今回は紅魔館です。
それと、現在の幻想郷ですが輝針城の異変が既に解決された後からという事にして下さい。
では、どうぞ...
俺は今何故戦っている?
こちらには戦う意思など無かったというのに・・・。
相手から放たれるは虹色の弾幕、そして時節繰り出される洗練された武術―太極拳である―を身を傾け、また身を投げて避けたりと、ひたすらに目の前の一妖怪からの攻撃を避けながら見澄ます。
そうするのはこの妖怪の動きに懐かしさを感じたためである。
そして、その懐かしさを太極拳に在る事に気付く。
そう、俺は実家で太極拳の一つである太極刀を習っていて、初めてやった時は体にすぐに馴染みその才能を発揮する。
だが、剣道の方が長い年月をやっていたのもあるしそっちの大会もあったので、太極刀に時間を余り割けなかったが、その合間に練習し何とか型に嵌ったという感じである。
そこまで思い出した所で俺は腰の鞘から刀を抜き構える、・・・太極刀の構えー左手で柄を持ち、刀先を上に向け峰を前腕の上に乗せるーで。
そして、刀を持った左手を左腕を曲げ右手に持って行き、刀の柄を持つのを左手から右手に変え、そのまま押し出すように敵に突き出す。が、それも後もう少しという所で弾かれる。
「それは?!太極刀のじゃないですか!一体何処で・・・?」
「そうだ。俺は昔、太極刀をやっていた。その前から剣道、日本の剣術の方をやってたんだが、・・・どうしてか太極刀の方が上手くなってな。」
俺の攻撃に驚きを隠せなかったのか動きを止める妖怪の疑問に答える俺。
すると、警戒心が無くなったのか構えを解く妖怪。それにつられて俺も構えを解く。
「そうなら早く言ってくださいよ。この幻想郷の中に私と同じ事してる人居なくて残念だったんですから。」
「いや、あんたが急に襲って来たんだが。」
「あっ!それはすいません!何でもしますから許してくださいー。」
「大丈夫だ。怒ってない。」
「そうですか・・・。所で何故ここに?」
どうしようか。
あつ、あれがあったな、あれなら今がジャストタイミングだろ。
(主、それは・・・。)
「美鈴(みすず)に会いに来た。」
「み、みみみ、みすず?!私はみすずじゃないです!メイリンです!!!ちゃんと私の名前を覚えてくださいよ~。」
「だってまだ名前聞いてないし・・・。」
「えっ、あれ?・・・・・・あっ、そうでしたよね!まだしてないですよ。え~と、私は紅 美鈴です。忘れないで下さいよ~?」
「分かった分かった。・・・俺は鷹宮 昴流だ。これからよろしく、みすず。」
「?! い、いい加減私の名前を覚えてくださいよ~。」
美鈴の慌てふためく姿は何か面白いがこれまでにしとくか。
「覚えたぞ。美鈴。」
「本当に・・・、本当に大丈夫ですか?!」
「大丈夫だ。」
そう言い屋敷の中に入っていく俺。
美鈴はそんな俺を見送りながら思案する。
あれ、何か忘れてる気がする...と
美鈴の入館許可なしに紅魔館に入った俺はかなり幅広い廊下を歩いている。
それにしても真っ赤だな。ゲームでもこんなにも真っ赤では無かったぞ・・・。
そう考えながら歩いていた俺に誰かが幼い声を上げる。
「人間かぁ。勝手に入って来たの?殺して良ーいー?」
「良いですよ、妹様。たっぷりと痛め付けて下さいね。」
「ふふふ。」
やはり、と言うかやっぱりフランかー、と思いながらこれからの事を考える。
能力が厄介だなー、と考えていたらフランが近づいて来るのを感じる。
(主、背後に居るのは危険の対象に入る。体勢を整えろ。)
はいはい、言われずともやりますよ。っと『気骨』に念波を送り後ろに振り返り、フランに体を向ける。
姿は普通だが一際目を惹くのがフランの背に付いている七色の結晶が付いた翼だ。
じっくりと鑑賞する暇なんて無い事を思い出し、後ろに数歩下がる。
「ねぇ、私に殺して欲しいでしょ。じゃあ殺してあげるねぇー。」
「ちょっ?!」
フランが右手を向けて来たので咄嗟に横に転がり回避する。
遅れてやってくる爆音、・・・さっき立っていた場所が無くなっている。
凄い威力だな、あんなの喰らったらその部分が潰れるだけじゃなく消滅だろ・・・。
「あれぇ、避けられちゃった。次は絶対当ててあげる。」
「くっ!」
さらに横に転がり、攻撃から逃れる。
が、いい加減死んで欲しいらしい。ずっとこちらに手を向けながら物の目を潰している。
「ちっ。・・・はぁ!・・・とぉ!・・・。」
破壊の連鎖から逃げる様に回避していく。
相手が隙を与えず能力を発動し続けているため近付くことが出来ない。
これはもはや弾幕ごっこではなく、見紛う事無き殺し合いになっている。
俺は物質が直接的にではなく間接的に破壊されるという非現実的な光景を目にし、内心ではかなり焦っていた。
その情が何かが起こるという引き鉄になるとも知らずに・・・
しかしそれはすぐにやって来た。
続けて回避しようとした時、敵のある一手により阻まれる。
誰かに体の自由を奪われ、両腕両脚がその場から動こうとしないのだ。
そして反射的にその拘束された場所に視線が行く。
そこには手があり、振り解こうとしても掴んで離さない。
そう、フランがスペルカード、禁忌『フォーオブアカインド』を発動し、俺の拘束をしたのだ。
本体が入っているかは分からないが俺の腕に二人、脚に一人が抱き抱える様に掴んでいる。
俺は振り解くため力を振り絞り右手に自由を取り戻させる。
その右手で腰から刀を抜き、足元のフランへ振り落す。
だがその一撃は通らなかった。
なぜなら前のフランがここぞとばかりに俺の左腕を破滅させたからだ。
体の一部を消し去られた痛みに俺はよろめいてしまう。
そこの隙を着いたのが何処に居たかも分からない本体からのスペルカード、禁忌『レーヴァテイン』での攻撃である。
その時、頭に響いてくる声、
(主、往きますぞ。)
と言う言葉を最後に俺の視界は真っ白に染まった・・・。
World「異空間」...
