赤龍帝の幼なじみ達   作:THIS

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 大変遅くなって申し訳ないです。

 かなりひどいスランプに陥っており、別の試みをしているのも手伝って投稿が大変遅くなりました。

 ですが・・・何とか一話分を投稿します。

 次の投稿でこの章を簡潔させたいですね。


 あとあとがきで二周年記念の追加の話を。


蹂躙します  

 SIDE  巧

 

 今ゲームの会場は乱戦騒ぎになっていた。

 

「親父の奴・・・勝手に格好つけやがって。」

 

 親父と渡の奴があえて囮を使うという作戦をとったのはさっき初めて知った。

 

「ハルト・・・お前は知っていたのか・・って・・・。」

 

「アザゼル・・・こういう事はきちんと言ってほしい・・・。」

 

 ハルトの奴がかなり切れている。

 

 えっ?ハルトが知らなかった?

 

――――わりぃ・・・言うのを忘れていた。ポルムの奴が伝えていると思って・・・。

 

 そうか・・・やっぱりポルムの奴も噛んでいたか。あいつはこういった悪企みは得意そうだし。

 

「うまくいってもいかなくても総督殺しは覚悟しておけ、アザゼル。」

 

―――・・・今回は甘んじて受ける。だが・・・。

 

 あれを甘んじて受けるというあたり、相当な覚悟だ・・・。

 

「・・・こちらとてアーシアちゃんを助けたくないわけじゃない。むしろそのために大暴れさせてもらっている。」

 

―――本当にすまねえ!!・・・・あと、これだけ言わせてくれ。

 

 ハルトにとってもアーシアちゃんは大切な恩人である。攫われたと知って早速キレていた。

 

 それが今周りで山積みになっている旧魔王派の悪魔達に向けられていたのだ。

 

「ががががががががががっ。」

 

――――・・・手加減位はしてやれ。

 

 そして、今右手で掴んでいるのは長髪の貴族風の服を着た男。どうも幹部クラスらしいが・・・。

 

「ハッ・・・放せ!!私を誰だと思っている!!真なる魔王であるクルゼレイ・アスデモウス・・・ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「はいはい・・・そう言うのはもう良いから・・・。」

 

「ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 情報通りなら、ハルトが今総督殺しをかましているのは、旧魔王派の幹部だったはず。

 

 それを片手間に痛めつけている・・・。流石ハルトと言うべきか。

 

「こっ・・・こうなったら・・・・!!」

 

 あいつが懐から何かスイッチみたいな物を取り出し・・・。

 

「むっ!?」

 

 その光に驚きハルトが手を放すと同時にそいつは変身した。

 

 全身にカニのような赤に棘の突いた甲殻を身に付け、右腕がカニのハサミになっている怪人へと。

 

「ふははっははゾディアーツが一人・・・キャンサーゾディアーツ。」

 

 あいつは勝ち誇った笑いをしている。それだけ強くなった自信があるのか?

 

「オ―フィスの蛇と組み合わせれば・・・偽の魔王やカラス羽ごときに遅れをとることはないのだぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 むう・・・確かに強くはなっている。

 

 なっているが・・・。

 

「・・・ハルト君・・・。」

 

 そこにサーゼクス様がやってくる。

 

 どうもハルトとクルゼレイが対峙している場面を見て慌てて駆けつけてきたらしい。少し息が上がっている。

 

「頼む・・・最後に彼と話をさせてくれ。」

 

 その言葉にハルトの奴も彼の顔を立ててあげたみたいだ。

 

 それに最後って言うあたり・・・良く分かっている。

 

「こっちに戻ってくるつもりはないのか?」

 

「ハッ!!そんなつもりはない!!」

 

 だが、それを跳ねのける。

 

「お前達偽の魔王は軟弱な事に他の勢力と和睦を結ぼうとした。それがどれだけ屈辱的なことか!!

 

 形勢逆転をしたとでも思ったのだろう。

 

「この世界には悪魔だけでいい。他の種族はいずれ滅ぼす。そのためにはお前達が選んだ神の後継は極めて邪魔だ。全世界の融和の象徴となった二人のアギトはな!!」

 

 己らの大義を掲げる。

 

「だから消す。あの二人がいなくなれば神亡き世界!!我々の天下・・・」

 

「・・・・・・。」

 

 俺は隣でハルトを見る。

 

 うん・・・笑みを浮かべている。額に怒りの四つ角が幾つも浮かんだ状態で。

 

「覚悟しろ!!偽りの魔王!!」

 

 サーゼクス様に向けて右手のハサミで襲いかかる・・・。

 

「サーゼクス殿・・・あなたは優しすぎます。」

 

 だが、そのハサミが横から来たハルトの右腕が粉々に打ち砕く。

 

「なあっ?なあああっ!?」

 

 粉々に砕けたハサミを見て驚愕の悲鳴をあげるクルゼレイ。

 

「・・・すまない。彼らを負いつめたくないと思った私の甘さが・・・。」

 

 助ける必要などなかったのだが、あえてハルトは手を出したのだ。

 

「でも、あなたはそのままでいてください。それが今後の悪魔のためになる。アジュカ殿も同じことを思っているはずだ。」

 

「ハルト君・・・。」

 

 サーゼクス様の意思をわかったが故に。

 

「きっ・・・貴様!!がばっ!?」

 

 激昂したクルゼレイをハルトは蹴り飛ばす。

 

「サーゼクス殿の優しさに免じて・・・殺すのだけは止めてやる。だが・・・。」

 

――ドライバーオン!!

 

 腰にベルトを召喚。

 

――――――ヒ―・・・ヒ―ヒ―ヒ―!!

 

 そして、変身する。

 

「我が恩人を貶めようとし、友を侮辱した罪・・・それだけは許し難し・・・。」

 

 右腕にある指輪を装着。

 

「ハルト・・・お前本気をだすのか?」

 

「ああ・・・。本気で怒らせた礼としてな・・・。」

 

 ハルトの奴、怒りの上限が突破していやがる。

 

「見せてやるよ。なあ・・・蛇よ・・・。」

 

――――サモン・・・。

 

 ハルトの右腕に蛇のようなオーラがまとわりつく。

 

「こけおどしをぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 ハサミを再生させ、ハルトに挑みかかるクルゼレイ。

 

 だが、その蛇のオーラに触れた瞬間・・・すべてが粉々になった。

 

「なっ・・・なにぃぃぃぃ!?」

 

「ある意味これは星座繋がりかな?我が腕にいるのは名も無き原初の蛇。世界最初の誘惑者なのだからな。ある意味お前達悪魔とも縁が深いだろ?」

 

 それがハルトの腕にいる存在の正体。

 

 人がエデンを追放されるきっかけとなった名も無き誘惑の蛇。

 

 それがハルトの右腕の正体。星座となったあらゆる蛇でもあり、あらゆる蛇の代表。

 

 不死の存在。

 

 その名は・・・エデン

 

――――――今度はこいつを喰らうのか?

 

「そうだよ、遠慮なく食ってやろうか、心を絶望に染めて・・・。」

 

 最近になってハルトはそいつとの対話に成功。もう一人の相棒として迎え入れたらしい。

 

 ハルトの背後からもう一体現れる。

 

――――ハルトの怒りを買うとは愚かな・・・。

 

 それはずっと一緒にいたと言う相棒・・・ファントムドラゴン。

 

「ひひひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!?」

 

 龍王クラスは確実なあいつの力に恐れ、悲鳴をあげる。

 

「・・・なんで君がそいつと契約を・・・。伝説の存在と言ってもいい存在を・・・。」

 

 エデンの蛇。神の目をくぐり抜けたその力は龍神クラスとされる。

 

「だっ・・・だが、同じ龍神であるオ―フィスの蛇がある限り私は!!」

 

「へえ・・・あの子の力を無理やりねえ。ならこれはどうだい?」

 

 あいつの左腕から黒い翼が現れる。

 

 その翼に眼玉がついており、その視線を向けた瞬間、相手は苦しみ出す。

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアア!?」

 

 それは絶叫といってもいいだろう。変身すら解除され、のたうちまわっている。

 

「ギャアアアアアっ・・・かっ・・・身体が!?腹が!?」

 

 あいつのもう一つの切り札は実は左腕にあると言っていたが、あの翼がそうなのか?

