東方心神領域   作:aetos

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長いです。約6600文字です。

ではどうぞ~...


第8話 長くて短い起居

此処は抑え切れぬ程に魂が増加してしまっている場所。

どれだけ浄化しても直ぐにそれを超える新たな魂がその身を押し合いながら我先にとこの世界へ昇って来る。

そんな世界を管理する者が居た。

その者とは幾年か前に桜の根元でその生を断ち、とある閻魔の下にこの冥界の管理を任されたのだ。

管理とは言ってもただ魂を浄化するだけの事なのだが、そんなのは何らかの能力を持っている必要がある。

それをこの御嬢様、もとい西行寺 幽々子が持っていたが故に管理を任されたのだが・・・。

とにかく、幽々子が『死を操る程度の能力』と言う能力を使えた為、現在に渡り冥界の管理をしているのだ。

その幽々子はと言うと冥界に唯一ある屋敷、白玉楼に住み、庭師兼剣術指南をしている半人半霊の魂魄 妖夢が振るう料理で、中々埋まる事の無い胃を日々満たしている。

全く、一日にどれだけ庭師が苦労しているのかを体感して欲しい位である。

まぁでも恐らく生前も箱入りだったのでその苦労を理解しろ、と言っても無理な話であるが・・・、妖忌が居れば少しは分かってくれるだろうがやはり故人を来させる訳にもいかない。

 

まぁ幽々子に関してはこの程度か・・・、後は紫と仲が良いくらいしか知らない。

 

俺はこんな事を考えながら長過ぎる石階段をゆったりと上っている。

そう、俺が思考していたのは何か考えてないとこの階段を上るのは苦しいと思ったからだ。

 

冒頭の様に記憶から東方の情報で抜け落ちた部分を記憶の中を探りに探って修復していく。

あらかた思い出した所で、気付くと階段も後500段程だ。

いや、500ってのはふと見てって事で実際はそれより多いのか少ないのか・・・。

 

(主、今頃言うのは何ですが神獣に乗って行けば良いかと。主が余りにも考え事に耽っていたもので・・・。)

 

おお、そうか。名案だ『気骨』。

それじゃこのまま上ってても良いけど、足が疲れるし時間も掛かるからそうしようか。

『ニューマ』、出てこーい。

 

すると待っていました、と言わんばかりの速度で形成されていく。

前回出した時とは全く速さが違うな、あっと言う間に出てきたぞ。

 

「やっとじゃ、やっと地に足を付けられたのじゃー。」

 

色んな意味でハイテンションな「ニューマ」の頭の後ろに股がり、「ニューマ」に階段を上まで登れ、と命令すると、

 

「了解じゃー。我の駿足に恐れ戦くがいいのじゃ。」

 

「ニューマ」よ、本当にどうしたんだ?

頭が痛いのか?それともお腹、尻尾?

俺の頭の上に浮かぶハテナマークなどもろともしずに「ニューマ」は駆け上がっていく。

俺はハテナマークを浮かべるだけだったが、「ニューマ」が上り始めた瞬間にそれは吹き飛ばされる。

そう、「ニューマ」は蛇で体を曲げながら進むので、乗っていると凄く不安定なのだ。

俺は「ニューマ」に必死にしがみ付くが直ぐに着いた様で、目の前には石道と桜、その先に白基調の屋敷が視える

 

俺は「ニューマ」から飛び降り、「ニューマ」を還す。

そして、俺は警戒しながら石道を歩いて行く。

階段から屋敷の間は石道があり、両端に桜が一定間隔で植えられていて、桜の花は満開で見事の一言に尽きる。

半分程進んだ時だろうか、前方に緑色基調の白髪の少女が進み出て来た。

 

「今すぐ来た道を帰せ。聞かないなら力づくだ。」

「帰る気なんかさらさら無い。・・・来い!」

「分かった。・・・私に斬れぬものなどあんまりない!名は魂魄 妖夢、推して参る!」

 

言い終わると同時に楼観剣を抜いた妖夢が肉薄して来たので、俺は一先ず高く跳び上がり妖夢を越え数m後に足を着ける。

妖夢は出鼻を挫かれたせいなのか、顔をしかめている。

そうか、やはり剣術か、ならばこちらもそういかなければな。

俺は刀を抜き中段に構える。

 

「そちらが剣術ならこっちも剣術でやってやる。どっちが強いか試さないか?」

「なるほど、どちらが先に相手に吠え面をかかせるか、か。勿論私が勝つ。」

 

妖夢が刀を振り上げると同時に俺に一跳びする事で肉薄し袈裟斬りをしたので、俺は一先ず左に体を傾け回避する。

だが、続けざまに逆袈裟で振り上げて来る。

その攻撃の展開の速さに驚愕するも、咄嗟に後ろにバックステップしながら刀を振り下ろし下からの刀の攻撃を防ぐ。

 

