まずは過去編と新キャラのラッシュです。いよいよあのゲームからも参戦です。
どうぞ!!
通りすがりの大魔王が斬る!!ともうすぐ修学旅行。
SIDE イッセー
現在、俺の家は大変姦しいことになっていた。
「結婚生活ってそんなことが・・・。」
「長続きさせるのも大変よ。こちらは歳は取らないから、愛って大切よ?長く一緒だと、マンネリ化しないか不安で。」
俺の中から出てきて、クレアが関心した様子でうちの母さんと話し込んでいる。
「なるほど、こっちも凄く長生きだから、その辺りは気を付けないと。」
「新婚の私からしても凄く興味深い。」
「本当だにゃ・・・。長生きすると、その辺りも考えにゃいと。」
霧子さんと黒歌の奴もしきりに感心している。
二人とも妊娠しているという点で共通しており、その縁で仲良くなっていたりする。
そんな皆に料理を振る舞っているのだが・・・。
うん…凄く、凄く居心地が悪い!!だってこの場にいるメンツ…全員人妻なんだもん!!
「・・・私も休暇を利用してきていますが…参考になりますね。」
グレイフィアさんもその場に参戦している。
今回の集まりは非常にシンプル。奥様達のお茶会なのだ。
茶菓子を出すいい訓練になると思い…俺は引き受けたことを大変後悔している。
だって…話している内容があまりにも生々しいもの!!
「それで夜の方が・・・へえ・・・。」
母さんが色々と夫婦間の夜の営みに関して話し出すし!!
お願い!!息子がいるのにそんな話をしないで!!
「・・・あ・・・う・・・。私も忙しいですが、休日は・・・。でも本音を言えばもっと・・・。」
グレイフィアさんも顔を赤らめながら話しているし!!
「…まあまあ、これを飲むといい。」
「ありがとうございます。ぐい・・・。」
そんなグレイフィアさんにヤマタの奴がお酒を進めて・・・っておおおい!!
「なんでお前がここにいる!?」
お茶会だろ!?なんで酒の化身がここにいる?
場違いにもほどがあるぞ!!
「ふっ、女性でも飲みやすい酒を知りたくてな。試飲会も兼ねさせてもらっている。ちなみにこれは戦乙女という名をつけた酒だ。大和撫子や女子力崩壊もあるぞ?ワインもそろそろ出すか。」
…お茶会じゃなくて、飲み会になってしまった。
ヤマタの野郎・・・とんでもないことをしやがって。
お前の酒は凄く美味しい。だが、美味し過ぎてどんどん飲んでしまうんだぞ?
神すら酔っぱらうレベルなのに。
「ぐす・・・私に魅力なんてないのかしら?私に飽きちゃったの?」
グレイフィアさんが早速酔っ払いに!!
泣き上戸になっている。
「一度文句言ってやりましょ。こんなに美人な奥さんがいるのにどうしてなのかしら!!」
ってカオルさんまですさまじい勢いで酒を一気にあおっていますよ!?
『間違いない!!』
うわ…酒が入って凄く盛り上がってきやがった。
仕方ない。女性用の酒のつまみもメニューを作るか。野菜もあるし…あ…チーズがねえわ。
とにかく、今作れる物を作っておいて・・・。
酢で締めたサバの刺身に豆腐とカイワレ大根やレタスなどの野菜にナッツをアクセントとして使い、ドレッシングは青じその豆腐サラダ。クラッカーを使ったデザートに・・・。
それを母さん達の席の前に置くと・・・。
『おおおお!!』
と、大変好評でございました。
「・・・まどかさん。息子さん、いつお婿に行っても問題ないですね。」
家事能力が高い戦乙女のセルベリアさんからの太鼓判は嬉しい。
「逆に女子力高いのが問題かもしれないけど。」
「でも既にハーレムですよ?」
ハーレムって・・・なあ・・・。
いや、確かに凄くモテ始めました。ハーレムっていうのも嘘じゃない、でも・・・でも…みんなに押され気味で中々・・・。
みんな出会った頃よりも凄く濃く、逞しくなってしまって。
なんであんな風に・・・。
んん?あんたが言う資格なしという声が聞こえてきたような・・・。
――――実際その通りだろうが。
おい。ドライグ。お前まで何を言う。
――――お前の影響力を考えるがいい。俺にまで及ぶほどのな。
ゴジラさ~ん!?あんたまで何を!!
「…本当に急激にモテちゃって。お母さん、義理の娘が一度に増えまくって大変で・・・。」
母さん!!そこをリアルに言わないで!!それに義理の娘達ってとこ!?気が早すぎる気が・・・。
「あら?一誠は責任を取る男でしょ?私はそう見ているけど?」
ああ・・・もう・・・なんで的確につてくるのかな。責任は取るつもりだよ!!
皆魅力的だしその・・・うん。もうそろそろ次のステージと思っているわけですが・・・。
「まとめ役としてはリアスちゃんと朱乃ちゃん、ユウナちゃんとアーシアちゃんの四人ね。あの四人はスイッチ姫になりに行くだけの気概があるわ。ご意見番は…ロスヴァイセちゃんかしらねえ。貫禄が違うわ。」
「…やっぱりそう思います?私も・・・はあ。なんでこう、乙女がおっぱいさらすってねえ。」
あの時の光景を思い出したのかキリエさんも呆れた様子を見せる。
「乙女だからこそ、その覚悟は本物。だからこそ、きっちりと向き合いなさい。」
「う・・・。」
母さんの言う通りだろう・・・な。
「・・・はあ。敵わない。」
密かに悩んでいたことに対して、こんな形で答えを出してくるなんて。
「お礼代わりにもっと良いモノを作らせて。その為に…ちょっとチーズを買ってくる。」
そう言って俺はあの場を後にする。
母さんには多分一生敵わないと思いながら。
―――――良い母親だな。
―――――母か、俺には縁のない概念だが、尊さだけは理解できる。
俺の中の相棒がしみじみと言ってくれる。俺の宝の一つだよ。
もしも、母さんに何かあったら・・・。
――――皆まで言うな。俺も参戦してやる。俺も今や夫であり、父親だからな。
―――――破壊しかできない存在でも役に立てると思うぞ?
俺は相棒に恵まれたことに感謝した。
そして、この家の中では後二つの集まりがあった。
その一つは・・・兄、姉の会である。
「皆さま…集まってくれて大変感謝です。本当は黒歌さんも誘いたかったけど、奥様でもありますし、今回は仕方ないです。」
その主催はなんと…姉ギドラこと―――モカさんである。
どうも、精神体で朱乃さんの体から出ることがあるらしく、その際に出会った本物のモカさんがいるらしい。彼女は今の姿を、その名前の人から写し取ったらしい。髪の色だけは金髪にしたのだが。その人の姉力を深く尊敬しており、その姿と名を名乗ることを本人より許可してもらったそうだ。
同じ姉として、意気投合したと。
週一で彼女の家のパン屋に遊びに行く仲らしい。
・・・お姉ちゃんに任せなさいって…すごく姉力を感じたけど、その名前と姿を模した本人はもっとすごいのだろうか?
姉力という、謎の神々しい力に戦々恐々していたりする。
その姉力の所為だろうか。その本物のモカさんが作ったパンは大変美味しい。
――――――世界とはまだまだ未知で、神秘なことにあふれているものだな。
―――――ああ・・・。
―――――訳が分からないの間違いじゃないの?
――――姉か・・・。これもまた可能性なのか。
そんなモカさんの呼び掛けて集まったのは・・・朱乃さん。妹でもあるけど、ハルトの姉でもあるのだ。
姉の要素が強いので、ここに参戦である。
「ふふふふふふふ。ハルトで久しぶりに着せ替えができたわ。」
姉として覚醒した朱乃さん。その犠牲者はハルトである。どのような犠牲となったかは後で語りたいと思う。
それともう一人…椿姫さんも参戦している。
「はあ・・・いいわ。朱乃さん。結構いい趣味しているわね。こっちもやってみたけど、はまりそう。」
「ですよねえ~。」
ちなみに鉱太も同じ被害をこうむっている。朱乃さんと椿姫さんが意気投合した故に。
「ふふふふ…姉として、私を外してもらったら困るよ~。」
シスコンの代表格としてセラフォルー様は忘れてはならない。
「その通り。いや~グレイフィアも楽しんでいるようだしこちらもこちらで・・・。」
シスコンその二・・・サーゼクス様…参戦。
サーゼクス様。楽しんでいるところ悪いですが、先ほどいた場所で会話の流れが怪しくなっていましたよ?
フォローした方が良いですって!!
