やっぱり、幻想郷に行くんだから異変起きて欲しいよね、と思い異変起こしました。
「ん・・・。ここは?」
目を覚ますと目の前に天井が見える。
体の半身を起こし周囲を見渡すと、ここは和室であったが某貧乏巫女の神社ではない。
一部屋とはいっても20畳以上の広さがあり綺麗な和室(掃除は欠かさずやっているのだろう)で今までマンション暮らしなので、この空間は広過ぎて落ち着かないのと実家も同じ様な落ち着く雰囲気で懐かしく感じられ、その相反する感情でごちゃ混ぜになり困惑していた時、
「あら、もう体は大丈夫?」
「へ?」
声を掛けてきたのは俺をここへと連れ去った妖怪であった。
また何かやられるかもしれない。最悪、殺されるかもしれない。
「や、八雲 紫。それ以上近付くな!」
「えっ、・・・あっ、そういうことね。・・・貴方、もしかすると貴方が言ってるのって復体の様な妖怪かも知れないわ。ここ最近そういうのが特に人里で起きてるのよ。・・・それにしても私の真似をするとはどうしても死にたい様ね。」
話を聞き落ち着いた後、思案する。
こいつの話は本当のことなのか、あるいは、俺を言い包めるための偽言なのか。
だが、考えているだけで分かることではない。
「その話が本当なら、証明してみせろ。」
「そう来るのは予想の範疇よ。それでは、このスキマを覗いて御覧なさい。」
と、言うと目の前に長さ1mにもなる大きさのスキマがその空間を裂くように出現し、スキマの中には人里の一部だと思われる場所が映っている。
真ん中には人間の青年が一人佇んでいるだけである。
それ以外は木造の建物しかない。
そんな何の変哲もない物を見せられ、これはどういうことだ、という意思を込め紫に顔を向けようとした時不意に、
「駄目よ。ちゃんと見てなさい。」
見てろと声を掛けられ渋々スキマに視線を戻す。
そこで小さな変化が現れる。
スキマの端にある建物と建物の間に何か黒い影が現れ段々と膨張し、そして人形に黒い靄が変形しているではないか。
その黒影は建物の陰からあの青年を観察をし始めると同時に、その影の体が段々と丸みを帯びていき、頭・手・胴・腰・脚の輪郭が人の物となっていく。
残った影だった物は、あの青年の容姿をそのまま写したかのようにそっくりであった。
体の周りには薄くだが、黒い靄が漂っている。
その”青年”は本物の青年へゆっくり近づく。
それらの間隔が1mとなった時、初めて青年は”青年”の存在に気付く。
勿論のこと、青年はそれを見て放心状態の様だ。
目が釘付けになっており、その接近を許してしまった。
しかし、突如そこにスキマを通じて紫が現れ、弾幕を続け様に放つことで”青年”の進行を阻むが、その弾幕は当たっても風穴を開けるだけで、その個所にすぐに靄が集結し穴を防ぐ。
それを見て、焦って隣を見るが隣に立っているのは紫ではなく藍で、こちらを睨んでいる。
「紫様の命令だ。ここで貴様を見張る。決して逃げようなどとは考えるな。」
「お前も本物か。」
「ああ、そうだ。貴様は紫様を本物と偽物とを間違えたようだがな。」
と、嘲笑を加えてのきつい言葉を貰ってしまうが、今はそんな場合じゃないと結論を出し、再びスキマに目を向ける。
が、勝負の行方はすぐに分かった。
紫が一撃必殺を狙い”青年”に向けて右手を向け境界を操ろうとする。
が、その前にそれはは微笑を浮かべ何かを喋った後、黒影へと還る。
そして、影へスキマの攻撃を与える間もなく、風に流されるように霧散した。
取り残された紫と青年は呆然とそこで立ち尽す。
その時の紫は苦虫を噛み潰した様な顔をしていた。
それを見て確信する、・・・あの紫は本物だ、と
青年に事情を話し送り届けた紫が帰ってくる。
紫の表情は何というか、・・・怒りが頂点に達している様だ。
うぉっ、見てたら凄い怖い目で睨んできたぞ。
身が竦む思いをするが聞いてみる。
「ゆ、紫、あの影に何か言われたようだけど、・・・何言われたんだ。」
「ああもう、言われたわよ!気味悪く笑った後に『私と遊んでくれてありがとう』ってドヤ・・・じゃなくて余裕そうな顔で!むかつくわね、あのスモーク!」
おお、怖い怖い。それにしてもスモークって・・・。
怖い顔で地団駄を踏んでいるのは傍から見れば鬼神が猛り狂っていると勘違いされても仕方ないだろう。
だが、イラつくのも仕様がない。
幻想郷内の妖怪の中では最上位の強さを誇るのだから余計にプライドが高い。
