転生者が仮面ライダーになってヴィランしてるからちょっと殺してくる   作:日本人

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久々投稿。課題が忙しくて書く暇なかったで⋯⋯。



そしてFGOでのガチャ。紅閻魔が出たと思ったら3時間後ぐらいに邪ンヌが来てくれた。
「俺死ぬんやなかろうか⋯⋯」
でも二人とも可愛い(´ ∀ `)。


木場戦?いや、騎馬戦!

「以上、本選への通過は上位42名よ!落ちちゃった人も安心なさい。まだまだ見せ場はあるわよ!

そして本番はここから!取材陣やスカウト目的の面々も白熱してくるわ!!気張りなさいよ!!

────という訳で次の競技はコレよ!!」

 

『騎馬戦』とモニターにデカデカと表示される。軽くざわめきが起こる。急なチーム競技へのシフトチェンジへの戸惑いを隠せない。

「木場戦?」

「くふっ!?」

「次言ったら叩き潰すからな腐れ葡萄。そして笑ってんじゃねぇよ麗日オイ」

「じ、冗談だって!?」

「ごめん⋯つい⋯⋯ぷふっ!」

「それにしても騎馬戦⋯⋯勝敗はどのように決まるのかしら」

 

「ルールはシンプルよ。参加者は2~4人からなるチームを組んで騎馬を作ってもらうわ!メンバーは自由、同じクラスでも他クラスでもOKよ!メンバー全員には下から5Ptづつ得点が与えられて全員の合計Ptが騎馬のポイントになるわ!」

 

「なるほど⋯⋯高得点の者程狙われやすくなる訳か」

「下から5Ptづつ⋯⋯てことは1位が210Pt⋯⋯。

デカい差がある訳でも無いな⋯⋯」

「うえっ⋯、順位がしたなら高得点の人と組むかどうかしないと厳しいルールじゃん」

 

「ノンノン!!2位までは5Ptづつ。しかーし!トップに与えられる点数は────いっせんまん!!」

「いっせんまん⋯⋯⋯1000万Pt?」

「え⋯⋯⋯。マジでか?」

「トップてことは⋯⋯」

ぐるり、と音が聞こえそうな勢いで周りが一斉に緑谷の方を振り向く。同情の視線もあれば殺気すら感じられる視線もある。緑谷にはそれらが獲物を狙う肉食動物の視線に感じられた。

(これが⋯⋯()()()()()()!!!)

所詮は刹那的なトップ。これで結果が決まる訳でも無い。それにも関わらず、()()。自身の師が背負う重圧には遠く及ば無いだろうそれですらこれなのだ。改めて偉大なその背中を遠く感じた。

 

 

「制限時間は15分。チームを組んだら合計Ptの書かれたハチマキを首から上に巻くこと。取るほど管理は面倒になるわよ!

更には騎馬が崩れようとハチマキを全て失おうともアウトにはならないということよ!」

 

 

「つまりは10以上の騎馬が常にフィールドに存在し続けると⋯⋯」

「1000万といい弱者の為の救済措置ということか⋯⋯」

 

 

「個性アリの残虐ファイトとはいえあくまでも騎馬戦!悪質な崩し目的の攻撃は1発アウト!退場となるわ!上に行けるのは上位4組、しっかり考えなさいな!!

それではこれよりチーム決めのスタートよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっといいかな?」

「⋯⋯なんだ?」

「一緒に組んでもらっていいかな()()()使()くん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出久、組むぞ」

「うん、頑強な木場っちゃんなら前騎馬に最適だ。欲を言えば両サイドに砂藤くんと切島くんが欲しいけど⋯⋯」

「直接的な防御力は高ぇが搦手には弱ぇな。それだったら対応力の高い八百万の方がいい⋯⋯つっても轟のとこに取られてんな」

「あ⋯⋯本当だ」

既に轟組は轟を筆頭に八百万、上鳴、飯田の面子で組んでしまっていた。その他の面々も次々と組み終わっている。てかアリアの奴なんで心操の所にいるんだ?まさか洗脳に⋯⋯⋯かかってねぇな。笑い返してきた。

⋯自分から?確かに確実に上がるならピッタリだと思うが。

「デクくん一緒に組も!」

「う、麗日さん?いいの?絶対に狙われると思うけど⋯⋯」

「木場くんもいるし下手な騎馬より勝率高いし!ガン逃げすれば確実やし!

