彼は普通の家庭で生まれた普通の人間であった。
彼は普通に人生を生きてきたにしては異常な生活をすることになる。
彼がバイトを探しているときに聞いたこともない企業からの広告を発見することになった。
企業の名は人理継続保障機関フィニス・カルデア。
バイトの内容はカルデアとかいう企業で給仕をしてほしいだとか、掃除を手伝って欲しいだとか。
堅苦しい言葉で書かれてはいるがようは雑用をする人間を探しているのか。
だが知らない企業にしては払いが良い、応募をするだけは金を使わない、とりあえず電話なりしておこう。
あれ?これ履歴書不要なのか、まぁいいや電話番号は?
えーっと…あれ番号が無い、ああこれメールだけでいいのか、企業さんも相当人材に困っているって子とかねぇ、送信っと…
そして彼はメールを送信してしまった、このときからだ彼の人生が普通とはまったく違う、とても数奇な運命をたどることになってしまう。
そのことを今の彼には当然知る由も無い。
って・・・なんかいきなり頭痛が・・・。
くそ気分が悪い、さっさと家に帰ろう。
―――次の日―――
「なんだったんだ昨日のあれは…?、送信ボタンを押した直後に、なにか関係があるとか?」
一夜明けたがまだ頭が痛い、なんだか頭の中を直接弄繰り回されているような。
少しは治まったがそれでも結構キツイ、幸いにも今日は休日で学校もないが逆にせっかくの休日を安心して休ませてもくれない事にいらついてしまう。
「だめだもう一度寝よう、寝ていれば頭痛の痛みを忘れられる」
もう一度寝ようと体を横たえて目を瞑る。
睡眠を頭痛に邪魔されるかもしれなかったが、不思議と睡魔はすぐにやってきて俺の意識を刈り取っていった。
目が覚めた。
窓の外はすでに暗くなっている、時計を見れば8時を指していた。
頭痛は完全に治まった、痛みはまったく無い。
その代わり余計なものが頭の中に収まっている。
「俺の・・・前世か」
寝ている間に夢を見た、夢の中の俺は特別すごい人間というわけではなくごく普通の学生、普通に生きていたところ18のときに事故で死んでいた。
ただの死ぬ夢だとは思えるが、なぜかこれが自分の前世なんだと素直に受け入れてしまっていた。
特に理由は無い、そう思えてしまったからそう思うことにした、とても不思議な感覚だった。
夢はとても鮮明でいつどこで何をしていたか、地名はどこでどの学校に通っていたのか、友人の名前まで思い出せる。
どんなゲームをプレイしていたのかも鮮明に。
気になることがあった、ゲームの中でFateというゲームだなぜか夢の中数多くある知識の中でこのゲームだけが強く意識を向けさせられた。
まるでこれだけは忘れてはいけないと誰かに言われているかのように。
第五の聖杯戦争をやっていた、アニメも見ていた。
第四も聖杯大戦も見た。
最後にFGOと呼ばれるゲーム、これを最後にやっていた。
数多の英雄が世界を救うために、悪も正義も自らの望みを叶えるためにマスターと共に人類を救う物語。
その英雄たちの拠点の名は「フィニス・カルデア」
偶然ではないだろう、あの瞬間に頭痛が起こったのは決して偶然ではない。
そのとき俺の思考を遮るように着信音が鳴った。
送信者はカルデア、内容は俺の採用が決まったこと、指定の日時に指定の場所まで来ること。
そこから先はカルデアの職員が目的地のカルデアとやらに送ってくれるらしい。
まぁ俺の知識ではカルデアは雪山の中らしいし、一度いったら帰れないだろうな。
物語的にも交通的にも。
だがもし帰れたとしても帰ることはないだろう、昨日までの俺なら直ぐに文句を言ってあっちの人間に直ぐに帰せと怒鳴り散らしたかもしれないが、今日は違う。
前世は普通過ぎる人生を送ったんだ、今生は少しでも違う生き方をしてみたくなる。
まぁ爆発で死んだらそれまでだが、なんとかなるだろ生き残っている人間も結構な人数いたらしいし。
やってみたかったでけなんですよ・・・!