リをンに変える旅   作:いのかしら

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第2話 泰野の戦い

島津貴久、志布志奪還のため直々に出陣。

 

その情報は大隅の諸勢力に緊張を走らせた。

その数は10000を超えると言われた。大隅諸勢力が連合して最大限動員しても、その数には及ばない。

さらに噂や各勢力の独自の調べで、その陣容がさらに驚きのものとなった。

島津貴久を筆頭に島津義久、島津義弘、島津日新斎、島津忠将ら一門に加え、新納忠元、山田有信なども有力な配下も参加していると推察されたのである。

島津は、確実に大隅を従えんとしていた。

 

これに対しジャパリ家も評定にて全力で対抗することを確認。すぐさま各勢力に援軍の要請が出された。

使者の為の道も利用して何とか集まったのが7000人、もともと国力に比してかなりの数の農兵を抱えていたジャパリ家が、商圏の最低限の治安維持や城の防衛を考慮して動員しうる最大数であった。

ジャパリ一門、ジャパリ庶子、肝付氏、禰寝氏、安楽氏、伊地知氏ら数多の勢力が収穫後何とか兵力を捻出した結果である。

これらが島津家が集結する都城に対峙しうる志布志城に集められた。

 

島津家と野戦を取るか、それとも引きつけて籠城か。これは野戦と早々に決まった。資金を割いた志布志北方の防衛施設の活用と援軍の可能性の低さを考えれば当然であった。

島津家が都城出立準備の情報を聞くや、ジャパリかばんは出陣を決定。

出陣の儀式を執り行い、勝栗や昆布、干し鮑を食したのち、酒ではなく武将一同で一杯の茶を回す。この茶は出来れば栂尾のものを使うのが、ジャパリ一族では伝統であった。茶の生産はまだ出来ていない。

これは米が栽培しづらいこの地で酒には加工しづらかったこともある。

 

 

ジャパリ家の部隊の特徴として、鉄砲隊の編成とその集中運用が挙げられる。ジャパリかばんは細山田の鍛治に作らせた鉄砲を配下の兵の半数400人に与え、弾薬も全て配り尽くした。無論鉄砲は作らせた数だけでは到底足りず、禰寝氏を通じて明の商人から南蛮経由で取り寄せたものもある。その資金も商圏からの収入が大きく働いた。

また廻や櫛間から上納された馬も騎馬隊として編成し、肝付兼続がこれを指揮した。

兵には前から農閑期を中心に訓練を施し続けており、1年という時間が得られたことは、それをより効果的に運用する余裕を与えた。

問題は資金調達の為に夏頃に備蓄米の一部を売却していたため、長期に渡りこの大軍を動かすことは望めなかったことだった。

 

3日後、両軍は大隅と日向の国境、泰野で違いを認識した。ここに九州情勢を大きく動かす泰野の戦いが幕を開けたのである。

 

 

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森の多いこの地でジャパリ家は偵察は少数の者に任せ、部隊としてはほぼ全てを霧岳周辺に集結させた。そして砦からの兵糧の補給を受けながら、霧岳と宮田山の狭間で部隊が縦に伸びる時を待ったのである。

そして時はきた。島津忠将率いる部隊が島津貴久本隊とともに突出。

 

 

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この隙を側面に展開していた肝付兼続の騎馬隊と、山の裾に潜んでいたジャパリかばん本隊が突いた。

約半分、200丁の銃撃を仕掛け、怯ませたところに騎馬隊の急襲。

「今です!ボスさん、お願いします!」

「マカセテ」

 

 

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さらに反対側の側面をボスが突き、そこに200丁の銃撃を加算。鉄砲の運用においては元祖と言うべき部類に入る島津家だが、それでも一斉射撃と相次ぐ奇襲を前に島津忠将隊は混乱状態に陥った。

その背後にいた島津貴久隊にまで混乱は波及。何とか統率はとれたものの戦うどころではなく、都城までの撤退を余儀なくされた。

しかしジャパリ家側も島津日新斎と樺山善久がその後退を支援した為追撃をかけることはできず、敵に損害を与えることはおろか損害はこちらの方が多くなってしまった。

 

 

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この戦いはその日のうちはおろか、たった数時間で幕を閉じた。だがこの戦いによる勝利はジャパリが天下に並び立つ1つの起点となったのである。

 

戦闘の内容がどうであれ、有力な武将を捕縛するようなこともなかったが、島津貴久直々の軍を退けたことは事実。

ジャパリの武名は上がり、大隅支配は一層強固となった。

一方島津家側は大規模な軍を動員しながら城1つ取れなかったことに国人領主の不満が溜まり、都城に帰還した島津軍は軍を派遣するには拠点の内城で再編成しなければならなくなった。

 

島津軍、都城から後退。

この報を受けたジャパリ軍は大きく2つの考えに割れた。

一つはこの戦績で満足すべきとする派。追撃の失敗により兵質の差を認識させられた中で、進撃して勝てる保証がないならこの勝利を最大限喧伝し、勢力安定に繋げようと主張した。