何より仲良い人とやった方がいいやん!」

「⋯⋯ありがとう麗日さん」

アリアに気を取られてたらいつの間にか麗日がメンバー入りしてた。個性的にはパワー型の俺とは相性がいいので大歓迎なので問題は無いだろう。この3人で組もうかと思っているといそいそと俺に近寄ってきた奴がいた。

「村上社長!是非組みませんか!?」

「あ?お前は⋯⋯」

「私サポート科の発目明と申します!有り体にいえば貴方に私のベイビー達を売り込みに来ました!!」

わーいド直球。

「あけすけだなオイ⋯⋯。なんだ、将来的にウチ(SB社)で自分の作品を扱って欲しいってか?」

「えぇそうです!現在注目度No.1のSB社!!そこの社長の貴方にベイビー達を気に入ってもらえれば必然的に私のベイビーの注目度No.1!更には予選1位の人もいるから尚更注目されるじゃないですか!!」

「隠さねぇな⋯⋯。使えるんだろうな?」

「勿論!性能は保証します!」

「よし⋯⋯出久!!」

「聞こえてたよ!なら布陣は────」

「ならここで────」

「それならこのベイビーが────」

(あかん、ついていけへん────!?)

結局、麗日が置いてけぼりになっていたのに気づいたのは制限時間ギリギリだった。なんか申し訳ない。

 

 

 

 

 

 

 

『さぁさぁタイムアップだ!!チーム決めの時間を終え、今フィールドに12組の騎馬が出揃ったァ!』

『見た所大体が同じクラスで組んでますねー』

『そりゃある程度互いの個性の性質について理解し合ってるからな。同じクラスで組んだ方が勝率は高いだろ。

で、いつまでいるんだお前』

『まーまーいいじゃないですか』

『イレイザーあまり細かいこと気にしてっとハゲるぞ?』

『なんでお前らそんなに息合ってるんだよ』

『『そりゃ面白いから』』

『⋯⋯⋯もういいか』

(((諦めんなよイレイザー!!?)))

実況席の面々の暴走が止まらぬ中、良識ある人々は殆ど同じ考えだった。

『よっしゃオマエら鬨の声を上げな!血で血を洗う関ヶ原!!

今、開!!幕!!』

 

「麗日さん!」

「はいっ!」

「発目さん!」

「フフフッ!オッケーです!」

「木場っちゃん!!」

「おう、何時でも行けるぜ」

「よろしく!!」

 

────騎馬戦 開幕

 

 

 

 

 

『START!!』

 

『さァ始まったぜ第2競技騎馬戦!開幕早々緑谷の騎馬に他の騎馬が向かって行くゥ!』

『A組葉隠チーム、B組鉄哲チームが緑谷チームに迫る!!早くも本命(1000万)を取りに来たァ!!』

 

 

 

「ん?お前⋯⋯」

B組の騎手、確か入試で見たヤンキーっぽい奴だ。向こうも俺に気づいた様で、少し微妙な顔をしている。

「入試の時は世話になってこの前は物間が世話をかけた!!心苦しいがやらせてもらうぞ!!」

「気にすんなよ、全力で掛かってきなぁ!!」

「骨抜!」

「ケッ!」

ズブリと全身が沈む感覚。下を見れば地面がぬかるんだ様になり、足が膝下まで沈んでいる。確かB組の推薦入学者の骨抜の個性『柔化』。触れたものを柔らかくする個性だ。

「出久、バックパック!」

「もうやってる!」

発目のアイテムの一つであるブースターバックパックを点火。麗日の個性で重さを消し、ゆっくりと騎馬が浮上を始める。

「やらせない!!」

「っぐぁ!?」

────ヴォン!

