赤龍帝の幼なじみ達   作:THIS

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 お待たせしました、連続投稿開始です。

 第一弾・・・いよいよ木場覚醒です。


皆の想いを載せた剣です。

SIDE ???

 

 元老院からある指令を受け、俺達は現場に向かっていた。

 

 俺からしても因縁のある相手だ。

 

 その名もバルパー。

 

 彼は聖職者でありながら魔戒法師でもあったが、彼は手を出してはいけない領域に手を出した。。

 

 それが聖剣計画。

 

 あれが公になり、バルパーを討伐しようとしたが、煙の魔人に姿を変える謎の能力でことごとく返り討ちにあっていた。

 

 その力の正体はあの事件で、知り合いになった某魔王からの情報で判明している。

 

 そして、その破り方に一つだけ心当たりもあるのだ。

 

 それができるのは・・・。

 

――――まさかみんな来るとは思いもしなかったぞ。

 

 ザルバの言葉に皆が苦笑する。

 

 その数・・・三十人。

 

「そのためにこいつらは頑張ってきた。その思いに応えてやるのは当然だ。それに守りし者としての使命も兼ねている。」

 

 その際、かなりの数の連れが出来てしまった。

 

 だが、皆は足を引っ張ることはない。何しろ彼らは皆優秀な魔戒騎士、または魔戒法師になっていたからだ。他の連中、十二人も裏方で動いている。

 

 皆の指導には俺や邪美、他にも多くの友や仲間達が関わっている。

 

 もちろん、俺の息子もだ。

 

 全員、過酷な修行に耐えきった。俺も鼻が高いと思えるほどに。

 

 まあ、これだけ一度に多くの弟子を持つのは大変だったが。

 

―――そうだったな。だが、元老院も太っ腹だな。皆の思いに応えるなんて。

 

「あの魔王の交渉の一つに入っていた。あそこで彼女に再会するなんて思いもしなかったからな。おかげで、時が来たのが分かったのは僥倖だ。」

 

――その代わりサイガ坊ちゃんが生贄になったがな。

 

「・・・彼らも幸せを願っている。生贄じゃ・・・ない。多分。」

 

 自信ない声なのは気のせいだ。

 

 みんなも苦笑しているぞ。あの件は皆にも知れ渡っているし。

 

 待っていろ。

 

 お前の同志たちが、そっちに向かっているからな。

 

「だったら近道をご案内しますよ?」

 

 そこに見知った顔が現れる。

 

「ほう。現れたか、通りすがりの大魔道士。」

 

 それは俺や皆を救った大魔道士。

 

―――どういうことだ?歳をとっていないなんて・・・。

 

「それこそ今更だろう。時を超えてきたのか?」

 

「・・・鋭い。さすがサイガ君の父上だけのことはあるわ。」

 

 あの時もそう言った連中にあったからな。可笑しくもない。

 

―――鋼牙。色々と耐性がついてきたな。

 

 それくらいの度量がないと、これまでの闘いも乗り越えられなかった。

 

 その大魔道士が告げる。

 

「こっちの時代に来てよかったぜ。さて・・・近道ご案内。」

 

 一体、彼は何者だろうか?

 

 

 

 

 

 

SIDE イッセ―。

 

 

「バルパー。聖剣の融合は終わったのか?」

 

「はい。貴方様が固まっている間に。」

 

「・・・・・・・どれだけ私は固まっていた?」

 

「十分ほどは・・・。でも、仕方ないことだと思います。」

 

 なんか気になる発言が聞こえてきたぞ?

 

「なら・・・さっさと始めよう。」

 

 コカビエルの言葉に、バルパーは五つのエクスカリバーを融合させた剣を魔法陣から取り出す。

 

「フリード、受け取れ!!お前の欲した力だ!!」

 

「待っていましたよ!!」

 

 フリードがその剣を受け取る。

 

「木場・・・。」

 

「ああ、任せて欲しい。今度こそあの剣を折る。」

 

「へえ・・・いいのですか?でも私にとってもこの剣は念願の力なのでね。あの良太郎という悪夢とアギトという阿呆みたいに強い奴に届くためのねえ!!」

 

 再び禁手化で変身したフリード。後ろに控えているボルキャンサー達も回復していた。

 

 しかし、阿呆みたいに強いって・・・。

 

 俺の事をそう思っているのか?あいつは。

 

「木場頑張れ。私も手伝う。」

 

 ゼノヴィアまでもが援護に回っている?

 

「過去に行って、すまないがあのバルパーがやってきたことをしっかりと見せてもらってな。前世の私の性格もあってか、かなり腹立っているんだよ。」

 

「・・・ゼノヴィア。」

 

 そう言えばあいつも前の人格と融合して、あまり教会の理念の囚われなくなったな。

 

「ただ当たり前の事をするだけだ。」

 

 ゼノヴィアの怒り。

 

「・・・ありがとう。怒ってくれて。」

 

 それが木場にとって何よりもうれしいはずだ。

 

「なんであなた達があの黒の核晶から逃れられたのか分かりませんが、今度はこっちが相手です!!」

 

 フリードが融合したエクスカリバーを手にする。

 

「ああ。今度こそへし折る。」

 

―――あらあら、私の事を忘れないでよ。

 

 彼の傍に現れるダークウイング。

 

――――せっかくの契約者。私の力も存分に使って頂戴。

 

「頼もしいよ。」

 

 確かあいつってクレアと同等の力を持っているんだよな?

 

――――まったく、あなたも面白い子を召喚主に選んだものね。

 

――――そりゃもう。ふふふ・・・。・

 

 クレアとダークウイング。この二人もやっぱり知り合いか。

 

「木場。コカビエルは任せろ。」

 

「助かるよ。」

 

 木場はそのままフリードとの戦闘を始める。

 

 二人の剣撃を耳にしながらコカビエルと対峙を続ける。

 

「舐められたものだな!!この私と一対一で戦うなど!」

 

 聖書に記されている伝説的な存在の堕天使。

 

 過去の三大勢力で行われた戦争に生き残った猛者でもある。

 

「それと戦うなんて、メインデッシュにしては上等過ぎるぜ。いよいよ神話に挑戦する日がきたのかね。」

 

 本当に色々あって疲れたのに最期にこれだからな。

 

「イッセ―君だって生きた神話なくせに。」

 

 イリナからの拗ねた様子のツッコミ。そう言えば俺もそうだったか。

 

「はあもう・・・アギトがイッセ―君?イッセ―君がアギト?もう分からなくなる!!後で説明をお願いするわ!!」

 

 混乱気味でも、イリナはいつも通りだ。

 

「ああ。うまい飯ご馳走しながら説明してやる。あいつを倒した後で、二人っきりでじっくりとな。」

 

 

 あれ?なんかイリナが顔を真っ赤にさせて・・・。

 

「もう!!こんな時に何格好つけているのよ!!」

 

 それでいきなり怒りだした!?