 

「ドラゴン相手じゃなくてもその呪詛は極めて強力だよ?こっちがそのように調整したのだから。まあ・・・おかげでイッセ―の家では行使できないけど。」

 

「まっ・・・まさかキサマ・・・コキュートスにいるあいつと・・・。」

 

「なんだと!?」

 

 サーゼクス様もなぜか驚いている。

 

「そういうことだ。お前が言っていた他種族の絶滅。その中で最難関とされるドラゴンに対する最大の切り札はもう意味を成さない。それを理解したか?その力はコキュートスごとこっちの物なのだからな・・・。いや~イッセ―のためになるかなと思って抑えておいてよかった。死亡原因を先につぶすっていい気分だよ。」

 

 コキュートスって、なるほど、あの翼から凄い冷気が漏れている。

 

 一気に周囲が冷えたよ。

 

「そっ・・・そんな馬鹿なぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「さて・・・。」

 

「ひっ!?」

 

「そろそろ覚悟は良いかな?」

 

 ハルトの最後通告はもちろんあれだ・・・。

 

「さあ、フィナーレの時間だ。」

 

 決め台詞と共にハルトはクルゼレイにゆっくりと歩みよっていく。

 

「くるな・・・こないでくれ・・・。」

 

 恐怖に腰を抜かしたクルゼレイ。

 

「来ないで・・・お願いしますから!!」

 

 それでも必死に逃げようと後ろに下がるが・・・無駄なあがきだった。

 

「こないでくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 必死で全身全霊の魔力弾を撃ち込んできたのだ。

 

 もっとも・・・。

 

 それが直撃しても、ハルトは何ですかそれ?と両手を広げてアピールする始末。

 

 全くダメージ受けてねえ・・・。

 

「あっ・・・ああ・・・ああ・・・。」

 

「大丈夫・・・死にはしないから。」

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 止めにハルトの奴が俺にドーナッツをくれた時の様な軽い口調でとんでもない事を言ってきたので、クルゼレイの恐怖が限界に達したようだ。

 

 悲鳴がもうおかしい。

 

 でもまあ、死にはしないわな。

 

「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「大丈夫。最初から最後まで痛いだけだから。それも死ぬほど。」

 

 いや、そこは痛いのは最初だけっていうところだろ!?

 

 死んだ方がましな目にあうのは確実だけど。

 

「・・・彼も超越者の一人なのだろうね。いろんな意味で・・・。」

 

 サーゼクス様がハルトに対する評価。

 

「あなたと同じ?」

 

「・・・我が弟の友の内何人が超越者になるのか怖くなってきたよ。イッセー君はもちろんとして、鋼鬼君と渡君、サイガ君、キリエさんは確実だろうし・・・。」

 

「ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!かっ・・・身体が凍るぅぅぅぅ!!」

 

 サーゼクス様はクルゼレイの悲鳴を聞こえないふりしながら遠くを見る。

 

 超越者・・・。

 

 それはサーゼクス様とアジュカ様、ダンテ様の三人の魔王に天道さん、ベヨネッタさんに与えられている称号。

 

ハルトおめでとう。

 

お前は人外からさらにランクアップ。

 

まさに色々な意味で論外の領域の仲間入りだぜ。

 

 イッセ―の幼馴染に人外だけでなく、超越者という要素まで加わった瞬間を俺は目撃した。

 

 まあ、他にあいつらも確かにある一線は越えているのは納得。

 

 俺には縁のない話だと思うからいいけど。

 

「巧・・・それはフラグだから。」

 

 ってハルト!!何言っていやがる!!俺も確かに人外だが、そこまで化け物になった思えはねぇ!!

 

 あと凍りついたクルゼレイを左手で掴んでもちあげるな!!それはそれで怖いから!!

 

 クルゼレイの断末魔の顔のまま凍りついているのが特に!!

 

 キレてそのまま背中から紅いフォトンブラットの翼を四対出現させる。

 

 って・・・四対!?

 

 いつの間に俺ってそんなに?

 

「・・・君もその可能性が十分にありか。・・・末恐ろしい。」

 

 サーゼクス様。あなたも何を言っているの!!?

 

 

 

SIDE ネロ

 

 俺達はイッセ―の元に合流しようとしていた。

 

 ちょうど雑魚共がイッセー達の前に立ちはだかろうとした時に間にあえたのだ。

 

「ネロ!?」

 

「派手なことになってんな!!」

 

 手ごろな敵を吹き飛ばしながらイッセ―達が行く道を作ってやる。

 

「イッセ―君!!」

 

 隣にはユウナの奴もいる。敵を次々と撃ち殺しながら駈けつける。

 

「まあ、大暴れはこっちの眷属の専売特許だ。なあ・・・そうだろ?」

 

「ええ・・・私の弟子が大変世話になったらしいし?呪いをかけてくれた礼をしっかりとしないと・・・。」

 

「ジャンヌ・・・流石に怒っているわね。あなたの弟子だし・・・。」

 

 俺の後ろに、怒れる二人の魔女どもがやってきている。

 

 特にジャンヌの奴が滅茶苦茶キレている。

 

 あいつの弟子だったもんな・・・。

 

「お師匠さま!?」

 

 朱乃の奴が驚いている。

 

「ここは任せなさい。あなた達はあの子を・・・そうでないとあの子・・・本気で怒っているから・・・。」

 

 あの子?

 

 ベヨネッタが指す方向には・・・キリエがいた。

 

 めちゃくちゃ怒っているキリエがいる。

 

 そりゃもう・・・アーシアを妹として溺愛しているキリエですから。

 

 怒って当然ですか。

 

「囮作戦なんて聞いてないですよ?アザゼル先生・・・。」

 

「ひっ!?しっ・・・しまった!?ハルトに続いて、あんたに了解を取るのを忘れて・・・。」

 

 アザゼル先生があまりのキリエの怒りっぷりに腰が引けている。

 

「・・・あとでアーシアも含めて説教です。あの子が選んだ道でも・・・無茶しすぎですから。」

 

「いたぞ!!新しい熾天使!!」

 

「ミカエルの娘!!」

 

「倒して我らが誉れにしてくれる!!」

 

 そんなキリエに旧魔王派の悪魔共が襲いかかってくるが・・・。

 

 全員がまとめて吹き飛ばされる。

 

 ただあえて全員無傷で吹き飛ばす辺り、あいつの優しさが分かる。

 

「・・・少し黙って貰えます?」

 

『ひっ!?』

 

 そのあと、素敵な笑みでそれを封殺。いや・・・ホントお前も強くなったな。

 

 力なんぞ無くても、元々お前は強かったけどさ。

 

 凄味が出てきやがったぜ。

 

 それにいい度胸だなてめえら・・・。

 

「キリエに手を出してみな・・・。」

 

―――ジェット!!

 

 俺はアクセルクイーンにメモリをセットした状態で振るう。

 

「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 猛烈な勢いをつけけた剣に海波斬を加え、皆吹き飛ばしてやったぜ!!

 

「お前さんもだいふはじけてきたな。」

 

 隣にはダンテの奴までいる。

 

「ダンテ・・・貴様がいなければ・・・我々が・・・我々が!!」

 

 複数の悪魔達がダンテに憎悪の声をあげる。

 

「・・・あんた、相当恨まれてんな。」

 

「仕方ねえだろ?あん時も無茶やった。サーゼクスの情けで追いやる程度にしといたが・・・。」

 

「ここには我が同胞が二万いる。皆で貴様を殺し・・・そのあと娘も後を追わせてやる!!すでに五千もの刺客を送りこんで・・・・・・・。」

 

 一人の悪魔がそう言った瞬間。

 

 銃声が轟き、その悪魔が周りの連中も巻き込んで粉々になった。

 

 たった一発の弾丸でだぜ?

