リをンに変える旅   作:いのかしら

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第10話 ある男

1571年秋

 

大友宗麟、関門海峡の支配を巡り長門へと進軍。

 

これを受けて、龍造寺隆信も再び5万近くの兵を動員しジャパリ攻めを行った。

 

目標は薩摩国境付近、加久藤城。

 

ここはかつての戦い以降ジャパリの直轄地であり、城代としてはかつて龍造寺への援軍を成功させたキングコブラが入っていた。

 

そしてもう一人、若年なれど聡明さで知られる一門衆の娘がこの城にはいた。

 

アフリカオオコノハズク、博士と称される一門衆の期待の星である。

 

ジャパリかばんの父の妹を母としており、現状ジャパリかばんに子がいない以上、後継者候補の筆頭であった。

 

歳は20に及ばずとも、既に一つの業績を生み出している。

 

「ジャパリいろは歌」の制作とその普及である。

 

捕虜となった際に伝えられた島津日新斎の作ったいろは歌を元に、妹のワシミミズクこと助手と制作したものである。

 

内容としても改変を重ね、ジャパリの支配の正統性と忠誠を組み込んだものとなっている。

 

「しかし作っただけでは意味はないのですよ、博士。どうやって下々まで広めるのです?そうしなければ言葉を使える人材確保、という目的を達成できないのですよ?」

 

「簡単なのです。これを楽しいものかおいしいものにしてしまえばいいのです。そうすれば城下からでも勝手に楽しませながら広がっていくのです」

 

「なるほど。ではおいしくするのは厳しいので、祭りの踊りの歌として広めていきましょう」

 

「そうなれば踊りも考えねばならないのです。踊るのですよ、助手」

 

こんな感じで作られたいろは歌は、今はまだ鹿屋、都、加久藤の城下の街の祭りで、その最中に踊られるようなものでしかなかった。

 

だがこの先の拡大とその際の民心の掌握において、その役割は大きい。

 

 

この度の戦は肝付氏が大軍の派兵を渋ったこともあり、ジャパリ宗家が総兵数の半数以上を占める形で、薩摩大隅合わせ2万にも満たない部隊が編成され、ジャパリかばんを総大将として加久藤城に送り込まれた。

 

龍造寺家と手切れとなった中、龍造寺との国境、肥後との国境付近では防衛陣地の建設が進んでおり、ここ加久藤城もその一つであった。

 

川内川沿いにあった防衛陣地を利用して鉄砲を撃ちかけてそこに誘い込み、加久藤城下にせまった龍造寺軍を城下にいた騎馬隊が包囲、そして撃退した。

 

その後は国見山付近まで追撃戦が繰り広げられ、龍造寺軍はジャパリ軍の3倍近い損害を出した上に攻略に失敗。

 

二度の失敗により龍造寺の軍事的威信は大きく損なわれることとなった。

 

 

この追撃戦の最中、龍造寺軍でも名のある武将が討ち死にすることはなかったものの、武将が捕らえられることはあった。

 

そしてその武将がジャパリを大きく支えていくこととなる。

 

 

「……え?鍋島飛騨守を捕らえたんですか?」

 

鍋島飛騨守。龍造寺隆信の義兄弟にして側近中の側近であり、大友軍の撃破と筑後の獲得、その支配に大きな役割を果たした人物である。

 

その確保。その情報はキングコブラより加久藤城に入ったジャパリかばんにも伝えられた。

 

「そうだ。それでいかが処遇したものかと……捕らえたのはウチの軍だ。軍議にかけるまでもあるまい」

 

「彼ほどの人物がこちらに降るとは思えませんが、龍造寺と必要以上に関係を拗らせる必要もありません。このまま戦い続けて民を疲弊させては意味がありませんから」

 

「では解放か?」

 

「身代金くらいは取ってもいいかと思いますが……」

 

そこに一人、奥に出てくるものがいた。

 

「ちょっと信じられない話が来たんですけどー!」

 

「ショウジョウトキさんですか。何事です?」

 

「その鍋島飛騨守が、こちらに恭順したいと話しているんですけどー。意味わかんないんですけどー」

 

「はぁ?」

 

「私も聞いたのです」

 

「博士さんまで……」

 

「話を聞く価値はあるのです」

 

 

連れてこられた鍋島直茂は、周りを完全にジャパリ宗家の家臣団に囲まれているにもかかわらず、それをも破砕せんとする存在感を発揮していた。

 

「……さて、こちらに恭順したい、との件ですが、貴方ほどの方が龍造寺から寝返るとはとても思えないのですが……」

 

「いえ、事実です。これよりジャパリの臣下として働きたく存じます」

 

「いやしかし……」

 

「かばん、この人を受け入れちゃダメでしょ。だってあの龍造寺隆信の側近にして、彼の一門は龍造寺の根幹をなしているんだよ?こちらの情報を流されちゃたまらない」

 

「……情報ですか。では私が龍造寺の情報を知っている限りお伝えすれば宜しいですかな?」

 

「な……そ、そんなことしたら龍造寺に戻れなくなる……あ」

 

「その通り。その場合私はここに残らざるを得ませんなぁ」

 

「で、では龍造寺に残るお前の一門はどうするのだ!そんなことしたら殺されるぞ!」

 

「すでに筑後から豊後の方面へと逃す手配を整えています。全員ではありませんが」

 

「……既にこうするつもりだったのか?」

 

「半分は。このまま万が一でも龍造寺が勝てれば、隆信様に付いていく気でしたが」

 

「貴様……だがその情報が本当であると何故言える?」

 

「なんなら自身で忍びでも送り込んで確認させればよろしいかと。あ、あと日向の関所で一門を越えられるようにしといてくださいね」

 

「ぐぬぬ……」

 

「まぁライオンさん、ヘラジカさん、そこまでにしておいて下さい。なら、その話を聞かせてください」

 

「分かりました」

 

その話は多岐に及んだ。

龍造寺隆信本人に関しては、大友を撃退して以降図に乗り始め、酒色に耽り家臣の諫言を疎み始めたこと。

2年連続の大規模動員と昨年の米の支払いでの停戦を受け、米の支出が膨大な量になっていること。

さらに農兵では足りず、流民に金を払って連れてきているため、金の支出もバカにならず、さらに昨年の敗戦で明などの貿易船も龍造寺を敬遠し始めており、金は常に足りない状態であること。

さらに流民を大勢動員しているため、国内の治水の人員が足りず、台風の際に大きな被害が出たこと。

 

どれも事実と判断して差し支えないことだった。

 

「私としては今回の出兵も止めたのですが、もはや私の言葉はあの方には届かないようでしてなぁ。それならこの際、ジャパリに仕えてもよいかと思いまして。こちらでは評定で、しかも新参も構わず含めた場で重要事項は決めているようですしな」

 

「はは、違いないですね」

 

「それではこれで受け入れてくださるのですかな?」

 

「……一旦抑留させていただきますが、一門が逃れてきたのを確認次第、私の臣下として仕えていただきます」

 

「かばんさん、よろしいのですか?」

 

「ここまで話してくださるなら、信じるしかないでしょう」

 

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ボスダヨ

 

ナベシマンがウチに降ったよ。

恐らくナベシマンの野心が高めだから、捕らえられた際に寝返りやすくなってたんだね

これで人材としては不足は無くなったね。

てか全部のステータス80以上とかどんな化け物なんだっていうね。

 

ま、貰ったものはつかっていくよ。

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