「はぁっ!」

「何っ?!」

 

その防御は相手の攻撃を弾き返すだけでなく、相手の刀の刃の半分程を地面に埋めるまでのカウンター並の効力を発したのだ。

攻撃を弾き返した俺は続けて刀を両手で持ち妖夢に対し突きを放つ。

しかし、その攻撃は妖夢が反射的に抜いた白楼剣によって払われる。

この白楼剣は普通の長さの楼観剣より短い刀で、斬られた者の迷いを断つことが出来る、と言う効果を持つ。

俺は先程の攻撃時の速さを継続し妖夢の隣を走り抜ける。

 

「ふぅ、危ない所だったな。妖夢。」

「まだ・・・、まだ大丈夫だ!これでも喰らえ!」

 

妖夢が白楼剣を腰に戻し、地面に刺さっている楼観剣を抜き構える。

そして、冷静さを失っているのか最初に振るってきた鋭い剣筋より幾分かずれていて狙いが定まっていない。

それを素人でもこれを見ると無茶苦茶に振り回している、と言うだろう。

それは狙いが単純で力んでいる、・・・そして何よりも一通りの攻撃に戦術、フェイントなどが無くなっているからだ。

 

「くそっ、当たれ、当たれ、当たれー!」

「妖夢、今の状態では俺を倒せないぞ?」

 

俺はそう言うと、妖夢の射程内からバックステップする事で出て、地に足が着いた瞬間に脚に力を込めそれを解放し爆発的なスピードで妖夢に突進する。

 

「はぁぁぁッ!!」

「ぁ・・・。」

 

妖夢に水平斬りをする。その攻撃はスピードも加わりかなりの威力に仕上がっている。

妖夢は微かに驚きの声を上げ、一瞬の出来事で体が硬直しすぐには動かせない。

成す術も無く、妖夢は吹っ飛ばされる。

 

俺は妖夢が衝突した石道の脇にある塀に近付く。その塀は物がぶつかった衝撃で大半がひび割れて、妖夢が倒れている所はクレーターが出来ていた。

 

「大丈夫か?妖夢。」

「ぅ・・・ん、・・・はっ。此処は?!そういえば・・・。」

 

妖夢が目の前に俺が居るにも関わらず、それに気付いてないようで一人で悩んでいる。

 

「おーい、よ~う~む~。」

「・・・確か、あれやった後は・・・。ッ!!お前、いつの間に?!」

「いや、さっきから居たんだが・・・、」

「そ、そう。それより私は負けたのか、剣のみの勝負で・・・。」

 

妖夢がやたらと落ち込んだ様なオーラを発している。俺はそれが気になったので聞いてみる。

 

「?・・・そうだが。どうしたんだ?」

「名前・・・、名前を教えて下さい!あなたの剣術を習い、・・・いつしかあなたを打ち倒して見せます!!」

 

つまりこう言う事か?

妖夢は俺に負けて悔しい。

悔しいから勝ちたいと思う。

勝つためには力を付けなければならない。

ただし、剣術は目の前に居る俺しか使ってるのを知らない。

だから俺に剣術を教えてもらう様に頼んだのだろう。

自分の剣はまだまだ未熟だと思うが、妖夢に教えるのに不足無いのと単純に嬉しいと感じたので、

 

「ああ、別に良いぞ。まぁ教えられる事は少ないと思うがな。それと俺の名前は鷹宮 昴流だ。よろしく。」

「大丈夫です、鷹宮師匠。」

「いや、普通に名前だけで良いんだ。」

「分かりました、昴流師匠。」

「いや、えーと・・・。まぁいいや。」

 

どうしても師匠と付けるのを譲らないのか・・・、まぁ嫌な気はしないから良いんだけどなぁ。

 

「して、昴流師匠はどうして此処に?」

「ん?え~っと、・・・桜見に来た?」

「何で私に聞くんですか~。」

 

え~と、ああそうだ、思い出した。

俺が大事な事を思い出したという顔をしたので、妖夢からジト目が送られるが一旦無視する。

確か、異変解決に向かう時に途中で幽々子の所に寄ってくれって紫が言ってたな。

何か渡したい物があるけど白玉楼に置いてったままって思い出したらしく、戻るの面倒だから俺に行って来い、て何とも俺任せな状態である。

 

「そうだな、幽々子に用事があったんだ。」

「幽々子様にですか?今は居間に居ますと思うので着いて来て下さい。」

 

俺は桜の下の石道を歩く妖夢の後ろを付いて歩く。

だが、どうしたおものか。屋敷までかなり距離があるので、かなり時間が掛かりそうだ。

なので俺は妖夢に提案する。

 

