ですが、「もっと早くしろ」等の意見がありましたらなるべくそのペースで更新できるよう頑張ります。
この話は残酷な描写があります。
苦手な方は引き返して下さい。
大丈夫な方はどうぞ...
此処は足場が悪く所々に岩を重ねた洞穴や歪な形の岩がごろごろと転がっている。
そこは開拓されたものの住み着く者が多少居た様だが今はもう荒れ果て、誰もが此処には誰も居ない、と言うだろう。
そこに一人の青年が居た。
その者は妖怪などでは無く無力な人間の外見をしているが、その身体には何処にも傷が付いておらず、服にすら汚れというものが無い。
一体何故、人間であろう者がこの辺境の地まで平然と赴けるのだろう。
だが、そんな物などこの青年の前では障害にすらならない。
その者は幻想郷に突如として現れた外来人、鷹宮 昴流である。
彼について書かれた某記者の新聞は号外として幻想郷に広まり彼を知らぬ者など極少数になっていた。
幻想郷に自分の名が広まっている事など露知らず、石垣付近の数少ないボロボロの木造建築の一つである小屋を調べている昴流。
此処にいるのは何も考えず殴り込みしては返り討ちに合うという考慮も入れて、だ。
「う~ん。」
何故悩んでいるのかと言うと、最近使われたであろう埃が乗っていないテーブルがあったからだ。
一先ずテーブル同様埃が乗っていない椅子が二つあったのでその内の一つに座る。
そうしていくつかの仮定を考える。
まず一つの目は例の異変の元凶とその友達であるぬえが使った説。
二つ目はそいつらでなく他の妖怪である説。
そして最後に有り得なさそうだが、そもそも使われていなかった設。
それらの説を立ててみるがそれだけでは何も変わらないので、小屋の内部を調べてみる。
「これは・・・?」
小屋の隅に置かれた小さめの本棚には目を疑ってしまう様な本が置かれてあった。
『人間と上手く付き合う108の方法』
『妖怪と人間は共存出来る?』
『拷問全集 No,1 (西欧篇)』
ふむ、これらは―まぁ多少は許容範囲内だ。
だが、これは何なんだ。
そう思いながらそれに手を伸ばす。
『八雲家の美貌の秘訣 part.1』
そう書かれている表紙を見てみる。
「・・・ん?」
目を指で擦りもう一度見る。
「こっ、これは?!」
そこには何と、八雲 紫の何らかの決めポーズを取った写真が印刷されていたのだ。
中身を確認する為にパラパラと最後のページまで軽く流して見る。
「これ只の写真集じゃねぇか!」
ほとんど写真しかない本をペチンッと床に叩き付ける。
そしてタイトルの末尾に違和感を感じ本棚に視線を戻す。
「おお・・・。」
そこにはやはりというべきか、『八雲家の美貌の秘訣』シリーズがずらっと並んでいた。しかも番号順に綺麗に整頓してあり思わず感嘆の声を上げてしまう。
気をとりなおしpart,2を手に取る。
「あっ、紫じゃないんだな。」
その表紙には藍の写真が印刷されていた。
中身を見ると橙の写真ばかりで隙間にある文には橙の何処が可愛い等の事が溢れんばかりに載せられている。
この本も先程の物と同様に処理し、確信した事がある。
―こいつら絶体真面目にやる気無いだろ。
「ん?」
突然背後に人の気配が現れたので振り返ると、
「やぁ、元気な様で何よりだよ。昴流。」
そこにはこの異変の元凶である妖怪―ドッペルゲンガーであろう者がいた。
俺は前に立つ"俺"へと言葉を返す。
「お前もな。・・・で、早速で悪いが、此処でお前を倒す!」
「くっくっくっ、アハハハハ!」
突然の笑い声に足を止め、敵への警戒心をさらに強める。
「どうした?何故笑う?!」
「ふふふ。いやぁ、ずっとこの時を楽しみに待ってたんだぁ。」
先程の表情とはうってかわり、獰猛な表情だが少しばかり頬が紅潮している。
正直外見が男だから止めて欲しい。
あっ、でも声は女の子の声だから見なければ良いかな?
