ではどうぞ・・・
俺を死まで追いやった奴―通称、キチガイミミック野郎と名付けよう―がようやく何処かで打ったらしい後頭部を片手で押さえながら立ち上がる。
「どうだ、よく眠れたか?」
「寝起きがこんなの何て最悪だよ。」
俺の言葉に首を振って答える"俺"。
しかし未だ本気を出していなかった、と思わせる程にしっかりと足を地に付け立っている。
「じゃあ早速、再戦といくか。」
「そーだね、まだまだ楽しめそう。」
お互いが再び合い見える様とした時、元凶に異変が生じる。
此方に走ってくると思った矢先、その向かう先は反対、つまりUターンしたのだ。
俺が突然の事に呆然としているとそのすき隙に手頃な建物の影に隠れた。
「ぜーったいにこっちに来ないでよ!」
だが、そんな事を言われれば当然の如く行きたくなってしまう。
なので声が発せられた小屋の影へとなるべく音を発てず軽く跳躍する。
果たしてそこには黒い靄の塊があった。
「来るなって言ったよね!?」
「うぉっ?!」
靄に包まれている今、何処から見ているかは分からないがその靄を投げ飛ばす。俺に向け飛んできた靄をかわしながら、再び視線をそれへと向ける。
靄を使っての攻撃なのか靄を纏っている肌色の肢体が顕になり、ほぼ全裸の状態となっている為その未熟な身体を眺める。
おお、眼福眼福。
べ、別にロリコンなんかじゃないんだからね!、と誰に向けたのか分からない弁言を心の中で言う。
しばらく見ていると俺の視線に気付いたのか、
「え?あ、うー!見たなー!!」
俺の視線の先を辿りしばらく固まったかと思うと何処を見られているのか気付いたらしく残った僅かな靄でその部位を慌てた様に隠す。
名残惜しかったがまだ終わりでは無い。
隠している積りだが膨らみかけや股が完全に隠し切れてないので、引き続き反応を楽しみながらじっと見つめる。
うむ、赤く染まった顔は初で良いのう。
「主、何時までそうしている積りだ。」
おおっと、そうだな。
アラハバキの呆れた声を聞きそこで止める。
「じゃあ待ってやるからなんかで隠してから来い。」
そう全裸幼女に声を掛け、そこから離れる。
ある程度移動し終え、己の武器のなんたるかを知る為に一度やってみる事にする。
「心を武器に、か。」
この言葉に隠される事柄は複数存在する。
それを考えていた時アラハバキから言葉を掛けられる。
「そうであった。主、これを。」
巨躯から伸びる極太い腕の先の開いた手が俺の前に差し出される。
その掌の上には以前、神剣『気骨』に付いていた硝子玉であった。
「これは・・・?」
「これは三宝荒神から譲り受けた物でな、名は言わんかったが主がこれを所持する事で武器が安定すると聞いた。」
「そうなのか。」
内心で大丈夫か?これ使っても。
そう思いながら受け取る。
「うぐっ?!」
硝子玉を握った瞬間だ。
自分の体が己のもので無いような錯覚に囚われる。
しかし、その感覚は一瞬で直ぐに元に戻る。
大丈夫だ、これは俺の身体だ。
そう確認し、額に浮かんだ冷や汗を手で拭い手に握った透明な物を見る。
中には色々と装飾がしてあるがよく分からない構造だ。
「まぁ一回やってみるか。」
俺が一度やってみようとした時、
「主、言い忘れた事がある。先に言って置くがまだ完全に契約が終わった訳では無い。」
そうか、まだ終わって無いって事は先程のは失敗になっていたって事か。
って、これってかなり重要な事じゃないかな、アラハバキ。
もっと早く言っておくれ。
「だが、直ぐに済む事だ。只、我の位は知らんであろう。いや、神剣は我では無くその硝子玉だ。我はそれの神獣に過ぎぬ。」