「妖夢、蛇に乗りたいか?」

「ふぇ、蛇ですか。でも小さいですよね、乗れるんですか?」

「ああ、そうだ。」

「え~と、それじゃあ頼みます。」

「分かった。そういう訳で、『ニューマ』!」

 

俺がそう言ったので勿論あの白い大蛇が俺達の前に出来た光の中から出現する。

それを見た妖夢が口をパクパクしている。

 

「な、何ですかこれ!?・・・これはすっごい大きいですよ、この蛇。」

「こいつは俺の従者みたいなもんだ。本当は守護神獣って言うんだがな。で名前が『ニューマ』って言うんだが・・・って。」

「へ~、『ニューマ』さんですか~。良い名前ですね。」

 

俺が目を離した隙に妖夢が『ニューマ』に話し掛けていた。

『ニューマ』の戸惑ってる感じの感情が止めど無く流れてくるんだが・・・、止めるか。

 

「妖夢、『ニューマ』が反応に困ってるみたいだから止めてあげろよ。」

「あっ、はい!分かりました。『ニューマ』さんごめんなさい。」

「我は大丈夫じゃ。」

「ふぅ、これでやっと進めるな。『ニューマ』、俺と妖夢を乗せてくれ。」

「承知したのじゃ。」

 

『ニューマ』が乗りやすい様に身を屈める。

先に俺が乗り、その後ろに妖夢が乗る。

 

「妖夢、俺にしっかり掴まってろよ。」

「はい。分かりま、って、きゃあぁぁぁぁぁぁ......!」

 

妖夢はこんなに不安定とは思ってなかった様で俺の腰に必死にしがみ付き悲鳴を上げている。

いつ落ちてしまわないか心配だなって思っていたが、何も起こる事なく屋敷の玄関の前に着く。

 

「速いですね~、かなり危ないですけど・・・。」

「そうだが、移動手段の一つとしてはかなり使えるな。」

 

『ニューマ』を還し、妖夢の後に続き玄関に入る。

そして、幽々子が居るらしい部屋に連れてこられる。

 

「幽々子様、お客様です。」

「あっ、はいはい。良いわよ。」

「失礼します。」

 

幽々子の声が聞こえ、それに応えた妖夢がその部屋に入ったので、俺もそれに続く。

 

「あら、貴方は紫が言ってた人ね。知ってると思うけど私は西行寺 幽々子よ。」

「どうも。俺は鷹宮 昴流だ。で、早速本題なんだが、紫が此処に忘れ物があるって言ってたんだがそれは?」

「ああ、多分あれね。あれならあったわ。」

「そうか、それじゃあ頼む。」

「無いわよ、今は。」

 

ん?どういう事だ?さっきあるって言ったよな。

俺が訳が分からないという顔をしていたので、

 

「私はあったって言ったのよ。今無いとは言ってないわ。」

 

ああそういう事か、紛らわしいな本当。

それにしても、何だったんだろうか、紫が言ってた物って。

まぁほとんど幽々子が犯人って分かっているから食べ物関連だと思うけどな。

 

「それじゃあ代わりにこの白玉楼で泊っても良いわよ。妖夢とそこら辺の霊が作ってくれるお料理はとてもおいしいわよ。それにお腹一杯に食べれるし。」

「まぁ断る訳も無いからな。此処で泊まらせてもらう。」

「幽々子様~、お料理お持ち致しました。」

 

いつの間にか、厨房に行っていた妖夢と霊達が皿を持ち居間に入ってくる。

それにしても、霊が物体持てるっておかしくないか?

まぁでも非常識が普通が幻想郷だからな、そう認めるしかないか。

そう割り切った俺は妖夢が持ってきた料理に手を付け始める・・・。

 

半刻後・・・。

 

 

「幽々子様~、もう食べるのは止めて下さいよ~。」

 

妖夢はもう1時間以上料理を作らされており、ヘロヘロになっている。

俺が助けようと思い妖夢に、

 

「俺が手伝おうか、忙しそうだし・・・。」

「あっ、それは助かりま「駄目よ、彼は貸しの為に此処に居るんだから。」」

「はい・・・。分かりました幽々子様。」

 

幽々子の言葉に項垂れる妖夢は結構落ち込んでるなぁ。

じゃあ幽々子に交渉だ。

 

「なぁ、幽々子。俺も料理作ると、料理の量も倍になるんだけど・・・、どうする?」

「そ、それは本当なの?!頼んで良いの?!ふふふっ。」

 

「そういう訳で俺も手伝う事になった。」

「昴流師匠、ありがとうございます!それでは行きましょうか。」

 

俺がこう言ったのは一つの案があったからだ。

まぁ実際にやろうか。

俺は能力を発動し、家事万能能力と料理高速・最適化を自分に付ける。

 

