東方心神領域   作:aetos

17 / 17
この三話で場所毎に時間差があるのですいません。


では、どうぞ...


第17話 人里に向かってる頃の出来事... 《後編》

妖怪の山にて

 

「前方1km先に侵入者発見…、って、これは多いな。」

 

真上から降り注ぐ日光の中、木陰に隠れながら白狼天狗の犬走 椛は哨務をしていると自身の能力により千里先まで見透す眼は妖怪の山に侵入する黒の丸みを帯びたものを補足する。

 

「私一人で充分そう。見かけからして脆弱そうだし。」

 

洗い立てのタオルの様に真っ白でもっふもふの頭の犬耳と尻尾の木目細かい毛をさらさらと風に靡かせ山を駆け足で降りて行く。

 

「一体何処から湧いて来たのかなぁ。」

 

事実、幻想郷にこんな生物は存在しえた事があったかも知れないが世界から見て生まれたての椛は知らない。

その生物は丸く黒い体に目と小さい牙が二つある口と手と足そしてその背に黒い翼がある。

 

「はぁ!」

 

麓まで跳び降りた椛はその勢いを己の一振りに乗せ上段斬りで黒い生物を真っ二つに裂く。

 

「何?!」

「ううう―――。」

 

その裁った生物は白く輝いた後、粉砕し消滅したのだ。

椛は周囲を敵に囲まれているにも関わらずその光景に気を取られてしまい不意に死角から放たれた炎弾に気付かなかった。

椛は、だが…。

 

「ふんっ!」

 

巻き起こされる鋭利な風が周旋し炎弾は勿論、黒い物体に紛れて白くて一部がもふもふしているものも吹き飛ばされてしまった。

 

 

 

文side...

 

 

先程まで黒い生物ともふもふが存在していた場所に降り立ったのは背に黒い一対の翼を携える天狗。

その天狗は葉団扇とカメラをそれぞれを手に持っている。

 

「よし、この付近の一掃は終わった。」

 

天狗だけど戦うって言うのはよく分からないけど、…やっぱりそんな事より面白い出来事を取材したい。

まぁ、さっき飛ばした奴等も良質なネタだろうけど私は黒い奴等の向こう側には何かがあると確証は無い。

どっかの巫女じゃないけど私の勘がそう言ってる。

 

「あれだと思うんだけどね~。」

 

私の著作する新聞、その名も『文々。新聞』に合うのはやはりあの天にも届くほどの球だろう。

あれをこの手に持つ写真機で写し現像させ自分の新聞に載ると思うと顔の筋肉が弛むのを感じる。

 

「まぁ、私は余り戦闘はしたくないし誰か呼ぼうかな。」

 

あれが現れてからまだ時間も経っていないからあいつに動向を促そう。

何、私の長年培って来た話術で大丈夫だ。

 

「あれ?貴方は射命丸文?なんでこんなとこに居るんですか?」

「ッ?!な、なんで椛が此処に居るんですか?!」

 

ああ、来てしまった。

このもふもふはいやだ~。

別にもふもふは嫌いじゃないけど、椛はちょっと…。

 

「えっと、椛?私はもう行くから。」

「そうですね。あ、貴方もあれに行くんですよね?」

 

私が踵を返そうとすると今後の予定を言い当てられてしまった。

内心椛が現れた為の動揺で訳が分からない。

でも良い事を思いつく。

 

「椛、私は行くけど、あんたも誰かと一緒に行って。何があるか分からないから…。」

「助言ありがとう、と言っておきます。では……。取りあえず大天狗様に報告か…。」

 

私は心の中で舌打ちする。

あいつを追い返す事には成功したが、私達を見下しているあいつには何か仕返しをしなければならない。

 

「まぁ、にとりは補助員として必要だし、そこから人里に行こう。」

 

私はもう見えなくなった椛がいるであろう方角を見て私もその方角に歩いていった。

 

 

誰かの工房...