「ん?おい、話が矛盾してないか?この硝子玉はアラハバキが貰ったと言った筈だが。」
そうなのだ。
硝子玉はアラハバキが持っていたのに関わらず、それの神獣はアラハバキであるという矛盾があった。
「実は我は本物の我の化身の様なものでな、硝子玉は我でない本物が譲り受けそれが此処に流れ着いただけの事。」
「うむ。ならこの硝子玉の位は?」
「その硝子玉は『虚位』だ。この位に何が秘められているかは我でも知り得ない。」
「そうか。」
永遠神剣虚位、か。
危ない様な気がする、だがやらなければならないな。
だから、・・・おい虚位、俺と契約してくれ。
そう語り掛けた時、
(・・・承知。)
その声は長年を生きた者の枯れたものだった。
背筋に悪寒が走り身震いしてしまう。
この声、何処かで・・・。
聞いた事のあるその誰もが恐怖を抱く程の声はその一言のみで不審感を抱くがその時、
「待たせたね、さぁ殺り合おー!」
紅の和服を着て腰まで伸びた紫の髪で後頭部分の髪をグレーのリボンで一つに結びポニーテールの異変の元凶がうっすら笑みを浮かべ、その二つの碧眼で獲物を射止めんと俺を睨む。
「主、現在は契約前より力、防御が激減したが速度、反射等は上昇している。敵の攻撃には気を付けろ。」
「ああ。」
「クシシ、準備は整ったみたいだね。私の名は
魂剥 彌影と名乗る少女から第一の弾幕の壁が放たれる。
俺はその壁を見て、弾幕を敵諸共切り裂かんとすると共に手に持った虚位の硝子玉が輝きその光が棒状に伸びていく。
そしてその光が散るとそこには刀身と鍔が純白で曇りが無く柄は白と黒が8;2の比率で交錯されている日本刀の形状の刀が顕れた。
「これは・・・!」
その刀はで日本刀をモデルにしてありながら羽毛の様に軽かったのだ。
その刀を強く握り弾幕の壁へと飛躍し速さのみを重視した袈裟斬りを放つ。
「ぐっ?!」
切り裂きはした。
だが、やはり力が無くなっているのか歯をくいしばる事でなんとか切り裂こうとした弾幕の一部は真っ二つになった。
これを体感し以前より弱くなったのではないか?と思ったのだが自分の視界に違和感を抱く。
それは自分以外のあらゆるものがスーパースローカメラで撮った映像の様に遅い。
さらに自分の思考速度、反応速度などのあらゆるプラスとなる速度が異常に速くなっている事に気付く。
「ほう・・・。」
それは現在の状況を見れば一目瞭然だ。
常人から見れば高速にも値する速度の迫り来る弾を全て
「じゃあ攻めるか。」
俺は一旦思考から外部に神経を向ける。
そして彌影に向けて易々と弾を避けながら歩いて行く。
「ちょっと?!何で当たらないのー?!おりゃーおりゃりゃりゃりゃー!!!」
うん、自棄になってしまった様だ。
弾が滅茶苦茶に飛ばされている。
「ほい、タッチ。」
距離を詰め、素早く背後に回り小さい肩を力強く掴む。
「ひゃあっ?!」
「彌影、分かってるな?今逃げれば今後まともに生きれないぞ?」
そう言いながら刃を光らせ身の危険を感じさせる。
「へぇー、なら、・・・やって見せてよ!」
俺の拘束を振り解き、離れた後此方に向いた彌影の手には漆黒の槍が握られていた。
「これを使えば良いんだよ。」
「ほう、それはどうかな?」
俺は反射速度などの強化されたものを頼りに以前より避けやすくなった槍の突きや側面の打撃を加速した速度により一つ一つ避けていく。
此方が狙うは一瞬の隙。
敵より力が負けている場合、状況を確実に覆せる技が無ければ必然的にこのやり方になるだろう。
「はぁっ!」
突きと突きの間の隙を狙い敵の左へと避けすれ違い様に胴近くを擦りつける様に撫で切る。