「っ、何だ!?」

「オーノーベイビーが!?」

音が響いたと思ったらバックパックが木っ端微塵に吹っ飛ばされていた。衝撃は出久にも通っている様で顔を顰めている。

今の攻撃()()()()()()?完全不可視の攻撃を、それも遠距離で行える奴なんて記憶にない。

バックパックを破壊され、浮力を失った俺達は再び沈んて行く。

「不可視⋯⋯不可視⋯⋯⋯見えない衝撃⋯⋯空気を伝っている⋯?」

だとするならば────。

「木場っちゃん、耳郎さんだ!」

「────そういう事!!木場!ウチらもアンタに挑ませてもらう!!」

気づいた時には既に遅く、既に耳郎・砂糖・甲田・葉隠からなる騎馬が迫っている。どうやら砂糖の個性で無理矢理ぬかるみ擬きを突破して来たらしい。

「あかん、囲まれた!?」

麗日の悲鳴で今の状況を理解する。前門のB組、後門の葉隠チーム。なりふり構っている状況じゃない。明らかに原作よりもハードになっていた。

「麗日、重さ消せ!発目はバランサー用意!」

「う、うん!」

「イエッサー!オートバランサー展開用意!」

「出久!」

「了解、()()()()()!!」

俺と同じ考えを出久も考えていたのか、既にその手にはアークオルフェノクが扱う能力の一つであるエネルギー弾が。出久のソレは本家には及ばないものの汎用性に優れていた。

「ダメージは限界まで減らしてエネルギーの波動だけで吹き飛ばす!!」

エネルギー弾は俺の足元、つまり俺達の騎馬の真下に叩き込まれた。それは狙い通り柔らかくなった土を吹き飛ばし、骨抜の個性の及んでいない地面が露わになった。

「な、しまっ」

「確り捕まっとけよオラァアアアアアアアアアア!!!」

麗日の個性で重さを消し、事実上麗日一人分の重さとなった騎馬は、俺の跳躍により宙を舞った。無茶苦茶な体制で飛んだので当然バランスは崩れるがそれは発目のバランサーでカバーする。

「着地すんぞ、クッション!」

「了解!」

着地も発目のクッションブーツで難なくこなす。これで少なくとも多少は距離を取れた。

 

 

 

『フゥーーーー!!始まったばっかだってのに早くも混戦!

各所で争奪戦が勃発、まさに関ヶ原!!』

『緑谷チームだけでなく轟チームや爆豪チームなども狙われてますね。出る杭は打たれるってところですね』

(((解説より解説っぽい!!)))

『⋯⋯帰っていいか?』

((((アンタがいなくなったらツッコミがいなくなっちまうから頑張って!!))))

イレイザーヘッド、最早空気である。

 

 

 

「オラ、行くぜ緑谷、木場!」

「あ?峰田────って騎手どこだ!?」

峰田の声がした方を見ればいるのは障子ただ1人。その背中はまっさらだ。

────ヒュッ!!

「────っ!」

空を切る音がした。嫌な予感を察したのか、思いっきり身を攀じる出久。そのまま手を振り回し、透明なナニカを掴んだ。

「っけろ!」

「あすっ、ゆちゃんか!」

「ひゃひゅがねみどりひゃちゃん」

障子の背中から現れたのは蛙吹だった。いや、正確には蛙吹の頭が出てきた。口から伸びた長い舌は出久に掴まれている。喋りにくいのだろう、微妙に聞き取りにくい。

「なんで透明になってやがる!?」

「〝保護色〟だ!捕食者から身を守る為の習性!」

「なんで服まで透明になってんだよ!?」

「だっへ私、ひまひゃだきゃだもの」

「「「はっ?」」」

ひまひゃだきゃ────今裸?その言葉に思わず間抜けな声を上げた俺達(発目は動揺していなかった。女としてどうなんだろうか)。出久は思わず舌を離してしまう。

「スキありよ」

「つぅあっ!?」

────ヒュヒュン!

