今回はゲーム開始前夜までです。
さあ・・・皆の決意を見てください。
SIDE イッセ―
俺達は部室に集まっていた。
その理由は前回のレ―ディングゲームでの俺達のステータスを見ることになったのだ。
ちなみに始さんの処遇はすぐに決まった。
剣崎さんの友と言う事で・・・また部長が使い魔にしました。
「ふふふふふ・・・これでさらに戦力増強よ。」
部長、簡単に使い魔にしましたけど・・・始さん、とんでもなく強いですよ?それこそ剣崎さんと互角なレベルで。
「ちかく、エイジさんも来ることは決定している。戦力はどんどん集めたいの。敵も厄介だし。」
しかも学校の用務員第三号になったし!!この学校、イケメンの用務員が三人もいるってネットで話題になっていますよ!?
四号もすでに内定。ははは・・・うちの学校の用務員もまた一味違うぜ。
「助かる~。一人では手が一杯だったんだよ。でも・・・結構手慣れているな。」
「お前を探している時に色々あった。こちらも永く旅をしてきたからな。」
どうも始さんも何かを持っている。
うちの眷属・・・相当強化されていないですか?
「・・・俺はやらかしてしまったと思っている。」
俺達のデータにアザゼル先生は頭を抱えている。
グレモリ―眷属は典型的なパワーだとされていた。
だが・・・良太郎と俺がそれをかなりの部分でカバーしていることが判明したのだ。
ゼノヴィアはテクニックも改善されている。牙突を必殺技にしたのが相当功を奏した結果だ。もちろんパワーはさらに増強されているが。
佑斗は防御面の改善。スピードとテクニックのさらなる強化が目立つ。パワーも向上しているし、テクニックタイプとしてバランス良く、順調に成長している。
小猫ちゃんはマジックも含め、高いレベルでバランスが取れている。
朱乃さんは全く手札は見せなかったけど、マジックが異常に高くなっている。どうも修行中にさらに磨いたようだ。
部長は・・・・。
「・・・・・・・・ははは・・・。」
部長、素で新人悪魔第二位のパワーを誇るようになりました。眷属内では素の状態の俺を抜いてナンバーワン。
「ハハハハハハハ・・・修行の成果がでたわね。」
おそらくサイラオークさんと素で殴りあえるレベル。部長もダントツのパワーだ。
「後悔はしていない・・・って言いたいのに、なんだろう・・・この悲しさ。何か大切な物を失った気が。」
部長、笑っているのに涙がほろりと。
大丈夫ですって・・・素敵なおっぱいは全く変わっていませんから!!
「・・・お前さんの拳は俺も受けたくねえな。」
拳の破壊力その物は素のサイラオークさんですらしのぐと。何か変な技を良太郎より教えてもらい再現したらしい。
踏みつけるだけで地割れどころか、床が一斉に粉々の砂になることと関係あるのか?
魔力を込めればどんな結界も粉々になるらしいし。
スピードは良太郎がダントツ、時点が裕斗だ。
特に良太郎のスピードは異常だ。佑斗はナイトとして随一と言えるスピードを誇っている。
でも、普通の兵士であるはずの良太郎のスピードはサイラオークさんすら超えると出ている。
スピードだけなら新人悪魔の中で断トツと言う恐ろしさ。パワーは平均。でもテクニックも最高クラスなのだから性質が悪い。
これにあの切り札があるから始末が悪い。
「僕も負けていられないね。」
「私ももっと突きを鍛えねば。」
剣士三人が燃えている。
俺は変身前のステータス。
パワーに秀でていると思いきや・・・。
「テクニックが測定不能?」
俺のテクニックの数値がサイラオークさんの馬鹿げたパワーと良太郎のスピードすら突き抜けた状態。
可笑しい。
どうしてこんなに・・・。
「アギトの本能のせいだ。」
アザセル先生が頭痛そうに俺を見る。
「前の戦いでお前は幾つも奇跡としか思えないテクニックを使っただろ?あんなの魔王どころか神すら出来ねえ芸当。そんな事をしでかすお前への冥界上層部からの適切な評価だ。パワーそのものですら、下手なパワータイプを軽く蹂躙するくらいの物があるのに、反則もいいところだ。」
テクニックタイプですか・・・。禁手化しない俺ってそうなるの?