 

 

 

「清く正しい射命丸文がご伝言に参りました!お邪魔しまーす!」

 

飛ぶ速度をそのままに工房の前に飛び降りその風圧で扉を開けた私は緑の帽子に水色の洋服を着た妖怪に笑顔を向け敬礼をする。

 

「あ、文じゃん。取り敢えずこの紙に名前書いて。」

 

私に気付くと何やら紙と筆を渡される。

声こそ明るいがその碧眼は全くもって笑ってなかった。

 

「書かないの?それなら……。」

「大丈夫です書きます!ですからそれだけはー!」

 

私は渡された紙を見てすぐさま返そうとするが、バールの様な物をちらつかされ記憶の中からトラウマが湧き上がる。もう思い出したくもないし、またやられるのはごめんだ。

喰らえ!これこそが我が伝統の秘技!嘘泣き!

 

「文、私はもう、と言うか元から怒ってないよ。それにあの扉って立て付けが悪かったから、何時か取り替えようとしてたし。」

「本当?!流石にとり!」

 

してやったり!

にとりが私の泣きそうな顔を見て諦めてくれた!

 

「で、何の用事で来たのさ。」

「実は……、カクカクシカジカと言う事なんです。」

「そんなの分かるかー!!私はどっかの覚妖怪みたく心なんか読めな…。」

「うぃぃいい。」

 

にとりが話していると何か黒いものが視界に入り込む。

 

「何なのさ!こいつら!」

「あれ?!こいつって…。」

 

その生物は先程まで自分が倒していた奴等と外見が似ていた。

しかし、目前にいるのはそれより大きく尻尾の様なものまで生えている。

 

「にとり!こいつら倒すわよ!魔法使ってくるから気をつけて。」

「うん、分かった。」

「うぃぃぃ――。」

 

にとりが返答し終えると4体の中から2匹が鳴き声を上げ炎と水の弾を放つ為、魔法陣を出現させる。

私は何度もこいつらと戦ったので何をしてくるのかは分かる。

 

「これでも喰らえ!!」

 

私は葉団扇を振りかぶる。

だがそこで静止の声が掛かる。

 

「文、止めて!ここ私の家だから!やるなら外でやって!!」

「分かった。外でやれば良いんでしょう。」

 

私は外に出た。にとりを引き連れて。

至極当然である。

敵は私達に対し攻撃を放つのだから普通に私達を追ってにとりの工房から出てくるはず。

 

「よし、出てきた。」

 

工房の近くの木の上に立ち様子を見る。

私の予測通り工房の出入口から出てきた生物が工房から十分離れた。

今だ!

 

「はぁ!」

 

葉団扇を振るい刃となった風が交じり合い黒い生物に襲い掛かる。

 

「「うぃぃぃ――――!?」」

 

声が二つしか聞こえない。

私は奴等を見つめると合点がいく。

四匹だから二匹が残りの二匹を盾として使った様だ。

 

「うぃいいいい!」

 

仲間を傷だらけにしたその強さに身が竦んだのかその場から声を漏らすだけでちっとも動かない。

私はほくそ笑む。

何故こんなにも弱いのか。

人間はこのくらい弱いが、ましてやこいつ等は魔法も使えるのに。

 

しかしその思いも直ぐに打ち破られる。

 

「ぐっ?!!」

 

突如背中に襲う重たい打撃に木から転落し地面に背中を受け止められる。

私は痛みを予想したが何も痛くない。

どうやら乗っていた木はそれほど高くなかった様だ。

 

「お前は何だ?!」

 

にとりの声に私は直ぐに立ち上がる。

そして先程まで乗っていた木の上端を見ると黒い巨人がいた。

 

「ぎぇいい――。」

 

その奇声を上げながら魔法陣を展開するまたしても黒い生物と外見が似ているものではあるが、今目前にいるのは人間に近くなった様な形をしている。

 

「喰らえっ!」

 

高速で飛翔しその胴の部分に下駄を履いた足で蹴り上げる。

やはり自分の速度には追いつけない様で直撃を受けている。

 