再び透明になり、こちらに遅い来る不可視の攻撃。障子自身更に接近してきているので攻撃の感覚はさらに短くなる。出久は何とかハチマキは死守しているものの、反撃できるような状態ではない。

さらに────

「っぐ!」

「オウッ!?なんですかコレは!?」

「これ⋯⋯峰田くんの〝もぎもぎ〟!」

「大正解だぜオマエらァ!!」

そう言って峰田が顔を出したのは障子の服の中から。首元からニュっと顔が生えてきた。

「服の中!?アリなのかそれ!?」

『アリよ!』

ミッドナイト審議は瞬きの間に可決された。普通なら考えつかないような作戦だ。その特性上騎馬の顔が確実に塞がるが、障子の〝複製腕〟なら眼もコピーが可能。つまり本体の視界が塞がる程度なんて事ない。現にギョロギョロとした眼が複数こちらを向いている。

そうこうしている間にも周りはもぎもぎで覆われ、足の踏み場がみるみる無くなる。騎馬として複数人固まっている俺達には致命的だ。その点単独馬の障子はある程度自由に動けるのでこの程度では歯牙にもかけない。早くも絶体絶命である。

「ちっ、出久!眼だけ()()!」

「────眼⋯⋯⋯、っそうか偏光視!!」

虫の瞳────複眼と呼ばれるそれには『光の波』を捉える機能があると言う。蛙吹の〝保護色〟はどちらかと言えば光の波を歪めて透明になっている様に思える。ならば偏光視を持つ虫の複眼なら────あ。

「やっべ、出久スト「ふぉおお!!?」遅かったか!」

顔を赤くして思いっきり仰け反る出久。舌が来ていたのだろう、頭上で風切り音がした。仰け反ったお陰で回避出来たようだが。運がいいんだか悪いんだか⋯⋯いや、いいのか?

なにせ()()()()()()()()()()()()()んだから。

光の波を見れるんだからそりゃ当然歪められた光の波の所に何があるのかも見えるわな。

「蛙吹ー見えてんぞーー」

「なァにィッッッッ!!!!??」

「っ!!」

真っ先に反応したのは峰田。顔を出して障子の背中側を覗いている。続いて聞こえたのは羞恥の声。蛙吹の声だろう。

「って、動揺してる間に撤退だ!!二人ともブーツ脱げ!」

「くっ、背に腹は帰られませんか!」

「えっちょ、デクくんどしたん!?」

「出久、どうだった?」

「ぴ、ピンク色で生えてなかっ、て何言わせるのさ!!?」

「〜〜〜〜〜ッッッ!!!!」

「ご、ごめん梅雨ちゃん!!わざとじゃなくて、その、全部木場っちゃんの差し金なんだ!!」

「いや仕方ねぇだろ!?ああでもしなきゃ攻撃見きれなかったんだから!てか役得だろ!!」

「倫理的に問題ありまくりだよっ!?」

「み、見たのか緑谷!?ゆ、許っ羨(ゆるっせん)っ!!」

「うわぁ⋯⋯峰田くん血涙流しとる」

「ほら皆さん!モタモタしてるうちに敵が来てますよ!」

この時、この中で1番まともだったのが発目という驚愕の事実だった。

 

 

 

 

『おうおう、なかなかテクニカルなプレーが出てんなぁ!