その話を聞いたサーゼクス様は…絶句。本気で焦っていた。
そして、兄がもう一人・・・。
「…まあ、兄貴分と言われているからな。」
「そういうことだ。」
何故か鋼兄とサイラオークさんまでも!?
皆・・・濃い。濃すぎます。
そして、それと対となるのが・・・妹、弟、息子、娘枠。兄姉馬鹿、親馬鹿被害者達の会である。
「・・・うう・・・。」
「何も言うな・・・後生だ。」
その中心にて晒されているのは巫女服を着たハルトと・・・始まりの女の衣装を着ている鉱太。
「…あなた達も違う意味で苦労しているのね。」
部長が目から光るものを見せながら優しく慰めている。
ソーナ会長は呆れた様子。
「・・・はあ。まさか椿姫と朱乃さんがこんな意気投合をするとは。しかし、二人ともに似合いますねえ。」
『全然嬉しくねえ!!』
二人とも線が細いのと顔立ちがすごく整っている為か、女装が似合いすぎて、女性にしか見えないのだ。
「・・・いつかモデルか、女装警護ミッションがあったら、二人を推薦すわ。」
『同じく!!』
『鬼かお前ら!!』
被害者二人以外による満場一致の非情な結論に悲鳴を上げる二人。
いや…普段魔王なハルトがこのようなキャラに回るのは珍しい。
「うう…本当に姉上にだけは弱い。」
「こっちも同じ。」
ちなみにグリゴリでは最強にして最恐、最凶の指輪の大魔王に対する唯一の制御方法として朱乃さんの株がすごく上がっている。
アザゼル先生も、すごく安心していたよな。
まあ、ハルトのもう一つの弱点は母親だったりするのだが。
良かった。ハルトが絶対無敵じゃなくて。
「・・・はあ。姉様よりも大変なのがこんなにいるなんて。」
小猫ちゃんがぼやく。自身も大変妹想いの姉がいるのだが、それでもまだまともだったと思い知っているのだ。
そんな思いを軽く聞き流しつつ、俺は外へと繰り出す。
美味しい料理の為のチーズを買う為に!!
SIDE ポルム
全くみんな盛り上がってくれて。
相変わらず騒がしい家。だが、平和な証拠である。
その平和の尊さを噛み締めつつ、うたた寝していた。
その中で、私は今…旅の一部を思い出していた。
それはチェルシー達と出会った世界のことだ。
チェルシーと出会ったのは戦場だった。
「・・・あなた、何者?」
彼女達は警戒するように余を見ていた。
「何・・・通りすがりのただの旅人よ。」
「どこにあなたみたいなただの旅人がいるのよ。」
余の周りには有象無象の者達が倒れ伏せていた。
どうやらそのことをツッコんでいるらしい。
「この世界は相当荒れているようだ。ねえ…暗殺者さん?」
余の言葉にチェルシーは手に忍ばせていた針を落とす。
「この者達は殺してはいない。ただ…眠ってもらっているだけだ。」
「あなたも帝具使いなの?」
帝具・・・か。どうやらこの世界でも収集に値する特殊なアイテムがあるようだ。
余はジズの翼を広げる。目の前にいるチェルシーが持つ帝具とやらを解析する。中々興味深い。
「ほう・・・変身能力か。面白いものだ。」
チェルシーはさらに警戒を深める。
「っ!?解析された・・・か。それがその帝具の力なの?」
「ふっ・・・ふはははははははははっ!!まあ、そういったところか。だが、この真価はその程度のことではない。まあ…いいものを見せてもらったのだ。こちらとしても・・・そうだなあ・・・。」
余は懐からある物を渡す。
それブローチである。それを彼女に渡す。
「余はしばらくこの国で旅をする。また会うこともあるだろう。」
そう言いつつ、余は翼をはためかせ、空へと消える。
「ちょっと!!?」
この当時のチェルシーはただの人間だったに過ぎない故に、追われることはなかった。
そこから、この世界が腐っていることを嫌というほど思い知る。それに対して反乱軍もあり、どうしたものかと余は考えていた。
大魔王故に、その影響力はでかい。下手な介入は更なる混乱を呼ぶ。
ただ…世界の流れ自体は解放へと向かっているようだが。
そう思いながら、余はある屋敷で少年を見ていた。
「・・・これは・・・なるほど。」
虐殺された多くの人達。
それに対して、己の手で仇を撃つ彼。
その気概・・・なるほど・・・。
「珍しいモノを見せてもらった。」
と余は皆に話しかける。
『!?』
それに皆が驚きつつ、戦闘態勢をとる。
「・・・そうか。噂のナイトレイドか。猛者揃いだな。」
彼らのことは噂で聞いていた。実際に会う機会があればと思っていたが、こんなところでそれを果せるとは。
各々の帝具を眼鏡で解析していく。
ジズの翼とアクセスする形でこの眼鏡でも解析できるようにしたのだ。
中々便利。
「ほう・・・。良い物だ。特に一撃必殺の刀と糸、そして竜の鎧が特に。獣のベルトと精神力の銃、万物を斬るハサミも中々・・・良い収集になった。」
『!?』
余の言葉にその場にいた者達は驚いただろう。
何しろ己の手札が読まれたのだから。
「こいつ・・・。」
「一体どんな帝具を・・・。」
「さて・・・。どこから話したものか。まず余は・・・。」
そんな余に赤い目をした黒髪の少女が斬りかかる。
余はとっさにかわすがその刀が余の手をかすめてしまった。
そこから呪いが発動。
余の心臓の一つが止められ。余はよろめき、そこに皆が一斉に攻撃を仕掛ける。
首や、胴を寸断、四肢すらも切り刻まれ、吹っ飛ぶ余。
バラバラ死体となって倒れた余を注意深く見るナイトレイドの皆。
「・・・・・・・・。」
いや・・・解析はしたが、実際に受けてみるととんでもない。中々の威力だ。
全身がバラバラになるとは。
まあ、この程度なら平気だがな。
全身から回復の光を出す。
「・・・こいつまだ!!」
仕留め切れていないとみて皆が倒れている余に向かっていくが・・・突如余の体を爆炎が包み込んだことで止まってしまった。
「なるほど・・・殺傷能力としては中々のものだな。」
爆炎が晴れ・・・余は灰の中から立ち上がる。
無傷の状態で。
『何!?』
「特に、その刀、一撃必殺だけあり、流石に効いたな。」
平然と立ち上がった余を見て皆は驚く。
まあ、普通ならこれを受けて生きている者などいないだろうな。
他の攻撃もまさに一撃必殺だったし。
「おいおい。お前・・・化け物か?」
「どうして、村雨に斬られて平気なの?」
と口々に言ってくれる。
「平気ではないわ。心臓が一つ止められたのだぞ?まったく・・・。他に四つ心臓があるからよかったものを。」
余は呪毒を敢て、五つある心臓の一つに集め、それを止めさせることで難を逃れた。
前世よりも心臓の数が色々あって増えていてよかったよ。
まあ五つ全部止まっても、まだあれがあるのでたいした問題ではないが。
「想像以上の呪詛。生命体とっては必殺になるだろうな。心臓が五つなければ即死だったよ。まあ…もう止まった心臓は動いているがな。」
「心臓が五つあるって・・・。」
「文字通り人外か・・・。」
・・・余計なことを言ってしまったようだね。
「だったら・・・連続で五度斬ればいいだけだ。」
心臓が五つある。その事実を素直に受け止め、どうすればいいのかすぐに判断するのは村雨を持った黒髪に赤い瞳の少女―――アカメであった。
なるほど…強いな。
「ほう・・・。いい判断。そして、気概は嫌いではないぞ。だが・・・。」
余の周りが炎に包まれる。
余の背後から現れる炎の不死鳥。
「慢心していたのは謝ろう。だが、何度も同じ攻撃を受けるほど余が愚かだと思ったか?」
「ちぃ・・・。」
余の言葉に皆が息をのむ。どうやら、実力の差を思い知ったらしい。
それだけの熱量がこのカイザーフェニックスにはあるのだからな。
カイザーフェニックスを待機させたまま、余は後ろの少年に話しかける。
「さて・・・君・・・名前を教えてもらえないかい?」
「・・・タツミだ。」
仲間の仇を取った少年。その名前を聞けて満足する。
