赤龍帝の幼なじみ達   作:THIS

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 大変お待たせして申し訳ございません。

 今年初投稿・・・

 京都にて本格的な事件の始まりです。


 イッセーの苦労をいたわってください。


修学旅行は召喚とともに始まります。

 

 

SIDE ???

 

 私は全てを救えなかった。

 

 別に殺されたことを恨んでいたわけではない。

 

 相手も人だ。

 

 だが、誰も救えなかったことが悔しかった。

 

 そこから英霊として召喚され、その雪辱を晴らす機会が来た。

 

 だが、大聖杯は奪われてしまったのだ。

 

 聖杯に振れたことで受肉した私はずっと待った。

 

 再び聖杯戦争が行われるのを。

 

 そして六十年…聖杯大戦が始まり・・・。

 

 

 そこで目を覚ました。

 

「・・・はあ」

 

 最近、夢という形で振り返ることが多い。

 

 記憶と力を取り戻したことで、その確認をしているのだろう。

 

 そして、夢を見る度に思う。

 

「・・・どうしてこうなった?」

 

 その一言に尽きる。

 

 現世で兄弟のように育った友。だが、二人とも攫われ、次期創生王として改造。

 

 そのままこちらは洗脳され、その友と戦うことに。

 

 それで友―――光太郎に敗れ、一度死んだのはいい。

 

 だが、その後復活した時に、洗脳が解けると同時に蘇ってしまったのだ。

 

 前世の記憶、そして力を。

 

 それと同時に知ってしまった。

 

 現世の死闘の際に見せた竜の如き力と、ほとばしる雷。あれは・・・前世の黒のセイバーとバーサーカーの力。

 

 それを持っているだけで確定だ。

 

 光太郎が、誰の生まれ変わりなのかを。

 

「・・・因果なものだ。」

 

 人類救済。その為に戦い敗れ、その後何が起こったのか分からない。

 

 前世でも現世でも死闘を演じた仲とは・・・。

 

 神よ…これも試練なのでしょうか?

 

「んん・・・」

 

 ホテルのベットの上で一人の少女が目を覚まそうとしていた。

 

 その顔を見た時にびっくりしたものだ。

 

 その顔は前世で戦ったルーラー・・・ジャンヌ・ダルクにそっくりだったからだ。

 

 その少女が今、目を・・・。

 

 

SIDE ???

 

 姉と呼ぶことになってしまったジャンヌとの因果は中々に深い。私は紛いものとして生み出され、そのまま消滅する運命だったのに・・・気づけばこの世界であいつと共に双子として生を受けていた。

 

 あいつの方にもあの戦いの記憶はあるらしい。記憶を取り戻した五歳の時に、あいつはすぐに誰かを必死に探し、そして見つからないことに大泣きしていたのだ。

 

 あの聖女様がだ。

 

 思わずその事情を聴いた時・・・後悔してしまった。

 

 あいつが誰かに恋をしていたことに。

 

 長い年月を経てようやく再会し、告白し、それを受け入れてもらい、星を巡る旅に出ていた時にある存在が襲撃。

 その告白した相手がとっさに彼女を庇い、大聖杯の力で転生させたことも。

 

 その際に私も巻き込まれたのだと。

 

 なんて言えばいいのか。驚いているし、呆れてもいる。

 

・・・・・・だからこそ、後悔しているのだ。

 

知ってしまったのだ。そのうえで何もしないのも後味悪すぎ。

 

 こんな弱々しい姿を見て、拒絶なんてできるような私じゃないのが悔しいわ。

 

この世界に転生した縁もあり、私達は双子の姉妹としてこの世界で暮らすことにした。

 

 作られた私が本物の人生を歩めるというもの悪くないし。

 

 姉妹仲はまあ…そこそこじゃない?

 

 なんか私のことを周りは仲良し双子のツンデレの方というけど…私はツンデレじゃない!!そこは否定させてもらうわ。

 

 まあ、そんな感じで一緒に過ごし、裏で魔女、聖女としての力を使い、情報を集めたわ。

 

 あの組織に入ったのもその為だ。

 だが、その組織で聖杯戦争が行われると知り、聖杯を見た時のジャンヌの驚きは凄まじかった。

 

 後で聞くと・・・その大聖杯こそが・・・。

 

 その中にジャンヌ達を襲撃した存在がいると聞いた時ぞっとしたわ。

 

 すぐに何とかしないといけないってね。

 

 でも、脱走した後に襲撃を受けて・・・。

 

 

 

 

「・・・・・・ああ、なんて因果だ。こっちもそれに巻き込まれて・・・」

 

 その話を助けてくれた奴〈信彦だっけ?〉にしたのだけど、頭を抱えて嘆いていたわ。何やら凄く疲れた様子だったけど。

 

「どうやら、そっちの因果だったみたいだね」

 

 その時、唐突にその部屋にいない誰かの声が聞こえてきた。

 

「・・・盗み聴きとは感心しないな。大魔王」

 

「おやおや。大魔王と呼ばれるなんて・・・最高の誉め言葉と受け取っておくよ」

 

 大魔王?誰ですかそいつ?

 

「ポルムという。いや~重要な情報ありがとう。おかげでこっちも手を打てる。玉藻。準備はどうだ?うん・・・龍脈もそうか。ならこの場で召喚してもらった方が面白いな」

 

 ポルㇺという奴は信彦に向けて手をかざす。

 

 するとその右手に・・・。

 

「・・・令呪」

 

「当初の契約通り、参加してもらうよ。その代りゴルゴムの後始末に関してはもう終わりつつあるから安心したまえ。いい怪人達はこちらで保護させてもらっている。あのクジラくんもね」

 

「重ね重ね・・・すまない。あいつは光太郎の命の恩人。一度、この手で殺してしまったあいつを助けてくれた奴なんだ。助けられて良かった。感謝する!!」

 

 頭を下げる信彦。

 

「さあ…悪魔の契約の対価を存分に払ってもらうよ?安心して、死なせることはしないから。フフフ・・・大魔王の契約なんだ。存分に働いてもらうよ?」

 

 なんだかかあくどい笑みをしているわね?

 

 あんた、こいつと契約して本当に良かったの?

 

 ・・・そう、既に死ぬ程後悔していると。

 

 別に口に出していないわよ?

 

 あいつの表情に書いているだけだから。

 

「・・・なんで大魔王と手を組むことになったのか」

 

「それも因果だと思うがいい。それと念の為に聞きたいけど、聖杯に叶えたい願いはあるの?かつて人類を救済しようとした聖人さんは?」

 

 その質問にあいつは固まる。人類を救済しようとした?聖人?なんのこと?

