転生者が仮面ライダーになってヴィランしてるからちょっと殺してくる 作:日本人
「ハァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜⋯⋯⋯」
「おおう、朝から凄い溜息だね。大丈夫?」
「これが大丈夫に見えんなら眼科行った方がいいぞ」
ん?俺が落ち込んでる理由。そんなの戦闘訓練の結果の事で色々言われたからに決まってんだろ理解れよ(暴論)。
あの後八百万からそりゃもうボロクソに言われたよ。やれゴリ押しだの、仲間を投げるなんてありえないだの、子供を殴るなんてだの。
最後のは敵だからしょうがなくない?俺悪くなくない?
何よりもショックだったのが皆に口を揃えられて「もはやお前が
酷くね?確かに格好マフィアだけどそこまで言うかよ!?
当然だが俺が仮面ライダーになった事についても根掘り葉掘り聞かれた。マックで。取り敢えずクラスメイト達全員(ボンバー除く)にクソネズミ達に言ったことと同じ内容を説明しといた。あるものは驚愕し(主に女子陣)、あるものは感嘆する(切島とか常闇、障子らへん)。そしてまたあるものはその生き様に号泣する(多分何となくわかると思う)などみんな多種多様な反応を見せてくれた。たのしい。
中でも出久は別格だった。いやもう見事すぎる顔芸披露してくれたよ。何あれもはや別の作品じゃん。
爆豪?90°過ぎて150°位のツリ目で俺を睨んでからさっさと帰ってった。「
クソネズミ達にも呼び出された。まあ正体晒すって言ってなかったしな。面倒いから適当に理由付けしてさっさと帰った。相澤先生が面倒だったが「いい猫カフェ知ってますよ」と取引持ちかけたらあっさり堕ちた。やったぜ。
で、今は八百万にボロクソ言われた事を思い出して落ち込み中。訓練だったとは言え幼女殴ってるから言い訳出来ねぇんだよなぁ⋯⋯。
「ま、まぁでも訓練だったんだし!しょうがないんじゃないかな?」
出久、フォローはありがたいんだがな⋯⋯、
「あの絵ヅラ『幼女をいたぶって楽しむ全身鎧の変質者』にしか見えねーんだよなぁ⋯」
V?見せられたよ完全にヤベー奴だった俺。100人に聞いたら全員が俺が
⋯⋯⋯あぁ、女子達からの視線が痛い。完全に引かれてる通り越して攻撃対象になってんじゃねーかってレベルで睨まれてる、主に八百万とか麗日から。
⋯自重しよう。そう固く誓う俺だった。
「お前ら席付け。HR始めるぞ」
バッ!と皆が一斉に席に着く。相澤先生効果ホントすげぇよなマジで。静かになるまでコンマ1秒かかってるかも怪しいぞこれ。
「昨日の戦闘訓練お疲れ様。Vと成績は見させてもらった。爆豪」
相澤先生が爆豪の名前を呼ぶ。
「お前はもうガキみてぇなマネするな。能力あるんだからな」
「⋯⋯わかってる」
「で、今日の本題なんだが⋯」
ざわ、と色めく教室。あ、今日はこれか。
「学級委員長を決めてもらう」
「「「「「学校っぽいの来たーーーー!!!!」」」」」
「うぉっ」
「うへぇ⋯⋯わかっていても騒がしいねぇ」
辟易する俺達を他所に教室内は盛り上がっていく。
「ハイハイハイ!!俺やりたいっス!」
「リーダーやるやるーー!!」
「オイラのマニフェストは女子全員スカート膝上30cm!!」
ん?俺は挙げないのかって?やだよ面倒い。俺は現場で動く人間なんだ。アリアも右に同じ、面倒い事はなるべく避けたいんだとさ。
「静粛にしたまえ!!」
((お前が1番うるせーよ))
「
周囲からの信頼あってこその聖務!民主主義に則り、これは投票で決めるべき事だろう!!」
そう言う飯田の右手は垂直にビシリと伸ばされている。
「そびえ立ってんじゃねーか!!なぜ発案した!!?」
うん、まぁ、やりたかったんだろ?
「まだ出会って日も浅いのに信頼もクソもないわ飯田ちゃん」
「だからこそ!ここで複数票とった者が相応しいという事になるだろう!?」
ん、まあ一理あるわな。相澤先生は⋯
「時間内に決まるならなんでもいいよ」
とまあこんな感じなので結局多数決で決めることになった。そんで結果は、
「僕五票ーーーーーー!!!!??」
とまあこの通り出久。追加の2票は当然俺とアリア。だって他の連中に任せるくらいなら常識人+気心の知れてる出久に任せた方がいいだろ?