「妖夢と霊達、そこで見ていてくれ。・・・さあ、クッキングタイムの始まりだぜ!」

 

まずやる事は何十個もの料理を一気に作るため素材を一束にし、それらを包丁一振りで最適な大きさに切り刻む。

そして、厨房の使える場所を全て使い、それぞれの場所に先程切った必要な素材を投げ入れる。

高速化が付いているので湯が沸騰する速度や煮込む時間なども目に見えて分かるほど速いのだ。

料理20個を1分程で作り終えた俺は皿へと分けていき、それらを妖夢や霊達に持ってかせる。

3分程経った時、幽々子が厨房に突撃してきて、もう料理を作るのを止めて欲しいと言うほどになっていた。

 

その3分の間厨房と居間を繋ぐ廊下は大渋滞となったので、幽々子は必至に霊の海を掻き分け

てきたそうだ。

そして、俺は何とも言えないやり切った感を堪能したのだ・・・。

 

 

 

 

次の日...

 

 

 

「昴流さーん、起きてください。昴流さーん・・・。」

 

俺は誰かに体を揺すられて起きた。

その声は聞いた事が無く、目を開けようとしたがその前にある事を言ったので誰かが直ぐに分かった。

 

「起きないですね。全く、清く正しいこの射命丸 文が来たって言うのに・・・。」

 

俺はそれを聞いて、俺を取材のネタにする気だという事を確信する。

ただ、俺は否定する気も無いのでさっさと起きる事にする。

 

「あっ、昴流さん、お目覚めですか?」

「よう、新聞記者さん。」

「やっぱり分かりましたか。これ持ってますからね。」

 

そう言いながら自分の持っているメモ帳とカメラを見る。

まぁ元から知っていたのだがな。

だが、気を取り直したのか、俺に近付く。

 

「取材させて下さい。良いですか?」

「ああ、良いんだが。どうやって冥界に入った?境目は無い筈だが・・・。」

「それですか。確かに妖々異変の時はありましたけど・・・。気合で来ました。それと昴流さんへの取材意欲ですかね・・・。」

「あ、ああ。すまない。取材しても良いよ。」

「それじゃあ始めます。まず初めに昴流さん、あなたの噂は聞きましたよ。それは八雲 藍、アリス、魔理沙、妖夢を退けるほどの実力っていう事をです。あなたは異変解決をしていると聞きましたが今回の異変は誰が黒幕だと考えているんですか?」

「それか・・・。考えているって言うかもう確定なんだが、ドッペルゲンガーだな。確か『物質による干渉を受けない程度の能力』と『人物の容姿を真似、その人物の能力を強化し使用する程度の能力』

を持ってたな。」

「お~、それは珍しいですね。能力2つなんて・・・。で、そのドッペルゲンガーという妖怪をどうやって倒すつもりですか?」

 

ふむ、それはどうしようか。

倒したいと思ったは良いが、未だに明確な倒し方が見つからない。

今では体力を削っても結局逃げられるだろう。

 

「倒し方が分からない。というより弾幕ごっこか、普通の殺し合い、どちらを取ろうか・・・。」

「そうですか。でも殺し合いの場合はスペルカードルールがあるので紫さんに見つかったら大目玉ですよ。」

 

それは紫に頼み込めばOK出して貰えるだろう。いや、これは高確率で出して貰える気がするのは気のせいか・・・。

 

「まぁ、その時決めるよ、それは。」

「それじゃあ次の質問です。・・・・・・」

 

こういう感じで質問され続け、全く起きてこない俺を心配して来た妖夢が文を追っ払ってくれなかったら今日1日中ず~っと捕まっていただろう。

昼前に来てくれた妖夢には感謝し切れないな。

 

そして、御飯の度に俺が料理作ってるのは何でだろう。

料理作ってる俺に後ろからぱるぱるな視線を感じるのは気のせいだろうか・・・。

しきりに妖夢が厨房に入ってくるのを気配で感じていたので恐らく妖夢だろう、と結論を出した所で妖夢に対し多少の怖さを感じた事を知るのは誰も居ない。

 

そんな風にいつの間にか一週間も白玉楼に泊まっていて、幽々子に料理係を頼まれた時はかなり困る事になった。

結局断ったけど、それは流石に妖夢の仕事をぶんどって出番を奪う気にはなれなかったからだ。

 

白玉楼に一週間居た俺は玄関を背にし、短かったが記憶に残る生活に思いを馳せたのだった・・・・・・。




やけに長く白玉楼で生活してる主人公、果たして滞在期間が一週間以上になる場所は登場するのか!

主人公の能力が万能だなぁ、やっぱり。
でも、一回での霊力の消費量が全体の3割くらいで削られるので、どれだけ霊力が増えても消費は変わらない、という事にしてます。

では次回もよろしくです。
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