 

 だが、すぐにしおらしくなって。

 

「・・・きっとだよ。約束、破ったら嫌。」

 

 不安を必死に堪えてお願いしてくる。

 

 子供のころからこういう可愛いところは確かにあった。

 

「ああ。俺は約束を守る奴だって知っているだろ?」

 

「うん。だったら、あれも覚えている?引っ越す前に話していた事。」

 

 えーと、たしか・・・。

 

―――――今度再会したら伝えたい事があるわ。

 

 って言っていたよな。なんかクリスマス関連で・・・。

 

 思い出した。本当に今更で申し訳ないけど。

 

「覚えてくれたんだ。」

 

 イリナは顔を赤らめていう。

 

「この戦いが終わったらいいかしら?」

 

 正直、面喰らう光景だ。

 

 子供の頃はイリナはお転婆だった。男の子と俺も間違えたくらいだ。

 

 でも、今のイリナは違う。

 

 成長し、綺麗になった。綺麗な、女の子になっていた。

 

 そんな女の子が上目遣い、そして切なそうな涙目で俺を見てくる。

 

 かなりドキドキします。

 

 反則もいいところです。ぐっ・・・イリナめ。

 

 卑怯だぞ。

 

 変身した状態ではあるけど、その頭に手を置き軽くなでてやる。

 

「だから、安心しろって。絶対に勝ってくるから。」

 

「うん!!約束。」

 

 心の底から嬉しそうな笑顔を見せるイリナ。

 

 安心した。絆は変わっていない。

 

 小さい頃から培ってきたものは確かにそこにある。

 

 それだけで俺は・・・戦えるぜ。

 

「頑張ったな、イリナ。」

 

 そんなイリナを弦太郎がねぎらっている?

 

「もう・・・お兄ちゃんったら!!」

 

「のばっ!?」

 

 イリナが顔を真っ赤にさせながらスリッパで弦太郎をはたいているし?

 

 しかもその破壊力が可笑しいぞ?一撃で弦太郎が地面にめり込んでおる。

 

「照れ隠しもお前らしい・・・だが痛てえぇぇ・・・。」

 

「ライバルがそこにいたか。思った以上にタラシだったんだ。そこも魅力なんだけど。」

 

 ユウナ様が何かライバルと言っていますけど?

 

「我が妹ながら、素晴らしい一撃。しかし、イッセ―とコカビエルの戦いって・・・新しい神話になるかもしれないな。」

 

 復活した弦太郎。それは流石に持ち上げすぎだって。

 

 でも・・・それならそれで面白そうだ。

 

「それだったらそのまま任せてくれ。」

 

 俺は走りだす。

 

「・・・ここからは俺の聖戦(ケンカ)だ!!」

 

「上等!!その戦争、買ってやるぞ!!」

 

 手に召喚したクレアの頭を模した武器、ドラグクローとコカビエルの手にした光の槍がぶつかり合う。

 

 そして、巻き起こった爆発する二つのエネルギーに俺達は後ろに飛び退く。

 

 その隙に北崎が動いていた。

 

 無数の雷撃を天から俺に向かって落としてきたのだ。

 

「おいおい、イッセ―。違うだろうが?」

 

 だが、その雷が赤い閃光によって防がれる。

 

 それはファイズに変身した巧の姿。

 

「俺達の、聖戦(ケンカ)だろうが。」

 

 言ってくれるな。

 

 悪態付きながらも笑みが止まらない。こいつらしくていい。

 

 ああ・・・本当に巧と一緒に戦っているんだな。

 

「貴様程度にこの私を倒せるかぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 激昂したコカビエルが上空で巨大な光の槍を無数作り出し、それを放つ。

 

 真っ直ぐ俺達に向かってくるその光の無数の光の槍。

 

 それに気を取られた瞬間に俺はコカビエルの十枚の翼の羽ばたきで巻き起こった突風によって弾き飛ばされ、それを追いかけるようにして槍が飛んでくる。

 

―――――――プロモーション、ナイト!!

 

 その瞬間、俺の姿は蒼い風になる。

 

 ベルトから双刃の武器・・・ストームハルバードを取り出しながら駆ける。

 

 風のような速さと武器にで、次々と光の槍を弾き飛ばしながら接近。

 

「当たらないだと!?」

 

 手にしたハルバードで斬りつけようとしたところ・・・コカビエルは手にした光の槍で受け止めてくる。

 

「速い。報告に聞いてはいたが、フォームチェンジの力を得ていたか。だが・・・鋭いが軽いわ!!」

 

 コカビエルがそのまま力を込めて弾き飛ばそうとするが・・・俺はあえて武器を手放す。

 

――――プロモーション、ルーク

 

「だったら、これでどうだ?」

 

「ちぃ・・・・。」

 

 今度は体を紅に変え、ベルトから別の武器を取り出したのだ。それは片刃の剣――フレイムセイバー。

 

 パワー不足ならこれで補う。ついでに・・・カードを召喚。手を使わずにカードが勝手に召喚機にセットして・・・。

 

――――Sword Vent!!

 

 ドラグセイバーを召喚。

 

「がっ!?」

 

 二刀流で斬り飛ばす。

 

―――――えっ?カードが独りでに動いた?

 

 クレアがなんか驚いているみたいだけど、イリナがやっていたことを真似しただけだぜ?頭撫でた時にあいつがやっていたことのコツが何故か頭の中に流れ込んできて・・・。

 

――――いや、アンデットのカードと私達のカードは性質が違う。・・・はあ、アギトって奴はもう・・・。

 

―――また進化か。カードを装填する弱点を補い始めたのか。

 

――――細かいけど、かなり大きいわよ。この子下手したら、将来召喚機無しでカードの力を使いかねないわ。

 

 手がふさがっている時に便利だけど、そこまで行けるのかね?