 

「君の前世を含めて調べておくのは当然じゃないか。情報はいつだって大切な武器。聖杯戦争でもそれは変わらない」

 

「・・・君だけは絶対に敵に回したくない」

 

 それに驚いた信彦だったけど、すぐに気を取り直す。

 

「・・・今はない。今でも救いたいと願っている。そう願い、前世で行動したことも後悔もない。だが、この世界ではそれは敵うまい。君達のような存在がいるのだから。それにあの聖杯はこちらの因果。それを晴らしたいというのが本音だ」

 

 信彦は言う。

 

「・・・また考え直し、そしてやり直しだよ。あの時も敗れた。阻止されたことも後で知ったし。その理由も考えたい。その機会が巡ってきただけでも儲けもの。まあ、これも神の試練だと思うことに」

 

「ふふふふふ・・・面白い。なら始めようか。そっちの竜の魔女も見るがいい」

 

 あいつ、私のことまで・・・

 

「・・・人理救済にそろそろ手を貸した方がいいかな?向こうの友の力にもなりたいし」

 

 いや、あんたが何者か知らないけど…なんかやめてくださいと言いたくなるわ。

 

 なんというかこう・・・規格外というか、底知れない何かを感じるから。

 

「それは後で考えることにしよう、こっちのメンツを召喚事故という形で派遣しても面白そうだし。派遣する人も訳の分からない状態の方がリアリティもあって面白いよね?うん、うちの相方辺りを送り込んだら大暴れしてくれるかな?あいつにも三人目を持ってもらうのも検討したいし・・・。ビースト、または大地母神クラスくらいひっかけてくれても」

 

 今、私は信彦がこいつのことを魔王と言った理由がよく分かった。

 

 発想がまさに悪魔。いや、魔王のそれだ。

 

 誰が召喚事故として送り込まれるのやら。その相方に関しては非常に悪い予感がする。

 

大魔王が相方を呼ぶ存在…怖くて聞けない。

 規格外間違いなしだし。

 

「いいから始めよう。それは後でも問題ないはずだ。それに縁ならあいつを呼べるはずだ」

 

「おっと、思考がそれたか。そうだね」

 

 そう言って信彦は召喚陣の前に。呪文を唱え、召喚されたサーヴァントは・・・。

 

「サーヴァントライダー・・・インダスカル。問おう、お前が余のマスターか?」

 

 現れたのは筋肉マッチョな暑苦しいおっさんだった。

 

『・・・・・・』

 

 表情を引きつらせる信彦。

 ポルムも予想外だったのか目を点にしている。

 

 うん、見るからに濃いわ。

 

「うわ・・・縁だけで、凄いのを引き当てたねえ。」

 

 えっ?こいつって凄いの?凄いの引き当てちゃったの?

 

「まいったな。あいつと再会できると思ったのに。一体どうして?」

 

 だが、信彦の奴だけは残念そうな顔をしていたのが・・・。

 

 

 

 

SIDE ???

 

・・・あれ?ここはどこなの?

 

 次はどこに行こうかなと思った矢先に変なところに出てしまった。

 

んん?あれ…マスターの気配?

 

 随分と久しぶりだけど、いきなり繋がりが強くなった。

 

 近くにいる?

 

 そうなると居てもたってもいられなかった。

 

 行くぞピポグリフ!!

 

 目指すは…マスターの気配がするところ!!

 

 

 

SIDE 一誠

 

 さあ、やってきた京都!!街の守りは先輩、後輩達に任せている。

 

 最近多くなってきた神器所有者による襲撃ですが・・・うん、片っ端から保護している。

 

 捨て駒にされている、または禁手化狙いなのは明らかだったからだ。

 

 まあ、並の禁手化では問題なし。皆、瞬殺できる。それだけの余裕があるから簡単に保護できるというものだ。

 

 ただ、気になる報告もある。

 

 それは・・・アギトの因子だ。

 

 最初は気の性だと思っていた。だが、たまに俺達と同じアギトの因子を持つ者が出てくるようになったのだ。

 

 強烈な超能力という形で。

 

 それに神器が加わると結構厄介。

 

 この前には二人ほどアギトに覚醒した者もいた。早急に無力化し、保護しましたが。

 

 うちのメンツ・・・対アギトにも熟している。

 

―――――敵の中にアギトがいたことを気にしているのか?

 

 ああ。その通りだ。神器を持つアギトは俺達だけじゃない。それは分かっていたはずだけど、実際に敵として出てくると・・・。

 

「・・・腕が鳴るな」

 

 その懸念に対してゼノヴィアが獰猛な笑みを浮かべる。

 

「そうだね。ずっとそのことを想定して修行していたから。不謹慎だけど、この間の奴じゃ、ウォーミングアップにもならない」

 

 木場まで!?

 

「ふふふふふ・・・最大の味方が何かしらの都合で敵に回る、そんなことを想定して損は今までなかったわ!!」

 

 イリナの言葉に修学旅行に来ていた俺の仲間達は一斉に頷きやがる。

 

――――・・・あの時、こちらがてこずった理由が良く分かった。

 

 こっちは暴走した時のことを覚えていないが、ゴジラは俺の仲間達に相当苦戦させられたらしい。圧倒的な力を持っていたのにも関わらず。

 

 ゴジラのコメントがあいつらの備えが間違っていなかったことの証明になる。

 

――――この世界なら、あいつも死なずに済んだのかな?

 

 そんなことをホロリと漏らす。

 

――――・・・また飲もう。付き合うぞ。同族を失った悲しみは癒えるものではない。

 

――――悪いな。

 

 そんな感じでドライグとゴジラの仲はかなり良好なのです。

 

――――酒に酔う・・・うん、悪くない。この世界は本当に悪くない。

 

 怒りの化身たるゴジラさん。その裏には多くの悲しみを抱えている。

 

「…しんみりしたところで悪いがよう、ホテルに入った後に、さっそく向かうんだろ?」

 

 相棒達のやり取りからくるしんみりとした流れを変えてくれる弦太郎。

 

「うん。鋼兄もそれでいい?」

 

「早く会いたいからな。その居候を確認して安心したいのだ」

 

おいおい、だから居候が俺の幼馴染と決まったわけじゃ・・・。

 

「・・・ホロリ」

 

 ポルム。何で見ていられないと言わんばかりに顔を背けていやがる。

 

 すげえ嫌な予感がする。

 

