では、どうぞ
俺は今とてつもなく困っている。
こんな所があるのは知ってるけど抜け方なんて全く知らない。
この竹藪の中を歩き回りどれくらい時間が経ったのだろう。
永遠亭か案内人でも見付ければ良いのだろうが、そうはいくまい。
なぜなら、俺は不老不死二人組に追われている身だからだ。
何の偶然か、不老不死の藤原妹紅と蓬莱山輝夜が例の文々。新聞を読んだのかは分からないが俺の存在を知った事が原因で追っている。
なので空を飛び此処から出る方法はすぐさま集中攻撃を喰らいかねないので勿論出来ない。
と言うか不老不死相手に勝てるのか?と思っているので元々やる気は無いが・・・。
そこまで現在の状況を確認した所で、やはりこれでやるか、と数多ある方法の中から一つを選択する。
まず最初に刀を抜き、刀に霊力を流し込み溜め終えると、跳躍し地から足を離す。
そして竹藪から後少しで抜ける、という時、前方から多量の炎と七色を持つ光弾の織り成す隙間が全くと言って良い程の弾幕が襲いかかる。
「ッ?!」
俺は突然の奇襲に驚くも瞬時に刀を縦に振るうと同時に溜めておいた霊力を解き放ち、白光の斬波を生み出す。
それは三日月形の朧気な白光を煌めかせながらも、速度は全く劣ることも無く、八色に輝く弾幕に突き当たり弾幕の中心を消滅させた。
「よし、今の内に。」
弾幕の貫かれた所から二人組の驚く顔が見えたので、俺は周囲を見渡し竹藪が開けた場所を見つけるとそちらに体を向け、目的地へと飛翔した。
不老不死組Side...
竹林の何処かの空中で日々殺りあっている筈の二人共が目立った行動もせず不機嫌な顔でとある場所を見つめてる。
「あいつ、逃げやがったな。」
「大丈夫よ。あの方向は永遠亭だから・・・。」
輝夜はそう言い、視線の先にある彼女の住居―永遠亭に人差し指を向ける。
「そりゃあそうだけどさぁ・・・。」
「そんな事言ってないで行くわよ。」
「はいはい、分かったよ。」
妹紅は乗り気では無いが一矢報われた手前、やり返す事も無くそのままにするのは嫌な様で輝夜に付いて行く事にしたようだ。
昴流Side...
「ふむ、これが永遠亭か。」
目の前にある古風な造形の建物を見て、記憶の中とほぼ一致したのでそう呟く。
玄関の前でずっと立っていては不審者と間違えられかねないので、戸に近付きあの人物が出て来ます様にと願いながら戸をノックする。
だが現実は非常な物で「は~い。」の声の後、白髪で頭にウサ耳が生えブレザー姿の妖怪―鈴仙・優曇華院・イナバが戸を開ける。
「?・・・お前は何だ?月人ならこの場で死んでもらう!」
その言葉と同時に鈴仙が右手を俺の頭に向け右腕を上げる。
その右手は銃の形にしている。
俺はそれを見て弾を撃ってくると理解し、まずは距離を開ける為、大幅に後方に跳躍する。
が、地に足が着いた時、攻撃は当たらないと決断した鈴仙の姿が消滅したので、警戒を解かず周囲の気配を探る。
「さて、何処に私が居る?」
俺は刀を居合斬りで、試す様な声がした右5m先に斬りかかる、が手応えが無い。
「其処には居ないよ。」
次は左か!
左から笑いを噛み殺した様な口調の言葉が聞こえた。
俺はそこに向かい袈裟斬りをする、がまたもやそれは空振りとなる。
「くっ、何処だ?!・・・がっ!?」
俺が冷静さを失った時、その隙を付く様に背中に鋭い痛みが走る。
「ふふっ。まだまだ続けるわ。」
痛みに顔をしかめた俺の前に出現した鈴仙が冷笑を浮かべた顔で言う。
「きゃぅ?!」
だが、鈍い音の後に鈴仙の真っ赤な目が涙目に変わり頭を手で抑えたので、俺は呆然とするしかなかったが、次に後ろを見た鈴仙の言った言葉により状況の把握が出来た。
「師匠~、何で拳骨するんですか~?痛いですよ~。」
そう永遠亭の薬師―八意 永琳だ。
鈴仙の向こう側から赤と青で半分に分かれている個性的な服を着ている永琳が現れた。
「鈴仙が悪い事しまってすみません。鈴仙、後でお仕置きしますから謝りなさい。」
「嫌ですよ、師匠。お仕置きはされたくないです。」
さっきまで強気だった鈴仙が永琳の降臨により弱気になってしまっている。
それが学校で生徒が先生に説教されて許しを乞う場面に似ているもんだから俺は鈴仙に対し生温かい目で見てしまう。
「あ、お前!私をそんなに生温かい目で見るな~!」
「いや、・・・何か思わず。」
そしてこの茶番はここで終わりだ、と言う様に俺を睨む鈴仙を無視した永琳が真面目な顔で俺に聞く。
「貴方は烏天狗の新聞で見たわ。私は八意 永琳よ。」
「鷹宮 昴流です。一応言っておくと人間でも妖怪でも神でもない。」
「そうね、貴方の体の構造にはとても興味はあるけど・・・、あれは知ってる?」
と永琳が言いながらとある方向に人差し指を指す。
そこには縄に縛られた妹紅と輝夜がいた。
「貴方を竹藪の中から狙ってたから仕留めておいたわ。良かったわよね。」
「まぁ別に良いですけど・・・。普通に身近の人も縛ってますよね?」
「輝夜ね。何やっても死なないから良いわよ。」
「永琳、何でそんな事言うの?その前にこの縄解いてよ、えーりん!」
「輝夜、あれはお前の連れだろ。何とかしてくれよー。」
永琳はこのまま言い合いになった拘束された二人を無視し永遠亭に入って行く。
「あっ、昴流も付いて来るのよ。」
「あ、ああ、分かった。」
俺が永琳の後に続き入って行くと鈴仙もそれに続く。
そして取り残される不老不死二人組。
縄を解くだけでなく無視もされ外に放置されたので、さらに言い合いは燃え上がり、いつしか妹紅か輝夜のどちらも縄を引き千切れ、弾幕ごっこ―お互いに殺し合い、どちらが相手を殺す数が多いかを競う―に発展していったのだ。
永遠亭「永琳の診療所」...
