タイトル通り・・いま四人目は大幅に到着が遅れています。
その理由が明かされます。
SIDE イッセ―。
なんかほっておけない子だとおもった。
アーシアという子はとても儚い感じがしたからだ。
多くの辛いことを抱えている。そんな気がする。
でも、それでもその心はとても綺麗だ。
世間知らずともいえるが、それでもとても可愛い子だと思う。
なんかこう・・癒されます。
俺にとってどんなに些細なことであっても、感動している。
とてもうれしそうにしてくれる。
今だって、一緒に街を歩き回っているだけだぜ?
ここのところ色々あったからな。
一緒に街を見て回るだけでも十分に楽しい。
「本当にこの街って面白いところが一杯ですね。」
とっても楽しそうでよかった。
SIDE サイガ
さて・・・僕は恒例になっている危機に陥っている。
「認めたくない物だな・・・。若さ故の過ちというものは。」
『阿呆。単なる迷子じゃ!!』
道が分からん!!可笑しい。今回は地図を持ってきたというのに、何故駒王学園に着かないんだ!!?
こっちの道を右じゃなかったのか?
予定の十倍の時間を使ってようやく街にはたどりついたというのに・・。
『はあ・・・サイガ。いい加減、一人で出歩くのは止めろ。お前は重度の方向音痴なんだぞ!?』
首元でエイガがぼやいているよ。はあ・・・今度こそ克服できると思ったのにな・・・。
「というより・・・今になって気付いたんだけど、どうしてそっちがナビしてくれないの?毎回ぼやくわりには地図見ても無言だし。」
『・・・・・・・・・・・。』
エイガ・・・なんでそこでおしだまる?
私の致命的な弱点を知っているのなら、それをフォローするのが君の役目じゃないのか?
『あっ・・あのな。ホラーが人間の地図を読めると思うか?ザルバならともかく、俺はまだ魔道輪になってまだ日が浅い。』
そう言えばそうだった。こいつは私が五年前にあの力に目覚めた現場に出会って、それがきっかけで魔道輪になったんだっけ?異界の力を持つ私の行く末を見届けたいと言って。
そんな君を疑ってしまった事を許してほしい。
『・・・・すまん。それと俺も方向音痴なのだ。』
おい。私の謝罪を返しなさい。その命ごと神にかえしてやろうか?
方向音痴のホラーってなんだよ!?聞いた事がない個性を持っていやがるな君は!!
『ふふふ・・ホラーの間でも有名だぞ。どこにいるのか分からないことで。』
「それって絶対に自分自身も含まれているよな?」
『当然。それ故に流浪の賢者と言われているぜ・。』
威張って言う事じゃないでしょう!!
自他ともに現在地不明って、色々な意味で終わっている。
あっ、そう言えば私もか。
はあ・・・そうか。私達はいいコンビだ。
だが、致命的なのはお互いに重度の方向音痴。
ははは・・・無事目的地につけるかな?
これまでは何とかついたのが不思議で仕方ない。
SIDE ???
俺は元老院に呼ばれ、急ぎ向った。
わざわざ赤札で呼び出されるほどの事態だ。
そこではかつてないほど混乱しきった場があった。
騎士たちも法師達も走り回っている。
「あっ・・・・・・ようやく来てくれましたか。」
そこにはレオがいた。
「ああ。それと連絡は本当なのか?」
「はっ・・はい。今まで互いに相互不干渉を保ってきた冥界。それも魔王が・・・来ています。」
俺達魔戒騎士と魔戒法師は教会の要請でホラーを狩ることはあるが、はぐれ悪魔の討伐はしておらず、天使、堕天使、そして悪魔。天界と冥界の住人とは基本的に不干渉を保っていた。
だが・・・唐突にそれが破られた。
冥界を治める五大魔王の一人が前触れもなく元老院を訪ねてきたのだ。
「あっ・・・あの鋼牙さん。驚かないでくださいね。」
何故かレオがひきつった表情。
『おいおい、もう充分におどろいているぞ。』
ザルバの言うとおりだ。
これ以上何を驚けというのだ?