 

 手数で押そうとコカビエルが小さな槍をマシンガンのように発射。

 

 でもね、この形態をあいつは舐めている。確かにこれはパワーが格段に上がりスピードは落ちる。

 

 だが、飛躍的に上がっているのはそれだけじゃない。

 

 感知能力も上がっている。ついでに言えば瞬発力も高いぞ!!

 

 それですべての攻撃を捉え、すべて切り裂く。

 

 縦横無尽のように見えて正確無比な剣撃ですべて切り裂いた。

 

「・・・無傷だと?」

 

 細かいダメージを与えるための攻撃だったが、そんな程度で俺に届くと思うな!!

 

「やはりアギトは厄介だ。着実に進化している!!」

 

「ついでに言えばまだ倍化していない。そっちも慢心を捨てて本気で来い!!」

 

<BOOSTBOOST・・・>

 

「ちぃ・・・。だから生意気だといっている!!」

 

 俺だけならここで持ちこたえられる。木場・・・頑張れよ!!

 

 傍らでは巧が北崎を相手に頑張っている。

 

「無茶するなよ?」

 

「当たり前だ。あいつらにも言ったが死ぬつもりはない。」

 

 ファイズに変身した巧との共闘は二度目。完全に背中を預けられる。

 

 牙王は良太郎とイリナ、弦太郎、ゼノヴィアの教会チームが相手をしている。

 

 木場。それでも俺達は繋ぐ。お前の想い・・・届かせろ!!

 

「ならこっちもデルタを使わせてもらおうかな?」

 

 そう言いながら北崎は人間の姿に戻る。その腰にはベルトが出現していた。

 

「・・・五大ギアの一つ。原初の魔王、デルタのベルト。」

 

 北崎はトリガ―みたいな物を取り出してつぶやく。

 

――――――変身。

 

 その言葉と共に北崎は変身する。

 

 黒い体に白のラインが入った戦士。胸に三角形の変な奴が付いている。

 

 そもそも、五大ギアってなんだ?

 

「俺が持っているファイズギアもそうだが、オルフェノクに宿るとされる神滅具みたいな物だ。その五つのギアの内の一つが、原初の魔王、デルタ。」

 

 神器じゃなくて、神滅具みたいな物!?

 

 おいおい、その例えヤバくないか?

 

「例外なく、そのギアは凶悪なまでに強い。あの原初の魔王がいい例だ。」

 

 原初の魔王?

 

「装着者の能力をさらに増幅し、おまけに超能力を得られる。」

 

「この通りにね。」

 

 北崎の周りで巨大な岩が召喚される。

 

「僕の場合は電撃を自在に操る事もできる上に・・・。」

 

 北崎の姿が消え、俺はいつの間にか殴り飛ばされていた。

 

 見えなかった。あまりにも速過ぎて。

 

「竜人態の高速移動もさらに増幅されているのだよ!!」

 

 無防備になったところにコカビエルの槍が迫る。

 

「させると思ったかよ!!」

 

――――――Complete

 

 その音声と共に巧の姿が代わっていた。

 

 赤いラインが銀に変わり、前面の装甲も展開している。

 

 それと共に厖大な熱が発せられ・・・。

 

――――Start Up!!

 

 音声と共に姿を消す。

 

「がっ!?」

 

 そして、コカビエルは槍が粉々に砕かれると共にふっ飛ばされ、あちこちで無数の打撃音が轟く。

 

――――Time Out

 

 その音声と共に二人の姿が現れ・・・。

 

――――Reformation

 

 の音声と共に展開した装甲が元に戻り、ラインが赤に戻った。

 

「へえ・・・やるもんだね。流石赤い閃光。救世主のギアを持つだけはある。惜しいのは体の限界が近いことかな。」

 

「ぐっ・・・。」

 

 膝をつく巧。あいつ・・・無茶しやがって。

 

「やってくれたな。」

 

 そこにコカビエルが槍を突き立ててくるが、そうはさせない。

 

「こっちを忘れるなよ。」

 

 槍を素手で弾き飛ばす。

 

「わりぃ・・・助かった。」

 

「お互い様だ。まあ・・・どうやら二対二になりそうだな。」

 

 ここから俺と巧・・。

 

「せいぜい足を引っ張るな・・・といいたいところだが、頼む。巧は上級堕天使ですら瞬殺する実力者なのでな。」

 

「いいよ。面白そうだね。」

 

 コカビエルと北崎。

 

 二対二のバトル。

 

 俺は援護に適した姿になる。

 

―――プロモーション・・・ビショップ!!

 

「背中預けたぜ?」

 

「誰に言っていやがる?そっちも頼むぜ。」

 

 高速で突っ込んでくる北崎だが・・・。

 

「あっ・・・足が・・・!?」

 

 その足元は凍りついている。

 

「こうしたら高速移動も意味がないだろう?」

 

 コカビエルが飛ばしてくる無数の光の槍。

 

 それも展開させた水の膜で受け止め、氷の槍で反撃にかかる。

 

 電撃も水で引き寄せ、無効化させる。

 

 水の中に地中にある鉄分を含ませているのでな。

 

「この形態・・・不気味な力を使う!!」

 

 こっちはこっちで盛り上がってきた。

 

 弦太郎達は・・・と。

 

「こっちも本気を出す。みんな、久々に行くよ!!」

 

「ほう・・・やってくれるな。」

 

 変身した良太郎とゼノヴィアの二人に、弦太郎が加わる。

 

 四本の腕で暴れまわる牙王の背後にうまく回り込みイリナが攻撃をしかけた。

 

「もうお前のツッコミはこりごりでね。」

 

 それを剣で受け止め、イリナが吹っ飛ばされる!?

 

「・・・・・・ニヤリ。」

 

「!?」

 

 っておおおおおおい!?笑っている?

 

 まるでふっ飛ばされるのを待っていた様な笑みだよ!?

 

 そのまま校舎の影まで吹っ飛んでいき・・・。

 

――――メテオ、レディ?

 

 その陰で何やら音声が聞こえてくる。そこから少したって天からイリナの吹っ飛んだ方向に光が落ちてきて・・・。

 

 そこから青い球体が飛んできた!?