それ故、相手に傷一つ付けられず、そして、最後に皮肉みたく言われたんじゃ堪忍袋の緒が切れるというのも頷ける。
「紫様!紫様!落ち着いて下さいお願いします!どうしよう、紫様を落ち着かせるには・・・。」
「深呼吸でもしろって。」
「あ、あーそれだ。紫様、深呼吸して一度落ち着いて下さい!」
「あっ、そうね。すぅー、はぁー、すぅー、はぁー。よし、もう大丈夫よ。」
外見が貴婦人なのに冷や汗垂らしながらサムズアップしてるんだが、結構シュール...まぁいいだろう。
よし、気を取り直そう。
「んで、どうするんだ?っと、その前にあの影について教えてくれないか?」
「そうね、あの影についてなのだけど、・・・妖怪であるのは間違いないわ。元は復体、あなたにはドッペルゲンガーと言った方がいいかしら。」
「ああ、ドッペルゲンガーね。でもあれは、超常現象とかじゃないのか?」
「妖怪とは人の心に住む恐怖が具現化した物。だから、ドッペルゲンガーであることは間違いないわ。」
そういえば、喋ることが出来ず、元の人間と関係がある場所にしか出現しないらしいが、それを聞いてみる。
「それは、ドッペルゲンガー、・・・これからは復体と呼ぶことにしましょう、・・・復体への恐怖心が人々の心に深く根付いてしまって。元々あった恐怖心がさらに膨らみ、それらを源に力の増強をすることで通常出来ないことも出来るようになったのでしょう。それが言語と意志であったみたいだわ。けど、見たら死ぬとかのは実際生き残ってる人間はいるし、偶然としておいた方が良いわね。」
ふむ、妖怪は大量にいるが、まさかドッペルゲンガーも妖怪になってしまうとは。
それはそうと、存在が危険なので早めに退治するのが普通だろう。
「なぁ、退治するのか?」
「そうね、・・・それじゃあ博霊神社に向かいましょう。」
「あの・・・紫様。私も御一緒に付いて行った方がよろしいでしょうか?」
「いいわ、藍はここで留守番してなさい。でも、昴流は来るのよ。」
「ああ、分かった。」
紫の後ろで藍がすごい剣幕で眼を光らせ、今にも飛び掛かってこようとしてるのだが無視するとしよう。
紫が作ったスキマに向かい藍に背を向けると、これで人が殺せるのではないか、とも思える視線が背中に突き刺さってくる。
なんとか視線に耐え、スキマをくぐると目の前に大きい神社が建っていて、これが博霊神社らしい。
「さて、霊夢は何処に居るのかしら。」
と言い縁に登る。
・・・おい、そこは玄関じゃねぇぞ。
そんな、心の声を無視し何食わぬ顔で土足のまま居間に入っていく。
俺は少しの逡巡の後、靴を脱ぎ居間に入る。
すると、居間の中央のちゃぶ台の所に霊夢が座っていた。
「霊夢、今現在、特に人里で影、復体による被害が出てるわ。人里でも被害は半数に及び大半の人間は里に住んでいる慧音によって救われているのだけれど、少数は殺されてしまっている。そして・・・・・・・・」
「面倒ね。用件だけ言って、紫」
霊夢に話の中断をされ、落ち込んでいる紫をたしなめる。
代わりに俺が言うか。
「そこら中で悪さをしてる復体を退治して欲しいそうだ。・・・異変解決は巫女の仕事だろ?」
「そうね、私はしっかり仕事する巫女だからね。勿論やるわ。それより、あんた誰?」
「おお、すまない。おれは鷹宮 昴流だ。よろしく。」
「よろー、昴流。」
ん?今のは霊夢か?・・・いや、目の前の霊夢は口を動かしていなかったのを知っている。
それに、目の前の霊夢はというとなにやら呆然としているようだ。
「おー、無視するなー。」
さっきと同じ声、・・・霊夢の声だ。
霊夢は今目の前にいるが・・・違う所から聞こえてくる。
そこで、ある最悪の仮定が頭に浮かぶ。
それは・・・、あの復体が霊夢を狙っているということ。
それに気付き周りを見渡すと、廊下から何か紅白の色合いが見える。
紫と霊夢も気付いたようでその空間を見つめ、警戒態勢に入る。
すると、廊下から”霊夢”が出てくる。
と、急に横からそれに向かって直線に紅白の札が飛んでいく。
だが、それは横に跳躍し回避することで避けられる。
そこで、回避される代わりにその全身が明らかになる。
それはやはり霊夢に似た物だった。
「そんなんで当たると思ってんの?」
「煩いわよ!ってあれが噂の影ね!外に出るわよ!!」
「ああ。」
「それでは参りましょう。」
俺達三人が外に出ると、”霊夢”も追って外に出てくる。
そして、待ち構えていたように霊夢が高密度の弾幕を放つ。