「うっ?!」
手が少し痺れたがダメージは与えられた様だ。
彌影が左手で脇腹を押さえ不機嫌な顔を向けてくる。
「よくもやったなー!・・・よし、これで殺してやるー!」
すると彌影が黒槍を両手に持ち上に向けると槍の紫色の線が紅く輝き出す。
「それは・・・?!何をするつもりだ!」
「え?溜めるって言ったらさいっきょうの攻撃を放つに決まってるじゃん。これを喰らったら只じゃすまないよ。」
ご丁寧に説明どうも。
情報をまとめると要は最強で喰らったらそれで終わり、と言うこ事は魔理沙のマスタースパークの如く一点集中砲火の類いであろう。
ならば気を付けるのは敵の行動のみだ。
「よし!集まって来た!上がれ上がれ上がれ上がれ・・・・・・上がれ――!!!」
「何?!」
その槍の先には直径5mはあろう大きさの紅と蒼が交ざり合い紫色に煌めく雷弾が生成されていた。
そしてさらに俺は驚愕する。
彌影は高く跳び上がり数秒程停滞した後、地面に向け飛ぶと重力によって上がった速度と自らの腕力を使い地面に突き刺す。
大弾が地面を削り取りあっという間に地下へと埋め込まれる。
「シッ!!」
俺は一瞬の判断で此処は危険だと察知し兎に角その場から走り逃げる。
その瞬間であった。
地面が崩壊したのは。
俺が立っていた地点を中心に地下から紫の奔流が火山の噴火の如く騰がり
俺は転がり回避し難を逃れる、が刀が硝子玉、虚位と共に紫の奔流に巻き込まれその姿を消してしまう。
その状況に呆然とするが、神獣の存在を思い出す。
「アラハバキは何処だ?」
「主よ、我はずっと此処にいるが。」
声が聞こえた後ろを振り向くとそこにはアラハバキが居た。
そうか、ずっと居たもんな、かなり遠い所に。
「あの玉は要らぬ。あれが無くとも主は十二分に使いこなせている。先程見ていて確信したわ。」
「なら多少は安心だな。して、神剣無しに何故アラハバキが居られる?」
「あんな物、付け焼き刃の様な物よ。あの程度の物で我の存在に干渉出来る事があろうか。」
俺は内心で硝子玉が無くなり安心と不安が両方存在していたが、アラハバキの言葉で不安などほとんど消し去られていた。
、とその前に・・・。
俺は崩壊し直径20m程の大穴が空けられた所へ飛躍し穴の状態を上から観察する。
「とりゃーーー!!!」
下方から何かが来ると気配を察知した時、槍を突き出し突進してくる者がいた。
その突撃には十分に気迫が込められておりそれが全力の攻撃、要はこの一撃で終わらせる!の様なものだろう攻撃を放ったのだ。
だが、そのフェイントも何も無い直線的な攻撃は青年の突き出し開かれた手を中心として出現した半透明な白い壁により進行を妨げられる。
「はぁぁぁー!」
「おぉぉぉーーー!!」
互いに右手を押し返さんと伸ばし合い拮抗する。
しかし先に崩壊したのは槍の方で粉々され跳ね返り消え去る。
「あ~あ、もう壊れちゃった。造るの結構時間掛かるんだよね。もう良いよ、私の負けでも。・・・はぁ~あ、負けちゃったか~。」
「造れるのか?そんな危険な物が・・・。」
そう答えた俺に彌影はこう言う。
「あの槍は初期は脆弱な武器なんだけどね。魂を吸収する事でその器の大きさで強化されていくのさ。」
「という事は今あったとしても直ぐに敗北確定になるから此処で降伏した方が楽、と。」
「そうそう、そういう事だよ。」
急に態度が柔らかくなったなぁ。
そう思って警戒を解くと手に捉えていた刀が白い塵に碎け散り飛び散った輝きが朧に消える。
どうやら戦闘態勢を解くと同時に無くなる様だ。
「もう大人しくしてろ。またやったらこれ以上に痛い目を見させるぞ。」