⋯⋯結局は飯田になるんだがな。
そんなこんなでHRが終わり、相澤先生も出て行った。
さて、俺も行くとしますかね。
「ん?どしたんだ木場。荷物なんかまとめて」
「帰る」
「は?」
俺の答えに素っ頓狂な声を上げる上鳴。
「いや、帰るって⋯⋯」
「この後用事があってな。それじゃ」
「お、おいっ!?」
そんな訳でスタスタと教室を後にする。なんか後ろで聞こえた気がしたが知らん。
こっちはUSJ襲撃に備えなきゃなんねぇんだからな。俺やアリアというイレギュラーがいる以上向こうが強化されている可能性も否定出来ない。
⋯⋯死人を出さない為にも悪ぃが今日はサボらせてもらう。HRの相澤先生が厄介だから出席はしたがそれ以降は無視だ。
俺はそのまま雄英を後にした────。
学校を出て駅へ向かう途中の事、何でこうも俺はついていないのか。また
「ヘイヘイヘイ!!どうしたヒーロー共!?攻撃してみろや!!」
「誰か助けてぇええ!!」
「ママァ!!こわいよぉ!!」
「連続強盗殺人犯〖僧坊ヘッドギア〗!!くっ、人質なんぞ取りやがって⋯⋯!」
「オマケに無駄に強い⋯!これじゃ手出しが出来ない⋯!」
⋯⋯⋯⋯いやマジかよオイ。No.13に出てきた
お前登場明日だろーが!?はえーーよ!?こちとら襲撃に備えなきゃなんないのに何目の前に登場してくれてんの!?
いやイレギュラー起こるのは予想してたよ?でもお前噛ませじゃん!本編関係無いじゃん!?出てくんなよマジで!
「⋯⋯無視してさっさと帰ろう」
俺は群がる野次馬の間をすり抜けながら歩く。周りの人たちは幸い、と言っていいのか分からんが
────が、どうも神は俺をこの1件に関わらせたいらしい。
「へっ、見せしめだァ!このガキの頭捻り潰したらァ!!」
僧坊ヘッドギアが抱えていた家族の内、未だ10に満たないだろう少女の頭を掴んだ。そのまま見える様に持ち上げる。奴が、ゆっくりと力を込めていくのが分かった。
「い⋯⋯痛い⋯⋯!痛いよぅ⋯⋯!」
「やめてぇ!!?私はどうなってもいいからその子だけはぁ!!?」
「ウルセェ!恨むんなら役たたずのヒーロー共を恨みなァ!!」
そのまま奴がグッ、と拳を握り込み────
「────巫山戯んなよゴミクズが」
「あ?」
気付けば、俺の右手にはホースオルフェノクの剣が握られている。そして俺自身もオルフェノク体へと変身していた。
そして俺の腕の中、そこには僧坊ヘッドギアに今にも殺されようとしていた少女が抱えられてる。
「お馬さん⋯⋯?」
少女のか細い、されど生命力を感じさせる声が聞こえた。どうやら命に別状は無いようだ。
────プツリ。後ろから、音がした。
次の瞬間、僧坊ヘッドギアの左腕が付け根から落ち、傷口から勢いよく血が噴き出し始めた。
「ぎっ、ぎゃああああああああああ!!!!?」
「⋯⋯チッ、やっちまったか」
関わらないでスルーするつもりだったのについてないな。
僧坊ヘッドギアは痛みのあまり残っていた人質夫婦を手放している。ゴロゴロと転がる僧坊ヘッドギアを蹴り飛ばし腰を抜かしている夫婦に少女を差し出す。
「ほら、さっさと連れて逃げな」
「ひ、ひぃいいいいいいいい!?」
夫だろう男性は俺から少女をひったくって女性と共に逃げて行く。
⋯⋯今の俺の姿は化け物だ。仕方ないとはいえ今の反応は堪える。
「彼らもこんな気持ちだったのかねぇ⋯?」
っと、思いを馳せてる場合じゃないな。僧坊ヘッドギアは残った右手で傷口を抑えながらこちらを睨んでいる。
「て、てめぇ〖灰色の怪物〗か!?何で同じ
「⋯⋯風評被害だっつーの」
別にオルフェノク全員が
「てめぇが気に入らねぇからぶっ飛ばす。それだけだ」
「く、くそがァあ!!」
激昂しながら殴り掛かってくる僧坊ヘッドギア。俺はその腕を躱し、腹に拳を叩き込む。
「おっ、ごぉえ゛!?」
「おっ、らぁっ!!」
「ぎぶぇ゛え゛!?」
そのまま前蹴りを食らわし、吹き飛ばす。僧坊ヘッドギアは奇声を上げながら吹っ飛び、地面を擦りながら5mほど進んでようやく止まった。
「さて、このまま⋯⋯っ!?」
奴にトドメを刺そうと近付こうとしたら背中に強い衝撃が走る。反射的に前に飛んで勢いを殺した。振り返ると、数人のヒーロー達がこちらに敵意を向けながら睨んでいた。そのうちの一人────バスターヒーロー エアジェットの銃口から煙が立ち上っている。どうやら奴に撃たれた様だ。
⋯なんか前にも見た光景だな。
「⋯なんのつもりだヒーロー」
これも前に言った気がする。で、連中の反応も見たようなもんだった。
「お前〖灰色の怪物〗だろ?だったら確保一択だろうがよ」
「化け物が⋯!