「だってさぁ、昴流の肉とか脳漿《のうしょう》って美味しそうだなぁって、ずっと思ってたんだよ?でも昴流が痛がる顔を見るのは嫌だから、一瞬で殺してあげる♪」
そう言うと俺の前に舞い出でて槍を構える"俺"。
その余りの速さに驚くが咄嗟に左へと転がり回避する。
「・・・その槍は?!」
"俺"が構えている細く長く漆黒で紫色の線で装飾されている槍に視線を送る。
「ああ、これね。これは突き刺した者の魂を吸い取る事が出来るんだ。」
新な隠し玉を見せられ、さらにその効果は凶力なものであったので一瞬だが隙を見せてしまう。
「ぐっ・・・。」
反射的に鞘から刀を抜刀し、自身を貫かんとしている槍を下から掬い上げる様に振り上げる。
そして反撃の為に振り上げた刀の刃を下に反転させ左上から袈裟斬りし後ろに大きく跳躍する。
「・・・やっぱりか。」
"俺"を刀で斜めに切り裂き二つにしたのだがやはり物質による攻撃は通らない。
幽霊みたいな奴だな。
「残念だったね。私にはそんなの当たらないよ。」
復元を直ぐに終わらせた"俺"が槍を構え直し一旦開いた互いの距離を歩いて縮める。
なら、と思い己の能力を発動し、"俺"を対象にし『物質による干渉を受けない程度の能力』を無効化する。
「クシシ、そんなの効かないよ。一回やってみる?遠慮なんてしちゃダメだよ。」
そう言い俺の前に来て両腕を広げ隙を見せる。
「では、やらせてもらおうか。」
刀を振り上げ袈裟斬りで"俺"めがけて斬り下ろす。
だが、それは"俺"を真っ二つにしたが直ぐにそこが修復され傷も残らなかった。
「ッ?!どういう事だ?!」
確かに能力で封じたはず・・・。
「私の能力によって手にいれたこの能力。それは『あらゆるものを貼付・剥離する程度の能力』なんだ。」
ああなるほど、そういう事か。
まさか強化してそんな能力になるとは・・・。
「だから、もう昴流は此処で死ぬしか道が無いんだよ。クシシ、これで昴流を私の物に・・・。」
そうして成す術も無く能力を使われて五感が段々と奪われていく。
「昴流、短い時間だったけど楽しかったよ。・・・じゃあ、美味しく食べられてね!」
耳が余り機能せず本当かどうかは分からないが俺を壁際まで追い込んだ奴はそんな事を言った。
心臓部に突きたてられた黒槍が皮膚にぶつかり一瞬皮膚が抵抗するも、それらを突き破る。
内臓を突き抜け侵入してくる冷たく固い異物。
さらに魂を吸い取られているのか、体中の筋肉が段々と脱力していき力が入らなくなる。
(主、我だ。気を確かにしろ。エターナルならば心臓など一つの部位に過ぎない。まだ主はしなければならぬ事があるはずだ。)
ああ『気骨』か。
大丈夫だ、まだ気は保たれる。
(そうか、ならまずは『ニューマ』を呼べ。話はそれからだ。)
そうか忘れそうになってたな。
俺には頼れる仲間と帰りを待つ者がいる事を。
『ニューマ』!引き込もってないで俺を助けろ!!!
昴流の周囲に消えそうになりながらも力強く光続けるマナが漂い、一つの強大な塊へと収縮する。
その光から現れる巨人。
「さて、我の無くなる事の無い永久なる力を。・・・受けてみるがいい!」
マナが満ちた事により五感が少しずつだが戻ってきている俺の近くから強かな覇気が放たれる。
「え?!」
胸部に刺さった異物はその保持者諸とも吹っ飛んでいく。
そして自身の神獣が現れた事により弱りきった精神力が強化されより強靭なものへと磨かれ、再び戦意が湧いてくる。
俺は痛む胸を押さえながら何とか立ち上がり、敵が気絶している事を確認すると隣の神へと体を向け顔を上に向ける。
「お前、『ニューマ』なのか?」
目の前に立つのは神獣というよりは神樹と呼ぶのが正しいだろう、10m程の身長があり全身が灰色で木目が所々にある。
「我は鷹宮 昴流、貴殿の神獣であるアラハバキだ。我の片割れであるニューマを世話して頂き感謝する、主よ。」
「どういう事だ?片割れって事はニューマと何かが合わさる事でお前が生まれたって事か?」
「そうだ、白蛇と黒蛇が合し我は生誕する。黒蛇は主の刀であるが、とある事情で力を抑えられ分割され、しばらくの間力が元に戻る刻を待っていたのだ。」
「力が戻れば元の姿に還るこ事が出来るのだ。」という声を聞きながら、自分の愛用する刀を探すが見当たらない。
当然だ、あれは『ニューマ』と合わさったのだから。
「アラハバキと言ったか・・・、俺は何を武器にすれば良い?」
「愚問だ。己の心を武器にするのだ。」
抽象的なその言葉は何故か自分の心にはスポンジが水を吸い込む様にすんなりと浸透する。
「己の心を武器に、か。そのまんまだな。簡潔で助かる。」
「では参ろう。奴を倒すのであろう。」
「ああ。」
俺は新な仲間を背後に感じながら、目が覚め立ち上がろうとしている元凶へと歩き出す。
だが、まだこれが全てでは無い。
昴流にはまだ古の神が眠っているのだから。
―The God denies existence of all other God.
ヤンデレにしたかったんですけど、これで合ってるのかな?
アラハバキの登場です。
吉野氏の説を参考にして頂きました。(Wikipediaより)
武器については次回明らかになります。
そのまま過ぎて予想通りになってしまうと思いますが・・・。
何か足りないなぁ、と思って最後に英文入れました。
これって蛇足だったかな?
では次回もよろしくお願いします。