 

 撃ったのはダンテの野郎だ。その目には恐ろしいほどまでに冷たい光が宿っている。

 

「・・・それは見過ごせねえな。」

 

 ったく、あの馬鹿ども・・・よりによって禁句を言いやがって。

 

「魔王でもあるけど、それと同時にこれでも一人の親なんだぜ?それなりに俺も娘が可愛いわけだ。それに手を出す?HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」

 

 ダンテの壊れた笑いが辺りに響き渡る。とても・・とても怖い狂った笑い声だ。

 

 ちなみにそれなりに可愛がってると言うが、実際は溺愛に近い。

 

 あーあー・・・もうしらね。

 

 ここまで壊れた笑いをされたらもうだめだ。

 

 あいつら終わった。

 

「HA-HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」

 

「キリエ・・・行こう。ここはダンテに任せてよさそうだ。」

 

「はっ・・・はい・・・。」

 

 キリエも流石にビビっただろう。

 

 凄まじい怒気がでてきていやがる。

 

「イッセ―・・・今からここはR指定になる。悪い事言わねえから速く行くぞ。巻き込まれる。皆も速く!!」

 

「おっ・・・おう。」

 

 ダンテの姿が変わっていく。紅の甲殻に覆われ、マントのような翼をもつ姿に変身。それは悪魔としての力を解放させた魔人化。

 

 其れなりの本気らしいな。

 

「・・・かかってきな。」

 

 まだ余裕を残しつつも。完全にブチ切れたダンテの奴が歩き出す。

 

「おっ・・・おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 一度に百人ほど襲いかかってきたけど・・・ダンテはそいつらを一振りで斬り殺す。

 

 たった一振りで、百人をすべて捉えて切り裂いたのだ。

 

 魔力を使わない純粋な剣技での一閃。百人が一つの線に重なった瞬間を瞬時に見極めて振っただけなのだ。

 

 まさに悪魔の剣。

 

「・・・こっちの宝に手を出すと宣言したのなら、それなりの覚悟はあるよな?」

 

 戦いの技量だけで超越者となったダンテ。その実力を敵味方共に思い知らされた形だ。

 

 悔しいが俺もそこまでの領域にまだ立ててねえ。ダンテの奴は本当に強い。

 

「安心しなさいな。あなたの奥さんと念のためロダンと一緒にグレイフィアのところにいるわ。」

 

 その怒りを少し鎮めようとベヨネッタが教えてくれる。

 

「安心しろ。打ち合わせ通りだ。アーシアに感謝しろ。」

 

 アザゼル先生まで落ちつくように言う。

 

「本当・・・すごい子だと思うぜ。だが・・・怒りには変わらねえ。」

 

 無数の爆発と雷光・・・そして斬撃が悪魔達の群れを蹂躙。

 

「だから・・・こっちも暴れさせてもらうわ!!」

 

 スパーダ眷属の残りまでやってきやがったって言うわけだ。

 

 トリッシュにルシア、レディの奴まで・・・。

 

すでに大暴れしとるし。

 

「お前達・・・今回は俺が許可する。好きなだけ暴れろ。」

 

 その上、ダンテの奴、手綱を放棄したぞ!?

 

「俺たちをなめるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 向こうからの反撃が魔力弾という形で飛んでくる。

 

 だが、それを阻んだのは白い片翼の翼をもつ天使のような悪魔だった。

 

 左腕と翼が一体化してできた盾で雨のような魔力弾の弾幕をすべてはじいたのだ。

 

 こっちに来てから始めてみるクレドの悪魔としての姿。

 

「キリエ、ネロ。お前達は彼らと共に行け!!」

 

 本気になったクレドも今回は暴れる側に回るようだ。

 

「クレド・・・お前も今回は派手にやれ。もうこいつらにやる慈悲はねえからな!!」

 

「承知!!」

 

 無数のジャベリンを周りに召喚。そのまま突撃してくる。

 

 そこから・・・スタイリッシュなショーが始まる。

 

 怒れるスパーダ眷属が凶悪な笑みと共に悪魔の軍隊二万体に襲いかかる。

 

 何分で終わる事やら・・・。

 

 あとで時間を聞くことにしようか。えっ?負ける要素?

 

 敵がまるで埃を払う様に蹴散らされる光景を見て、そんなのあるように見えるか?

 

 むしろ掃除にどれだけ時間がかかるのかが心配だぜ、

 

「ネロ!!」

 

 んん?ダンテの奴が声をかけてきた。

 

「お前も今回は本気だせ。修行の成果を見せてやれよ。」

 

・・・俺の現時点での本気か・・・。出さないことを祈るしかねえな。どうもイッセーが暴走しそうで怖いし、そのためにとっておくつもりだ。あの力は・・・。

 

 

 

 

SIDE イッセ―  

 

 スパーダ眷属一同大暴れを背にしながら俺達はディオドラがいる神殿に来ていた。

 

 グレモリ―眷属に加え、ネロとキリエさんが一緒だ。

 

 アザゼル先生はその場から離脱。いろいろと仕込みをしているらしく、そのための指揮をしてくるとのこと。

 

 代わりに渡がこっちに残っている。

 

「見届ける責任は僕が果たす。」

 

 あいつは相当気負っている。

 

 ったく、こっちは全く怒っていないというのに・・・。

 

「この世界の女神である前に彼女は僕のクラスメイト、そして友達でもあるから。その彼女の決意を知ったものとして、これは最低限の礼儀だと思う。」

 

 ・・・そうか。ますます怒れねえわ。

 

 お前ら本気だし。

 

 それこそ命を懸ける覚悟。

 

「この騒ぎがチャンスなんだ。オーフィスちゃんを助ける最大の・・・。」

 

『・・・・・・。』

 

 まさにピンチだからこそ、チャンスか・・・。

 

 ヴァ―リの奴も言っていたな。この作戦で、あいつらのボスが現れると。

 

 そのボスがなぜかオーフィスちゃんをかわいがっているとも。

 

 身の安全は保障されているようだが・・・。

 

 本当に何者なんだ?そのボスって?

 

 話だけ聞くと悪い奴に思えねえけど。

 

「なら今回は仕込み頼むわ。」

 

 とりあえず渡に作戦などを任せる。

 

「俺たちが派手に暴れるから。」

 

「・・・わかった。」

 

――――――さあ…始まりましたよ。バトルファイトが!!

 

 そこで響き渡るのはあのディオドラの声。

 

 バトルファイト?

 

――――――――お前たちとここで私の眷属たちとゲームをしてもらいます。まずはそうですね・・・・私の使い魔とバトルなんてどうでしょうか?ギャハハハハハハ!!

 

 その下品な笑いとともに現れたのは使い魔とされる怪物たち。

 

 ただ、どうも違う。ベースとなっているのは魔界の魔獣、または低級のドラゴンたちだ。

 

 漂ってくる気配がアンデットと同じなのが違う。

 

―――――アンデットの細胞と融合させたトライアルシリーズ。彼らは不死身ですよ!!

人間なんて脆弱は存在よりもはるかに強靭な肉体を持った彼らを私は使い魔にした!!

 

 確か剣崎さんから聞いたことがある。

 

 あれの魔獣版ってわけか。

 

――――さあ…お前たちの使い魔程度で勝てますかね?

 

 俺たちの使い魔か・・・。

 

 まじでどうしよう。俺たちの使い魔ってアーシアほどじゃないけど・・・。

 

―――――私たちが暴れようかしら?

 

――――こんな奴ら蹴散らしてくれる。

 

―――――私たちを舐めるな・・・。

 

――――全員ひき殺していいかな?かな?かな!?

 

 まず俺の相棒の四人が殺気まんまんだ。

 

 やばい・・・。

 

―――――超音波メスの実験でもしてあげようかしら?あれで切断できるらしいから試したいと思っていたの。

 

「どうどう・・・落ち着いて。この程度、クウが戦うまでもないから。」

 

 裕斗も己の相棒を抑えている。まあ、言っていることも間違っていないし。

 

――――グルルルルルル。貴様ら・・・。

 

「ガメラ・・・落ち着いて。さすがにあなたが出るのはかわいそう。」

 

 小猫ちゃんのガメラ…守護神的にあれってさすがにアウトですか。

 

 マジで怒っています。ガメラなんてこのメンツの中で最大のでかさと守護神という名に違わぬ最高クラスの実力だから・・・本気を出されたら、フィールドがぶっ壊れる。

 

 ああもう!!ほんとにまともに戦わせたらやばい奴らばかりなんだよ!!

 

「まあまあ・・・みんな。」

 

 そこで部長が皆を抑える。

 

「相手はアンデットよ?ならその専門家にお願いするのが筋じゃないかしら?」

 

『おおー!!』

 

―――――おっ・・・おい・・・。

 

 ディオドラの戸惑いをよそに俺たちは納得する。

 

この事件、あの二人にとって因縁だし、まさに最適!!

 

 さすが部長!!わかっていらっしゃる!!

 

―――――お前ら俺を舐めているのか?

 

「・・・なに変なことを聞いているの?」

 

―――――それなら・・・。

 

「当り前じゃない。そんなこと・・・。」

 

――――・・・・・・・。

 

 当り前のように問題ないと思っております。

 

 そんなことを言われたディオドラはしばらく無言。

 

――――――貴様らぁぁぁぁぁぁぁ!!いけえええお前たちぃぃぃぃぃぃぃぃ!!

 

 そして、即座に怒号とともに使い魔たちに命令。って俺たちに攻撃していいのか?