特に兵糧が継戦するには不十分との認識と、島津側からの講和を願い出る使者の来訪もそれを後押しした。

これを主張したのが当主ジャパリかばんと禰寝氏。禰寝氏は本拠地から遠いこの地に長期間動員し続けるのは、民政に影響を与えるとの読みもあった。

もう一つが勢いに乗って進撃し、都城の奪取を狙うべきとする派。泰野での勝利で士気が高く、勝つなら今しかないとの考えがあった。

これを主張したのは肝付氏、伊地知氏、安楽氏、それにジャパリ一門のアライグマ、カバらである。安楽氏、カバを中心とするサバンナ衆は所領が島津家との境界付近にあり、その影響を排除するに越したことはないとの考えもあった。

 

「ここは島津の大隅からの影響排除に動くべきですわ。今を置いて他に時はありません」

「はっはっは!ジャパリパークは強いのだ!島津なんてまた来ても蹴散らしてやるのだ!」

「こちらの士気は上がっている。このまま国力差がある状況で対峙するより、それを少しでも埋める方に動こうではないか」

「しかし先の戦いを見るに、都城への援軍との戦いではこちらにも重大な被害が出ます。勝てたとしても果たしてその復旧が速やかに可能なんでしょうか……」

「都城を落とせば志布志、伊東領も含めて飫肥城を孤立させられる。城を1つとってつ2つ取れるようなものだ!」

「兵糧の余裕もありません。仮に都城で援軍に撃退されれば、動員を再びかけても動かし続けられないでしょう。そうなれば大隅は終わりです」

「だがこれ以上の機会をこの先島津が与えてくれるとも思えん。動くしかない!」

 

結局禰寝氏が兵数の半数弱を帰還させて都城攻略に協力を申し出たため、ジャパリかばんも都城攻めに動かざるを得なくなった。

部隊は南之郷、橋野、梅北を経由して都城を包囲。援軍の可能性を考慮して、泰野周辺の砦から道を整備、延長させつつ、兵糧攻めを行った。

敵城主は島津一門の島津義虎。救援軍出陣の報も伝わっていたらしく、一月包囲を続けても降伏する兆しはなかった。

そして島津貴久が都城救援のため出陣。島津忠将、島津義弘の一門に加え、新納忠元、山田有信、伊集院忠朗ら有力家臣が従っていた。先の泰野の雪辱を晴らさんとしていた。

 

都の戦い、または主戦場の名を取り上川東の戦いが幕を開けた。

 

この戦いは泰野の戦いと異なり、双方1500人以上の死傷者を出す。ジャパリ側は樺山善久隊を側面から奇襲し、これを潰走に追い込む。

しかしここに救援に駆けつけた島津義弘が奮闘。さらに潜んでいた野伏隊がカバ隊や伊地知隊を奇襲。

しかし野伏隊の一つを伊地知隊、肝付兼続隊が辛うじて食い止める間に、フェネック隊や安楽隊、ボス隊が奮闘して野伏隊の伊集院隊を潰走に追い込み、中央を突破。島津義弘も側面を突かれる形となり、捨てまがりをしつつの後退に追い込まれた。

これを受けて島津貴久は家臣の進言を止むを得ず飲む形で撤退を決断。この都の戦いもジャパリ側の勝利となった。

だがジャパリ側は城の包囲を続ける関係上、追撃や武将の捕縛などは出来なかった。

 

 

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援軍の撤退。さらに打って出た城主島津義虎が援軍とともに後退。これは都城の士気を挫く時間を大きく短縮した。

都の戦いから4日後、城主代理を務めていた上井覚兼が城兵の生命の保証を条件に開城に応じた。

かばんはこの履行を徹底させ、上井覚兼も登用に応じないと知るや即座に解放。

臨時城主に一門のボス、補佐に肝付良兼を任じ、島津家に都城の獲得を承認することを条件に講和を提案する使者を派遣して、軍を解散。

1561年12月、九州南方での2ヶ月以上に渡る戦いはひとまず落ち着きを見せたのである。

秋月、宇都宮攻めを終わらせた大友義鎮が鶴崎踊を通じて大友宗麟と名乗ったのもこの頃である。

 

 

 

ボスダヨ。

なんとか最初の山場、対島津防衛戦に勝利出来たね。

作者の基本戦法は左右どちらかの陣周りに兵を集めて、ノコノコやってきた敵を囲んでタコ殴りにすることだよ。

囲んで棒で殴る。これ以上の戦法を未だ人類は発明してないからね。

作戦は信頼と実績の囮挑発戦法を良く使うよ。囮隊に引きつけて側面から奇襲をかけ、囲んでいくよ。

これはこの先鉄砲隊や騎馬隊の比率を増やしても変わらないから、今後戦闘シーンはカットしていくよ。写真もそんなに載せられないしね。

 

今回の戦いで都城を奪取したかばんたち。果たしてこれで島津の勢いは弱まるのか。戦いはこのまま終わるのか。兵糧は足りるのか。僕の活躍は続くのか。

 

次回もヨロシクネ。

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