 

 おいおい・・・このパターンは。

 

「ぐお!?」

 

 その青い球体が牙王をふっ飛ばす。

 

 そして球体の中から現れたのは・・・

 

「仮面ライダーメテオよ。貴方の定めは私が、決める。」

 

『・・・・・・・。』

 

 俺とコカビエル。巧と北崎は硬直する。

 

 それだけじゃない。

 

『・・・・・・。』

 

 立ち上がった牙王と良太郎も固まっているぞ。

 

「また来てくれたか!!メテオ。」

 

「イリナは!?無事なのか?」

 

「安心しなさい。気は失っているけど大した怪我では・・・。」

 

 相変わらず全く気付いてないゼノヴィアと弦太郎。

 

 敵達の言いたい事は分かる。

 

 ――――なんで気付かないの?

 

 そう、視線で俺達に訴えているよ。

 

「・・・スル―で頼む。」

 

「突っ込んだら負けだと思って。」

 

『・・・ああ。』

 

 俺と良太郎の言葉に敵が同意した!?

 

「全く・・・度し難い。」

 

「ははははっ!!面白いね!!これって何の喜劇だよ!!」

 

 コカビエルさん?あの・・・ここで度し難いと言われても困るって!!

 

 後、北崎。喜劇ってな・・・。言いたい事はわかるよ。

 

「はあ・・・気が抜けたぞ。」

 

 牙王が脱力し・・・。

 

「そのおかげで融合が解けた。」

 

 その脱力でネガタロスが出てきた!?

 

 基本フォームに戻った牙王。

 

 一応・・・戦力ダウンにはなったのか?

 

「俺・・・こんな愉快な連中に助けられたのか。」

 

 巧が手を地に付けて、落ち込んでいる。

 

 すごい落ち込みようだ。

 

そう言えば。こいつって意外とナイーブだったな。

 

「その分いい奴らなんだ。気にする事じゃない。」

 

 その肩に手を置き、慰めてやる。

 

「グダグダになったけど、続きいくよ。君達をいると色々と飽きなくて楽しいよ!!」

 

 北崎が爆笑しながら迫ってくる。

 

『そんな事言われても、嬉しくねえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』

 

 俺と巧は叫びながら走りだし、爆笑していた北崎を殴り飛ばした。

 

 

 

 SIDE 木場

 

 僕は聖剣を手にしたフリードとバルパーと対峙している。

 

 バルパーの後ろではある魔法陣が展開、起動しつつあった。

 

 それはまちがいなく、この街をふっ飛ばすための魔方陣。

 

「あの起動を何としても止めないと。」

 

「分かっている。」

 

 僕だけじゃない。傍にはサイガ君、ユウナ様までいたのだ。

 

「まさかコカビエルと互角に戦うなんて、信じられませんね。まだまだ私もあの頂きには届かないってことですかい!!」

 

 フリードは聖剣を手にぼやく。でも確かにそうだ。

 

 アギトの力。本格的に目覚めて、まだ三カ月も経っていないはず。それなのにもう・・・イッセ―君はあの聖書に記るされた伝説の堕天使と互角に戦えるまでの強さになっている。

 

 何処まで彼は強くなる?

 

 神滅具(ロンギヌス)を持った神殺しの竜(アギト)は。

 

 その前に、そんな無茶苦茶な存在がどうして・・・?

 

「聖剣計画。その生き残りがこうして揃っているか。だが・・・ここで終わりにしよう。」

 

 だが、僕の考えはそこで中断される。

 

 何しろ目の前には総ての元凶がいるのだから。

 

――――スモーク。

 

 バルパーがガイアメモリを取り出し、それを自分の体に差し込む。

 

 そして、その身体が煙に変わったのだ。

 

「ふはははは・・・聖剣伝説の生き残り。だがその成果は大きな物だった。」

 

 バルパーは巨大な煙の魔人となって俺達に煙の拳を叩きつけてくる。

 

 それをかわし、剣を叩きつけるけど・・・その剣が空を切る。

 

「馬鹿め。この姿になった私は聖剣でも倒せぬわ!!」

 

 煙が巨大な腕となり、俺は吹っ飛ばされる。

 

 オルフェノクの力をもってしても、まったく手も足も出ない。

 

 変身が解け、膝をつく僕。

 

「いくらお前達でも煙を斬る事はできないはずだ。剣士殺しとして愛用させてもらっているよ。魔戒騎士とかは厄介なのでな。」

 

 なるほど・・・自身を討伐に来た魔戒騎士をこうやって返り討ちにしてきたのか。

 

 バルパーは煙になったまま高笑いをする。

 

「佑斗君!?」

 

「ああもう・・・厄介な敵ね!!」

 

「そして、お前達にもふさわしい生贄を用意してある。」

 

 バルパーの言葉共に現れたのは五体の素体ホラー。

 

 ただし、その大きさが尋常ではない。軽く見ても通常の十倍以上はある。

 

「封印し、魔界に転送されるはずだったホラーを強奪させてもらってね。合計百体分。退屈はさせないよ。」

 

「・・・父上が過去に闘った事がある敵だね。」

 

「へえ・・・。上等じゃないの。外道が使う相手にふさわしいわ。」

 

「ふふふ・・・私は外道のつもりはない。ただ夢があっただけだ。」

 

 バルパーは笑う。

 

「聖剣は私の憧れだった。使えないことを知った時は絶望したがね。でも、私は諦めなかったのだよ。」

 

 そして、彼は語るのだ。その夢を。

 

「ここまで生き延びた礼に真実を教えてやる。お前達は因子がなかったわけじゃない。ただ、聖剣の因子が少なかっただけだ。」

 

 僕達が聖剣を使えなかった理由。

 

「だから私は考えたのだよ。因子を抜くことを!!少ない聖剣の因子を抜き出し、集めればいいと!!」

 

 それがバルパーの編み出した画期的な方法だ。

 

 でも・・・だからって・・・。

 

「だからって・・・殺すことはないだろ!!」

 

「実験動物を処分しただけだ。ただ、それだけのことだよ。」

 

『・・・・・。』

 

 それを黙って聞くサイガ君とユウナ様

 

 僕は思わず手をついてしまった。

 

 たったそれだけのことでみんなを・・・。

 

 施設の謎の爆発のおかげで、同志たちは死体も残らずに消滅してしまった。

 

 苦しんだまま・・・何も残さず消された。

 

 悔しい。

 

「そして、これがその残りかすだ。くれやる。せいぜい大切にするがいい。」

 

 そして、それを僕の前に投げ捨てたのだ。

 

「・・・・・・。」

 

 僕の同志が・・・こんな物のために・・・。

 

 膝をつき、僕はその結晶を手に取る。

 