 

 早速ルール違反だぞ?

 

「仕方ないわね。こっちがルールを守ってあげるわ。ねえ、あなたたち・・・。」

 

 その言葉とともに部長の前に四人の影が現れる。

 

 今回は部長の使い魔たちが相手に・・・って四人!?

 

 その四人が現れたことで向こうのトライアルとなった使い魔たちが足を止める。

 

「あんたも無茶するな。」

 

「ふっ…剣崎。これが余裕というやつだ。」

 

 もともと使い魔だった剣崎さんと始さんはわかる。

 

「巻き込んでごめん。」

 

「いや…仮面ライダーは助け合いでしょう。まあ、悪魔と契約するなんてさすがに予想外だったけどさ。それでも妹さんのため・・・。」

 

「うん。こんな形でも力になれるから!!」

 

 でもなんで、ゆーすけ兄さんとエイジさんまでいるの!?

 

「簡単よ。二人も私の使い魔にしたの。もっともゆーすけさんとは昨日したばかりだけど。」

 

 昨日?

 

「それって、アーシアのために?」

 

 頷くゆーすけ兄さん。

 

「できることはすべてやりたいと思ってね。もともと好待遇だったし。アーシアのそばにいるためにもやらせてもらった。」

 

 まじで・・・部長、とんでもないメンツを使い魔にしましたねえ。

 

「悔しいけど、余った戦車の駒を生かせる人達じゃなかったのよ。四人ともハイレベルなうえにバランスタイプだし。まあ、こちらとしてはいい人材をゲットしたと思うけど?」

 

――――――なんですか?その貧弱そうな使い魔は・・・。でも一人は見たことがあるような・・・。

 

 ディオドラが四人を馬鹿にする。

 

 でも、ディオドラは全く分かっていない。

 

「私の家族が相手になるわ。さあ・・・どこからでもきなさい。」

 

――――フン、たった四人の人間・・・蹂躙しなさい。

 

 襲い掛かってくる魔獣達。

 

 まず巨大なドラゴンが迫ってきたけど・・・。

 

 それをゆーすけ兄さんが片手で止めています。止めながら赤いクウガに変身。

 

――――――――へっ?そそそそそその姿・・・。クウガ!?

 

「どりゃああああぁぁぁ!!」

 

 そこにエイジさんがオーズに変身して両腕の爪でドラゴンを両断。

 

「久々にいきますか。」

 

「ああ・・・。」

 

 剣崎さんもカードを取り出し変身。

 

 ブレイドへと。

 

 始さんもカードを腰のリーダーにスライスさせてカリスへと・・・。

 

―――――げえええええ…欲望の王にジョーカー二人!?

 

 変身した四人が使い魔たちの群れを歩くように横切る。

 

「とりあえず・・・こんなもんでいいですか?」

 

「無駄に体力を使う必要もない。」

 

「ええ、時間も使いたくなかったしそれでいいわ。」

 

――――おっ、おい…まだ終わっていな・・・。

 

「いいえ、終わったわ。ほら・・・。」

 

 次のフィールドへの道が開く。

 

 それとともに・・・使い魔たちが次々と倒れ、消滅していく。

 

―――――・・・・・・・。

 

「さっ、このままいきましょう。あなたたちは万が一のこともあるし、このまま私の護衛を頼むわ。因縁もあるだろうし。」

 

―――――そんな…馬鹿な。

 

 ディオドラの奴、ようやく理解したか。

 

 部長は魔王眷属にすら勝るとんでもない連中を使い魔にしているなんて。

 

 ある意味、部長に仕える最強の近衛騎士団といえる。

 

 しかもまったく本気だしてねえし。

 

 そして、次は・・・。

 

―――――――だっ…だったら次はどうです!?すでに女王に昇格させた兵士八体。

 

「良太郎、一人で十分よね?」

 

「うん。」

 

――――――なにぃぃぃぃぃぃ!!?

 

 それに対してこっちはまだ昇格もしてない兵士が一人。

 

「せっかく日本神話から送られた奴があるのだし。試しにつかいなさい。変身も、イマジンたち、昇格も使わない状態でも楽勝でしょ?何十秒で終わるかしら?」

 

「・・・はあ。カウントは好きじゃないですって。孫のことを思い出すから。でもまああえて言うなら・・・。」

 

 良太郎は鞘に収められた日本刀を構えて言う。あと孫って!?

 

「三秒で。」

 

―――――きっ…貴様!!

 

「無駄口はもういいか?こっちは少々キレてんだ。」

 

 あの日本刀・・・そうか、アマテラスさんからの贈り物。良太郎の最高の相棒・・・。

 

――――――お前たち・・・この馬鹿者を倒しなさい!!アンデットとしての力の開放してねえ!!

 

 ディオドラの言葉に兵士たちは悲しそうな表情を浮かべ…変身する。

 

 無数のコードが伸びた異形…トライアルへと。

 

「・・・あいつ…自分の眷属になんてことを・・・。」

 

 剣崎さんが悲しそうにいう。

 

「不死に近い状態だよね?ある意味安心したよ。でも・・・君たちは悪くないから・・・。」

 

――――試合開始ですよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

 

 良太郎が告げる。

 

「一瞬で終わらせてあげる。この戦いも、君たちの悪夢も!!」

 

 それとともに姿が消える。

 

放ったのはたった一閃。それに兵士八体。それも女王に昇格した状態でなおかつトライアルとなった皆を吹き飛ばしたのだ。

 

―――――・・・・・・・。

 

「カウントは3っていったはずだよ。」

 

 起き上がることのない兵士たち。その姿が元の姿へと戻っていく。

 

「小猫ちゃん、ありがとう。仙術も役に立ったよ。おかげで簡単に無力化できた。」

 

「はっ・・・はあ・・・。確かにその刀は気を伝えますが、短期間で、ここまでのレベルに。」

 

 手にしていたのは鋼兄たちからの贈り物。それは日本神話の有名な神剣。天叢雲剣。

 

 持ち主の意思である程度形状を変えるが、良太郎はそこにある刀のデータを入れて、再現させた。

 

「・・・不殺の誓い・・・とまではいわないけど、君たちを救うためにこちらにさせてもらったよ。」

 

 今は刃と峰が逆になった逆刃刀になっている。任意の普通の日本刀と切り替えられる。

 

 今回は良太郎も情けをかけたようだ。

 

――――――そんな!!不死のトライアルをどうやって一撃で!?

 

「仙術で体内の気を一時的に断った。そのショックで気を失っているだけだ。普通死ぬけど、不死化しているのならすぐに蘇生できると踏んでね。痛みもないはずだ。」

 

「・・・アンデットにそんな対策をしてくるなんて。」

 

「実は俺…実験台になっていた。」

 

 剣崎さんがアンデット対策の指導をしていた。そこで小猫ちゃんが使う仙術が意外にも有効だとわかったのだけど・・・。

 

 実際に試さないとわかないことが多く、剣崎さんが実験台に・・・。

 

「むしろ効果なかったら、俺は泣いていたよ。」

 

 すでに涙目の剣崎さん。相当痛かったとのこと。不死身でもあれは死ねると言っていた。

 

「・・・・・・。」

 

 何も言わずに優しく肩をたたく始さんの優しさが染みる。

 

「がんばったんですね。」

 

「俺・・・あなたを心の底から尊敬します。」

 

 ほかの同僚二人も優しく慰めてあげる。

 

 このために剣崎さんは文字通り体を張って貢献してくれたのだ。

 

「・・・あとで何かお詫びをします。」

 

「うん。本当にごめんなさい。」

 

 申し訳なさそうな良太郎と小猫ちゃん。

 

「まあそんな感じで彼女たちは確保させてもらうからね。」

 

―――――・・・・・・。

 

 無茶苦茶な連中ばかりって自覚はあるよ。

 

―――だったら次は戦車二人・・・

 

「ゼノヴィア、行きなさい。ただし殺さない程度に。今のあなたならできるわよね?」

 

「ふっ・・・愚問だ。」

 

 ゼノヴィアが一人だけで歩き出す。

 

――――――その人も化け物だというのですか?

 

「だったらどう?」

 

 同じくトライアル化した二人がゼノヴィアに迫るが・・・。

 

 ゼノヴィアは素手で構える。

 

 そう・・・牙突の構えを・・・。

 

 そして二体の戦車が繰り出した拳とゼノヴィアの拳がぶつかり合う。

 

 悪魔からしても怪物としか思えない連中を素手の牙突で吹き飛ばす。

 

 スピードの騎士がパワーと頑丈さに秀で、おまけにアンデットとなってさらに強化された戦車二人を真正面から殴り飛ばすという悪夢。

 

「今のお前らと相手するのに本来なら素手で十分だ。」

 

 あんた本当にナイト!?