どうやらあの黒髪の少女と、このタツミがこの国の運命のカギなのだろう。
あの少女も余の心臓を一つ止めたのだからな。
「…今回は幸運だったな。」
ますます面白い。なら…こちらもとっておきを披露しようじゃないか。
余は魔法を発動させる。
それはあらゆる世界を旅していく中で身につけた絶対治癒の魔法。
それを病気に侵されたタツミの友・・・イエヤスに。
瀕死だった彼の体が蘇る。
「なっ・・・。」
余は釣り下げられたサヨの遺体に向けて十字の光を発生させる。
「そして・・・これが余の奥義が一つ。」
―――――――蘇生呪文〈ザオラル〉
ザオリクよりもさらに上位の蘇生の呪文。これの習得には大変苦労した。
成果を確認するいい機会だった。
蘇生呪文をサヨと呼ばれた少女に施す。十字から出てくる命の光に、傷だらけだった全身が綺麗になり、そのまま命の胎動が聞こえてきた。
成功のようだな。魂がまだ残っていたのが幸いだった。
指を鳴らし、彼女が拘束されていた鎖がはじき飛ぶように切れ、それをタツミが受け止める。
「言っておくが、帝具で死者蘇生の力を持つ者はない。これや余が編み出した奥義。故に、この事は秘匿としてもらいたい。その条件でお主達の話を聞きたいのだがよいか?」
余は目を見開いて驚いているナイトレイドのみんなにイタズラめいた笑みを向けた。
「…異世界からの旅人だと?」
余はこのナイトレイドのボスであるナジェンダ殿と話していた。
「この世界の者ではない、故に実験的な事をする以外、極力介入は避けていたのだ。まあ・・・たまたま、その実験の対象がタツミ…お前の身内だけだったことよ。」
「それでも…感謝することしかできねえ!!」
タツミから渾身の土下座を受けている余は流石に照れ臭かった。
こうも真っ直ぐに感謝されるのには慣れていないのだ。
「余の力があれば、帝国の腐敗を一掃する事は簡単だろう。だが…それは筋が通らない。」
「言われなくても分かっている。」
ナジェンダ殿が言う。
「私達で達成しないと意味がない、この国の革命は・・・。」
その気概・・・見事。
「…良いボスに恵まれたようだな。この集団も。」
正直に言うと、余はナイトレイドの皆のことが気に入っていた。
それはそうだろう。
殺しという業を知り、その上で戦う。
その真っ直ぐで謙虚なところが特に。
「・・・興が乗った。なら余からお主達に贈り物をしたいと思う。こうして会ったのも何かの縁だ。実験も兼ねて受け取って貰えないか?」
その提案に皆が驚く。
「なら、貰えるものは貰っておこう。」
だが…ナジェンダ殿が頷く。
「…簡単に信じていいのか?」
「お前にはお前の信念を感じた。それに実験的なものとはいえ、皆が生き残れる可能性が高まるのならぜひ欲しい。」
そうか・・・。
本当に愉快だ。腐った世界だと思っていたが、前に会ったウェイブという青年といい、ボルスと呼ばれる男といい、まだ捨てたものではないらしい。
・・・この者達も死なせるのは惜しいな。
心の底からそう思った。
それだけの者達よ。お主達は。
ゆえに・・・少しだけ手助けをする。
まずは、ブラートだったか。こやつにはあるアクセサリーを渡す。
これは・・・絶対的な対毒のものだ。あの鎧の弱点といえばこういった毒の類だろうし。
それとラバックだったか。こやつには一度限りの転移用の紋章を刻んでやった。拷問に遭った時にでも発動させればいいだろう。ベホマを中心とした治癒の力も刻んでやる。
レオーネか・・・。
腰のその帝具。おそらく浸食されるタイプだろう。激しい戦いを考えれば・・・うむむむ・・・。そうだな・・・。
転生の実験でもしようか。シェーレにも同じものを施したし。
浸食で死ぬことも考えれば、解決策として、死ぬことを利用して一度新調する意外に方法が思い浮かばん。このリバースドールを送ろう。
シェーレにも同じものを送る。
その死の具合によってはうむ・・・アマダムでも二人に埋め込んでおくか。
問題なかったらそのままだし。
マインには・・・んん。簡単に占ってみると・・・ほう・・・ほうほうほうほう。
「なっ…何よ?」
「なんで、こちらに生暖かい目を?」
いやあ…皆の危機を占いで出してみると、意外なものが出てきたよ。どうもマインとタツミの間に・・・赤い糸があるようだ。
これは半年くらいするとくっつくか。
それで全力を出すと考えると・・・うむ。
このアクセサリーを渡そうか。精神エネルギーを蓄えておき、必要な時に引き出せるものこれを・・・。
余の占いはすごく当たるらしいので。ふふふふふ。
「ナジェンダ殿にはこれだな。とにかく生きてほしい故に。」
彼女には体に直接埋め込ませてもらった。命を削るような無茶をするがかろうじて生き残ると出たからだ。
名は賢者の石。これと同じものをウェイブというものにも埋め込んでいる。
緊急時の命、または生命エネルギーのスペアになるように。
「なんか色々としてくれるな。」
「はい・・・。」
大盤振る舞い過ぎたか。
だが・・・最高のプレゼントは二人に送りたい。
「アカメ殿。これを・・・。」
余はサソリのような姿をしたメカを出す。それと・・・村雨を借り、ある改良を施す。
その改良は村雨の構成素材そのものを変化、強化させるレベルにしてある。
何しろヒヒイロノカネを使ったのでな。見た目は全く変わらないが。
「アカメ殿と村正の相性は大変いい。いずれ、その奥の手を使う時が来るだろう。だが、その奥の手はおそらく…極めて危険なものになる。このサソードゼクターと村雨の改良はその為の保険だ。その発動と共この二つは真の力を発揮する。文字通りの切り札としてな。」
サソードゼクターが目覚める。これはただのサソードゼクターではない。ハイパーゼクターとパーフェクトゼクターとしての力も取り込ませたハイパーサソードゼクターだ。
彼女になら適合・・・したようだな。
目覚めたハイパーサソードゼクターがアカネを見て、即座に気に入ったのか、肩に乗り、跳ね回りながら喜んで見せたのだ。
「君はすごい。今の状態でもその子には様々な機能が搭載させている。その子が必要に応じて使っていくだろう。それまで楽しみにしているがいい。」
単純に穴を掘る機能から、麻痺などの各種毒にそれを逆行させた解毒。鉄すら紙のように切り、その気になれば空間切断も可能なハサミ。空間切断を利用した瞬間移動などなど。
こちらの最高傑作なんでね。
「…相当だな。こいつ単独で立派な帝具じゃないか。」
そう思ってくれてかまわない。トランスフォーマーなどを参考にして生み出した機械生命体なので。しかも仲間の召喚機能付き。あらかじめ作っておいた仲間のゼクター達がいるのだ。
「この世界のカギはおそらくアカメ殿と・・・タツミ…君にかかっていると思っているのでね。」
「えっ、おれ?」
タツミ自身は自覚ないだろう。だが・・・余の目が確かならお主はこの先、どんどん強くなる。それを見越し・・・。
「そのタツミは・・・これだ。」
余はとっておきを渡す。
「・・・これは・・・。」
それは一本の剣。その鞘に秘密がある。
「お主の為の剣であり、そして鎧だ。名づけるなら竜魔人剣――イルバーン。帝具として作らせてもらった鎧の魔剣だ。」
帝具を作ったという言葉に皆が絶句した様子だ。
この鎧はスキャンした二つの鎧型の帝具を組み合わせ、改良した上で、鎧の魔剣とある因子を加えた物。
生きた金属の竜といえる存在だ。
「・・・カッコいい・・・。」
その言葉だけで相性は抜群なのが分かる。
「これはタツミ、お主の為の帝具。今はまだ、その鎧を纏う事もできんだろうが、精進を重ね…鎧を纏い、その奥の手まで使いこなして見せろ。」
この奥の手は・・・かなりヤバい。何しろ竜の騎士の力を再現したものだから。
竜の騎士の因子。それを見つけ、この鎧で再現した、