「みんな・・・。」

 

 僕の中で堪えていた物が溢れだす。

 

「僕は・・・僕は自分だけ生きていて良いのかってずっと思っていた。」

 

 ただ・・・ただそれがずっと苦しかった。

 

「みんな死んだのに・・・僕だけ平和を謳歌していいのか。そう思っていたんだ。」

 

 涙が止まらない。

 

「僕がここに居て良い訳けがない。居て良いはずないのにそれ・・・なのに。」

 

『・・・・・・。』

 

――――貴方は一人じゃない。

 

 その言葉と共に瓶の中に残っていた聖剣の因子が光輝く。

 

 その光によって、僕の周りに次々と人が現れたのだ。

 

「みんな・・・。」

 

―――君は僕たちの希望。だからこそ・・・生きて欲しい。

 

―――それがみんなの願い。

 

「どっ・・・どうして。」

 

 そこには死ぬ前の姿をした皆の姿。

 

 生前の姿で僕に語りかけてくれるのだ。

 

「僕は何もできなかった。皆を見捨てたままで平和に暮らすなんてそんなこと!!

 

――――見捨ててなんかいない。

 

――――だって、僕たちの事をこんなにも思ってくれる。

 

―――――嬉しいよ。それがたとえ復讐だとしても僕たちの事を忘れてなんかいなかった。

 

 当たり前だ。

 

 忘れるわけがない。

 

 みんな・・・みんな大切だったんだ!

 

――――だからこそ、私達は今でも貴方を思う。

 

――――貴方は一人じゃない。

 

――――だからこそ・・・受け入れよう。

 

 受け入れるって・・・そんなこと・。

 

―――――歌おう。みんなで歌った歌を。

 

 そして、光の中から歌が聞こえてくる。

 

 それは苦しい時、辛い時、悲しい時に皆で歌った歌詞も、そして題名もない歌。

 

 その歌に、周りで戦っていた皆も動きを止める。

 

 ああ・・・懐かしい歌。

 

 それを皆が・・・同志たちが歌っている。

 

 僕の妹も・・・友達であるりょう君、サイ君・・・ポルムまで・・・。

 

 みんながいてくれた。

 

 例え消えても・・・みんないたんだ。

 

 僕の中に。

 

―――――聖剣を受け入れよう。

 

――――例え神が僕達を見放しても、君は神はいらない。

 

―――――私達がいる。

 

 僕は決意する。

 

―――――例え神が僕達を見ていなくても、僕たちは・・・。

 

 皆がいてくれるから。

 

 だからこそ・・。

 

――――僕たちは一つだ!!

 

 その言葉と共に、グランド一帯に蛍の様な光が現れる。

 

 そして、その光は同志たちからも出てきていた。

 

「なんだ・・・何が起きている!?」

 

 その光景を見たバルパーはうろたえている。

 

「どうして・・・死者が蘇っている!?」

 

 彼もどうやら僕の周りにいる同志たちの姿が見えるらしい。

 

「こりゃ・・・すげえもんみせてもらいましたよ。」

 

 フリードを初め、他のみんなも目を丸くしている。

 

 その同志たちの思いが体の中に入ってくる。

 

「・・・バルパー・ガリレイ。僕の同志たちは復讐なんか望んでいない。みんな優しかったから、そんなこと思うわけなかったんだ。でも・・・あなたはまた第二、第三の犠牲者を生みだす。」

 

 その思いを胸に、僕は宣言する。周りにいる同志たちと共に。

 

『・・・ここであなたを滅する!!』

 

「チィィィィ、死者が生意気を!!」

 

 バルパーが煙の魔人となって襲いかかってくる。

 

――――佑斗君。今こそ、空を極める時だよ。

 

 襲いかかってくる煙の魔人を前に、僕は一本の短剣を作り出し構える。

 

 そして目を閉じる。

 

 相手はド―パント。

 

 だから、その邪悪な力の発信源は!!

 

「死ねえぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 目を閉じたままその殺気をかわす。

 

 そして、剣に溜めた力を解放する。

 

 あいつの邪悪な力の元に!!

 

「アバン流刀殺法!!空裂斬!!」

 

「!?」

 

 放たれた光。それがバルパーのある一点に命中。

 

「なんだ・・・今の技は?だが私はなんともないぞ!!その程度の技で・・・。」

 

 バルパーの技を受けてなんともないというが・・・。

 

「・・・・・・手ごたえあり。」

 

 僕は確信していた。

 

 技は成功していることを。

 

「なんだと!?」

 

 その姿が人の姿に戻る。それと共にバルパーの身体からメモリが排出され、粉々に砕かれた。

 

「いいですな。その意気、その力。ぞくぞくする。ぶっ殺し甲斐があるってもんですわ!!」

 

 倒れたバルパーを尻目にフリードは歓喜の声をあげる。

 

 手にはエクスカリバーがある

 

「死合おうか。これほど戦いがいのある相手らがいるなんて感激。あの聖歌もあるしここまで心躍るなんて嬉しすぎるぜ!!」

 

 フリードが変身した状態で迫ってくる。

 

 いよいよだ。

 

「僕は剣になる。皆を守るための、守りし者としての眷属の剣となる!!」

 

 僕は剣を作り出し、それを天に掲げる。

 

「いけぇぇぇぇぇ木場!!」

 

 そんな僕をイッセ―君が発破をかけてくれる。

 

「そうよ。私のナイトは、エクスカリバーなんかには負けないわ。」

 

 そこに部長まで?

 

 変身した状態で、朱乃さんを伴い学校の校門で仁王立ちしている姿、様になっています。

 

 アーシアとキリエさんまで来ている。

 

 他にも匙君、仁藤、ソーナ会長・・・。

 

「お前もついにやったな!!」

 

 そして、ある意味兄弟弟子といえるネロ君まで。

 

「行きなさい佑斗!!」

 

「・・・・はい!!行くよみんな!!ソードバース!!」

 

 その言葉と共に魔剣に白いオーラと黒いオーラが交互にまとわりつく。

 

 そして、剣が姿を変えた。

 

 僕の件は白と黒、そして・・・。

 

――――私の召喚機と合体した?