 

 すごいガチムチですよ!?

 

―――――――・・・あなた、デュランダル使いですよね?使う気になれないって・・・。

 

「その程度の強さだと明らかにオーバーキルになるからだ。」

 

 オーバーキル・・・。アンデット相手にオーバーキルいいますか。

 

「だがな・・・私の思いを素手で伝えないというのも無粋だな。だから!!」

 

 ゼノヴィアが虚空を叩くと、そこの空間が砕け、そこからデュランダルが現れる。

 

「・・・一発だけだ。たった一発の牙突でやってやる。」

 

 それはまさに猛者だけに許された余裕。

 

「それに、良太郎・・・。」

 

「うん。できれば…助けてあげて。」

 

 ゼノヴィアは相手を見て何かを察している。

 

 そのうえで覚悟を述べる。

 

「私の前世は・・・皆に忘れ去られる人生だった。それはそうだろう・・・私は私自身の存在の記憶を対価に戦っていたからな。」

 

 ゼロノスの代償。この世界ではないが以前はかなり残酷な代償が伴っていた。

 

「…だからこそ…友達は大切なんだ。私のことを覚えていてくれる。私と一緒に時を過ごしてくれる。私の・・・時間となってくれる人を。」

 

 前世・・・桜井佑斗だった時の話。

 

「アーシアはこの世界での私の時間の一部。神の後継以前に、私の大切な…大切な友達なんだ。魔女と酷いことを言ったこともあるけど、許してくれたかけがえのない・・・。」

 

 ゼノヴィアにとって友達はそれほどまでの重要な意味があった。

 

「イリナもそうだ。こんな私のために友達になってくれた・・・。こう見えて昔は切り裂き姫と呼ばれて、恐れられた私の・・・な。宗派の違いとかあるけど、そんなのどうでもいいと思えるほどの・・・。」

 

 だからだろう・・・。

 

「・・・お前も応えたいと思っているのか?」

 

 俺の中にある神剣アギト・アスカロンが胎動している。

 

 ゼノヴィアの友を思う深い気持ちに共鳴か・・・。

 

「だが、今回は止めておけ。あれで十分だ。」

 

 でも、今回はいいだろう。お前まで加わるとさすがに加減ができない。

 

「さあ・・・こい!!こっちは連撃なしのたった一発だけだ。ただし…全力のな。」

 

『!?』

 

 デュランダルを手に牙突の構えをするゼノヴィア。その全身にまとうオーラが異様なまでにデカい。

 

 前方にオーラの濃密な壁。

 

『・・・・・・・・・。』

 

―――――ええい。その程度がどうした!行きなさいお前たち!!

 

 ディオドラの命令に躊躇いを見せながらも二人が駆ける。

 

「・・・受けてみろ、私なりの牙突を!!」

 

 それを迎え撃つようにゼノヴィアもまた突進。

 

 そして必殺の一撃を放つ。

 

「・・・穿て、デュランダル!!」

 

 たった一発だけの・・・牙突。

 

 だが、その一発がやばかった。

 

 その一撃が前面のオーラの壁をぶち破り、その壁のオーラをすべてその穴に引き込む。

 

 その勢い、まさに渦巻く聖なるオーラの巨大なドリル。

 

 その勢いに戦車の二人がとっさに避けようとして・・・その余波で吹っ飛ぶ。

 

 そして、そのドリルはそのままフィールドをぶち抜き、空間に大きな穴が空く。

 

――――・・・・・・絶霧でできた結界に大穴を・・・。

 

「空間ごと穿つ。それが私の本当の牙突だ。空間切断ができたから可能だと思ったが・・・牙突との相性があまりにも良過ぎて怖いものだよ。」

 

 吹っ飛ばされた二人はもう…余波だけで戦闘不能。

 

「予想外に威力が大きすぎたが、何とかなったか。一点集中型にしなくてよかったよ。」

 

 このとき俺たちはゼノヴィアを心底恐ろしいと思ってしまった。

 

 純粋な破壊力で言ったらおそらくこのメンバーでもトップクラスだからだ。

 

 テクニックを磨いた結果、さらに破壊力が増すというとんでもないことになったぞ。

 

「我が剣に穿てぬもの・・・なし!!」

 

 これからどんどんいろいろと非常識なものを穿ってきそうで。

 

 しかも、それを一度に五発以上、同時に放てるのだから・・・。

 

――――我々は必要なかったか?

 

―――――面白いものみさせてもらったよねえ。

 

『!?』

 

 その声に俺たちは立ち止まる。

 

「…ようやく反応を見せたか。だったら出て来い!!」

 

 ゼノヴィアの声に、その体から砂時計の砂のようなものが零れ落ちつつ、実体化してくる。

 

 ゼノヴィアに憑いていたイマジンが・・・。

 

「・・・今日は誰が死ぬ?教えてもらうか?」

 

 一体は牡牛の角を持つイマジン。それを見て、ゼノヴィアだけでなく良太郎も固まっている。

 

「・・・デスイマジン・・・。」

 

「久しいな。お前たちにいいようにやられた後に、こっそり憑いてきた。おかげでお前らの前世を見守る形でこちらも自分の時間が持てた。しかし、転生とはなかなか面白いことになっている。」

 

 良太郎が最大限の警戒をする。

 

 確かにあのイマジン・・・相当に強い。少なくとも今まで見てきたイマジンの中では断トツ。

 

「安心しろ。今の契約者は彼―いや、今は彼女だ。それに従うだけだ。せこいことはしない・・・。この私の時間をかけてそれは誓う。」

 

 イマジンの時間。それは彼らにとって存在そのものと言っていいほど大切なものだ。

 

「だったらこのまま私の物になれ。」

 

『・・・・・・・・。』

 

 ゼノヴィアは有無も言わさずにいう。

 

「今の私が特異点だと知ったうえで契約したのだろ?それでもいいならこのまま、私の剣となりともに戦え。こっちは少しでも戦力がほしい。」

 

「・・・本当にお前は・・・。昔から無茶苦茶な奴だ。」

 

 デスイマジンは呆れている様子。

 

「いいだろう。契約してやる。もう一人・・・お前も出て来い。」

 

「面倒くさいけどいいよ。」

 

 現れたのは時計を持った白いウサギのイマジン。

 

「言っておくが、そいつはとんでもない力をもっている。そうだろ?アリス。」

 

「ふふふふふふふふふ・・・。」

 

 どうやら女性型のイマジンらしい。

 

「契約はすでにしているわ。あなたの願い・・・私は常にかなえているから。」

 

 そういって変なウサギのイマジンは消えていく。

 

「そういうことだ。」

 

 デスイマジンも姿を消す。

 

「…どうやら、想像以上の連中が入っているようだな。」

 

「うっ、うん。」

 

「…そう。ゼノヴィア。あなたにはまだ何かあるのね。まだまだ底が見えないわね。」

 

 そう話している間に次の戦いになってしまった。

 

――――こうなったら、サプライズゲスト!!

 

 

 

 現れたのはアンデット達。それも二十はくだらない。

 

 

―――――――言ったはずですよ。バトルロイヤルだと・・・いきな・・・。

 

 だが、そいつらは一切動かない。いや、動けなかった。

 

「・・・・・・・・やらせないです。」

 

 それはギャー助の目。

 

「あいつらは私たちがやる。」

 

 どうやらギャー助と小猫ちゃんがやるみたいだ。しかし、ギャー助・・・アンデットだけを止めるなんて芸当を・・・。

 

「こんなの先輩たちに比べたら片手間でできます。先輩たちは耐性があるから止めるのも大変なんです。」

 

『・・・・・・・。』

 

 アギトを相手にしてギャー助がなんかおかしい。

 

 その前に俺たちを止めることができる時点ですごいですよ?しかもアギトの血を毎日のように飲みやがって・・・こちらの能力への耐性を上回り始めている。

 

 アギトイーターになりつつある。

 

「個人的に英雄派にいる神滅具をもつアギトが気になります。絶対に血を飲んでやります。今度はどんな味がするのやら・・・。」

 

 アギトの力を持つ俺とネロは寒気を禁じ得ない。本当にとんでもない奴だぞ。

 

「おい・・・どうしてこうなった?」

 

「こっちが聞きてええ・・・。」

 

 英雄派の皆さん・・・覚悟はいい?

