「どうしてこうなってしまったんだ?」
それが、『ネオ』の第一声であった。
俺はいつもの様に、学校に通っていた。
俺はどこにでもいる様な平凡な中学生、冨山『千紘』である。
普通の人と違うところは、俺は重度のライダーオタクであるだけであった。
普通の人なら、「今時ライダー好きとかキモっ!」とか「ライダーなんて空想の存在だぞ」とか言われると思われる。
幸いなのは、俺の学校ではライダーオタクがとても多かったことであった。
日常でも、『オンドゥルルラギッタンディスカー!!』『お婆ちゃんが言っていた』『ゆ゛る゛さ゛ん゛!!』『鍛えてますから シュっ!』なんて聞こえてくる程この学校にライダーオタクがいるのであった。
だから俺には友達ができ、いつもの様に楽しい生活ができていた。
できていた筈であった。
いつもの様に、友達と帰宅をしている時であった。
家の近くには交差点が一つあった。
別に何の変哲もない交差点であった。
俺は赤信号から青に変わったところで、普通に友達と別れて道路を渡っていった。
その時!
ブブーッ!!
突如、俺の横をトラックがものすごい速さで突っ込んできた。
グシャッ!!
なす術もなく、俺はそのトラックに轢かれてしまった。
そのトラックも、止まりもせずに通り過ぎていってしまった。
完全に轢き逃げであった。
別れたはずの友達が慌てて俺の元に駆け寄ってくるのを確認できる。
しかし、次第に視界が暗くなってきて、全てが闇に閉ざされようとしていた。
何か叫んでいる様にも見えていたが、すでに聞こえなくなっており……
俺はついに息絶えてしまった。
後にこの轢き逃げ事件を引き起こしたトラックの運転手は、過失運転致死傷罪として逮捕された。
何もない暗闇の世界にただ一人、冨山千紘は漂っていた。
すでに動く気力も無くなっており、死んだ様に眠っていた。
そんな千紘に一つの声が囁かれた。
「………其方に……アマゾンの…力を……但し…ウィルスに……飲まれ…て………は……」
所々が掠れて聞こえてくるがはっきりと千紘は聞こえていた。
アマゾン?
もしかして、アマゾンってアマゾンズに登場した怪人のことか?
確か設定では、野座間製薬といったブラック企業によって生み出された人喰い怪物で、種類も実験体版やアルファ版、オメガ版、シグマ版といったものがあったはず。
しかし、そのセリフに入っていた『ウィルス』とは一体?
あれ?…何……だ…か意……識…が………
次に気付いた時には、千紘の周りは水に包まれていた。
自身は酸素補給用のマスクをつけられており、溺れ死ぬことはなかった。
その状態で、歪んだ目で見てみると、目の前には複数の研究員が何か作業をしているのが見えていた。
さらに自分の腕には、アマゾン細胞と見られる黒い付着物がついていた。
その事から、最初ここは野座間製薬の実験室と思っていた。
しかし、彼らの持つレポートに驚くべきものがあった。
そのレポートの端に、赤と白の放射線のような模様が傘のように重なったマークがあった。
間違いない!
あれは、ブラック企業の中でも超ブラックの製薬企業、『アンブレラ』だ。
設定では、裏で生物兵器を生み出し、あらゆるテロ組織などに売りさばく『ヤベーイ』会社だ。
えっ?
つまり、俺は
・
↓
・バイオテロに使用
↓
・
↓
・俺、討伐されるってよ
・・・
よし、やるべきことが決まった。
それは・・・
逃げるんだよォ!!
『No.0が脱走した!見つけ次第行動不能にし、捕獲せよ!』
というわけで、脱走したことによりアンブレラの研究員は大パニックとなり、俺を捕らえるために特殊部隊がだされた。
て言うか、捕まってたまるかよ!
捕まったら、確実に生物兵器として利用され、ゴリスらに頃されてしまうわい!
そんなら、俺はこんなブラック企業から抜け出すしかないわ!
暫しアンブレラの研究所内部を走り回っていると、前から人の気配を感じる。
前から特殊部隊が来る。
さらに後ろからも。
千紘はすぐに横にある部屋の中に入り込む。
「おい!見つけたのか!?」
「ダメだ見つからない!もう一度向こうを見てくれ!」
部隊はそのまま何処かへと行ってしまった。
千紘は、そのまま壁に倒れた。
千紘「ふぅ……後少しでこの研究所から脱出できるな」
タイミングを見計らって、出口に行こうとする千紘。
千紘「んっ?あれは……」
すると、千紘の目に二つの何かを見つけた。
一つは、札束が入ったアタッシュケースであった。
もう一つは、一つの機械の中に収納された赤いベルトと赤い腕輪。
見た目は、ベルトはトカゲの左目のデザインで、目は黄色であった。
そして、腕輪の方はベルトと同じ赤であるが、鷹の頭部のような構造であった。
それを見た千紘には見覚えがあった。
千紘「!?これって『ネオアマゾンズドライバー』に『ネオアマゾンズレジスター』じゃないか!」
そう、それは仮面ライダーの中でもグロテスク要素が入った『仮面ライダーアマゾンズ』に登場するベルトであった。
千紘「しかも……この目の黄色は、ネオ専用のやつだな」
そして、このベルトはアマゾンライダーの一人である『仮面ライダーアマゾンネオ』専用のネオアマゾンズドライバーであった。
千紘「どうしてこれがアンブレラの研究所に……」
疑問に思う千紘。
すると、先ほどの部隊がドアの前に戻ってきた。
「やっぱりあっちには来ていない!」
「この扉の中は調べたか?」
「いや、まだだ」
部隊が、千紘のいる部屋に入ろうとしている。
不味い!このままでは、捕まってしまう!
そう思ったが、そこであるものを発見した。
ドンッ!
「見つけたぞ!そのままおとなしくしてろ!」
部隊が入り込み、俺に銃を突きつける。
普通の人なら、こういうときは言うことは聞いておくだろう。
だが、俺には通用しない。
俺は、右手に持っていた何かを前に投げ捨てた。
その何かは地面に着いた瞬間、大きな光を放って爆発した。
その光を見た部隊は、目を隠しもがき苦しんでいた。
そう、千紘が投げたのは、バイオシリーズの武器の一つ、閃光手榴弾。
その武器は攻撃としては役には立たないが、強烈な閃光を放つ為、相手の目を潰すことができる。
オマケに部隊が装着しているマスクには、暗視効果が付いていたので、それが仇になった。
それを確認した千紘は、閃光手榴弾3つとドライバー、レジスター、そして札束の入ったアタッシュケースを持って、研究施設から脱出することに成功した。(その時には閃光手榴弾は残り1個となっていた)
俺は工場から出て、その場から離れた。
「本当に、どうしてこうなってしまったんだ?」
これはある町の悲劇が起きる数日前のことであった。