「…さあ、ポルㇺ。そろそろ吐いてもらおうか?」

 

 そろそろ聞いてもいいだろう。

 

 こいつが裏で色々と動いているのは知っている。この修学旅行においてもそうだ。

 

 何かを調べ、対策を取っている様子だ。

 

「…この京都に何がある?そして、何が起ころうとしている?」

 

「ふう。流石イッセー。我が最高の同志だ」

 

 あえて放置していたのは、こいつのことを信じていたからだ。

 

 どのような策略を練っても、俺達の為に動いている。

 

 それが分かるのだ。

 

 だが、そろそろ聞いておいた方がいい気がした。

 

 なんかシャレにならないことに巻き込まれつつある。

 

「逆に質問だけど、どうして今になって聞いてきたの?予測が正しいのなら・・・」

 

 ポルㇺは本当に鋭い。

 

「察しの通り、本能が警告を発し始めた」

 

 アギトの本能が発する警告。未来予知に近いものがある。

 

「そして、俺達のスマホに変なアプリがあったんだけど?」

 

 ちなみに俺のスマホは…それ単独がトランスフォーマーだったりする。

 

 世界最高の性能を誇ると断言できるぜ!!

 

 何しろスマホそのものが生きているからな!!

 

 そこに問答無用で変なアプリが追加されたのだ。

 

「う~ん。やっぱりか、説明をするにいいタイミングと言ったらそうか。まあ、簡単に言えば・・・」

 

 その時、京都駅で爆発が・・・。

 

「・・・事件に巻き込まれることはどうあがいても確定事項だった、ってなわけなの。その対策を練っていた。でも、説明に時間が足りない。はあ・・・何故か予想外に巻き込まれるタイミングが早すぎて」

 

『・・・・・・・』

 

 他の連中の視線が俺に突き刺さる。

 

 天然のトラブル引き寄せ体質になりつつある俺に。

 

・・・ああそうかい!!

 

 ヴァ―リが肩をすくめながらディバイディングウィングを展開。

 

「やっぱり、俺達の修学旅行は普通じゃないな。これはこれで退屈しないよ」

 

 そんな悲しいことを言うなや。

 

「常に覚悟は必要」

 

「準備も常に万全。認識阻害も問題なしと」

 

「仕方ないよね」

 

「イッセーの為にタイマンはってやるぜ!!」

 

 他の皆もすっかり慣れてしまって・・・。

 

「・・・同志。泣いているのかい?」

 

 いいや、空が青くて、それが染みるだけ。

 

 どんな事件が起こっても動じず、一緒にいるから仕方ないと言ってくれる皆に申し訳ないやら、嬉しいやら、頼もしいやら、悲しいやらでもう・・・。

 

ああ、雨が降ってきたのかな。目元に水滴が・・・。

 

 空が青いのに雨って…狐の嫁入りだあ~。

 

 はは・・・その水滴が海水みたいにしょっぱいや。

 

「…強く生きろ」

 

「お前に怒るのだけは止めてやる」

 

 ふっ、ネロ、鋼兄・・・その優しさが更にしみるぜ。

 

 心にな!!

 

―――――それこそ今更だろうが。

 

――――――まったくだ。

 

――――――昔からの因果じゃないの

 

―――――犬も歩けば棒に当たる的な・・・

 

 うん。分かっているさ。はあ、まだまだ平和は遠いな・・・。

 

「後で詳しい説明・・・ってうお!?」

 

 そこまで言って、おぞましい化け物が次々と現れる。

 

「なんじゃありゃ・・・」

 

 感覚からして、ろくでもない類なのは分かった。あれは邪悪な何かだと。

 

「・・・海魔の類だね。ちぃ、向こうはヤバい奴を呼んでいやがったか。多分、キャスター。それを使役するとなると・・・」

 

 ポルㇺが忌々しそうに告げる。

 

「…それに混じってあれがあるか。ほう・・・。」

 

 だが、気持ち悪いモンスターに混じって別の何かがいることに気づき、あいつは笑った。

 

「ようやく目的の物が見つかったよ」

 

 あいつの背に出現するジスの翼。

 

「だが、まずは倒さないと」

 

「ああっ!?」

 

 そこで謎の連中が現れる。

 

 それに襲い掛かってきたのは黒い全身鎧を纏った騎士。その剣を俺はとっさに籠手で止める。

 

「・・・なんだこいつは?!」

 

 何か分からない。だが・・・強い!!

 

 アギトの本能に対抗できる何かがある。

 

「…分かっていたけど、やっぱり皆はサーヴァントとまともに戦える領域だったか」

 

 俺はドラグセイバーを召喚。それも二本。それで対抗する。

 

 だが純粋な剣技だけなら・・・あいつが上か!!押され始める。

 

 あの剣がすごくヤバいのは感じている。まともに切られた瞬間に俺の全身が消し飛び死んでいる光景を幻視してしまうほどに。

 

 変身したいけど、その暇が・・・・ぐうう、おっ、押される!!

 

「って・・・イッセーがヤバい!!」

 

 ポルムがそう悲鳴を上げた瞬間であった。

 

 気を利かせたのだろう。トランスフォームした俺のスマホがアプリを起動させたのだ。

 

「・・・って、まさかこの土壇場で召喚!?」

 

 それと共に俺の側に赤い魔方陣展開され・・・。

 

 そこから現れたのは全身鎧の・・・。

 

「俺は赤のセイバー・・・戦闘中かよ!?」

 

 騎士だった。

 

「・・・しかもこの太刀筋・・・まさかテメエは・・・。」

 

 女性の声だったが、その際どうでもいい。

 

「よし!!」

 

 その騎士が攻撃を止めてくれたおかげでほんの少しだけ、変身の為の時間が稼げた。

 

「変身!!」

 

 進化を重ねた紅のアギトの姿へ。

 

「・・・って、その姿・・・」

 

 黒い騎士に向かって殴りかかろうとして・・・あいつは後ろに飛び退く。

 

「ありがとう。おかげで助かった」

 

「まさか、今度のマスターが‥・アギトだと?」

 

「マスターとか・・・なんだ?使い魔みたいなもんか?」

 

「召喚そのものがイレギュラーなのか?なんでサーヴァントのことを知らない?」

 

――――…まさか、お前は・・・

 

 だが、ドライグの奴が酷く驚いている。

 

「・・・まさか、ドライグ、二天龍の片割れ!?どうなってんだ!?」

 

 どうやらお互いに色々と知らないことが多すぎる。

 

「…ポルム」

 

「分かっている。後で説明するから。そろそろ他の皆のも起動させようか」

 

「・・・なんだこいつは?」

 

「・・・怯えることはない」

 

「・・・わお、そっちもまたとんでもない奴を呼んだねえ」

 

 ヴァ―リの側にいるのは髑髏の鎧に大剣の男だった。

 

 なんかこう・・・背筋が寒くなる。死の化身がそこにいるようで・・・。

 

 それを見たポルㇺが目を点にさせている。

 

「なんで初代様を・・・」

 

 その単語が何を意味しているのか分からない。だが、ヴァ―リは色々と気に入ったようだ。

 

「じいになってくれ」

 

 なんかあいつにじいになってくれと言い始めたし!!