 

俺達と同じアギトがいるのはわかったけど、それを聞いてギャー助はあなたたちの血を求めているから。

 

 でも味方としては誰よりも頼りになる。

 

 でも間違いなくギャスパーはアギトの天敵だ。俺達の身内の中で戦いたくない奴五指の一つにギャスパーが入るのは間違いないね。

 

―――――だっ・・・だったら。

 

 その背後から別のアンデットが現れる。でも・・・。

 

「こっちは私がやる。ふん!!」

 

 小猫ちゃんが吹っ飛ばす。

 

 一撃を受けたアンデットは、まったく動かない。他のアンデットも襲い掛かってくるけど、それを小猫ちゃんは攻撃をいなしながら重い一撃を叩きこみ、黙らせる。

 

 十体いたアンデットをそれぞれ一撃で黙らせた。

 

「・・・鬼の力を使うまでもない。そっちもやろうか?」

 

 小猫ちゃんの言葉にギャー助の奴は首を振る。

 

『・・・・・・・・。』

 

 その理由を見て今度は俺とネロだけでなく、その場にいた全員の背筋に寒気が走った。

 

―――――――――なっ・・・なんですと?

 

 ギャー助に停められたアンデット二十体が石化していたのだ。

 

「アンデットですので、このまま封印できます。アンデットは血もライフエナジーも不味いから固めておきました。」

 

「あっ・・・ああ・・・。おかげでスペードがキング以外すべてそろったよ。」

 

「こっちもハートがキング以外・・・。」

 

 一斉にカードを投げて封印していく剣崎さんと始さん。

 

 すでにあきれ返っている。

 

―――――・・・一気にアンデットが三十体も封印。

 

 相手が悪かったとしか言えない。

 

「二人とも訓練の成果・・・でたね。」

 

 その後ろからブランカが人間の姿で現れ、二人をねぎらう。後輩組の訓練をいつも手伝っていたのだ。

 

「うん。」

 

「おかげで役に立てた・・・。」

 

――――――だっ・・・だったら・・・。

 

 次の相手は僧侶が二人。

 

「次は私たちね。」

 

「後輩たちにばかりいいところみせられないわ。」

 

 お姉様方が出陣。

 

「そうそう・・・小猫、ゼノヴィア、挑発しなくても一瞬で終わらせるから。」

 

 こそこそと話していた小猫ちゃんとゼノヴィアに先にくぎを刺しておく部長。

 

「一応、この話は並行世界の私たちから聞いたことがあるので、イッセーもご褒美はいいわよ?あ・・・でもリアス、今回は私が暴れていいかしら?前回のゲームでも何もしていなかったし。」

 

「そうね・・・。あなたの修行の成果もみたいし・・・。」

 

 二人の姉様方は暢気に話し込んでいる。

 

 向こうは決死の攻撃をしているのにもかかわらずだ。

 

 飛んでくる魔力弾を部長は避けもせず、防御もせず、体にまとった滅びの魔力のオーラの余波だけで防いでいる。

 

 朱乃さんも全身にまとわせた魔力で防いでいる。

 

 まるでたった一匹のアリがゾウ、いや、クジラに攻撃を仕掛けているような光景がそこにあった。

 

――――――・・・・・・・。

 

 あまりにもどうしようもない光景にディオドラは言葉が出ないようだ。

 

「仕方ない。私がひるませるからとっとと決めちゃなさい。」

 

「ありがとうございます。」

 

 部長がそう言って手を振る。

 

 ただそれだけ。

 

 それだけで相手の僧侶が放っていた魔力弾の弾幕がすべて消滅、とっさに防御結界を展開させるけど、それすらも粉々になった。

 

「いきなさい。」

 

 黄金の光をまとった朱乃さん。その背後には・・・三つ首の龍がいた。

 

 神々しい光をまとったそれが・・・。

 

 そして、手から稲妻のような光線を放つ。

 

 でもそれはいつも放っている雷撃と違う。光も入っているけど・・・。

 

 それを受け、相手二人が巻き上げられ、そのまま吹っ飛ばされる。

 

「今の何かしら?」

 

「えっと・・・私もよくわかりません。どうも私の中にいる何かが得意としていて・・・。魔女として、その存在と契約しているの。まあ、まだよくわからない子ですけど。」

 

「あなたにもまだ何かあるというのね。はあ、どんどん身内がおかしくなっていく。」

 

 瞬殺だった。

 

――――――なんですと?

 

 ディオドラはもう言葉にできない様子。こっちのメンツは全く本気を出していない。

 

「最後は騎士二人と女王か・・・。佑斗。女王は優秀だけど、瞬殺できそう?」

 

 部長はその時点で何とかではなく瞬殺できるかどうか聞くあたりよくわかっている。

 

「ええ・・・!?」

 

 でも、ディオドラの残りの眷属三人とともに現れた存在に驚いた。

 

 一体は黒い魔界騎士の鎧を着た・・・キバ。

 

 そしてもう一体は・・・。

 

「さあ・・・戦わせてもらいますよ?」

 

 アギトに覚醒する前からの因縁、フリードであった。

 

「私はまず、あなたを指名します。木場佑斗!!」

 

 あいつ、強くなっている。嫌な感じではなく、まっすぐな意味で。

 

―――――――さあ・・・どうします?

 

 っていうか、ゲームのルール完全に無視じゃねえか。

 

「・・・しっかたねえ。俺も出るわ。向こうに眷属以外の連中がでたのなら・・・。」

 

「うん・・・ってあれ?」

 

 ネロと渡の奴が出ようとして・・・上を見る。

 

 すさまじい轟音。それとともに切り裂かれる結界。すさまじい斬撃の余波がフィールドに巨大な十字の切り傷を作る。

 

 その余波から慌ててよけるキバとフリード。

 

 それとともに結界が消滅。空が見えた。

 

「乱入・・・成功。」

 

 そして、突破してきたのは轟竜に乗ったサイガだった。

 

「ごめん遅れて。雑魚一掃に時間がかかった。」

 

―――――なんで・・・ここは絶霧で守られているのにどうやって・・・。

 

「どうやってって・・・ただ力いっぱい斬っただけ。」

 

 ただそれだけで・・・。

 

――――相棒・・・お前の知り合いは本当に規格外だな。

 

――――どんどん化け物が増えていくし、その成長具合が異常よ。流石人の姿をしたドラゴン・・・。

 

 本当にそう思う。ただ力いっぱい斬っただけで神滅具を破りますか。

 

 ちなみにサイガの奴は人の姿をしたドラゴンとして、龍王の一角に数えられようとしていた。

 

 もっとも、実力はそれすら軽くしのぐけど。

 

 近い将来は龍神に数えられるのは確実とのこと。

 

「あと相棒がいたからかな?解析ごくろう。おかげでやりすぎない程度にできた。下手するとフィールドを崩壊させていたし。みんなも巻き込まれるところだった。」

 

「・・・なあに、こっちも解析し甲斐があったよ。まあ、切り裂く方法じゃなく、どこをどれくらいの強さで切れば内部に影響をおよばさないかという点はお手上げだけど。」

 

 光の翼を展開させながら降りてくるのはポルム。

 

 そうか・・・切り裂くこと自体は簡単だったのか。

 

 もう呆れることしかできねえぜ。

 

「まあここは任せて。佑斗、互いの成果を見るとしようか。それに・・・こっちも父様の因縁があるし・・・。」

 

 二本の剣を構えるサイガ。

 

「ちなみにとっくに騎士二人、女王一人はアウト。」

 

 ぶっ倒れた三人。

 

 あの三人、何もせずにそのまま退場ですか。

 

「いいねえ・・・いいねえええええええぇぇぇぇぇえ!!」

 

 そこでフリードは剣で足元に円を描き、そこから鎧が現れる。

 

 漆黒の鎧。それはキバの鎧に似ていた。

 

「お前・・・自ら堕ちたのか・・・。」

 

 魔界騎士の鎧にはサイガや状況による例外を除いて装着する時間に制限時間がある。

 

 それを超えると鎧に食われてしまう。

 

 だが、それで鎧に食われ、暗黒騎士に落ちることもある。

 

 もちろんこれにすら実はとんでもない例外が存在している。

 

 今のフリードが召喚している鎧もその堕ちた制限時間無しの鎧・・・。

 

「元の体がすでにいろいろな細胞のキメラになっていましてねえ。食えずにこっちが逆に鎧を取り込んだのですよ。さあ、ボルキャンサー・・・いえ・・・。きょうからあなたたちは進化するのです・・・このカードで!!」

 

 フリードが手にしたカードに俺の中の相棒たちが騒ぐ。

 

―――――サバイブのカード!?