気付いた頃には視界が真っ白・・・ではなく真っ白で汚れも生命も何も無い此処に存在していた。
この空間は前後左右を見ても何処までも広がっていて肉眼では見通すことなど出来ないであろう。
俺はそこで立っていて、・・・って痛つ!痛む自分の左腕を見ると肩の先から何も無く、肩口から青白い光が流れ出て、それらの光は上へと昇華されていっている。
そこで段々と思い出してくる。
そう、俺は紅魔館へ行きフランと戦う事になり、その結果この左腕を破壊されたんだったな。
そこまで思い返した所で声が響く。
(主のマナが間も無く致死量に達する所だったが此処に来ればもう大丈夫だ。)
そうかありがとう。
ここではマナの消費が少ないのか?という疑問が湧いてくる。
(いや、礼はまだ早い。まだ主の傷の修復は終わって無いのだからな。それにこの空間は我の世界の一部だ。)
最後に聞いたのは一先ず聞かなかった事にして、・・・どうやって修復するんだ。こんな風になってしまったっていうのに・・・。
左腕はもう消え去り何処にも存在していない。
一体現代の医術では不可能な治療をどうやってやるのやら・・・。
(主、忘れてはおらぬか?主の体はマナで出来ている。人間なんぞと一緒にするでない。・・・良いか?我の世界から主へマナを送る。そのマナが主の破壊された部分を修復する筈だ。)
そうかそういえばそうだったな。
じゃあその方法で頼む。
(では始めるぞ・・・。)
すると、刀に付いているガラス玉の様な物が光り出し、そこから光の塊が出てくる。
その塊が俺の胴に吸い取られるように入り込み、その部分から左肩へと塊だったマナが集まっていく。
そして左腕を見ると凄い事になっていた。
俺の元々の左腕の形の器に光が反射し光り輝いているマナが入っていき、あっと言う間に左腕と左手をマナが満たし、半透明だった腕と手が元々の彩色に戻っていく。
で、出来た左腕と左手は最初と何の変りも無い体の一部となり、問題の動かし易さや感覚も以前と何も変化は無かった。
『気骨』ありがとうな、治してくれて。
(主に何か問題が起きた時、意の一番に力添えするのが我の義務だ。礼を言われる程でもない。)
そうか、でも感謝の気持ちは持ち続けるさ。
あっ!そういえばフランちゃんとかってあの状況からそのままだよね?
(ああ、そうだが・・・。)
あのままだと、・・・何かフランちゃんに悪い事したなぁ、と。
(それは大丈夫だ。我があの世界の時の流れに干渉して止めて来た。今でもあの小娘が炎の剣を振り下ろそうとしている処だろう。)
そか、そうれなら安心だな。
って言ってもどっちにしてもフランちゃんと戦わないといけないからなぁ。
どうしようか・・・、『気骨』、何か案ある?
(有るには有るが戦闘にどの様に役立てるかは主の勝手だ。その案とは我の守護神獣だ。)
ほう、神獣か。
どんな感じだ?
(何の神獣かは武術館の章を見れば分かるが、言っておこう。我の守護神獣は大蛇の神獣だ。名は「ニューマ」という。恐らくこの神獣が加わる事で先程の小娘には遅れを取らぬだろう。)
おし、じゃあそれでやってみる。
『気骨』。もしもの事があったら援護よろしく。
(しかとその言葉聞き入れた、この神剣の力有る限り主を守護しよう。)
所で今思い出したんだが、この世界の冒頭でここは我の世界って言ってたけど・・・、どういう事?
(ふむ、いいだろう。まずこの世界だが我の世界の原初という所だ。それで我に透明な玉が付いておるだろう。それが我の世界を全てそこに圧縮してある。それと今もそうだが我らは今、その世界の中にいる事になる。ではその外の透明な玉は現在何処にあるか、それは我が毎度干渉して存在を無くして居るからな。誰も気付く事もないだろう。)
ふむふむ、分かった。
・・・じゃあフランちゃんの下へレッツゴー!
(主・・・。・・・・・・承知。)
彼の神剣はどう思ったのだろう。
例えば、何故この方はこんなにも器が大きいのだろう、か、あるいは、何故この方と契約してしまったのだろう、の他にもたくさんあるがこの時、契約者に対して色々思う所が出来たのは確かであろう・・・。
フランをちゃん付けで呼ぶようになった時に何らかの心境の変化が必ずあった筈だが・・・・・・。
このフラン戦は次話で終わりです。
やっと神獣出せた、と思ってますがまだまだ主人公は強くなります。
では次話もお願いします。