 

「・・・ほう。豪な者達が揃う戦場よな」

 

 って、なんかもう一人?

 

 うわ・・・すげえ美人。タイツの上からでも素晴らしいおっぱいが分かるぜ。

 

 それで、なんで二槍流?

 

 しかも、この人もなんか凄くゾッとするものを持っているような。

 

「・・・・・・この人達の運命力・・・舐めてた。今度は影の国の女王ですかい」

 

「どうやら、私を殺せそうな者達ばかりよな。そして久しいの、ポルム」

 

 どうやらポルムの知り合いらしい。

 

「は~い。なんで貴方が召喚されてしまったのか、原因は分かっている。これは異常事態。この聖杯大戦後に向こうに救援でも送るよ。・・・友もいることだし」

 

 ポルㇺが深くため息を付きつつ皆を見る。

 

「・・・なんだこいつ?魔界の悪魔の気配もするが」

 

 ネロと鋼兄の側に現れたのは牡牛の角がついた鎧で全身を覆い隠した男。手には大剣。

 

「・・・ネロの縁で何故アヴェンジャー?其れも正体がこっちも分からないし」

 

「・・・嘘だろ」

 

「???」

 

 ゼノヴィアを見て頭を抱えるのは金髪の男性。ゼノヴィアがデュランダルで戦おうとした時に呼ばれた存在らしい。

 

 手には同じデュランダル。

 

 表情を引きつらせながら良太郎は「ひっ、久しぶりです」って言ってやがるし。

 

「そっちはセイヴァ―?真名は・・・げえ・・・そりゃ頭抱えるわ」

 

 良太郎からイマジン達が飛び出し、大騒ぎでデンライナーに向かっている。

 

 連絡しないとハナさんに殺される?なんでさ?

 

「・・・私はマルタ。ただのマルタよ」

 

「はわわわ!?マルタって・・・」

 

 アーシアの目の前には…うん、スタイル抜群、それでいてすげえ美人な女の人――マルタさんがいた。

 

「・・・でやがったな。筋力詐欺の祈り=鉄拳聖女・・・」

 

 と言った瞬間にポルムの顔面に拳が?!

 

 凄まじい勢いで殴り飛ばされるポルム。それを見て唖然とする皆。

 

 この人・・・神の拳を持っている。

 

「・・・挨拶はこれくらいでいいかしら?」

 

 ポルムの心配?

 

 爆炎と共に復活してくるのだから問題ないだろ?

 

 皆もポルㇺの復活芸に慣れてきた。

 

「痛たたた…やっぱり、あいつに通じる拳を持っていやがる。反応することすらできん。しかも、覚えているということは、こちらのことを座に刻んでいたか。それもルーラーか。やっぱり異常ということか」

 

「ふん、今度悪さしても対策できるようにね。今度こそ神の祈りを堪能させてあげるわ。」

 

「いやいや、あなたの祈りは勘弁」

 

 本当に聖女?いや、魂そのものは確かに聖女らしい清らかさを感じる。アーシアやキリエさんに通じるものがある。

 

 でも・・・拳の強さがなんか違う。

 

「何か文句でも?」

 

 なんでもありません!!

 

 うん。姐さんと呼ぶことにしよう。それが色々な意味で適切だ。

 

 聖女だけあって、その辺の勘の良さは神がかっている。

 

「ゴールデンだぜ!!」

 

「黄金だ」

 

「黄金ね」

 

「しかもマサカリ?」

 

「サングラス?」

 

 なんやら更に存在だけでも濃い奴がやってきているのは気の所為かな?

 

 んン?あの黒の騎士が慌ててこの場から去っていく。

 

 この姿なら圧倒出来たと思うのに。

 

「さて、ポルㇺ。説明を」

 

 ちなみに戸惑いながらも変な怪物達は一掃しておいた。

 

「・・・んん?」

 

 だが、まだ終わりというわけではなさそうだ。

 

「…どうやら別に襲われている連中がいるか。結界は張っておく。最悪、記憶操作もするから」

 

 それだけ聞けば十分だ。

 

「…悪いが付き合ってくれ」

 

「・・・はあ、随分お人好しなマスターだな」

 

 その騎士はため息を付きつつ付いて来てくれるようだ。

 

 だが、一つだけ訂正しておこう。

 

「イッセーだ。そう呼んでくれ。そっちはなんていう?」

 

「・・・えっ?セイバーだが・・・」

 

「それは名前じゃねえだろ?」

 

「ああいや、同志。真名は重要な・・・」

 

 そんなの関係あるかい。何となくだが、役職名で呼んでいるようなもんだろうが?背中合わせるなら名前くらい知って、呼ばないと。

 

「・・・モードレッドだ。」

 

「へっ?あっさり名前を教えた?」

 

 へえ。モードレッドていうんだ。

 

「よろしくな!!」

 

 そう言って俺は拳を突き出す。

 

「?」

 

 戸惑うモードレッドに握り拳を作るように促し、俺は弦太郎から始まった友達の証をする。

 

 拳を上下にぶつけ合い、最後に握手。

 

 これで何かが繋がった感じがある。

 

 始めは驚いた様子だったが、友好の証だと察してくれたようだ。

 

 心底呆れた様子を見せる。

 

「・・・お前変な奴だな」

 

 まともじゃ神の後継はやっていられないので。

 

 その言葉に他の皆が苦笑しながら頷くのは納得できないがな!!