 

―――――新たなカード・・・。

 

 描かれているのはまがまがしい渦の描かれたカード。

 

「私はあなたたちに負けっぱなしです。アギトとなった兵藤一誠もそう、そこにいる木場佑斗もそう…負けっぱなしで悔しかったのですよ!!でもあなたたちはまさに化け物。とてもこのままじゃ追いつけそうにない。だから…私も決めた。目には目を。相手が化け物ならこっちも化け物になる必要があるとね!!」

 

 フリードは新たな力を手にしていた。

 

 フードを取り払った姿。その体は完全な異形だった。

 

あらゆる生物、そして先輩たちが戦ってきた怪人の長所を掛け合わせたような怪物。

 

 見た目はハドラーさんの姿に近い。

 

 あいつは完全に人間を捨てた。前の戦いでもわかっていたことだが・・・。

 

「その執念が新たな力を与えました。いうなれば・・・暴流のサバイブ!!」

 

 それを手にしたとともに左腕にあったハサミ型の召還器が変わる。

 

 それは手に持つタイプの盾。カニ本体を模した甲羅型の盾になったのだ。

 

 そこにサバイブのカードを入れる。

 

 それとともに・・・ボルキャンサーたちも変化する。黄金の甲羅に痛々しいとげが生え、背中の甲羅と胸部にタイヤのようなものが出現するなど少しメカっぽくなった。

 

 それとともにキャンサーとしての姿も変わった。銅色のカニをもしたアーマー。肩にはハサミを模したショルダーアーマー。

 

「その上から・・・。」

 

 そして、そこから鎧をまとったのか。

 

「ふははははははっはははははは!!さあ、私が得た力がどの程度か試させてください。この世界の超魔生物となり、人外へとなった私の!!」

 

 その姿に皆は黙って俺を見る。

 

「まあ、あなたに追いつくにはこれくらいしないといけないわね。」

 

 部長の言葉の皆が頷く。

 

 あいつ俺たちに勝ちたいためにそこまでやるか・・・。

 

「・・・クウ。全力で行く。」

 

「ええ。ならあれで行きなさい、」

 

 佑斗の腰に現れるのは五大ギアの一つ・・・オーガギア。

 

 手に持つ携帯電話をいじる。

 

――――――000.

 

 入力するコードはその三つ。

 

―――――変身!!

 

 その電話をギアに装着させて変身する。

 

 初めて見た・・・。

 

 黒を基調とした重厚なアーマー。腰には金色のフォトンが流れる黒いローブ。アーマーにも黄金のフォトンブラッドのラインが流れる。

 

 五大ギア最大の防御力とパワーを誇る・・・オーガギア。

 

 その変身を。

 

「一人の騎士として、お前のその執念に答えよう。」

 

 腰に差した剣。そして手にはもう一本の剣。

 

 ゆっくりと二本の剣を手に歩き出すその姿。

 

 まるで歩く要塞のようだった。

 

 一歩一歩があまりにも重厚だったからだ。

 

「こい・・・。」

 

「いいねいいねいいねいいねいいねいいねええええええええぇぇぇぇぇ!!もうお前らに勝つことだけに己の人生のすべてをささげました!!どこまで届くのか、やらせてもらうぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 こうやって二人の剣がぶつかり合う。

 

 不意に佑斗の姿が消え、フリードの後ろに現れ、剣をふるうが・・・。

 

「相変わらず早いですね。」

 

 召還器の上からいつの間に装着していた盾で防ぐ。

 

 だが、あえてそのまま佑斗は剣がはじかれることもなく、ただ振り切った。

 

 そのうえで何とも剣をふるうフリード。

 

 だが、あえて佑斗はよけない。

 

 何度も切りつけられ、火花が散る。

 

 だが、佑斗はなすがまま剣を受け続けていた。

 

 その様子におかしいと感じたのだろう。

 

 フリードが下がる。

 

「そんなものか?」

 

「・・・・・・・。」

 

 全然堪えていない。

 

 それどころか・・・。

 

「・・・マジで・・・。」

 

 切っていた剣が刃こぼれを起こしていたのだ。

 

 なんというか、鉄壁すぎる。

 

 防御も何もしない素の状態でダメージ無効どころか、逆に剣が刃こぼれするなんて。

 

 おそらく全力で防御したらファイナルベントすら耐えないか?

 

「・・・本気だけど、あれだけは使わないでおく。」

 

「なんですか?あれって?」

 

 佑斗が軽く指を鳴らすと・・・。

 

 盾が粉々になった。

 

「!?」

 

「この力は怖いんだ。それこそ神すら確実に殺せるからね。殺す気の僕にはイッセー君だって逃げ出すってことだけは伝えておくよ。何しろこの力で殺せないものはないから。」

 

 あいつが見せたのは例の力。

 

 その力が目覚めた後、暫定措置として普段は魔力を使って封印させている。

 

 ポルムいわく、今まで出会った中でトップクラスにやばい力だそうだ。

 

 あのポルムがそういうのだ。

 

 あの力は相当やばいものなのだろう。それこそアギトですら致命傷を負うほどの。

 

 あの力がこっちに向けられると思うだけで、悪寒が止まらない。

 

 何というか・・・グレモリー眷属がいろいろとやばいことになっている。

 

 俺達アギトですら脅威に思う連中が出てきているし。

 

「すっかり盛り上がっちゃって。さて、こっちはおじいちゃんの敵と行きたいけど・・・。」

 

 そういったが、キバが切りかかってくる。

 

 それを背中に回した剣で受け止める。

 

「こっちは全力出せないな・・・。」

 

「舐めているのか?」

 

「それにあんたは偽物だ。母上から本物が生まれ変わっているのは知っている。その鎧をむしろ返してもらいたいくらい・・・。」

 

「それは無理だな・・・。」

 

 キバは笑う。

 

「今や私は鎧そのものだからな・・・。」

 

「・・・アンデット肉体を得て、それもなお・・・。」

 

「はははははははははは!!」

 

 剣で切りかかるキバ。

 

 それを両手の剣できりとばす。

 

「なっ?」

 

 真っ二つになった剣をみながらキバは呆然とする。

 

「あんた程度・・・紋章も、そして鎧を使うまでもない。剣をつかったのはせめてもの情けだ。本来なら素手で十分。」

 

 サイガの余裕の態度。

 

「・・・ふざけるのも大概にしてほしいですよ。」

 

 フリードのボヤキがすべてだと俺たちは思ったね。

 

「まだ全力というわけではないというのですか。」

 

 もっとも・・・。

 

 フリードの奴は本当に強くなっている。

 

 ただ、俺たちに勝ちたいがために・・・。

 

 俺たちの成長速度に負けていない

 

「仕方ないですね。やる気失せましたわ。もうさっさと行きなさい。まだまだこっちはあんたらに届かないことがわかりましたから。さらに強くなって出直してきますわ。」

 

「ぬぐうう…わが剣を・・・。」

 

 剣を切りおられ膝をつくキバ。それに対してフリードは手を差し伸べる。

 

「くやしいですか?ならあんたは同志だ。違います?」

 

「・・・そうだな。今後は・・・お前についていこう。」

 

 フリードの言葉のおかげなのだろう。

 

その手を取り、立ち上がったキバは告げる。

 

「この折れた剣の借り・・・必ず返す。さらに強くなってな。」

 

「・・・騎士として、受けないわけにはいかないか。いいだろう!!」

 

「そのふざけた能力を強制的に使わせるほどの強さを得てまたもどってきますから~!!」

 

 フリードは軽い手合わせだけでその場から消える。

 

「どうやら、僕もまだまだ立ち止まっている場合じゃないようだ。」

 

 変身を解く佑斗。

 

 あいつの剣・・・相当な凄みがあったのを見て、どこか嬉しそうだ。

 

「イッセー君。こういう相手がいると燃えるよね?」

 

「まったくな。」

 

 ライバルが多いというのはいいことだ。まだまだ上に行ける。

 

「お願いだからそれ以上の化け物にならないで・・・。」

 

 部長が嘆く。

 

 オーガに変身したときの威圧感だけでも相当なものだったし。

 

魔王クラスはあったぞ。

 

 それに攻撃を受けたのに全然効いていない脅威の防御力。

 

 部長が頭痛そうにしているのを横目に俺たちは向かう。

 

 アーシアを助けに・・・。

 

 

 

 

 

 SIDE アーシア

 