にしても狙われやがるぜ緑谷チーム!』

『やはり1000万の存在が大きいですね。皆次への切符を手に入れようと必死です』

『それじゃあ、ここで現在の保持Ptを見てみようか!!現在────あら?』

 

1:緑谷チーム 1000万335Pt

2:物間チーム 1345Pt

3:鉄哲チーム 1275Pt

4:轟チーム 690Pt

5:拳藤チーム 660Pt

6:鱗チーム 0Pt

7:爆豪チーム 0Pt

8:小大チーム 0Pt

9:角取チーム 0Pt

10:峰田チーム 0Pt

11:心操チーム 0Pt

12:葉隠チーム 0Pt

 

 

『なんか緑谷チーム以外パッとしませんねぇA組』

『てか爆豪ォ!?どうしたお前!?』

 

「単純だよ、A組」

「あ?」

目の前の騎馬に気を取られていた爆豪は、己のハチマキが失われた事を理解するのに数瞬要した。自他ともに認める実力者である彼が有するその高すぎるプライドが認識を拒否したのかもしれない。が、目の前の光景がハチマキを奪われたということを否が応でも理解させてくる。

「テ⋯⋯メェコラ返しやがれ殺すぞ!!」

「ちょ、落ち着け爆豪!」

「あーヤダヤダこれだから野蛮人は。先日の件と言いホント、ヒーロー科を名乗らないで欲しいなァ恥ずかしいから」

「あぁ!?」

「気に入らないことがあったらそうやって凄んで暴力に訴えて⋯⋯⋯ガキじゃないんだからもう少し考えたら?あ、そう言えば君ってヘドロ(ヴィラン)の時の人だよね?ねぇねぇ参考に聞かせてくれない?年一で(ヴィラン)に襲われる気分ってのを「うるせぇ」フボォッ!?」

物間がセリフを言い終わる前に彼の顔面に爆破を放つ爆豪。額には青筋が浮かび、その手からは感情に呼応するように絶え間なく爆破が漏れ出していた。

「何も知らねぇ素人がデけぇ口叩いてんじゃねぇクソが!!鳥顔!」

「うむ、既に全て回収し終えた」

「こんなカス共ほっといてサッサと1000万行くぞクソ髪!!」

「マジか!?今のままでも次に行けんだぞ!?」

「馬鹿かテメェらは!オレが取るのは完膚無きまでの1位なんだよ!!

こんな程度で満足してられっか!!」

「おおおお!!アツいな爆豪!!よっしゃ、行くぜ瀬呂、常闇!」

「影響受けやすすぎだろ!?」

「致し方無し。情熱の漢は止められん」

哀れ物間。煽るだけ煽っておいて瞬殺である。

これが切っ掛けだったのか、状況は大きく動いた。

 

 

所変わって緑谷チーム事俺達のチーム。向こうでは物間とかいうアホが爆豪に瞬殺されていた。俺達はと言うと、

「で、まぁ来るよなぁ⋯⋯」

「⋯⋯⋯轟くん」

俺達に立ちはだかる最強の壁・轟チーム。この競技最大の敵。

「そろそろ、奪らせてもらう」

轟の瞳は本人の右半身と同じく、凍える様な冷気を発していた。

 

 

 

 

『状況が動いた!!物間、あっさり爆豪により瞬殺!!

中央付近では緑谷チームと轟チームが対峙!それを囲む様に複数のチームが迫るーー!!!』

『イヤホント、何がやりたかったんでしょうね物間くん。噛ませ犬でももうちょっと粘りますよ』

物間フルボッコである。そんな中イレイザーと言えば、

『⋯⋯⋯(*_ _)zzZ』

⋯⋯⋯とっくに夢の中であった。

 

 

「上鳴、放電準備。八百万は絶縁頼む」

「既に出来てますわ!」

「あぁ、行くぜ!!」

────バリバリバリバリバリバリ!!