 

 こうして、俺達は現場に向かっていく。

 

 ロズヴァイセさんと一緒に。

 

 

 

SIDE タケル

 

 ついにやってきた修学旅行。ああ・・・生きていることは素晴らしい。

 

「お前な・・・」

 

 ノクトと京都駅で自由行動が開始されようとした時だった。

 

「・・・お前達・・・逃げろ」

 

 ライトニング先生が緊張した面持ちである方向を見ていた。

 

「逃げろって・・・?」

 

 悲鳴が聞こえてきた方向には・・・怪物がいた、

 

 伝わってくるのはこの世に存在を許してはいけないという明白な邪悪さ。

 

「・・・ったく、なんで京都に到着して早々・・・」

 

 怪物が人を襲うとしている。

 

 逃げろと先生は言った。確かにそれに従う。

 

 襲われた人の方向へとね!!

 

 ヒトデみたいな奴の体を殴り飛ばし、その人を逃がしたのだ。

 

 だが背後から別の奴が襲い掛かってきて・・・。

 

 銃声と共に爆ぜた。

 

「・・・はあ、逃げるわけないか」

 

 先生が諦めた様子でいつの間にか手にしていた銃を下す。

 

「それが英雄であるお前なのだからな。まったくじいさんもいい魂に目を付けたものだ」

 

 今はそんなことはどうでもいい。

 

 こっちは眼魂を取り出し・・・

 

 また背後から別の怪物が!?

 

 そう言った瞬間、怪物が粉々になる。

 

 瞬間移動したノクトの剣で。

 

「へっ?えっ?」

 

 訳が分からない。今のは明らかに普通の人間が使う技じゃない。

 

「・・・何がどうなっているのかこっちはさっぱり分からねえけど、やるべきことくらいは分かっているつもりだ」

 

 ノクトの手に現れるのは・・・エムさんと同じベルト!?

 

 一体どこから取り出した!?

 

「君は・・・」

 

「それはこっちのセリフでもあるが、詳しい話は後で」

 

 そして、ノクトの手には・・・ガシャットが。

 

―――――finalfantasy15!!

 

 ・・・そうだね。難しいことを考えるのは後回しだ!!

 

――――――バッチリミナー!!!バッチリミナー!!

 

『・・・変身!!』

 

――――――覚悟!!ゴーゴーゴ、ゴースト!!

 

――――――アイム カメンライダー!!

 

 揃って変身する僕達。

 

 ノクトが変身したのはエム先生が変身するエグゼイドを黒くした感じ。だが、ゲンムとは違い黒いジャケットのようなものを羽織り、髪のような部分もノクトに近い。

 

 ノクトの変身・・・いきなりレベル2からなんだ・・・。

 

 それに変身ってことはバグスターウィルスの・・・。

 

「先生こそ下がって。こっちは僕達が」

 

「安心しな。最速タイムで、クリアしてやるぜ!!」

 

 決め台詞・・・エム先生に似ている。

 

 やはり関係者・・・だよね。

 

「・・・ああもう。お前もそうだったのか」

 

 ライトニング先生が何やら疲れた様子を見せる。

 

「凄い連中の担任になったもんだ。ああ…安心しろ。こっちは専門家だ。来い・・・シャインウイング!!」

 

 鏡から大きな鳥が現れる。大鷲を模したようなモンスターだ。

 

「そして・・・来い、オーディン!!」

 

 先生の背後に光の粒子と共に鎧兜姿の男が現れて・・・。

 

「バグスターだと・・・?じゃあ、先生は患者?だが、そんな気配は・・・」

 

 取り出したのはガシェット!?

 

 もう片方の手には大鷲が描かれたバックル?

 

――――finalfantasy13!!

 

「変身」

 

 背中に大鷲の翼を模したマント。そして、白い羽を模したアーマーを纏った仮面ライダーが降臨する。

 

「仮面ライダーサーディーン。魂はきちんと冥界に導いてやるから安心しろよ」

 

 白い羽があちこちに舞いながら先生は敵を次々と切り裂く。

 

 強い・・・とは思っていた。

 

 でも、この動き。間違いなく歴戦の戦士。

 

 どれだけの死線を潜ればこんな動きが・・・。

 

 敵の方を振り向かずに斬ったり・・・おお・・・手から炎が!?

 

 敵があっという間に火の海の中に・・・

 

 それを背に先生はこちらを見る。

 

 仮面で表情は分からない…でも何となく分かってしまう。

 

 絶対にドヤ顔になっている!!

 

「これでも逃げろと?」

 

 まだまだ余裕みたい。

 

『・・・・・・・』

 

 でも反論できず。

 

 単独で敵を殲滅ですから。

 

 いや、マジですいません。

 

 と言っている間に新手がやってくる。

 

「とにかくこいつらを倒すぞ」

 

「うん」

 

 僕達は敵を全滅させる為に動き出す。

 

「きゃああああああぁぁぁぁぁ!?」

 

 その時、聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

『って・・・はくのん?!』

 

「岸波だと?ちぃ!!」

 

 悲鳴が聞こえた方を見ると・・・変な怪物達がはくのんを襲おうとして・・・。

 

 空間に現れた黄金の波紋。

 

 そこから放たれた無数の武器に貫かれる敵の姿だった。

 

「・・・へっ?」

 

 彼女の周りに現れるのは無数の・・・眼魂!?

 

 色は・・・白、赤、紺色、黄金、そして…虹色?

 

 他にも三つあるぞ?色はわからないけど・・・。

 

「???」

 

 はくのんは訳が分かっていないようだ。

 

「この子は一体何の英雄に・・・?」

 

 これだけの英雄に愛されている、心を通わせているというのか?

 

「…どうやらお前も無関係じゃないな。まったく…なんでこう次々と・・・」

 

 僕達が戦っている中、うじゃうじゃと別の怪物達が現れる。

 

「悩んでいる暇はないか」

 

「はくのんは下がって」

 

「ここは俺達がやる」

 

「へっ?えっ?その声…先生に、ノクトに…タケル君?!」

 

『・・・・・・あ・・・・』

 

 しまった~!!なんで正体ばれするようなことしちゃったのかな!?

 

「・・・これもこの異常事態が悪い。言い訳は後で考えよう」

 

 こういう時の先生の開き直りっぷりは頼りになる。大変男らしくて素敵だ。

 

「・・・・・・最悪記憶を失くせばいいしな。術が効かなくても物理的に何とかなる」

 

 訂正!!小声でとんでもないことを言ってます!!

 

 この人本当に先生!?いや、一応こちらの担任なんですけど。

 

――――見事なり!!その開き直りっぷりに敬意を払うぞ!!

 

 どこからともなく変なおっさんの声が聞こえてきて・・・え?

 

『・・・・・・・・。』

 

 自分達は夢を見ているのだろうか?ああ…いや、こっちの存在や体験したことも大概おかしいのは自覚しているよ?