欠点としては、あまりに適合が良すぎたら、纏っていた本人が、本物の竜の騎士になってしまう可能性がある事だが・・・。
まあ、そんなことはないだろう。
タツミの為に作ったとはいえ、まさか竜の騎士になるなんてことは……ないだろうと信じたい。
これもまた最高傑作といえる。
「…あんたの想いに恥じないようする。」
タツミは震える手つきで余の作った帝具を受け取ってくれた。
「イエヤスとサヨが目覚めたら、この二つの帝具を渡してくれ。これもまた…あの二人専用だ。せっかく助けた命を無駄に散らせるわけにはいかんのでな。」
そういって、鎧の魔槍と鎧の魔弓を置く。
「さて、余は去る事にするよ。お主達の健闘を期待している。」
「ああ。」
余が去る事を皆は阻止しようとはしなかった。
本来なら暗殺組織のアジトを知る者を許さないはずなのに。
何故かを聞こうとしたら・・・。
「流石に魔王を止めることはできんだろう。味方で居てくれるのなら儲けものだ。」
と言ってくれたので、余は付け加えた。
「…また来る。皆…生き残れよ。」
余はこうしてアジトを去って行った。
その際にシューレと話す機会があったのでゆっくりと話していた。
かなりの天然な彼女だが、それでも殺しの才能を持ち、それを生かすべく動いている。
殺しの才能という時点で罪深いかもしれない。だが、それでも彼女なりの意思を持ってこの場にいるのは分かるのだ。
「…死ぬなよ?お主のことは面白い。生きて、この世が平和になれば・・・そうだな。余がお主を雇おう。」
「へっ?でも・・・。」
「なあに、天然な者くらい受け入れるだけの度量がなくて、何が魔王か。」
余は笑い飛ばす。彼女がこの戦いを生き抜いてほしいと思いながら。
その後の人生も用意して。
だが、その願いは・・・潰えてしまった。
マインを助けようと重傷の身で挑む彼女。
駆けつけたが、間に合わなかったのだ。
「・・・・・・。」
余はマインを庇う様に立つ。
「・・・・あなたもまた悪ですか?なら・・・。」
生体帝具であるヘカトンケイル ――コロが襲い掛かってくる。
その凶悪なまでの牙を余波片手で止めていた。
「・・・マイン、逃げるがいい。ここは余が引き受ける。」
「でも・・・っ!?」
マインがそこまで言いかけて息を飲む。
おそらく、余の中に渦巻く激情に気づいたのだろう。
抑えていたつもりだが、いい感性をしている。
「・・・敵討ちにはならんが、少し暴れる。お前は・・・生きて仲間の元に戻れ。」
余の言葉にマインが逃げる。
「何やっているんですかコロ!!って・・・。」
その帝具の持ち主と思われる女が喚くが…やっと異変に気付いたようだな。
全力で押しているのにこちらは全く動かないことに。
「…お前がどこの誰か、どうしてこんなことをしたのか・・・余は何も知らん。」
牙を止めながら片手でそいつを持ち上げる。
「なっ・・・なななな・・・。」
「なんとなく察する部分もある。それに、この業はあいつらが背負うべきものだ。仕方ない部分がある。だが・・・。」
手にしたそいつを無造作に投げ捨てる
コロと呼ばれたそいつはすぐに立ち上がり、こっちに襲い掛かろうとし…動きを止める。
「…お主のような正義を語る外道に殺されるのはいささか腹が立つ。故に相手になってやる。」
余は悠然とその場に立ち尽くす。
「どうした?余は魔王と呼ばれし者だ。お前が言う悪の化身みたいな者だ。正義を執行したいのなら必ず倒さないといけない存在だぞ?」
「ぐう・・・いけえええええええええぇぇぇぇぇ!!」
コロが迫る。せっかくだからあれを使わせてもらおう。
余は唯一絶対の構えをとる。
コロの牙が迫り・・・余は奥義の一歩手前を発動させる。
摩擦熱が起こる超音速の掌がコロの口の牙を頭ごと全て砕く。
その後、暗黒闘気を纏わせた必殺の手刀がその体を真っ二つに。
あえて二段だけにした。それだけで十分だし、呪文を使うまでもない。
・・・この奥義も余の進化もあり、色々と改良しているのだが、この世界でも披露する機会はなさそうだ。
三段のさらに先を見つけたというのにな。
「そんな・・・。」
あえてコアを残したのは気まぐれだ。
帝具の破壊はあまりしたくないのもあるが。
ゆえに今回の奥義は相当な手加減をしているのだ。
「馬鹿な…馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!」
信じたくもない光景に絶叫する女。
両腕の銃をこちらに向けて乱発する。
それは余の体に当たるが、それだけだった。
雨粒のように弾丸の方が細かく弾け飛んだのだ。
どこから出したのか分からないが、爆弾を取り出しこちらに投げる。
それが余に当たり、大爆発を起こす。
「・・・ハハハ・・・これで正義の執行が・・・。」
だが、余が何も変わらずその場に佇んでいる事に女は目を見開く。
傷一つもついていない余。
「・・・な・・・あ・・・。」
こやつの正義の底は見えた。
「もう終わりか?なら余がいくぞ。」
余が軽く手を振う。
―――――――カラミティ―ウォール!!
巻き起こる衝撃波の壁。
「がっ、ああああああああぁぁぁぁっぁぁぁ!!!?」
それが彼女を飲み込み、全身をボロボロにさせながら吹っ飛ばす。
普通なら人体など、軽く消し飛ばせる。だが、それでは意味がない。
ゆえにこれも技として成立できるぎりぎりの弱さまで加減してある。
「この程度か。お前の正義は?」
ボロボロの状態でこちらを睨みつける女。
だが、次に瞬間、余を見て怯え出したのだ。
「・・・ひっ?!」
どうやら隠していた額の目と角が出てしまったらしい。
「化け物・・・。」
「言っただろう。余は魔王だと。」
その言葉に歯切りする女。
恐怖をはねのけようとする彼女だが、体の震えが止まることはなった。
「正義を語るなら余を倒してみよ。その魂、信念、絆・・・己が培った全てを賭してな。だが・・・。」
余は断言して見せる。
「お前の正義に・・・余は殺せん。傷一つもつけられん。現にそうだっただろう?」
目の前の女の正義の否定を。
「正義をお主が語るには浅すぎるわ。」
「お・・・おの・・・れ・・・。」
余の威圧に何も動けない彼女を尻目に立ち去る。あやつの正義を粉々に打ち砕きながら。
「・・・いい女だったのにな・・・。」
余はそう言い残し、シェーレに哀悼を捧げながらその場を後にした。
せめて彼女が望んだ仲間の生存を叶えさせる為に。
余はアジトに足を運ぶ機会があったが、そのアジトは襲撃を受けていた。
Drスタイリッシュによる。
パーフェクターは是非スキャンしたいと思っていたのだが、まさかこの世界でサイボーグ軍団と戦う羽目になるとは。
・・・・・・雑魚もいいところだが。
巨大化したスタイリッシュと対峙するのは余だったりする。
「・・・さて、せっかく遊びに来たんだ。こいつを倒すくらいはやっていいだろ?」
振り下ろされた巨大な腕を片手で止めながら皆に話しかける。
巨体の割には力がないぞ?
『・・・・・・。』
「なによあなた!?」
「そういえば会うのは初めてだったな。こんばんは。余はポルム。この世界を旅している通りすがりの大魔王だ。その名…覚えておくといい。」
あいつがいくら力を込めてもこっちは涼しい顔のままだ。
「今からお前をこの世から葬り去る男の名前をな。」
余の全身からほとばしる冷気。それが周りを凍らせていく。この世界で飲んだデモンズエキス。このおかげで本当の意味で完成した余の新たな技。
余の手に現れた冷気が凝縮され、現れたのは氷の龍。
メドローアを成立させる程度にはヒャド系を使うことはできた。だがその最上位となるとカイザーフェニックスにはまだ及ばなかった。
それを補うことができるのではないかと、この世界のある帝具に注目してみた。
それがデモンズエキス。
余はそれを杯に注がれた分を全て飲んだのだ。
破壊衝動?そんなものあったか?