「⋯⋯⋯良くもまぁペラペラペラペラ口が回るなぁオイ?」
ズシリ、と空気が重くなる。もちろん原因は俺。ここまで好き勝手言われりゃ聖人でもキレるだろうよ。
「テメェらはあのガキが殺されようとしている時何やってた?」
「何を────「質問に答えろ」」
「2度は言わねぇぞ⋯⋯⋯テメェらは、何を、やっていた?」
「それは⋯⋯⋯」
1人のヒーローが悔しげに顔を俯かせた。
「そうだ、ただ見ていただけだ」
そこで言葉を区切る。俺が言いたいのはこれだけだ。
「ヒーローの癖して何やってんだテメェらはァ!!!」
ビリビリと空気が震える。俺の冷静な部分は「俺こんなに大声出たんだなー」とか呑気な事考えてる。
が、俺のブチ切れた部分はヒーローどもをボロクソにこき下ろしていた。
「テメェらはヒーローだよなァ!!?それが人質が殺されようとしてるのを黙って見てるだァ?
────巫山戯んじゃねぇぞォ!!!」
「そ、それは他にも人質が居たから」
「テメェらのその脳味噌は飾りかァ!?高所からエアジェットが奇襲を仕掛けて陽動、パワー型のデステゴロやMt.レディが押さえ込んで他の奴らで人質救出、その程度も思いつかねぇのか!!!」
あまりの馬鹿さ加減に呆れ返る。コイツらは馬鹿正直に正面から戦う以外の方法を知らねぇのか?
自分達の“人数”と“多様性”を生かしきれてねぇこんな連中がプロヒーロー名乗ってるとはな⋯⋯。
あぁ、本当に────
「ムカつくなぁオイ⋯!」
そりゃ俺だってコイツらの存在する理屈は理解してるさ。いかに俗物的でクソだろうと
だがな、理屈がわかっていてもそれを感情で受け止める事が出来るかと聞かれるとそれは別だ。
コイツらは存在そのものが『ヒーローという存在』への侮辱と言ってもいい。叶うならここで一人残らずブチ殺したいぐらいだ。
「ぎぃ⋯⋯この馬野郎がぁ!!?」
ッ!?僧坊ヘッドギアの野郎が起き上がってやがる!?奴はズボンのポケットから注射器のような物を取り出す。そしてなんの躊躇いもなくそれを首に突き刺した。
「ぎ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
ボコボコと奴の筋肉が肥大化する。切り落とした腕が再生し、肩口あたりから第三、第四の腕が生え、まるで阿修羅の様な姿へと変貌する。
「『トリガー』か⋯⋯ッ!」
トリガー────正式名称を
が、当然違法薬物である。現在は裏のチンピラ共を中心に出回っている。
本来トリガーは弱い個性の一般人を
答えは簡単────
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!」
────手の付けられない化け物になる。
僧坊ヘッドギア────の成れの果て────は巨大化しそのサイズは5m近い。パワーも比べ物にならないだろう。さらに理性を失っている。
状況は、最悪だ。
「テメェら逃げろおおおおおおおお!!!」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
「「「「「うわあああああああああああ!!!?」」」」」
僧坊ヘッドギアは辺りにやたらめったら拳を振り下ろし始める。アスファルトが砕け、逃げ惑う市民の上に降り注ぐ。
「テメェ⋯⋯!止めろやァ!!」
剣を両手で握り、飛び上がって思いっきり奴の肩に振り下ろす。が、
「斬れねぇ⋯⋯!!」
肥大化した奴の分厚い筋肉に阻まれて受け止められた。
チラリと奴の顔を見れば目が合った。
────ニタリ、と笑ったような気がした。
「しま────」
次の瞬間、俺は殴り飛ばされてビルに叩きつけられていた。
「がああああああ!!?」
俺はそのままビルを突き破り、人気のない裏路地に転がり落ちた。
「痛ってぇ⋯⋯あんの野郎⋯⋯!!」
ヤクまで持ってたのは予想外だった。原作ではどうか知らんがあのままでは確実に不味い。
他のヒーロー達は戦力としては数えられない。人質がいたとはいえ素の状態ですら手も足も出ないのだから足でまといになるだけだろう。
⋯⋯ならやるしかない、か。