 

 鍔元にダークウイングの召喚機がくっつく形の剣となった。

 

 これは僕の新たな力に呼応するために生まれた剣。

 

「双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)。聖と魔を司り、漆黒の翼の力を得た剣!!」

 

「ほうほう・・・いいですな、いいですな!!最高ですよ。これはやり甲斐があるってもんです!!」

 

 フリードはますます笑う。

 

「いくよ。みんな!!」

 

『おう!!』

 

 僕の声にみんなが応える。

 

 ・・・・・・。

 

・・・・・・・。

 

・・・・・・。

 

・・・・・・あれ?

 

なんか変だぞ?

 

 剣が完成するとともに、光が消えていく。

 

 するとそこには・・・。

 

 僕と同じ歳位の人達がいた。

 

「あーあ。もう、みんなったら、おかげで言おうとした事をみんな言われたじゃないか。伝言しようとした意味がないでしょ!!」

 

 そんな皆にサイガ君が呆れた声をあげる。

 

 これって一体・・・。

 

 その時、先ほど浮かび上がった生前の皆の姿と今の皆を重ねる。

 

 サイガ君のところには確かサイ君。その姿と今のサイガ君の姿がって・・・。

 

「やっと名乗れるよ。久しぶりだって。」

 

「・・・・・・。」

 

 まっ・・・まさか。

 

「そして、久しぶりだね、バルパー。そしてザボエラ。」

 

 サイガ君の言葉に僕は震える。

 

「まさか・・・あのサイ君なのか?そんな・・・。」

 

「僕だけじゃないよ。そうだよね!!リョウ君!!」

 

「はっ・・・あはははは・・・。本当に久しぶりだね。」

 

 その呼び声に、教会の良太郎君が笑った?

 

 じゃあ・・・。

 

「ふふふ・・・やっとね。久しぶりね、兄さん。」

 

 そして、ユウナ様が兜をとると・・・。

 

 そこには僕と同じ顔をした女の子の顔があった。

 

「私がユウナって名乗ったの・・・兄さんが佑斗と名乗り、双子だしそれに合わせようと思ったからなのよ。」

 

「・・・・・・。」

 

 妹が・・・生きていた?

 

 じゃっ、じゃあ、ここにいるみんな。

 

『久しぶり。同志!』

 

 みんなが、生きているというのか?

 

「そんな馬鹿な!?なんで貴様らが生きている!?」

 

「そこにいる時を超えたアギトと、ある通りすがりの大魔道士のおかげだ。」

 

 その言葉と共に現れたのは白いコートの様な意匠を纏った男だった。

 

 茶髪の髪に、手には朱塗りの鞘に収まった剣。

 

「ゲエェェェ・・・黄金騎士牙狼だと!?」

 

 ザボエラが彼の姿を見て悲鳴をあげる。

 

 あの、黄金騎士?そして、サイガ君の父親・・・。

 

「父様まで来ていたの?まさか、元老院から?」

 

「ああ。バルパーの討伐にな。そのお供に連れてきた。」

 

「連れて来たって・・・戦闘ができるメンバー全員じゃないの。」

 

「久しぶり!!みんな!!」

 

 妹――ユウナが皆に抱きついては喜びを分かち合っている。

 

 どっ、どうなっているの?

 

「ぐっ・・・どうしてこんなに生き残っている!?」

 

 ザボエラが相当に慌てている。

 

「ええい。だがこの魔法陣が起動したら、お前らなど吹っ飛んで・・・。」

 

 グランドから出てきた魔法陣。

 

 それを脅しにザボエラが迫るが。

 

「わざわざ丁寧な解説どうもありがとうさん。」

 

―――――――極大消滅呪文(メドローア)!!

 

 それがどこか後もなく飛んできた巨大な光の矢。

 

 それがその魔法ごと消滅させた!?

 

 ついでに校舎もが消滅してしまったし!!

 

「・・・その魔法・・・まさか・・・。」

 

 ザボエラはその魔法を知っているらしい。

 

「うんうん。ようやくみんなと再会できたぜ。」

 

 その場に眼鏡をかけた銀髪の青年が現れる。

 

「世界と、時間を超えてやってきた甲斐があるってもんだ。」

 

「なんであなたがその魔法を!?」

 

 ザボエラがその魔法を見てかなり動揺している。

 

「何って・・・あんたの出身世界にいる師匠から教えてもらったからだよ、ザボエラ。」

 

 そして、その彼と・・・。

 

『あっ・・・。』

 

 ここにいない同志の最期の一人の姿と重なる。

 

 髪の色は違うが、間違いない。

 

「改めて名乗らせてもらうぜ。三代目大魔道士、ポルム。ただいま同志たちの元に帰って来たぜ!!」

 

『えええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』

 

―――――ややこしいな。どうしてお前さんが過去の仲間を助けられたんだ?

 

『嘘ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?』

 

 もう、何から驚けばいいのか分からないよ。

 

「しまった。・・・嬉しすぎてクールになれなかった。混乱させたな。」

 

 混乱する皆にため息をつくポルム。

 

「まあ、説明は後だ。佑斗でいいのか?行って来い!!」

 

「・・・ああ、見ていてくれみんな。今僕はエクスカリバーを越える!!」

 

―――――――だったら、私からも餞別がある。まさかもう至るなんて思いもしなかったけど。

 

 その言葉と共に僕の手に黒いデッキが現れる。これって召喚機の・・・。

 

――――――存分に使いなさい。私のナイトの力を。

 

 そうか。僕はもう変身できるんだね。

 

 デッキをかざすと腰にベルトが装着される。

 

「変身。」

 

 その言葉と共に僕は変身する。

 

 騎士に似た姿をした仮面ライダーに。

 

「・・・おいおいおい。」

 

 それは漆黒の騎士の姿。

 

――――行きなさい。私のナイト。

 

「これで条件は正しく五分。いくよ。」

 

 僕は剣を手に駆けだす。

 

 僕とフリードの剣がぶつかりあう。

 

「・・・ッ!?」

 

 そのぶつかり合いだけでフリードはすぐに下がる。

 

「違う・・・。なんですか?さっきまでの剣と何かが、違う!?」

 

「当然だ。佑斗君はすでに極めたからね。」

 

 サイガ君の言うとおり、僕は極めた。

 

 空―――心の技を。

 

 その結果が、僕が振るう剣に現れている。

 

「だったら、行きなさい!!」

 

 そんな僕に向けて巨大なホラーが向かおうするけど、それを同志たちが止める。

 

「露払い位はさせてくれ。」

 

「それがサイガや弟子達の願いなのでな。」

 

 その言葉と共に鋼牙さんが巨大ホラーの一体を切り裂く。

 