俺は首をかしげていた。
だが先生も同じく首をかしげていた。
「だが・・・それでも異常でもある。まるでお前が数千年もずっと闘い続けてきた様な異常なまでのテクニックを見せるようになってきた辺りが・・・。」
修行で確かに多くの先輩達を手合せはした。
でも修行終了前には先輩達ですら舌を巻くほどのテクニックを俺は身に付けていたのだ。
誰もおしえてもらってない技すらも。
まるで誰かの経験をそのまま己の物としたような・・・。
「もしかして・・・覇と・・・。」
アザゼル先生は俺の左腕に現れたブースデットギアに軽く触れながら考え込む。
一体何を考えこんでいるのだろうか?
考え込んでいると言えば最近ドライクとクレアが良く神器の中に入り込んでいる。
どうも想定外の事が発生したから、それを修正するらしい。
クレアも慌てていたし・・・。一体何が起きているんだ?俺の身体に?
「やり過ぎた・・・といいてえが、これくらいが良かったと思うべきか。アーシアといいお前といいアギトって恐ろしいもんよ。」
ちなみにアーシアのステータス?
すべて計測不能。
それが答えだった。
アーシアだけは今だ全貌わからず。
ギャー助もまた全貌わからず。
レ―ディングゲーム出場禁止にもなるほどだ。
「それで・・・この後の試合だが・・・。」
前回反則負けとなったゲーム。次こそは勝つと皆は張り切っていた。だがその相手が・・・。
「よりによってディオドラなのね。」
「・・・・・・。」
その言葉に巧が表情をこわばらせる。
その理由?
「・・・前回のゲームの映像だ。」
アザゼル先生も苦虫をつぶしたような表情をしている。
その理由は・・・映像を見て明らかになった。
ゲームの終盤。キング同士の戦いになった時だった。
異常な力を発揮し、シ―グヴァイラさんを圧倒したのだ。
魔女の修行を積んだはずの彼女はそこらの悪魔とは一線を画す実力を持つにも関わらず。
しかもシ―グヴァイラさんは何故か実力を発揮できない。体の動きがわずかな差だけど可笑しいのだ。
『・・・・・・・。』
当然、同じ魔女である朱乃さんもユウナも気付いている。険しい表情を浮かべている。
そして、倒れ伏せたが何故かリタイアが作動せず。
リタイアシステム不調と表示がでている。それでも明らかに戦闘不能になっていたのだ。
だが、そんなシ―グヴァイラさんを高笑いしながらディオドラが容赦なく攻撃を仕掛ける。
殺しても構わないといわんがかりに。蹴りとばし、殴りたりと・・・。
そこに止めと言わんばかりにディオドラが魔力を込めた渾身の砲撃を仕掛けてきたが・・・。
それを止めたのは、巧だった。
ゲームフィールドをクリムソンスマッシュでぶち破りながらディオスドラの攻撃を止めたのだ。
倒れたまま動かないシ―グヴァイラを抱き起こし、巧は去ろうとする。
そこにディオストラが攻撃をしかけようとするが・・・変身を解除し、シ―グヴァイラさんを御姫様だっこしたまま巧があいつを睨みつけたのだ。
それにディオドラは攻撃を止める。ふざけた笑みが恐怖へと変わったのだ。
どんな表情をしたのかはここから見えない。
だが、その後で今度はウルフオルフェノク・・・それも激情体に変わったことからある程度は察することができるぜ。
しかも、その後ろからザムシャーさんまで現れたのだから・・・ディオドラは手を出さないでいた。
何故か起動しなかったリタイアシステムの代わりに巧がシ―グヴァイラさんを医務室へと連れて行く。
風の様な速度で。
・・・・・・・。
この光景を見て俺達は納得していた。
なるほど・・・だから今朝から巧がすごく怖かったわけだ。
そして、アーシアが姿を現す。