上鳴を中心に電撃が放たれる。その中心たる轟チームの面々は上鳴以外全身を絶縁シートで覆っていた。故に無傷。しかし周りはそうはいかない。近寄ってきた騎馬はほぼ全員がその餌食となる。俺達も例に漏れず食らってしまった。

「ぐ、おおお!?」

「ま、ずい!()()()()!」

「────!」

出久の声に反応した時には既に遅く、八百万が用意したのであろう棒を伝って氷が地面を走り、大半の騎馬の足を凍りつかせている。轟チームは俺達に向かって駆け出し、次いでとばかりに拳藤チームのハチマキをかっさらって行った。

「貰ってくぞ」

「あ、俺らのハチマキ!」

「ちくしょうやられた!?」

これにより轟チームは2位に上昇する。が、奴らはそんなものには興味無いと言わんばかりに俺達の元へ一直線に迫って来た。

「⋯⋯お前ら動けるか?」

「ごめん、足は凍っとるし身体も痺れてまともに動かへん⋯」

「お、同じくです社長⋯⋯」

「出久は?」

「なん、とか。木場っちゃんは?」

「俺も正直やべぇ。痺れきってまともに動けん。多分、4割出せれば良い方かもしれねぇ」

不味いなんてもんじゃない。競技中ピンチは何度もあったがこれ程じゃなかった。身体はマトモに動かせず、多少の距離逃げても氷結に追いつかれる。どうする?時間は残り1分程度。ハッキリ言って絶望的な時間。今の俺達では1分すら厳しい。

────俺達が必死に考えを巡らす中、1人だけ迷わず動いた者がいた。そう、

 

 

「────ウチが、やる!!」

 

────耳郎響香(この女)である。

 

 

「うっわー⋯⋯⋯完全に凍っちゃってる⋯⋯」

「スマン葉隠⋯⋯⋯もう⋯⋯眠い⋯⋯」

「⋯⋯⋯!⋯!⋯⋯!?」←『ごめん、氷壊せない』的な事を言っている。

こちらは葉隠チーム。漂うのは諦めの雰囲気だった。葉隠・甲田は破壊力のある攻撃を持たず砂糖・耳郎は既にかなり消耗している。純粋に、逆転が不可能だと悟ってしまった面々は既に諦めきっていた。ただ1人────耳郎響香を覗いて。

「⋯⋯皆、耳塞いで」

「え?響香ちゃん?」

「⋯⋯⋯!」←『何をする気なの耳郎さん?』的な事を言っている。

「⋯⋯一か八か、最後の勝負に出る。上手く行けば、1000万取れるかもしれない」

「そんな奥の手があったの!?ならなんで⋯⋯」

「ごめん。1発切りの隠し玉だったから。一発撃ったらもう撃てないと思う。それに⋯⋯⋯正直成功確率は凄く低いと思う」

それでも────

「────ウチを信じてくれる?」

「────持っちろん!!友達を信じるのは当たり前じゃん!」

「⋯⋯!」←全力で首を縦に降っている。

「おーう⋯⋯⋯とりあえず⋯⋯⋯眠い⋯⋯」

「砂糖も限界、時間も無い。これが正真正銘の一発勝負⋯!!」

「おっけ!私達はどうすればいいの?」

「耳塞いで、何時でも行ける様に構えといて」

「了解!」

「頼むよ⋯⋯」

そう言って耳郎は自身の喉にイヤホン=ジャックを突き刺す。同時に、限界まで息を吸い込見始める。その行動は誰にも見られず、轟達に皆が注目しており、完全に意識外に置かれていた。

────それが、勝敗を分けた。

 

 

 

 

 

 

 

『ハートボイススプレッシャー』

 

 

 

 

 

 

 

────────────────!!!!

「「「「────ッ!!!!!!」」」」

耳郎の口から放たれた〝声〟。限界まで増幅した心音と共に指向性を持って緑谷・轟両チームへと放たれた。その余波だけでも大地が割れ、遠く離れた観客すらも耳を塞ぎ、近くのチームの人間は崩れ落ちた。

それをモロに食らった両チームは全員がフラフラとマトモに立てない状態であった。

「と⋯⋯⋯お⋯る!!」

「うん!奪るよ1000万!!!」

多大な負荷をかけたからか、喉部分は内出血を起こし、喀血が口から溢れ出す。それでも尚、1000万(トップ)を目指し少女はかけ続けた。

勝利への執念のみを瞳に宿して。

 

 

 

 

 

しかし、執念ならこの男────木場勇治も負けてはいなかった。音の衝撃で脳を揺さぶられ、平衡感覚を失って意識すら朦朧とする中、彼が立っていられたのは執念によるものだろう。彼は気づいていないが、麗日・発目両名は気絶しており、緑谷は木場よりも重症。戦えるような状態ではない。

(負ける?こんな所で?)