 黄金の鎧を纏った状態で討ったのだ。。

 

 この人がサイガ君の父親。

 

 強い。巨大なホラーを一蹴なんて・・・。

 

「私も参戦させてもらおう。そっちの悲願を叶えろ。」

 

 ゼロノスに変身していたゼノヴィアが参戦。

 

 牙王達は別の同志たちが当たっている。

 

 良太郎と弦太郎と協力して動きを封じかかっているのだ。

 

「・・・法術。」

 

 筆を持った者達はその筆から光を発し、術の様な物を発動させて、牙王を撹乱しているのだ。

 

「一緒に過去に行っていたという事は同志たちの生存を知っていたのかい?」

 

 下がった僕の隣に立つゼノヴィアは苦笑する。

 

「すまない。言う暇がなかった。だが、それはイッセ―とネロも同罪だぞ?」

 

「・・・・・・。」

 

 僕が横目でイッセ―君とネロ君を見る。

 

 すごく恨みがましい視線を彼らに送りつけてやっているよ。

 

 どうして言ってくれなかったの?同志たちが生きていることを。

 

 イッセ―君もそれに気付いた様子。

 

 ネロ君は笑うだけだ。言う暇がなかったと。

 

 わりぃと謝ってくれているけど・・・今回は流石にねえ。

 

「後で説明をさせてもらうよ。それはもうじっくりと。皆も同じだからね。」

 

『はははははは・・・。』

 

 まったくもう・・・。みんな内緒の事が多すぎる!!何がどうなっているのか本当に後でじっくりと説明をもらおう!!

 

「あと・・・すまん。怒らせてしまって。」

 

 ゼノヴィアの背後からえっと・・・誰ですか?

 

 イマジンって言う存在らしいけど?

 

「私の相棒のデネブだ。さて・・・こっちも本気を出そうか。」

 

 ゼノヴィアが呪文をつぶやく。

 

「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ、我が声に耳を傾けてくれ。」

 

 その呪文と共に手元の空間に罅が入る。その罅から凄まじいオーラが漏れ出している。

 

 なんだ?このオーラは?エクスカリバーのそれとは一線を画している。

 

 そして、彼女はその亀裂から鎖に包まれた一本の大剣を取り出す。

 

「この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する―――デュランダル!!」

 

 その言葉と共に鎖が粉々に砕かれて聖剣―――デュランダルは解放された。

 

『・・・・・・。』

 

その光景に皆が絶句している。

 

 それはエクスカリバーに並ぶ聖剣。かのローラン卿が使っていたという折れぬ不滅の剣。

 

「そっ、そんな馬鹿な!?貴様、エクスカリバーの使い手じゃなかったのか?デュランダルなど、私の研究ではまた扱う事が出来ないはず・・・。」

 

 バルパーがそれを見て驚いている。

 

「私はイリナ達と違って天然ものの聖剣使いでね。」

 

 そういうことか。

 

 彼女は神に祝福されて・・・。

 

「もっとも、こいつが自分から共鳴し私を選んだっていう変な経緯があるけどな。互いの力を増幅し合い、引き出し合う過剰適合者ってやつらしいぞ!!」

 

 デュランダルから、ありえない程の強力なオーラが発せられる。

 

 なんだこれは?そのオーラにホラー達までもが苦しみだしている。

 

 消滅し始める者が現れるほどだ。

 

――――おいおい・・・半端じゃないぞ。俺も少し苦しいくらいだぜ。

 

 魔道輪――ザルバも苦しそうな声をあげる。

 

「おかげか、一薙ぎですべて吹っ飛ばす凄まじい破壊力が出てしまうんだ。制御も何とかできるようになってきたけど・・・それでも阿呆みたいな切れ味が発揮されてね。流石に使いどころを選ぶじゃじゃ馬な相棒だよ!!」

 

 厖大な光をため、その状態でデュランダルを振るうゼノヴィア。

 

 その剣圧で・・・後ろの校舎ごと数体のホラーが切り裂かれていた。

 

 いや、校舎だけじゃない。空間ごと切り裂かれ、ずれていた

 

 ずれた空間は修復されたけど、直ぐに直る。

 

 ホラーと校舎はそのままだけど。

 

 って校舎が!!!?

 

 切断面からずれ落ちる校舎を見て、頭を抱えたくなる。

 

「くっ・・・空間切断。」

 

 切れ味がいいって言ったけど、良いってレベルを超越している。

 

 というより、校舎が崩壊・・・。

 

「どういうことだ?ローランの血族、それも直系か本人の生まれ変わりでもない限りそんなことありえないぞ!!あれの血筋はとっくに耐えているはずなのに!?」

 

「そんな理由は分からないし、今はどうでもいい。それに最初に言ったはずだぞ?」

 

 デュランダルと大剣に変化させているゼロガッシャーの二刀流を構えて言う。

 

「私は、か~な~り~強い!!ってな!!」

 

 これって、かなりってレベルなのか?

 

「そういうわけだ。露払い、こっちもやらせてもらう!!」

 

 フッ・・・心強いよ。

 

 さすが教会最強チームのメンバーだけはある。

 

 常識をぶっ壊す物を彼女も持っているよ。

 

 納得できても、取り乱す時間はごく短時間で済む。

 

 これもイッセ―君のおかげかな。

 

 そして、僕は剣を持ち、駆けだす。

 

「・・・あなた達はどんな化け物なんですかぁぁぁぁぁ!!」

 

 悲鳴を上げるフリード。その気持ち、分かるよ。

 

 せめてもの情けだ。一対一でやらせてもらうぞ。

 

「ちぃ・・・だったら。」

 

 そうつぶやいた瞬間、フリードの姿が増える。

 

 その数は八体。

 

「夢幻のエクスカリバーの力・・・。」

 

 幻を作り出し、あまつさえ実体化させたのか?剣つきで。

 

 あいつ、聖剣の力を使いこなして・・・。

 

「安心しなよ。お前の相手はあくまでも僕だけだ!!」

 

 だったらこっちも対抗しようじゃないか。

 

 分身には分身で・・・。

 

 僕は一枚のカードを取り出し、剣に装填する。

 

―――――Trick Vent!!