「治療終わりました。あと十二時間と二十五分ちょうどで眼を覚まします。」
「・・・ありがとう。なら安心だ。」
意識不明の重体だったシ―グヴァイラさん。その治療を巧がアーシアにお願いしたのだ。
・・・・・・ちなみに意識覚醒の時間がすごく具体的な事については突っ込まないでおく。
だってアーシアだから。それが俺達の新たな共通認識だ。
「みんな・・・頼む。絶対にあいつに勝ってくれ。」
巧は俺達に向けて頭を下げる。
ゲームで戦って負けたことは仕方ない。だがリタイアシステムの不調につけこみ、シ―グを殺そうとした事はどうしても許せないのだ。
だが、巧はレ―ディングゲームに出れない。
それ故に俺達にお願いしたのだ。
勝ってくれと。
「・・・ええ。同じ魔女として、必ず仇は討つわ。」
「私も修行を手伝う。あいつだけは許せない。呪いを使ってくるなんて・・・。」
朱乃さんとユウナの怒りはもっともだ。
本当に魔女同士の絆は強い。
どうも不調だったのは呪いのせいらしい。
「・・・・・・魔女に呪い・・・。確かに変だな。それにあいつ自身の異常なパワーアップも可笑しい。きな臭いぜ。」
アザゼル先生は唸っている。
俺たちも同じことを思っていた。そして、その理由は何となく察してもいたのだ。
「・・・オーフィスの蛇・・・か・・・。」
巧に続いて今度は渡か・・・。凄味がでているぞ。
「一応、調査している。あいつの化けの皮・・・はがしてやる。」
「こちらもすでに情報戦は開始している。いままで培った伝手を今度こそ全力でやらせてもらう。」
アザゼル先生と渡はすでに情報戦を開始しているってわけですかい。
「みんな・・・やる気は十分だな?」
当然のように頷いてくれる。
俺達は戦いを決意していた。
今度は色々な意味で勝たないといけない。
どんな制限が掛かるのか怖いところだけど。
SIDE ドライグ
俺達は神器の中で人としてのかりそめの姿をとって立っていた。
―――――アギトの本能・・・。相棒はきづいていないだろうが・・・過去の亡霊達の戦闘経験値まで吸収し始めているのだぞ?
―――――えっ?それって本当?
俺は神器の奥に眠る歴代赤龍帝の残留思念の事をすでにクレアに話していた。
それが覇龍の元にもなっている。
相棒は無意識のうちに覇に触れている。
歴代赤龍帝の経験値すら己の物にするのはもちろんアギトだからだろう。
残留思念。それをサイコメトリ―のように読み取り、己の血肉と化している。
そんな無茶苦茶な現象に呆れて溜息がでてくる。
アギトだから・・・。最近それだけで色々な不思議現象が説明できる。
我が相棒ながら規格外もいいところだ。何やらかしても驚かないつもりだった。
だが、それでもまた驚かされる。
相棒はどうもアギト以前にとんでもない星の下に生まれていたようだ。
――――今、覇龍を発動させた時、何が起こるのかこちらは想像もできない。こいつのせいでな。まさか覇龍の中に紛れ込んでいたとは。
――――それは私も感じていた。眠ってはいるみたいだけど・・・。何かがいるとは薄々感じてはいたわ。人ではない強大な存在が・・・。
相棒すらもまだ気づいていない何か。それが相棒へと私が移った時に入り込んでいた。
ただ分かっているのは、まだ眠っているが・・・
―――あれは怒りの化身だろうな。
――――えええ・・・。なんとかしないと危ないわ。私達でもあれを御することはできない。危険すぎるわね。
―――ああ・・・。こいつが目覚めると大変なことになるぞ。最低でも竜神クラスはある。何でそんな危険な存在が相棒の中に・・・。
今俺達は神器内でその存在を何とかしようとしている。
黒い巨体を誇る怒りと破壊の権化を・・・。
SIDE ???