 

 でもね。まさか怪物達が・・・・。

 

 空を翔る牛に惹かれた戦車に爆雷と共に次々と引き消されていくだなんて・・・。

 

『・・・・・・。』

 

 他三人も現実を受け入れるのに少し時間が掛かっているようだ。

 

 その時間が割と致命的だから、いったん開き直った方がいいよ。

 

 こっちは慣れたから。一秒くらいで立ち直れる。

 

 ・・・・・・いや、訂正。こっちもまだまだだ。一秒も掛かってしまった。

 

 もっと早く立ち直らないと。

 

「・・・はあ。流石は神秘の国。最新にして最強の人外魔境を抱える国だ」

 

 むしろ先生の発言の方が気になる。何?最新にして最強の人外魔境って?

 

 この国、そんなにおかしいの!?

 

「本来なら名乗るのが筋だが、今回はできん。マスターがそうお願いしてきたのでな!!」

 

 豪快に敵を引き倒しながらおっさんは走り去っていく。

 

「ちょっと!?なんだあいつ!?」

 

「・・・あれはまさか・・・征服王?そんな・・・でも、あの宝具は・・・」

 

 その後ろから赤い仮面ライダーと銀色の仮面ライダーがやってくる。

 

「・・・敵じゃねえよな?こいつら倒してくれたし」

 

「…断言はできませんね。まあ、危険ではないと考えてまずはそちらの・・・」

 

 そのうち銀色の仮面ライダーとライトニング先生の視線が重なり、二人とも固まる。

 

「報告で聞いていたが、本当にアギトになったんだな」

 

「ええ。たぶん、そっちも覚醒する可能性が高いかと。それでどうしてここに?」

 

 二人はどうも知り合いらしい。

 

「こいつらの担任だ。爺さんに頼まれてな」

 

「あらら」

 

「それで、そっちの方はどうだ?お前が選んだ勇者っていうのは・・・」

 

「ああ・・・ちょうどいいです。一緒に来ているので紹介します。イッセー?」

 

「・・・?」

 

「・・・そうか、噂の神の後継。紅のアギトということか」

 

 赤い仮面ライダーも変身を解く。

 

「あの…この方は?」

 

「紹介します。ライトニング。私の姉です」

 

「うん。妹が世話になっているな。うむうむ・・流石というか、お前の選んだ勇者だけはある。文句つけようがない」

 

「・・・・・・・・」

 

 姉いたの?って顔をしていますよ?

 

「ちなみに妹もいます。セラっていうのですけど・・・」

 

 妹までいんのかい!?って表情だけで語っている。

 

 感情表現豊かといううか・・・かなり器用な顔面だね。

 

 分かり易くて逆に困るよ。

 

「私はロセほど強くないぞ?」

 

 先生がそう肩をすくめるが・・・。

 

「イッセーさん。姉さんはヴァルキリーの、いや、北欧神話では近接戦最強ですから。トール様やお父さんすら圧倒してみせ・・・」

 

 北欧神話・・・近接最強?

 

「ロキをぶちのめせなかったのは今でも悔いている。あいつ・・・今度姿見せたら、十回は殺してやる。ロセを一度殺してくれたお礼参りをしたいから・・・」

 

 あのイッセーって人も軽く引いてる。

 

 せっ、先生ってシスコ・・・かなり妹想いですね。

 

 えっ、シスコンって言おうとして先生がこっちを睨んできたから言い直したわけじゃないよ?

 

 イッセーって人も同じく睨まれて冷や汗かいているけど、同じこと考えたのかな?

 

「何か言いたいことがあるのかな?」

 

 ・・・・・・・その視線に殺気を超える恐ろしい何かを感じました。

 

「・・・それで?一体何が起きている?お前なら何か知って・・・」

 

「大魔王曰く…聖杯大戦だと」

 

 聖杯大戦という単語に先生が天を仰ぐ。

 

「大魔王って、例のあいつか。ってことはあれって、サーヴァントの誰かが召喚してきやがったということか」

 

「海魔の類。その時点で私も敵のサーヴァントが誰か分かりましたけどね」

 

「・・・流石北欧神話最強。歩くラグナロク」

 

「私がラグナロクなら姉さんは歩くアインヘリアルじゃないですか」

 なんだか物騒な二つ名が聞こえてきましたよ?

 

 この場に居ない妹さんには変な二つ名はありませんよね?

 

『・・・・・・・・』

 

 何故そこで無言!?

 

「いや・・・セラはその・・・巫女だから」

 

「うん・・・あの二人一緒に・・・ははは・・・」

 

 なんか他に二人の関係者がいるらしい。

 

 イッセーと呼ばれた人も凄く気になっている様子だ。

 

 なんだろう…この人とは凄く仲良くなれる気がする。

 

――――――・・・あなたまで来ていたの?

 

 イッセー君と呼ばせてもらおうか?その彼の背中の影から一体の龍が姿を現した。

 

 それと共に先生の背後からも先ほどの白の大鷲が姿を見せる。

 

 なんだこいつ・・・?

 

―――久しぶり。

 

―――北欧神話も大概ね。私達の進出は順調なようで

 

「…まあ敵じゃないのは分かったし、変身解こうよ」

 

「そうだな」

 

 僕とノクトは変身を解く。

 

 そして・・・イッセー君の表情が変わった。

 

「・・・・・・」

 

 ノクトを見て唖然としている様子だ。

 

「んん?なんだ?人の顔を見て・・・んん?」

 

 ノクトの方も何やら首を傾げつつ、反応が変わってくる。

 

「そういえば、お前・・・どこかで・・・」

 

「・・・そうか。まだ記憶が完全じゃ・・・そうだ!!」

 

 どこからともなく彼はハンコを取り出す。

 

 それが光を放ち・・・ノクトの足元に何かの紋章が浮かび上がり・・・。

 

「…ッ!?」

 

 ノクトが苦しそうに頭を押さえてうずくまる。

 

 って大丈夫かい!?

 

 慌てて駆け寄るが、ノクトはすぐに手で制し、立ち上がってくる。

 

「・・・・・・ったく、あの時のハンコにこういった意味があったんかい!!」

 

「わりぃ、実は帰ってきてから知った」

 

 ノクトが深い溜息をつきながらイッセー君と気心の知れたやり取りを始めたのだ。

 

「・・・ああもう、そうかい。なら感謝するしかねえだろ!!」

 

「…また会えて嬉しいぜ!!ダチ公!!」

 

 二人は拳を突き合わせ、上、下、って…それはフォーゼの彼がやっていた・・・。

 

「本当に・・・・良かった・・・死に別れるなんてことしちゃったから」

 

 涙腺崩壊レベルで泣きまくっている彼。

 

 その前に死に別れるってなに!?