俺は元老院の中に入り、そして・・・レオが言いたかったことの理由が分かったような気がする。
「おっ・・・おお。来てくれたか黄金騎士・・・牙狼。」
「あっ・・・ああ。」
そこで上役達を戸惑わせているのはたった一人の少女であった。
しかも格好が普通ではない。何と言うか・・・
『ほう。あれが噂にきくコスプレという奴か。』
ザルバよ。お前がそんな単語を知っているとは驚きだ。
そう。彼女は俗世でいう魔法少女のコスプレをしていたのだ。名前は知らん。
街を歩いている時に横目で見た程度だが。
「へえ・・・あなたがあの黄金騎士・・牙狼なんだ。うんうん・・・確かに強いね。見ていて分かるよ。」
「・・・まっ・・まさか。こっ・・こいつが・・。」
信じたくなかった。
魔王襲来と聞いて、どんな奴がやって来たのかと俺はとても身構えていた。
だが・・・やってきたのは一人の可憐な少女。しかも・・コスプレをしている。
「ははは・・・面食らいますよね。」
レオ。滅多に驚かない俺の反応を見たかったからぼかしたのか。
『無理もない。こっちも信じられねえぜ。』
「初めまして。五大魔王が一人・・・セラフォル―・レヴァイアタンだよ。よろしく☆」
無駄に可愛い決めポーズをとる彼女。
「・・・・・・・・。」
かっ・・・軽い。
あまりにノリが軽すぎる。
威厳の欠片もない。
俺の中の魔王というイメージが一瞬にして粉砕されたぞ。
『鋼牙、気をつけろ。間違いなく彼女は魔王だ。姿、性格はともかく、馬鹿げているくらいの厖大な魔力をもっているぞ。』
「へえ・・・・素晴らしい相棒をもっているわね。」
ザルバの言葉を否定しないあたり・・・そのあたりは本物か。
「まあ・・・自己紹介はこれくらいにして。単刀直入にきくわ。あなた・・・黒龍騎士・・サイガをしっているわね?」
「ああ。俺の弟子だ。独り立ちをしたばかりのな。」
サイガ。これは異界からやってきて息絶えたある夫婦から託された子だ。
ある意味息子も同然なので、冴島の性を与え養子にした愛弟子。
何故異界かというと、身につけている物、そして彼らが残した書物・・「アバンの書」で書かれている文字がこの世界に無い別の文字だったからだ。
それを読めるサイガによって解読はできているが、これは魔戒法師にある革命をもたらそうとしているのは別の話としたい。
そんな彼はそのアバンの書にあった武術と牙狼の剣をものにしている。二つとも覚えようとしたのは、産んでくれた父と育ててくれた俺の二つを受け継ぎたいからだそうだ。
俺を慕ってくれるのは嬉しい。
でも普通ならそれが困難と言える。牙狼の剣もそうだし、説明を見る限りでもあのアバンの書の武術も相当高度だ。一生かかっても難しいほどに。
だが、二つとも五年で可能とするほど、あいつは才能があった。いや才能という言葉ですら生温いほど異常な速度で強くなっていった。
まるで戦神の末裔・・・戦うために生まれた存在と言ってよかった。
異界の呪文も次々と習得し、ある力も目覚めていた。
あれはおそらく魔戒騎士という範疇を大きく逸脱している力だ。
成長し、そのすべて解放されたら・・・世界すら滅ぼしかねない。
剣、そして鎧も其の力に耐えきれないほどの巨大な力。
独り立ちが遅れたのは、それに耐えられる剣と鎧を作るのに時間がかかってしまったからだ。
レオ・・・・本当に感謝している。あいつには特に苦労をかけた。
試作した鎧が次々と破壊されていき、絶望の果てに両手を床につける様子を何度みたことやら。
その中である結論に達したのは流石だよ。牙狼の鎧のある力を参考にして。
「あいつなら今・・・指令で出かけている。だが、すまない。居場所までは。」
『自他共に現在地不明コンビ。肝心な時までには目的に到着するのもすごいが、今どこまでいっているのか・・・。』
あいつの致命的な弱点は本当に頭痛い。
遊園地で迷子になったあいつを探すのにどれだけ時間がかかったか。
そうやったら超巨大な観覧車のゴンドラの真上で寝ることになる?
訳が分からんかったぞ。
そんな事を振り返りながら、目の前の魔王がどうしてあいつに用があるのか首をかしげる。
「もしかして、あいつが何か失礼なことをしたのか?」
「いっ・・いえいえ。そんな。むしろ助けてもらったくらいで。」
ん?
どうして、顔を赤らめる?