「久しぶり・・・まさかあなた達と再会できるなんて・・・。」
その頃私達は旧交を温めていた。
「うん。マミさんも元気そうで・・・。」
私はこの世界で魔法少女の仲間と再会できた。
「マミさんが来てくれるなら百人力だよ。」
まどか・・・。
「あんたがヴァルキリ―なんてな。」
「お互い凄いところにきたわ~。」
さやかさんに杏子さん。この二人が天界のスタッフとしてこの家に住む事になった。
それはまどかの家である。
「・・・歓迎するよ。だからリボンはほどいてくれないかい?」
「・・・あなたにはお仕置きが必要ですから。」
ただ、そのまどかがあのままの姿で結婚、そして子供までいると言うとんでもない事態には面食らったわ。
今その犯罪者をリボンで縛りつけている。
私がまどかの事を聞いて、すぐにその翔一さんがでてきたわ。
その時・・・私は遠慮なく「ティロ・フィナーレ」と言ってかましてやったわ。
私はその時の一撃を全く後悔していない。
でも、それで焦げた程度なのは悔しかったわ。
それはもう心底。
「あの・・・僕はまどかだからいいわけで。決してロリコンじゃ・・・。」
『・・・・・・。』
翔一さんっていうのでしたね。その弁明にさやかさんと杏子さんも冷たい視線を送り続ける。
「まだ納得できてねえ・・・。」
「犯罪者としか思えねえし。」
「そっ・・・そんな!!」
「はあ・・・今も私は娘を妊娠しているというのに・・・。うっ・・・きもちわる~。」
「大丈夫かい?」
・・・・・・。
私の拘束をあっさり抜けて翔一さんはまどかに駆け寄る。
その気になればやっぱり抜け出せたか・・・。
それも簡単に。
「しかたないって。多分まどかと同格の力を持っている人だから。」
悔しいけど、納得もしてしまう。
だからまどかさんを助けることができたのだと。
「・・・でも力その物は完全じゃない。まだ翔一君の力を一部借りているし。」
結婚し、この世界の神の後継となる息子を産んだまどか。
「・・・あの子がまどかの息子か・・・。私、すごく歳とった気分になったわ、」
「いわないでくれ。」
「ははははは・・・だが、いい奴だぜ?かなりえろいけど・・・。」
エッチな子だけど、逆に欲望は生きたいという気持ちの表れ。
「むしろ、英雄、色好む・・・か。はあ・・・新君ももっとそう言う事に持ってくれれば・・・。はあ・・・私がいながら・・・」
『・・・・・・・。』
あっ・・・あれ?
なんか他のみなさんが・・・。
「へえ・・・マミさんは歳下がお好みですか・・・。」
ばっ!?
私はとっさに己の口を手で押さえた。
でももう遅い。
「ヴァルキリ―が神の子を愛する・・・いい話じゃないですか。ははははははは。」
しっ・・・しまった余計なことを・・・。
他三人の興味深々な笑顔がこちらに向けられる・・・。
「じっくりと聞かせてもらうよ。安心して、結界はあるから。」
「・・・やれやれ。だったらこっちは席をはずそう。何か茶受けでも作ってこよう。」
「翔一君、お願いね・・・ふふふふふ・・・。」
まどかの笑みに凄味がある。まるで獲物を捉えた虎・・・いえ、ドラゴンの様な笑み。
にっ、逃げられない!?
この後・・・私は新とのことをじっくりと尋問されました。
はははははははは・・・まどか。あなたは確かにお母さんになったわ。
恋愛に関してここまで余裕を持つなんて・・・。
SIDE アーシア
明日はレ―ディングゲームの日。
色々あって体育祭と重なりましたけど・・・。
体育祭では私はイッセーさんと二人三脚に出ます。
運動は得意じゃないけど、こっちも明日に備えて一生懸命練習してきました。
目指せ一番です。
「アーシア・・・。」
私が月夜を見上げていた事に気付いたのでしょう。
ゆーすけ兄さんがベランダにでてきました。
「眠れないの?」
「色々と・・・明日は大変なことになりそうですから。」
「・・・・・・。」
その言葉にゆーすけ兄さんから不安の気持ちが現れます。
「分かっています。きっと明日のゲームで大事件が起きますから。」
「・・・・・・っ!?アーシア・・・それを分かっていてどうして・・・。」
私は微笑みます。
「だって・・・みなさんを信じていますから。どうあがいても私は誘拐されます。そこから先は予知できていませんけど・・・イッセ―さん達や兄さんがいるなら・・・。」
「・・・・・・アーシア、君は・・・。」
ゆーすけ兄さんの身体から諦めにも似た様子で力が抜けます。
「君は・・・なんて強い。」
私が・・・強い?