「分かってるよ。・・・でも一つだけ私の頼み、聞いてくれる?」
「ああ、別に良いぞ。」
俺がそう返答すると突然うつ向きそわそわと落ち着きが無くなる。
どうしたんだ?と声を掛け様とするが、その前に彌影が思い切った様に口を開く。
「じゃあこれからはずっと、ずっ~と一緒に居ても良い?」
そう不意打ち気味に言われ俺は動揺を隠し切れない。
「ちょっ、お前?!えっと、あ、あれだ。ちょっと用事出来たから帰るわ。」
それだけ言って踵を返すと誰かに袖を掴まれる。
情けないが当然俺の方が力が劣るので袖を引っ張られた瞬間地面に背中を打ち付けられる。
「ぐっ!・・・っ、痛いだろ。」
だが、俺がそう言い終える前に彌影が丁度俺の腰の上に体重を乗せ跨る。
不機嫌そうな顔を此方に向け、
「さっき聞いてくれるって言ったじゃんか~。・・・ケチッ。」
この言動と表情からして随分とお怒りの様だ。
彌影が色々と騒いでいるが何とかこの状態から脱する方法は無いか、と考える事にする。
だって、意識すると出るとこ出ちゃいますから・・・。
もしそうなったら・・・、うん、考えるのは止めようか。
下半身からくる刺激も心頭滅却、心頭滅却と繰り返しながら何とか意識から手放す。
よし、真剣に考えようか。
しかし、一度考えて分かった事、それはこれは既に決まっている運命なのか選択肢は一つしか残っていない事だ。
つまり死ぬのは嫌だから、彼女の頼みと言うものを受け入れるしかないのだ。
そう結論を出し彌影に報告し様と意識を彼女に向けた時、腹部に鈍痛が走る。
「がはぁっ?!・・・う"ぅ~、お前、何するんだ?」
「だって私が話しかけても全く反応してくれなかったんだもん。」
ちょっと無視し過ぎたか?
痛む腹を摩りながら機嫌を直させる為に先程俺が言おうとした言葉を言う。
「御影、お前の頼み確と聞いた。俺に付いて来い。」
俺がそう7言うと、見る見る内に笑顔へと変貌していく。
「え!?良いの?本当に良いの?!」
「だから良いって言っただろ。」
「やったー!ありがとー昴流!」
先程の表情とは打って変わり今にも飛び付きそうな程に驚喜している。
まぁ真剣に考えた甲斐があったな。
「ああ。彌影、これから宜しくな。」
「此方こそ宜しくだよー!」
そこでようやく拘束を解いてくれたので俺は一地底から出る事にしようと考え、出口の方向へと歩みを始める。
背後から付いてくる彌影の気配を感じながら、紫に何て説明すれば良いんだろう、と今更ながらに頼みを受け入れた事を後悔するのだった。
ま、可愛いから大丈夫だろう、と意味も無くそう感じた。
俺は地底に潜り新たな力と仲間を手に入れ地上へと足早に歩みを進めるのだった・・・。
―その頃、地上では幻想郷中の者が降り注ぐ災厄に必死に対抗しているとは知らずに・・・。
魂魄の魄って魂と合わせる事で「ぱく」って読み方が増えるので剥でも魂と合わせると「ぱく」と読めるようには出来るのかな・・・?
やっぱり無い言葉だから無理か・・・。
すいませんが今の所は無理矢理そうして置きます。
何となく魂剥 彌影のイメージをどっとうpろだ.orgにうpしておきました。
キャラクターなんとか機で作成しました。
時間が無かったんです、予想以上に本編に時間かけすぎましたので手抜きです。
イメージですので多少誤差があります。
残念な事に表情は普通の状態です。
それでも良いとおっしゃってくれる方はどうぞ。
URLは↓
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4670645.png
ではまたです。