その結果、余はついに一つの課題を達成できた。
メラガイアーに続く、マヒャドデスの完全な意味での習得。
それが余の手に乗るようにして現れた超圧縮した冷気の龍だった。
「刮目するがいい。この世界で完成させた余の新たな必殺技を。」
――――カイザードラグーン
放たれた龍が大きくなっていき、巨大化したスタイリッシュに迫る。
「なんですかそれはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
なす術もなく、そのまま大きく口を開けた龍の顎に飲み込まれ・・・。
龍が通り過ぎた後は、全てが停止した銀世界になっていた。
「・・・うむ。思ったよりも強力だったな。カイザーフェニックスと同等の威力となったのは嬉しいが。」
『・・・・・・。』
「それとすまないな。今の一撃でお主達のアジトを周囲の森ごと凍らせてしまったようだ。」
一発で、ナイトレイドのアジトがあった地域一帯が銀世界になったのだ。
それこそ、森一帯が全て凍り付くレベルで。
そして、凍り付いたスタイリッシュはそのままパーフェクターを残して、粉々になって消滅。
これが連射可能、それこそ無限に何発でも放てると知ったら、皆はどんな顔をするのだろうか。
「・・・なにがあったの?」
「辺り一面が、一斉に凍てついたからまさかエスデスかと思ったが、お前の仕業だったか。」
「・・・凄まじいな。」
「懐かしい顔がいるな。」
「ってあんたは・・・。」
ナジェンダ殿とやってきたのはチェルシーだったのだ。
「そうか。お前もあいつと出会っていたのか。なら、説明は不要・・・。」
「いやいや、この天災クラスの状況は説明にならな・・・。」
という感じの押し問答の間に余はスサノオ殿とも交流していた。
と、まあ思い出していたのだ。そして、この世界の物語もこの世界で漫画になっていることに余は驚いたのは察してほしい。
主人公だと思っていた二人。その見極めは間違いなかったこと。
特にアカメなど・・・マンガのタイトルになっているし。
だが、それを全巻読むと、あの世界と余が見てきた世界の違う点が出てきたのだ。
余が関わった事以外で。
一つが、あのセリューなのだが、戦った時には両腕は健在だった点。
もう一つは…大臣に加え、宰相として本来いない存在がいたのだ。
「・・・アーデンと言ったな。」
その男だけは、帝国を開放したと同時に姿を消していると二人から聞いている。
その行方は知らないと。
その存在がもたらした帝国サイドの強化は半端なものではなかった。
余がアカメ達に手を差し伸べなかったら、全滅は避けられなかったくらいに。
「・・・さて、それでどうしてお前達がこの世界に来ているのか教えてもらえないか?」
余の背後に忍び寄ろうとしていた二人に声をかける。
「アカメ、レオーネ・・・。」
懐かしい顔がそこにいた。
「久しぶりだな…ポルム。」
「よっ。元気にしてたか?」
「それはこっちのセリフだ。だが…そうか。レオーネ。お前、一度死んだな?アマダムが発動してお前自身が・・・。」
「ああ。最終決戦で大臣にやられたよ。お前の保険が本当に役に立った。おかげさんで帝具を取り込んだクウガさ。まあ、生きているだけ儲けもの。それに寿命もなくなったし。」
「こっちもだ。人外になった。」
ああ…二人とも発動してしまったのか。あまりに予想通りすぎて泣けてくる。
それをひとまず置いておき。余は二人がどうしてこの世界に来ているのか問うと衝撃的な言葉がやってきた。
やってくる手段?アカメのハイパーサソードゼクターがあれば可能だから驚かん。
「こっちに来たのはアーデンとエスデスを追ってきたからだ。」
「・・・・・・。」
どうやら、余の予想通り、アーデンという輩はあの世界の異物だったようだ。
それもこっちと同じく相当な策士。
それとエスデスだ?!
なんの冗談だ。
「・・・詳しく話せ。」
別世界から火種がやってくるのは勘弁願いたい。
だが、来たのなら何とかしないと。
「…上手くいきませんねえ・・・。」
闇の神に話しかけてくる胡散臭そうな男。
「…アーデンか。」
「どうも。色々とやってきて帰ってきましたよ。」
彼は闇の神に対して大変親しく話しかける。
「…お前のあの世界での実験はどうだった?神亡き世界で・・・。」
「はあ…ダメでしたね。何しろ取りすがりの誰かの介入で、滅亡できなかった。」
アーデンはやれやれと言いたげに首を横に振る。
「あの世界で竜の騎士が誕生。おそらくあれが守護神となる。通りすがりの旅人が結果的に神を作り出してしまったそんな世界に長居は無用でしょ。」
アーデンの言葉に神は仕方ないとため息をつく。
「…なら今度はこっちを手伝ってもらうぞ。お前を闇のエルとして見初めた私の為にね。」
「…感謝していますよ。あの力も得られましたしねえ。」
―――――仮面ライダークロニクル。
「・・・その仮面ライダーの力と最強のバグスターの力、そしてあの男の魂すら取り込んだお前の力と策略、期待している。」
「なら・・・ちゃっちゃと英雄派の手伝いといきましょうか。いい感じにプロデュースしてきますわ。」
そう言って、アーデンは動き出す。
「…今度こそ復讐してくれる。王家に・・・そして、もう一つの俺が望む仮面ライダーに!!」
今、エルの中でも最強最悪の存在・・・・闇のエルとなったアーデンが動き出す。
「蘇らせてくれたことには感謝する。」
「まあ、持ちつ持たれつってやつだ。」
そんなアーデンの側には氷のような美女がいた。
「戦いの場を提供してくれるとも言ったな?それにこの世界に…ポルㇺがいることも。」
「ああ。お前さんを俺の眷属として蘇らせたのもその為だ。」
彼女の名はエスデス。
ある世界で最強と呼ばれた将軍。
一度死に・・・彼女は蘇ってきたのだ。
「・・・闇のエルが帰還したか。それでこっちの作戦に参加したいと?」
英雄派首領――曹操はその報告を受け、警戒をにじませていた。
「闇のエルというと・・・あの、策略家の?」
「・・・ああ。それにあいつは純粋なエルとしての力以外にも力を隠し持っている。少なくとも純粋な戦闘の技量では…私では敵わないな。」
アギトでもある彼はアーデンの脅威を察していた。
「だからこそ、あの聖杯・・・警戒をしておいた方が良いのかもしれない。聖杯の汚染を疑うべきだろう。」
曹操の後ろで胎動している聖杯に目をやるのはゲオルグである。
「…この聖杯もそのアーデンからの紹介か・・・。」
「呼び出したサーヴァントもオルタとなっている。」
曹操の隣では黒い騎士が佇んでいる。
「・・・こちらとしては汚染されていようが関係はないのだがね。聖杯の中身を満たせれば、それだけでグレートレッドを呼び出すこともできよう。」
彼らの目的は最強の存在を呼び出すこと。その為の実験として聖杯を使う。
「・・・だが、警戒はしておけ。他のメンバーにもサーヴァントの召喚を始めるように。」
「分かった。行くぞ…ランスロット。」
ゲオルグの側に現れるのは黒い甲冑を纏った騎士。
「順調そうでなによりですな~。」
その曹操の元に現れるアーデン。
何時の間に現れたのか分からず、その場にいた他の英雄派のメンバーは驚きを隠せない。
そんなアーデンに対し、曹操は警戒を隠さない。
「・・・お前が何を目論んでいるのかは分からない。だが、邪魔はしないでもらおうか。」
「おやおや怖いねえ。だが、忘れないでもらいたい。今回の聖杯大戦に私も参加しているということに・・・ねえ、アサシン?」
「ふん。気に食わないな。どいつもこいつも。」
アーデンの背後に現れたのは全身包帯の上から紫の着物を纏った男だった。
「死なないという点でも厄介だが、お前に感謝だけはしておく。何しろ地獄の業火を得られたのだからな。」
「・・・・・・我ながら化け物に、化け物の力を与えてしまいましたねえ。こちらの世界でシスの力にイフリートの力を掛け合わせる形を狙っていましたが、こうもまあ規格外を生み出してしまうとはねえ・・・。」
己のサーヴァントに呆れかえるアーデン。
彼の知識の中では、人間の中には長い歴史の中で人外の力を持ったものが現れることがたまにある。
アーデンが知る限り、己のサーヴァントはその中でも最上級。いや、それすらも超えた化け物だった。
グランド級は確実だろう。
「ははははははははははははは!!この世界で国盗りも悪くない。その為には力がいる。マスター。お前もそうだろ?面白いと思ったからこそ、この通り、お前のサーヴァントになった。地獄で更なる力を身につけてな!!」
「・・・やれやれ。宰相としてやってきた経験がこうも生きるとは嫌だねえ。」
アーデンは呆れかえりながら実体化したアサシンと共に歩く。
「だが、それも悪くないですねえ。そういった意味では相性はいいか。」
「縁の召喚というのはそういうものだ。感謝したいぜ。あとで呼び出してもらいたい奴が三人いる。それも頼む。」
聖杯大戦。そこに規格外のアサシンが参戦していた。
「・・・ふん。お前達こそ下らん。」
そんな彼らを見下ろす存在がいる。
それに英雄派の皆が気付く。
「…アヴェンジャー。」
ボロボロのローブに全身を隠した男、それがアヴェンジャーと皆が呼ぶ。
その真名は誰も知らない。ステータスと共に完全に隠蔽されていたのだ。
何故かマスターがいない状態で現れた謎のサーヴァントなのだ。
「…脱走者が現れたことを教えに来た。あの聖女と魔女の双子だ。」
「・・・そうか。あの二人はこの聖杯を使うことに反対していたからな。追っ手を出せ。」