「少なくても、今まであってきたどの人よりも君は強い。誰よりも心が・・・。」
「・・・・それは兄さんも同じです。」
「へっ?」
私はゆーすけ兄さんを抱きしめます。
私はすでにある程度読み取っていました。
ゆーすけ兄さんがたどった軌跡。クウガの力を得て殴り・・・殴られる痛みに耐えながらずっと戦い、そして戦い抜いてきたことを。
そのすべてが抱きしめることで伝わってきます。
「私は兄さんの妹である事を・・・・・・誇りに思います。」
「・・・ッ!?」
「だって・・こんなにも強く、優しい兄さんですから。」
兄さんの瞳から何かがこぼれます。
それが何かは・・・あえて気づないふりします。
だって・・・それだけ兄さんは頑張ってきたのだから。
本当に私よりも強いと思えるくらいに。もう戦わなくていいし、出来れば戦ってほしくないと思っています。
でも、それが出来ない。
そんな現状・・・私が変えないといけない。
「何があっても必ず君を助ける。だから・・・。」
「はい・・・。アザゼル先生、渡さん、ポルムさん・・・皆をお願いします。」
「・・・チェ・・・気付いていやがったか。」
「・・・・・・ごめん。多分これが、最善の手だから。」
アザゼル先生と渡さんが屋根の上からベランダへと飛び降りてきます。
「みんなにはあえて知らせてねえ。だが・・・何かあったら・・・。」
そして唐突にアザゼル先生は土下座までして私に謝ってきたのだ。
「本当にすまねえ。巧の命の恩人を危険にさらすことになる。だから、この作戦、俺の方も命をかけさせもらう。」
先生にとって、断腸の思いだったのでしょうね。だからこそ・・・。
「・・・先生を信じています。だからこそ、先生ってみんなから慕われるのですね。」
非情な決断もできる方です。心がどれだけ悲鳴を上げても。
でも、それを己の命をかけてやりとおすだけの人です。
先生が堕天使の長でよかった。
「・・・ああ。サーゼクス達にも連絡はしてある。出来る限りのことはもうやった。」
「安全のために・・・こちらも策がある。これを・・・。」
ポルムさんがあるカードを渡してくれます。
「これは身体に直接収納できる。だから・・・。」
「ありがとうございます。切り札になりそうです。後・・・もう一人攫われますので覚悟してください。」
「もう一人?」
「そのための切り札を・・・剣崎さんがすでに持っています。朝の間に渡すように言ってください。そうでないと・・・最悪の未来が・・・。」
明日・・・私は攫われる。
もう一人、私の友達も・・・。
それでも、私は決着をつけないといけない。
こんな時に肝心のあの子が・・・。
「アカリちゃん・・・繭になっちゃったから・・・。」
アカリちゃんは今とんでもない場所で繭になっていた。
その場所は・・・世界樹ユグドラシル。
アカリちゃんがおっきな木のあるところで繭を作りたいとリクエストし、新さんのおかげなのか、世界で断トツに大きなユグドラシルの根元で繭になりました。
北欧神話の方々にはすごく迷惑をかけていますね。一応、新さんのお姉さんが警護に着いてくれているので問題ないといってくれています。
羽化したらその姉さんごと飛んでくるとも。
もうすぐ、アカリは成虫へと変化します。ゲームに間にあうか微妙ですけど。
それが間に合えばいいのですけど・・・。アカリがいないと大変なことになります。
「みんな・・・明日はよろしくお願いします。」
決戦は明日。
SIDE イッセ―
アーシアは決意している。それを耳にしながら俺は考え込んでいた。
「明日・・・何かが起きる・・・。」
アーシアの様な予知はこっちにはできない。でも、明日、何か重大な事件が起きようとしている事だけは間違いなかった。
アギトの勘が激しく警告を発していたのだ。