すぐに終わらせようとしている様だ。・・・まぁ、自分と同じのがいれば即抹殺だろうな。違和感あり過ぎだし。
「ははは、弱いね。」
「何なのこいつ?!」
それはそうだ、あの霊夢のほぼ全力の弾幕を全て回避したのだ。
それに、巫女服でさえも汚れ一つ付いていない。
「くっ、こうなれば数打ちゃ当たるでやってあげるわ!」
そうなのだ、今までどんな敵にも当て、また、撃墜した攻撃が全く持って意味を成さなかった、ということは今まで以上に弾幕を濃くするのみだ。
だが、霊夢はあの奥義を使っていない。
それがあるだけマシだが、それを使っても影を撃退することもできないだろう。
数分経った所で、霊夢が疲れだす。
ずっと霊夢の攻撃だけだったのに、前には余裕の笑みを浮かべる”霊夢”のみ。
流石の紫も驚くのか、頭を抱え、うーん、うーんと呻っている。
そこで”霊夢”が喋る。
「それじゃあ、私の能力でも教えてあげるよ。まず言っておくことは私の能力は二つということ。」
「何?!」
その言葉は誰が言ったかも分からない。
能力を二つ持っているということはとても珍しいが、前の敵がその人物だということは衝撃の事実である。
「じゃあ、まずは一つ目は『物質による干渉を受けない程度の能力』。そして二つ目は『人物の容姿を真似、その人物の能力を強化し使用する程度の能力』。まぁ能力のコピーっぽいのは姿を完全に解くともう一回やらなくちゃいけないんだけどね。」
能力の名を聞き、三人ともじりじりと退く。
だが、今になって気付く。自分には能力はないのか?と
そこで、とある能力名が浮かんで来る。
『あらゆる物を付く・付けることが出来る程度の能力』
一瞬見ただけでは分からない。
しかし、この能力の使用方法が体に馴染む様に分かってくる。
これは、便利そうだ。
そして、より多くの情報を得るため能力を使い、知恵を付ける。
少しの思索で膨大な量の情報を集める。
そこで気付く、もっと簡単な方法があると。
相手の能力『物質による干渉を受けない程度の能力』は、あいつ自身に放った攻撃は避けられるだろう。
だから、俺はやってやる。
”霊夢”に近づき、開いた右手を向け、意識を集中させる。
そして、相手の能力に条件を付ける。
『物質による干渉を受けない程度の能力』と『人物の容姿を真似、その人物の能力を強化し使用する程度の能力』共々を能力により、数時間ほど使用不可にする。
自分の半分ほどの霊力を注いだが、思いの外霊力の内容量は多かったようだ。
そして、もう一度意識を集中させ、”霊夢”に火を付ける。
すると、
「え、何?!何で火なんか付いてんのって、熱いよこれ!。もう嫌だ、帰るー。」
そう言うと、復体は黒い靄になり逃げて行った。
「ふぅー。疲れたー。」
「昴流!大丈夫なの?」
「獲物に逃げられた。」
紫が心配そうに聞いてくる。
それに比べて、・・・おい、霊夢負けそうになってたのは何処のどいつだ?
「ああ、大丈夫だ、問題ない。」
「そう、ならいいわ。・・・それより貴方、能力持ってたのね。」
「そうなんだが。知ったのが復体が能力言った後だからな。それと、もう疲れた。すぐ休みたい。」
「素敵な御賽銭箱に御賽銭入れてくれたら泊まらせてあげてもいいわよ。」
霊夢が輝いた目で言ってくる。
ああ、そういえばそうだったな貧乏巫女よ。
外のお金って使えるのか?まぁいいや。
よし、それじゃあお札でも入れてあげよう。
賽銭箱の前に来て1000円札を入れる、と
異常な速さで霊夢が賽銭箱の中を漁りだす。
そして、霊夢が泣きそうな目で何かを握りしめている。
どうやら見つかった様だ。元々賽銭箱にはさっき入れたお札以外何も入ってないけどな。
兎に角、疲れたので霊夢に部屋へ案内して貰う。
紫のとこに比べたら狭いが、これがちょうど良いくらいだ。
夕飯は要るか、と聞かれて気付く。幻想郷に来てから何も食べてない。
それ思い出して、お腹が鳴ったもんだから、大笑いされた後すぐに食べさせて貰えた。
ちょっとむかついた・・・。
そんな訳で、食べた後は死んだように眠ってしまった・・・。
何処で区切れば良いのか分からずここまで長くなってしまった。
主人公の能力はこの話で一つですが本当は二つ目あります。
後、文章の質が落ちてないか心配になってるので、どんなことでも良いのでコメントお願いします。
それと、ドッペルゲンガーは.hackのを参考にして能力設定しました。
読んでくださった方は次回も読んでいただけると嬉しいです。