曹操の指示にアヴェンジャーが笑う。
「安心しろ。私が既に動いている。」
その言葉とともにアヴェンジャーの姿が消える。
「・・・あのアヴェンジャーは一体なんだ?」
「私も分からないですねえ~。まあ、心当たりはありますが。」
英雄派の誰も正体が分からないサーヴァント。アヴェンジャー。
この聖杯大戦の最大のカギであることを皆は知らない。
邪悪な笑みを浮かべるアーデンを除いて。
ある森の中を二人の少女が走っていた。
「急ぎなさい!!」
「ええ!!」
それは双子だった。
一人は聖女と呼ばれ、もう一人は魔女と呼ばれている。
彼女達は一人の英雄の魂を受け継いでいた。
その英雄の名前はジャンヌ・ダルク。片方はその聖女として、もう片方は竜の魔女としての側面を受け継いだ存在だ。
その二人は揃って逃げていたのだ。
その理由は二人は知ってしまったのだ。聖杯を汚染している存在の強大さを。
そして、それが目的としているある存在から追われているのだ。
「・・・あの聖杯の危険を知らせないと。あれは…起動させてはいけない。」
「分かっているわよ!!」
その後を追うのは巨大な蜘蛛だった。全身が岩石となっており、その隙間から溶岩が流れている異形の蜘蛛だ。
そして・・・。
「逃がすと思ったか?」
彼女達の行く手をさらに巨大な岩石蜘蛛が阻む。
「…ファントム。」
「あなたみたいな大物がやってくるなんて、相当だわ。」
「我が主の悲願の為・・・死んでもらうぞ。聖女と魔女よ!!」
口から吐き出される燃える岩石。
「せめて…この世界で生まれ変わっているはずのジークに会いたかった。」
ジャンヌがそう言った時だった。
どこからともなく槍が飛んできて、その燃える岩石を粉々にしたのだ。
「諦めるのは…まだ早いですよ。」
それは金色の髪に、白いドレスを纏った二十歳ほどの女性だった。
「・・・この場になぜもう一人聖女が?」
「あなたは?」
彼女は先ほど投げた三又の槍を手に名乗る。
「私の名前はニーナ。星の巫女と・・・名乗らせてもらいましょう。」
その背に現れるのは天使の翼。
「・・・っ、転生天使か!?」
「この星に滅びをもたらせません。」
ファントムと呼ばれた岩石蜘蛛は驚いた様子を見せる。
だが、そこに銃声と共に更なる乱入者が・・・。
弾丸はジャンヌ達の後ろにいた小さな岩石の蜘蛛達をたやすく砕く。
「修学旅行の下見に来れば、奇妙なことになっているな。」
それは甲冑を纏った女性だった。
「ヴァルキリーまでも!?だが、弾丸を放つヴァルキリーなど・・・。」
だが、そのヴァルキリーもまた普通ではなかった。
先ほど弾丸を放った銃がそのまま剣に変わったのだから。
「・・・さて、何故魔界の悪魔がここにいるのか教えてもらおうか?」
「・・・あなたは・・・。」
「ライトニング・・・とでも呼んでくれ。」
『!?』
その名に双子のジャンヌは驚きに身をすくめる。
それだけそのライトニングと呼ばれるヴァルキリーは有名だったのだ。
「味方でいいですか?」
「あいつが敵ならそうだな。」
ニーナの問いにぶっきらぼうに答えるライトニング。
二人はファントムと呼ばれし悪魔と対峙する。
「・・・我が主の為・・・ここで引くわけにはいかん。故に・・・。」
岩の子蜘蛛たちの全身から膨大な熱量が発せられる。
「確実に仕留める方法をとらせてもらおう。」
それは最悪の方法だった。
「なっ。」
「ちぃぃぃ!!」
四人を囲んでいた岩の蜘蛛達による一斉自爆。
それにより、夜の森に凄まじい轟音が轟いた。
だが、爆発が収まった後を見たファントムは舌打ちした様子。
「・・・しぶとい。逃げられるとは・・・。」
彼は一斉に拳大の岩蜘蛛を呼び出し、散開させる。
「・・・グリフォン。主様に伝言を頼む。最悪ナイトメアを出す事も検討してほしいと。予想外の介入を受けた故に。こちらは追跡を続行する。」
ファントムの上空にいた獅子の下半身に大鷲の上半身を持つ悪魔が飛び去って行く。
そして、ファントムもまた地面に溶け込むようにして姿を消していくのだった。
SIDE ???
夢を見ていた。
それはドラゴンとなって夢を見ていた自分。
ずっと…ずっと誰かを待っていた。
そこに一人の少女が現れる。
そして、その少女がこっちに手を差し伸べて・・・。
そこで俺は目覚める。
気づけばいつもの家の軒先だ。
裏京都に来てからどれだけ日が経っただろう。
時を忘れるくらいにずっといた。
裏京都。そこは妖怪と呼ばれる者達が住む世界。
「光太郎、どうしたのだ?そんなにぼんやりとして。」
「いや~平和だなと思って。」
今、俺はこの裏京都を取り仕切る家の一人娘。九重ちゃんの家でお世話になっている。
「そうかそうか。しかし、光太郎もすっかり・・・とまではいかんが、元気になったのう。」
戦いで心も体もボロボロだった俺。
それを助けてくれたこの家、この街の人達には感謝してもしきれない。
まあ、妖怪というのは初めて見たのでかなり驚いたが・・・ゴルゴムの怪人に比べたら可愛いものだ。
今では色々と手伝う仲だ。
「今度、兄上達にも会わせたいのう。」
九重ちゃんには兄と慕う人がいるらしい。何でも…すごく強く、そして恰好いいらしい。
ぜひ会ってみたい.
どうも修学旅行で来るらしいから、皆はそれでその兄――鋼鬼さんを歓迎すべく大わらわだ。何でも、伝説のヤマタノオロチを倒し、その後契約した英雄だとか。
しかも、奥さんがおり、妊娠したというおまけつき。
「・・・んん?」
そこで、修学旅行でくる。奥さんが妊婦という点で、それが高校生ならまずいのではないのかと思ってしまったが・・・。
「・・・ああ、先生なんだな。」
とかってに思ってしまった。
今は、その鋼鬼さん一行を歓迎する準備をしつつ、その合間の一休み。
ああ‥・和菓子が美味い。これ…信彦も好きな味・・・。
「・・・・・・。」
そんな俺に抱き着いてくれる九重ちゃん。
何も言わずに。
「・・・ありがとう。」
・・・しんみりしてしまったな。
信彦・・・救えなくてすまない。だが…俺は生きる。精一杯生きる。
俺はこの半生を振り返る。
赤ん坊で山にいた俺。それを拾ってくれたのが信彦の両親。
何故俺が山、それも滅多に人が入らない奥地にいたのかは分からない。
ただ・・・俺がいた場所に流れ星のように何かが落ちてきたらしい。
それを見た両親がその落ちた場所に向かったら、何かが落ちたと思われるクレーターと、その中で眠っている俺がいたらしい。
信彦と兄弟のように育った。
だが・・・ゴルゴムが俺達を・・・。
その所為で信彦と戦う羽目になって、俺は生き残ってしまった。
心も体もボロボロで、宛てもなく山の中を彷徨い…辿り着いたのがここ裏京都だったのだ。
「・・・さて、休憩はそんなものでいいだろ。」
だから、まずは今日一日を・・・。
だが、そこで一人の妖怪が慌てて家にやってきた。
俺と九重ちゃんは慌てて家を飛び出す。
俺が見たのはボロボロで倒れている金髪の少女だった。
SIDE???
とんだものを拾ってしまった。
「うう・・・。」
ボロボロで気絶しながら崖の上から落ちてきた魔女を。
もちろんきちんと受け止めたが…これは一体。
はあ・・・あいつがこの京都にいると分かって様子を見に来たらこれだ。
どうやら何かが起きようとしているらしい。
「・・・姉・・・さん・・・。」
姉妹がいるのだろう。うわごとで姉を口にする腕の中の彼女。
はあ…他人事には思えない。
どこかに匿わないと。
ポルㇺに連絡して、手配をしてもらおうか。悪魔系列のホテルがあったはずだ。
そして、この京都で何が起きようとしているのか探らないと。
光太郎にはもう…戦わせたくない。
SIDE ポルㇺ
アカメ達の報告を聞き、修学旅行先である京都で行われようとしている聖杯戦争と合致する部分を見た。
それに京都に行ったあいつからの連絡。
「…お主達を迎え入れる事にする。アカメ…お前は明日からクラスに転校してこい。レオーネは先生だ。その手はずをサーゼクス殿にお願いする。この世界の常識は今から魔法で直接頭に叩き込む。」
エスデスまで来ているとなれば放置はできん。
「安心しろ、この家の戦力は世界を救うには過剰すぎるほどだ。心強い味方になるだろう。」
二人が余の言葉に驚く。
「まずは、この家の中心人物に会わせないとな。部屋が阿呆ほどに余っているとはいえ家主の許可は必須。」
余が部屋を出ようとした時、この家の最重要の中心人物にして、我が親友の助けを求める声が聞こえてきた。
「???何が起きて・・・。」
扉を開けるとそこは・・・カオスだった。
酔っぱらった奥様方がなんと夫達に絡んでいたのだ。
「私に飽きちゃったんですか!?」
「そんなわけないよ!!」
特に酷いのがグレイフィア殿とサーゼクス殿だ。ああもう、色々とお願いしようとしたのに。
後から知った事だが、事の始まりは被害者の会がついに姉、兄馬鹿の会・・・でよかったか?に挑もうとして・・・返り討ちにあっていた。
そこにヤマタの酒でベロンベロンに酔っぱらった奥様達が乱入して・・・。
「…今度はウエディングドレスでも・・・。」
「いや、ここはあえて学園の制服を・・・。」
雁字搦めに拘束され、再び女装の危機に立つ二人の弟。
それを見て、理解の範囲を超えてしまったのか、気を失っているバラキエル殿。
アザゼル先生と打ち合わせて訪れた瞬間にこれだ。
「後生だ・・・。母上、父上…見ないでくれ!!!!!!」
ハルトのメンタルが特にヤバい!!