そのために、今日は休む。明日のために・・・。
そんな時、地下道場に人の気配があったのでそこに立ち寄った。
数々の人外共の手合せに耐えられるようにとにかく頑丈に作られたそこにいたのは二人。
一人はゼノヴィア。
もう一人は良太郎だった。
二人は木刀を構えている。
良太郎は木刀を下に垂らすようにして楽な構え。
ゼノヴィアは半身を引き、例の牙突の構えを。
二人の姿がそのまま消える。
そして、闇夜の中で二つのぶつかり合いが巻き起こる。
現れたのはすれ違った二人。
「・・・・・・突撃のスピードだけならお前に引けをとらないな。」
「複数の斬撃のおかげで牙突の弱点を完璧にカバーしている。まさに驚異だよ。しかも、あまりに速くてかわしきれなかったし。」
瞬時の激突。ゼノヴィアは三連撃の牙突を放ったのだ。
それを交わしつつ回転し、カウンターを決めようとする良太郎だが、それをあらかじめ背後から現れた二つの斬撃が防ぐ。
刹那の間の攻防。それでも防ぎきれなかったのか、ゼノヴィアの背中の服が少し裂けている。
最も良太郎も道着の脇が斬り裂かれているが・・・・。
「今は同時に五つ。これくらいしないとお前達に対抗できないから恐ろしい。」
「全く、これをデュランダルでやったらどれだけになるか。」
「・・・お前達・・・すげえな。」
俺は思わず声をかけていた。
「みていたのか?」
「ああ。こっちには到底できない領域だったけど。」
間違いなく二人は剣士として超一流の実力を持っている。
「アーシアを護るためにな・・・。あいつはこの世界での大切な友達だから。」
「えっ?」
「嫌な予感・・・感じているのが自分だけだと思った?」
良太郎の表情が険しくなる。
「前世の勘もあるが・・・必ずあいつがなにかかけてくる。何かが起きると・・・。」
「他の皆も感じているはずだよ。まあ、前世の分も含めてみんな修羅場をくぐり抜けているからね。何となく分かっちゃうよ。」
そうか・・・他のみんなも明日のことを・・・。
「脅威から逃げることはできない。でも、立ち向かう事くらいはできる。前世は男、今は女!!それでもこの世界の大切な友達に変わらないんだ。アーシアは・・・。」
ゼノヴィア・・・お前・・・。
「姉さんが頑張っているんだ。こっちも張り切らないとね。」
「へへ・・・そういうことだ。」
道場に誰かが入ってくる。
それは・・・良太郎が契約しているイマジン達。
モモタロス。
ウラタロス。
キンタロス。
リュウタロス
そしてジ―ク。
そしてそれにデネブが加わる。
「戦略ならこっちが得意とするところ。任せてほしいね。覚えたての新しい力を発揮したいし。」
「よっしゃ!!鬼の力をみせたるかい!!」
「踊りながら撃つよ。お姉さん達から凄くハッピーな撃ち方をおしえてもらったんだ。」
「さて・・・華麗にいこうか。」
そう言えばイマジン達も強くなったっけな?一体何を習得してきたと・・・。
――――――・・・我々の目覚める時が近づいているということか。
―――――きゃはははっ・・・いいねえ。楽しみだよ。
『!?』
この場にいない二つの声が聞こえてきた。
しかも、ゼノヴィアから。
「・・・どうやら本当に私の中に別のイマジンが憑いているみたいだな。」
・・・・どうも不安要素だらけで困る。
しかも、ゼノヴィアの奴呑気にそれを受け入れていやがるし!!
「な~に。いざという時に役に立ってもらうさ。宿賃位は貰わないと。」
『・・・・・・。』
何と豪胆な考え。
ただそれに呆れることしかできなかった。
そうして、俺がリビングへと飲み物を取りに行くとき・・・。
「・・・覚悟はしていたわ。」
リビングでイリナの声が聞こえてきた。
話しているのは・・・ミカエル様と剣崎さん?