 

「・・・おう。おかげで楽しい第二の人生を送らせてもらっているわ」

 

 そんな彼にノクトは気安い様子で笑いかける。

 

『???』

 

 なんだか感動の再会らしい。だが、そろそろ二人ともいいかな?

 

 僕達に詳しい説明をしてほしいんだ。

 

 分からないことばかりだから。

 

 

 

 

 

 

 

SIDE イッセー

 

 

 まず、ホテルの一室で俺は新たなダチを紹介する。

 

 生死を超えて再会できたノクトこと・・・ノクティスだ!!

 

『・・・・・・』

 

 そう紹介した瞬間、一斉に皆は白目をむいていた。

 

 安心しな。俺も、皆の立場なら同じことをしていたから!!

 

「・・・幼馴染の出現。それもあの新たな神滅具による初の転生事例。濃い・・・相変わらず濃すぎるぜ・・・」

 

 アザゼル先生の嘆きが全てだ。

 

「…既に手遅れ。別の幼馴染の登場とは・・・しかも転生してきた奴・・・ふっ、イッセーの運命力をまだまだ俺達は舐めていたようだな、大魔王さん?」

 

「こちらも予想外だった。うん。しかもなんで月のマスターまでいるのさ。ああもう・・・想定外にもほどがある」

 

 同じく頭抱えているのはポルㇺも同じらしい。

 

「・・・流石は我が同志。いつもこちらの想定を軽く上回ってくる。だからこそ面白いのだけど」

 

 そんな感じで話は始まる

 

 簡単に聖杯戦争というシステムを教えてもらい、それぞれサーヴァントがどういう存在がも知る。

 

 世界に登録された存在というだけでも驚きだ。

 

 維持するに魔力が必要なことを鑑みて、二人で一人のサーヴァントと考えていたらしい。

 

 まず祐斗とユウナが召喚したのがランサー・・・スカサハ。影の国の女王にして神殺しらしい。

 

 う~ん。スタイル抜群。いいおっぱいをして・・・っておおおっと!?

 

「・・・不埒な奴を懲らしめようとしたのじゃが・・・今のを避けるか。かなり進化したアギトのようだ」

 

 いきなり槍を分投げられました。かろうじてかわしましたが。

 

 ちなみに英雄の師匠としてもかなり有名らしい。

 

 イリナと弦太郎が召喚したのはバーサーカー・・・なんと金太郎。

 

 だが、金太郎?こっちが知っている金太郎とまったくイメージが違う。

 

 金髪にサングラス、ムキムキの筋肉など・・・

 

 かろうじて原型があるのはおかっぱの髪型だけだ!!!

 

 そんなツッコミどころを除けば、大変愉快な奴だ。

 

 あそこで弦太郎とすっかり意気投合している。

 

 アーシアとキリエさんが召喚したのは・・・ルーラーらしい。名前は聖女マルタ。

 

 祈りで龍を鎮めたらしい。

 

 ・・・・・・。

 

 祈り=鉄拳のような気がしてならない。

 

「そうそう。いい拳しているわね、あなた・・・」

 

「はい!!ありがとうございます!!」

 

 って、さっそく悪影響が!!ちょっとマルタさん!!うちのアーシアに変なことを教えないでください!!

 

 聖拳突き?そんなものを教えたらアーシアまでもがおかしくなっちゃう!!

 

 背後のスタンドも同じことをしているし!!

 

 へっ?今でも十分おかしい?

 

 そんなことは・・・・・・ないよ?まだ癒し系だし。

 

 

ーーーーこの世界の女神だし?

 

 そうだ!!おかしくないだろ!!

 

ーーーいや、十分おかしいぞ

 

ーーー俺でも分かる

 

 あーあ―聞こえない!!

 

 相棒達が現実を突き付けてくるなんて気の所為だ!!

 

「ふふふ、逸材を見つけたわ」

 

「あ・・・あら?」

 

 キリエさんは悪影響なさそうだけど。

 

―――覚えておけ。ドラゴンだって逆らってはいけない存在くらいはいるということを

 

―――この世界の人間はどういう体の作りをしている?

 

―――あは…あははは・・・これは凄まじいわ。ドラゴンライダーなんて。

 

―――仲良く・・・したいかな?

 

 うちの中のドラゴン達も興味深々だし。

 

 ゼノヴィアと良太郎が召喚したのはセイヴァ―らしい。

 

 名前はローラン・・・。

 

・・・・・・・。

 

 って、まじかよ!?

 

 ゼノヴィア、自分の実の父親を召喚してしまったんかい!!

 

 本人はそのことを知らないみたいだけど・・・

 

「・・・久しぶりだな」

 

「・・・はい」

 

「この世界って、再会にあふれている」

 

 急ぎ来たハナさんが涙流しながら抱きついているし、良太郎に至っては遠い目をしながら振り返っている。

 

「・・・そして、そうか。この子が・・・」

 

「うん。はあ・・・どうしよう。これは・・・」

 

 ゼノヴィアは知らない。目の前に実の父親と母親がいることに。

 

 とんでもない爆弾だぞ?これ・・・。

 

 ネロと鋼兄が召喚したのはアヴェンジャー。名前は全く分からず。

 

 ポルㇺですらも首を傾げているのだ。

 

「魔界の悪魔・・・なんだよな?」

 

「それでいて、ネロか鋼鬼と縁がある?しかも復讐者?誰だ?」

 

「・・・しかたねえ。後でダンテに聞いてみる。あいつなら魔界の悪魔に詳しいから何か分かるはず・・・」

 

 魔界の悪魔だけあって、おそらくネロ関連だと思うけど・・・

 

「エクストラクラスが三つの時点で異常だよ。まったく・・・」

 

 ポルㇺは心底ため息をついている。

 

「規格外と言ったらヴァ―リもそうだけど・・・」

 

 ヴァ―リが召喚したのはアサシン――初代ハサン、キングハサンと呼ばれる存在らしい。

 

「じい。もっと色々と聞かせてくれ」

 

「うむ・・・」

 

 すっかり殿様とじいの関係になっているけどな!!