「あっ・・あの。サイガさんの事について教えてください。その・・あの・・・。」
しかも、かわいらしくもじもじとしている?
「ひっ・・・一目ぼれしました!!あの方とお付き合いしたくて参上しました!!」
『・・・・・・・・・・・・・。』
さて、ここで俺は今までに遭遇した事のない試練に直面したようだ。
『サイガ。あいつも中々罪深いことをするじゃないか。魔王様の心を射止めるなんて前代未問だぞ。』
あいつ・・・一体何をやらかした?
どうすれば、この色々と濃すぎる魔王の心を奪える?
確かにあいつは異性を引き付ける。
何人、若手の女魔戒法師の心が奪われていったか・・・思い出すだけでこれも頭が痛い。
ゴンザ仕込みにさりげないレディへの気遣いらしいが・・・。
ゴンザ。余計なことを教えたな。
おまけに、その本人は凄まじいほどの鈍感。よく言えば純粋なのが、本当に鈍感過ぎて。
邪美からどれだけ苦言がきたか分かっているのか?あいつは・・・。
「あの方の居場所を教えてください。冥界との交流という外交カードを切るだけの価値があるお方です。是非・・是非!!」
冥界との外交カードまで用意するほどか。
すごいことになってきた。
そこに元老院の女神官・・グレスが微笑みながら指令を告げてくる。
「黄金騎士・・牙狼よ。元老院としての指令を伝えます。この方の願いをかなえてさしあげなさい。私達としても、冥界との交流は悪いことではない。」
おい。これが元老院の指令だと?
しかも緊急指令の赤紙で呼びされたのに・・・これだと!?
元老院の騎士となってから初めてだぞ。こんなくだらない指令は。
「まあ・・・サイガとレヴァイアタン様を合わせるだけでいいのです。あとは本人が猛攻をしかけるつもりですし。すでに眷族にする許可も与えました。悪魔転生による肉体強化は彼のあの力の制御にも一役買いますし、必要に応じてこっちに力を貸すという条件も確約しました。」
「・・・・・・・。」
其の視線をむけると勝利のピースサインを出している自称魔王様がいる。
こいつ・・もしかして、元老院はすでに丸め込んでいたのか?
『無茶苦茶だが、やり手のだな。サイガの外堀を埋めにかかっているぞ。そもそも元老院を自力で見つけ出し丸めこめる時点でとんでもない奴だ。』
ザルバの言うとおりだな。これは・・・色々な意味で敵わない。
「ふふふ・・・お願いね。あっとそろそろ時間か。話しの続きはそうね・・・あなたの家でいいかな?また訪れる日と時間は連絡する。その時に詳しい話しをしよう。安心して場所はもう分かっているから。元老院のみなさん。これらゆっくりと色々と話し合いましょうね。じゃあね。」
無駄にかわいらしいポーズをとって色々と、めちゃくちゃに振り回してくれた魔王が消える。
それと同時に、元老院全体から力が抜けたように一斉に深いため息が漏れてしまった。
本当に・・・遣りたい放題やってくれたようだな。
ちなみに俺の家の事を知っていることに関してはツッコみを入れるつもりはない。
「こんなくだらない指令でもうしわけないとは思っています。ですが、あまりに魅力的な提案に乗ってしまった私達の責任です。流石は五大魔王。外交担当というべきでしょうか。」
クレスが頭を下げる辺り・・・相当うまく交渉をしたようだ。
それこそまさに悪魔の交渉。
やはりその点は魔王らしいのか?
「・・・・・・・・・・・・。」
多分、このやりとりだけで下手なホラーを狩るよりもはるかに疲れた気がする。
『鋼牙。混沌だな。』
「・・・カオルとゴンザにも話すか。」
案外カオルと意気投合しそうで怖い。
『こんなこと初めてだぜ。』
ああザルバ。俺も初めてだ。今後こういった事は二度とごめんだ。
サイガ、気をつけろ。
お前・・・凄まじい規模と速度で外堀から埋められているぞ。
だが、悪いが俺にはどうする事も・・できん!!
お前で何とかしろ。お前が撒いた種なんだからな!!
何気に凄い人が登場しております。
そして・・サイガ君包囲網は彼が知らぬ間に確実に出来上がっています。
二人の再会はまだ先ですが、日がたつにつれて確実においつめられていきます。
本人が気付いた時にはもう後の祭りです。