俺達は外が混沌と化しているのを知らず、永琳と雑談する。
鈴仙も俺に対し警戒心が無くなったのか段々と俺と雑談をするにまで至った。
「そう言えば鈴仙、あの姿を消えたのって波長を長くしたのか?」
「そうですよ。よく分かりましたね。逆に短くすると私の存在を過剰にしてしまうんですけどね。」
「鈴仙、貴方の能力は様々な事に使えるわ。状況に応じた対応をしなさい。・・・でも、自分の能力を過信しては駄目よ。」
「分かりました、師匠。」
「あっ、鈴仙。もしかして俺の感覚の波長も操ったか?」
「うっ、すみません。それもやりました。今も続いてますよね?」
「まぁな。多少変わったな。」
「そうですよね~。では治しますので私の目を見ててください。」
鈴仙の言葉通り目を見ていると、鈴仙の目が真っ赤に光り出す。
それと同時に自分の中で何かが元の状態に嵌った気がした。
鈴仙の目の光が収まると、
「終わりましたよ、昴流さん。」
と言われたので、一先ず視線を外そうとする。
だって、妖怪と言えども一人の女。ずっと目を合わせていられるほど俺の肝は据わってない。
「あれっ?」
だが、突如感じる胸板にかかる重さに驚くもその重さが横へとずれたので咄嗟に両手で支える。
目の前には微笑んでいる永琳が居る。
「ん?」
疑問に思ったので俺にもたれかかる様にしている物に視線を移す。
そこには、紅の目を見開き紅潮している顔がある。
白髪のロングヘアーで、ウサ耳を生やした、・・・って鈴仙じゃないか!
「鈴仙?!どうした?」
「・・・あ、えーっと?・・・ごめんなさいごめんなさい!もたれかかってすいません!」
数秒程固まっていた鈴仙がやっと時間が動き出したかの様に慌てながら肩を掴んでいた俺の手を振り払い、俺の体から離れる。
そこであの感触を手放してしまった事に後悔するも時既に遅し、永琳に向かって再び抗議している様だ。
「師匠、背中を押すなんて酷いです。」
「あら、満更でもなかったみたいじゃない。」
「そんなんじゃ無いですよ!・・・えーっと、男性に触れるのは初めてだったからで・・・。」
永琳はいう事はそれだけの様で俺の隣をすれ違う。
そしてすれ違いざまに、口に手を当て囁く。
「どうだった?」
と聞かれ、どう反応して良いか困ったが結局、
「とても良かったですよ。それはもう名残惜しい位に。」
と正直に言う事にした。
永琳はその答えに満足したのか、椅子に座り誰かのカルテを見始める。
そのやり取りは鈴仙には聞こえなかった様で頭の上にハテナマークを浮かべている。
「ああ、それと客室があるから鈴仙、昴流をその部屋に連れて行きなさい。」
「あ、はい。分かりました。では昴流さん、どうぞこちらに。」
俺は鈴仙に付いていき部屋から出る時、振り向いた永琳が、
「間違いは起こさない様にね。」
「いや、しませんから!」
永琳の言葉にそう返した俺は足早にいつの間にか距離が開いた鈴仙を追いかけるのだった・・・。
その道中に外で倒れこんでいる不老不死二人組に視線が行ったが、見なかった事にしようと判断し歩みを再開する。
これは後日聞いた話だが、妹紅と輝夜の闘いは夕方まで続き、結局96‐98の僅差で輝夜の勝利となった様だ。
作者は東方キャラが全て好きなので、今回みたいのは作者の気分で決まります。
まぁ強弱はありますがwww
こんなの要らないと思う方は温かい目で見て下さるとうれしいです。
尺短縮の為、もうすぐ異変解決にします。
まだ元々決まっていた話にも入ってないですからね。
次回もお願いします!