 

「・・・何も媒体を用意しなかったらこうなるか。恐ろしいよ。皆の運命力は」

 

 それでこっちが召喚したのがセイバー・・・モードレッドだ。

 

 円卓の騎士にして、叛逆の騎士・・・なんだけどなあ・・・

 

 なんか相性がいい。

 

「…いや、それはお前が異常なだけだぞ?」

 

 そうか?お前となら上手くやっていけそうな気が・・・

 

「・・・・・・こいつ、どんなカリスマを持っている?」

 

 一応女扱いは止めてくれと言われている。

 

 その理由は…まあ、なんとなく察している。相棒が色々と教えてくれたから。

 

「・・・赤と白…お前達が揃っていることが既に異常だ・・・」

 

 モードレッドはなぜか疲れた様子を見せる。

 

「・・・まあいい。気のいいマスターを得られたと思うことにするわ」

 

 直ぐに気を取り直してくれたけど。

 

「さて…既にこちらの陣営ではライダーとしてあいつも呼び出してある」

 

「・・・っ征服王ですか」

 

「流石。その通り。そのマスターもこちらの陣営だ。また機会があったら会わせるから安心したまえ。だが、まだアーチャーとキャスターがいない。おかしいなあ・・・一応こちらの陣営は基本的なクラスは召喚済なはず。あっ、いや、なぜかセイバーとアーチャーが他にも召喚されている。何がどうなっている?」

 

 首を傾げるポルム。

 

 まだ三人はいるらしい。

 

 とりあえずはその辺は置いておくことにしてポルㇺは事件のあらましを説明してくれる。

 

今回は久しぶりに禍の団が関わっている案件らしいのだ。

 

 久しぶりか・・・、前の事件があまりに濃かったからそんな感じになってしまう。

 

「異世界からやってきた聖杯。それを英雄派は利用し、ある実験を行おうとしている。それはきっとイッセー、君にも関わりがある」

 

 英雄派。

 

 前の事件で旧魔王は壊滅的な被害を受けたらしい。どうも、冥界を滅ぼすべく用意した大軍勢が・・・一瞬で壊滅いや、消滅だったか。

 

――――――ふん。そんな奴らのこと覚えておらん。

 

 ゴジラさんと俺の所為でな!!

 ちなみにこっちも覚えていない。

 

「・・・普通なら、お前さんに挑もうとしないだろうがな。俺だって嫌だぞ?冥界を壊滅できるだけの軍勢を一瞬で壊滅させた相手なんだから。いや、ポルム、これは向こうからしても事故だな?」

 

「察しの通り、修学旅行先がここに決まっていたのと、その下見で色々露見したから、遠隔の魔術で召喚に介入した者のも、そしてその結果、同志が参戦してしまったことも向こうからしたら想定外もいいところだろう。修学旅行の情報は隠ぺいしていたから、今頃向こうは大慌てだろうね・・・ふはははははは!!いや~愉悦だよ!!」

 

『・・・・・・・。』

 

 何やら皆の同情の眼差しが背中に突き刺さるぜ。

 

 後、ポルㇺ、お前確信犯だな。

 

「だがもう一つ。英雄派の幹部は皆神器。それも上位、又は神滅具持ちだ。魔獣創造で作られたモンスターも確認している。その上・・・」

 

 ポルㇺば言い淀むが、何となく分かった。

 

「・・・アギト・・・なんだろ?」

 

「・・・分かってしまうか。まあ、最近街にやってきた連中も英雄派と気づけば、答えは出るか」

 

 当然だ。敵の中にアギトの因子を持った奴らがいた。

 

 そして、そんな奴らをまとめ上げるとしたら・・・アギト、またはそれに準する何かを持っていないとおかしい。

 

 つまり・・・敵は神器。それも俺とヴァ―リと同じく。神滅具を持つアギトということだ。

 

 これは手強い。

 

「でも、その聖杯は汚染。いや、中に何やらとんでもない化け物が封印されているので、発動させるのはヤバいと」

 

 ほぼ情報は揃った。

 

「向こうの陣営からの脱走者がいたねえ。ああ、安心してくれたまえ、オーフィス派だから。合言葉は「可愛いは正義」・・・」

 

 信頼の担保はそれで十分だ。

 

 あのほむらさんの一派なら信頼できる。

 

 オーフィスと母さんを大切にしてくれるあの人はこっちと敵対をやめた。

 

 味方になる理由はあっても、戦う理由はもうないからと。

 

 こっちのこともかなり気にかけてくれるのだ。

 

 ヴァ―リに至っても同じ結論らしく、視線を合わせると頷いてくれる。

 

 まあ・・・かなり変わった御方ですけど。

 

「・・・やれやれ、だが、情報そのものは揃ってやがる。せっかく俺達がこの土地で外交しようと・・・。」

 

 そういえば先生とセラフォルー様が来ているのって・・・。

 

「そうなのよ~。ツクヨミちゃんの紹介でこの土地の妖怪達との外交を。鋼鬼君達とも濃い繋がりがあるみたいだし」

 

 この土地の妖怪たちとの外交か。

 

「・・・すまないが、そこに向かっていいか?」

 

 鋼兄が険しい表情をしている。

 

「嫌な予感がする。一応すぐに向かう予定だったのだが、更に今の発言で嫌な予感が・・・」

 

「・・・そうだな。それにあそこにはもう一人いるかもしれねえ・・・いや、もう言い切った方がいいな。あそこにイッセーの幼馴染がもう一人いる!!すぐに会いにいくぞ!!どんな爆弾を抱えているのか分かったもんじゃねえ!!」

 

 先生の言葉に皆が頷く。

 

 って、あそこにもう一人いるって、なんで確定できるのさ。

 

 しかも爆弾って酷くない!?

 

「・・・いるんだよ。悪いけどそれは既に調査済で・・・」

 

 ポルム~!!

 

 そう言ったことは先に言え!!誰だ?一体誰がそこにいる!?

「・・・多分、ノクティス君と同じレベルかそれ以上の爆弾・・・」

 

 俺達はすぐにホテルを飛び出す。

 

 鋼兄と黒歌なんて悲壮な表情を浮かべているし。

 

 ごめん・・・皆。爆弾・・・否定できなかったよ。

 

―――――今回のマスター達って、なんかこう・・・愉快だな。こりゃ一緒にいて飽きそうにないわ。

 

 モードレッド。それは言わないでくれ。

 

 微妙に心が折れそうになるから。

 




 サーヴァント、ついに公開。

 考え抜きました。

 マスターは基本的に二人で一人ですが・・・この運命力を皆さんはどう思います?

 何人かは受肉させたいかと思います。

 一人は確定です。他に希望があれば・・・


 残りのサーヴァントはまた次に


 では次の更新で;
 

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