「何?!」

 

しかし、喰らわせたはずなのに少ししか敵は後ろに下がらなかった。

目前にいる私に狙いを付け炎を纏った拳の先にある魔法陣をぶつけてくる。

 

「あぐっ?!」

 

その魔法陣は私に衝突すると砕け散り炎が爆発する。

私は衝撃で後ろに飛ばされ木に背をぶつけその痛みに顔を顰める。

 

「文!大丈夫?!…くそ、……ならばこれを使うおう。」

 

私は何とか立ち上がりにとりを見る。

にとりは何かを発射させようとしている。

 

「これで終わりだ!菊一文字コンプレッサー、発射!!」

 

にとりから放たれるユニット。

それが敵に当たり激流を生む。

 

「ぎぃえええ――――!!」

 

その強烈な水の爆発は敵の体を引き裂き光に還す。

私はそこまで見ると残りの二匹の所へ向かう。

 

「よし、まだ大丈夫。」

 

自分の体の状態はそれほど悪くは無い。

そして敵の下へ高速で飛翔する。

葉団扇で敵を打ち上げさらに追撃する。

それを二匹同時に切り上げる。

余りにも速過ぎて敵は鳴き声さえも上げられない。

実際、眼で捉えられないので反撃する事も叶わない。

 

「これで、最後!!」

 

最後、直線に切り裂き二匹同時に光に包まれ消滅する。

振り切った態勢を解き溜息を吐く。

 

「今回ばかりは疲れた。」

 

私はそう言うと地面へと降り立ちにとりの下へ行く。

 

「文、一つだけ言わせてもらうよ。油断は禁物!分かった?」

「ぐっ。言い返す言葉もありません。」

「分かれば良いさ。それより文が何しにきたのかが分かった気がするよ。」

 

にとりはある方角を見る。

その視線を辿るとあの半透明な球がある。

 

「あれを記事にしたいって言うことだよね?」

「っ?!まぁそうだけど。」

「やっぱりそうだったか。」

 

にとりはそう言うと本当に知っていたんじゃないか、と思ってしまう事を言う。

 

「あれに行くなら私も付いてくからよろしく。と言うか文だけじゃ心配だからね。」

「おお、にとりありがとう。」

「じゃあまず荷物の整理しなくちゃいけないからちょっと待ってて。」

 

急ぎ足で工房へと入っていくにとり。

そして直ぐに出てきた。

 

「あれ?!はやっ!!」

「いや、このバックに必要な物は入ってるからさっき使った菊一文字コンプレッサーの分を補充しただけだからね。」

 

余りの速さに拍子抜けしたがにとりが先に歩き出したので、自分もそれに続き急ぎ足で歩き前を歩く。

 

「にとり、最初に行くのは人里。で、次が魔法の森の西側だから。」

「まぁそうだろうね。」

 

まず最初は人里で巫女とかいるから情報とか協力者を蓄え、それからあの球は魔法の森西側の上空ぬある為そこに行く、という計画だ。

 

「にとり、飛んで行くよ。」

「分かった。」

 

にとりがプロペラを用意し終えるのを待った後、にとりの飛行速度に合わせ人里へ向かった……。

 

「やっぱりゆっくり飛んだ方が気持ちが良い。」

「そうだね~。」




これで終わりだ。
やっと次回から事が進める事が出来る。

あ、今回出てきた黒いのは「ティンクル☆くるせいだーす」の魔族です。
魔族って言ってもジャンガラとかモチモチとかティーヌンとかもう同じ外見でも属性の違いで名前変わるとか面倒なので、表記は例えば最後の大きいのは炎の大黒魔族とか簡単にしようと思ってます。(《属性》の《形[大中小のどれか]》《色》魔族)こんな感じ?
色の部分は知らない人は気にしないで下さい。
因みに属性は炎・雷・水・闇・光です。


では次回もよろしくです~。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。