「そうか、すでに君は・・・俺達と同じ・・・。」
「・・・うん。」
イリナが軽く自分の腕を傷つけると・・・。
流れてきたのは赤ではなく・・・緑の血・・・。でもすぐに赤になり、それと共にすぐに傷がふさがる。
「・・・アンデット化していたのか・・・俺と同じで・・・。」
剣崎さんはあらかじめ確信していたのだろう。
「それを天使として・・・私のエースとして迎え入れました。イリナさん、今のあなたは上級天使でもあり、そしてアンデット、それもジョーカーでもある特異な存在です。」
「言うなればエンジェルアンデット。天使達の始祖と言える存在・・・ということか。」
「・・・イリナ。」
その隣では弦太郎が心配そうに話しかけている。
どういうことだ?イリナがアンデットって?天使になったわけじゃ・・・。
――――おそらく、あのカードの影響だろう。
おっ・・・ドライク戻っていたか?
ドライク達は最近神器の奥に潜ることが多く、首をかしげていた。
どうも覇龍を抑えるために色々とやっているらしい。
―――こっちもできることはしたわ。でも・・・
――――不安要素はてんこ盛り。
まあ・・・それはおいおい何とかなるだろう。それよりもイリナの今の状態って・・・。
―――――剣崎殿と同じだろう、
剣崎さんって、確かアンデットカードとの融合係数が高すぎる故に、その力で人からアンデットになってしまったって・・・・っ!?
それで気付いてしまった。
イリナは生身でカードを使用できる。それはつまり剣崎さんよりもさらに融合係数が高いということ。
つまり・・・。
――――あの子はすでにアンデット化が進んでいた。それも本人が気付かないレベルでゆっくりと・・・。
――――それが、天使化による転生で・・・。
「だから私の腰にこれがあるわけか。」
腰には剣崎さんや始さんと同じ碧のカードリーダーがある。
「・・・・・・・・。」
だが、首を横に振って気丈にイリナは応える。
「でも、ある意味今更。」
今更って・・・。
「だって、人を止める決意はすでに決めていたわ。それがジョ―カーの力を得た天使になっただけのこと。見た目の変わらないのが救いだわ。」
「イリナ・・・。」
「ただ・・・少し怖い。イッセ―君や、他の皆がどう思うか・・・。」
そこに俺はドキッとしてしまった。そうだった・・・イリナって俺のことを・・・。
でも、戻ってきてアプローチがあまりないなと思っていたけど、それが背景にあったのか。
「・・・はあ・・・そうか。だが、それすら今更じゃねえのか?」
弦太郎は呆れていた。
「すでにイッセ―はお前と同じ立場の剣崎さんや始さんと仲がいい。アンデットと言う存在も十分理解している。それに・・・お前は一人にならねえ。この世界でよかったぜ。」
「そう・・・だったわ。でも、怖い・・・。」
「・・・だったら、明日おもっきりぶちまけろ。いい機会だし・・・。」
そんな不安そうなイリナの前に一杯のお茶がおかれる。
置いたのはゼ―ベス星人のガブさんだ。
「飲んでください。落ちつきますよ。」
「うっ・・・うん。」
それを口にするイリナ。そのお茶に・・・。
「おいしいわ・・・。」
「そうですか。よかった。この世界のお茶と言う物を調べ、私なりに今の状況に最善の組み合わせを考えたので・・・。」
「気分も落ちつく・・・。」
「良かったです。ポルムさんに簡単な錬金術をならって甲斐が・・・。」
『・・・・・・。』
平然と行われる会話に俺達は驚いている。
見た目はかなり怖いゼ―ベス星人。
だが、その内面が確かに変化している。
「この家は私の様な者でも受け入れてくれました。アーシア様だけじゃなく、他のみなさんも・・・だから大丈夫です、イリナさん。」
ガブさんは励ましていた。
「イッセ―さんなら受け入れます。あなたと言う存在は何も変わっていませんから。」