俺は懐からカイザフォンを取り出す。ダイヤルを入力、サディーへと繋ぐ。ピピッ、と電子音がなりサディーの声が聞こえてきた。
『マスター、なんの御用でしょうか。今は授業中の筈ですが』
「無駄口を叩いてるヒマは無い。今から状況だけ説明する。
『オールマイト達に任せておけばいいのでは?』
「⋯⋯もう一般市民に被害が出始めてる。連中待ってたら死人が出ちまう」
『⋯⋯⋯了解しました。今すぐ急行します』
「助かる」
────それからものの5分でサディーは俺の元に辿り着く。俺はサイドカー内のケースからベルトを取り出し、腰に装着する。
『Code 913 Enter』
『standingby』
『マスター、本当によろしいので?』
「たりめーだ。今更後に引けるかよ。それに────」
「────ここで逃げたら、俺は二度と仮面ライダーの名を背負えなくなっちまう」
今の俺は、紛い物と言えど仮面ライダーだ。それが逃げる?それこそ彼らへの冒涜だ。
だから俺は逃げない。絶対に。
『⋯⋯Yes.Master.アナタの御心の侭に』
「そりゃどーも⋯⋯⋯変身!」
『complete』
『了解しました。戦闘形態へ移行します』
『Battle mode』
俺はバッシャーに跨り、それと同時にバッシャーはバトルモードへと変形する。
「行くぞサディー⋯⋯殲滅する!」
『Yes.Sir』
俺達は、空へと飛び上がった。
「ゲゲゲゲゲゲゲゲ!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!?」
「逃げろぉおぉぉおおおおお!!!!」
────もっと悲鳴を、血を、快楽を、と。
自分の思うがままに力を奮い、誰かを傷つける快感を得たいが為に暴れる典型的な
さて、次はどんなふうに殺してやろうか。そんな事を考えながら自分の邪魔をする
心地いい、とその悲鳴は新たな快感を求める欲求へと変わる。彼は更なる快楽を求めようと拳を振り上げ────
「させるかよボケェェエエエエエエエエ!!!」
────何か、巨大なモノに吹き飛ばされた。
「ブ、ガァッ!!!!?」
悲鳴をあげながら地面と熱烈なベーゼを交わすハメになる。お陰で欠片ほども理性の残ってない彼は一気に噴火した。自身を攻撃した敵対者を屠ろうと顔を上げる。
が、遅い。
────既に銃口、否、
「フォトンバルカン、shoot!!」
『Fire』
────ドラララララララララララララララ!!!
「ガエエエエエエエッ!?」
変わった機械の塊に跨る仮面ライダーの言葉と共に放たれる大量の光弾。それが彼の全身をやたらめったら打ち据えて行く。
やめてくれ、そう懇願するように絶叫を上げるが仮面ライダーには届かなかったようだ。
「エグザップバスター、Burst!!」
『Fullopen、Fire』
機械の左腕(?)からナニカが煙を上げて射出された。それは白煙で尾を引きながら彼へと迫りそして────
「ギ、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア!!!!!」
────着弾。
爆発による閃光と煙で彼の姿が隠れる。煙が晴れたそこには、血に塗れた身体を揺らしながら、それでも未だに立つ彼がいた。その瞳には憤怒。楽しみを邪魔され、自らに傷を負わせた敵対者を決して許すまいという思いが、彼の脳内を占めていた。
「ァ゛、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
目の前のコイツを殺す。それだけを胸に振りかぶった剛拳は────
「とっとと寝てろクソ
────仮面ライダーがハンドルを右にきったと同時に振るわれた機械の拳に吹き飛ばされる事で、その行き場を失った。
彼はそのまま地面に倒れ込み、意識を失ったのかそれ以上立ち上がる事は無かった。
仮面ライダーはそのまま機械に跨ったまま、大きく跳躍し、唖然とする市民やヒーロー達の前から姿を消した。
────尚、この事件については
翌日、その仮面ライダーの正体たる少年がとあるネズミに説教を受けていたのは誰も知らない────