冗談じゃないと心中で吐き捨てる。何もなせず、己の目的の一端すら見ずに敗北するなど許されない。

(世界を、変える)

怪物と呼びたければ呼べばいい、人でなしと罵りたければ罵ればいい、ただ己の憧れ(仮面ライダー)を否定させない為に、悲しみを増やさない為に。どれだけ罵倒されても構わない。ただ、己の正義を成せればいい。だからこんな所で────

「────負け、れねぇんだよオオオオオオオ!!!!」

それはほぼ無意識の行動であった。耳郎によって砕かれた氷から足を引き抜き、思いきり高く振り上げ振り下ろす、地面への全力のスタンプ(踏みつけ)である。全力で地面に叩きつけられたそれは、割れた地面を砕き、完全に崩壊させた。

「う、わわわわわわわわわっ!!?」

砕けた地面に足を取られ、バランスを崩す葉隠チーム。反撃は、完全に静止された。

そしてここで────

 

 

 

 

 

『タイムアッーーーーーーーーーープ!!!熾烈を極めた15分間の激戦!!それを制したのは緑谷チーム!!見事1000万を守り切ったーーーー!!』

『ちょっとちょっとイレイザーさん、ほら起きて』

『⋯⋯⋯終わったのか?』

『ええはい。ほらしっかり座って。寝袋から出てください』

『なんか隣で介護が始まってんが気にせずに結果発表と行くぜ!!

まず第1位!!1000万を確りとキープ!緑谷チーム!!』

 

「あ⋯⋯⋯らら⋯?」

「うっ⋯⋯⋯頭痛い⋯⋯⋯」

「勝った⋯⋯の?」

「⋯⋯あぁ、勝ったんだな」

 

『第2位!!こちらも高Ptをキープ!轟チーム!!』

 

「負けた⋯⋯か」

「クソッ⋯⋯やられた⋯」

「まさか耳郎さんにあんな隠し玉があるなんて⋯⋯⋯」

「⋯⋯⋯⋯!」

ギリッ、と無言で拳を握りしめる轟。その顔は憤怒、そして悔しさで染まっている。

 

『そして3位!1時はどうなる事かと思ったぜ、物間チームを瞬殺した爆豪チーム!!』

 

「クソがッ!!!!!!!!」

「うあー⋯⋯アタマいてぇ」

「同じく⋯⋯」

「ぐむぅ⋯⋯まさに泰山鳴動、驚天動地」

『オレモアタマイタイ⋯⋯』

 

 

『4位!てつて────ってアラァ!?心操チーム!?いつのまに!?』

『いや気づいとけよ⋯』

『ぶっちゃけ緑谷チームと轟チームに夢中で全然見てませんでしたからね』

 

「⋯⋯なぁ、大丈夫かコイツら?」

「平気でしょ⋯⋯⋯多分」

「────」←魔術で心操の分まで振動を流され食らった庄田

「────」←魔術でアリアの分まで振動を流されて食らった尾白

 

『なんか色々あったっぽいなぁ⋯⋯。まぁいいさ!!これにて騎馬戦は閉幕!1時間程昼休憩挟んで午後の部だ!確りメシと回復済ませとけよ!!』

 

 

 

 

────騎馬戦閉幕。

 

 

 

 




会話がどうしても多くなる。難しいのぉ⋯⋯。
原作見返したら何故か鱗飛竜がつけてるハチマキが70⋯⋯宍田と組んでるんだから3桁は超えてるはずなんだが⋯⋯⋯。めちゃくちゃ戸惑った。

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