長とヒュミナさんからハリセンが振り下ろされた。

 

「どうしよ・・・新しい私の眷属の力の底が全く見えない。」

 

 底知れないロズヴァイセさんの潜在能力。

 

 力を使いこなしたらどうなるのやら。

 

「まあ、なんともなくて幸いだって。」

 

 俺は大した怪我なないことを確認する。

 

「でも・・・火傷が・・・。」

 

「ああ…これは別だ・・・。」

 

「あ・・・。」

 

 体のあちこちの火傷はロズヴァイセさんに口移して水を飲ませようとして負ったものだ。

 

「これくらいすぐに治るって。一応ゴジラの焔で耐性もあるから。」

 

「・・・・・・。」

 

 呆けた様子で俺をじっと見るロズヴァイセさん。

 

「あっ・・・。」

 

 そこで俺とロズヴァイセさんの何かが繋がった。

 

 そんな感覚が・・・。

 

「見つけました。」

 

 ロズヴァイセさんは告げる。

 

「私の・・・勇者を。」

 

『えっ!?』

 

「ちょっ…お主何を言っているのが分かって・・・。」

 

「私の中のアギトとしての直感が告げています。この方が共にいるべき人だと。そう…運命の出会いだと。」

 

『・・・・・・。』

 

 唖然としている皆。

 

「あの…迷惑でなければ、私を傍に置いていただけませんか?」

 

「えっと・・・。」

 

「私・・・あなたの傍に居たいのです。」

 

 やばい・・・すげえやばい人が俺を見染めてしまった。

 

「そっ・・・そんな・・・。」

 

 葦原さんは呆然とした様子。

 

「そう…ロズヴァイセ。あなたもついに見つけたのね。運命の人を。」

 

 セルベリアさんは応援する立場らしい。

 

「・・・そうか。まあ、お前と釣り合う勇者としたらこやつくらいのものかもしれんのう。」

 

 オーディン様はため息をつきながら俺の方へと歩いてくる。

 

「ロズヴァイセを頼む。所属こそは北欧神話とし、こちらへの出向という扱いにするが、傍に置いてやってくれい。」

 

「・・・・・・・。」

 

「私…そんな魅力ないですか?」

 

 オーディン様の太鼓判と涙目のロズヴァイセさん。

 

 それを断る理由が・・・俺にはなかった。

 

 こうして、とんでもない方がこちらに加わることになった。

 




 ついに葦原さん参戦。ついでにおきて破りの母親のヴァルキュリアとしての力も覚醒。

 やらかしてしまいました。

 そして姉ギドラのキャラと人間体のイメージが誰を元にしているのかわかった人とはいい酒が飲めると思います。

 次から本格的な作戦会議と開戦の前夜。

 そして開戦まで書こうと思います。

 ではまた会いましょう!!
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