「このカオス…どう収集つければいいかな?」
「・・・はあ。何とかするしかないでしょう。」
イッセーとともに余は戦場へと足を踏み入れる。
少しでも早く話を進めたい故に。
SIDE ???
もうすぐ修学旅行。楽しみすぎる。
「おーい。タケル。補修終わったからってニヤニヤしすぎだぜ。」
仕方ないじゃないか。せっかく拾った命を再び謳歌できるから。
「まあ、この間まで死の淵にいたっていう意味じゃしゃあないか。」
「そういうノクトだって、そわそわしているじゃないか。」
「・・・仕方ねえだろ。それになんだ…旅行と聞くと、なんか心っていうか、魂がざわつくんだ。」
クラスメイトのノクティス君。いや、色々あって、愛称のノクトと呼ばせてもらっている。
彼は日系のアメリカ人で、日本に留学してきている。
しかし、彼から何かただものでない感じもある。まるで…世界を救って一度死に、この世界にやってきたような・・・。
まさか、そんなことなんてないよね?
「お~い。やりとりはそこまでにした方がいい。」
そんな僕たちに話しかけてくれるのは白野。
クラスで三番目に可愛い女の子で、クラスの委員長だ。
「・・・やれやれ。」
そんな僕達に振り下ろされるノート。
「三人とも、楽しみなのは分かるが私語は慎んでもらおうか?」
「うう・・・なんで私まで・・・。」
・・・僕達のクラス担任―――僕達はライトニング先生と呼ばせてもらっている。
格好いい女性。誰もがそう思うくらいの素晴らしい先生だ。
少々ぶっきらぼうだけど。
でも、いい太刀筋している。単なるノートなのに、僕達が脳天に落雷が落ちたような衝撃を受けたよ。
「痛てててて…ほんとただもんじゃねえ。」
んん?でもさっき・・・。
「先生…右腿怪我したの?」
「あっ、そういえば・・・。」
「動き、若干おかしかったよな?」
その言葉にライトニング先生の動きが止まる。
「・・・まあな。昨日修学旅行先の下見に行った時に蜘蛛が飛び掛かって来て、それを避けようとして。」
んん・・・嘘は言っていないよね?
なんとなく、そんな感じがする。
でも、何か違和感が・・・。
「…本当にあいつらが気に掛けるわけだ。」
ぶっきらぼうだけど、心配して見せるのはノクトだ。
「ならこっちの知り合いの医者を紹介しようか?エム兄は小児科だけど・・・。」
・・・んん?何やら気になる単語が聞こえてきたような・・・。
「あっ、ああ、気持ちだけで充分。ありがとう。」
ライトニング先生はそのまま教壇に戻り、もうすぐ始まる修学旅行の説明を再開する。
やっぱりあの先生もただものではない。
上手く日常に溶け込んでいるけど・・・。
ただものではないと言ったら、ノクトもそうだった。
「・・・あそこに行けば見つかるかな?」
ノクトがつぶやく。
「…ずっと夢に出てきている友達?」
「まあな。」
彼はずっと誰かを探しているらしい。彼にとって宝物といえる誰かを。
「何々?ノクト君の大切な人?」
「…たぶん、いや、絶対そうだ。」
白野さんが少しからかうようにノクトに話かけるが、その反応はすごく優しいもので驚いていた。
「そっか・・・。後で私達にも紹介してよね?」
「おう。」
数々の英雄と会ってきた僕の勘がそう告げている。
彼――ノクトには何かがある。それも想像もつかないような
そして、余談だけど同じような何かを白野さんにも感じたりして・・・。
できれば、友達としてその力になってやりたいとも。
まあ、まずは修学旅行を楽しまないと。
僕はそんなことを思っていたわけだ。
でも、その修学旅行がとんでもないことになろうとは思ってもいなかったわけで。
SIDE イッセー
俺達は悪魔としてのレーディングゲームの対戦相手を顔合わせしていた。
それは・・・あのサイラオーグさん。
「・・・そうか。俺の拳が神に届くのか試す日が来たか。」
獰猛な笑みを浮かべる彼は鋼兄の盟友。
その実力は・・・うん。俺もびびっている。
だが、それ以上に楽しみなんだよ!!
「さらに実力を上げたな。うん。」
「フハハハハハハ…流石アギト。いや、流石赤龍帝、兵藤一誠ってところか!!」
鋼兄のようにアギトの本能に対抗するだけのものを身に着けているのは間違いない。
「・・・だが、まだゲームまでに仕上げている最中か。化け物だよ。まだ強くなるなんて。」
「・・・ふっ。お前との闘いは間違いなく死戦になる。この場で宣言してやる。出し惜しみは絶対にしないと。今まで隠していた全てをお前にぶつけてやる。」
「・・・上等。こっちも・・・出し惜しみは絶対にしない。まあ…アドベントは使えない。ゴジラは悲しいけど・・・ヤバすぎだし。」
いつがゴジラも活躍させたい。あいつの破壊神としての側面もこういう形で発揮させれば問題ないけど、力が強すぎて・・・。
「それは仕方ないさ。だが、いずれゴジラとも拳を交えたい。」
そう言いながら互いに構える。
やべえ…わくわくが止まらない。
「そういうあんたは大物だな!!」
「お前に言われるなんて光栄だ!!」
そういって俺達はお互いに拳を繰り出す。
互いの拳がぶつかり、凄まじい衝撃が辺りに響く。
『ぬぐお!?』
いや、俺の周りにいた人達が全部吹っ飛んだぞ!?
「流石だな。」
「うん。強烈。」
あっ、鋼兄と部長は腕組みしながら平然としているわ。
この二人も凄いよな。
「・・・上は何考えているのかしらね。本気を出したこの二人の激突・・・並のフィールドじゃあ一瞬も持たないわよ。」
部長が深くため息をつく。
「ふふふ…その辺りは鋼鬼達の協力もあり、良いモノを作っているらしいぞ。」
サイラオークさんがその不安を吹き飛ばす。
でも、安心した。互いに全力出せる。まあ・・・まだまだこっちも修行が足りないが。
「それはお互い様だ。お互い、どれだけ己の潜在能力を引き出すのかがカギだな。」
そう言って、サイラオークさんの両隣にローブを纏った二人が現れる。
二人ともサイラオークさんのポーンだ。それぞれ駒価値は二つずつ。
でかいローブとやや小柄なローブという違いはあるが…二人ともとんでもない何かを感じる。
アギトの勘だけど、あれば…化け物だ。
他にも二つずつのポーンがいる。正体は不明だが。
だが、推察するに、今目の前にいる二人のポーンは両方とも神滅具クラス。
というか、片方から神滅具らしき気配が感じる。
それが駒価値二つとすると他の三人のポーンも・・・。
上等すぎるじゃねえか。
「楽しいゲームになりそうだ。」
「ああ。」
俺達はそう言って別れる。
どうやらとんでもない手札を向こうも隠しているらしい。
楽しみだ。
互いに次の対戦に思いをはせながら。
余談だが、このやり取りを聞いて、裏方では必死になって俺達の対戦場所の更なる補強をしているらしい。
アザゼル先生を先頭に皆が悲鳴を上げていると。
互いにさらに修行し、隠れた能力を引き出した上で本気を出すと言っただけでその騒ぎ。どうしてだ?
ただ本気で戦うだけだぞ?