「・・・・・・グス。」
その言葉にイリナさんが涙目になり、そのままガブさんに抱きつく。
「・・・あなたと出会えてよかった。そう思えるわ。」
「それは私もです・・・弦太郎さん。」
ガブさんはあえて人間、それも女性に変身して告げる。
「あなた言った友達の意味・・・分かった気がします。本当にいつの間に・・・。」
「・・・ああ!!」
弦太郎の奴が笑顔を見せる。
「ふっ・・・あなたを天界の切り札にしてよかった、本当に・・・。」
「こうやって分かりあえて行くのか・・・。アンデットですら・・・。」
「ああ・・・。」
「もう・・・。」
イリナは涙をそっとぬぐって言う。
「ガブさん。そのお茶の創り方教えて!!」
「えっ?いいですけど・・・。」
「じゃあ早速部屋にGOよ!!アーシアとゼノヴィアにも飲ませたいし。」
そう言って二人はリビングから出ていく。
それはもうどう見ても・・・ただ中の良い友達にしか見えない。
そして、剣崎さんと始さんはミカエルさんと一緒に出ていく。
弦太郎はリビングのソファーで軽く何かを考えている様子だった。
まったく、俺は卑怯かな?
「いや・・・そのまま居てくれてありがとよ。」
弦太郎がこっちを見ずに声をかけてくる。
俺がのぞいているのに気づいたのか?
「一応、フォースを学んでいてな。ダチの気配にはこれでも敏感なんだぜ?」
「ったく・・・お前には負ける。」
苦笑しながら俺はイリナと入れ替わる形でリビングに入る。
「・・・安心してくれ。ちゃんとイリナの事は見ている。」
「そうか。なら安心だ。」
皆が色々と抱え込みながら夜は更けていく。
でも、俺達のやる気には変わらない。
SIDE ???
いよいよ明日。
邪魔なアギトどもを一掃できる最大のチャンスがやってくる。
旧魔王派の者達も存分に暴れてくれる。
そして・・・。
「誘拐成功の確率95%。」
巨大なガラス容器に入った一つ目がついた脳みそみたいな怪物。
名前はマザーブレイン。
その力は重宝させてもらっている。
性能を強化したおかげで、われわれの頭脳として役に立っている。
「スペースパイレーツ復活の狼煙を上げます。」
「いいぜ。部下はこっちが丁重につかってやる。」
私の隣では牙王が張り切っている。
己の母艦の乗組員のめどがついた事に大変満足している様子。
「アギトに関しては我らが・・・。」
私の傍に現れる水のエル。
「あなたの任務はただ一つ。分かっていますね?」
「ハッ・・・アギトを狩ること。それが使命。もう一人のエルと共に・・・。」
「ギャハハハハは!!頼りになりますね~。アギトハンターと言える使徒がでてくるのですから。」
ザボエラが水のエルの存在に歓喜の声を上げる。
「ふん・・・。だが勘違いするな。我々がお前達に従っているのは・・・。」
そこに現れる三人の悪魔。
それは旧魔王派の者達。
「わかっているよ。望んでいるのだよね?君達が魔王として君臨する世界を。そんな世界にすることを私は約束するよ。」
「それならいい。悪魔らしく生きれる世界であれば・・・。」
そのうち一人・・・カトレアが・・・。
「いよいよ・・・なのね。」
「ああ・・・。いよいよ始まる。」
アルビノジョーカーと手を取り合い見つめあっていた。
あの二人・・・。
『共に新しい世界を・・・。』
悪魔とアンデットの愛・・・ですか。
種族を超えた面白い物を・・・。
「・・・いよいよですか。新たなバトルロイヤルの開始は・・・。」
明日・・・冥界で戦争が勃発する。
そこで神となろうとしている二人のアギトを始末する。
必ず・・・。
まだ続きますが、この時点でアーシアはある程度何が起こるのか察しています。
それでもその余地をした上で皆を信じているのです。
そしてイッセーの中に眠る謎の存在。
それがこの章で大暴走します。