 

「何か分かりませんが先手必勝!」

 

 八体のフリードが天閃の力で斬りかかってくるが僕は二つに分かれてそれをかわす。

 

 そして、僕は次々を増え、フリードと同じく八体に増える。

 

 分身の力・・・。

 

「ソード・バース!!」

 

 足元に様々な剣が生え、僕の分身たちがそれを掴み取り、分身同士の戦いが始まる。

 

 この分身の力。僕の神器と相性がいい。色々な剣を一気に使える。体が文字通り増えるおかげでね。

 

「そんなのあり?」

 

「先に分身した君には言われたくないよ!!」

 

「だったら!!これはどうですか!!」

 

 本体のフリードが聖剣を鞭に変えてくる。

 

 それを防ごうとするが、その剣が剣を透過しつつ、半ばで爆発。剣が粉々になる。

 

「ぐっ・・・擬態に、透明、そして破壊の合わせ技。」

 

 鞭のように変化させ、相手の剣の半ばまで抜け、その途中で破壊の力を解放。

 

 内部から剣が破壊されるも同然の、鬼畜なコンボだ。僕じゃなかったらかわせなかった。

 

 彼はやはり天才だ。聖剣使いとしても、剣士としても彼は超一流だろう。

 

 戦闘狂だが、それに才能が追いついているのが何よりも厄介なところだ。

 

「強いですね。それに透明と天閃を合わせたらどうなるかな?」

 

 刀身をとっさに作り直す。

 

 まるで見えない破壊の嵐が迫ってくる。

 

 鞭のようになり、高速、しかも触れるだけで粉々。それも物質透過と透明化の能力付きという・・・反則もいい所のコンボ。

 

 前の僕なら詰んでいたはずだ。

 

 でも・・・僕はもう極めた。

 

 見えないはずの攻撃にも確かに殺気が込められているのが手に取るようにわかる。

 

「げえっ!?なんで当たらないの!?」

 

 歩くだけですべてかわす。こういう時、無駄な動きは不要だ。

 

 アギトのイッセ―君もそうやって動いていたよね。カウンターとしてよくやっていた。

 

 総て見切り、必要最小限の動きと・・・。

 

「海波斬!!」

 

 高速で剣を振い、その衝撃波で防ぐ!!

 

「やっぱり、さっきまでと違う!あの空裂斬って技を成功させてから何かが変わった!?」

 

 フリードは冷静に僕を分析している。

 

 それができる当たり、こっちとしても末恐ろしいよ。

 

 でも、見切られる前にこっちから決めさせてもらう!!

 

 僕はかわすのをやめ、駆けだす。

 

 透過させられないように剣を光喰剣に変え、襲いかかってくるエクスカリバーを力技の剣で叩きつぶす。

 

――大地斬!!

 

「のぱっ!?」

 

 その勢いに体勢を崩すフリード。それを隙と見て僕は走り出す。

 

「この!!」

 

 フリードは強引に体勢を整え直し、剣を振るう。

 

 剣は確かに捉えた。

 

 僕が作り出した魔剣を。

 

「そっ・・そんな!?」

 

 それはさっきのトリックベントで作り出した九体目の分身体。それを僕の魔剣と一緒に融合させたのだ。

 

 その剣は呪いの魔剣。

 

 触れた物質の動きを止める。

 

――――貴方も大概可笑しいわよ。分身の力をいきなりここまで使いこなすなんて。普通は八体までが限界なのに、九体目を遅れて出す芸当を・・・。

 

 いくら聖剣でもその力で一瞬だけなら動きが止まる。

 

 その一瞬で十分だった。

 

 僕のサイガ君より教えてもらった必殺剣を決めるには。

 

 僕は大地を斬った。

 

 次に海を斬った。

 

 最期に、空も斬った。

 

 それだけで、僕は悟っていたんだ。

 

 総てを斬れると。

 

 逆手に持った魔剣。

 

 それを僕は振るう。

 

 今完成した奥義の名を口に。

 

『いけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』

 

 皆の思いと声援を受けて放つその技の名は・・・。

 

「アバンストラッシュ!!」

 

 僕は剣を振るいながらフリードの傍を駆け抜けていた。

 

 そして・・・。

 

「・・・男子三日立経てば活目して見るべし。その言葉は私でも知っていますよ。でもですね。」

 

 フリードの手にしたエクスカリバーが真っ二つにずれるようにして折れた。

 

 それと共にフリードの変身が解ける。彼にも先ほどの一撃で大ダメージを与えていたのだ。

 

「些細なきっかけで瞬時に化けるなんて反則もいい所ですよ。」

 

 それを見て、同志たちの間から声が上がる。

 

 みんな、僕はついにやったぞ。

 

 エクスカリバーを越えることができた!!

 

「なんでこんなに強い連中ばかりなのですかね。」

 

 折れたエクスカリバーを見てフリードは薄く笑う。

 

「まだ・・・あのアギトには届かないってことですかい。はははは・・・情けないじゃありませんか!!」

 

 負けた事が悔しいということではない。ただ・・・届かなかった事が悔しいのだ。

 

 彼は力を求めていたというのか?

 

「くそ・・・。」

 

 フリードはそのまま倒れる。

 

 僕たちの悲願は今達成された。

 

 でも戦いはまだ終わっていない。

 

「聖と魔の融合。そんな事が・・・。」

 

 その光景を見たバルパーが何かをつぶやいている。

 

 そして・・・。

 

「そうか!聖と魔。それぞれを司る存在のバランスが大きく崩れているのなら説明がつく。つまりそれは魔王だけじゃなく神の・・・。」

 

 そこまで言いかけたところで、彼に向けて光の矢が飛んでくる。

 

「悪いがこいつを死なせるわけにはいかない。」

 

 それを鋼牙さんが剣で弾き飛ばした。すごい・・・伝説の堕天使の攻撃をあの人は生身でさばききった。

 

 その隙に他の同志達がバルパーを捕える。僕の空裂斬で大ダメージを受けていたから、捕縛も楽なはずだ。

 

「こいつは、きちんと裁きを受けてもらう。」

 

「邪魔をしてくれる・・・。こいつは優秀すぎていらぬことに気づいてしまったというのに。」

 

 コカビエルが上に飛んだ。手には指輪。あれってハルト君が使っているのと同じ物!?

 

――――ドライバーオン。

 

 指輪がベルトに変わる。

 

「ここからはこっちも本気を出させてもらうぞ。」

 

 




かなり長めでもうしわけないです。

 ですが、次話も長めになると思います。


 さて・・・いよいよアギトに関するある事実が明らかになります。

 
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