 

「なぜ・・・だ!?なぜ・・・。」

 

 ディオドラは己が用意した刺客が蹂躙される様を見て憤慨していた。

 

 おそらく彼なりに最高の布陣で挑んだのだと思う。

 

 もっとも・・・全く歯が立たなかった。

 

 それも相手が全く本気を出していない状態でだ。

 

「・・・こんなはずはない。だっ、だったら、コッチが用意した最高の手札を・・・。」

 

「もう無駄ですよ・・・。」

 

 私は彼がどれだけ無駄なことをしようとしているのか教えてあげます。

 

「次はイッセーさんが相手です。私たちの中で最強のイッセーさんが。」

 

「・・・あの忌々しい神の後継者が・・・だと?あの人間からの成り上がりが・・・薄汚いドラゴンの申し子が?」

 

「少なくとも、皆が認める強さです。」

 

 私の言葉にあの人は押し黙る。

 

「くくく・・・・・くはははははははは!!」

 

 でもすぐに笑いだす。

 

「だったら・・・だったらその強さ見せてもらいましょうか・・・私はまだ・・・。」

 

「・・・・・・あなたはかわいそうな人ですね。」

 

 そんな彼に・・・私は哀れみすら覚える。

 

「かわいそう?どうしてそんなことをいうのだい?それに僕は悪魔・・・。」

 

 私はその否定に首を横に振ってこたえる。全身を拘束されてもいう。

 

「あなたは自らの過ちに気づいてない。悪魔だろうが、天使だろうが、たとえ魔王、そして神でもやってはいけない過ちに・・・。」

 

「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 私に攻撃をしかけようとするディオドラ。力を封じられ、魔力弾の直撃を受ける。

 

 でも、私は生きている。

 

「・・・・・なぜ・・・。」

 

 無傷とはいかない。体も痛い。でも・・・。

 

 あまり私はダメージを受けていない。

 

 どうも近いらしい。私の次のステージへと。

 

 私の体内の悪魔の駒。その転生機能を利用し、私の体が変化し始めている。

 

 己の力に耐えられるようにより強く、頑丈に・・・。

 

 それに伴い私の体が熱い・・・。まるで私自身の危機に呼応し、目覚めようとしている。この枷さえなければすぐに開放してしまいそうなほどに。

 

「ぐっ・・・だったら!!」

 

 激昂したディオドラがさらに攻撃を仕掛けようとしたときだった。

 

 その手を誰かがつかむ。

 

「・・・お前、いい加減にしろよな。」

 

「貴様は!?」

 

「イッセーさん!!」

 

 それはイッセーさんだった。

 

 手を振り払おうとするディオドラ。でも…まったく動かない。力任せに振るっても何もできないのだ。

 

「ちぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

 空いた片方の手で魔力弾を放ちます。でも、ほぼ密着に近い形なのに魔力弾は当たらず・・・。

 

 逆にその顔面にイッセーさんの拳が当たります。

 

「がっば!?」

 

 まるで冗談のように吹き飛ばされていくディオドラ。

 

「・・・・・・・立てよ。」

 

 とても静かなイッセーさん。でも、分かってしまいます。

 

 それこそ心を読む必要すらないくらいにイッセーさんは怒っています。

 

 冷静な、ままで・・・。

 

「なめるなぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 激昂とともに放ってきた魔力弾。でも・・・。それを片手で受け流すように受け止めつつ・・・。

 

「お返しだ。」

 

 投げ返してしまいました。

 

「ぎゃああああああああああぁぁぁぁ!?」

 

 

 

 

 

 

SIDE  佑斗

 

 

 俺たちは今、恐るべきものを見ている。

 

 変身も何もしていない状態でオーフィスの蛇を使って強化されたディオドラを圧倒しているイッセー君を。

 

 変身どころか、神器すらも使っていない。魔力も、そして…アギトとしての超能力すらも使っていない状態で・・・。

 

「そんな馬鹿なことがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 素手でディオドラを圧倒していた。

 

 上級悪魔であるディオドラが手も足もでない。

 

「がば!?」

 

 使っているのは純粋な身体能力と・・・技量のみ。

 

 それだけで相手の魔力弾すら投げ返したりして、無力化している。

 

「来いよ…お前に思い知らせてやる。」

 

 間違いない。

 

「お前がどれだけ下らない力に酔っていたのか。そして、どれだけやばい連中を怒らせたのかを。」

 

 今回イッセー君はディオドラを変身もせず、神器も使わず、魔力も使わない。

 

鍛え上げた肉体と純粋な技量による格闘だけで圧倒するつもりだ。

 

 それはまさに暴挙。

 

 サイラオーグのように圧倒的なパワー、スピードではなくただ技量だけで倒すとのだから。

 

 でも、ある一定水準を超えた技量は、もはや魔法や超能力の類と何も変わらない気がする。

 

 ディオドラが防御結界を展開させても、軽く触れただけでガラスのように粉々に砕け散り、相手が殴りかかっても、その勢いをそのまま相手に変えてのカウンターのひじ打ちや蹴りが入る。

 

 挙句の果てにはまるでバレーボールのように何度も宙を舞い、地面に叩きつけられる始末。

 

「がばっ?ばか・・・な・・・。」

 

「うん。一番無茶苦茶なのは、やっぱりイッセーだわ。」

 

 部長の言葉に僕達はただ頷くことしかできなかった。

 

 僕たち眷属の中で最強のパワーと、最高のテクニックを両方備えた規格外の存在。

 

 それが今のイッセー君だった。

 




 二周年記念

 今確定している二人の幼馴染と突然思いついた未来の話。




 それはイッセーが小学生五年生の時だった。

 彼はサッカーが好きな二人の少年と友達となり、よくサッカーで遊んでいた。

「光太郎!!信彦!!」

 その二人の名前は南 光太郎 もう一人は 秋月 信彦という。

 もっちも二人は家の事情ですぐに引っ越してしまったが、イッセーにとってともに遊んだ大切な友である。


 だが、イッセーは知らない。

 兄弟のように仲のいい二人に、悲劇が訪れていたことに。


ぼろぼろの状態で道なき道を歩く一人の青年。

 その名は南光太郎。

 彼はある組織との闘いですべてを失った。

 大切な家族も、そして、兄弟のように仲良かった友も。

 彼はさまよっていた。

 すべてを失って。

 それでも、彼は死ねない。世紀王としての力がそれを許さない。

 そして、彼はついに力尽きて倒れた。

 その街の名前は・・・駒王町。




 そして、彼は知らない。

 失ったはずの・・・彼自身の手で倒したはずの彼が・・・。

「なぜ・・・生きている・・・。」

 復活していることを。

「私は・・・なんてことを・・・。」

 それも残酷なことに洗脳も解け、記憶が元に戻った状態で・・・。

 それは満月の綺麗な夜の中の出来事であった。




 そして、彼はもう一つある体験をしていた。

「あんたもウルトラマンなの?」

「ウルトラマンを知っているのか?」

 中学生の夏休み。

 彼はある町にやってきていた。

 そこで怪獣、そしてウルトラマンとの闘いを見たのだ。

 その正体も。

「俺の友達がそうだったから。たしかゼロといって・・・。」

「まさかセブン兄さんの息子と知り合いだったとは・・・。」

 そこにやってきたのは人形となったウルトラマンタロウ。

「世間は狭いね。俺の名前はヒカリだ。よろしくな!!」

 こうして彼は新たなウルトラマンと友達になる。

「おう!!」



 それから二年後・・・。

 アギトとして覚醒し、裏の世界で頑張っているイッセーはある日テレビを見て吹いた。

「ちょっと!?どうしたの?!」

 リビングの大画面のテレビに映るのは…ウルトラマン。

「ウルトラマン・・・ギンガ・・・。」

 とある街でもう一人のウルトラマン――ヴィクトリーとともに戦っている映像。

「・・・マジかよ!!こうしてはいられねえ!!」

 それを見てイッセーは飛び出す。

「ってイッセーどこにいくの!?」

「ちょっとギンガの加勢にいってくる!!ダチがまた変身して戦っている!!」

「・・・ダチって・・・まさか・・・。」

 部長はテレビを見て、姿を消したイッセーとの関連を思いため息をつく。

「あなた・・・一体どれだけの縁をもっているのよ・・・もう・・・。なんでウルトラマンと知り合いなの!!!?」

 ウルトラマンギンガ。

 裏の社会でも割と有名な光の巨人。

 イッセーは駆ける。絆を結んだ冒険好きな友達のために・・・・
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