さて、俺の修行に新たな課題がある。
それは新たな竜神―――ドラゴングリードの力を一切引き出せていないことだ。
あいつとはたまに対話している。おっぱいの素晴らしさを知る同士だからな。
「慌てなくても必要となったら解放される。既に箱は開けたでしょ?」
ドラゴングリードはそう笑って話してくれる。
箱。それはイメージだが、何かしらの可能性が詰まった物。
俺は対話の中でそれを開けた。そして…何かが解放されたのは感じていたのだ。
「楽しみにしておいて。その為の調整はもう済んでいるから。後は切っ掛けだけ。その切っ掛けはもうすぐやってくる。そしたら驚くがいいよ。第一段階の時点でも凄いから。」
なにやらもったいぶってくれるが・・・。
「分かった。それを使いこなせる為に今は基礎と力のコントロールに努める。」
楽しみにしておく。俺の中の新たな力に。
「ほぐ・・・ぐうう・・・ううう・・・。」
という話をアザゼル先生にしたら、卒倒しないように必死に自分の意識を繋ぎ留め、堪えていた。なんか自分の手の甲を必死になって抓り上げているぞ?
おおっと、何とか意識を保つ事ができ・・・。
「・・・・・・・・・マジでそんな冗談はゴジラだけにしやがれ!!ポルム、お前の知恵も貸してくれ!!これはマジでヤバい!!まだまだ飛躍的に強くなるぞ。まったく…なんでこいつらを戦わせんだ!!色々とシャレになんないぞ!!」
「そのようだね。まったく、本当に化け物だよ。まだ進化の余地があるなんて。見ている分は楽しいけど、場所の確保が・・・。だが、こういう時の為に良いヤツがある。前に収集して良かった。」
「何?!早く聞かせてくれ。」
・・・何故だ?
まあ、そんなことがあり、俺達は実戦と共に修行にも励んでいる。
みんなは俺にどんな力が発動するのか戦々恐々としている様子だったが。
そうそう、ヴァ―リもまた新たな可能性を見つけたんだ。それは…ヴァ―リの中にファントムがいたのだ。絶望し、それを乗り越えたわけではない・・・いや、ヴァ―リの過去を考えれば一度絶望し、それを乗り越えたパターンがあっても不思議ではない。
現にハドラーさんが助けた時、ヴァ―リの体に亀裂が入っていたという証言が・・・。
なら…魔法使いとしての素質も納得である。
その中休み的な意味で俺たちを待っている最大のイベントが・・・修学旅行だ。
「・・・九重ちゃんに会えるのが楽しみだな。」
「そうにゃ。」
鋼兄夫妻にとっては馴染み深い土地。なんでも京都の妖怪全員が歓迎してくれるらしい。
鋼兄のヤマタノオロチを倒し、契約をした一件はそれだけの偉業なのだ。
「しかし、居候がいると聞くが・・・どんなやつだろうな?俺達と絶対に仲良くなれると。」
『・・・・・・。』
九重ちゃんの処に居候がいると。それを是非、皆に紹介したい旨も書かれている。
その居候の文字を見て・・・何故か俺に視線が集中。
次に部長に集中。何かしらの判断を仰いでいるみたいだ。
「・・・みんな。その居候がイッセーの幼馴染なら、その彼は人外で、その上で何か大きな事件が起こるか既に起きているのは確定だと思いなさい。」
ちょっとまて!!何気に人外だけじゃなく、大きな事件が起こることまで追加されとる!!
「・・・・・・今のうちに覚悟しておくか。」
「そうね。」
鋼兄!!何深刻そうな顔してんのさ!!
「ふっ。流石部長。真理を見事に言い当てる。」
そして、ポルㇺ。なんでお前は悟ったような顔をしとる。その居候が百パーセント俺の幼馴染だと確信している根拠はなんだ!?
「・・・今までの傾向で間違っているところ・・・あったかしら?」
ジト目な部長の一言に俺以外の皆が一斉に頷きやがる。
でも間違っていない。俺の幼馴染どもは出会った皆が普通ではないし、再会も何かしらの事件の最中だったり、それが切っ掛けで事件が起こる場合もあったし。
「京都・・・何も起きないといいけどねえ。」
ああもう、こういう時力あるドラゴンでアギトであることが厄介だぜ!!
SIDE 光太郎
「んん・・・。」
どうやら目覚めてくれたらしい。
「ここは・・・んん?」
彼女がそう言いながらこっちを見る。
「よう・・・かい。そうか。私は裏京都に・・・。」
「その主たる九尾の狐の館だ。」
ホッとした。怪我も癒えているし・・・記憶も大丈夫なようだ。
「・・・・・・・。」
彼女はじっと俺を見る。
「・・・どうしたの?」
じっと見て…突然涙をにじませた。
「・・・って!?本当にどうした!?」
「・・・やっと…見つけた。」
そういってこっちに抱き着いてきたのだ。うおおお…むっ…胸が当たる。
「ずっと…ずっと探していました。まさか人間に生まれ変わっていたなんて。」
そう言ってその少女は何かに気づいたように目を見開く。
「・・・いえ。どうやら、現世も過酷な運命だったのですね。」
何を言っているのか分からない。
だが・・・。
「記憶はないでしょうね。なら、自己紹介だけでも、私の名前はジャンヌ。これでもあのジャンヌ・ダルクの生まれ変わり・・・。」
…何がどうなって。
んん?
「…大人の情事ってやつじゃのう。」
「これ。あまり人の逢瀬を覗き見するでない。」
って、何親子揃って覗いているのかな?!
「クスクス。んん・・・そうか。なら警告しておくべきですね。私、今裏世界で悪名高い禍の団にいました。いましたのは・・・逃げてきたからですが。」
「・・・ほう。それで警告とは?」
「京都の妖怪大将――九尾の八坂様。あなたは英雄派より狙われています。聖杯大戦の為の生贄として。」
・・・まさか、あのテロ組織にいたのか?
でも・・・。
「…なんか信じられない。あんたがそんな悪人には見えない。」
むしろ聖女だ。
「まあ、目的があってそこにいましたから。でも…目的も達成できました。せめてほむら様に連絡が取れればいいのですけど。オーフィス様の力も借りたい。」
オーフィス?
「はい。私、英雄派でもあり、そしてオーフィス派です。可愛いは正義!!」
『・・・・・・。』
そうか・・・。だから九重ちゃんをいつの間にか抱きしめて愛でていたのか。
あまりに自然で、手慣れた動き。
その為、俺達はその過程を認識することができなかった。
九重ちゃんがいつの間にか抱きしめられ、愛でられているという結果だけが目の前にあった。
戦慄すら覚えるほど愛で慣れている。
「…斬新な信念だ。」
「それが私達ですから。まあ、もうすぐ私も禍の団をオーフィス派の筆頭と共に抜けるつもりだったのですが・・・。」
まあ、九重ちゃんが心地良さそうにしているのだ。悪い人じゃない。
この子はそういうことに敏感だから。
「それでだ。一体何が・・・。」
「…聖杯戦争って知っていますか?」
その言葉に、八坂さんの表情が変わる。
「…まさか、この京都でそれが起ころうと?」
「はい。しかも、聖杯大戦という形で。既に向こうの陣営は召喚されています。ですけど、誰かが介入した関係で陣営が・・・。」
ジャンヌがそこまで話したところでお腹の鳴る音が・・・。
『・・・・・・。』
シリアスな空気が台無しである。真っ赤になる彼女に対して八坂さんが苦笑し、
「まずは食事としようか、」
「・・・すみません。」
顔を真っ赤にさせた彼女に出される和の食事。
食事の質が最近になって大幅に向上したらしい。その原因は・・・九重ちゃんの兄の友である人の家族からのレシピ、およびネット越しの料理指導や交流があったからだ。
こっちも最初に口にした時、涙がこぼれてしまったくらいだ。
あまりに美味しく、そして優しい味。あの時、これ以上になくボロボロだった体と心にとても沁みたのだ。
そして癒された。立ち上がる勇気を貰えた。
一体誰のレシピなのだろうか?お礼を言いたい。
それと同じものを口にしているのだ。
「いただきます・・・うわ・・・美味しいです!!」
この反応は当然といえる。
それを見て、皆がほっこりしたのだが、それも長くは続かない。
何時の間にか空になった茶碗をまさに聖女らしい笑みで差し出してきたのだ。
「・・・おかわり。」
聖女とは思えない暴食っぷりに皆…目を点にさせたという。
コメが一升無くなってしまったことだけここに印しておく。
――――――ここにいたか・・・。
その裏京都に魔界の悪魔の脅威と・・・。
――――脱走者発見。すぐに捕縛・・・。
英雄達の子孫による脅威が迫っていた。
ここに最終幻想からも参加者がいます。
かなりカオスなのは確定ですがよろしくお願いします。
んん?出てきたサーバントの名前?
京都ですし、アサシンとして呼ばせてもらいました。本来ならアヴェンジャーでしたがねえ。
アヴァンジャーの正体が今回の聖杯大戦のカギです。
次話からいよいよ…京都です。!!!